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2 - Harry Potter, 17.2.2 スリザリンの継承者 - The Heir of Slytherin

17.2.2 スリザリンの継承者 - The Heir of Slytherin

ハリー の 杖 が 床 に 落ちて カタカタ と 音 を たて 、 そして 静寂 が 訪れた 。

インク が 日記帳 から 浸み 出し 、 ポタッポタッ と 落ち 続ける 音 だけ が 静けさ を 破って いた 。

バジリスク の 猛毒 が 、 日記 帳 の 真ん中 を 貫いて 、 ジュウジュウ と 焼け 爛れた 穴 を 残して い た 。

体中 を 震わせ 、 ハリー は やっと 立ち上がった 。 暖炉 飛行 粉 で 、 何 キロ も 旅 を した あと の よう に クラクラ して いた 。

ゆっくり と ハリー は 杖 を 拾い 、「 組 分け 帽子 」 を 拾い 、 そして 満身 の 力 で 、 バジリスク の 上 顎 を 貫いて いた 眩 い 剣 を 引き抜いた 。

「 秘密の 部屋 」 の 隅 の 方 から 微かな うめき声 が 聞こえて きた 。 ジニー が 動いて いた 。

ハリー が 駆け寄る と 、 ジニー は 身 を 起こした 。 トロン と した 目 で 、 ジニー は バジリスク の 巨大な 死骸 を 見 、 ハリー を 見 、 血 に 染まった ハリー の ローブ に 目 を やった 。 そして ハリー の 手 に ある 日記 を 見た 。

途端 に ジニー は 身震い して 大きく 息 を 呑んだ 。 それ から 涙 が どっと 溢れた 。

「 ハリー ―― あぁ 、 ハリー ―― あたし 、 朝食 の とき あなた に 打ち明けよう と した の 。 でも 、 パーシー の 前 で は 、 い 、 言え なかった 。 ハリー 、 あたし が やった の ―― でも 、 あたし ―― そ 、 そんな つもり じゃ なかった 。 う 、 嘘 じゃ ない わ ―― リ 、 リドル が やら せた の 。 あたし に 乗り移った の ―― そして 一 いったい どう やって あれ を やっつけた の ? あんな すごい もの を ? リドル は ど 、 どこ ! リドル が 日記帳 から 出て きて 、 その あと の こと は 、 お 、 覚えて いない わ ――」 「 もう 大丈夫 だ よ 」 ハリー は 日記 を 持ち上げ 、 その 真ん中 の 毒 牙 で 焼か れた 穴 を 、 ジニー に 見せた 。 「 リドル は おしまい だ 。 見て ごらん ? リドル 、 それ に バジリスク も だ 。 おいで 、 ジニー 。 早 く ここ を 出よう ――」

「 あたし 、 退学 に なる わ !」

ハリー は さめざめ と 泣く ジニー を 、 ぎこちなく 支えて 立ち上がら せた 。

「 あたし 、 ビ 、 ビル が ホグワーツ に 入って から ずっと 、 この 学校 に 入る の を 楽しみに して い た のに 、 も 、 もう 退学 に なる んだ わ ―― パパ や ママ が 、 な 、 なんて 言う かしら !」

フォークス が 入口 の 上 を 浮かぶ ように 飛んで 、 二 人 を 待って いた 。

ハリー は ジニー を 促して 歩か せ 、 死んで 動か なく なった バジリスク の とぐろ を 乗り越え 、 薄 暗がり に 足音 を 響かせ 、 トンネル へ と 戻って きた 。

背後 で 石 の 扉 が 、 シューッ と 低い 音 を たてて 閉じる の が 聞こえた 。 暗い トンネル を 数 分 歩く と 、 遠く の 方 から ゆっくり と 岩 が ずれ 動く 音 が 聞こえて きた 。 「 ロン !」 ハリー は 足 を 速め ながら 叫んだ 。

「 ジニー は 無事だ ! ここ に いる よ !」 ロン が 、 胸 の 詰まった ような 歓声 を あげる の が 聞こえた 。

二 人 は 次の 角 を 曲がった 。

崩れ落ちた 岩 の 間 に 、 ロン が 作った 、 かなり 大きな 隙間 の むこう から 、 待ちきれ ない ような ロン の 顔 が 覗いて いた 。

「 ジニー !」 ロン が 隙間 から 腕 を 突き出して 、 最初に ジニー を 引っ張った 。 「 生きて た の か ! 夢 じゃ ない だろう な ? いったい 何 が あった んだ ?」 ロン が 抱きしめよう と する と 、 ジニー は しゃくりあげ 、 ロン を 寄せつけ なかった 。 「 でも 、 ジニー 、 もう 大丈夫だ よ 」 ロン が ニッコリ 笑い かけた 。 「 もう 終わった んだ よ 、 もう ―― あの 鳥 は どっから 来た ん だい ?」 フォークス が ジニー の あと から 隙間 を スイーッ と くぐって 現れた 。 「 ダンブルドア の 鳥 だ 」 ハリー が 狭い 隙間 を くぐり抜け ながら 答えた 。 「 それ に 、 どうして 剣 なんか 持って る んだ ?」 ロン は ハリー の 手 に した 眩 い 武器 を まじまじ と 見つめた 。 「 ここ を 出て から 説明 する よ 」 ハリー は ジニー の 方 を チラッ と 横目 で 見 ながら 言った 。 「 でも ――」

「 あと に して 」 ハリー が 急いで 言った 。

誰 が 「 秘密の 部屋 」 を 開けた の か を 、 今 、 ロン に 話す の は 好ましく ない と 思った し 、 いずれ に して も 、 ジニー の 前 で は 言わ ない 方 が よい と 考えた のだ 。

「 ロック ハート は どこ ?」

「 あっち の 万 だ 」 ロン は ニヤッ と して 、 トンネル から パイプ へ と 向かう 道筋 を 顎 で しゃくった 。 「 調子 が 悪くて ね 。 行って 見て ごらん 」

フォークス の 広い 真 紅 の 翼 が 闇 に 放つ 、 柔らかな 金色 の 光 に 導か れ 、 三 人 は パイプ の 出口 の ところ まで 引き返した 。

ギルデロイ ・ ロックハート が 一 人 で おとなしく 鼻歌 を 歌い ながら そこ に 座って いた 。

「 記憶 を なくして る 。 『 忘却 術 』 が 逆 噴射 して 、 僕たち で なく 自分 に かかっちゃった んだ 。 自分 が 誰 な の か 、 今 どこ に いる の か 、 僕たち が 誰 な の か 、 チンプンカンプン さ 。 ここ に 来て 待って る ように 言った んだ 。 この 状態 で 一 人 で 放っておく と 、 怪我 したり して 危ない から ね 」

ロック ハート は 人 の よ さ そうな 顔 で 、 闇 を 透かす ように して 三 人 を 見上げた 。 「 や あ 、 なんだか 変わった ところ だ ね 。 ここ に 住んで いる の ?」 ロックハート が 聞いた 。 「 いや 」 ロン は ハリー の 方 に ちょっと 眉 を 上げて 目配せ した 。 ハリー は かがんで 、 上 に 伸びる 長く 暗い パイプ を 見上げた 。 「 どう やって 上 まで 戻る か 、 考えて た ?」 ハリー が 聞いた 。

ロン は 首 を 横 に 振った 。

すると 、 不死鳥 の フオークス が スーッ と ハリー の 後ろ から 飛んで きて 、 ハリー の 前 に 先回り して 羽 を パタパタ いわ せた 。

ビーズ の ような 目 が 闇 に 明るく 輝いて いる 。 長い 金色 の 尾 羽 を 振って いる 。 ハリー は ポカン と して フォークス を 見た 。

「 つかま れって 言って る ように 見える けど ...!」 ロン が 当惑 した 顔 を した 。 「 でも 鳥 が 上 まで 引っ取り上げる に は 、 君 は 重 すぎる な 」 「 フォークス は 普通の 鳥 じゃ ない 」 ハリー は ハッと して みんな に 言った 。 「 みんな で 手 を つなが なきゃ 。 ジニー 、 ロン の 手 に つかまって 。 ロックハート 先生 は ――」

「 君 の こと だ よ 」 ロン が 強い 口調 で ロック ハート に 言った 。

「 先生 は 、 ジニー の 空いて る 方 の 手 に つかまって 」

ハリー は 剣 と 「 組 分け 帽子 」 を ベルト に 挟んだ 。 ロン は 、 ハリー の ローブ の 背中 の ところ に つかまり 、 ハリー は 手 を 伸ばして 、 フォークス の 不思議に 熱い 尾 羽 を しっかり つかんだ 。

全身 が 異常に 軽く なった ような 気 が した 。 次の 瞬間 、 ヒューッ と 風 を 切って 、 四 人 は パイプ の 中 を 上 に 向かって 飛んで いた 。

下 の 方 に ぶら下がって いる ロック ハート が 、「 すごい ! すごい ! まるで 魔法 の ようだ !」 と 驚く 声 が ハリー に 聞こえて きた 。

ひんやり した 空気 が ハリー の 髪 を 打った 。

楽しんで いる うち に 、 飛行 は 終わった ―― 四 人 は 「 嘆き の マートル 」 の トイレ の 湿った 床 に 着地 した 。

ロック ハート が 帽子 を まっすぐに かぶり 直して いる 間 に 、 パイプ を 覆い隠して いた 手洗い 台 が スルスル と 元 の 位置 に 戻った 。

マートル が じろじろ と 四 人 を 見た 。

「 生きて る の 」 マートル は ポカン と して ハリー に 言った 。

「 そんなに がっかり した 声 を 出さ なくて も いい じゃ ない か 」

ハリー は 、 メガネ に ついた 血 や ベトベト を 拭い ながら 、 真顔 で 言った 。

「 あぁ ...... わたし 、 ちょうど 考えて た の 。 もし あんた が 死んだら 、 わたし の トイレ に 一緒に 住んで もらったら 嬉しいって 」 マートル は 頬 を ポッ と 銀色 に 染めた 。 「 ウヘー !」 トイレ から 出て 、 暗い 人気 の ない 廊下 に 立った とき 、 ロン が 言った 。

「 ハリー 、 マートル は 君 に 熱 を 上げて る ぜ ! ジニー 、 ライバル だ !」

しかし 、 ジニー は 声 も たて ず に 、 まだ ポロポロ 涙 を 流して いた 。

「 さあ 、 どこ へ 行く ?」

ジニー を 心配 そうに 見 ながら 、 ロン が 言った 。 ハリー は 指 で 示した 。

フォークス が 金色 の 光 を 放って 、 廊下 を 先導 して いた 。 四 人 は 急ぎ足 で フォークス に 従った 。 間もなく マクゴナガル 先生 の 部屋 の 前 に 出た 。 ハリー は ノック して 、 ドア を 押し 開いた 。


17.2.2 スリザリンの継承者 - The Heir of Slytherin スリザリン の けいしょう しゃ|the|heir||slytherin 17.2.2 Das Erbe von Slytherin - Das Erbe von Slytherin 17.2.2 The Heir of Slytherin 17.2.2 Dziedzic Slytherinu - Dziedzic Slytherinu

ハリー の 杖 が 床 に 落ちて カタカタ と 音 を たて 、 そして 静寂 が 訪れた 。 ||つえ||とこ||おちて|かたかた||おと||||せいじゃく||おとずれた Harry's wand fell to the floor, shaking and shaking and then silence fell.

インク が 日記帳 から 浸み 出し 、 ポタッポタッ と 落ち 続ける 音 だけ が 静けさ を 破って いた 。 いんく||にっき ちょう||ひた み|だし|||おち|つづける|おと|||しずけさ||やぶって|

バジリスク の 猛毒 が 、 日記 帳 の 真ん中 を 貫いて 、 ジュウジュウ と 焼け 爛れた 穴 を 残して い た 。 ||もうどく||にっき|ちょう||まんなか||つらぬいて|||やけ|ただれた|あな||のこして||

体中 を 震わせ 、 ハリー は やっと 立ち上がった 。 たいちゅう||ふるわせ||||たちあがった Shaking all over his body, Harry finally stood up. 暖炉 飛行 粉 で 、 何 キロ も 旅 を した あと の よう に クラクラ して いた 。 だんろ|ひこう|こな||なん|きろ||たび|||||||||

ゆっくり と ハリー は 杖 を 拾い 、「 組 分け 帽子 」 を 拾い 、 そして 満身 の 力 で 、 バジリスク の 上 顎 を 貫いて いた 眩 い 剣 を 引き抜いた 。 ||||つえ||ひろい|くみ|わけ|ぼうし||ひろい||まんしん||ちから||||うえ|あご||つらぬいて||くら||けん||ひきぬいた

「 秘密の 部屋 」 の 隅 の 方 から 微かな うめき声 が 聞こえて きた 。 ひみつの|へや||すみ||かた||び かな|うめきごえ||きこえて| ジニー が 動いて いた 。 ||うごいて|

ハリー が 駆け寄る と 、 ジニー は 身 を 起こした 。 ||かけよる||||み||おこした トロン と した 目 で 、 ジニー は バジリスク の 巨大な 死骸 を 見 、 ハリー を 見 、 血 に 染まった ハリー の ローブ に 目 を やった 。 |||め||||||きょだいな|しがい||み|||み|ち||そまった|||||め|| そして ハリー の 手 に ある 日記 を 見た 。 |||て|||にっき||みた

途端 に ジニー は 身震い して 大きく 息 を 呑んだ 。 とたん||||みぶるい||おおきく|いき||どん んだ それ から 涙 が どっと 溢れた 。 ||なみだ|||あふれた

「 ハリー ―― あぁ 、 ハリー ―― あたし 、 朝食 の とき あなた に 打ち明けよう と した の 。 ||||ちょうしょく|||||うちあけよう||| でも 、 パーシー の 前 で は 、 い 、 言え なかった 。 |||ぜん||||いえ| ハリー 、 あたし が やった の ―― でも 、 あたし ―― そ 、 そんな つもり じゃ なかった 。 う 、 嘘 じゃ ない わ ―― リ 、 リドル が やら せた の 。 |うそ||||||||| あたし に 乗り移った の ―― そして 一 いったい どう やって あれ を やっつけた の ? あんな すごい もの を ? リドル は ど 、 どこ ! リドル が 日記帳 から 出て きて 、 その あと の こと は 、 お 、 覚えて いない わ ――」 「 もう 大丈夫 だ よ 」 ハリー は 日記 を 持ち上げ 、 その 真ん中 の 毒 牙 で 焼か れた 穴 を 、 ジニー に 見せた 。 ||のりうつった|||ひと||||||||||||||||||にっき ちょう||でて||||||||おぼえて||||だいじょうぶ|||||にっき||もちあげ||まんなか||どく|きば||やか||あな||||みせた 「 リドル は おしまい だ 。 見て ごらん ? リドル 、 それ に バジリスク も だ 。 みて||||||| おいで 、 ジニー 。 早 く ここ を 出よう ――」 はや||||でよう

「 あたし 、 退学 に なる わ !」 |たいがく|||

ハリー は さめざめ と 泣く ジニー を 、 ぎこちなく 支えて 立ち上がら せた 。 ||||なく||||ささえて|たちあがら|

「 あたし 、 ビ 、 ビル が ホグワーツ に 入って から ずっと 、 この 学校 に 入る の を 楽しみに して い た のに 、 も 、 もう 退学 に なる んだ わ ―― パパ や ママ が 、 な 、 なんて 言う かしら !」 ||びる||||はいって||||がっこう||はいる|||たのしみに|||||||たいがく|||||ぱぱ||まま||||いう|

フォークス が 入口 の 上 を 浮かぶ ように 飛んで 、 二 人 を 待って いた 。 ||いりぐち||うえ||うかぶ||とんで|ふた|じん||まって|

ハリー は ジニー を 促して 歩か せ 、 死んで 動か なく なった バジリスク の とぐろ を 乗り越え 、 薄 暗がり に 足音 を 響かせ 、 トンネル へ と 戻って きた 。 ||||うながして|あるか||しんで|うごか|||||||のりこえ|うす|くらがり||あしおと||ひびかせ|とんねる|||もどって|

背後 で 石 の 扉 が 、 シューッ と 低い 音 を たてて 閉じる の が 聞こえた 。 はいご||いし||とびら||||ひくい|おと|||とじる|||きこえた 暗い トンネル を 数 分 歩く と 、 遠く の 方 から ゆっくり と 岩 が ずれ 動く 音 が 聞こえて きた 。 くらい|とんねる||すう|ぶん|あるく||とおく||かた||||いわ|||うごく|おと||きこえて| 「 ロン !」 ハリー は 足 を 速め ながら 叫んだ 。 |||あし||はやめ||さけんだ

「 ジニー は 無事だ ! ここ に いる よ !」 ロン が 、 胸 の 詰まった ような 歓声 を あげる の が 聞こえた 。 ||ぶじだ|||||||むね||つまった||かんせい|||||きこえた

二 人 は 次の 角 を 曲がった 。 ふた|じん||つぎの|かど||まがった

崩れ落ちた 岩 の 間 に 、 ロン が 作った 、 かなり 大きな 隙間 の むこう から 、 待ちきれ ない ような ロン の 顔 が 覗いて いた 。 くずれおちた|いわ||あいだ||||つくった||おおきな|すきま||||まちきれ|||||かお||のぞいて|

「 ジニー !」 ロン が 隙間 から 腕 を 突き出して 、 最初に ジニー を 引っ張った 。 |||すきま||うで||つきだして|さいしょに|||ひっぱった 「 生きて た の か ! 夢 じゃ ない だろう な ? いったい 何 が あった んだ ?」 ロン が 抱きしめよう と する と 、 ジニー は しゃくりあげ 、 ロン を 寄せつけ なかった 。 いきて||||ゆめ||||||なん||||||だきしめよう|||||||||よせつけ| "Are you alive! Isn't it a dream? What happened?" When Ron tried to hug him, Ginny screamed and kept Ron away. 「 でも 、 ジニー 、 もう 大丈夫だ よ 」 ロン が ニッコリ 笑い かけた 。 |||だいじょうぶだ||||にっこり|わらい| "But, Ginny, it's okay," Ron grinned. 「 もう 終わった んだ よ 、 もう ―― あの 鳥 は どっから 来た ん だい ?」 フォークス が ジニー の あと から 隙間 を スイーッ と くぐって 現れた 。 |おわった|||||ちょう||ど っ から|きた|||||||||すきま|||||あらわれた 「 ダンブルドア の 鳥 だ 」 ハリー が 狭い 隙間 を くぐり抜け ながら 答えた 。 ||ちょう||||せまい|すきま||くぐりぬけ||こたえた 「 それ に 、 どうして 剣 なんか 持って る んだ ?」 ロン は ハリー の 手 に した 眩 い 武器 を まじまじ と 見つめた 。 |||けん||もって|||||||て|||くら||ぶき||||みつめた 「 ここ を 出て から 説明 する よ 」 ハリー は ジニー の 方 を チラッ と 横目 で 見 ながら 言った 。 ||でて||せつめい|||||||かた||||よこめ||み||いった "I'll explain after I get out of here," Harry said, glancing at Ginny. 「 でも ――」

「 あと に して 」 ハリー が 急いで 言った 。 |||||いそいで|いった

誰 が 「 秘密の 部屋 」 を 開けた の か を 、 今 、 ロン に 話す の は 好ましく ない と 思った し 、 いずれ に して も 、 ジニー の 前 で は 言わ ない 方 が よい と 考えた のだ 。 だれ||ひみつの|へや||あけた||||いま|||はなす|||このましく|||おもった||||||||ぜん|||いわ||かた||||かんがえた|

「 ロック ハート は どこ ?」 ろっく|はーと||

「 あっち の 万 だ 」  ロン は ニヤッ と して 、 トンネル から パイプ へ と 向かう 道筋 を 顎 で しゃくった 。 あっ ち||よろず|||||||とんねる||ぱいぷ|||むかう|みちすじ||あご||しゃく った "It's all over there." Ron grinned and squeezed the path from the tunnel to the pipe with his chin. 「 調子 が 悪くて ね 。 ちょうし||わるくて| 行って 見て ごらん 」 おこなって|みて| Go and see. "

フォークス の 広い 真 紅 の 翼 が 闇 に 放つ 、 柔らかな 金色 の 光 に 導か れ 、 三 人 は パイプ の 出口 の ところ まで 引き返した 。 ||ひろい|まこと|くれない||つばさ||やみ||はなつ|やわらかな|きんいろ||ひかり||みちびか||みっ|じん||ぱいぷ||でぐち||||ひきかえした

ギルデロイ ・ ロックハート が 一 人 で おとなしく 鼻歌 を 歌い ながら そこ に 座って いた 。 |||ひと|じん|||はなうた||うたい||||すわって|

「 記憶 を なくして る 。 きおく||| "I'm losing my memory. 『 忘却 術 』 が 逆 噴射 して 、 僕たち で なく 自分 に かかっちゃった んだ 。 ぼうきゃく|じゅつ||ぎゃく|ふんしゃ||ぼくたち|||じぶん||かかっちゃ った| 自分 が 誰 な の か 、 今 どこ に いる の か 、 僕たち が 誰 な の か 、 チンプンカンプン さ 。 じぶん||だれ||||いま||||||ぼくたち||だれ||||| Who you are, where you are now, who we are, Chimpung Kampung. ここ に 来て 待って る ように 言った んだ 。 ||きて|まって|||いった| I told you to come here and wait. この 状態 で 一 人 で 放っておく と 、 怪我 したり して 危ない から ね 」 |じょうたい||ひと|じん||ほうっておく||けが|||あぶない|| If you leave it alone in this state, you may get injured and it is dangerous. "

ロック ハート は 人 の よ さ そうな 顔 で 、 闇 を 透かす ように して 三 人 を 見上げた 。 ろっく|はーと||じん||||そう な|かお||やみ||すかす|||みっ|じん||みあげた Rock Heart looked up at the three people with a good-looking face, as if to see through the darkness. 「 や あ 、 なんだか 変わった ところ だ ね 。 |||かわった||| "Hey, it's something weird. ここ に 住んで いる の ?」 ロックハート が 聞いた 。 ||すんで|||||きいた 「 いや 」 ロン は ハリー の 方 に ちょっと 眉 を 上げて 目配せ した 。 |||||かた|||まゆ||あげて|めくばせ| ハリー は かがんで 、 上 に 伸びる 長く 暗い パイプ を 見上げた 。 |||うえ||のびる|ながく|くらい|ぱいぷ||みあげた 「 どう やって 上 まで 戻る か 、 考えて た ?」 ハリー が 聞いた 。 ||うえ||もどる||かんがえて||||きいた

ロン は 首 を 横 に 振った 。 ||くび||よこ||ふった

すると 、 不死鳥 の フオークス が スーッ と ハリー の 後ろ から 飛んで きて 、 ハリー の 前 に 先回り して 羽 を パタパタ いわ せた 。 |ふしちょう||||||||うしろ||とんで||||ぜん||さきまわり||はね|||| Then the phoenix Fox flew from behind Harry and fluttered his feathers ahead of Harry.

ビーズ の ような 目 が 闇 に 明るく 輝いて いる 。 びーず|||め||やみ||あかるく|かがやいて| 長い 金色 の 尾 羽 を 振って いる 。 ながい|きんいろ||お|はね||ふって| ハリー は ポカン と して フォークス を 見た 。 |||||||みた

「 つかま れって 言って る ように 見える けど ...!」 ロン が 当惑 した 顔 を した 。 |れ って|いって|||みえる||||とうわく||かお|| "It looks like you're grabbed, but ...!" Ron made a embarrassed face. 「 でも 鳥 が 上 まで 引っ取り上げる に は 、 君 は 重 すぎる な 」 「 フォークス は 普通の 鳥 じゃ ない 」 ハリー は ハッと して みんな に 言った 。 |ちょう||うえ||ひ っ とりあげる|||きみ||おも|||||ふつうの|ちょう|||||はっと||||いった 「 みんな で 手 を つなが なきゃ 。 ||て||つな が| ジニー 、 ロン の 手 に つかまって 。 |||て|| ロックハート 先生 は ――」 |せんせい|

「 君 の こと だ よ 」 ロン が 強い 口調 で ロック ハート に 言った 。 きみ|||||||つよい|くちょう||ろっく|はーと||いった "It's about you," Ron said to Rockhart in a strong tone.

「 先生 は 、 ジニー の 空いて る 方 の 手 に つかまって 」 せんせい||||あいて||かた||て|| "The teacher is holding on to Genie's free hand."

ハリー は 剣 と 「 組 分け 帽子 」 を ベルト に 挟んだ 。 ||けん||くみ|わけ|ぼうし||べると||はさんだ Harry put a sword and a "grouping hat" on his belt. ロン は 、 ハリー の ローブ の 背中 の ところ に つかまり 、 ハリー は 手 を 伸ばして 、 フォークス の 不思議に 熱い 尾 羽 を しっかり つかんだ 。 ||||||せなか|||||||て||のばして|||ふしぎに|あつい|お|はね|||

全身 が 異常に 軽く なった ような 気 が した 。 ぜんしん||いじょうに|かるく|||き|| 次の 瞬間 、 ヒューッ と 風 を 切って 、 四 人 は パイプ の 中 を 上 に 向かって 飛んで いた 。 つぎの|しゅんかん|||かぜ||きって|よっ|じん||ぱいぷ||なか||うえ||むかって|とんで|

下 の 方 に ぶら下がって いる ロック ハート が 、「 すごい ! すごい ! まるで 魔法 の ようだ !」 と 驚く 声 が ハリー に 聞こえて きた 。 した||かた||ぶらさがって||ろっく|はーと|||||まほう||||おどろく|こえ||||きこえて|

ひんやり した 空気 が ハリー の 髪 を 打った 。 ||くうき||||かみ||うった

楽しんで いる うち に 、 飛行 は 終わった ―― 四 人 は 「 嘆き の マートル 」 の トイレ の 湿った 床 に 着地 した 。 たのしんで||||ひこう||おわった|よっ|じん||なげき||||といれ||しめった|とこ||ちゃくち| While having fun, the flight was over--the four landed on the moan floor of the Moaning Myrtle toilet.

ロック ハート が 帽子 を まっすぐに かぶり 直して いる 間 に 、 パイプ を 覆い隠して いた 手洗い 台 が スルスル と 元 の 位置 に 戻った 。 ろっく|はーと||ぼうし||||なおして||あいだ||ぱいぷ||おおいかくして||てあらい|だい||するする||もと||いち||もどった While Lockhart was straightening his hat, the restroom that had covered the pipe returned to its original position.

マートル が じろじろ と 四 人 を 見た 。 ||||よっ|じん||みた

「 生きて る の 」 マートル は ポカン と して ハリー に 言った 。 いきて||||||||||いった

「 そんなに がっかり した 声 を 出さ なくて も いい じゃ ない か 」 |||こえ||ださ|||||| "You don't have to make such a disappointing voice."

ハリー は 、 メガネ に ついた 血 や ベトベト を 拭い ながら 、 真顔 で 言った 。 ||めがね|||ち||べとべと||ぬぐい||まがお||いった

「 あぁ ...... わたし 、 ちょうど 考えて た の 。 |||かんがえて|| もし あんた が 死んだら 、 わたし の トイレ に 一緒に 住んで もらったら 嬉しいって 」  マートル は 頬 を ポッ と 銀色 に 染めた 。 |||しんだら|||といれ||いっしょに|すんで||うれしい って|||ほお||||ぎんいろ||そめた 「 ウヘー !」 トイレ から 出て 、 暗い 人気 の ない 廊下 に 立った とき 、 ロン が 言った 。 |といれ||でて|くらい|にんき|||ろうか||たった||||いった

「 ハリー 、 マートル は 君 に 熱 を 上げて る ぜ ! ジニー 、 ライバル だ !」 |||きみ||ねつ||あげて||||らいばる| "Harry, Myrtle is enthusiastic about you! Genie, a rival!"

しかし 、 ジニー は 声 も たて ず に 、 まだ ポロポロ 涙 を 流して いた 。 |||こえ||||||ぽろぽろ|なみだ||ながして| However, Ginny was still weeping, silently.

「 さあ 、 どこ へ 行く ?」 |||いく "Where are you going?"

ジニー を 心配 そうに 見 ながら 、 ロン が 言った 。 ||しんぱい|そう に|み||||いった ハリー は 指 で 示した 。 ||ゆび||しめした

フォークス が 金色 の 光 を 放って 、 廊下 を 先導 して いた 。 ||きんいろ||ひかり||はなって|ろうか||せんどう|| 四 人 は 急ぎ足 で フォークス に 従った 。 よっ|じん||いそぎあし||||したがった 間もなく マクゴナガル 先生 の 部屋 の 前 に 出た 。 まもなく||せんせい||へや||ぜん||でた ハリー は ノック して 、 ドア を 押し 開いた 。 ||||どあ||おし|あいた