×

We use cookies to help make LingQ better. By visiting the site, you agree to our cookie policy.


image

2 - Harry Potter, 17.2.1 スリザリンの継承者 - The Heir of Slytherin

17.2.1 スリザリンの継承者 - The Heir of Slytherin

リドル は フォークス と 「 組 分け 帽子 」 を からかう ように 、 チラッ と 見て その 場 を 離れた 。

ハリー は 感覚 の なくなった 両足 に 恐怖 が 広がって いく の を 感じ ながら 、 リドル を 見つめた 。

リドル は 一 対 の 高い 柱 の 間 で 立ち止まり 、 ずっと 上 の 方 に 、 半分 暗闇 に 覆われて いる スリザ リン の 石像 の 顔 を 見上げた 。 横 に 大きく 口 を 開く と 、 シュー シュー と いう 音 が 漏れた 。 ハリー に は リドル が 何 を 言って い る の か わかった 。

『 スリザリン よ 。 ホグワーツ 四 強 の 中 で 最強の 者 よ 。 われ に 話した まえ 』 ハリー が 向き を 変えて 石像 を 見上げた 。 フォークス も ハリー の 肩 の 上 で 揺れた 。

スリザリン の 巨大な 石 の 顔 が 動いて いる 。 恐怖 に 打ちのめさ れ ながら 、 ハリー は 石像 の 口 が だんだん 広がって 行き 、 ついに 大きな 黒い 穴 に なる の を 見て いた 。

何 か が 、 石像 の 口 の 中 で うごめいて いた 。 何 か が 、 奥 の 方 から ズルズル と 這い 出して きた 。 ハリー は 「 秘密の 部屋 」 の 暗い 壁 に ぶつかる まで 、 あとずさり した 。 目 を 固く 閉じた とき 、 フォークス が 飛び立ち 、 翼 が 頬 を 擦る の を 感じた 。

ハリー は 「 僕 を 一 人 に し ないで !」 と 叫び たかった 。 しかし 、 蛇 の 王 の 前 で 、 不死鳥 に 勝ち 目 など ある だろう か ?

何 か 巨大な もの が 部屋 の 石 の 床 に 落ち 、 床 の 振動 が 伝わって きた 。

何 が 起こって いる の か ハリー に は わかって いた 。 感覚 で わかる 。 巨大な 蛇 が スリザリン の 口 から 出て きて 、 とぐろ を 解いて いる の が 目 に 見える ような 気 が した 。 リドル の 低い シューッ と いう 声 が 聞こえて きた 。

「 あいつ を 殺せ 」

バジリスク が ハリー に 近づいて くる 。

埃っぽい 床 を ズルッズルッ と ずっしり した 胴体 を 滑らせる 音 が 聞こえた 。 ハリー は 目 を しっかり 閉じた まま へ 手 を 伸ばし 、 手探り で 横 に 走って 逃げよう と した 。 リド ル の 笑う 声 が する ......。

ハリー は 躓き 、 石 の 床 で したたかに 顔 を 打ち 、 ロ の 中 で 血 の 味 が した 。 毒 蛇 は すぐ そば まで 来て いる 。

近づく 昔 が 聞こえる 。 ハリー の 真上 で 破裂 する ような シャーッシャーッ と いう 大きな 音 が し た 。

何 か 重い もの が ハリー に ぶつかり 、 その 強烈な 衝撃 で ハリー は 壁 に 打ちつけられた 。 今にも 毒 牙 が 体 に ズブリ と 突き刺さる か と 覚悟 した とき 、 ハリー の 耳 に 狂った ような シュー シュー と いう 音 と 、 何 か が のた打ち 回って 、 柱 を 叩きつけて いる 音 が 聞こえた 。

もう 我慢 でき なかった 。

ハリー は できる だけ 細く 目 を 開け 、 何 が 起こって いる の か 見よう と した 。

巨大な 蛇 だ 。 テラテラ と 毒々しい 鮮緑 色 の 、 樫 の 木 の ように 太い 胴体 を 、 高々 と 宙 に くねら せ 、 その 巨大な 鎌 首 は 酔った ように 柱 と 柱 の 間 を 縫って 動き回って いた 。 ハリー は 身震い し 、 蛇 が こちら を 見たら 、 すぐに 目 を つぶろう と 身構えた その とき 、 ハリー は いったい 何 が 蛇 の 気 を 逸ら せて いた の か を 見た 。

フォークス が 、 蛇 の 鎌 首 の 周り を 飛び回り 、 バジリスク は サーベル の ように 長く 鋭い 毒 牙 で 狂った ように 何度 も 空 を 噛んで いた 。

フォークス が 急 降下 した 。 長い 金色 の 嘴 が 何 か に ズブリ と 突き刺さり 、 急に 見え なく なった 。 その 途端 、 どす黒い 血 が 吹き出し ボタボタ と 床 に 降り注いだ 。 毒 蛇 の 尾 が のたうち 、 あやうく ハリー を 打ち そうに なった 。

ハリー が 目 を 閉じる 間 も なり 蛇 は こちら を 振り向いた 。 ハリー は 真 正面 から 蛇 の 頭 を ―― そ して 、 その 目 を 見た 。

大きな 黄色い 球 の ような 目 は 、 両眼 と も 不死鳥 に 潰されて いた 。 おびただしい 血 が 床 に 流れ 、 バジリスク は 苦 痚 に のたうち 回って いた 。

「 違う !」 リドル が 叫ぶ 声 が 聞こえた 。 「 鳥 に かまう な ! ほって おけ ! 小僧 は 後ろ だ ! 匂い で わかる だろう ! 殺せ !」

盲目の 蛇 は 混乱 して 、 ふらふら して は いた が 、 まだ 危険だった 。 フォークス が 蛇 の 頭上 を 輪 を 描き ながら 飛び 、 不思議な 旋律 を 歌い ながら バジリスク の 鱗 で 覆わ れた 鼻面 を あちこち 突 ついた 。

バジリスク の 潰れた 目 から は 、 ドクドク と 血 が 流れ 続けて いた 。 「 助けて 。 助けて 。 誰 か 、 誰 か !」 ハリー は 夢中で 口走った 。 バジリスク の 尾 が 、 また 大きく 一 振り して 床 の 上 を 掃いた 。 ハリー が 身 を かわした その とき 、 何 か 柔らかい もの が ハリー の 顔 に 当たった 。 バジリスク の 尾 が 、「 組 分け 帽子 」 を 吹き飛ばして ハリー の 腕 に 放って よこした のだ 。 ハリー は それ を しっかり つかんだ 。 もう これ しか 残されて いない 。 最後 の 頼みの綱 だ 。 ハリー は 帽子 を ぐ いっと かぶり 、 床 に ぴったり と 身 を 促せた 。 その 頭上 を 掃く ように 、 バジリスク の 尾 が また 通り過ぎた 。 「 助けて ............ 助けて ......」 帽子 の 中 で しっかり と 目 を 閉じ 、 ハリー は 祈った 。 「 お 願い 、 助けて 」

答え は なかった 。 しかし 、 誰 か の 見え ない 手 が ぎゅっと 絞った か の ように 、 帽子 が 縮んだ 。

固くて ずしり と 重い もの が ハリー の 頭 の てっぺん に 落ちて きた 。

ハリー は 危うく ノックアウト さ れ そうに なり 、 目 から 火花 を 飛ばし ながら 、

帽子 の てっぺん を つかんで ぐ いっと 脱いだ 。

何 か 長くて 固い もの が 手 に 触れた 。

帽子 の 中 から 、 眩 い 光 を 放つ 銀 の 剣 が 出て きた 。 柄 に は 卵 ほど も ある ルビー が 輝いて いる 。

「 小童 を 殺せ ! 鳥 に かまう な ! 小童 は すぐ 後ろ だ ! 匂い だ ―― 嗅ぎ 出せ !」

ハリー は すっくと 立って 身構えた 。 バジリスク は 胴体 を ハリー の 方 に 捻り ながら 柱 を 叩き つ け 、 とぐろ を くねら せ ながら 鎌 首 を もたげた 。

バジリスク の 頭 が ハリー 目がけて 落ちて くる 。

巨大な 両眼 から 血 を 流して いる の が 見える 。

丸ごと ハリー を 飲み込む ほど 大きく 口 を カツ と 開けて いる の が 見える 。 ずらり と 並んだ 、 ハ リー の 剣 ほど 長い 鋭い 牙 が 、 ヌメヌメ と 毒々しく 光って ......。

バジリスク が やみくもに ハリー に 襲いかかって きた 。 ハリー は 危うく かわし 、 蛇 は 壁 に ぶつかった 。 再び 襲って きた 。 今度 は 、 裂けた 舌 先 が ハリー の 脇腹 に 打ち 当たった 。

ハリー は 諸手 で 剣 を 、 高々 と 掲げた 。 三 度 目 の 攻撃 は 、 狙い 違わ ず 、 まともに ハリー を 捉え て いた 。

ハリー は 全体 量 を 剣 に 乗せ 、 剣 の 鍔 まで 届く ほど 深く 、 毒 蛇 の 口 蓋 に ズブリ と 突き刺した 。

生暖かい 血 が ハリー の 両腕 を どっぷり と 濡らした とき 、 肘 の すぐ 上 に 焼けつく ような 痚 み が 走った 。 長い 毒 牙 が 一 本 ハリー の 腕 に 突き刺さり 、 徐々に 深く 食い込んで 行く ところ だった 。 毒 牙 の 破片 を ハリー の 腕 に 残した まま 牙 が 折れ 、 バジリスク は ドッと 横 様 に 床 に 倒れ 、 ヒクヒク と 痙攣 した 。

ハリー は 壁 に もたれた まま 、 ズルズル と 崩れ落ちた 。 体中 に 毒 を 撒き散らして いる 牙 を しっかり つかみ 、 力 の かぎり ぐ いっと 引き抜いた 。

しかし 、 もう 遅 過ぎる こと は わかって いた 。 傷口 から ズキズキ と 、 灼熱 の 痚 み が ゆっくり 、 しかし 確実に 広がって いった 。

牙 を 捨て 、 ローブ が 自分 の 血 で 染まって いく の を 見つめた とき から 、 もう ハリー の 目 は 霞 み はじめて いた 。

「 秘密の 部屋 」 が ぼんやり した 暗 色 の 渦 の 中 に 消え去り つつ あった 。 真 紅 の 影 が スッ と 横切った 。 そして ハリー の 傍ら で カタカタ と 静かな 爪 音 が 聞こえた 。 「 フォークス 」 ハリー は もつれる 舌 で 呟いた 。 「 君 は すばらしかった よ 、 フォークス 」

毒 蛇 の 牙 が 貫いた 腕 の 傷 に 、 フォークス が その 美しい 頭 を 預ける の を ハリー は 感じた 。

足音 が 響く の が 聞こえ 、 ハリー の 前 に 暗い 影 が 立った 。

「 ハリー ・ ポッター 、 君 は 死んだ 」 上 の 万 から リドル の 声 が した 。

「 死んだ 。 ダンブルドア の 鳥 に さえ それ が わかる らしい 。 鳥 が 何 を して いる か 、 見える かい 泣いて いる よ 」

ハリー は 瞬き した 。 フォークス の 頭 が 一瞬 はっきり 見え 、 すぐ また ぼやけた 。 真珠 の ような 涙 が ポロポロ と 、 その つや や かな 羽毛 を 伝って 滴り 落ちて いた 。

「 ハリー ・ ポッター 、 僕 は ここ に 座って 、 君 の 臨終 を 見物 さ せて もらおう 。 ゆっくり やって れ 。 僕 は 急ぎ は し ない 」

ハリー は 眠かった 。 周り の もの が すべて クルクル と 回って いる ようだった 。 「 これ で 有名な ハリー ・ ポッター も おしまい だ 」 遠く の 方 で リドル の 声 が する 。

「 たった 一 人 、『 秘密の 部屋 』 で 、 友人 に も 見捨てられ 、 愚かに も 挑戦 した 闇 の 帝王 に 、 遂 に 敗北 して 。 もう すぐ 、『 穣 れた 血 』 の 恋しい 母親 の 元 に 戻れる よ 、 ハリー ......。 君 の 命 を 、 十二 年 延ばした だけ だった 母親 に ...... しかし 、 ヴォルデモート 卿 は 結局 君 の 息の根 を 止めた 。 そう なる こと は 、 君 も わかって いた はずだ 」

―― これ が 死ぬ と いう こと なら 、 あんまり 悪く ない ―― ハリー は 思った 。 痚 み さえ 薄らいで いく ......

しかし 、 これ が 死ぬ と いう こと な の か ? 真っ暗闇に なる どころ か 、『 秘密の 部屋 』 が また はっきり と 見え 出した 。

ハリー は 頭 を プルプル ッと 振って みた 。

フォークス が そこ に いた 。 ハリー の 腕 に その 頭 を 休めた まま だ 。

傷口 の 周り が 、 ぐるり と 真珠 の ような 涙 で 覆われて いた ―― しかも 、 その 傷 さえ 消えて い る 。 「 鳥 め 、 どけ 」 突然 リドル の 声 が した 。

「 そいつ から 離れろ 。 聞こえ ない の か 。 どけ !」

ハリー が 頭 を 起こす と 、 リドル が ハリー の 杖 を フォークス に 向けて いた 。

鉄砲 の ような バーン と いう 音 が して 、 フォークス は 金色 と 真 紅 の 輪 を 描き ながら 、 再び 舞い 上がった 。

「 不死鳥 の 涙 ......」 リドル が 、 ハリー の 腕 を じっと 見つめ ながら 低い 声 で 言った 。 「 そうだ ...... 癒し の 力 ...... 忘れて いた ......」 リドル は ハリー の 顔 を じっと 見た 。

「 しかし 、 結果 は 同じだ 。 むしろ この 方 が いい 。 一 対 一 だ 。 ハリー ・ ポッター ...... 二 人 だけ の 勝負 だ ......」 リドル が 杖 を 振り上げた 。

激しい 羽音 と ともに 、 フォークス が 頭上 に 舞い戻って 、 ハリー の 膝 に 何 か を ポトリ と 落とし た ―― 日記 だ 。

ほんの 一瞬 、 ハリー も 杖 を 振り上げた まま の リドル も 、 日記 を 見つめた 。

そして 、 何も 考え ず 、 ためらい も せず 、 まるで 初め から そう する つもりだった か の ように 、 ハリー は そば に 落ちて いた バジリスク の 牙 を つかみ 、 日記 帳 の 真芯 に ズブリ と 突き 立てた 。

恐ろしい 、 耳 を つんざく ような 悲鳴 が 長々 と 響いた 。 日記帳 から インク が 激流 の ように ほ と ば しり 、 ハリー の 手 の 上 を 流れ 、 床 を 浸した 。 リドル は 身 を 振り 、 悶え 、 悲鳴 を あげ ながら のたうち 回って ...... 消えた 。


17.2.1 スリザリンの継承者 - The Heir of Slytherin スリザリン の けいしょう しゃ|the|heir||slytherin 17.2.1 The Heir of Slytherin 17.2.1 Dziedzic Slytherinu - Dziedzic Slytherinu 17.2.1 Slytherins arvtagare - Slytherins arvtagare

リドル は フォークス と 「 組 分け 帽子 」 を からかう ように 、 チラッ と 見て その 場 を 離れた 。 ||||くみ|わけ|ぼうし||||||みて||じょう||はなれた Riddle glanced away from the scene, as if to make fun of Forks and the "grouping hat."

ハリー は 感覚 の なくなった 両足 に 恐怖 が 広がって いく の を 感じ ながら 、 リドル を 見つめた 。 ||かんかく|||りょうあし||きょうふ||ひろがって||||かんじ||||みつめた Harry stared at Riddle, feeling the spread of fear on his desensitized legs.

リドル は 一 対 の 高い 柱 の 間 で 立ち止まり 、 ずっと 上 の 方 に 、 半分 暗闇 に 覆われて いる スリザ リン の 石像 の 顔 を 見上げた 。 ||ひと|たい||たかい|ちゅう||あいだ||たちどまり||うえ||かた||はんぶん|くらやみ||おおわ れて|||りん||せきぞう||かお||みあげた Riddle stopped between a pair of tall pillars and looked up all the way up to the face of a half-darkened stone statue of Slytherin. 横 に 大きく 口 を 開く と 、 シュー シュー と いう 音 が 漏れた 。 よこ||おおきく|くち||あく||しゅー|しゅー|||おと||もれた ハリー に は リドル が 何 を 言って い る の か わかった 。 |||||なん||いって||||| Harry knew what Riddle was saying.

『 スリザリン よ 。 ホグワーツ 四 強 の 中 で 最強の 者 よ 。 |よっ|つよ||なか||さいきょうの|もの| Hogwarts, the strongest of the four. われ に 話した まえ 』 ハリー が 向き を 変えて 石像 を 見上げた 。 ||はなした||||むき||かえて|せきぞう||みあげた Speak to us. ”Harry turned around and looked up at the statue. フォークス も ハリー の 肩 の 上 で 揺れた 。 ||||かた||うえ||ゆれた Forks also shook on Harry's shoulders.

スリザリン の 巨大な 石 の 顔 が 動いて いる 。 ||きょだいな|いし||かお||うごいて| 恐怖 に 打ちのめさ れ ながら 、 ハリー は 石像 の 口 が だんだん 広がって 行き 、 ついに 大きな 黒い 穴 に なる の を 見て いた 。 きょうふ||うちのめさ|||||せきぞう||くち|||ひろがって|いき||おおきな|くろい|あな|||||みて|

何 か が 、 石像 の 口 の 中 で うごめいて いた 。 なん|||せきぞう||くち||なか||| 何 か が 、 奥 の 方 から ズルズル と 這い 出して きた 。 なん|||おく||かた||ずるずる||はい|だして| Somehow, I crawl out from the back. ハリー は 「 秘密の 部屋 」 の 暗い 壁 に ぶつかる まで 、 あとずさり した 。 ||ひみつの|へや||くらい|かべ||||| 目 を 固く 閉じた とき 、 フォークス が 飛び立ち 、 翼 が 頬 を 擦る の を 感じた 。 め||かたく|とじた||||とびたち|つばさ||ほお||かする|||かんじた When I closed my eyes tightly, I felt Forks fly away and my wings rubbed my cheeks.

ハリー は 「 僕 を 一 人 に し ないで !」 と 叫び たかった 。 ||ぼく||ひと|じん|||||さけび| Harry says, "Don't leave me alone!" I wanted to yell, "I'm not going to let them get away with that! しかし 、 蛇 の 王 の 前 で 、 不死鳥 に 勝ち 目 など ある だろう か ? |へび||おう||ぜん||ふしちょう||かち|め|||| But in front of the King of Snakes, is there any chance of winning the phoenix?

何 か 巨大な もの が 部屋 の 石 の 床 に 落ち 、 床 の 振動 が 伝わって きた 。 なん||きょだいな|||へや||いし||とこ||おち|とこ||しんどう||つたわって| Something huge fell on the stone floor of the room, and the vibration of the floor was transmitted.

何 が 起こって いる の か ハリー に は わかって いた 。 なん||おこって|||||||| 感覚 で わかる 。 かんかく|| You can understand it by feeling. 巨大な 蛇 が スリザリン の 口 から 出て きて 、 とぐろ を 解いて いる の が 目 に 見える ような 気 が した 。 きょだいな|へび||||くち||でて||||といて||||め||みえる||き|| A giant snake came out of Slytherin's mouth, and I felt like I could see it unraveling. リドル の 低い シューッ と いう 声 が 聞こえて きた 。 ||ひくい||||こえ||きこえて| I heard Riddle's low swooshing voice.

「 あいつ を 殺せ 」 ||ころせ

バジリスク が ハリー に 近づいて くる 。 ||||ちかづいて|

埃っぽい 床 を ズルッズルッ と ずっしり した 胴体 を 滑らせる 音 が 聞こえた 。 ほこり っぽい|とこ||||||どうたい||すべらせる|おと||きこえた ハリー は 目 を しっかり 閉じた まま へ 手 を 伸ばし 、 手探り で 横 に 走って 逃げよう と した 。 ||め|||とじた|||て||のばし|てさぐり||よこ||はしって|にげよう|| Harry reached out with his eyes closed and groped sideways to try to escape. リド ル の 笑う 声 が する ......。 |||わらう|こえ||

ハリー は 躓き 、 石 の 床 で したたかに 顔 を 打ち 、 ロ の 中 で 血 の 味 が した 。 ||つまずき|いし||とこ|||かお||うち|||なか||ち||あじ|| Harry stumbled, struck his face on the stone floor, and tasted blood in the b. 毒 蛇 は すぐ そば まで 来て いる 。 どく|へび|||||きて|

近づく 昔 が 聞こえる 。 ちかづく|むかし||きこえる I can hear the old days approaching. ハリー の 真上 で 破裂 する ような シャーッシャーッ と いう 大きな 音 が し た 。 ||まこと じょう||はれつ||||||おおきな|おと||| There was a loud screaming noise just above Harry that burst.

何 か 重い もの が ハリー に ぶつかり 、 その 強烈な 衝撃 で ハリー は 壁 に 打ちつけられた 。 なん||おもい|||||||きょうれつな|しょうげき||||かべ||うちつけ られた Something heavy slammed into Harry, and the forceful impact knocked him against the wall. 今にも 毒 牙 が 体 に ズブリ と 突き刺さる か と 覚悟 した とき 、 ハリー の 耳 に 狂った ような シュー シュー と いう 音 と 、 何 か が のた打ち 回って 、 柱 を 叩きつけて いる 音 が 聞こえた 。 いまにも|どく|きば||からだ||||つきささる|||かくご|||||みみ||くるった||しゅー|しゅー|||おと||なん|||のたうち|まわって|ちゅう||たたきつけて||おと||きこえた When I was ready to pierce my body with poisonous fangs, I heard Harry's crazy swooshing sound and the sound of something slamming around and slamming the pillars.

もう 我慢 でき なかった 。 |がまん|| I couldn't stand it anymore.

ハリー は できる だけ 細く 目 を 開け 、 何 が 起こって いる の か 見よう と した 。 ||||ほそく|め||あけ|なん||おこって||||みよう|| Harry opened his eyes as narrowly as he could and tried to see what was happening.

巨大な 蛇 だ 。 きょだいな|へび| テラテラ と 毒々しい 鮮緑 色 の 、 樫 の 木 の ように 太い 胴体 を 、 高々 と 宙 に くねら せ 、 その 巨大な 鎌 首 は 酔った ように 柱 と 柱 の 間 を 縫って 動き回って いた 。 ||どくどくしい|せんみどり|いろ||かし||き|||ふとい|どうたい||たかだか||ちゅう|||||きょだいな|かま|くび||よった||ちゅう||ちゅう||あいだ||ぬって|うごきまわって| A terra terra and a poisonous bright green, oak-tree-thick torso, twisted high in the air, and its giant sickle neck sewn between pillars as if drunk. ハリー は 身震い し 、 蛇 が こちら を 見たら 、 すぐに 目 を つぶろう と 身構えた その とき 、 ハリー は いったい 何 が 蛇 の 気 を 逸ら せて いた の か を 見た 。 ||みぶるい||へび||||みたら||め||||みがまえた||||||なん||へび||き||はやら||||||みた Harry shuddered, and when the snake looked at him, he immediately set himself to close his eyes, and Harry saw what was distracting the snake.

フォークス が 、 蛇 の 鎌 首 の 周り を 飛び回り 、 バジリスク は サーベル の ように 長く 鋭い 毒 牙 で 狂った ように 何度 も 空 を 噛んで いた 。 ||へび||かま|くび||まわり||とびまわり||||||ながく|するどい|どく|きば||くるった||なんど||から||かんで|

フォークス が 急 降下 した 。 ||きゅう|こうか| 長い 金色 の 嘴 が 何 か に ズブリ と 突き刺さり 、 急に 見え なく なった 。 ながい|きんいろ||くちばし||なん|||||つきささり|きゅうに|みえ|| A long golden beak pierced something and suddenly disappeared. その 途端 、 どす黒い 血 が 吹き出し ボタボタ と 床 に 降り注いだ 。 |とたん|どすぐろい|ち||ふきだし|||とこ||ふりそそいだ As soon as he did so, a gush of black blood came out and poured onto the floor. 毒 蛇 の 尾 が のたうち 、 あやうく ハリー を 打ち そうに なった 。 どく|へび||お||||||うち|そう に| The tail of the poisonous snake was about to hit Harry.

ハリー が 目 を 閉じる 間 も なり 蛇 は こちら を 振り向いた 。 ||め||とじる|あいだ|||へび||||ふりむいた As Harry closed his eyes, the snake turned around. ハリー は 真 正面 から 蛇 の 頭 を ―― そ して 、 その 目 を 見た 。 ||まこと|しょうめん||へび||あたま|||||め||みた Harry looked straight at the snake's head--and saw his eyes.

大きな 黄色い 球 の ような 目 は 、 両眼 と も 不死鳥 に 潰されて いた 。 おおきな|きいろい|たま|||め||りょうがん|||ふしちょう||つぶさ れて| The big yellow sphere-like eyes were crushed by phoenixes in both eyes. おびただしい 血 が 床 に 流れ 、 バジリスク は 苦 痚 に のたうち 回って いた 。 |ち||とこ||ながれ|||く||||まわって| Lots of blood spilled to the floor, and the basilisk was in pain.

「 違う !」 リドル が 叫ぶ 声 が 聞こえた 。 ちがう|||さけぶ|こえ||きこえた "No!" I heard Riddle screaming. 「 鳥 に かまう な ! ほって おけ ! 小僧 は 後ろ だ ! 匂い で わかる だろう ! 殺せ !」 ちょう||||||こぞう||うしろ||におい||||ころせ

盲目の 蛇 は 混乱 して 、 ふらふら して は いた が 、 まだ 危険だった 。 もうもくの|へび||こんらん||||||||きけんだった The blind snake was confused and fluttering, but still dangerous. フォークス が 蛇 の 頭上 を 輪 を 描き ながら 飛び 、 不思議な 旋律 を 歌い ながら バジリスク の 鱗 で 覆わ れた 鼻面 を あちこち 突 ついた 。 ||へび||ずじょう||りん||えがき||とび|ふしぎな|せんりつ||うたい||||うろこ||おおわ||はなづら|||つ| Forks flew over the snake's head in a ring, singing a mysterious tune and poking around the basilisk's scaled nose.

バジリスク の 潰れた 目 から は 、 ドクドク と 血 が 流れ 続けて いた 。 ||つぶれた|め|||||ち||ながれ|つづけて| 「 助けて 。 たすけて 助けて 。 たすけて 誰 か 、 誰 か !」 ハリー は 夢中で 口走った 。 だれ||だれ||||むちゅうで|くちばしった バジリスク の 尾 が 、 また 大きく 一 振り して 床 の 上 を 掃いた 。 ||お|||おおきく|ひと|ふり||とこ||うえ||はいた ハリー が 身 を かわした その とき 、 何 か 柔らかい もの が ハリー の 顔 に 当たった 。 ||み|||||なん||やわらかい|||||かお||あたった When Harry passed away, something soft hit Harry's face. バジリスク の 尾 が 、「 組 分け 帽子 」 を 吹き飛ばして ハリー の 腕 に 放って よこした のだ 。 ||お||くみ|わけ|ぼうし||ふきとばして|||うで||はなって|| The basilisk's tail blew off the "grouping hat" and threw it on Harry's arm. ハリー は それ を しっかり つかんだ 。 もう これ しか 残されて いない 。 |||のこさ れて| 最後 の 頼みの綱 だ 。 さいご||たのみのつな| ハリー は 帽子 を ぐ いっと かぶり 、 床 に ぴったり と 身 を 促せた 。 ||ぼうし|||||とこ||||み||うなが せた Harry put on his hat and urged him to fit snugly on the floor. その 頭上 を 掃く ように 、 バジリスク の 尾 が また 通り過ぎた 。 |ずじょう||はく||||お|||とおりすぎた The tail of the basilisk passed over his head like a sweep. 「 助けて ............ 助けて ......」 帽子 の 中 で しっかり と 目 を 閉じ 、 ハリー は 祈った 。 たすけて|たすけて|ぼうし||なか||||め||とじ|||いのった 「 お 願い 、 助けて 」 |ねがい|たすけて

答え は なかった 。 こたえ|| しかし 、 誰 か の 見え ない 手 が ぎゅっと 絞った か の ように 、 帽子 が 縮んだ 。 |だれ|||みえ||て|||しぼった||||ぼうし||ちぢんだ But the hat shrank, as if someone's invisible hand had squeezed tightly.

固くて ずしり と 重い もの が ハリー の 頭 の てっぺん に 落ちて きた 。 かたくて|||おもい|||||あたま||||おちて|

ハリー は 危うく ノックアウト さ れ そうに なり 、 目 から 火花 を 飛ばし ながら 、 ||あやうく|のっくあうと|||そう に||め||ひばな||とばし| Harry was almost knocked out, fluttering sparks from his eyes,

帽子 の てっぺん を つかんで ぐ いっと 脱いだ 。 ぼうし|||||||ぬいだ

何 か 長くて 固い もの が 手 に 触れた 。 なん||ながくて|かたい|||て||ふれた

帽子 の 中 から 、 眩 い 光 を 放つ 銀 の 剣 が 出て きた 。 ぼうし||なか||くら||ひかり||はなつ|ぎん||けん||でて| 柄 に は 卵 ほど も ある ルビー が 輝いて いる 。 え|||たまご||||るびー||かがやいて| A ruby, which is as big as an egg, is shining on the handle.

「 小童 を 殺せ ! 鳥 に かまう な ! 小童 は すぐ 後ろ だ ! 匂い だ ―― 嗅ぎ 出せ !」 しょう わらべ||ころせ|ちょう||||しょう わらべ|||うしろ||におい||かぎ|だせ "Kill the little child! Don't give a bird! The little child is right behind! It smells--Smell it!"

ハリー は すっくと 立って 身構えた 。 |||たって|みがまえた バジリスク は 胴体 を ハリー の 方 に 捻り ながら 柱 を 叩き つ け 、 とぐろ を くねら せ ながら 鎌 首 を もたげた 。 ||どうたい||||かた||ねじり||ちゅう||たたき||||||||かま|くび||

バジリスク の 頭 が ハリー 目がけて 落ちて くる 。 ||あたま|||めがけて|おちて| Basilisk's head falls towards Harry.

巨大な 両眼 から 血 を 流して いる の が 見える 。 きょだいな|りょうがん||ち||ながして||||みえる

丸ごと ハリー を 飲み込む ほど 大きく 口 を カツ と 開けて いる の が 見える 。 まるごと|||のみこむ||おおきく|くち||かつ||あけて||||みえる You can see that the mouth is open enough to swallow the whole Harry. ずらり と 並んだ 、 ハ リー の 剣 ほど 長い 鋭い 牙 が 、 ヌメヌメ と 毒々しく 光って ......。 ||ならんだ||||けん||ながい|するどい|きば||||どくどくしく|ひかって

バジリスク が やみくもに ハリー に 襲いかかって きた 。 |||||おそいかかって| ハリー は 危うく かわし 、 蛇 は 壁 に ぶつかった 。 ||あやうく||へび||かべ|| 再び 襲って きた 。 ふたたび|おそって| 今度 は 、 裂けた 舌 先 が ハリー の 脇腹 に 打ち 当たった 。 こんど||さけた|した|さき||||わきばら||うち|あたった

ハリー は 諸手 で 剣 を 、 高々 と 掲げた 。 ||もろて||けん||たかだか||かかげた 三 度 目 の 攻撃 は 、 狙い 違わ ず 、 まともに ハリー を 捉え て いた 。 みっ|たび|め||こうげき||ねらい|ちがわ|||||とらえ|| The third attack did not miss the aim and caught Harry decently.

ハリー は 全体 量 を 剣 に 乗せ 、 剣 の 鍔 まで 届く ほど 深く 、 毒 蛇 の 口 蓋 に ズブリ と 突き刺した 。 ||ぜんたい|りょう||けん||のせ|けん||つば||とどく||ふかく|どく|へび||くち|ふた||||つきさした Harry put the whole amount on the sword, deep enough to reach the brim of the sword, and pierced the snake's mouth with a stab.

生暖かい 血 が ハリー の 両腕 を どっぷり と 濡らした とき 、 肘 の すぐ 上 に 焼けつく ような 痚 み が 走った 。 なまあたたかい|ち||||りょううで||||ぬらした||ひじ|||うえ||やけつく|||||はしった When Harry's arms were drenched with warm blood, a burning sensation ran through his body just above the elbow. 長い 毒 牙 が 一 本 ハリー の 腕 に 突き刺さり 、 徐々に 深く 食い込んで 行く ところ だった 。 ながい|どく|きば||ひと|ほん|||うで||つきささり|じょじょに|ふかく|くいこんで|いく|| A long poisonous fang pierced Harry's arm, gradually and deeply digging into it. 毒 牙 の 破片 を ハリー の 腕 に 残した まま 牙 が 折れ 、 バジリスク は ドッと 横 様 に 床 に 倒れ 、 ヒクヒク と 痙攣 した 。 どく|きば||はへん||||うで||のこした||きば||おれ|||どっと|よこ|さま||とこ||たおれ|||けいれん|

ハリー は 壁 に もたれた まま 、 ズルズル と 崩れ落ちた 。 ||かべ||もた れた||ずるずる||くずれおちた 体中 に 毒 を 撒き散らして いる 牙 を しっかり つかみ 、 力 の かぎり ぐ いっと 引き抜いた 。 たいちゅう||どく||まきちらして||きば||||ちから|||||ひきぬいた I firmly grasped the fangs that scattered the poison all over my body and pulled them out as much as I could.

しかし 、 もう 遅 過ぎる こと は わかって いた 。 ||おそ|すぎる|||| 傷口 から ズキズキ と 、 灼熱 の 痚 み が ゆっくり 、 しかし 確実に 広がって いった 。 きずぐち||||しゃくねつ|||||||かくじつに|ひろがって|

牙 を 捨て 、 ローブ が 自分 の 血 で 染まって いく の を 見つめた とき から 、 もう ハリー の 目 は 霞 み はじめて いた 。 きば||すて|||じぶん||ち||そまって||||みつめた||||||め||かすみ|||

「 秘密の 部屋 」 が ぼんやり した 暗 色 の 渦 の 中 に 消え去り つつ あった 。 ひみつの|へや||||あん|いろ||うず||なか||きえさり|| The "secret room" was disappearing into a vague dark vortex. 真 紅 の 影 が スッ と 横切った 。 まこと|くれない||かげ||||よこぎった A crimson shadow crossed quickly. そして ハリー の 傍ら で カタカタ と 静かな 爪 音 が 聞こえた 。 |||かたわら||かたかた||しずかな|つめ|おと||きこえた 「 フォークス 」 ハリー は もつれる 舌 で 呟いた 。 ||||した||つぶやいた 「 君 は すばらしかった よ 、 フォークス 」 きみ||||

毒 蛇 の 牙 が 貫いた 腕 の 傷 に 、 フォークス が その 美しい 頭 を 預ける の を ハリー は 感じた 。 どく|へび||きば||つらぬいた|うで||きず|||||うつくしい|あたま||あずける|||||かんじた

足音 が 響く の が 聞こえ 、 ハリー の 前 に 暗い 影 が 立った 。 あしおと||ひびく|||きこえ|||ぜん||くらい|かげ||たった

「 ハリー ・ ポッター 、 君 は 死んだ 」 上 の 万 から リドル の 声 が した 。 ||きみ||しんだ|うえ||よろず||||こえ||

「 死んだ 。 しんだ ダンブルドア の 鳥 に さえ それ が わかる らしい 。 ||ちょう|||||| Even the birds of Dumbledore seem to know it. 鳥 が 何 を して いる か 、 見える かい 泣いて いる よ 」 ちょう||なん|||||みえる||ないて|| You can see what the bird is doing, you're crying. "

ハリー は 瞬き した 。 ||まばたき| フォークス の 頭 が 一瞬 はっきり 見え 、 すぐ また ぼやけた 。 ||あたま||いっしゅん||みえ||| 真珠 の ような 涙 が ポロポロ と 、 その つや や かな 羽毛 を 伝って 滴り 落ちて いた 。 しんじゅ|||なみだ||ぽろぽろ||||||うもう||つたって|したたり|おちて|

「 ハリー ・ ポッター 、 僕 は ここ に 座って 、 君 の 臨終 を 見物 さ せて もらおう 。 ||ぼく||||すわって|きみ||りんじゅう||けんぶつ||| "Harry Potter, I'll sit here and see your death. ゆっくり やって れ 。 僕 は 急ぎ は し ない 」 ぼく||いそぎ|||

ハリー は 眠かった 。 ||ねむかった Harry was sleepy. 周り の もの が すべて クルクル と 回って いる ようだった 。 まわり|||||くるくる||まわって|| 「 これ で 有名な ハリー ・ ポッター も おしまい だ 」 遠く の 方 で リドル の 声 が する 。 ||ゆうめいな||||||とおく||かた||||こえ||

「 たった 一 人 、『 秘密の 部屋 』 で 、 友人 に も 見捨てられ 、 愚かに も 挑戦 した 闇 の 帝王 に 、 遂 に 敗北 して 。 |ひと|じん|ひみつの|へや||ゆうじん|||みすて られ|おろかに||ちょうせん||やみ||ていおう||すい||はいぼく| "Only one person, in the'Secret Room', was finally defeated by the Emperor of Darkness, who was abandoned by his friends and foolishly challenged. もう すぐ 、『 穣 れた 血 』 の 恋しい 母親 の 元 に 戻れる よ 、 ハリー ......。 ||みのる||ち||こいしい|ははおや||もと||もどれる|| Soon, I'll be back to my missed mother in "Blood Blood", Harry ... 君 の 命 を 、 十二 年 延ばした だけ だった 母親 に ...... しかし 、 ヴォルデモート 卿 は 結局 君 の 息の根 を 止めた 。 きみ||いのち||じゅうに|とし|のばした|||ははおや||||きょう||けっきょく|きみ||いきのね||とどめた そう なる こと は 、 君 も わかって いた はずだ 」 ||||きみ||||

―― これ が 死ぬ と いう こと なら 、 あんまり 悪く ない ―― ハリー は 思った 。 ||しぬ||||||わるく||||おもった -- If this means I'm going to die, that can't be too bad, Harry thought. 痚 み さえ 薄らいで いく ...... |||うすらいで| Even the itch is fading ...

しかし 、 これ が 死ぬ と いう こと な の か ? 真っ暗闇に なる どころ か 、『 秘密の 部屋 』 が また はっきり と 見え 出した 。 |||しぬ|||||||まっくらやみに||||ひみつの|へや|||||みえ|だした But does this mean that he will die? Far from being pitch black, the "secret room" is clearly visible again.

ハリー は 頭 を プルプル ッと 振って みた 。 ||あたま|||ッ と|ふって| Harry shook his head.

フォークス が そこ に いた 。 ハリー の 腕 に その 頭 を 休めた まま だ 。 ||うで|||あたま||やすめた||

傷口 の 周り が 、 ぐるり と 真珠 の ような 涙 で 覆われて いた ―― しかも 、 その 傷 さえ 消えて い る 。 きずぐち||まわり||||しんじゅ|||なみだ||おおわ れて||||きず||きえて|| The area around the wound was covered with tears like pearls-and even the wound had disappeared. 「 鳥 め 、 どけ 」 突然 リドル の 声 が した 。 ちょう|||とつぜん|||こえ|| Bird, get out of the way! Suddenly, I heard Riddle's voice.

「 そいつ から 離れろ 。 そい つ||はなれろ Stay away from him. 聞こえ ない の か 。 きこえ||| どけ !」

ハリー が 頭 を 起こす と 、 リドル が ハリー の 杖 を フォークス に 向けて いた 。 ||あたま||おこす||||||つえ||||むけて|

鉄砲 の ような バーン と いう 音 が して 、 フォークス は 金色 と 真 紅 の 輪 を 描き ながら 、 再び 舞い 上がった 。 てっぽう||||||おと|||||きんいろ||まこと|くれない||りん||えがき||ふたたび|まい|あがった With the sound of a scissor-like burn, Forks soared again, drawing a ring of gold and crimson.

「 不死鳥 の 涙 ......」 リドル が 、 ハリー の 腕 を じっと 見つめ ながら 低い 声 で 言った 。 ふしちょう||なみだ|||||うで|||みつめ||ひくい|こえ||いった 「 そうだ ...... 癒し の 力 ...... 忘れて いた ......」 リドル は ハリー の 顔 を じっと 見た 。 そう だ|いやし||ちから|わすれて||||||かお|||みた

「 しかし 、 結果 は 同じだ 。 |けっか||おなじだ むしろ この 方 が いい 。 ||かた|| 一 対 一 だ 。 ひと|たい|ひと| One on one. ハリー ・ ポッター ...... 二 人 だけ の 勝負 だ ......」 リドル が 杖 を 振り上げた 。 ||ふた|じん|||しょうぶ||||つえ||ふりあげた

激しい 羽音 と ともに 、 フォークス が 頭上 に 舞い戻って 、 ハリー の 膝 に 何 か を ポトリ と 落とし た ―― 日記 だ 。 はげしい|はおと|||||ずじょう||まいもどって|||ひざ||なん|||||おとし||にっき| Along with the violent humming, Forks flew back overhead and dropped something on Harry's lap--a diary.

ほんの 一瞬 、 ハリー も 杖 を 振り上げた まま の リドル も 、 日記 を 見つめた 。 |いっしゅん|||つえ||ふりあげた|||||にっき||みつめた

そして 、 何も 考え ず 、 ためらい も せず 、 まるで 初め から そう する つもりだった か の ように 、 ハリー は そば に 落ちて いた バジリスク の 牙 を つかみ 、 日記 帳 の 真芯 に ズブリ と 突き 立てた 。 |なにも|かんがえ||||せ ず||はじめ||||||||||||おちて||||きば|||にっき|ちょう||ま しん||||つき|たてた

恐ろしい 、 耳 を つんざく ような 悲鳴 が 長々 と 響いた 。 おそろしい|みみ||||ひめい||ながなが||ひびいた A terrifying, deafening scream echoed for a long time. 日記帳 から インク が 激流 の ように ほ と ば しり 、 ハリー の 手 の 上 を 流れ 、 床 を 浸した 。 にっき ちょう||いんく||げきりゅう|||||||||て||うえ||ながれ|とこ||ひたした Ink spilled from the diary like a torrent, flowing over Harry's hands and immersing the floor. リドル は 身 を 振り 、 悶え 、 悲鳴 を あげ ながら のたうち 回って ...... 消えた 。 ||み||ふり|もだえ|ひめい|||||まわって|きえた