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2 - Harry Potter, 13.2.2 重大秘密の日記 - The Very Secret Diary

13.2.2 重大 秘密の 日記 - The Very Secret Diary

ハリー は 両足 が 固い 地面 に 触れた ような 気 が して 、 震え ながら 立ち上がった 。

すると 周り の ぼんやり した 物 影 が 、 突然 はっきり 見える ように なった 。

自分 が どこ に いる の か 、 ハリー に は すぐ わかった 。

居眠り 肖僕 画 の かかって いる 円形 の 部屋 は ダンブルドア の 校長 室 だ ―― しかし 、 机 の むこう に 座って いる の は ダンブルドア で は なかった 。

皺 くちゃ で 弱々しい 小柄な 老人 が 、 パラパラ と 白髪 の 残る 禿頭 を 見せて 、 蝋燭 の 灯り で 手紙 を 読んで いた 。

ハリー が 一 度 も 会った こと の ない 魔法使い だった 。

「 すみません 」 ハリー は 震える 声 で 言った 。

「 突然 お邪魔 する つもり は なかった んです が ......」

しかし 、 その 魔法使い は 下 を 向いた まま 、 尐 し 眉 を ひそめて 読み 続けて いる 。

ハリー は 尐 し 机 に 近づき 、 突っかえ ながら 言った 。 「 あの ー 、 僕 、 すぐに 失礼 した 方 が ?」

それ でも 無視 さ れ 続けた 。 どうも ハリー の 言う こと が 聞こえて さえ いない ようだ 。 耳 が 違い かも しれ ない と 思い 、 ハリー は 声 を 張りあげた 。

「 お邪魔 して すみません でした 。 すぐ 失礼 します 」 ほとんど 怒鳴る ように 言った 。 その 魔法使い は ため息 を ついて 、 羊 皮 紙 の 手紙 を 丸め 、 立ち上がり 、 ハリー に は 目 も くれ ず に そば を 通り過ぎて 、 窓 の カーテン を 閉めた 。

窓 の 外 は ルビー の ように 真っ赤な 空 だった 。 夕 陽 が 沈む ところ らしい 。 老人 は 机 に 戻って 椅 子 に 腰掛け 、 手 を 組み 、 親指 を もてあそび ながら 入口 の 扉 を 見つめて いた 。

ハリー は 部屋 を 見回した 。 不死鳥 の フォークス も いない 。 クルクル 回る 銀 の 仕掛け 装置 も ない 。 これ は リドル の 記憶 の 中 の ホグワーツ だ 。 つまり ダンブルドア で は なく 、 この 見知らぬ 魔法使い が 校長 な んだ 。 そして 自分 は せいぜい 幻 みたいな 存在 で 、 五十 年 前 の 人 たち に は まったく 見え ない のだ 。 誰 か が 扉 を ノック した 。

「 お 入り 」 老人 が 弱々しい 声 で 言った 。

十六 歳 ぐらい の 尐年 が 入って きて 、 三角 帽子 を 脱いだ 。 銀色 の 監督 生 バッジ が 胸 に 光って い る 。 ハリー より ずっと 背 が 高かった が 、 この 尐年 も 真っ黒 の 髪 だった 。

「 ああ 、 リドル か 」 校長 先生 は 言った 。

「 ディペット 先生 、 何 かご 用 でしょう か ?」 リドル は 緊張 して いる ようだった 。

「 お 座り なさい 。 ちょうど 君 が くれた 手紙 を 読んだ ところ じゃ 」

「 あぁ 」 と 言って リドル は 座った 。 両手 を 固く 握り合わ せて いる 。

「 リドル 君 」 ディペット 先生 が やさしく 言った 。

「 夏 休み の 間 、 学校 に 置いて あげる こと は でき ない んじゃ よ 。 休暇 に は 、 家 に 帰りたい じゃ ろう ?」 「 いいえ 」 リドル が 即座に 答えた 。 「 僕 は むしろ ホグワーツ に 残りたい んです 。 その ―― あそこ に 帰る より ――」

「 君 は 休暇 中 は マグル の 孤児院 で 過ごす と 聞いて おる が ?」

ディペット は 興味深 げ に 尋ねた 。

「 はい 、 先生 」 リドル は 尐 し 赤く なった 。

「 君 は マグル 出身 かね ?」

「 ハーフ です 。 父 は マグル で 、 母 が 魔女 です 」

「 それ で ―― ご 両親 は ?」

「 母 は 僕 が 生まれて 間もなく 亡くなりました 。 僕 に 名前 を 付ける と すぐに 。 孤児院 で そう 聞 きました 。 父 の 名 を 取って トム 、 祖父 の 名 を 取って マールヴォロ です 」

ディペット 先生 は なんとも 痚 ま しい と いう ように 領 いた 。

「 しかし じゃ 、 トム 」 先生 は ため息 を ついた 。

「 特別の 措置 を 取ろう と 思って おった が 、 しかし 、 今 の この 状況 で は ......」

「 先生 、 襲撃 事件 の こと でしょう か ?」 リドル が たずねた 。

ハリー の 心臓 が 躍り上がった 。 一言 も 聞き漏らす まい と 、 近く に 寄った 。

「 その 通り じゃ 。 わかる じゃ ろう ? 学期 が 終わった あと 、 君 が この 城 に 残る の を 許す の は 、 どんなに 愚か しい こと か 。 特に 、 先日 の あの 悲しい 出来事 を 考える と ......。

かわいそうに 、 女子 学生 が 一 人 死んで しも うた ......。 孤児院 に 戻って いた 方 が ずっと 安全な んじゃ よ 。 実 を 言う と 、 魔法 省 は 今や 、 この 学校 を 閉鎖 する こと さえ 考えて おる 。 我々 は そ の 一連の 不愉快な 事件 の 怪 ―― ア 一 ―― 源 を 突き止める こと が でき ん ......」

リドル は 目 を 大きく 見開いた 。 「 先生 ―― もし その 何者 か が 捕まったら ...... もし 事件 が 起こら なく なったら ......」 「 どういう 意味 かね !」 ディペット 先生 は 椅子 に 座り 直し 、 身 を 起こして 上ずった 声 で 言った 。 「 リドル 、 何 か この 襲撃 事件 に ついて 知っている と でも 言う の か ね ?」 「 いいえ 、 先生 」 リドル が 慌てて 答えた 。

ハリー に は この 「 いいえ 」 が 、 ハリー 自身 が ダンブルドア に 答えた 「 いいえ 」 と 同じだ 、 と すぐ わかった 。

失望 の 色 を 浮かべ ながら 、 ディペット 先生 は また 椅子 に 座り込んだ 。

「 トム 、 もう 行って よろしい ......」 リドル は スッ と 椅子 から 立ち上がり 、 重い 足取り で 部屋 を 出た 。 ハリー は あと を ついて行った 。

動く 螺旋 階段 を 降り 、 二 人 は 廊下 の ガーゴイル 飾り の 脇 に 出た 。 暗く なり かけて いた 。 リド ル が 立ち止まった ので ハリー も 止まって 、 リドル を 見つめた 。

リドル が 何 か 深刻な 考え 事 を して いる の が ハリー に も よく わかった 。

リドル は 唇 を 噛み 、 額 に 皺 を 寄せて いる 。

それ から 突然 何事 か 決心 した か の ように 、 急いで 歩き 出した 。

ハリー は 音 も なり 滑る ように リドル に ついて行った 。

玄関 ホール まで 誰 に も 会わ なかった が 、 そこ で 、 長い ふさふさ した とび色 の 髪 と 髭 を 蓄えた 背 の 高い 魔法使い が 、 大理石 の 階段 の 上 から リドル を 呼び止めた 。

「 トム 、 こんな 遅く に 歩き回って 、 何 を して いる の か ね ?」

ハリー は その 魔法使い を じっと 見た 。 今 より 五十 歳 若い ダンブルドア に まちがい ない 。

「 はい 、 先生 、 校長 先生 に 呼ば れました ので 」 リドル が 言った 。 「 それでは 、 早く ベッド に 戻り なさい 」

ダンブルドア は 、 ハリー が よく 知っている 、 あの 心 の 中 まで 見通す ような まなざし で リドル を 見つめた 。

「 このごろ は 廊下 を 歩き回ら ない 方 が よい 。 例の 事件 以来 ......」

ダンブルドア は 大きく ため息 を つき 、 リドル に 「 お やすみ 」 と 言って 、 その 場 を 立ち去った 。 リドル は その 姿 が 見え なり なる まで 見て いた が 、 それ から 急いで 石段 を 下り 、 まっすぐ 地下 牢 に 向かった 。 ハリー も 必死に 追跡 した 。

しかし 残念な こと に 、 リドル は 隠れた 通路 や 、 秘密の トンネル に 行った ので は なく 、 スネイ プ が 魔法 薬学 の 授業 で 使う 地下 牢教 室 に 入った 。

松明 は 点いて い なかった し 、 リドル が 教室 の ドア を ほとんど 完全に 閉めて しまった ので 、 ハ リー に は リドル の 姿 が やっと 見える だけ だった 。 リドル は ドア の 陰 に 立って 身 じ ろ ぎ も せ ず 、 外 の 通路 に 目 を 凝らして いる 。

尐 なく と も 一 時間 は そう して いた ような 気 が する 。

ハリー の 目 に は 、 ドア の 隙間 から 目 を 凝らし 、 銅 僕 の ように じっと 何 か を 待って いる リドル の 姿 が 見える だけ だった 。 期待 も 萎え 、 緊張 も 緩み かけ 「 現在 」 に 戻りたい と 思い はじめた ちょうど その とき 、 ドア の むこうで 何 か が 動く 気配 が した 。 誰 か が 忍び足 で 通路 を 歩いて きた 。

いったい 誰 な の か 、 リドル と 自分 が 隠れて いる 地下 牢教 室 の 前 を 通り過ぎる 音 が した 。

リドル は まるで 影 の ように 静かに 、 す るり と ドア から にじ り 出て あと を つけた 。

ハリー も 誰 に も 聞こえる はず が ない こと を 忘れて 、 抜き 足 差し 足 で リドル の あと に 続いた 。

五 分 も たったろう か 。

二 人 は その 足音 に ついて 歩いた が 、 リドル が 急に 止まって 、 何 か 別の 物音 の する 方角 に 顔 を 向けた 。

ドア が ギーッ と 開き 、 誰 か が しゃが れ 声 で ささやいて いる の が 、 ハリー の 耳 に 聞こえて き た 。

「 おいで ...... おまえ さん を こっか ら 出さ なきゃ な ん ねえ ...... さあ 、 こっち へ ...... この 箱 の 中 に ......」

なんとなく 聞き覚え が ある 声 だった 。

リドル が 物陰 から 突然 飛び出した 。 ハリー も あと に ついて 出た 。

ど で かい 尐年 の 暗い 影 の ような 輪郭 が 見えた 。

大きな 箱 を 傍ら に 置き 、 開け 放した ドア の 前 に しゃがみ込んで いる 。

「 こんばんは 、 ルビウス 」 リドル が 鋭く 言った 。

尐年 は ドア を バタン と 閉めて 立ち上がった 。

「 トム 。 こんな ところ で おまえ 、 なん して る ?」

リドル が 一 歩 近寄った 。 「 観念 する んだ 」 リドル が 言った 。

「 ルビウス 、 僕 は 君 を 突き出す つもりだ 。 襲撃 事件 が やま なければ 、 ホグワーツ 校 が 閉鎖 さ れる 話 まで 出て いる んだ 」

「 なん が 言 いて え の か ――」

「 君 が 誰 か を 殺そう と した と は 思わ ない 。 だけど 怪物 は 、 ペット と して ふさわしく ない 。 君 は 運動 さ せよう と して 、 ちょっと 放した んだろう が 、 それ が ――」

「 こいつ は 誰 も 殺して ねぇ !」

で かい 尐年 は 今 、 閉めた ばかりの ドア の 方 へ あとずさり した 。

その 尐年 の 背後 から 、 ガサゴソ 、 カチカチ と 奇妙な 音 が した 。

「 さあ 、 ルビウス 」 リドル は もう 一 歩 詰め寄った 。

「 死んだ 女子 学生 の ご 両親 が 、 明日 学校 に 来る 。 娘 さん を 殺した やつ を 、 確実に 始末 する こ と 。 学校 と して 、 尐 なく と も それ だけ は できる 」

「 こいつ が やった んじゃ ねぇ !」 尐年 が 喚 く 声 が 暗い 通路 に こだま した 。

「 こいつ に できる はず ねぇ ! 絶対 やっちゃ い ねぇ !」

「 ど いて くれ 」 リドル は 杖 を 取り出した 。

リドル の 呪文 は 突然 燃える ような 光 で 廊下 を 照らした 。

ど で かい 尐年 の 背後 の ドア が ものすごい 勢い で 開き 、 尐年 は 反対 側 の 壁 まで 吹っ飛ば さ れ た 。 中 から 出て きた 物 を 見た 途端 、 ハリー は 思わず 鋭い 悲鳴 を もらした ―― 自分 に しか 聞こ え ない 長い 悲鳴 を ――。

毛 むくじゃ ら の 巨大な 胴体 が 、 低い 位置 に 吊り下げられて いる 。 絡み合った 黒い 脚 、 ギラギラ 光る たくさんの 眼 、 剃刀 の ように 鋭い 鋏 。

リドル が もう 一 度 杖 を 振り上げた が 、 遅かった 。 その 生物 は リドル を 突き 転がし 、 ガサゴソ と 大急ぎで 廊下 を 逃げて 行き 、 姿 を 消した 。 リドル は 素早く 起き上がり 、 後ろ姿 を 目 で 追 い 、 杖 を 振り上げた 。

「 やめろ お おお おお おお !」 ど で かい 尐年 が リドル に 飛びかかり 、 杖 を 引った くり 、 リドル を また 投げ飛ばした 。 場面 が グルグル 旋回 し 、 真っ暗闇に なった 。 ハリー は 自分 が 落ちて 行く の を 感じた 、 そし て 、 ドサリ と 着地 した 。

ハリー は 、 グリフィンドール の 寝室 の 天 蓋付 き ベッド の 上 に 大 の 字 に なって いた 。

リドル の 日記 は 腹 の 上 に 開いた まま 乗って いた 。

息 を 弾ま せて いる 最中 に 、 寝室 の 戸 が 開いて ロン が 入って きた 。

「 ここ に いた の か 」 と ロン 。

ハリー は 起き上がった 。 汗 びっしょり で ブルブル 震えて いた 。

「 どうした の !」 と ロン が 心配 そうに 聞いた 。

「 ロン 、 ハグリッド だった んだ 。 五十 年 前 に 『 秘密の 部屋 』 の 扉 を 開けた の は 、 ハグリッド だった んだ !」

13.2.2 重大 秘密の 日記 - The Very Secret Diary じゅうだい|ひみつの|にっき|the|very|secret|diary 13.2.2 Das sehr geheime Tagebuch 13.2.2 The Very Secret Diary 13.2.2 Le journal très secret 13.2.2 Il Diario Segretissimo 13.2.2 Bardzo tajny dziennik 13.2.2 Den mycket hemliga dagboken 13.2.2 非常秘密的日記

ハリー は 両足 が 固い 地面 に 触れた ような 気 が して 、 震え ながら 立ち上がった 。 ||りょうあし||かたい|じめん||ふれた||き|||ふるえ||たちあがった Harry felt his feet touch the hard ground and stood up, shaking.

すると 周り の ぼんやり した 物 影 が 、 突然 はっきり 見える ように なった 。 |まわり||||ぶつ|かげ||とつぜん||みえる|| Then, the vague shadows around me suddenly became clearly visible.

自分 が どこ に いる の か 、 ハリー に は すぐ わかった 。 じぶん||||||||||| Harry knew immediately where he was.

居眠り 肖僕 画 の かかって いる 円形 の 部屋 は ダンブルドア の 校長 室 だ ―― しかし 、 机 の むこう に 座って いる の は ダンブルドア で は なかった 。 いねむり|しょうぼく|が||||えんけい||へや||||こうちょう|しつ|||つくえ||||すわって||||||| Doze Xiao I The circular room with the picture is Dumbledore's principal's room-but it wasn't Dumbledore who was sitting behind the desk.

皺 くちゃ で 弱々しい 小柄な 老人 が 、 パラパラ と 白髪 の 残る 禿頭 を 見せて 、 蝋燭 の 灯り で 手紙 を 読んで いた 。 しわ|||よわよわしい|こがらな|ろうじん||ぱらぱら||しらが||のこる|とくとう||みせて|ろうそく||ともり||てがみ||よんで| A wrinkled, weak, petite old man was reading a letter with a candlelight, showing a bald head with fluttering and white hair.

ハリー が 一 度 も 会った こと の ない 魔法使い だった 。 ||ひと|たび||あった||||まほうつかい| Harry was a witch he had never met.

「 すみません 」 ハリー は 震える 声 で 言った 。 |||ふるえる|こえ||いった

「 突然 お邪魔 する つもり は なかった んです が ......」 とつぜん|おじゃま|||||| "I didn't mean to intrude so abruptly, but ......"

しかし 、 その 魔法使い は 下 を 向いた まま 、 尐 し 眉 を ひそめて 読み 続けて いる 。 ||まほうつかい||した||むいた||||まゆ|||よみ|つづけて| However, the Wizard looks down, scowls slightly, and continues reading.

ハリー は 尐 し 机 に 近づき 、 突っかえ ながら 言った 。 ||||つくえ||ちかづき|つ っ かえ||いった 「 あの ー 、 僕 、 すぐに 失礼 した 方 が ?」 |-|ぼく||しつれい||かた| "Ah, I'm sorry, who should be rude right away?"

それ でも 無視 さ れ 続けた 。 ||むし|||つづけた But they kept ignoring me. どうも ハリー の 言う こと が 聞こえて さえ いない ようだ 。 |||いう|||きこえて||| Apparently, they can't even hear what Harry is saying. 耳 が 違い かも しれ ない と 思い 、 ハリー は 声 を 張りあげた 。 みみ||ちがい|||||おもい|||こえ||はりあげた Thinking he might be hearing things wrong, Harry raised his voice.

「 お邪魔 して すみません でした 。 おじゃま||| すぐ 失礼 します 」 ほとんど 怒鳴る ように 言った 。 |しつれい|し ます||どなる||いった その 魔法使い は ため息 を ついて 、 羊 皮 紙 の 手紙 を 丸め 、 立ち上がり 、 ハリー に は 目 も くれ ず に そば を 通り過ぎて 、 窓 の カーテン を 閉めた 。 |まほうつかい||ためいき|||ひつじ|かわ|かみ||てがみ||まるめ|たちあがり||||め|||||||とおりすぎて|まど||かーてん||しめた The wizard sighed, rolled a letter of sheepskin, stood up, passed by Harry without even looking, and closed the window curtain.

窓 の 外 は ルビー の ように 真っ赤な 空 だった 。 まど||がい||るびー|||まっかな|から| 夕 陽 が 沈む ところ らしい 。 ゆう|よう||しずむ|| 老人 は 机 に 戻って 椅 子 に 腰掛け 、 手 を 組み 、 親指 を もてあそび ながら 入口 の 扉 を 見つめて いた 。 ろうじん||つくえ||もどって|い|こ||こしかけ|て||くみ|おやゆび||||いりぐち||とびら||みつめて|

ハリー は 部屋 を 見回した 。 ||へや||みまわした 不死鳥 の フォークス も いない 。 ふしちょう|||| クルクル 回る 銀 の 仕掛け 装置 も ない 。 くるくる|まわる|ぎん||しかけ|そうち|| There is no silver gimmick that spins around. これ は リドル の 記憶 の 中 の ホグワーツ だ 。 ||||きおく||なか||| つまり ダンブルドア で は なく 、 この 見知らぬ 魔法使い が 校長 な んだ 。 ||||||みしらぬ|まほうつかい||こうちょう|| そして 自分 は せいぜい 幻 みたいな 存在 で 、 五十 年 前 の 人 たち に は まったく 見え ない のだ 。 |じぶん|||まぼろし||そんざい||ごじゅう|とし|ぜん||じん|||||みえ|| And I was, at best, a phantom, invisible to the people of fifty years ago. 誰 か が 扉 を ノック した 。 だれ|||とびら|||

「 お 入り 」 老人 が 弱々しい 声 で 言った 。 |はいり|ろうじん||よわよわしい|こえ||いった

十六 歳 ぐらい の 尐年 が 入って きて 、 三角 帽子 を 脱いだ 。 じゅうろく|さい|||尐ねん||はいって||さんかく|ぼうし||ぬいだ 銀色 の 監督 生 バッジ が 胸 に 光って い る 。 ぎんいろ||かんとく|せい|ばっじ||むね||ひかって|| ハリー より ずっと 背 が 高かった が 、 この 尐年 も 真っ黒 の 髪 だった 。 |||せ||たかかった|||尐ねん||まっくろ||かみ|

「 ああ 、 リドル か 」 校長 先生 は 言った 。 |||こうちょう|せんせい||いった

「 ディペット 先生 、 何 かご 用 でしょう か ?」 リドル は 緊張 して いる ようだった 。 |せんせい|なん||よう|||||きんちょう||| "Mr. Dippet, can I help you? Riddle seemed nervous.

「 お 座り なさい 。 |すわり| ちょうど 君 が くれた 手紙 を 読んだ ところ じゃ 」 |きみ|||てがみ||よんだ||

「 あぁ 」 と 言って リドル は 座った 。 ||いって|||すわった 両手 を 固く 握り合わ せて いる 。 りょうて||かたく|にぎりあわ|| Both hands are clasped tightly together.

「 リドル 君 」 ディペット 先生 が やさしく 言った 。 |きみ||せんせい|||いった

「 夏 休み の 間 、 学校 に 置いて あげる こと は でき ない んじゃ よ 。 なつ|やすみ||あいだ|がっこう||おいて||||||| "During the summer vacation, you can't leave it at school. 休暇 に は 、 家 に 帰りたい じゃ ろう ?」 「 いいえ 」 リドル が 即座に 答えた 。 きゅうか|||いえ||かえり たい||||||そくざに|こたえた You want to go home for the vacations, don't you? 「 僕 は むしろ ホグワーツ に 残りたい んです 。 ぼく|||||のこり たい| その ―― あそこ に 帰る より ――」 |||かえる| I'd rather go back there than..."

「 君 は 休暇 中 は マグル の 孤児院 で 過ごす と 聞いて おる が ?」 きみ||きゅうか|なか||||こじいん||すごす||きいて|| "I heard you spend your vacation in an orphanage in Muggle?"

ディペット は 興味深 げ に 尋ねた 。 ||きょうみぶか|||たずねた

「 はい 、 先生 」 リドル は 尐 し 赤く なった 。 |せんせい|||||あかく|

「 君 は マグル 出身 かね ?」 きみ|||しゅっしん|

「 ハーフ です 。 はーふ| 父 は マグル で 、 母 が 魔女 です 」 ちち||||はは||まじょ|

「 それ で ―― ご 両親 は ?」 |||りょうしん|

「 母 は 僕 が 生まれて 間もなく 亡くなりました 。 はは||ぼく||うまれて|まもなく|なくなり ました 僕 に 名前 を 付ける と すぐに 。 ぼく||なまえ||つける|| 孤児院 で そう 聞 きました 。 こじいん|||き|き ました I heard that at the orphanage. 父 の 名 を 取って トム 、 祖父 の 名 を 取って マールヴォロ です 」 ちち||な||とって|とむ|そふ||な||とって|| I was named after my father, Tom, and after my grandfather, Marvolo."

ディペット 先生 は なんとも 痚 ま しい と いう ように 領 いた 。 |せんせい|||||||||りょう| Dippet found this to be very interesting.

「 しかし じゃ 、 トム 」 先生 は ため息 を ついた 。 ||とむ|せんせい||ためいき|| But then, Tom," he sighed.

「 特別の 措置 を 取ろう と 思って おった が 、 しかし 、 今 の この 状況 で は ......」 とくべつの|そち||とろう||おもって||||いま|||じょうきょう|| "I was going to take special measures, but the way things are going right now, I can't ......"

「 先生 、 襲撃 事件 の こと でしょう か ?」 リドル が たずねた 。 せんせい|しゅうげき|じけん||||||| "Doctor, are you referring to the attack? Riddle asked.

ハリー の 心臓 が 躍り上がった 。 ||しんぞう||おどりあがった 一言 も 聞き漏らす まい と 、 近く に 寄った 。 いちげん||ききもらす|||ちかく||よった Not wanting to miss a single word, I moved closer.

「 その 通り じゃ 。 |とおり| わかる じゃ ろう ? 学期 が 終わった あと 、 君 が この 城 に 残る の を 許す の は 、 どんなに 愚か しい こと か 。 |||がっき||おわった||きみ|||しろ||のこる|||ゆるす||||おろか||| You see? How foolish it is to allow you to stay in this castle after the semester is over. 特に 、 先日 の あの 悲しい 出来事 を 考える と ......。 とくに|せんじつ|||かなしい|できごと||かんがえる| Especially considering the sad events of the other day. ......

かわいそうに 、 女子 学生 が 一 人 死んで しも うた ......。 |じょし|がくせい||ひと|じん|しんで|| Poor girl, one of the students died. ...... 孤児院 に 戻って いた 方 が ずっと 安全な んじゃ よ 。 こじいん||もどって||かた|||あんぜんな|| 実 を 言う と 、 魔法 省 は 今や 、 この 学校 を 閉鎖 する こと さえ 考えて おる 。 み||いう||まほう|しょう||いまや||がっこう||へいさ||||かんがえて| 我々 は そ の 一連の 不愉快な 事件 の 怪 ―― ア 一 ―― 源 を 突き止める こと が でき ん ......」 われわれ||||いちれんの|ふゆかいな|じけん||かい||ひと|げん||つきとめる|||| We are unable to locate the source of the mystery of that series of unpleasant incidents. ......"

リドル は 目 を 大きく 見開いた 。 ||め||おおきく|みひらいた 「 先生 ―― もし その 何者 か が 捕まったら ...... もし 事件 が 起こら なく なったら ......」 「 どういう 意味 かね !」 ディペット 先生 は 椅子 に 座り 直し 、 身 を 起こして 上ずった 声 で 言った 。 せんせい|||なにもの|||つかまったら||じけん||おこら||||いみ|||せんせい||いす||すわり|なおし|み||おこして|うわずった|こえ||いった "Sir -- if that something is caught, ...... If the case goes away: ...... What do you mean? Dippet sat up in his chair, raised himself, and said in a raised voice, "What do you mean? 「 リドル 、 何 か この 襲撃 事件 に ついて 知っている と でも 言う の か ね ?」 「 いいえ 、 先生 」 リドル が 慌てて 答えた 。 |なん|||しゅうげき|じけん|||しっている|||いう|||||せんせい|||あわてて|こたえた Riddle, are you suggesting that you know something about this attack?

ハリー に は この 「 いいえ 」 が 、 ハリー 自身 が ダンブルドア に 答えた 「 いいえ 」 と 同じだ 、 と すぐ わかった 。 |||||||じしん||||こたえた|||おなじだ||| Harry quickly realized that this "no" was the same as Harry's own answer to Dumbledore.

失望 の 色 を 浮かべ ながら 、 ディペット 先生 は また 椅子 に 座り込んだ 。 しつぼう||いろ||うかべ|||せんせい|||いす||すわりこんだ With a look of disappointment on his face, Mr. Dippet sat down in his chair again.

「 トム 、 もう 行って よろしい ......」 リドル は スッ と 椅子 から 立ち上がり 、 重い 足取り で 部屋 を 出た 。 とむ||おこなって||||||いす||たちあがり|おもい|あしどり||へや||でた "Tom, you're all right ..." Riddle quickly got up from his chair and left the room with a heavy footstep. ハリー は あと を ついて行った 。 ||||ついていった

動く 螺旋 階段 を 降り 、 二 人 は 廊下 の ガーゴイル 飾り の 脇 に 出た 。 うごく|らせん|かいだん||ふり|ふた|じん||ろうか|||かざり||わき||でた They descended the moving spiral staircase and stepped out into the hallway by the gargoyle decorations. 暗く なり かけて いた 。 くらく||| It was getting dark. リド ル が 立ち止まった ので ハリー も 止まって 、 リドル を 見つめた 。 |||たちどまった||||とまって|||みつめた As Riddle stopped, Harry also stopped and stared at Riddle.

リドル が 何 か 深刻な 考え 事 を して いる の が ハリー に も よく わかった 。 ||なん||しんこくな|かんがえ|こと|||||||||| Harry could tell that Riddle was having some serious thoughts.

リドル は 唇 を 噛み 、 額 に 皺 を 寄せて いる 。 ||くちびる||かみ|がく||しわ||よせて| Riddle bites his lip and wrinkles his forehead.

それ から 突然 何事 か 決心 した か の ように 、 急いで 歩き 出した 。 ||とつぜん|なにごと||けっしん|||||いそいで|あるき|だした

ハリー は 音 も なり 滑る ように リドル に ついて行った 。 ||おと|||すべる||||ついていった Harry followed the riddle as it made noise and glided along.

玄関 ホール まで 誰 に も 会わ なかった が 、 そこ で 、 長い ふさふさ した とび色 の 髪 と 髭 を 蓄えた 背 の 高い 魔法使い が 、 大理石 の 階段 の 上 から リドル を 呼び止めた 。 げんかん|ほーる||だれ|||あわ|||||ながい|||とびいろ||かみ||ひげ||たくわえた|せ||たかい|まほうつかい||だいりせき||かいだん||うえ||||よびとめた He did not see anyone until the entrance hall, where a tall wizard with long, bushy hair and a beard stopped him at the top of the marble stairs.

「 トム 、 こんな 遅く に 歩き回って 、 何 を して いる の か ね ?」 とむ||おそく||あるきまわって|なん|||||| "Tom, what are you doing, walking around so late?"

ハリー は その 魔法使い を じっと 見た 。 |||まほうつかい|||みた 今 より 五十 歳 若い ダンブルドア に まちがい ない 。 いま||ごじゅう|さい|わかい|||| Dumbledore is no doubt fifty years younger than he is now.

「 はい 、 先生 、 校長 先生 に 呼ば れました ので 」 リドル が 言った 。 |せんせい|こうちょう|せんせい||よば|れ ました||||いった Yes, sir, the principal wants to see you," Riddle said. 「 それでは 、 早く ベッド に 戻り なさい 」 |はやく|べっど||もどり| "Now, get back into bed."

ダンブルドア は 、 ハリー が よく 知っている 、 あの 心 の 中 まで 見通す ような まなざし で リドル を 見つめた 。 |||||しっている||こころ||なか||みとおす||||||みつめた Dumbledore stared at Riddle with a look that Harry was familiar with, looking into that heart.

「 このごろ は 廊下 を 歩き回ら ない 方 が よい 。 ||ろうか||あるきまわら||かた|| It's better not to walk around in the hallways these days," he said. 例の 事件 以来 ......」 れいの|じけん|いらい

ダンブルドア は 大きく ため息 を つき 、 リドル に 「 お やすみ 」 と 言って 、 その 場 を 立ち去った 。 ||おおきく|ためいき||||||||いって||じょう||たちさった Dumbledore sighed heavily, said "Good-bye" to Riddle, and left. リドル は その 姿 が 見え なり なる まで 見て いた が 、 それ から 急いで 石段 を 下り 、 まっすぐ 地下 牢 に 向かった 。 |||すがた||みえ||||みて|||||いそいで|いしだん||くだり||ちか|ろう||むかった Riddle watched until he could no longer see the figure, then hurried down the stone steps and headed straight for the dungeon. ハリー も 必死に 追跡 した 。 ||ひっしに|ついせき| Harry was also trying his best to track him down.

しかし 残念な こと に 、 リドル は 隠れた 通路 や 、 秘密の トンネル に 行った ので は なく 、 スネイ プ が 魔法 薬学 の 授業 で 使う 地下 牢教 室 に 入った 。 |ざんねんな|||||かくれた|つうろ||ひみつの|とんねる||おこなった|||||||まほう|やくがく||じゅぎょう||つかう|ちか|ろうきょう|しつ||はいった Unfortunately, Riddle did not go into the hidden passageways or secret tunnels, but into the dungeon room that Snape uses for Potions classes.

松明 は 点いて い なかった し 、 リドル が 教室 の ドア を ほとんど 完全に 閉めて しまった ので 、 ハ リー に は リドル の 姿 が やっと 見える だけ だった 。 たいまつ||ついて||||||きょうしつ||どあ|||かんぜんに|しめて|||||||||すがた|||みえる|| The torch wasn't on, and Riddle closed the classroom door almost completely, so Harry could only see Riddle. リドル は ドア の 陰 に 立って 身 じ ろ ぎ も せ ず 、 外 の 通路 に 目 を 凝らして いる 。 ||どあ||かげ||たって|み|||||||がい||つうろ||め||こらして| Riddle stands behind the door, not stirring, his eyes fixed on the passageway outside.

尐 なく と も 一 時間 は そう して いた ような 気 が する 。 ||||ひと|じかん||||||き|| I feel like I've been doing that for at least an hour.

ハリー の 目 に は 、 ドア の 隙間 から 目 を 凝らし 、 銅 僕 の ように じっと 何 か を 待って いる リドル の 姿 が 見える だけ だった 。 ||め|||どあ||すきま||め||こらし|どう|ぼく||||なん|||まって||||すがた||みえる|| Harry's eyes could only see Riddle, squinting through the gap in the door and waiting for something like a bronze servant. 期待 も 萎え 、 緊張 も 緩み かけ 「 現在 」 に 戻りたい と 思い はじめた ちょうど その とき 、 ドア の むこうで 何 か が 動く 気配 が した 。 きたい||なえ|きんちょう||ゆるみ||げんざい||もどり たい||おもい|||||どあ|||なん|||うごく|けはい|| Just when I was beginning to feel like I wanted to return to the present, my expectations were fading and my nerves were beginning to loosen, I felt something move beyond the door. 誰 か が 忍び足 で 通路 を 歩いて きた 。 だれ|||しのびあし||つうろ||あるいて|

いったい 誰 な の か 、 リドル と 自分 が 隠れて いる 地下 牢教 室 の 前 を 通り過ぎる 音 が した 。 |だれ||||||じぶん||かくれて||ちか|ろうきょう|しつ||ぜん||とおりすぎる|おと||

リドル は まるで 影 の ように 静かに 、 す るり と ドア から にじ り 出て あと を つけた 。 |||かげ|||しずかに||||どあ||||でて|||

ハリー も 誰 に も 聞こえる はず が ない こと を 忘れて 、 抜き 足 差し 足 で リドル の あと に 続いた 。 ||だれ|||きこえる||||||わすれて|ぬき|あし|さし|あし||||||つづいた Harry, forgetting that no one was supposed to hear him, followed Riddle, unannounced and unassisted.

五 分 も たったろう か 。 いつ|ぶん||| It must have been five minutes.

二 人 は その 足音 に ついて 歩いた が 、 リドル が 急に 止まって 、 何 か 別の 物音 の する 方角 に 顔 を 向けた 。 ふた|じん|||あしおと|||あるいた||||きゅうに|とまって|なん||べつの|ものおと|||ほうがく||かお||むけた They followed the footsteps, but Riddle suddenly stopped and turned his head in the direction of another noise.

ドア が ギーッ と 開き 、 誰 か が しゃが れ 声 で ささやいて いる の が 、 ハリー の 耳 に 聞こえて き た 。 どあ||||あき|だれ|||しゃ が||こえ||||||||みみ||きこえて|| The door gaped open, and Harry could hear someone whispering in his ear.

「 おいで ...... おまえ さん を こっか ら 出さ なきゃ な ん ねえ ...... さあ 、 こっち へ ...... この 箱 の 中 に ......」 ||||||ださ|||||||||はこ||なか| "Come here. ...... We have to get your hotel out of there. ...... Come on, come here. ...... In this box. ......

なんとなく 聞き覚え が ある 声 だった 。 |ききおぼえ|||こえ| The voice sounded vaguely familiar.

リドル が 物陰 から 突然 飛び出した 。 ||ものかげ||とつぜん|とびだした ハリー も あと に ついて 出た 。 |||||でた

ど で かい 尐年 の 暗い 影 の ような 輪郭 が 見えた 。 |||尐ねん||くらい|かげ|||りんかく||みえた I could see the outline of a small boy's dark shadow.

大きな 箱 を 傍ら に 置き 、 開け 放した ドア の 前 に しゃがみ込んで いる 。 おおきな|はこ||かたわら||おき|あけ|はなした|どあ||ぜん||しゃがみこんで|

「 こんばんは 、 ルビウス 」 リドル が 鋭く 言った 。 こんばん は||||するどく|いった Good evening, Rubeus," Riddle said sharply.

尐年 は ドア を バタン と 閉めて 立ち上がった 。 尐ねん||どあ||||しめて|たちあがった

「 トム 。 とむ こんな ところ で おまえ 、 なん して る ?」

リドル が 一 歩 近寄った 。 ||ひと|ふ|ちかよった 「 観念 する んだ 」 リドル が 言った 。 かんねん|||||いった "I have an idea," Riddle said.

「 ルビウス 、 僕 は 君 を 突き出す つもりだ 。 |ぼく||きみ||つきだす| "Rubius, I'm going to stick you out. 襲撃 事件 が やま なければ 、 ホグワーツ 校 が 閉鎖 さ れる 話 まで 出て いる んだ 」 しゅうげき|じけん|||||こう||へいさ|||はなし||でて|| If the assault does not stop, there is even talk of the Hogwarts school being closed. "

「 なん が 言 いて え の か ――」 ||げん|||| What do you want to say?

「 君 が 誰 か を 殺そう と した と は 思わ ない 。 きみ||だれ|||ころそう|||||おもわ| I don't think you tried to kill anyone. だけど 怪物 は 、 ペット と して ふさわしく ない 。 |かいぶつ||ぺっと|||| But a monster is not an appropriate pet. 君 は 運動 さ せよう と して 、 ちょっと 放した んだろう が 、 それ が ――」 きみ||うんどう||||||はなした|||| You tried to exercise, and you probably let go, but that was-- "

「 こいつ は 誰 も 殺して ねぇ !」 ||だれ||ころして| "This guy doesn't kill anyone!"

で かい 尐年 は 今 、 閉めた ばかりの ドア の 方 へ あとずさり した 。 ||尐ねん||いま|しめた||どあ||かた||| For a big year, I've just stepped back towards the door I just closed.

その 尐年 の 背後 から 、 ガサゴソ 、 カチカチ と 奇妙な 音 が した 。 |尐ねん||はいご|||かちかち||きみょうな|おと||

「 さあ 、 ルビウス 」 リドル は もう 一 歩 詰め寄った 。 |||||ひと|ふ|つめよった

「 死んだ 女子 学生 の ご 両親 が 、 明日 学校 に 来る 。 しんだ|じょし|がくせい|||りょうしん||あした|がっこう||くる The parents of the dead schoolgirl are coming to school tomorrow. 娘 さん を 殺した やつ を 、 確実に 始末 する こ と 。 むすめ|||ころした|||かくじつに|しまつ||| Make sure whoever killed your daughter is dealt with. 学校 と して 、 尐 なく と も それ だけ は できる 」 がっこう|||||||||| As a school, we can at least do that."

「 こいつ が やった んじゃ ねぇ !」 尐年 が 喚 く 声 が 暗い 通路 に こだま した 。 |||||尐ねん||かん||こえ||くらい|つうろ|||

「 こいつ に できる はず ねぇ ! 絶対 やっちゃ い ねぇ !」 |||||ぜったい||| "There's no way he can do this! "He's not supposed to be able to do that!

「 ど いて くれ 」 リドル は 杖 を 取り出した 。 |||||つえ||とりだした "Come on," Riddle took out the cane.

リドル の 呪文 は 突然 燃える ような 光 で 廊下 を 照らした 。 ||じゅもん||とつぜん|もえる||ひかり||ろうか||てらした

ど で かい 尐年 の 背後 の ドア が ものすごい 勢い で 開き 、 尐年 は 反対 側 の 壁 まで 吹っ飛ば さ れ た 。 |||尐ねん||はいご||どあ|||いきおい||あき|尐ねん||はんたい|がわ||かべ||ふっとば||| The door behind the huge year opened with tremendous force, and the year was blown to the opposite wall. 中 から 出て きた 物 を 見た 途端 、 ハリー は 思わず 鋭い 悲鳴 を もらした ―― 自分 に しか 聞こ え ない 長い 悲鳴 を ――。 なか||でて||ぶつ||みた|とたん|||おもわず|するどい|ひめい|||じぶん|||ききこ|||ながい|ひめい| As soon as he saw what came out of the inside, Harry suddenly gave a sharp scream-a long scream that only he could hear.

毛 むくじゃ ら の 巨大な 胴体 が 、 低い 位置 に 吊り下げられて いる 。 け||||きょだいな|どうたい||ひくい|いち||つりさげ られて| A huge, hairy torso is hung in a low position. 絡み合った 黒い 脚 、 ギラギラ 光る たくさんの 眼 、 剃刀 の ように 鋭い 鋏 。 からみあった|くろい|あし|ぎらぎら|ひかる||がん|かみそり|||するどい|やっとこ Intertwined black legs, many glistening eyes, and razor-sharp scissors.

リドル が もう 一 度 杖 を 振り上げた が 、 遅かった 。 |||ひと|たび|つえ||ふりあげた||おそかった その 生物 は リドル を 突き 転がし 、 ガサゴソ と 大急ぎで 廊下 を 逃げて 行き 、 姿 を 消した 。 |せいぶつ||||つき|ころがし|||おおいそぎで|ろうか||にげて|いき|すがた||けした リドル は 素早く 起き上がり 、 後ろ姿 を 目 で 追 い 、 杖 を 振り上げた 。 ||すばやく|おきあがり|うしろすがた||め||つい||つえ||ふりあげた Riddle quickly got up, chased his back with his eyes, and swung his wand up.

「 やめろ お おお おお おお !」 ど で かい 尐年 が リドル に 飛びかかり 、 杖 を 引った くり 、 リドル を また 投げ飛ばした 。 ||||||||尐ねん||||とびかかり|つえ||ひ った|||||なげとばした "No, no, no, no, no, no, no, no, no!" A large boy jumped on Riddle, yanked on his cane, and threw him back down again. 場面 が グルグル 旋回 し 、 真っ暗闇に なった 。 ばめん||ぐるぐる|せんかい||まっくらやみに| The scene whirled around and became pitch black. ハリー は 自分 が 落ちて 行く の を 感じた 、 そし て 、 ドサリ と 着地 した 。 ||じぶん||おちて|いく|||かんじた|||||ちゃくち|

ハリー は 、 グリフィンドール の 寝室 の 天 蓋付 き ベッド の 上 に 大 の 字 に なって いた 。 ||||しんしつ||てん|ふたつき||べっど||うえ||だい||あざ|||

リドル の 日記 は 腹 の 上 に 開いた まま 乗って いた 。 ||にっき||はら||うえ||あいた||のって| Riddle's diary was riding open on his belly.

息 を 弾ま せて いる 最中 に 、 寝室 の 戸 が 開いて ロン が 入って きた 。 いき||はずま|||さい なか||しんしつ||と||あいて|||はいって|

「 ここ に いた の か 」 と ロン 。

ハリー は 起き上がった 。 ||おきあがった 汗 びっしょり で ブルブル 震えて いた 。 あせ|||ぶるぶる|ふるえて|

「 どうした の !」 と ロン が 心配 そうに 聞いた 。 |||||しんぱい|そう に|きいた

「 ロン 、 ハグリッド だった んだ 。 五十 年 前 に 『 秘密の 部屋 』 の 扉 を 開けた の は 、 ハグリッド だった んだ !」 ごじゅう|とし|ぜん||ひみつの|へや||とびら||あけた|||||