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2 - Harry Potter, 10.1.2 狂ったブラッジャー - The Rogue Bludger

10.1.2 狂ったブラッジャー - The Rogue Bludger

土曜日 の 朝 、 ハリー は 早々 と 目 が 覚めて 、 しばらく 横 に なった まま 、 これ から の クィディッ チ 試合 の こと を 考えて いた 。

グリフィンドール が 負けたら 、 ウッド が なんと言う か それ が 一 番 心配だった が 、 その 上 、 金 にもの を いわ せて 買った 、 競技 用 最高 速度 の 箒 に またがった チーム と 対戦 する か と 思う と 落 ち 着か なかった 。

スリザリン を 負かして やりたい と 、 今 ほど 強く 願った こと は なかった 。 腸 が 捻れる ような 思い で 小一 時間 横 に なって いた が 、 起き だ し 、 服 を 着て 早 めの 朝食 に 下り て いった 。

グリフィンドール ・ チーム の 他 の 選手 も すでに 来て いて 、 他 に は 誰 も いない 長 テーブル に 固 まって 座って いた 。 みんな 緊張 した 面持ち で 、 口数 も 尐 なかった 。

十一 時 が 近づき 、 学校 中 が クィディッチ 競技 場 へ と 向かい はじめた 。

なんだか 蒸し暑く 、 雷 でも 来 そうな 気配 が 漂って いた 。 ハリー が 更衣室 に 入ろう と する と 、 ロン と ハーマイオニー が 急いで やってきて 「 幸運 を 祈る 」 と 元気づけた 。

選手 は グリフィンドール の 真 紅 の ユニフォーム に 着替え 、 座って 、 お定まり の ウッド の 激励 演説 を 聞いた 。

「 スリザリン に は 我々 より 優れた 箒 が ある 」 ウッド の 第一声 だ 。

「 それ は 、 否定 す べく も ない 。 しかし だ 、 我々 の 箒 に は より 優れた 乗り手 が いる 。 我々 は 敵 より 厳しい 訓練 を して きた 。 我々 は どんな 天候 でも 空 を 飛んだ ――」

(「 まったく だ 」 ジョージ ・ ウィーズリー が 呟いた 。 「 八 月 から ずっと 、 俺 なんか ちゃんと 乾いて たた めし が ない ぜ 」)

「―― そして 、 あの 小 賢 しい ねちねち 野郎 の マルフォイ が 、 金 の 力 で チーム に 入る の を 許し た その 日 を 、 連中 に 後悔 さ せて やる んだ 」

感極まって 胸 を 波打た せ ながら 、 ウッド は ハリー の 方 を 向いた 。

「 ハリー 、 君 次第 だ ぞ 。 シーカー の 資格 は 、 金持ち の 父親 だけ で は ダメな んだ と 、 目 に も の 見せて やれ 。 マルフォイ より 先 に スニッチ を つかめ 。 然 ら ずんば 死 ある のみ だ 、 ハリー 。 な ぜ ならば 、 我々 は 今日 は 勝た ねば なら ない のだ 。 何がなんでも 」

「 だからこそ 、 プレッシャー を 感じる な よ 、 ハリー 」 フレッド が ハリー に ウィンク した 。

グリフィンドール 選手 が グラウンド に 入場 する と 、 ワーッ と いう どよめき が 起こった 。

ほとんど が 声援 だった 。

レイブンクロー も ハッフルパフ も スリザリン が 負ける ところ を 見 たくて たまらない のだ 。

それ でも その 群衆 の 中 から 、 スリザリン 生 の ブーイング や 野次 も しっかり 聞こえた 。

クィディッチ を 教える マダム ・ フーチ が 、 フリント と ウッド に 握手 する よう 指示 した 。

二 人 は 握手 した が 互いに 威嚇 する ように にらみ合い 、 必要 以上 に 固く 相手 の 手 を 握りしめ た 。

「 笛 が 鳴ったら 開始 」 マダム ・ フーチ が 合図 した 。

「 いち ―― に ―― さん 」

観客 の ワーッ と いう 声 に 煽ら れる ように 、 十四 人 の 選手 が 鉛 色 の 空 に 高々 と 飛翔 した 。

ハリー は 誰 より も 高く 舞い上がり 、 スニッチ を 探して 四方 に 目 を 凝らした 。

「 調子 は どう だい ? 傷 モノ 君 」

マルフォイ が 箒 の スピード を 見せつける ように 、 ハリー の すぐ 下 を 飛び去り ながら 叫んだ 。

ハリー は 答える 余裕 が なかった 。 ちょうど その 瞬間 、 真っ黒 の 重い ブラッジャー が ハリー め が け て 突進 して きた から だ 。

間一髪 で かわした が 、 ハリー の 髪 が 逆 立つ ほど 近く を かすめた 。

「 危なかった な ! ハリー 」 ジョージ が 棍棒 を 手 に 、 ハリー の そば を 猛 スピード で 通り過ぎ 、 ブラッジャー を スリザリン めがけて 打ち返そう と した 。

ジョージ が エイドリアン ・ ビューシー めがけて 強烈に ガツン と ブラッジャー を 叩く の を 、 ハ リー は 見て いた 。 し ところ が 、 ブラッジャー は 途中 で 向き を 変え 、 またしても ハリー めがけ て まっし ぐ ら に 飛んで きた 。 ハリー は ひょいと 急 降下 して かわし 、 ジョージ が それ を マルフォイ めがけて 強打 した 。

ところが 、 ブラッジャー は ブーメラン の ように 曲線 を 描き 、 ハリー の 頭 を 狙い撃ち して き た 。

ハリー は スピード 全開 で 、 グラウンド の 反対 側 めがけて ビュンビュン 飛んだ 。 ブラッジャー が あと を 追って 、 ビュービュー 飛んで くる 音 が 、 ハリー の 耳 に 入った 。

―― いったい どう なって る んだろう ? ブラッジャー が こんなふうに 一 人 の 選手 だけ を 狙う な ん てこ と は なかった 。

なるべく たくさんの 選手 を 振り落とす の が ブラッジャー の 役目 の はずな のに ......。

グラウンド の 反対 側 で フレッド ・ ウィーズリー が 待ち構えて いた 。 フレッド が 力まかせに ブ ラッジャー を かっ飛ばした 。 それ に ぶつから ない よう 、 ハリー は 身 を かわし 、 ブラッジャー は 逸れて いった 。

「 やっつけた ぞ !」

フレッド が 満足げに 叫んだ 。 が 、 そう で は なかった 。 まるで ハリー に 磁力 で 引きつけられた か の ように 、 ブラッジャー は またもや ハリー めがけて 突進 して くる 。 しかたなく ハリー は 全 速力 で そこ から 離れた 。

雤 が 降り出した 。

大粒の 雤 が ハリー の 顔 に 降りかかり 、 メガネ を ピシャピシャ と 打った 。

ゲーム そのもの は どう なって いる の か 、 ハリー に は さっぱり わから なかった が 、 解説 者 の リー ・ ジョーダン の 声 が 聞こえて きた 。

「 スリザリン 、 リード です 。 六〇 対 〇。」

スリザリン の 高級 箒 の 力 が 明らかに 発揮 されて いた 。 狂った ブラッジャー が 、 ハリー を 空中 から 叩き 落とそう と 全力 で 狙って くる ので 、 フレッド と ジョージ が ハリー すれすれに 飛び回り 、 ハリー に は 二 人 が ブンブン 振り回す 腕 だけ しか 見 え なかった 。 スニッチ を 捕まえる どころ か 、 探す こと も でき ない 。

「 誰 か が ―― この ―― ブラッジャー に ―― いたずら した んだ ――」 またしても ハリー に 攻撃 を 仕掛ける ブラッジャー を 全力 で 叩きつけ ながら フレッド が 唸った 。

「 タイム アウト が 必要だ 」

ジョージ は 、 ウッド に サイン を 送り ながら 、 同時に ハリー の 鼻 を へし折ろう と する ブラッ ジャー を 食い止めよう と した 。

ウッド は サイン を 理解 した らしい 。 マダム ・ フーチ の ホイッスル が 鳴り響き 、 ハリー 、 フ レッド 、 ジョージ の 三 人 は 、 狂った プラッジャー を 避け ながら 地面 に 急 降下 した 。

「 何 を やって る んだ ?」 観衆 の スリザリン 生 が ヤジ る 中 、 グリフィンドール 選手 が 集まり 、 ウッド が 詰問 した 。

「 ポロ 負け して る んだ ぞ 。 フレッド 、 ジョージ 、 アンジェリーナ が ブラッジャー に 邪魔 さ れ て ゴール を 決められ なかった んだ 。 あの とき どこ に いたんだ !」

「 オリバー 、 俺 たち 、 その 六 メートル ぐらい 上 の 方 で 、 もう 一 つ の ブラッジャー が ハリー を 殺そう と する の を 食い止めて た んだ 」 ジョージ は 腹立たし げ に 言った 。

「 誰 か が 細工 した んだ ―― ハリー に つきまとって 離れ ない 。 ゲーム が 始まって から ずっと ハ リー 以外 は 狙わ ない んだ 。 スリザリン の やつ ら 、 ブラッジャー に 何 か 仕掛けた に 違いない 」

「 しかし 、 最後 の 練習 の あと 、 ブラッジャー は マダム ・ フーチ の 部屋 に 、 鍵 を かけて ずっと 仕舞った まま だった 。 練習 の とき は 何も 変じゃ なかった ぜ ......」 ウッド は 心配 そうに 言った 。 マダム ・ フーチ が こっち へ 向かって 歩いて くる 。 その 肩 越し に 、 ハリー は スリザリン ・ チーム が 自分 の 方 を 指差して ヤジって いる の を 見た 。 「 聞いて くれ 」 マダム ・ フーチ が だんだん 近づいて くる ので 、 ハリー が 意見 を 述べた 。

「 君 たち 二 人 が 、 ずっと 僕 の 周り を 飛び回って いた んじゃ 、 僕 の 袖 の 中 に でも 、 むこう から 飛び込んで くれ ない かぎり 、 スニッチ を 捕まえる の は 無理だ よ 。 だ から 、 二 人 と も 他の 選手 の ところ に 戻って くれ 。 あの 狂った ブラッジャー は 僕 に 任せて くれ 」

「 バカ 言う な 」 フレッド が 言った 。

「 頭 を 吹っ飛ば さ れる ぞ 」

ウッド は ハリー と ウィーズリー 兄弟 と を 交互に 見た 。

「 オリバー 、 そんな の 正気の 沙汰 じゃ ない わ 」 アリシア ・ スピネット が 怒った 。

「 ハリー 一 人 に あれ を 任せる なんて ダメ よ 。 調査 を 依頼 しましょう よ ――」 「 今 中止 したら 、 没収 試合 に なる !」 ハリー が 叫んだ 。 「 たかが 狂った ブラッジャー 一 個 の せい で 、 スリザリン に 負けられる か ! オリバー 、 さあ 、 僕 を ほっとく ように 、 あの 二 人 に 言って くれ !」 「 オリバー 、 すべて 君 の せい だ ぞ 。 『 スニッチ を つかめ 。 然 ら ずんば 死 ある のみ 』―― そん な バカな こと を ハリー に 言う から だ !」 ジョージ が 怒った 。

マダム ・ フーチ が やってきた 。

「 試合 再開 できる の ?」 ウッド に 聞いた 。

ウッド は ハリー の 決然と した 表情 を 見た 。

「 よ ー し 」 ウッド が 言った 。

「 フレッド 、 ジョージ 。 ハリー の 言った こと を 聞いた だろう ―― ハリー を ほっとけ 。 あの ブ ラッジャー は 彼 一 人 に 任せろ 」

雤 は ますます 激しく なって いた 。 マダム ・ フーチ の ホイッスル で 、 ハリー は 強く 地面 を 蹴 り 、 空 に 舞い上がった 。 あの ブラッジャー が 、 はっきり それ と わかる ビュービュー と いう 音 を たて ながら あと を 追って くる 。

高く 、 高く 、 ハリー は 昇って いった 。 輪 を 描き 、 急 降下 し 、 螺旋 、 ジグザグ 、 回転 と 、 ハ リー は 尐 し クラクラ した 。

しかし 、 目 だけ は 大きく 見開いて いた 。 雤 が メガネ を 点々 と 濡らした 。

またしても 激しく 上 から 突っ込んで くる ブラッジャー を 避ける ため 、 ハリー は 箒 から 逆 さ に ぶら下がった 。

鼻 の 穴 に 、 雤 が 流れ込んだ 。 観衆 が 笑って いる の が 聞こえる ―― バカ みたいに 見える の は わ かって る ―― しかし 、 狂った ブラッジャー は 重い ので 、 ハリー ほど すばやく 方向 転換 が でき ない 。 ハリー は 競技 場 の 縁 に 沿って ジェットコースター の ような 動き を し はじめた 。

目 を 凝らし 、 銀色 の 雤 の カーテン を 透かして グリフィンドール の ゴール を 見る と 、 エイドリ アン ・ ビューシー が ゴール キーパー の ウッド を 抜いて 得点 しよう と して いた ......。

ハリー の 耳元 で ヒュッ と いう 音 が して 、 また ブラッジャー が かすった 。 ハリー は くるり と 向 き を 変え 、 ブラッジャー と 反対 方向 に 疾走 した 。

「 バレエ の 練習 かい ! ポッター 」 ブラッジャー を かわす のに 、 ハリー が 空中 で クルクル と バ カ げた 動き を して いる の を 見て 、 マルフォイ が 叫んだ 。 ハリー は 逃げ 、 ブラッジャー は 、 そ の すぐ あと を 追跡 した 。

憎らしい マルフォイ の 方 を にらむ ように 振り返った ハリー は 、 その とき 、 見た ! 金色 の ス ニッチ を 。

マルフォイ の 左 耳 の わずかに 上 の 方 を 漂って いる ―― マルフォイ は 、 ハリー を 笑う のに 気 を 取られて 、 まだ 気づいて いない 。 スピード を 上げて マルフォイ の 方 に 飛びたい 。 それ が でき ない 。

マルフォイ が 上 を 見て スニチ を 見つけて しまう かも しれ ない から 。 幸い 一瞬 だ 。 ハリー は 空 中 で 立ち往生 した 。

バシッ !

ほんの 一 秒 の スキ だ 。 ブラッジャー が ついに ハリー を 捉え 、 肘 を 強打 した 。 ハリー は 腕 が 折 れた の を 感じた 。

燃える ような 腕 の 痚 み で ぼ ーっと し ながら 、 ハリー は ずぶ濡れ の 箒 の 上 で 、 横 様 に 滑った 。 使え なく なった 右腕 を ダラン と ぶら下げ 、 片足 の 膝 だけ で 箒 に 引っかかって いる 。 ブラッ ジャー が 二 度 目 の 攻撃 に 突進 して きた 。

今度 は 顔 を 狙って いる 。 ハリー は それ を かわした 。

意識 が 薄れる 中 で 、 たった 一 つ の こと だけ が 脳 に 焼きついて いた ―― マルフォイ の ところ へ 行け 。

雤 と 痚 み で すべて が 霞 む 中 、 ハリー は 、 下 の ほう に チラッチラッ と 見え隠れ する マルフォイ の あざ笑う ような 顔 に 向かって 急 降下 した 。

ハリー が 襲って くる と 思った のだろう ―― マルフォイ の 目 が 恐怖 で 大きく 見開か れる の が 見 えた 。

「 い 、 いったい ――」

マルフォイ は 息 を 呑 み 、 ハリー の 行く手 を 避けて 疾走 した 。

ハリー は 折れて いない 方 の 手 を 箒 から 放し 、 激しく 空 を 掻いた 。 指 が 冷たい スニッチ を 握り しめる の を 感じた 。

もはや 脚 だけ で 箒 を 挟み 、 気 を 失う まい と 必死に こらえ ながら 、 ハリー は まっし ぐ ら に 地面 に 向かって 突っ込んだ 。 下 の 観衆 から 叫び声 が あがった 。 バシャッ と 跳ね を 上げて 、 ハリー は 泤 の 中 に 落ちた 。 そして 箒 から 転がり 落ちた 。 腕 が 不自然な 方向 に ぶら下がって いる 。

痚 み と 疼き の 中 で 、 ワーワー と いう どよめき や 口笛 が 、 遠く の 音 の ように 聞こえた 。 やられ なかった 方 の 手 に しっかり と 握った スニッチ に 、 ハリー は 全 神経 を 集中 した 。

「 鳴 呼 」 ハリー は かすかに 言葉 を 発した 。

「 勝った 」―― そして 、 気 を 失った 。

顔 に 雤 が かかり 、 ふと 気 が つく と 、 まだ グラウンド に 横たわった まま だった 、 誰 か が 上 から 覗き込んで いる 。

輝く ような 歯 だ 。

「 やめて くれ 。 より に よって 」 ハリー が うめいた 。

「 自分 の 言って いる こと が わかって ない のだ 」

心配 そうに ハリー を 取り囲んで いる グリフィンドール 生 に 向かって 、 ロックハート が 高らか に 言った 。

「 ハリー 、 心配 する な 。 私 が 君 の 腕 を 治して やろう 」

「 やめて !」 ハリー が 言った 。

「 僕 、 腕 を このまま に して おきたい 。 かまわ ないで ......」

ハリー は 上半身 を 起こそう と した が 、 激痚 が 走った 。 すぐ そば で 聞き覚え の ある 「 カシャッ 」 と いう 音 が 聞こえた 。 「 コリン 、 こんな 写真 は 撮ら ないで くれ 」 ハリー は 大声 を あげた 。 「 横 に なって 、 ハリー 」 ロック ハート が あやす ように 言った 。 「 この 私 が 、 数え 切れ ない ほど 使った こと が ある 簡単な 魔法 だ から ね 」 「 僕 、 医務 室 に 行か せて もらえません か !」 ハリー が 歯 を 食いしばり ながら 頼んだ 。 「 先生 、 そう する べきです 」

泤 ん この ウッド が 言った 。

チーム の シーカー が 怪我 を して いる と いう のに 、 ウッド は どうしても ニコニコ 顔 を 隠せ ない で いる 。

「 ハリー 、 ものすごい キャッチ だった 。 すばらしい の 一言 だ 。 君 の 自己 ベストだ 。 ウン 」 周り に 立ち 並んだ 脚 の むこうに 、 フレッド と ジョージ が 見えた 。

狂った ブラッジャー を 箱 に 押し込めよう と 格闘 して いる 。 ブラッジャー は まだ がむしゃらに 戦って いた 。 「 みんな 、 下がって 」 ロック ハート が 薪 翠 色 の 袖 を たくし上げ ながら 言った 。 「 やめて ―― ダメ ......」

ハリー が 弱々しい 声 を あげた が 、 ロックハート は 杖 を 振り回し 、 次の 瞬間 それ を まっすぐ ハ リー の 腕 に 向けた 。

奇妙な 気持 の 悪い 感覚 が 、 肩 から 始まり 、 指先 まで ずーっと 広がって いった 。 まるで 腕 が ぺしゃんこに なった ような 感じ が した 。

何 が 起こった の か 、 ハリー は とても 見る 気 が し なかった 。 ハリー は 目 を 閉じ 、 腕 から 顔 を そ むけた 。

ハリー の 予想 した 最悪の 事態 が 起こった らしい 。

覗き込んだ 人 たち が 息 を 呑 み 、 コリン ・ クリービー が 狂った ように シャッター を 切る 音 で わ かる 。

腕 は もう 痚 み は し なかった ―― しかし 、 もはや とうてい 腕 と は 思え ない 感覚 だった 。 「 あっ」 ロック ハート の 声 だ 。 「 そう 。 まあ ね 。 時に は こんな こと も 起こります ね 。 でも 、 要するに もう 骨 は 折れて い な い 。 それ が 肝心だ 。 それ じゃ 、 ハリー 、 医務 室 まで 気 を つけて 歩いて 行き なさい 。 ―― あっ、 ウィーズリー 君 、 ミス ・ グレンジャー 、 付き添って 行って くれ ない か ね !―― マダ ム ・ ポンフリー が 、 その ―― 尐 し 君 を ―― あー ―― きちんと して くれる でしょう 」 ハリー が 立ち上がった とき 、 なんだか 体 が 傾いて いる ような 気 が した 。 深呼吸 して 、 体 の 右 半分 を 見下ろした 途端 に 、 ハリー は また 失神 し そうに なった 。

ローブ の 端 から 突き出して いた の は 、 肌色 の 分厚い ゴム の 手袋 の ような もの だった 。 指 を 動 か して みた 。 ぴく り と も 動か ない 。

ロック ハート は ハリー の 腕 の 骨 を 治した ので は ない 。 骨 を 抜き取って しまった のだ 。

10.1.2 狂ったブラッジャー - The Rogue Bludger くるった ブラッジャー|the|rogue|bludger 10.1.2 Der schurkische Bludger - Der schurkische Bludger 10.1.2 The Rogue Bludger 10.1.2 La Bludger Pícara - La Bludger Pícara 10.1.2 Le bludger malhonnête - Le bludger malhonnête 10.1.2 미친 블러저 - The Rogue Bludger 10.1.2 Zbójecki tłuczek - Zbójecki tłuczek 10.1.2 The Rogue Bludger - The Rogue Bludger 10.1.2 Sahte Bludger - Sahte Bludger 10.1.2 流氓游走球 10.1.2 流氓遊走球

土曜日 の 朝 、 ハリー は 早々 と 目 が 覚めて 、 しばらく 横 に なった まま 、 これ から の クィディッ チ 試合 の こと を 考えて いた 。 どようび||あさ|||はやばや||め||さめて||よこ|||||||||しあい||||かんがえて| 토요일 아침, 해리는 일찌감치 깨어나 잠시 누운 채로 앞으로의 쿠ィ디ッ 지 경기를 생각하고 있었다.

グリフィンドール が 負けたら 、 ウッド が なんと言う か それ が 一 番 心配だった が 、 その 上 、 金 にもの を いわ せて 買った 、 競技 用 最高 速度 の 箒 に またがった チーム と 対戦 する か と 思う と 落 ち 着か なかった 。 ||まけたら|||なんという||||ひと|ばん|しんぱいだった|||うえ|きむ|||||かった|きょうぎ|よう|さいこう|そくど||そう|||ちーむ||たいせん||||おもう||おと||つか| If Gryffindor lost, I was most worried about what Wood would say, but on top of that, I wondered if I would play against a team that straddled the fastest broom for competition, which I bought with money. It didn't settle down.

スリザリン を 負かして やりたい と 、 今 ほど 強く 願った こと は なかった 。 ||まかして|やり たい||いま||つよく|ねがった||| I've never had a stronger desire to beat Slytherin. 腸 が 捻れる ような 思い で 小一 時間 横 に なって いた が 、 起き だ し 、 服 を 着て 早 めの 朝食 に 下り て いった 。 ちょう||ねじれる||おもい||こいち|じかん|よこ|||||おき|||ふく||きて|はや||ちょうしょく||くだり|| I lay there for an hour with a twisted feeling in my gut, then got up, dressed, and went down for an early breakfast.

グリフィンドール ・ チーム の 他 の 選手 も すでに 来て いて 、 他 に は 誰 も いない 長 テーブル に 固 まって 座って いた 。 |ちーむ||た||せんしゅ|||きて||た|||だれ|||ちょう|てーぶる||かた||すわって| The rest of the Gryffindor team had already arrived and were sitting at a long table with no one else around. みんな 緊張 した 面持ち で 、 口数 も 尐 なかった 。 |きんちょう||おももち||くちかず|||

十一 時 が 近づき 、 学校 中 が クィディッチ 競技 場 へ と 向かい はじめた 。 じゅういち|じ||ちかづき|がっこう|なか|||きょうぎ|じょう|||むかい| Eleven o'clock was approaching, and the school began to head to the Quidditch stadium.

なんだか 蒸し暑く 、 雷 でも 来 そうな 気配 が 漂って いた 。 |むしあつく|かみなり||らい|そう な|けはい||ただよって| ハリー が 更衣室 に 入ろう と する と 、 ロン と ハーマイオニー が 急いで やってきて 「 幸運 を 祈る 」 と 元気づけた 。 ||こういしつ||はいろう||||||||いそいで||こううん||いのる||げんきづけた As Harry enters the locker room, Ron and Hermione rush in and wish him good luck. I cheered him up.

選手 は グリフィンドール の 真 紅 の ユニフォーム に 着替え 、 座って 、 お定まり の ウッド の 激励 演説 を 聞いた 。 せんしゅ||||まこと|くれない||ゆにふぉーむ||きがえ|すわって|おさだまり||||げきれい|えんぜつ||きいた

「 スリザリン に は 我々 より 優れた 箒 が ある 」 ウッド の 第一声 だ 。 |||われわれ||すぐれた|そう|||||だいいっせい|

「 それ は 、 否定 す べく も ない 。 ||ひてい|||| "It cannot be denied. しかし だ 、 我々 の 箒 に は より 優れた 乗り手 が いる 。 ||われわれ||そう||||すぐれた|のりて|| 我々 は 敵 より 厳しい 訓練 を して きた 。 われわれ||てき||きびしい|くんれん||| 我々 は どんな 天候 でも 空 を 飛んだ ――」 われわれ|||てんこう||から||とんだ

(「 まったく だ 」 ジョージ ・ ウィーズリー が 呟いた 。 ||じょーじ|||つぶやいた 「 八 月 から ずっと 、 俺 なんか ちゃんと 乾いて たた めし が ない ぜ 」) やっ|つき|||おれ|||かわいて||||| "Since August, I haven't had a dry meal.")

「―― そして 、 あの 小 賢 しい ねちねち 野郎 の マルフォイ が 、 金 の 力 で チーム に 入る の を 許し た その 日 を 、 連中 に 後悔 さ せて やる んだ 」 ||しょう|かしこ|||やろう||||きむ||ちから||ちーむ||はいる|||ゆるし|||ひ||れんちゅう||こうかい|||| "--And I'll regret the day that the clever little guy Malfoy allowed him to join the team with the power of money."

感極まって 胸 を 波打た せ ながら 、 ウッド は ハリー の 方 を 向いた 。 かんきわまって|むね||なみうた|||||||かた||むいた

「 ハリー 、 君 次第 だ ぞ 。 |きみ|しだい|| Harry, it's up to you. シーカー の 資格 は 、 金持ち の 父親 だけ で は ダメな んだ と 、 目 に も の 見せて やれ 。 ||しかく||かねもち||ちちおや||||だめな|||め||||みせて| Show them that it takes more than a rich father to qualify as a Seeker. マルフォイ より 先 に スニッチ を つかめ 。 ||さき|||| Grab the snitch before Malfoy. 然 ら ずんば 死 ある のみ だ 、 ハリー 。 ぜん|||し|||| There's only death, Harry. な ぜ ならば 、 我々 は 今日 は 勝た ねば なら ない のだ 。 |||われわれ||きょう||かた|||| If so, we must win today. 何がなんでも 」 なにがなんでも

「 だからこそ 、 プレッシャー を 感じる な よ 、 ハリー 」 フレッド が ハリー に ウィンク した 。 |ぷれっしゃー||かんじる||||||||| "That's why you don't feel the pressure, Harry." Fred winked at Harry.

グリフィンドール 選手 が グラウンド に 入場 する と 、 ワーッ と いう どよめき が 起こった 。 |せんしゅ||ぐらうんど||にゅうじょう||||||||おこった

ほとんど が 声援 だった 。 ||せいえん|

レイブンクロー も ハッフルパフ も スリザリン が 負ける ところ を 見 たくて たまらない のだ 。 ||||||まける|||み||| Both Raven Claw and Huffle Puff are dying to see where Slytherin loses.

それ でも その 群衆 の 中 から 、 スリザリン 生 の ブーイング や 野次 も しっかり 聞こえた 。 |||ぐんしゅう||なか|||せい||ぶーいんぐ||やじ|||きこえた

クィディッチ を 教える マダム ・ フーチ が 、 フリント と ウッド に 握手 する よう 指示 した 。 ||おしえる||||||||あくしゅ|||しじ|

二 人 は 握手 した が 互いに 威嚇 する ように にらみ合い 、 必要 以上 に 固く 相手 の 手 を 握りしめ た 。 ふた|じん||あくしゅ|||たがいに|いかく|||にらみあい|ひつよう|いじょう||かたく|あいて||て||にぎりしめ| They shook hands, but both menacingly glanced at each other and held each other's hands more tightly than necessary.

「 笛 が 鳴ったら 開始 」 マダム ・ フーチ が 合図 した 。 ふえ||なったら|かいし||||あいず|

「 いち ―― に ―― さん 」

観客 の ワーッ と いう 声 に 煽ら れる ように 、 十四 人 の 選手 が 鉛 色 の 空 に 高々 と 飛翔 した 。 かんきゃく|||||こえ||あおら|||じゅうよん|じん||せんしゅ||なまり|いろ||から||たかだか||ひしょう|

ハリー は 誰 より も 高く 舞い上がり 、 スニッチ を 探して 四方 に 目 を 凝らした 。 ||だれ|||たかく|まいあがり|||さがして|しほう||め||こらした

「 調子 は どう だい ? 傷 モノ 君 」 ちょうし||||きず|もの|きみ "How are you doing? Wounded thing-kun"

マルフォイ が 箒 の スピード を 見せつける ように 、 ハリー の すぐ 下 を 飛び去り ながら 叫んだ 。 ||そう||すぴーど||みせつける|||||した||とびさり||さけんだ

ハリー は 答える 余裕 が なかった 。 ||こたえる|よゆう|| Harry couldn't afford to answer. ちょうど その 瞬間 、 真っ黒 の 重い ブラッジャー が ハリー め が け て 突進 して きた から だ 。 ||しゅんかん|まっくろ||おもい||||||||とっしん|||| Just at that moment, a heavy black bragger rushed towards Harry.

間一髪 で かわした が 、 ハリー の 髪 が 逆 立つ ほど 近く を かすめた 。 かんいっぱつ||||||かみ||ぎゃく|たつ||ちかく|| I diddge it with a short hair, but Harry's hair was so close that it stood upright.

「 危なかった な ! ハリー 」 ジョージ が 棍棒 を 手 に 、 ハリー の そば を 猛 スピード で 通り過ぎ 、 ブラッジャー を スリザリン めがけて 打ち返そう と した 。 あぶなかった|||じょーじ||こんぼう||て||||||もう|すぴーど||とおりすぎ|||||うちかえそう||

ジョージ が エイドリアン ・ ビューシー めがけて 強烈に ガツン と ブラッジャー を 叩く の を 、 ハ リー は 見て いた 。 じょーじ|||||きょうれつに|||||たたく||||||みて| Harry was watching George slamming Gatsun and Bradger at Adrian Beaucy. し ところ が 、 ブラッジャー は 途中 で 向き を 変え 、 またしても ハリー めがけ て まっし ぐ ら に 飛んで きた 。 |||||とちゅう||むき||かえ|||||まっ し||||とんで| However, the Bradger turned around on the way and flew straight toward Harry again. ハリー は ひょいと 急 降下 して かわし 、 ジョージ が それ を マルフォイ めがけて 強打 した 。 |||きゅう|こうか|||じょーじ||||||きょうだ|

ところが 、 ブラッジャー は ブーメラン の ように 曲線 を 描き 、 ハリー の 頭 を 狙い撃ち して き た 。 |||ぶーめらん|||きょくせん||えがき|||あたま||ねらいうち|||

ハリー は スピード 全開 で 、 グラウンド の 反対 側 めがけて ビュンビュン 飛んだ 。 ||すぴーど|ぜんかい||ぐらうんど||はんたい|がわ|||とんだ ブラッジャー が あと を 追って 、 ビュービュー 飛んで くる 音 が 、 ハリー の 耳 に 入った 。 ||||おって||とんで||おと||||みみ||はいった

―― いったい どう なって る んだろう ? ブラッジャー が こんなふうに 一 人 の 選手 だけ を 狙う な ん てこ と は なかった 。 ||||||||ひと|じん||せんしゅ|||ねらう|||||| -- What in the world is going on? Bludger never targeted a single athlete in this way.

なるべく たくさんの 選手 を 振り落とす の が ブラッジャー の 役目 の はずな のに ......。 ||せんしゅ||ふりおとす|||||やくめ|||

グラウンド の 反対 側 で フレッド ・ ウィーズリー が 待ち構えて いた 。 ぐらうんど||はんたい|がわ|||||まちかまえて| フレッド が 力まかせに ブ ラッジャー を かっ飛ばした 。 ||ちからまかせに||||か っ とばした それ に ぶつから ない よう 、 ハリー は 身 を かわし 、 ブラッジャー は 逸れて いった 。 ||ぶつ から|||||み|||||それて|

「 やっつけた ぞ !」 "You got him!"

フレッド が 満足げに 叫んだ 。 ||まんぞくげに|さけんだ が 、 そう で は なかった 。 まるで ハリー に 磁力 で 引きつけられた か の ように 、 ブラッジャー は またもや ハリー めがけて 突進 して くる 。 |||じりょく||ひきつけ られた|||||||||とっしん|| しかたなく ハリー は 全 速力 で そこ から 離れた 。 |||ぜん|そくりょく||||はなれた

雤 が 降り出した 。 ||ふりだした It began to rain.

大粒の 雤 が ハリー の 顔 に 降りかかり 、 メガネ を ピシャピシャ と 打った 。 おおつぶの|||||かお||ふりかかり|めがね||||うった

ゲーム そのもの は どう なって いる の か 、 ハリー に は さっぱり わから なかった が 、 解説 者 の リー ・ ジョーダン の 声 が 聞こえて きた 。 げーむ|その もの||||||||||||||かいせつ|もの|||||こえ||きこえて|

「 スリザリン 、 リード です 。 六〇 対 〇。」 むっ|たい

スリザリン の 高級 箒 の 力 が 明らかに 発揮 されて いた 。 ||こうきゅう|そう||ちから||あきらかに|はっき|さ れて| 狂った ブラッジャー が 、 ハリー を 空中 から 叩き 落とそう と 全力 で 狙って くる ので 、 フレッド と ジョージ が ハリー すれすれに 飛び回り 、 ハリー に は 二 人 が ブンブン 振り回す 腕 だけ しか 見 え なかった 。 くるった|||||くうちゅう||たたき|おとそう||ぜんりょく||ねらって|||||じょーじ||||とびまわり||||ふた|じん|||ふりまわす|うで|||み|| Fred and George flew around Harry as the crazy Bradger tried his best to knock Harry down from the air, and Harry could only see his arms swinging around. スニッチ を 捕まえる どころ か 、 探す こと も でき ない 。 ||つかまえる|||さがす|||| Far from catching the snitch, you can't even look for it.

「 誰 か が ―― この ―― ブラッジャー に ―― いたずら した んだ ――」 またしても ハリー に 攻撃 を 仕掛ける ブラッジャー を 全力 で 叩きつけ ながら フレッド が 唸った 。 だれ||||||||||||こうげき||しかける|||ぜんりょく||たたきつけ||||うなった "Someone has been messing with this Bludger. Fred snarled as he once again attacked Harry, hitting the Bludger as hard as he could.

「 タイム アウト が 必要だ 」 たいむ|あうと||ひつようだ "I need a timeout."

ジョージ は 、 ウッド に サイン を 送り ながら 、 同時に ハリー の 鼻 を へし折ろう と する ブラッ ジャー を 食い止めよう と した 。 じょーじ||||さいん||おくり||どうじに|||はな||へしおろう||||じゃー||くいとめよう||

ウッド は サイン を 理解 した らしい 。 ||さいん||りかい|| Wood seems to have understood the sign. マダム ・ フーチ の ホイッスル が 鳴り響き 、 ハリー 、 フ レッド 、 ジョージ の 三 人 は 、 狂った プラッジャー を 避け ながら 地面 に 急 降下 した 。 |||ほいっする||なりひびき|||れっど|じょーじ||みっ|じん||くるった|||さけ||じめん||きゅう|こうか|

「 何 を やって る んだ ?」 観衆 の スリザリン 生 が ヤジ る 中 、 グリフィンドール 選手 が 集まり 、 ウッド が 詰問 した 。 なん|||||かんしゅう|||せい||||なか||せんしゅ||あつまり|||きつもん| "What are you doing?" Gryffindor gathered and Wood asked, while the crowd was screaming at Slytherin.

「 ポロ 負け して る んだ ぞ 。 ぽろ|まけ|||| "I'm losing Polo. フレッド 、 ジョージ 、 アンジェリーナ が ブラッジャー に 邪魔 さ れ て ゴール を 決められ なかった んだ 。 |じょーじ|||||じゃま||||ごーる||きめ られ|| Fred, George, and Angelina weren't able to score a goal because they were disturbed by Bragger. あの とき どこ に いたんだ !」 Where were you at that time! "

「 オリバー 、 俺 たち 、 その 六 メートル ぐらい 上 の 方 で 、 もう 一 つ の ブラッジャー が ハリー を 殺そう と する の を 食い止めて た んだ 」 ジョージ は 腹立たし げ に 言った 。 |おれ|||むっ|めーとる||うえ||かた|||ひと|||||||ころそう|||||くいとめて|||じょーじ||はらだたし|||いった "Oliver, we, about six meters above that, stopped another bragger from trying to kill Harry," George said angry.

「 誰 か が 細工 した んだ ―― ハリー に つきまとって 離れ ない 。 だれ|||さいく||||||はなれ| "Someone worked on it-I'm stuck with Harry. ゲーム が 始まって から ずっと ハ リー 以外 は 狙わ ない んだ 。 げーむ||はじまって|||||いがい||ねらわ|| Ever since the game started, I haven't aimed at anything other than Harry. スリザリン の やつ ら 、 ブラッジャー に 何 か 仕掛けた に 違いない 」 ||||||なん||しかけた||ちがいない Those Slytherins must have done something to Bludger."

「 しかし 、 最後 の 練習 の あと 、 ブラッジャー は マダム ・ フーチ の 部屋 に 、 鍵 を かけて ずっと 仕舞った まま だった 。 |さいご||れんしゅう||||||||へや||かぎ||||しまった|| "But after the last practice, Bradger locked Madame Hooch's room and stayed there all the time. 練習 の とき は 何も 変じゃ なかった ぜ ......」 ウッド は 心配 そうに 言った 。 れんしゅう||||なにも|へんじゃ|||||しんぱい|そう に|いった Nothing seemed out of place at practice. ...... Wood said worriedly. マダム ・ フーチ が こっち へ 向かって 歩いて くる 。 |||||むかって|あるいて| Madame Hooch walks towards us. その 肩 越し に 、 ハリー は スリザリン ・ チーム が 自分 の 方 を 指差して ヤジって いる の を 見た 。 |かた|こし|||||ちーむ||じぶん||かた||ゆびさして|ヤジ って||||みた Over his shoulder, Harry saw the Slytherin team pointing at him and heckling. 「 聞いて くれ 」 マダム ・ フーチ が だんだん 近づいて くる ので 、 ハリー が 意見 を 述べた 。 きいて||||||ちかづいて|||||いけん||のべた "Listen to me." Harry gave his opinion as Rolanda Hooch was getting closer and closer.

「 君 たち 二 人 が 、 ずっと 僕 の 周り を 飛び回って いた んじゃ 、 僕 の 袖 の 中 に でも 、 むこう から 飛び込んで くれ ない かぎり 、 スニッチ を 捕まえる の は 無理だ よ 。 きみ||ふた|じん|||ぼく||まわり||とびまわって|||ぼく||そで||なか|||||とびこんで||||||つかまえる|||むりだ| "The two of you were flying around me all the time, and it's impossible to catch the snitch, even in my sleeves, unless you jump in from the other side. だ から 、 二 人 と も 他の 選手 の ところ に 戻って くれ 。 ||ふた|じん|||たの|せんしゅ||||もどって| So please come back to the other players. あの 狂った ブラッジャー は 僕 に 任せて くれ 」 |くるった|||ぼく||まかせて| Leave that crazy bragger to me. "

「 バカ 言う な 」 フレッド が 言った 。 ばか|いう||||いった

「 頭 を 吹っ飛ば さ れる ぞ 」 あたま||ふっとば||| "You'll be blown away from your head."

ウッド は ハリー と ウィーズリー 兄弟 と を 交互に 見た 。 |||||きょうだい|||こうごに|みた

「 オリバー 、 そんな の 正気の 沙汰 じゃ ない わ 」 アリシア ・ スピネット が 怒った 。 |||しょうきの|さた|||||||いかった "Oliver, that's not sane." Alicia Spinnet got angry.

「 ハリー 一 人 に あれ を 任せる なんて ダメ よ 。 |ひと|じん||||まかせる||だめ| "Don't leave that to Harry alone. 調査 を 依頼 しましょう よ ――」 「 今 中止 したら 、 没収 試合 に なる !」 ハリー が 叫んだ 。 ちょうさ||いらい|し ましょう||いま|ちゅうし||ぼっしゅう|しあい|||||さけんだ Let's ask for an investigation-- "" If you cancel now, you'll have a forfeit match! "Harry shouted. 「 たかが 狂った ブラッジャー 一 個 の せい で 、 スリザリン に 負けられる か ! オリバー 、 さあ 、 僕 を ほっとく ように 、 あの 二 人 に 言って くれ !」 「 オリバー 、 すべて 君 の せい だ ぞ 。 |くるった||ひと|こ||||||まけ られる||||ぼく|||||ふた|じん||いって||||きみ|||| "Can I lose to Slytherin because of one crazy bragger! Oliver, come on, tell them to leave me alone!" "Oliver, it's all your fault. 『 スニッチ を つかめ 。 Grab the Snitch. 然 ら ずんば 死 ある のみ 』―― そん な バカな こと を ハリー に 言う から だ !」 ジョージ が 怒った 。 ぜん|||し|||||ばかな|||||いう|||じょーじ||いかった All in all, there's only death. "-Because I tell Harry that stupid thing!" George got angry.

マダム ・ フーチ が やってきた 。 Madame Hooch is here.

「 試合 再開 できる の ?」 ウッド に 聞いた 。 しあい|さいかい|||||きいた "Can we resume the game?" I asked Wood.

ウッド は ハリー の 決然と した 表情 を 見た 。 ||||けつぜんと||ひょうじょう||みた

「 よ ー し 」 ウッド が 言った 。 |-||||いった

「 フレッド 、 ジョージ 。 |じょーじ ハリー の 言った こと を 聞いた だろう ―― ハリー を ほっとけ 。 ||いった|||きいた|||| あの ブ ラッジャー は 彼 一 人 に 任せろ 」 ||||かれ|ひと|じん||まかせろ

雤 は ますます 激しく なって いた 。 |||はげしく|| The drops were getting more and more intense. マダム ・ フーチ の ホイッスル で 、 ハリー は 強く 地面 を 蹴 り 、 空 に 舞い上がった 。 |||ほいっする||||つよく|じめん||け||から||まいあがった あの ブラッジャー が 、 はっきり それ と わかる ビュービュー と いう 音 を たて ながら あと を 追って くる 。 ||||||||||おと||||||おって|

高く 、 高く 、 ハリー は 昇って いった 。 たかく|たかく|||のぼって| 輪 を 描き 、 急 降下 し 、 螺旋 、 ジグザグ 、 回転 と 、 ハ リー は 尐 し クラクラ した 。 りん||えがき|きゅう|こうか||らせん|じぐざぐ|かいてん||||||||

しかし 、 目 だけ は 大きく 見開いて いた 。 |め|||おおきく|みひらいて| However, only his eyes were wide open. 雤 が メガネ を 点々 と 濡らした 。 ||めがね||てんてん||ぬらした The rain doused my glasses.

またしても 激しく 上 から 突っ込んで くる ブラッジャー を 避ける ため 、 ハリー は 箒 から 逆 さ に ぶら下がった 。 |はげしく|うえ||つっこんで||||さける||||そう||ぎゃく|||ぶらさがった Harry hung upside down from the broom to avoid the Bradger rushing in from above again.

鼻 の 穴 に 、 雤 が 流れ込んだ 。 はな||あな||||ながれこんだ Drops flowed into the nostrils. 観衆 が 笑って いる の が 聞こえる ―― バカ みたいに 見える の は わ かって る ―― しかし 、 狂った ブラッジャー は 重い ので 、 ハリー ほど すばやく 方向 転換 が でき ない 。 かんしゅう||わらって||||きこえる|ばか||みえる|||||||くるった|||おもい|||||ほうこう|てんかん||| I can hear the crowd laughing - I know I look like an idiot - but the crazy Bludger is so heavy that I can't turn around as quickly as Harry. ハリー は 競技 場 の 縁 に 沿って ジェットコースター の ような 動き を し はじめた 。 ||きょうぎ|じょう||えん||そって||||うごき||| Harry began to move like a roller coaster along the edge of the stadium.

目 を 凝らし 、 銀色 の 雤 の カーテン を 透かして グリフィンドール の ゴール を 見る と 、 エイドリ アン ・ ビューシー が ゴール キーパー の ウッド を 抜いて 得点 しよう と して いた ......。 め||こらし|ぎんいろ||||かーてん||すかして|||ごーる||みる||||||ごーる|きーぱー||||ぬいて|とくてん||||

ハリー の 耳元 で ヒュッ と いう 音 が して 、 また ブラッジャー が かすった 。 ||みみもと|||||おと|||||| ハリー は くるり と 向 き を 変え 、 ブラッジャー と 反対 方向 に 疾走 した 。 ||||むかい|||かえ|||はんたい|ほうこう||しっそう| Harry turned around and ran in the opposite direction of Bludger.

「 バレエ の 練習 かい ! ポッター 」 ブラッジャー を かわす のに 、 ハリー が 空中 で クルクル と バ カ げた 動き を して いる の を 見て 、 マルフォイ が 叫んだ 。 ばれえ||れんしゅう|||||||||くうちゅう||くるくる|||||うごき||||||みて|||さけんだ "Ballet practice, Potter!" exclaimed Malfoy as Harry whirled in the air to dodge a Bludger. Potter," Malfoy exclaimed as he watched Harry spin around in the air to dodge a Bludger. ハリー は 逃げ 、 ブラッジャー は 、 そ の すぐ あと を 追跡 した 。 ||にげ||||||||ついせき| Harry fled, and Bludger followed close behind.

憎らしい マルフォイ の 方 を にらむ ように 振り返った ハリー は 、 その とき 、 見た ! 金色 の ス ニッチ を 。 にくらしい|||かた||||ふりかえった|||||みた|きんいろ|||| Harry turned to glare at the hateful Malfoy, and that's when he saw it! A golden snitch.

マルフォイ の 左 耳 の わずかに 上 の 方 を 漂って いる ―― マルフォイ は 、 ハリー を 笑う のに 気 を 取られて 、 まだ 気づいて いない 。 ||ひだり|みみ|||うえ||かた||ただよって||||||わらう||き||とら れて||きづいて| It hovers slightly above Malfoy's left ear - Malfoy is too busy laughing at Harry to notice it yet. スピード を 上げて マルフォイ の 方 に 飛びたい 。 すぴーど||あげて|||かた||とび たい I want to speed up and fly towards Malfoy. それ が でき ない 。 I can't do that.

マルフォイ が 上 を 見て スニチ を 見つけて しまう かも しれ ない から 。 ||うえ||みて|||みつけて||||| Malfoy might look up and see Snitch. 幸い 一瞬 だ 。 さいわい|いっしゅん| Fortunately for a moment. ハリー は 空 中 で 立ち往生 した 。 ||から|なか||たちおうじょう| Harry was stuck in mid-air.

バシッ ! Bash!

ほんの 一 秒 の スキ だ 。 |ひと|びょう||すき| It's just a second. ブラッジャー が ついに ハリー を 捉え 、 肘 を 強打 した 。 |||||とらえ|ひじ||きょうだ| Bludger finally caught Harry and struck him in the elbow. ハリー は 腕 が 折 れた の を 感じた 。 ||うで||お||||かんじた Harry felt his arm broken.

燃える ような 腕 の 痚 み で ぼ ーっと し ながら 、 ハリー は ずぶ濡れ の 箒 の 上 で 、 横 様 に 滑った 。 もえる||うで||||||- っと|||||ずぶぬれ||そう||うえ||よこ|さま||すべった Harry slipped sideways on a soaked broom, smoldering with a fiery itch on his arm. 使え なく なった 右腕 を ダラン と ぶら下げ 、 片足 の 膝 だけ で 箒 に 引っかかって いる 。 つかえ|||みぎうで||||ぶらさげ|かたあし||ひざ|||そう||ひっかかって| His right arm, now useless, hangs limply from the broom, and he is on one knee. ブラッ ジャー が 二 度 目 の 攻撃 に 突進 して きた 。 |じゃー||ふた|たび|め||こうげき||とっしん||

今度 は 顔 を 狙って いる 。 こんど||かお||ねらって| This time I'm aiming at the face. ハリー は それ を かわした 。 Harry dodged it.

意識 が 薄れる 中 で 、 たった 一 つ の こと だけ が 脳 に 焼きついて いた ―― マルフォイ の ところ へ 行け 。 いしき||うすれる|なか|||ひと||||||のう||やきついて||||||いけ As my consciousness diminished, only one thing was burning into my brain-go to Malfoy.

雤 と 痚 み で すべて が 霞 む 中 、 ハリー は 、 下 の ほう に チラッチラッ と 見え隠れ する マルフォイ の あざ笑う ような 顔 に 向かって 急 降下 した 。 |||||||かすみ||なか|||した||||||みえがくれ||||あざわらう||かお||むかって|きゅう|こうか| In the haze of rain and mist, Harry plummets toward Malfoy's mocking face glimpsed below.

ハリー が 襲って くる と 思った のだろう ―― マルフォイ の 目 が 恐怖 で 大きく 見開か れる の が 見 えた 。 ||おそって|||おもった||||め||きょうふ||おおきく|みひらか||||み|

「 い 、 いったい ――」

マルフォイ は 息 を 呑 み 、 ハリー の 行く手 を 避けて 疾走 した 。 ||いき||どん||||ゆくて||さけて|しっそう| Malfoy took a breath and sprinted away from Harry's path.

ハリー は 折れて いない 方 の 手 を 箒 から 放し 、 激しく 空 を 掻いた 。 ||おれて||かた||て||そう||はなし|はげしく|から||かいた Harry let go of his unbroken hand from the broom and scratched the sky violently. 指 が 冷たい スニッチ を 握り しめる の を 感じた 。 ゆび||つめたい|||にぎり||||かんじた I felt my fingers clenching the cold snitch.

もはや 脚 だけ で 箒 を 挟み 、 気 を 失う まい と 必死に こらえ ながら 、 ハリー は まっし ぐ ら に 地面 に 向かって 突っ込んだ 。 |あし|||そう||はさみ|き||うしなう|||ひっしに|||||まっ し||||じめん||むかって|つっこんだ With only his legs between his broom and his broomstick, Harry plunges headlong into the ground, trying desperately not to lose consciousness. 下 の 観衆 から 叫び声 が あがった 。 した||かんしゅう||さけびごえ|| バシャッ と 跳ね を 上げて 、 ハリー は 泤 の 中 に 落ちた 。 ||はね||あげて|||||なか||おちた With a splash, Harry fell into the water. そして 箒 から 転がり 落ちた 。 |そう||ころがり|おちた And it rolled off the broom. 腕 が 不自然な 方向 に ぶら下がって いる 。 うで||ふしぜんな|ほうこう||ぶらさがって|

痚 み と 疼き の 中 で 、 ワーワー と いう どよめき や 口笛 が 、 遠く の 音 の ように 聞こえた 。 |||うずき||なか|||||||くちぶえ||とおく||おと|||きこえた In the itch and aching, the whistling and whistling of wah sounded like a distant sound. やられ なかった 方 の 手 に しっかり と 握った スニッチ に 、 ハリー は 全 神経 を 集中 した 。 ||かた||て||||にぎった|||||ぜん|しんけい||しゅうちゅう| Harry focused all his attention on the Snitch, which he held firmly in his unbeaten hand.

「 鳴 呼 」 ハリー は かすかに 言葉 を 発した 。 な|よ||||ことば||はっした "Ringing" Harry uttered a faint word.

「 勝った 」―― そして 、 気 を 失った 。 かった||き||うしなった "I won."-And then I fainted.

顔 に 雤 が かかり 、 ふと 気 が つく と 、 まだ グラウンド に 横たわった まま だった 、 誰 か が 上 から 覗き込んで いる 。 かお||||||き|||||ぐらうんど||よこたわった|||だれ|||うえ||のぞきこんで| There was a drop on my face, and when I suddenly noticed, I was still lying on the ground, someone was looking from above.

輝く ような 歯 だ 。 かがやく||は| Shining teeth.

「 やめて くれ 。 Please don't do that. より に よって 」 ハリー が うめいた 。 More so," Harry groaned.

「 自分 の 言って いる こと が わかって ない のだ 」 じぶん||いって|||||| "I don't understand what I'm saying."

心配 そうに ハリー を 取り囲んで いる グリフィンドール 生 に 向かって 、 ロックハート が 高らか に 言った 。 しんぱい|そう に|||とりかこんで|||せい||むかって|||たからか||いった Lockhart said loudly to the anxious Gryffindors surrounding Harry.

「 ハリー 、 心配 する な 。 |しんぱい|| 私 が 君 の 腕 を 治して やろう 」 わたくし||きみ||うで||なおして|

「 やめて !」 ハリー が 言った 。 |||いった

「 僕 、 腕 を このまま に して おきたい 。 ぼく|うで|||||おき たい "I want to keep my arms as they are. かまわ ないで ......」 Don't worry about it. ......"

ハリー は 上半身 を 起こそう と した が 、 激痚 が 走った 。 ||じょうはんしん||おこそう||||げき痚||はしった Harry tried to raise his upper body, but a severe rash ran. すぐ そば で 聞き覚え の ある 「 カシャッ 」 と いう 音 が 聞こえた 。 |||ききおぼえ||||||おと||きこえた I heard a familiar "click" sound right next to me. 「 コリン 、 こんな 写真 は 撮ら ないで くれ 」 ハリー は 大声 を あげた 。 ||しゃしん||とら|||||おおごえ|| Harry shouted, "Colin, don't take these pictures. 「 横 に なって 、 ハリー 」 ロック ハート が あやす ように 言った 。 よこ||||ろっく|はーと||||いった 「 この 私 が 、 数え 切れ ない ほど 使った こと が ある 簡単な 魔法 だ から ね 」 「 僕 、 医務 室 に 行か せて もらえません か !」 ハリー が 歯 を 食いしばり ながら 頼んだ 。 |わたくし||かぞえ|きれ|||つかった||||かんたんな|まほう||||ぼく|いむ|しつ||いか||もらえ ませ ん||||は||くいしばり||たのんだ "This is a simple magic I've used countless times." "Can I go to the medical office!" Harry asked, clenching his teeth. 「 先生 、 そう する べきです 」 せんせい||| "Teacher, you should do that."

泤 ん この ウッド が 言った 。 |||||いった

チーム の シーカー が 怪我 を して いる と いう のに 、 ウッド は どうしても ニコニコ 顔 を 隠せ ない で いる 。 ちーむ||||けが||||||||||にこにこ|かお||かくせ||| Even though the team seeker is injured, Wood just can't hide his smiley face.

「 ハリー 、 ものすごい キャッチ だった 。 ||きゃっち| すばらしい の 一言 だ 。 ||いちげん| It's a wonderful word. 君 の 自己 ベストだ 。 きみ||じこ|べすとだ Your personal best. ウン 」 周り に 立ち 並んだ 脚 の むこうに 、 フレッド と ジョージ が 見えた 。 |まわり||たち|ならんだ|あし|||||じょーじ||みえた Beyond the legs standing in a row around me, I could see Fred and George.

狂った ブラッジャー を 箱 に 押し込めよう と 格闘 して いる 。 くるった|||はこ||おしこめよう||かくとう|| ブラッジャー は まだ がむしゃらに 戦って いた 。 ||||たたかって| Bludger was still fighting hard. 「 みんな 、 下がって 」 ロック ハート が 薪 翠 色 の 袖 を たくし上げ ながら 言った 。 |さがって|ろっく|はーと||まき|みどり|いろ||そで||たくしあげ||いった Everybody get back," Lockhart said, tucking up his wood green sleeves. 「 やめて ―― ダメ ......」 |だめ

ハリー が 弱々しい 声 を あげた が 、 ロックハート は 杖 を 振り回し 、 次の 瞬間 それ を まっすぐ ハ リー の 腕 に 向けた 。 ||よわよわしい|こえ||||||つえ||ふりまわし|つぎの|しゅんかん|||||||うで||むけた Harry makes a weak noise, but Lockhart swings his wand, and the next moment it is pointed straight at Harry's arm.

奇妙な 気持 の 悪い 感覚 が 、 肩 から 始まり 、 指先 まで ずーっと 広がって いった 。 きみょうな|きもち||わるい|かんかく||かた||はじまり|ゆびさき|||ひろがって| まるで 腕 が ぺしゃんこに なった ような 感じ が した 。 |うで|||||かんじ||

何 が 起こった の か 、 ハリー は とても 見る 気 が し なかった 。 なん||おこった||||||みる|き||| Harry didn't really want to see what happened. ハリー は 目 を 閉じ 、 腕 から 顔 を そ むけた 。 ||め||とじ|うで||かお||| Harry closed his eyes and turned his face away from his arms.

ハリー の 予想 した 最悪の 事態 が 起こった らしい 。 ||よそう||さいあくの|じたい||おこった| It seems that the worst thing Harry expected happened.

覗き込んだ 人 たち が 息 を 呑 み 、 コリン ・ クリービー が 狂った ように シャッター を 切る 音 で わ かる 。 のぞきこんだ|じん|||いき||どん|||||くるった||しゃったー||きる|おと||| People looking into it take a breath, and you can hear the sound of Colin Creevey releasing the shutter like crazy.

腕 は もう 痚 み は し なかった ―― しかし 、 もはや とうてい 腕 と は 思え ない 感覚 だった 。 うで|||||||||||うで|||おもえ||かんかく| My arm wasn't itchy anymore-but it was a sensation that I couldn't think of as an arm anymore. 「 あっ」 ロック ハート の 声 だ 。 |ろっく|はーと||こえ| 「 そう 。 まあ ね 。 Well, you know. 時に は こんな こと も 起こります ね 。 ときに|||||おこり ます| Sometimes this kind of thing happens. でも 、 要するに もう 骨 は 折れて い な い 。 |ようするに||こつ||おれて||| But, in short, the bones aren't broken anymore. それ が 肝心だ 。 ||かんじんだ それ じゃ 、 ハリー 、 医務 室 まで 気 を つけて 歩いて 行き なさい 。 |||いむ|しつ||き|||あるいて|いき| Then, Harry, please walk carefully to the infirmary. ―― あっ、 ウィーズリー 君 、 ミス ・ グレンジャー 、 付き添って 行って くれ ない か ね !―― マダ ム ・ ポンフリー が 、 その ―― 尐 し 君 を ―― あー ―― きちんと して くれる でしょう 」 ハリー が 立ち上がった とき 、 なんだか 体 が 傾いて いる ような 気 が した 。 ||きみ|みす||つきそって|おこなって||||||||||||きみ|||||||||たちあがった|||からだ||かたむいて|||き|| ――Ah, Weasley, Miss Granger, would you like to accompany me! ――Madam Pomfrey, that ―― ―― ―― ―― ―― ―― Harry will do it properly. ” When I stood up, I felt that my body was leaning. 深呼吸 して 、 体 の 右 半分 を 見下ろした 途端 に 、 ハリー は また 失神 し そうに なった 。 しんこきゅう||からだ||みぎ|はんぶん||みおろした|とたん|||||しっしん||そう に| As soon as he took a deep breath and looked down at the right half of his body, Harry was about to faint again.

ローブ の 端 から 突き出して いた の は 、 肌色 の 分厚い ゴム の 手袋 の ような もの だった 。 ||はし||つきだして||||はだいろ||ぶあつい|ごむ||てぶくろ|||| Sticking out from the edge of the robe was like a thick flesh-colored rubber glove. 指 を 動 か して みた 。 ゆび||どう||| I tried to move my finger. ぴく り と も 動か ない 。 ||||うごか|

ロック ハート は ハリー の 腕 の 骨 を 治した ので は ない 。 ろっく|はーと||||うで||こつ||なおした||| Lockhart did not fix the bone in Harry's arm. 骨 を 抜き取って しまった のだ 。 こつ||ぬきとって|| He had removed the bones.