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地獄少女 三鼎, 地獄少女 三鼎 - 20

地獄 少女 三 鼎 - 20

山河 三 差 路 分かれ 道

守り たい の は 己 か 人 か

常 世 の 闇 か …

非だ の 乱れ は 貢が ない

終わる 事 ない 阿 鼻 の 芸

時に 分け入れ 扉 が 開く

晴らせ ぬ 恨み 晴らし ます

駄目 やめて

駄目 それ を 解いちゃ

その 糸 を 解いちゃ 駄目

どうして ー

一 度 プロパー の 方 に 来て いただいて

え 私 です か ?

賽 河原 中学 の 保健 医 を して おり ます

柴田 と 申し ます

柴田 つぐみ です

では お 願い し ます

行ったら 戻れ なく なる わ よ

見える んです か ? それ が

次の 時間 まで 寝て って も いい の よ

柴田 先生 六 文 燈 籠 の 時

地獄 の 入り口 が 見えて た んです よ ね

さ ぁ

あそこ に 行ったら 戻れ なく なる って 言い ました よ ね

覚えて ない けど

柴田 先生 は 知って る んです か ? 地獄 少女 の こと

俺 の 勘 って やつ も 鈍 っち まった らしい なぁ

こんな ところ に いた なんて

柴田 つぐみ この 学校 に 来た の は 去年 らしい よ

もう 長い 間 地獄 流し に 干渉 する こと は なかった から なぁ

ど っか で 普通に 暮らして る と 思って た んだ が

はじめ ちゃん どうし てる んだろう ね

父親 か ぁ

だいたい の 場所 は つかめた よ

地獄 通信 に 柴田 つぐみ の 名前 書いて は 消して る 奴 の 場所

いったい どうして あの 子 の こと を 地獄 に なんて

で どんな 按排 なんで ぇ その …

今 山 童 が 行って る

え いや あ って こと は … あれ も 一緒 か ぁ

廃墟 だった の を 今年 初め に 買った そうです

何 ヶ月 も 業者 が 工事 して たって いう けど

ボロボロ じゃ ん ちょ ー 微妙 ちょ ー 微妙

姫 駄目です よ

まだ 送信 さ れて ない んだ し

様子 を 見る だけ だ よ ー

お前 の 物 は 俺 の 物

地獄 の 沙汰 も 金次 第 ー

どこ で 覚えて くんだ ろ ああいう の

大丈夫です か ?

姫 !

通り抜け られ なかった ぁ ー

おかしい な 僕たち に 現世 の 壁 なんて

うん こっち は 変わり ない よ

そっち は ? お 父さん 元気 ?

そう な んだ

う うん 別に 用事 だった わけじゃ なくて …

あい また 戻って 来た んだ ねぇ

そう ね おばあ ちゃん

あい は その こと 望んで いた かい ?

寂しい の は 慣れた から

でも 二 人 に は 早く 帰って 来て 欲しい なって

あ 違う

うん なんでもない から 心配 し ないで

はじめ ちゃん おかしい ね

わたし が 地獄 通信 に 書か れた みたい

それ も いい の かも

逆の 側 に なる より

その ほう が ずっと マシ

柴田 つぐみ 様 です ね

どなた です か ?

溝 呂木 と いう 者 の 使い で 参り ました

桔梗 と 申し ま

溝 呂木 が 柴田 様 に 是非 お目にかかり たい と

関心 あり ませ ん

この 本 に 書いて ある こと に ついて の お 話 です が

地獄 少女 に ついて 唯一 真実に 迫った と いわ れる この 本

あなた の 父 君 が 書か れた もの です ね

です ので つぐみ 様 に 是非 ご 同道 を お 願い し たく

柴田 先生 が どうして 地獄 流し に …

どうして 来た の ?

止める ため に ?

柴田 先生 が 何 を したって いう の ?

わたし の 務め は

地獄 に 流して 欲しい 人 の 願い を 叶える こと

あなた は 何も 考え ない の ?

流して いい 人 な の か どう か と か

おかしい よ ! わたし に は よく わかん ない けど

そんな の おかしい そんな の …

しかし どうした もんか なぁ

山 童 の 言う に は

俺 たち の 力 で は この 屋敷 に 入る こと は でき ねぇ と

そう 言 や 山 童 と きく り は どこ 行った ん だい

まったく …

柴田 先生

久しぶり

久しぶり ね つぐみ

みなさん お 揃い です ね

では 中 に ご 案内 し ます

ちょっと 待って 柴田 先生

先生 の 名前 が 地獄 通信 に 書か れちゃ った んです よ

知って る わ

なんか 息苦しい ね この 中

山 童 が 言って た の は この こと か

待て その エレキテル みて え なや つ だ

お 嬢 近づ かね いほう が いい

こんな からくり で 遊んで 欲しい の ?

その 装置 は リバーサ

あなた 方 の 持つ 超 自然 的な 力 に 反発 する

EMR 発生 装置 だった のです が …

呼んだ ?

ええ 呼び ました よ 地獄 少女

そして 柴田 つぐみ さん

前 に お 会い した こと は あり ました か ?

いいえ つぐみ さん は どうぞ そちら の イス へ

いったい 何の まね だい !

先生 地獄 流し に しよう と いう の ?

どんな 怨み が ある の よ

実のところ 怨み は 無い んです

いや むしろ わたし は つぐみ さん の お 父さん

この 本 を 書いた 柴田 一 氏 を 敬愛 して い ます

こいつ は 妙だ ぜ 相応の 怨み の 念 が 無きゃ

地獄 通信 に アクセス すら でき ねえ はずだ

ああ その こと は 後 で 説明 し ましょう

まずは わたし が どういう 人間 か 知って もらい たい

溝 呂木 省吾 応用 数学 者

二十 年 前 に 高 確率 の 空間 予測 を 可能 と する

溝 呂木 定数 なる もの を 発見 し

その後 消息 を 絶った

わたし が 見出した 空間 予測 定数 は

それ 自体 は ただ の 数式 です が

ある 特殊な 分野 で 非常に 有効だった んです

これ から の 戦争 は 無人 兵器 に よる 戦闘 が 主流 に なる と

考え られて い ます

その ほう が リスク が 少ない から です

空間 予測 定数 それ は 軍事 分野 に 有効だった のです

人 の 命 も 計算 かい

わたし の 定数 は

無人 攻撃 機 の 機能 を 飛躍 的に 高める こと が わかり

わたし は わたし が 発見 した 定数 と

溝 呂木 省吾 と いう 人格 ごと ある 企業 に 買収 さ れ ました

わたし は それ で 満足でした

表 に 出 なければ 好きに 残り の 人生 を 送れる

しかし わたし の 定数 は

違う もう 一 つ の こと を 明らかに して いる と 気づいた んです

この 実 世界 と は 別に 見え ない 別の 世界 が 存在 して いる

即 ち それ は 地獄 が 実在 する と いう こと です

数式 が 地獄 の 実在 を 証明 して いる

この こと に わたし は 心 を 奪わ れた

なぜ そこ まで わたし が 地獄 に 魅 かれる の か

しばらく たって やっと 思い出した

自分 の 育て られた 家庭 が

まず 地獄 だ と いえ なく も なかった

いや これ は まったく の 比喩 な んです が

母 は 父 を 地獄 へ 送った と わたし に 言った けれど

幼かった わたし に は その 意味 は よく わから なかった

その 母 も 数 年 後 に は い なく なって しまった

地獄 そこ へ 流す 者 と 流さ れる 者 が いる

ハイゼンベルク 以降

絶対 と いう もの は 絶対 で なく なった この 世界 で

地獄 の 存在 の 絶対 性 と は なんと 魅惑 的な もの だろう と

わたし は 地獄 流し に ついて 調べ ました

もちろん 基本 的な 理解 は 柴田 一 氏 の 著作 から 得 ました

昔 は 新聞 の 三 行 広告

ベーシック で 書か れた 原始 的な BBS

そして ネット 携帯 へ と

施設 に 沿って 変遷 し つつ

地獄 少女 が 怨み を 聞き届ける その 基本 は 普遍 に 続いて いる

そんなに 前 から

地獄 流し と は

一 つ の 地域 で 集中 的に 起こる 傾向 が ある こと を わたし は 知った

町 ひと つ が 崩壊 する まで エスカレート する こと も あった

あれ は ひどかった ね

この 賽 河原 市 でも それ が 起こり つつ ある

そして わたし は 知った

地獄 少女 が 再び 肉体 を この 地 で 得た こと

さらに 柴田 一 の 娘 地獄 少女 と 深い 関わり を 持った

柴田 つぐみ まで も が この 町 に いる と

地獄 少女 に 会い たい それ で 柴田 先生 の 名前 を ?

ええ 地獄 少女 に は 藁 人形 の 化身 が 従者 と して 仕えて おり

超 自然 的な 能力 を 持つ こと も わかって いた ので

この 屋敷 を 作った のです 対等に 話 が できる ように ね

どうか して る ぜ

しかし 合点 が いか ねえ

さっき も 言った が

怨み の 念 が 無きゃ 地獄 通信 に アクセス は でき ねえ はずだ

地獄 の 存在 を わたし は 客観 的に 知り たかった

しかし わたし に は 地獄 に 流し たい ほど 憎む 人間 も

この 現世 に は い ない

憎悪 の 情 動 さえ 生成 できれば

地獄 通信 が 繋がる のだ と すれば …

何 を し たんだい ?

彼 は 催眠 療法 師 です わたし の 深層 心理 に

柴田 つぐみ に 対する 憎悪 の 情 動 を 植えつけて もらった のです

作り事 の 憎しみ そんな こと まで して …

おかしい よ みんな

それ で 何 を 証明 し たかった んです か ?

地獄 流し と いう システム の 持つ 矛盾

たとえば その 怨み が

誤解 や 逆 怨み の 妥当 性 の 無い もの だ と して も

地獄 流し は 行わ れて しまう

幼い とき から わたし は 人 が 地獄 へ 流さ れる 印 と して

鈴 の 音 を 聞き 続けて きた

それ が どんなに 間違った 怨み でも

地獄 少女 は 地獄 へ 流して しまう し

わたし は それ を 止め られ なかった

そう そう よ だ から 間違って る !

地獄 流し なんて やっちゃ 駄目な の !

確かに

俺 たち は 理不尽 だって 感じ ながら も 流した 人間 が い 大勢 いる

けど それ が 俺 たち の 仕事 なんだ から

あなた は 何も 考え ない の ? そういう こと

考え なかった と 思う ?

呪い と は 弱い 人間 の ルサンチマン が 持てる 最後 の 救いだ

人 は 地獄 を 神格 化 し 呪い と いう システム を 作り出した

つまり 地獄 は 人々 が 生み出した 幻想 で しか ねえ と

いや そう であって は なら ない のだ

わたし に とって 地獄 は 絶対 的に 存在 し なければ なら ん

倫理 や 道徳 と いう 人間 社会 の 都合 で できた もの と は

隔絶 した 究極 の 不条理

それ こそ が 地獄

閻魔 あい 君 こそ は その 不条理 の 象徴 な のだ よ

地獄 少女 会い たかった

会い たかった の は わたし じゃ ない

一目 連

お 嬢 !

これ が 地獄 少女 の する こと ?

こんな 間違った こと なんて わたし 絶対 し たく ない !

柴田 先生 先生 流さ れちゃ う んです よ

何の 罪 も 無い のに !

罪 は 無い わけじゃ ない

わたし は はじめ ちゃん の こと …

だから そう なって も かまわ ない の

もう 一 人 で いる の 疲れちゃ った し

先生 !

その 赤い 糸 を 解いたら どう なる かも 知って る んだ ろ !

当然 そう 長い こと なく わたし 自身 も 地獄 へ 流さ れる

つぐみ を 巻き込む こと は ねえ だ ろ !

わたし に かかって いる 催眠 は

ある キーワード が トリガー に なって 解ける

その 時 わたし の こと を 存分に さげすんで くれ

やめて ー !

一 遍 死んで みる ?

お 嬢 !

トリガー を 聞いた が わたし は まだ 糸 を 解いて い ない

やっぱり 子ども が いた

糸 を 解いた の は あの 人 だ よ

桔梗 お前

お 許し ください

わたし は この 子 たち が あなた を 流そう と して いる の を 知り

あなた と 同じ 方法 で 地獄 流し を 頼んだ のです

あなた は 自分 の 発見 した 数字 が

罪 無き 命 を 奪う こと を 心 の 奥 で 責めて いた

だから 戦地 で 親 を 失った 子ども たち を 引き取り

養育 して いた

偽善 さ

ええ この 子 たち は

無差別に 人 の 命 を 奪える 兵器 を 作った あなた を

許せ なかった のです

お前たち が …

そう か すまなかった ね

桔梗 この 子 たち を 頼む

これ で また 会える の か お 母さん

この 怨み 地獄 へ 流し ます

柴田 先生 !

もし かして 先生 も そう だった んじゃ ない んです か ?

なに が

先生 も 地獄 少女 に なる 定め だった んじゃ ない んです か ?

そう かしら 定め と は 本来 あらがえ ぬ もの

わたし は そう 思って いる わ

わたし は 嫌 !

定め って なに ? 誰 が そんな もの 決める の !

どう すれば いい の あたし …

貴方 の 怨み 晴らし ます

名前 は ?

菊池 海 斗

今 の お 母さん は 本当の お 母さん じゃ ない んだ ね

うん でも とって も 優しく して くれた んだ

だけど 変わっちゃ った

そして 父さん も

我慢 して た けど やっぱり 辛い 悲し いよ

それ で 君 は …

次回

谎言 的 正面


地獄 少女 三 鼎 - 20 じごく|しょうじょ|みっ|かなえ JIGOKU SHOJI SANKIN - 20

山河 三 差 路 分かれ 道 さんか|みっ|さ|じ|わかれ|どう

守り たい の は   己 か 人 か まもり||||おのれ||じん|

常 世 の 闇 か … とわ|よ||やみ|

非だ の 乱れ は 貢が ない ひだ||みだれ||みつが|

終わる 事 ない   阿 鼻 の 芸 おわる|こと||おもね|はな||げい

時に 分け入れ   扉 が 開く ときに|わけいれ|とびら||あく

晴らせ ぬ 恨み   晴らし ます はらせ||うらみ|はらし|

駄目 やめて だめ|

駄目 それ を 解いちゃ だめ|||といちゃ

その 糸 を 解いちゃ 駄目 |いと||といちゃ|だめ

どうして ー |-

一 度 プロパー の 方 に 来て いただいて ひと|たび|||かた||きて|

え   私 です か ? |わたくし||

賽 河原 中学 の 保健 医 を して おり ます さい|かわはら|ちゅうがく||ほけん|い||||

柴田 と 申し ます しばた||もうし|

柴田 つぐみ です しばた||

では   お 願い し ます ||ねがい||

行ったら 戻れ なく なる わ よ おこなったら|もどれ||||

見える んです か ? それ が みえる|ん です|||

次の 時間 まで 寝て って も いい の よ つぎの|じかん||ねて|||||

柴田 先生 六 文 燈 籠 の 時 しばた|せんせい|むっ|ぶん|とも|かご||じ

地獄 の 入り口 が 見えて た んです よ ね じごく||いりぐち||みえて||ん です||

さ ぁ

あそこ に 行ったら 戻れ なく なる って 言い ました よ ね ||おこなったら|もどれ||||いい|||

覚えて ない けど おぼえて||

柴田 先生 は 知って る んです か ? 地獄 少女 の こと しばた|せんせい||しって||ん です||じごく|しょうじょ||

俺 の 勘 って やつ も 鈍 っち まった らしい なぁ おれ||かん||||どん||||

こんな ところ に いた なんて

柴田 つぐみ この 学校 に 来た の は 去年 らしい よ しばた|||がっこう||きた|||きょねん||

もう 長い 間 地獄 流し に 干渉 する こと は なかった から なぁ |ながい|あいだ|じごく|ながし||かんしょう||||||

ど っか で 普通に 暮らして る と 思って た んだ が |||ふつうに|くらして|||おもって|||

はじめ ちゃん どうし てる んだろう ね ||どう し|||

父親 か ぁ ちちおや||

だいたい の 場所 は つかめた よ ||ばしょ|||

地獄 通信 に 柴田 つぐみ の 名前 書いて は 消して る 奴 の 場所 じごく|つうしん||しばた|||なまえ|かいて||けして||やつ||ばしょ

いったい どうして あの 子 の こと を 地獄 に なんて |||こ||||じごく||

で どんな 按排 なんで ぇ その … ||あんばい|||

今 山 童 が 行って る いま|やま|わらべ||おこなって|

え いや あ って こと は … あれ も 一緒 か ぁ ||||||||いっしょ||

廃墟 だった の を 今年 初め に 買った そうです はいきょ||||ことし|はじめ||かった|そう です

何 ヶ月 も 業者 が 工事 して たって いう けど なん|かげつ||ぎょうしゃ||こうじ||||

ボロボロ じゃ ん ちょ ー 微妙 ちょ ー 微妙 ぼろぼろ||||-|びみょう||-|びみょう

姫 駄目です よ ひめ|だめ です|

まだ 送信 さ れて ない んだ し |そうしん|||||

様子 を 見る だけ だ よ ー ようす||みる||||-

お前 の 物 は 俺 の 物 おまえ||ぶつ||おれ||ぶつ

地獄 の 沙汰 も 金次 第 ー じごく||さた||きんじ|だい|-

どこ で 覚えて くんだ ろ ああいう の ||おぼえて||||

大丈夫です か ? だいじょうぶ です|

姫 ! ひめ

通り抜け られ なかった ぁ ー とおりぬけ||||-

おかしい な 僕たち に 現世 の 壁 なんて ||ぼくたち||げんせ||かべ|

うん こっち は 変わり ない よ |||かわり||

そっち は ? お 父さん 元気 ? |||とうさん|げんき

そう な んだ

う うん   別に 用事 だった わけじゃ なくて … ||べつに|ようじ|||

あい また 戻って 来た んだ ねぇ ||もどって|きた||

そう ね おばあ ちゃん

あい は その こと 望んで いた かい ? ||||のぞんで||

寂しい の は 慣れた から さびしい|||なれた|

でも 二 人 に は 早く 帰って 来て 欲しい なって |ふた|じん|||はやく|かえって|きて|ほしい|

あ 違う |ちがう

うん なんでもない から 心配 し ないで |||しんぱい||

はじめ ちゃん おかしい ね

わたし が 地獄 通信 に 書か れた みたい ||じごく|つうしん||かか||

それ も いい の かも

逆の 側 に なる より ぎゃくの|がわ|||

その ほう が ずっと マシ

柴田 つぐみ 様 です ね しばた||さま||

どなた です か ?

溝 呂木 と いう 者 の 使い で 参り ました みぞ|ろき|||もの||つかい||まいり|

桔梗 と 申し ま ききょう||もうし|

溝 呂木 が 柴田 様 に 是非 お目にかかり たい と みぞ|ろき||しばた|さま||ぜひ|おめにかかり||

関心 あり ませ ん かんしん|||

この 本 に 書いて ある こと に ついて の お 話 です が |ほん||かいて|||||||はなし||

地獄 少女 に ついて 唯一 真実に 迫った と いわ れる この 本 じごく|しょうじょ|||ゆいいつ|しんじつに|せまった|||||ほん

あなた の 父 君 が 書か れた もの です ね ||ちち|きみ||かか||||

です ので つぐみ 様 に 是非 ご 同道 を お 願い し たく |||さま||ぜひ||どうどう|||ねがい||

柴田 先生 が どうして 地獄 流し に … しばた|せんせい|||じごく|ながし|

どうして 来た の ? |きた|

止める ため に ? とどめる||

柴田 先生 が 何 を したって いう の ? しばた|せんせい||なん||||

わたし の 務め は ||つとめ|

地獄 に 流して 欲しい 人 の 願い を 叶える こと じごく||ながして|ほしい|じん||ねがい||かなえる|

あなた は 何も 考え ない の ? ||なにも|かんがえ||

流して いい 人 な の か どう か と か ながして||じん|||||||

おかしい よ ! わたし に は よく わかん ない けど

そんな の おかしい   そんな の …

しかし どうした もんか なぁ

山 童 の 言う に は やま|わらべ||いう||

俺 たち の 力 で は この 屋敷 に 入る こと は でき ねぇ と おれ|||ちから||||やしき||はいる|||||

そう 言 や 山 童 と きく り は どこ 行った ん だい |げん||やま|わらべ||||||おこなった||

まったく …

柴田 先生 しばた|せんせい

久しぶり ひさしぶり

久しぶり ね つぐみ ひさしぶり||

みなさん お 揃い です ね ||そろい||

では 中 に ご 案内 し ます |なか|||あんない||

ちょっと 待って 柴田 先生 |まって|しばた|せんせい

先生 の 名前 が 地獄 通信 に 書か れちゃ った んです よ せんせい||なまえ||じごく|つうしん||かか|||ん です|

知って る わ しって||

なんか 息苦しい ね   この 中 |いきぐるしい|||なか

山 童 が 言って た の は この こと か やま|わらべ||いって||||||

待て その エレキテル みて え なや つ だ まて|||||||

お 嬢   近づ かね いほう が いい |じょう|ちかづ||||

こんな からくり で 遊んで 欲しい の ? |||あそんで|ほしい|

その 装置 は リバーサ |そうち||

あなた 方 の 持つ 超 自然 的な 力 に 反発 する |かた||もつ|ちょう|しぜん|てきな|ちから||はんぱつ|

EMR 発生 装置 だった のです が … |はっせい|そうち||の です|

呼んだ ? よんだ

ええ 呼び ました よ 地獄 少女 |よび|||じごく|しょうじょ

そして 柴田 つぐみ さん |しばた||

前 に お 会い した こと は あり ました か ? ぜん|||あい||||||

いいえ つぐみ さん は どうぞ そちら の イス へ |||||||いす|

いったい 何の まね だい ! |なんの||

先生 地獄 流し に しよう と いう の ? せんせい|じごく|ながし|||||

どんな 怨み が ある の よ |うらみ||||

実のところ 怨み は 無い んです じつのところ|うらみ||ない|ん です

いや むしろ わたし は つぐみ さん の お 父さん ||||||||とうさん

この 本 を 書いた 柴田 一 氏 を 敬愛 して い ます |ほん||かいた|しばた|ひと|うじ||けいあい|||

こいつ は 妙だ ぜ 相応の 怨み の 念 が 無きゃ ||みょうだ||そうおうの|うらみ||ねん||なきゃ

地獄 通信 に アクセス すら でき ねえ はずだ じごく|つうしん||あくせす||||

ああ その こと は 後 で 説明 し ましょう ||||あと||せつめい||

まずは わたし が どういう 人間 か 知って もらい たい ||||にんげん||しって||

溝 呂木 省吾 応用 数学 者 みぞ|ろき|しょうご|おうよう|すうがく|もの

二十 年 前 に 高 確率 の 空間 予測 を 可能 と する にじゅう|とし|ぜん||たか|かくりつ||くうかん|よそく||かのう||

溝 呂木 定数 なる もの を 発見 し みぞ|ろき|ていすう||||はっけん|

その後 消息 を 絶った そのご|しょうそく||たった

わたし が 見出した 空間 予測 定数 は ||みいだした|くうかん|よそく|ていすう|

それ 自体 は ただ の 数式 です が |じたい||||すうしき||

ある 特殊な 分野 で 非常に 有効だった んです |とくしゅな|ぶんや||ひじょうに|ゆうこうだった|ん です

これ から の 戦争 は 無人 兵器 に よる 戦闘 が 主流 に なる と |||せんそう||むじん|へいき|||せんとう||しゅりゅう|||

考え られて い ます かんがえ|||

その ほう が リスク が 少ない から です |||りすく||すくない||

空間 予測 定数 それ は 軍事 分野 に 有効だった のです くうかん|よそく|ていすう|||ぐんじ|ぶんや||ゆうこうだった|の です

人 の 命 も 計算 かい じん||いのち||けいさん|

わたし の 定数 は ||ていすう|

無人 攻撃 機 の 機能 を 飛躍 的に 高める こと が わかり むじん|こうげき|き||きのう||ひやく|てきに|たかめる|||

わたし は わたし が 発見 した 定数 と ||||はっけん||ていすう|

溝 呂木 省吾 と いう 人格 ごと ある 企業 に 買収 さ れ ました みぞ|ろき|しょうご|||じんかく|||きぎょう||ばいしゅう|||

わたし は それ で 満足でした ||||まんぞくでした

表 に 出 なければ 好きに 残り の 人生 を 送れる ひょう||だ||すきに|のこり||じんせい||おくれる

しかし わたし の 定数 は |||ていすう|

違う もう 一 つ の こと を 明らかに して いる と 気づいた んです ちがう||ひと|||||あきらかに||||きづいた|ん です

この 実 世界 と は 別に 見え ない 別の 世界 が 存在 して いる |み|せかい|||べつに|みえ||べつの|せかい||そんざい||

即 ち それ は 地獄 が 実在 する と いう こと です そく||||じごく||じつざい|||||

数式 が 地獄 の 実在 を 証明 して いる すうしき||じごく||じつざい||しょうめい||

この こと に わたし は 心 を 奪わ れた |||||こころ||うばわ|

なぜ そこ まで わたし が 地獄 に 魅 かれる の か |||||じごく||み|||

しばらく たって やっと 思い出した |||おもいだした

自分 の 育て られた 家庭 が じぶん||そだて||かてい|

まず 地獄 だ と いえ なく も なかった |じごく||||||

いや これ は まったく の 比喩 な んです が |||||ひゆ||ん です|

母 は 父 を 地獄 へ 送った と わたし に 言った けれど はは||ちち||じごく||おくった||||いった|

幼かった わたし に は その 意味 は よく わから なかった おさなかった|||||いみ||||

その 母 も 数 年 後 に は い なく なって しまった |はは||すう|とし|あと||||||

地獄 そこ へ 流す 者 と 流さ れる 者 が いる じごく|||ながす|もの||ながさ||もの||

ハイゼンベルク 以降 |いこう

絶対 と いう もの は 絶対 で なく なった この 世界 で ぜったい|||||ぜったい|||||せかい|

地獄 の 存在 の 絶対 性 と は なんと 魅惑 的な もの だろう と じごく||そんざい||ぜったい|せい||||みわく|てきな|||

わたし は 地獄 流し に ついて 調べ ました ||じごく|ながし|||しらべ|

もちろん 基本 的な 理解 は 柴田 一 氏 の 著作 から 得 ました |きほん|てきな|りかい||しばた|ひと|うじ||ちょさく||とく|

昔 は 新聞 の 三 行 広告 むかし||しんぶん||みっ|ぎょう|こうこく

ベーシック で 書か れた 原始 的な BBS ||かか||げんし|てきな|

そして ネット 携帯 へ と |ねっと|けいたい||

施設 に 沿って 変遷 し つつ しせつ||そって|へんせん||

地獄 少女 が 怨み を 聞き届ける その 基本 は 普遍 に 続いて いる じごく|しょうじょ||うらみ||ききとどける||きほん||ふへん||つづいて|

そんなに 前 から |ぜん|

地獄 流し と は じごく|ながし||

一 つ の 地域 で 集中 的に 起こる 傾向 が ある こと を わたし は 知った ひと|||ちいき||しゅうちゅう|てきに|おこる|けいこう|||||||しった

町 ひと つ が 崩壊 する まで エスカレート する こと も あった まち||||ほうかい|||えすかれーと||||

あれ は ひどかった ね

この 賽 河原 市 でも それ が 起こり つつ ある |さい|かわはら|し||||おこり||

そして わたし は 知った |||しった

地獄 少女 が 再び 肉体 を この 地 で 得た こと じごく|しょうじょ||ふたたび|にくたい|||ち||えた|

さらに 柴田 一 の 娘 地獄 少女 と 深い 関わり を 持った |しばた|ひと||むすめ|じごく|しょうじょ||ふかい|かかわり||もった

柴田 つぐみ まで も が この 町 に いる と しばた||||||まち|||

地獄 少女 に 会い たい それ で 柴田 先生 の 名前 を ? じごく|しょうじょ||あい||||しばた|せんせい||なまえ|

ええ 地獄 少女 に は 藁 人形 の 化身 が 従者 と して 仕えて おり |じごく|しょうじょ|||わら|にんぎょう||けしん||じゅうしゃ|||つかえて|

超 自然 的な 能力 を 持つ こと も わかって いた ので ちょう|しぜん|てきな|のうりょく||もつ|||||

この 屋敷 を 作った のです 対等に 話 が できる ように ね |やしき||つくった|の です|たいとうに|はなし|||よう に|

どうか して る ぜ

しかし 合点 が いか ねえ |がてん|||

さっき も 言った が ||いった|

怨み の 念 が 無きゃ 地獄 通信 に アクセス は でき ねえ はずだ うらみ||ねん||なきゃ|じごく|つうしん||あくせす||||

地獄 の 存在 を わたし は 客観 的に 知り たかった じごく||そんざい||||きゃっかん|てきに|しり|

しかし   わたし に は 地獄 に 流し たい ほど 憎む 人間 も ||||じごく||ながし|||にくむ|にんげん|

この 現世 に は い ない |げんせ||||

憎悪 の 情 動 さえ 生成 できれば ぞうお||じょう|どう||せいせい|

地獄 通信 が 繋がる のだ と すれば … じごく|つうしん||つながる|||

何 を し たんだい ? なん|||

彼 は 催眠 療法 師 です わたし の 深層 心理 に かれ||さいみん|りょうほう|し||||しんそう|しんり|

柴田 つぐみ に 対する 憎悪 の 情 動 を 植えつけて もらった のです しばた|||たいする|ぞうお||じょう|どう||うえつけて||の です

作り事 の 憎しみ そんな こと まで して … つくりごと||にくしみ||||

おかしい よ みんな

それ で 何 を 証明 し たかった んです か ? ||なん||しょうめい|||ん です|

地獄 流し と いう システム の 持つ 矛盾 じごく|ながし|||しすてむ||もつ|むじゅん

たとえば その 怨み が ||うらみ|

誤解 や 逆 怨み の 妥当 性 の 無い もの だ と して も ごかい||ぎゃく|うらみ||だとう|せい||ない|||||

地獄 流し は 行わ れて しまう じごく|ながし||おこなわ||

幼い とき から わたし は 人 が 地獄 へ 流さ れる 印 と して おさない|||||じん||じごく||ながさ||いん||

鈴 の 音 を 聞き 続けて きた すず||おと||きき|つづけて|

それ が どんなに 間違った 怨み でも |||まちがった|うらみ|

地獄 少女 は 地獄 へ 流して しまう し じごく|しょうじょ||じごく||ながして||

わたし は それ を 止め られ なかった ||||とどめ||

そう そう よ だ から 間違って る ! |||||まちがって|

地獄 流し なんて やっちゃ 駄目な の ! じごく|ながし|||だめな|

確かに たしかに

俺 たち は 理不尽 だって 感じ ながら も 流した 人間 が い 大勢 いる おれ|||りふじん||かんじ|||ながした|にんげん|||おおぜい|

けど それ が 俺 たち の 仕事 なんだ から |||おれ|||しごと||

あなた は 何も 考え ない の ? そういう こと ||なにも|かんがえ||||

考え なかった と 思う ? かんがえ|||おもう

呪い と は 弱い 人間 の ルサンチマン が 持てる 最後 の 救いだ まじない|||よわい|にんげん||||もてる|さいご||すくいだ

人 は 地獄 を 神格 化 し 呪い と いう システム を 作り出した じん||じごく||しんかく|か||まじない|||しすてむ||つくりだした

つまり 地獄 は 人々 が 生み出した 幻想 で しか ねえ と |じごく||ひとびと||うみだした|げんそう||||

いや   そう であって は なら ない のだ

わたし に とって 地獄 は 絶対 的に 存在 し なければ なら ん |||じごく||ぜったい|てきに|そんざい||||

倫理 や 道徳 と いう 人間 社会 の 都合 で できた もの と は りんり||どうとく|||にんげん|しゃかい||つごう|||||

隔絶 した 究極 の 不条理 かくぜつ||きゅうきょく||ふじょうり

それ こそ が 地獄 |||じごく

閻魔 あい 君 こそ は その 不条理 の 象徴 な のだ よ えんま||きみ||||ふじょうり||しょうちょう|||

地獄 少女 会い たかった じごく|しょうじょ|あい|

会い たかった の は わたし じゃ ない あい||||||

一目 連 いちもく|れん

お 嬢 ! |じょう

これ が 地獄 少女 の する こと ? ||じごく|しょうじょ|||

こんな 間違った こと なんて わたし 絶対 し たく ない ! |まちがった||||ぜったい|||

柴田 先生 先生 流さ れちゃ う んです よ しばた|せんせい|せんせい|ながさ|||ん です|

何の 罪 も 無い のに ! なんの|ざい||ない|

罪 は 無い わけじゃ ない ざい||ない||

わたし は はじめ ちゃん の こと …

だから そう なって も かまわ ない の

もう 一 人 で いる の 疲れちゃ った し |ひと|じん||||つかれちゃ||

先生 ! せんせい

その 赤い 糸 を 解いたら どう なる かも 知って る んだ ろ ! |あかい|いと||といたら||||しって|||

当然 そう 長い こと なく わたし 自身 も 地獄 へ 流さ れる とうぜん||ながい||||じしん||じごく||ながさ|

つぐみ を 巻き込む こと は ねえ だ ろ ! ||まきこむ|||||

わたし に かかって いる 催眠 は ||||さいみん|

ある キーワード が トリガー に なって 解ける |きーわーど|||||とける

その 時 わたし の こと を 存分に さげすんで くれ |じ|||||ぞんぶんに||

やめて ー ! |-

一 遍 死んで みる ? ひと|へん|しんで|

お 嬢 ! |じょう

トリガー を 聞いた が わたし は まだ 糸 を 解いて い ない ||きいた|||||いと||といて||

やっぱり 子ども が いた |こども||

糸 を 解いた の は あの 人 だ よ いと||といた||||じん||

桔梗 お前 ききょう|おまえ

お 許し ください |ゆるし|

わたし は この 子 たち が あなた を 流そう と して いる の を 知り |||こ|||||ながそう||||||しり

あなた と 同じ 方法 で 地獄 流し を 頼んだ のです ||おなじ|ほうほう||じごく|ながし||たのんだ|の です

あなた は 自分 の 発見 した 数字 が ||じぶん||はっけん||すうじ|

罪 無き 命 を 奪う こと を 心 の 奥 で 責めて いた ざい|なき|いのち||うばう|||こころ||おく||せめて|

だから 戦地 で 親 を 失った 子ども たち を 引き取り |せんち||おや||うしなった|こども|||ひきとり

養育 して いた よういく||

偽善 さ ぎぜん|

ええ この 子 たち は ||こ||

無差別に 人 の 命 を 奪える 兵器 を 作った あなた を むさべつに|じん||いのち||うばえる|へいき||つくった||

許せ なかった のです ゆるせ||の です

お前たち が … おまえたち|

そう か すまなかった ね

桔梗 この 子 たち を 頼む ききょう||こ|||たのむ

これ で また 会える の か お 母さん |||あえる||||かあさん

この 怨み 地獄 へ 流し ます |うらみ|じごく||ながし|

柴田 先生 ! しばた|せんせい

もし かして 先生 も そう だった んじゃ ない んです か ? ||せんせい||||||ん です|

なに が

先生 も 地獄 少女 に なる 定め だった んじゃ ない んです か ? せんせい||じごく|しょうじょ|||さだめ||||ん です|

そう かしら   定め と は 本来 あらがえ ぬ もの ||さだめ|||ほんらい|||

わたし は そう 思って いる わ |||おもって||

わたし は 嫌 ! ||いや

定め って なに ? 誰 が そんな もの 決める の ! さだめ|||だれ||||きめる|

どう すれば いい の   あたし …

貴方 の 怨み   晴らし ます あなた||うらみ|はらし|

名前 は ? なまえ|

菊池 海 斗 きくち|うみ|と

今 の お 母さん は 本当の お 母さん じゃ ない んだ ね いま|||かあさん||ほんとうの||かあさん||||

うん でも とって も 優しく して くれた んだ ||||やさしく|||

だけど 変わっちゃ った |かわっちゃ|

そして 父さん も |とうさん|

我慢 して た けど やっぱり 辛い 悲し いよ がまん|||||からい|かなし|

それ で 君 は … ||きみ|

次回 じかい

谎言 的 正面 谎げん|てき|しょうめん