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火星の記憶 (The Memory of Mars) by Raymond F. Jones, パート16

パート 16

とはいえ 、メル は 自分 の 予想 が まちがって いる こと を 知っていた 。 意地 の 張り合い なら アリス も 負けて は いない 。 彼 の ほう が 荷物 を まとめて ついてくる と 考え 、別の 船 に 乗り移って しまう だろう 。 彼 は ベッド に 座り 、一瞬 、頭 を 抱えた 。 かすかな 振動 が 船体 を 走り抜け 、金属 が ぶつかる 、うつろな 響き が 聞こえた 。 正体 不明 の 船 が マーシャン ・プリンセス 号 と ドッキング した のだ 。 いま エアロック を 連結 している 。

舷窓 から 信じられ ない ほど 巨大な 宇宙 船 が 見えた 。 窓 に 近づき 、カーテン を 押し 開けた 。 彼 の 印象 は 正しかった 。 船 は 真っ黒 だった のだ 。 黒くて 、名前 が なく 、窓 も ない 。 見た かぎり 、船体 に は マーク や 舷窓 が いっさい ついて いなかった 。

これ から どう すれば いい の か 、わから なかった が 、しかし あの 船 に 乗ら ない こと だけ は 確かだった 。 部屋 の 中 を 歩きながら 、自分 の 心 を 満たしている のは 愚かしい 神経症的な 不安に すぎない 、コネモーラ 宇宙 航空 の ような 大会社 が 五千人 の 人 にたいして ――いや ひとり の 人間 にたいして さえ ――ふらちな こと を たくらむ わけがない 、と 自分 に 言い聞かせた 。 彼ら が そんな 危険な まね を する はず が ない で はない か 。

彼 は その 不安 を 振り払う こと が できなかった 。 どんな こと に なろう と も 、あの 黒い 船 に は 乗ら ない ぞ 、と 彼 は 決意 した 。

部屋 を 見まわす 。 ここ に いる わけに は いか ない 。 きっと 見つかって しまう 。 どこ か に 隠れ なければ 。 彼 は じっと 立ちつくし 、舷窓 の 外 を 凝視 した 。 船 の 中 に は 安心 して 隠れて いられる 場所 は ない 。 でも 船 外 なら どう だろう 。

アリス の こと を 考える と 決心 が 鈍った 。 しかし あの 黒い 船 が なんで あろう が 、彼 まで 乗り込んで しまって は 、だれ を も 助ける こと が でき ないで は ない か 。 彼 は 地球 に 帰り 、なに が 起きた の か を 突き止め 、その 筋 に 警告 しなければ ならない のだ 。 アリス を 助ける に は それ しか 方法 が ない のだ 。

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