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ゴシック (Gosick), Gosick Episode 11

Gosick Episode 11

( ブロワ 侯爵 ) 最近 しきりと 野 を うろつ い て いる そう だ な ―

灰色 狼 ( は い いろ おおかみ ) は

( グレ ヴィール ) ふ … 不徳 の 致す ところ です 父上

ですが 私 は 我ら ブロワ 侯爵 家 の 名誉 を 守 ろ う と …

( ブロワ 侯爵 ) 汝 ( なんじ ) ら は 地 の 塩 なり

( グレ ヴィール ) は ?

( ブロワ 侯爵 ) 塩 も し 効力 を 失わ ば 何 を もて か これ に 塩 す べき

妹 から 目 を 離す な

それ 以上 の 働き は お前 に 望 ん で おら ん

( 通話 が 切れる 音 )

しょせん 張り子 の 虎 の 名声 か

( ため息 )

ジャクリーヌ

♪ ~

~ ♪

( ジャクリーヌ ) あー おいしい !

( マリ オン ) です ねえ

あっ ところで おじさん この 辺 に 馬車 の 拾 える 所 は …

あっ ところで おじさん この 辺 に 馬車 の 拾 える 所 は …

( 店主 ) ん ? ( ジャクリーヌ ) あっ !

あっ ところで おじさん この 辺 に 馬車 の 拾 える 所 は …

( ジャクリーヌ ) お ー い 乗り ま ー す !

ちょ っ あっ

奥様 ~

う っ … わ あっ う っ … ( 行商 の 男性 ) お っ

う う っ あ あっ

ごめん あそば せ

( 一弥 ( かず や ) ) えっ ? 図書 館 に お 客 様 を … です か ?

( セシル ) そう な の よ

ご 自宅 の 蔵書 を 寄贈 し に 見え た の だ けれど ―

どう し て も 中 を 見学 し たい って 聞か なく って

お 待た せ し まし た シニョレー 警視 総監 夫人

彼 が ご 案内 いたし ます

ん ? ジャクリーヌ さん ?

あら 君 は !

( ジャクリーヌ ) ウッフフ ( 一弥 ) う う わ っ

そ っか ここ の 生徒 さん だった の ね ( 一弥 ) いっ … ひ いっ … う う …

メルシーボークー フフフ ( 一弥 ) う う っ ちょ っ ちょ っ …

あっ は ぁ …

( マリ オン ) は ぁ

久 城 ( くじょう ) 君 お 知り合い な の ?

え … ええ まあ

( ヴィクトリカ ) ジャクリーヌ ? そう か ソヴレム で 会った の か

( 一弥 ) うん あの 人 って ブロワ 警部 と どう いう 関係 ?

彼女 は グレ ヴィール が 子供 の 頃 から ―

懸 想 し て いる 幼なじみ だ

えっ け … 懸 想 ?

もちろん 向こう は 何 と も 思って い ない よう だ が ね

ちなみに グレ ヴィール の あの 髪形 も ―

彼女 が 原因 な の だ よ

( 一弥 ) ん ?

そう いえ ば 警部 何 か の 事件 解決 を ―

君 に 頼 ん だ おかげ で ああ なった って

うむ その 件 に ジャクリーヌ も 関係 し て い た の だ

( 一弥 ) ふ ー ん

( 一弥 ) この 人 が ブロワ 警部 の …

( ジャクリーヌ ) ねえ ねえ ( 一弥 ) ん ?

( ジャクリーヌ ) あれ ヘビ み たい 面白い

( ジャクリーヌ ) フフフ ( マリ オン ) 面白い

( 一弥 ) か … 変わった 人 だ な

ねえ グレ ヴィール は 元気 に し てる ?

( 一弥 ) ん ?

この 後 不意 に 訪ね て 驚 かす つもり な の だ けれど ウフフ

ああ そう な ん です か

私 は 苦手 です ね あの 人

何だか 偉 そう だ し それ に とんがって る し

あら 昔 は 違った の よ

一体 なぜ あんな 髪形 に し た の か 何べん 聞い て も 教え て くれ ない の

一体 なぜ あんな 髪形 に し た の か 何べん 聞い て も 教え て くれ ない の

( 一弥 ) ん ?

でも グレ ヴィール も 今や 名 警部 さん です もの ね

私 も 鼻 が 高く て

( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと

( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと

( ジャクリーヌ ) いい わ ね ここ の お 庭

( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと

( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと

うち に も あの 花 を 植えよ う かしら

知ら れる わけ に は いか ない な

( 2 人 の 笑い声 )

( 2 人 の 笑い声 )

( 2 人 の 笑い声 )

まさか あそこ に 本物 の 名 探偵 が いる なんて

まさか あそこ に 本物 の 名 探偵 が いる なんて

( ヴィクトリカ ) うむ

( 扉 が 開く 音 )

何 だ 久 城 か ?

まったく あの 男 は 私 の 平穏 を 乱す こと しか …

( ジャクリーヌ ) まあ すてき ! や っほ ~

( ヴィクトリカ ) えっ ! ?

( 山びこ ) や っほ ~

うん !

( マリ オン ) あの 奥様

急ぎ ませ ん と この 後 警察 署 に 立ち寄る 時間 が …

( ジャクリーヌ ) あっ それ は 困る わ

でも せっかく めったに 来 られ ない 名所 な の に

この 図書 館 が … です か ?

ええ そう よ 特に ね …

17 世紀 の 初め 学園 を 創立 し た 当時 の 国王 が ―

愛人 と の あ いびき の ため に 作った と いう 伝説 の ―

最上 階 に ある 植物 園 が !

( 一弥 ) な っ

( ジャクリーヌ ) あ あっ もう ! やっぱり 我慢 でき ない

ちょっと だけ

( マリ オン ) ちょ っ 奥様 !

う っ マズ い ! 上 に は …

何 だ ? あの 騒々しい 飢え た ダチョウ の ごとき 女 は

( ジャクリーヌ ) あ あ ~ ( ヴィクトリカ ) う っ

( ジャクリーヌ ) この 階段 迷路 み た ー い !

面白い !

( 2 人 ) ハァ ハァ …

( マリ オン ) お … 奥様 お 待ち に …

こら ~ 待ち や がれ !

そ … そう です よ え えっ と

( マリ オン ) 奥様 お 待ち ください !

( 一弥 ) ダメ です ! ストップ !

( ヴィクトリカ ) あっ 久 城 …

( 一弥 ) 上 に は その … 金色 の お化け が 出 ます !

( ヴィクトリカ ) むっ

( ジャクリーヌ ) お化け ?

( 一弥 ) はい ! 見つかったら マカロン み たい に ―

むしゃ むしゃ 食べ られ ちゃ い ます よ だ から 下 へ !

むしゃ むしゃ 食べ られ ちゃ い ます よ だ から 下 へ !

( ヴィクトリカ ) バカ 久 城 め 失敬 な

面白い ならば ご 要望 の とおり 震え上がら せ て やろ う で は ない か

( ジャクリーヌ ) お化け だ お化け だ ~ わ ~ い ! ウフフ

( 一弥 ) ちょ っ !

( ヴィクトリカ ) ♪ こ … 怖く なんか ない ぞ

( 階段 を 駆け上がる 音 )

( 階段 を 駆け上がる 音 )

( 階段 を 駆け上がる 音 )

♪ バカ 久 城 も いる ~ し ~

( ジャクリーヌ ) 着 い た わ ここ ね お化け は …

( ジャクリーヌ ) あら ? ( ヴィクトリカ ) ん ん っ

( ジャクリーヌ ) まあ 等 身 大 の ビスク ドール

なんて かわいい お 人形 な の !

( ヴィクトリカ ) ん ん っ

すごい わ まるで 本当 に 生き てる みたい

え ?

温かい ?

いかに も 残念 ながら この とおり 生き て いる

( ジャクリーヌ ) キャー !

イタッ 痛い

ごめんなさい !

あなた も しか して この 学園 の 生徒 さん ?

いちご の 棒 付き キャンディー 食べる ? お 嬢ちゃん

無論 だ

は … は ぁ

私 は ジャクリーヌ ・ ド ・ シニョレー あなた は ?

( ヴィクトリカ ) ん ? ほう で は 君 が

えっ 知って る の ? 私 の こと

( ヴィクトリカ ) む …

( 一弥 ) ああ 彼女 は です ね 実は ブロ …

( ヴィクトリカ ) う ー っ ( 一弥 ) う っ

( ジャクリーヌ ) ん ? ん …

ところで ―

君 たち は 何 だって わざわざ ここ を 訪れ た の だ ね ?

( ジャクリーヌ ) あっ ( マリ オン ) それ は です ね

( マリ オン ) 私 ども は こちら に この 本 を 寄贈 する ため …

( 一同 ) え ?

って あの …

本 など 入って い ない が

( マリ オン ) え ! ?

え えっ ! ?

( 一弥 ) 化粧 水 お 肌 の クリーム …

ど … どこ で …

入れ 代わった の かしら

( 行商 の 男性 ) あれ が ない と 困る ん です

( 行商 の 男性 ) あれ が ない と 困る ん です

( グレ ヴィール ) ん ?

( 行商 の 男性 ) お 願い し ます ( グレ ヴィール ) 何事 だ

( フラン ) はっ その 行商 品 の カバン を 捜し て くれ と

広場 で どこ か の メイド と ぶつかった 際 ―

荷物 を 取り違え た らしく …

ん っ その 紋章 は …

( シニョレー ) ああ ジャクリーヌ なら ―

確か に そちら を 訪ね て いる よ

おかしい な まだ 君 の 所 に は 顔 を 出し て ない の かい

( グレ ヴィール ) な … なぜ ?

聖 マルグリット 学園 の 図書 館 へ 本 を 寄贈 し に さ

バカンス の 荷造り 中 屋根 裏 部屋 で 見つけ た らしい ん だ が

何たる こと だ

( マリ オン ) 申し訳 あり ませ ん 奥様

いい わ よ 気 に し ない で

それ より きれい ね あの 天井 画

ふん っ

ヴィクトリカ 怒って る ?

( ヴィクトリカ ) 別に

( ジャクリーヌ ) あ … キュー ちゃん

( ヴィクトリカ ) あっ

昔 飼って た シマリス の 名前

背中 に アルファベット の “ q ” の 字 に 似 た 模様 が あった の

あなた を 見 て たら 何だか 思い出し ちゃ って

ふん っ あまり に 知性 と 無縁 の ネーミング だ な

まったく 失礼 な … はっ

おい 君 その 話 は

( ジャクリーヌ ) あれ は 数 年 前

ちょうど 私 に 夫 と の 縁談 が 持ち上がった 頃 だ わ

キュー ちゃん が 病気 で 死 ん で しまって …

そして 私 は 殺人 事件 の 容疑 者 に

( 一弥 ) それ って …

あの ちなみに 被害 者 は …

( ヴィクトリカ ) ん っ ( 一弥 ) ひ っ

ええ キュー ちゃん の 主治医 だった 獣医 の 先生 よ

ご 自宅 で 胸 を 刺さ れ て 亡くなって い た の

現場 に は 先生 が 最後 の 力 を 振り絞って 書 い た ―

“ q ” の 文字 が 残さ れ て い た わ

いわゆる ダイイング メッセージ ね

えっ “ q ” って さっき の

( ジャクリーヌ ) そう 死 ん だ キュー ちゃん の “ q ”

しかも ね それ だけ じゃ なく ―

お 葬式 の 時 先生 の 奥様 ポーラ さん の 腕 に ―

ひとりでに 謎 の 文字 が …

( ポーラ ) あ あー っ !

( ジャクリーヌ ) 亡くなった 先生 から の メッセージ だ と ―

みんな うわさ し て い た わ

その 鏡 文字 の 内容 は ―

“ ジャクリーヌ が 俺 を 殺し た ”

( 一弥 ) あっ

確か に 古来 より 左右 反転 し た 鏡 文字 は ―

呪い の 儀式 に 用い られる と さ れ て いる

つまり そこ に 居合わせ た 連中 は 死者 から の 告発 と 取った わけ だ

物知り な の ね お 嬢ちゃん

当然 だ 私 の 知恵 の 泉 が 告げ て いる の だ

( 一弥 ) 間違い ない

これ が 昔 ブロワ 警部 が 再 構成 を 頼 ん だ 事件 な ん だ

( ジャクリーヌ ) グレ ヴィール

どう し た の ? そんなに ムスッ と し て

ほら 笑って ほら ほら ほら ほら ~

ジャクリーヌ 君 元 気 が ない ね

( ジャクリーヌ ) え ?

( グレ ヴィール ) 元 気 が ない 時 の 君 は ―

決まって バカ を する

寝癖 の つい た まん ま で ぼんやり 出かけ たり ―

その くせ 妙に は しゃい だ り

今 だって ほら

そんなに も 衝動 買い を

こ これ は … その …

例 の 事件 の こと は 聞い た よ 許し がたい な

世間 の 無責任 な うわさ って やつ は

( ジャクリーヌ ) しかたない わ

あの 呪い の 文字 が 出 て き た の は 確か に 事実 な ん だ し

( グレ ヴィール ) ん …

お 断り しよ う と 思う の シニョレー さん と の 縁談 も

え ?

そりゃ あ 確か に 楽しく て 気 が 合う 方 だ し ―

ちょっと お 魚 の フナ に 似 てる ところ も ―

よく 見る と キュート な の よ

でも やっぱり 警察 の 方 です も の

ご 迷惑 を お かけ する わけ に も いか ない わ

ジャクリーヌ

灰色 狼 め

彼女 に 余計 な こと を しゃべって い たら ―

たとえ 父上 が 何と おっしゃ ろ う と 決して 許さ ん !

( ジャクリーヌ ) 墓地 で の 一 件 以来 私 は 世間 に 犯人 扱い さ れ た わ

きっと ペット の 恨み で 先生 を 刺し た に 違いない って

でも 不思議 な こと に その 後 すぐ …

なぜ か 真 犯人 が 自首 し 奥様 へ の 疑い は 無事 晴れ た の です

そして 旦那 様 の 元 へ と 嫁ぎ マダム ・ シニョレー に

あっ そう いえ ば グレ ヴィール の 髪形 が ああ なった の も ―

確か その 頃 だった よう な

う う っ ぐ … 偶然 だ

( 一弥 ) ん ん …

あの ジャクリーヌ さん それ で 結局 真 犯人 と いう の は …

え ? ええ … それ は ね

奥様 そろそろ お 時間 が

あっ ごめんなさい そろそろ グレ ヴィール の 所 へ 行か ない と

続き は まだ 今度 ね

( 一弥 ) え ?

楽しかった わ 二 人 と も

( 一弥 ) ああ …

( ジャクリーヌ ) わ ~ い ! ウフフ ( マリ オン ) 奥様 ! 待ち や がれ !

( 一弥 ) な … なんか 嵐 みたい な 人 だった ね

( ヴィクトリカ ) ふん

( 一弥 ) で さあ ヴィクトリカ

( ヴィクトリカ ) 真 犯人 か ?

そんな もの 混沌 ( カオス ) と 呼ぶ まで も ない 子供 だまし だ

あ …

教え て やろ う 問題 の 獣医 を 殺し た の は ―

他なら ぬ 彼 の 妻 だ よ

あっ

ウフッ ねえ あっ ち に は 何 が

奥様 ! だ から も う っ !

( ヴィクトリカ ) で は 言語 化 し て やろ う

まず は 墓地 で の 呪い の 文字 の 件

あれ を 書 い た の は 獣医 の 妻 ―

ポーラ 自身 だ ( 一弥 ) お っ

彼女 は 左利き だった の だ よ

左利き の 中 に は ごく まれ に 鏡 文字 を スラスラ と 書 ける 者 が いる

彼女 は その 特殊 技能 を 利用 し 呪い の 鏡 文字 を 仕上げ た

( 一弥 ) は ああ

( ヴィクトリカ ) 狙い は ジャクリーヌ に 罪 を かぶせる こと

そして ポーラ に ―

その よう な 行動 を 取ら せる きっかけ と なった の が ―

殺害 現場 に 残さ れ て い た ―

ダイイング メッセージ

その 文字 を 警察 は …

キュー ちゃん の …

そんなに 嫌 な 顔 する こと ない じゃ ない

かわいい 名前 だ と 思う けど な 僕 は

うるさい ! とにかく 警察 の バカ ども は だ な

これ を ペット の 名 の 頭文字 “ q ” だ と 思い込 ん だ

( 一弥 ) あ あっ あの ヴィクトリカ ?

( ヴィクトリカ ) 刺さ れ た 獣医 は 恐らく ―

この よう な 姿勢 で 横たわって い た の だ ろ う

そして この よう な 姿勢 で 文 字 を 書こ う と する と ―

自然 と 左右 が 反転 し て しまう

つまり 獣医 は 妻 ポーラ の イニシャル “ P ” を 書 い た つもり だった の だ

( 一弥 ) ああ …

( ヴィクトリカ ) いわば もう 一 つ の 鏡 文字

私 が 再 構成 し た これ ら の 真相 を ―

グレ ヴィール は 正体 を 隠し て ポーラ に 告げ た

“ 自首 し なけ れ ば 警察 に 話し ます よ ” と ね

結果 観念 し た 彼女 は …

警察 に 自首 し た わけ だ ね

うむ ちなみに グレ ヴィール は 彼女 に 己 の こと を 固く 口止め し た

この こと は 一切 公 に さ れ て は い ない

そう か ~

警部 は 人知れず 事件 解決 に 協力 し て ジャクリーヌ さん の 幸せ を …

( ヴィクトリカ ) 再 構成 し た の は 私 だ

その 夢見 がち な 乙女 の よう な 顔 は よせ

エヘヘヘ

でも 代償 が あの 髪形 って いう の は いくら 何でも ひどく ない ?

むっ

う っ 正当 な 要求 だ

( エレベーター の 到着 音 )

ジャ … ジャクリーヌ は ?

うむ どうやら 既に ここ に は い ない よう だ な

( ため息 )

( 刑事 ) こちら に おら れ まし た か 総監

そろそろ 会議 が

それ は 確か 奥様 が 独身 時代 に 巻き込ま れ た 事件 の

( シニョレー ) うん たま に 思い出し て は 眺め て いる の だ よ

いささか 気 に なる こと が あって ね

( シニョレー ) 彼女 は 己 の 犯し た 罪 を 悔い ―

自ら 出頭 し た と 記さ れ て いる

だが …

誰 か こっそり 事件 の 解決 に 手 を 貸し て くれ た 者 が いる

私 に は そう 思 え て なら ない の だ よ

( 行商 の 男性 ) お 願い だ あれ が 見つから ない と 大 損害 だ

私 の カバン は !

まあ 落ち着 い て 待て 警部 に 心 当たり が ある らしい から

( 行商 の 男性 ) ああ …

( ジャクリーヌ ) あの … ( 2 人 ) ん ?

( ジャクリーヌ ) よろしい です か ?

( フラン ) あっ はい

こちら に ブロワ 警部 と いう 方 が …

( マリ オン ) あ あっ ( 行商 の 男性 ) おお っ

( マリ オン ) あ ~ ! あの 時 の ? ( 行商 の 男性 ) お ~ あんた !

( グレ ヴィール ) シニョレー 夫人 から の 寄贈 本 だ

君 から 司書 に でも 渡し て おき た まえ

は ぁ … でも なぜ 警部 が ?

( ヴィクトリカ ) ふん っ まったく めでたい 女 だ

善意 と 鈍感 が 手 を つなぐ と 一種 の 悪徳 に なる と いう よい 見本 だ

( グレ ヴィール ) だ が それ も ジャクリーヌ の よい 所 だ よ

( ヴィクトリカ ) あ …

警部 あの …

( グレ ヴィール ) 小 リス 君 君 は 外し て くれ た まえ

今日 は 特別 に あれ を 使って も いい ぞ

( 一弥 ) え ?

あ …

あ … はい

( グレ ヴィール ) その 灰色 狼 の 頭脳 は ―

確か に 優秀 極まりない の だ ろ う

私 の もの など と 違って な

だが 妹 よ お前 に は 心 が ない

あっ

覚え て いる か ? あの 夜 私 は お前 に こう 言った

( 雷鳴 )

( ヴィクトリカ ) 事情 は 分かった

だが 私 に あえて 解決 を 依頼 し に き た 理由 は ?

ジャクリーヌ を 救い たい から だ

彼女 を 愛し て いる から だ

愛 … それ は ?

私 は 生まれ て この かた その よう な 言葉 を 聞い た こと が ない

う っ

で お前 の 欲し がった 代償 が これ だ

だが こんな 髪形 など どう って こと は ない

( ヴィクトリカ ) くっ

( グレ ヴィール ) “ ジャクリーヌ を 二 度 と 愛す な ”

本当 に 私 を 苦しめ たい なら そう 要求 す べき だった の だ よ

だが 灰色 狼 の お前 は …

( ヴィクトリカ ) 黙れ

人間 なら 誰しも 当たり前 に 思いつく そんな こと すら …

黙れ う う っ

( グレ ヴィール ) ん っ

( エレベーター の ドア の 開閉 音 )

( エレベーター の 作動 音 )

違う … 私 は もう 違う の だ

昔 の 私 と は …

( 一弥 ) ん ~ 大丈夫 か な あの 二 人 …

あっ 警部

行って やれ 灰色 狼 が お 待ち だ ぞ

( 一弥 ) え ?

ん っ

( マリ オン ) 残念 で し た ね 奥様

結局 あの とんがった 警部 さん に お 会い でき なく て

( ジャクリーヌ ) ねえ マリオン

あの 人 って す っ ごく すてき な 人 だった の よ

は あ

( ジャクリーヌ ) 昔 の 私 は ね

真っ黒 に 日焼け し て て ひ ょろ り と し て て ―

全然 きれい じゃ ない 女の子 だった から ―

ほんの 時々 グレ ヴィール と ―

ひと言 ふた 言 話し た だけ の 記憶 を 大事 に する の が ―

精いっぱい だった の

でも あの 人 優しい 人 だった の よ ね 昔 から

この 年 に なって ようやく 分かる よう に なった

だ と し たら ―

時 が 経って 大人 に なる の も 悪い こと ばかり じゃ ない わ ね

このまま ずっと 子供 で い たい と あの 頃 は 思って い た けれど

また 会 える かしら あの 人 と

“ 私 の 本 学園 に 届け て くれ た そう ね ”

“ ありがとう 持つ べき もの は 幼なじみ だ わ ” … か

フッ …

♪ ~

~ ♪

( 一弥 ) あ ~ もう すぐ 夏 休み か あ

( ヴィクトリカ ) 夏 の まばゆい 日ざし も ―

水しぶき を 跳ね 上げる きょう 声 も ―

私 から は 遠い もの だ …


Gosick Episode 11 gosick|episode

( ブロワ 侯爵 ) 最近 しきりと 野 を うろつ い て いる そう だ な ― |こうしゃく|さいきん||の|||||||| It seems the Gray Wolf has been prowling around the fields a lot these days.

灰色 狼 ( は い いろ おおかみ ) は はいいろ|おおかみ|||||

( グレ ヴィール ) ふ … 不徳 の 致す ところ です 父上 |||ふとく||いたす|||ちちうえ I-I take responsibility for that, Father!

ですが 私 は 我ら ブロワ 侯爵 家 の 名誉 を 守 ろ う と … |わたくし||われら||こうしゃく|いえ||めいよ||しゅ||| But I'm simply trying to protect the honor of the de Blois family...

( ブロワ 侯爵 ) 汝 ( なんじ ) ら は 地 の 塩 なり |こうしゃく|なんじ||||ち||しお| "Ye are the salt of the earth."

( グレ ヴィール ) は ? Huh?

( ブロワ 侯爵 ) 塩 も し 効力 を 失わ ば 何 を もて か これ に 塩 す べき |こうしゃく|しお|||こうりょく||うしなわ||なん||||||しお|| "If the salt loses its saltiness, how can it be made salty again?"

妹 から 目 を 離す な いもうと||め||はなす| Keep your eyes on your sister.

それ 以上 の 働き は お前 に 望 ん で おら ん |いじょう||はたらき||おまえ||のぞみ|||| That is all I require of you.

( 通話 が 切れる 音 ) つうわ||きれる|おと (Hang-up sound)

しょせん 張り子 の 虎 の 名声 か |はりこ||とら||めいせい| So I'm nothing but a paper tiger with a good reputation...

( ため息 ) ためいき

ジャクリーヌ Jacqueline.

♪ ~

~ ♪

( ジャクリーヌ ) あー おいしい ! It's delicious!

( マリ オン ) です ねえ まり|おん|| Isn't it?

あっ ところで おじさん この 辺 に 馬車 の 拾 える 所 は … ||||ほとり||ばしゃ||ひろ||しょ| By the way, sir, is there a place around here where we can hire a carriage?

あっ ところで おじさん この 辺 に 馬車 の 拾 える 所 は … ||||ほとり||ばしゃ||ひろ||しょ| Oh, by the way, Pops, is there anywhere around here where we can pick up a carriage...

( 店主 ) ん ? ( ジャクリーヌ ) あっ ! てんしゅ||| (Huh? (Ah!

あっ ところで おじさん この 辺 に 馬車 の 拾 える 所 は … ||||ほとり||ばしゃ||ひろ||しょ| Oh, by the way, Pops, is there anywhere around here where we can pick up a carriage...

( ジャクリーヌ ) お ー い 乗り ま ー す ! ||-||のり||-| (Hello, I'll be right back!

ちょ っ あっ Wha—

奥様 ~ おくさま Madame!

う っ … わ あっ う っ … ( 行商 の 男性 ) お っ ||||||ぎょうしょう||だんせい|| Whoa... whoa... whoa...

う う っ あ あっ

ごめん あそば せ I beg your pardon, sir!

( 一弥 ( かず や ) ) えっ ? 図書 館 に お 客 様 を … です か ? かずや||||としょ|かん|||きゃく|さま||| (What? You have a guest in the library?

( セシル ) そう な の よ That's right.

ご 自宅 の 蔵書 を 寄贈 し に 見え た の だ けれど ― |じたく||ぞうしょ||きぞう|||みえ|||| She came to donate volumes from her own private library,

どう し て も 中 を 見学 し たい って 聞か なく って ||||なか||けんがく||||きか|| but insisted on taking a tour of ours while she's here.

お 待た せ し まし た シニョレー 警視 総監 夫人 |また||||||けいし|そうかん|ふじん Sorry to keep you waiting, Signoré.

彼 が ご 案内 いたし ます かれ|||あんない|| He'll show you around.

ん ? ジャクリーヌ さん ? Hmm? Jacqueline?

あら 君 は ! |きみ| Oh, it's you!

( ジャクリーヌ ) ウッフフ ( 一弥 ) う う わ っ ||かずや|||| (Wow!

そ っか ここ の 生徒 さん だった の ね ( 一弥 ) いっ … ひ いっ … う う … ||||せいと|||||かずや||||| I see you're a student here... (Kazuya) Go... go... go... go... go... go... go... go... go... go... go...

メルシーボークー フフフ ( 一弥 ) う う っ ちょ っ ちょ っ … ||かずや||||||| Merci beaucoup!

あっ は ぁ …

( マリ オン ) は ぁ まり|おん||

久 城 ( くじょう ) 君 お 知り合い な の ? ひさ|しろ||きみ||しりあい|| Kujō-kun, you know her?

え … ええ まあ Y-Yes. We've met...

( ヴィクトリカ ) ジャクリーヌ ? そう か ソヴレム で 会った の か ||||||あった|| Jacqueline?

( 一弥 ) うん あの 人 って ブロワ 警部 と どう いう 関係 ? かずや|||じん|||けいぶ||||かんけい Yeah. What's her relationship with Inspector Blois?

彼女 は グレ ヴィール が 子供 の 頃 から ― かのじょ|||||こども||ころ| Grevil has been in love with her ever since they were children.

懸 想 し て いる 幼なじみ だ かか|おも||||おさななじみ| I'm thinking of you, my childhood friend.

えっ け … 懸 想 ? ||かか|おも I-In love?

もちろん 向こう は 何 と も 思って い ない よう だ が ね |むこう||なん|||おもって|||||| Of course, she doesn't know a thing about it.

ちなみに グレ ヴィール の あの 髪形 も ― |||||かみがた| Incidentally, she's the reason why Grevil's hairstyle is like that.

彼女 が 原因 な の だ よ かのじょ||げんいん|||| She's the cause.

( 一弥 ) ん ? かずや|

そう いえ ば 警部 何 か の 事件 解決 を ― |||けいぶ|なん|||じけん|かいけつ| Come to think of it, the inspector told me that was the price of having you solve some case.

君 に 頼 ん だ おかげ で ああ なった って きみ||たの||||||| He said he couldn't have done it without you.

うむ その 件 に ジャクリーヌ も 関係 し て い た の だ ||けん||||かんけい|||||| Yes, Jacqueline was involved in that case.

( 一弥 ) ふ ー ん かずや||-| (Hmm...

( 一弥 ) この 人 が ブロワ 警部 の … かずや||じん|||けいぶ| So she's Inspector Blois'...

( ジャクリーヌ ) ねえ ねえ ( 一弥 ) ん ? |||かずや| Oh my!

( ジャクリーヌ ) あれ ヘビ み たい 面白い ||へび|||おもしろい That looks like a snake!

( ジャクリーヌ ) フフフ ( マリ オン ) 面白い ||まり|おん|おもしろい It certainly is!

( 一弥 ) か … 変わった 人 だ な かずや||かわった|じん|| S-She's a bit odd...

ねえ グレ ヴィール は 元気 に し てる ? ||||げんき||| Tell me, how is Grevil these days?

( 一弥 ) ん ? かずや| (Hmm?

この 後 不意 に 訪ね て 驚 かす つもり な の だ けれど ウフフ |あと|ふい||たずね||おどろ||||||| I intend to pay him a surprise visit after this!

ああ そう な ん です か Oh, I see.

私 は 苦手 です ね あの 人 わたくし||にがて||||じん I don't like the man very much.

何だか 偉 そう だ し それ に とんがって る し なんだか|えら|||||||| He strikes me as arrogant, and he has a sharp tongue...

あら 昔 は 違った の よ |むかし||ちがった|| Oh? He wasn't like that back then.

一体 なぜ あんな 髪形 に し た の か 何べん 聞い て も 教え て くれ ない の いったい|||かみがた||||||なんべん|ききい|||おしえ|||| He won't tell me why he has that hairstyle no matter how many times I ask him.

一体 なぜ あんな 髪形 に し た の か 何べん 聞い て も 教え て くれ ない の いったい|||かみがた||||||なんべん|ききい|||おしえ||||

( 一弥 ) ん ? かずや|

でも グレ ヴィール も 今や 名 警部 さん です もの ね ||||いまや|な|けいぶ|||| But Grevil is a renowned police inspector now.

私 も 鼻 が 高く て わたくし||はな||たかく| I'm proud to be his friend.

( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと かずや||||じん|なん||しら||||ほんと||

( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと かずや||||じん|なん||しら||||ほんと|| What a beautiful garden.

( ジャクリーヌ ) いい わ ね ここ の お 庭 |||||||にわ (I love this garden.

( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと かずや||||じん|なん||しら||||ほんと|| Maybe I'll plant those flowers in our garden too.

( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと かずや||||じん|なん||しら||||ほんと||

うち に も あの 花 を 植えよ う かしら ||||か||うえよ|| Maybe I should plant some of those flowers in my house.

知ら れる わけ に は いか ない な しら||||||| It's not my place to tell her either.

( 2 人 の 笑い声 ) じん||わらいごえ

( 2 人 の 笑い声 ) じん||わらいごえ Who would believe that the actual great detective is up there?

( 2 人 の 笑い声 ) じん||わらいごえ

まさか あそこ に 本物 の 名 探偵 が いる なんて |||ほんもの||な|たんてい||| I never thought that there was a real detective there.

まさか あそこ に 本物 の 名 探偵 が いる なんて |||ほんもの||な|たんてい|||

( ヴィクトリカ ) うむ

( 扉 が 開く 音 ) とびら||あく|おと

何 だ 久 城 か ? なん||ひさ|しろ| Hmm? Was that Kujō?

まったく あの 男 は 私 の 平穏 を 乱す こと しか … ||おとこ||わたくし||へいおん||みだす|| Honestly, that man does nothing but disturb my peace...

( ジャクリーヌ ) まあ すてき ! や っほ ~ It's incredible! Yoo-hoo!

( ヴィクトリカ ) えっ ! ?

( 山びこ ) や っほ ~ やまびこ||

うん ! Yes!

( マリ オン ) あの 奥様 まり|おん||おくさま

急ぎ ませ ん と この 後 警察 署 に 立ち寄る 時間 が … いそぎ|||||あと|けいさつ|しょ||たちよる|じかん| If we don't hurry, there won't be time to visit the police station afterwards...

( ジャクリーヌ ) あっ それ は 困る わ ||||こまる| (Oh, that's not good.

でも せっかく めったに 来 られ ない 名所 な の に |||らい|||めいしょ||| Still, it's rare to be able to come to a famous place like this.

この 図書 館 が … です か ? |としょ|かん||| Is this library ...?

ええ そう よ 特に ね … |||とくに| Yes, indeed. According to legend,

17 世紀 の 初め 学園 を 創立 し た 当時 の 国王 が ― せいき||はじめ|がくえん||そうりつ|||とうじ||こくおう| at the beginning of the 17th century,

愛人 と の あ いびき の ため に 作った と いう 伝説 の ― あいじん||||||||つくった|||でんせつ| Legend has it that he built it to snore with his mistress.

最上 階 に ある 植物 園 が ! さいじょう|かい|||しょくぶつ|えん| That place is the botanical garden on the top floor!

( 一弥 ) な っ かずや|| (What?

( ジャクリーヌ ) あ あっ もう ! やっぱり 我慢 でき ない |||||がまん|| Ooh! I can't stop myself after all!

ちょっと だけ I'll be right back.

( マリ オン ) ちょ っ 奥様 ! まり|おん|||おくさま Wait, Madame!

う っ マズ い ! 上 に は … ||||うえ|| Ugh, that's not good! Up there...

何 だ ? あの 騒々しい 飢え た ダチョウ の ごとき 女 は なん|||そうぞうしい|うえ||だちょう|||おんな| Who is that noisy starving ostrich of a woman?!

( ジャクリーヌ ) あ あ ~ ( ヴィクトリカ ) う っ

( ジャクリーヌ ) この 階段 迷路 み た ー い ! ||かいだん|めいろ|||-| This staircase is like a maze!

面白い ! おもしろい How delightful!

( 2 人 ) ハァ ハァ … じん||

( マリ オン ) お … 奥様 お 待ち に … まり|おん||おくさま||まち| M-Madame! Please wait!

こら ~ 待ち や がれ ! |まち|| Halt, I say!

そ … そう です よ え えっ と Yes, that's right.

( マリ オン ) 奥様 お 待ち ください ! まり|おん|おくさま||まち| Madame, please wait!

( 一弥 ) ダメ です ! ストップ ! かずや|だめ||すとっぷ Don't go up there! Stop!

( ヴィクトリカ ) あっ 久 城 … ||ひさ|しろ

( 一弥 ) 上 に は その … 金色 の お化け が 出 ます ! かずや|うえ||||きんいろ||おばけ||だ| There's a, um... golden monster up there!

( ヴィクトリカ ) むっ

( ジャクリーヌ ) お化け ? |おばけ A monster?!

( 一弥 ) はい ! 見つかったら マカロン み たい に ― かずや||みつかったら|||| Yes! And if it finds you, you'll be eaten like a macaroon!

むしゃ むしゃ 食べ られ ちゃ い ます よ だ から 下 へ ! ||たべ||||||||した| You're going to get munched on, so go on down!

むしゃ むしゃ 食べ られ ちゃ い ます よ だ から 下 へ ! ||たべ||||||||した| Stupid Kujō! That wasn't nice!

( ヴィクトリカ ) バカ 久 城 め 失敬 な |ばか|ひさ|しろ||しっけい| (I'm sorry, Kushiro.

面白い ならば ご 要望 の とおり 震え上がら せ て やろ う で は ない か おもしろい|||ようぼう|||ふるえあがら|||||||| "Delightful", huh?

( ジャクリーヌ ) お化け だ お化け だ ~ わ ~ い ! ウフフ |おばけ||おばけ|||| A monster, a monster! Wheee!

( 一弥 ) ちょ っ ! かずや|| Wait!

( ヴィクトリカ ) ♪ こ … 怖く なんか ない ぞ ||こわく||| I-I'm not scared at all...

( 階段 を 駆け上がる 音 ) かいだん||かけあがる|おと (running up the stairs)

( 階段 を 駆け上がる 音 ) かいだん||かけあがる|おと Since stupid Kujō is here too...

( 階段 を 駆け上がる 音 ) かいだん||かけあがる|おと (running up the stairs)

♪ バカ 久 城 も いる ~ し ~ ばか|ひさ|しろ||| Baka kujo's here too.

( ジャクリーヌ ) 着 い た わ ここ ね お化け は … |ちゃく||||||おばけ| This must be the place!

( ジャクリーヌ ) あら ? ( ヴィクトリカ ) ん ん っ Huh?

( ジャクリーヌ ) まあ 等 身 大 の ビスク ドール ||とう|み|だい|||どーる Oh my! A life-sized bisque doll!

なんて かわいい お 人形 な の ! |||にんぎょう|| What an adorable doll!

( ヴィクトリカ ) ん ん っ (Mmm...

すごい わ まるで 本当 に 生き てる みたい |||ほんとう||いき|| Amazing... it's like it's actually alive!

え ?

温かい ? あたたかい It's warm?

いかに も 残念 ながら この とおり 生き て いる ||ざんねん||||いき|| Correct. Sorry to disappoint, but I am alive.

( ジャクリーヌ ) キャー !

イタッ 痛い |いたい Ouch. Ouch.

ごめんなさい ! I'm sorry! Are you a student here at the academy?

あなた も しか して この 学園 の 生徒 さん ? |||||がくえん||せいと| Are you, however, a student of this school?

いちご の 棒 付き キャンディー 食べる ? お 嬢ちゃん ||ぼう|つき||たべる||じょうちゃん Would you like a strawberry lollipop, little girl?

無論 だ むろん| Of course.

は … は ぁ Ha ... ha.

私 は ジャクリーヌ ・ ド ・ シニョレー あなた は ? わたくし|||||| I'm Jacqueline de Signore.

( ヴィクトリカ ) ん ? ほう で は 君 が |||||きみ| (Hmm? So you're...

えっ 知って る の ? 私 の こと |しって|||わたくし|| You know about me?

( ヴィクトリカ ) む … (Victorica...

( 一弥 ) ああ 彼女 は です ね 実は ブロ … かずや||かのじょ||||じつは| Actually, she's Inspec—

( ヴィクトリカ ) う ー っ ( 一弥 ) う っ ||-||かずや|| (Ugh...

( ジャクリーヌ ) ん ? ん …

ところで ― By the way, why did all of you take the trouble to come up here?

君 たち は 何 だって わざわざ ここ を 訪れ た の だ ね ? きみ|||なん|||||おとずれ|||| What brings you all the way out here?

( ジャクリーヌ ) あっ ( マリ オン ) それ は です ね ||まり|おん|||| (Oh... that's...

( マリ オン ) 私 ども は こちら に この 本 を 寄贈 する ため … まり|おん|わたくし||||||ほん||きぞう|| (We are here to donate this book...

( 一同 ) え ? いちどう| (What?

って あの … Er...

本 など 入って い ない が ほん||はいって||| There aren't any books inside.

( マリ オン ) え ! ? まり|おん| (What? ! ?

え えっ ! ? What? ! ?

( 一弥 ) 化粧 水 お 肌 の クリーム … かずや|けしょう|すい||はだ||くりーむ Face lotion, skin cream...

ど … どこ で … Which ... where ...

入れ 代わった の かしら いれ|かわった|| Perhaps the case was switched?

( 行商 の 男性 ) あれ が ない と 困る ん です ぎょうしょう||だんせい|||||こまる|| I absolutely need that case!

( 行商 の 男性 ) あれ が ない と 困る ん です ぎょうしょう||だんせい|||||こまる|| (I can't do without it.

( グレ ヴィール ) ん ?

( 行商 の 男性 ) お 願い し ます ( グレ ヴィール ) 何事 だ ぎょうしょう||だんせい||ねがい|||||なにごと| What is it?

( フラン ) はっ その 行商 品 の カバン を 捜し て くれ と ふらん|||ぎょうしょう|しな||かばん||さがし||| Sir! He's demanding that we search for his merchandise case.

広場 で どこ か の メイド と ぶつかった 際 ― ひろば||||||||さい It seems that he bumped into some maid at the plaza,

荷物 を 取り違え た らしく … にもつ||とりちがえ|| and they took each other's bags.

ん っ その 紋章 は … |||もんしょう| That coat of arms is...

( シニョレー ) ああ ジャクリーヌ なら ― Yes, Jacqueline is indeed visiting your place.

確か に そちら を 訪ね て いる よ たしか||||たずね||| I'm sure he's visiting you.

おかしい な まだ 君 の 所 に は 顔 を 出し て ない の かい |||きみ||しょ|||かお||だし|||| How strange... she hasn't popped in to say hello to you yet?

( グレ ヴィール ) な … なぜ ? W-Why?

聖 マルグリット 学園 の 図書 館 へ 本 を 寄贈 し に さ せい||がくえん||としょ|かん||ほん||きぞう||| She went to donate some books to the St. Marguerite Academy.

バカンス の 荷造り 中 屋根 裏 部屋 で 見つけ た らしい ん だ が ばかんす||にづくり|なか|やね|うら|へや||みつけ||||| Apparently, she found them in the attic while she was packing for a vacation.

何たる こと だ なんたる|| What the hell?

( マリ オン ) 申し訳 あり ませ ん 奥様 まり|おん|もうしわけ||||おくさま I'm really sorry, Madame...

いい わ よ 気 に し ない で |||き|||| Oh, don't worry about it.

それ より きれい ね あの 天井 画 |||||てんじょう|が Anyway, isn't the ceiling just beautiful?

ふん っ

ヴィクトリカ 怒って る ? |いかって| Victorique, are you angry?

( ヴィクトリカ ) 別に |べつに Not particularly...

( ジャクリーヌ ) あ … キュー ちゃん (Oh, Cue.

( ヴィクトリカ ) あっ

昔 飼って た シマリス の 名前 むかし|かって||||なまえ That's the name of the chipmunk I had back then.

背中 に アルファベット の “ q ” の 字 に 似 た 模様 が あった の せなか||あるふぁべっと||||あざ||に||もよう||| He had a mark on his back that looked like the letter "Q".

あなた を 見 て たら 何だか 思い出し ちゃ って ||み|||なんだか|おもいだし|| Looking at you just now somehow reminded me of him.

ふん っ あまり に 知性 と 無縁 の ネーミング だ な ||||ちせい||むえん||ねーみんぐ|| Hmmm... a name that has nothing to do with intelligence.

まったく 失礼 な … はっ |しつれい|| And I'm offended with what you—

おい 君 その 話 は |きみ||はなし| Wait. I remember this...

( ジャクリーヌ ) あれ は 数 年 前 |||すう|とし|ぜん Several years ago.

ちょうど 私 に 夫 と の 縁談 が 持ち上がった 頃 だ わ |わたくし||おっと|||えんだん||もちあがった|ころ|| About the time the subject of marriage first came up between me and my husband.

キュー ちゃん が 病気 で 死 ん で しまって … |||びょうき||し||| Q died from an illness...

そして 私 は 殺人 事件 の 容疑 者 に |わたくし||さつじん|じけん||ようぎ|もの| And I'm a suspect in a murder case.

( 一弥 ) それ って … かずや|| (That's...

あの ちなみに 被害 者 は … ||ひがい|もの| Excuse me, but was the victim...

( ヴィクトリカ ) ん っ ( 一弥 ) ひ っ |||かずや|| (Hu...

ええ キュー ちゃん の 主治医 だった 獣医 の 先生 よ ||||しゅじい||じゅうい||せんせい| Yes, he was the veterinarian who treated Q.

ご 自宅 で 胸 を 刺さ れ て 亡くなって い た の |じたく||むね||ささ|||なくなって||| She was stabbed in the chest and died at home.

現場 に は 先生 が 最後 の 力 を 振り絞って 書 い た ― げんば|||せんせい||さいご||ちから||ふりしぼって|しょ|| The doctor used the last of his strength to write the letter "Q".

“ q ” の 文字 が 残さ れ て い た わ ||もじ||のこさ||||| The letter "q" was left behind.

いわゆる ダイイング メッセージ ね ||めっせーじ| You could say it was his "dying message".

えっ “ q ” って さっき の "Q", like your...

( ジャクリーヌ ) そう 死 ん だ キュー ちゃん の “ q ” ||し|||||| Yes. Just like Q's "Q".

しかも ね それ だけ じゃ なく ― But that's not all.

お 葬式 の 時 先生 の 奥様 ポーラ さん の 腕 に ― |そうしき||じ|せんせい||おくさま||||うで| At the funeral, words mysteriously appeared on the arm of Paula, the doctor's wife.

ひとりでに 謎 の 文字 が … |なぞ||もじ| A mysterious character appears by itself...

( ポーラ ) あ あー っ ! (Paula) Ahhh..!

( ジャクリーヌ ) 亡くなった 先生 から の メッセージ だ と ― |なくなった|せんせい|||めっせーじ|| Word spread that it was a message from the dead doctor.

みんな うわさ し て い た わ Everyone was gossiping about it.

その 鏡 文字 の 内容 は ― |きよう|もじ||ないよう| Looked at in a mirror, it read...

“ ジャクリーヌ が 俺 を 殺し た ” ||おれ||ころし| "Jacqueline murdered me."

( 一弥 ) あっ かずや| (Ah!

確か に 古来 より 左右 反転 し た 鏡 文字 は ― たしか||こらい||さゆう|はんてん|||きよう|もじ| Certainly, since ancient times, mirrored writing has been used in magic rituals.

呪い の 儀式 に 用い られる と さ れ て いる まじない||ぎしき||もちい|||||| It is said to be used in rituals for curses.

つまり そこ に 居合わせ た 連中 は 死者 から の 告発 と 取った わけ だ |||いあわせ||れんちゅう||ししゃ|||こくはつ||とった|| In other words, those who were there took it as an accusation from the dead.

物知り な の ね お 嬢ちゃん ものしり|||||じょうちゃん You're well-informed, little girl.

当然 だ 私 の 知恵 の 泉 が 告げ て いる の だ とうぜん||わたくし||ちえ||いずみ||つげ|||| Naturally. My wellspring of wisdom informs me.

( 一弥 ) 間違い ない かずや|まちがい| There's no mistake...

これ が 昔 ブロワ 警部 が 再 構成 を 頼 ん だ 事件 な ん だ ||むかし||けいぶ||さい|こうせい||たの|||じけん||| This is the case that Inspector Blois asked Victorique to reconstruct years ago.

( ジャクリーヌ ) グレ ヴィール Grevil!

どう し た の ? そんなに ムスッ と し て What's with the serious look on your face?

ほら 笑って ほら ほら ほら ほら ~ |わらって|||| Come on, smile!

ジャクリーヌ 君 元 気 が ない ね |きみ|もと|き||| Jacqueline, you're depressed, aren't you?

( ジャクリーヌ ) え ? (Huh?

( グレ ヴィール ) 元 気 が ない 時 の 君 は ― ||もと|き|||じ||きみ| You always do silly things whenever you're feeling low.

決まって バカ を する きまって|ばか|| I always do something stupid.

寝癖 の つい た まん ま で ぼんやり 出かけ たり ― ねぐせ||||||||でかけ| You'd wander outside in a daze with your hair still messy from sleep...

その くせ 妙に は しゃい だ り ||みょうに|||| Yet you'd still be surprisingly cheerful.

今 だって ほら いま|| This time, too.

そんなに も 衝動 買い を ||しょうどう|かい| Look at all the impulsive shopping you did.

こ これ は … その … T-That's just...

例 の 事件 の こと は 聞い た よ 許し がたい な れい||じけん||||ききい|||ゆるし|| I heard about the murder case.

世間 の 無責任 な うわさ って やつ は せけん||むせきにん||||| Irresponsible rumors from the public...

( ジャクリーヌ ) しかたない わ I don't blame them.

あの 呪い の 文字 が 出 て き た の は 確か に 事実 な ん だ し |まじない||もじ||だ||||||たしか||じじつ|||| It is a fact that the cursed words did appear.

( グレ ヴィール ) ん …

お 断り しよ う と 思う の シニョレー さん と の 縁談 も |ことわり||||おもう||||||えんだん| I'm thinking of turning down Signore's proposal.

え ?

そりゃ あ 確か に 楽しく て 気 が 合う 方 だ し ― ||たしか||たのしく||き||あう|かた|| We do have fun together and get along well...

ちょっと お 魚 の フナ に 似 てる ところ も ― ||ぎょ||ふな||に||| He does look like a carp, but it's cute if I take a closer look.

よく 見る と キュート な の よ |みる||きゅーと||| If you look closely, you can see how cute they are.

でも やっぱり 警察 の 方 です も の ||けいさつ||かた||| But I guess it's the police.

ご 迷惑 を お かけ する わけ に も いか ない わ |めいわく|||||||||| I don't want to cause him any trouble.

ジャクリーヌ Jacqueline...

灰色 狼 め はいいろ|おおかみ| Damn you, Gray Wolf.

彼女 に 余計 な こと を しゃべって い たら ― かのじょ||よけい|||||| If you told her anything you shouldn't have...

たとえ 父上 が 何と おっしゃ ろ う と 決して 許さ ん ! |ちちうえ||なんと|||||けっして|ゆるさ| I'll get you for it, no matter what Father says!

( ジャクリーヌ ) 墓地 で の 一 件 以来 私 は 世間 に 犯人 扱い さ れ た わ |ぼち|||ひと|けん|いらい|わたくし||せけん||はんにん|あつかい|||| Since the incident at the cemetery,

きっと ペット の 恨み で 先生 を 刺し た に 違いない って |ぺっと||うらみ||せんせい||さし|||ちがいない| They thought that I must've stabbed the doctor because he couldn't save my pet.

でも 不思議 な こと に その 後 すぐ … |ふしぎ|||||あと| Strange thing was, right after that...

なぜ か 真 犯人 が 自首 し 奥様 へ の 疑い は 無事 晴れ た の です ||まこと|はんにん||じしゅ||おくさま|||うたがい||ぶじ|はれ||| The real murderer came forward and cleared Madame of all suspicion.

そして 旦那 様 の 元 へ と 嫁ぎ マダム ・ シニョレー に |だんな|さま||もと|||とつぎ||| She then accepted the master's proposal and became Madame Signore.

あっ そう いえ ば グレ ヴィール の 髪形 が ああ なった の も ― |||||||かみがた||||| Oh, by the way, that's why Greville's hair is like that.

確か その 頃 だった よう な たしか||ころ||| I think it was around that time.

う う っ ぐ … 偶然 だ ||||ぐうぜん| Ugh... coincidence.

( 一弥 ) ん ん … かずや|| (Hmm...

あの ジャクリーヌ さん それ で 結局 真 犯人 と いう の は … |||||けっきょく|まこと|はんにん|||| Excuse me, Jacqueline...

え ? ええ … それ は ね What? - Yeah. Yeah, that's... that's...

奥様 そろそろ お 時間 が おくさま|||じかん| Madame, the time...

あっ ごめんなさい そろそろ グレ ヴィール の 所 へ 行か ない と ||||||しょ||いか|| Sorry, it's about time I headed off to see Grevil.

続き は まだ 今度 ね つづき|||こんど| I'll tell you the rest next time.

( 一弥 ) え ? かずや|

楽しかった わ 二 人 と も たのしかった||ふた|じん|| I enjoyed meeting the both of you!

( 一弥 ) ああ … かずや|

( ジャクリーヌ ) わ ~ い ! ウフフ ( マリ オン ) 奥様 ! 待ち や がれ ! ||||まり|おん|おくさま|まち||

( 一弥 ) な … なんか 嵐 みたい な 人 だった ね かずや|||あらし|||じん|| S-She's like a tempest, isn't she?

( ヴィクトリカ ) ふん

( 一弥 ) で さあ ヴィクトリカ かずや||| So, Victorique...

( ヴィクトリカ ) 真 犯人 か ? |まこと|はんにん| The real murderer?

そんな もの 混沌 ( カオス ) と 呼ぶ まで も ない 子供 だまし だ ||こんとん|かおす||よぶ||||こども|| A mere child's play, not even worthy of being called Chaos.

あ …

教え て やろ う 問題 の 獣医 を 殺し た の は ― おしえ||||もんだい||じゅうい||ころし||| I'll explain it to you.

他なら ぬ 彼 の 妻 だ よ ほかなら||かれ||つま|| ...was none other than his wife.

あっ

ウフッ ねえ あっ ち に は 何 が ||||||なん| What's going on over there?

奥様 ! だ から も う っ ! おくさま||||| Madame! I'm telling you...

( ヴィクトリカ ) で は 言語 化 し て やろ う |||げんご|か|||| All right, I'll put it into words.

まず は 墓地 で の 呪い の 文字 の 件 ||ぼち|||まじない||もじ||けん Let's start with those magic words at the cemetery.

あれ を 書 い た の は 獣医 の 妻 ― ||しょ|||||じゅうい||つま Paula wrote those words herself.

ポーラ 自身 だ ( 一弥 ) お っ |じしん||かずや|| It's Paula herself.

彼女 は 左利き だった の だ よ かのじょ||ひだりきき|||| She was left-handed.

左利き の 中 に は ごく まれ に 鏡 文字 を スラスラ と 書 ける 者 が いる ひだりきき||なか||||||きよう|もじ||すらすら||しょ||もの|| It's rare, but mirror-writing is a breeze for a few left-handed people.

彼女 は その 特殊 技能 を 利用 し 呪い の 鏡 文字 を 仕上げ た かのじょ|||とくしゅ|ぎのう||りよう||まじない||きよう|もじ||しあげ| She used that particular talent to produce the mirrored magic words.

( 一弥 ) は ああ かずや||

( ヴィクトリカ ) 狙い は ジャクリーヌ に 罪 を かぶせる こと |ねらい||||ざい||| Her aim was to frame Jacqueline for the crime.

そして ポーラ に ― The dying message left at the murder scene prompted Paula to do what she did.

その よう な 行動 を 取ら せる きっかけ と なった の が ― |||こうどう||とら|||||| What prompted such behavior was the fact that the

殺害 現場 に 残さ れ て い た ― さつがい|げんば||のこさ|||| The remains at the scene of the murder.

ダイイング メッセージ |めっせーじ

その 文字 を 警察 は … |もじ||けいさつ| The police took that to be derived from...

キュー ちゃん の … ...the letter "Q".

そんなに 嫌 な 顔 する こと ない じゃ ない |いや||かお||||| You don't have to look so disgusted about it.

かわいい 名前 だ と 思う けど な 僕 は |なまえ|||おもう|||ぼく| I think it's a cute name.

うるさい ! とにかく 警察 の バカ ども は だ な ||けいさつ||ばか|||| Enough!

これ を ペット の 名 の 頭文字 “ q ” だ と 思い込 ん だ ||ぺっと||な||かしらもじ||||おもいこ|| I assumed it was the first letter of my pet's name, "q."

( 一弥 ) あ あっ あの ヴィクトリカ ? かずや|||| Um, Victorique?

( ヴィクトリカ ) 刺さ れ た 獣医 は 恐らく ― |ささ|||じゅうい||おそらく The stabbed veterinarian was probably lying on his back like this.

この よう な 姿勢 で 横たわって い た の だ ろ う |||しせい||よこたわって|||||| He must have been lying in this position.

そして この よう な 姿勢 で 文 字 を 書こ う と する と ― ||||しせい||ぶん|あざ||かきこ|||| And when you try to write a letter in this position...

自然 と 左右 が 反転 し て しまう しぜん||さゆう||はんてん||| ...it naturally comes out backwards.

つまり 獣医 は 妻 ポーラ の イニシャル “ P ” を 書 い た つもり だった の だ |じゅうい||つま||||p||しょ|||||| In short, the vet intended to write the "P" from "Paula", his wife's name.

( 一弥 ) ああ … かずや| (Oh...

( ヴィクトリカ ) いわば もう 一 つ の 鏡 文字 |||ひと|||きよう|もじ In other words, the letter was mirrored too.

私 が 再 構成 し た これ ら の 真相 を ― わたくし||さい|こうせい||||||しんそう| I have reconstructed the truth of these things.

グレ ヴィール は 正体 を 隠し て ポーラ に 告げ た |||しょうたい||かくし||||つげ| Greville hid his true identity and told Paula.

“ 自首 し なけ れ ば 警察 に 話し ます よ ” と ね じしゅ|||||けいさつ||はなし|||| He told her he would go to the police if she didn't turn herself in.

結果 観念 し た 彼女 は … けっか|かんねん|||かのじょ| So she accepted her fate...

警察 に 自首 し た わけ だ ね けいさつ||じしゅ||||| And confessed to the police, right?

うむ ちなみに グレ ヴィール は 彼女 に 己 の こと を 固く 口止め し た |||||かのじょ||おのれ||||かたく|くちどめ|| Mm, incidentally, Greville was very tight-lipped about her.

この こと は 一切 公 に さ れ て は い ない |||いっさい|おおやけ||||||| so none of this was made public.

そう か ~ I see, the inspector secretly helped to solve the case so that Jacqueline could be happy...

警部 は 人知れず 事件 解決 に 協力 し て ジャクリーヌ さん の 幸せ を … けいぶ||ひとしれず|じけん|かいけつ||きょうりょく||||||しあわせ| The captain is helping to solve the case without anyone knowing and is trying to make Jacqueline happy...

( ヴィクトリカ ) 再 構成 し た の は 私 だ |さい|こうせい|||||わたくし| I'm the one that reconstructed the details.

その 夢見 がち な 乙女 の よう な 顔 は よせ |ゆめみ|||おとめ||||かお|| So quit looking like a dreamy-eyed young girl.

エヘヘヘ

でも 代償 が あの 髪形 って いう の は いくら 何でも ひどく ない ? |だいしょう|||かみがた||||||なんでも|| But I still think it was harsh of you to have him sport that hairstyle in return.

むっ

う っ 正当 な 要求 だ ||せいとう||ようきゅう| I-It was a fair request.

( エレベーター の 到着 音 ) えれべーたー||とうちゃく|おと

ジャ … ジャクリーヌ は ? W-Where's Jacqueline?!

うむ どうやら 既に ここ に は い ない よう だ な ||すでに|||||||| Well, it looks like they're not here already.

( ため息 ) ためいき

( 刑事 ) こちら に おら れ まし た か 総監 けいじ||||||||そうかん So this is where you were, Commissioner.

そろそろ 会議 が |かいぎ| The meeting will begin soon.

それ は 確か 奥様 が 独身 時代 に 巻き込ま れ た 事件 の ||たしか|おくさま||どくしん|じだい||まきこま|||じけん| Isn't that the case file involving your wife when she was still single?

( シニョレー ) うん たま に 思い出し て は 眺め て いる の だ よ ||||おもいだし|||ながめ||||| Yes.

いささか 気 に なる こと が あって ね |き|||||| There's one detail that bothers me.

( シニョレー ) 彼女 は 己 の 犯し た 罪 を 悔い ― |かのじょ||おのれ||おかし||ざい||くい It's reported here that feelings of guilt compelled her to come forward.

自ら 出頭 し た と 記さ れ て いる おのずから|しゅっとう||||しるさ||| The applicant is stated to have appeared voluntarily.

だが … Yet...

誰 か こっそり 事件 の 解決 に 手 を 貸し て くれ た 者 が いる だれ|||じけん||かいけつ||て||かし||||もの|| I get the feeling someone secretly helped close the case.

私 に は そう 思 え て なら ない の だ よ わたくし||||おも||||||| I'm pretty sure of it.

( 行商 の 男性 ) お 願い だ あれ が 見つから ない と 大 損害 だ ぎょうしょう||だんせい||ねがい||||みつから|||だい|そんがい| Please! I can't afford to lose that case!

私 の カバン は ! わたくし||かばん| My case...

まあ 落ち着 い て 待て 警部 に 心 当たり が ある らしい から |おちつ|||まて|けいぶ||こころ|あたり|||| All right, be patient and calm down.

( 行商 の 男性 ) ああ … ぎょうしょう||だんせい| (VENDOR'S MAN) Oh...

( ジャクリーヌ ) あの … ( 2 人 ) ん ? ||じん| Excuse me...

( ジャクリーヌ ) よろしい です か ? May I come in?

( フラン ) あっ はい ふらん||

こちら に ブロワ 警部 と いう 方 が … |||けいぶ|||かた| I'm looking for Inspector Blois...

( マリ オン ) あ あっ ( 行商 の 男性 ) おお っ まり|おん|||ぎょうしょう||だんせい||

( マリ オン ) あ ~ ! あの 時 の ? ( 行商 の 男性 ) お ~ あんた ! まり|おん|||じ||ぎょうしょう||だんせい||

( グレ ヴィール ) シニョレー 夫人 から の 寄贈 本 だ |||ふじん|||きぞう|ほん| These are the books Madame Signore is donating.

君 から 司書 に でも 渡し て おき た まえ きみ||ししょ|||わたし|||| You can give them to the librarian.

は ぁ … でも なぜ 警部 が ? ||||けいぶ| Sure... but why are you here, Inspector?

( ヴィクトリカ ) ふん っ まったく めでたい 女 だ |||||おんな| (Hmph! What a happy woman!

善意 と 鈍感 が 手 を つなぐ と 一種 の 悪徳 に なる と いう よい 見本 だ ぜんい||どんかん||て||||いっしゅ||あくとく||||||みほん| This is a good example of how good intentions combined with obliviousness results in vice.

( グレ ヴィール ) だ が それ も ジャクリーヌ の よい 所 だ よ |||||||||しょ|| But that's one of Jacqueline's good points.

( ヴィクトリカ ) あ …

警部 あの … けいぶ| Inspector, um...

( グレ ヴィール ) 小 リス 君 君 は 外し て くれ た まえ ||しょう|りす|きみ|きみ||はずし|||| Baby squirrel, please excuse yourself.

今日 は 特別 に あれ を 使って も いい ぞ きょう||とくべつ||||つかって||| You have permission to use that just for today.

( 一弥 ) え ? かずや| (Huh?

あ …

あ … はい

( グレ ヴィール ) その 灰色 狼 の 頭脳 は ― |||はいいろ|おおかみ||ずのう| The brain of a Gray Wolf is indeed extraordinary.

確か に 優秀 極まりない の だ ろ う たしか||ゆうしゅう|きわまりない|||| They must be very good at what they do.

私 の もの など と 違って な わたくし|||||ちがって| I'm aware I fall short in that regard.

だが 妹 よ お前 に は 心 が ない |いもうと||おまえ|||こころ|| But you, little sister, you have no heart.

あっ

覚え て いる か ? あの 夜 私 は お前 に こう 言った おぼえ|||||よ|わたくし||おまえ|||いった Do you remember?

( 雷鳴 ) らいめい

( ヴィクトリカ ) 事情 は 分かった |じじょう||わかった I understand the situation.

だが 私 に あえて 解決 を 依頼 し に き た 理由 は ? |わたくし|||かいけつ||いらい|||||りゆう| But why did you come to me for a solution?

ジャクリーヌ を 救い たい から だ ||すくい||| It's because I want to save Jacqueline!

彼女 を 愛し て いる から だ かのじょ||あいし|||| Because I love her!

愛 … それ は ? あい|| Love? What's that?

私 は 生まれ て この かた その よう な 言葉 を 聞い た こと が ない わたくし||うまれ|||||||ことば||ききい|||| I've never heard of that word in my entire life.

う っ

で お前 の 欲し がった 代償 が これ だ |おまえ||ほし||だいしょう||| And this was what you wanted in return.

だが こんな 髪形 など どう って こと は ない ||かみがた|||||| But this hairstyle is nothing.

( ヴィクトリカ ) くっ

( グレ ヴィール ) “ ジャクリーヌ を 二 度 と 愛す な ” ||||ふた|たび||あいす| "Stop loving Jacqueline."

本当 に 私 を 苦しめ たい なら そう 要求 す べき だった の だ よ ほんとう||わたくし||くるしめ||||ようきゅう|||||| You should've demanded that instead if you really wanted to make me suffer.

だが 灰色 狼 の お前 は … |はいいろ|おおかみ||おまえ| But you're a Gray Wolf.

( ヴィクトリカ ) 黙れ |だまれ Shut up...

人間 なら 誰しも 当たり前 に 思いつく そんな こと すら … にんげん||だれしも|あたりまえ||おもいつく||| It's the first thing that would've come to mind for any human being, and yet...

黙れ う う っ だまれ||| Shut up...!

( グレ ヴィール ) ん っ

( エレベーター の ドア の 開閉 音 ) えれべーたー||どあ||かいへい|おと

( エレベーター の 作動 音 ) えれべーたー||さどう|おと

違う … 私 は もう 違う の だ ちがう|わたくし|||ちがう|| You're wrong...

昔 の 私 と は … むかし||わたくし|| I'm different now.

( 一弥 ) ん ~ 大丈夫 か な あの 二 人 … かずや||だいじょうぶ||||ふた|じん I wonder if the two of them are okay...

あっ 警部 |けいぶ Inspector!

行って やれ 灰色 狼 が お 待ち だ ぞ おこなって||はいいろ|おおかみ|||まち|| Go on in.

( 一弥 ) え ? かずや|

ん っ

( マリ オン ) 残念 で し た ね 奥様 まり|おん|ざんねん|||||おくさま What a shame, Madame.

結局 あの とんがった 警部 さん に お 会い でき なく て けっきょく|||けいぶ||||あい||| You didn't get to see your pointy-headed inspector in the end.

( ジャクリーヌ ) ねえ マリオン You know, Marion, he used to be a very striking man.

あの 人 って す っ ごく すてき な 人 だった の よ |じん|||||||じん||| She was the most wonderful person I've ever met.

は あ

( ジャクリーヌ ) 昔 の 私 は ね |むかし||わたくし|| As a girl, I was lanky, sunburned, and not at all pretty.

真っ黒 に 日焼け し て て ひ ょろ り と し て て ― まっくろ||ひやけ|||||||||| He was black, tanned, and lanky.

全然 きれい じゃ ない 女の子 だった から ― ぜんぜん||||おんなのこ|| Because she wasn't a very pretty girl at all.

ほんの 時々 グレ ヴィール と ― |ときどき||| I greatly treasured the memories of my occasional meetings with Grevil where we would exchange a word or two.

ひと言 ふた 言 話し た だけ の 記憶 を 大事 に する の が ― ひとこと||げん|はなし||||きおく||だいじ|||| I think it's important to remember that we've only said a word or two.

精いっぱい だった の せいいっぱい|| I did the best I could.

でも あの 人 優しい 人 だった の よ ね 昔 から ||じん|やさしい|じん|||||むかし| He has always been so kind...

この 年 に なって ようやく 分かる よう に なった |とし||||わかる||| Now that I've gotten older, I finally understand that.

だ と し たら ― Just goes to show that the passage of time and becoming an adult isn't a bad thing.

時 が 経って 大人 に なる の も 悪い こと ばかり じゃ ない わ ね じ||たって|おとな|||||わるい|||||| Time and adulthood aren't always bad things, either.

このまま ずっと 子供 で い たい と あの 頃 は 思って い た けれど ||こども||||||ころ||おもって||| There was a time when I wanted to remain a child forever.

また 会 える かしら あの 人 と |かい||||じん| But I wonder if I'll ever see him again...

“ 私 の 本 学園 に 届け て くれ た そう ね ” わたくし||ほん|がくえん||とどけ||||| "It appears that you delivered my books to the academy. Thank you!"

“ ありがとう 持つ べき もの は 幼なじみ だ わ ” … か |もつ||||おさななじみ||| Thank you. You're the best childhood friend I've ever had.

フッ …

♪ ~ Loneliness

~ ♪

( 一弥 ) あ ~ もう すぐ 夏 休み か あ かずや||||なつ|やすみ|| It's almost summer vacation!

( ヴィクトリカ ) 夏 の まばゆい 日ざし も ― |なつ|||ひざし| The dazzling summer sunlight...

水しぶき を 跳ね 上げる きょう 声 も ― みずしぶき||はね|あげる||こえ| ...and the voices of the girls as they splash in the water...

私 から は 遠い もの だ … わたくし|||とおい|| ...are all so far away.