Gosick Episode 11
( ブロワ 侯爵 ) 最近 しきりと 野 を うろつ い て いる そう だ な ―
灰色 狼 ( は い いろ おおかみ ) は
( グレ ヴィール ) ふ … 不徳 の 致す ところ です 父上
ですが 私 は 我ら ブロワ 侯爵 家 の 名誉 を 守 ろ う と …
( ブロワ 侯爵 ) 汝 ( なんじ ) ら は 地 の 塩 なり
( グレ ヴィール ) は ?
( ブロワ 侯爵 ) 塩 も し 効力 を 失わ ば 何 を もて か これ に 塩 す べき
妹 から 目 を 離す な
それ 以上 の 働き は お前 に 望 ん で おら ん
( 通話 が 切れる 音 )
しょせん 張り子 の 虎 の 名声 か
( ため息 )
ジャクリーヌ
♪ ~
~ ♪
( ジャクリーヌ ) あー おいしい !
( マリ オン ) です ねえ
あっ ところで おじさん この 辺 に 馬車 の 拾 える 所 は …
あっ ところで おじさん この 辺 に 馬車 の 拾 える 所 は …
( 店主 ) ん ? ( ジャクリーヌ ) あっ !
あっ ところで おじさん この 辺 に 馬車 の 拾 える 所 は …
( ジャクリーヌ ) お ー い 乗り ま ー す !
ちょ っ あっ
奥様 ~
う っ … わ あっ う っ … ( 行商 の 男性 ) お っ
う う っ あ あっ
ごめん あそば せ
( 一弥 ( かず や ) ) えっ ? 図書 館 に お 客 様 を … です か ?
( セシル ) そう な の よ
ご 自宅 の 蔵書 を 寄贈 し に 見え た の だ けれど ―
どう し て も 中 を 見学 し たい って 聞か なく って
お 待た せ し まし た シニョレー 警視 総監 夫人
彼 が ご 案内 いたし ます
ん ? ジャクリーヌ さん ?
あら 君 は !
( ジャクリーヌ ) ウッフフ ( 一弥 ) う う わ っ
そ っか ここ の 生徒 さん だった の ね ( 一弥 ) いっ … ひ いっ … う う …
メルシーボークー フフフ ( 一弥 ) う う っ ちょ っ ちょ っ …
あっ は ぁ …
( マリ オン ) は ぁ
久 城 ( くじょう ) 君 お 知り合い な の ?
え … ええ まあ
( ヴィクトリカ ) ジャクリーヌ ? そう か ソヴレム で 会った の か
( 一弥 ) うん あの 人 って ブロワ 警部 と どう いう 関係 ?
彼女 は グレ ヴィール が 子供 の 頃 から ―
懸 想 し て いる 幼なじみ だ
えっ け … 懸 想 ?
もちろん 向こう は 何 と も 思って い ない よう だ が ね
ちなみに グレ ヴィール の あの 髪形 も ―
彼女 が 原因 な の だ よ
( 一弥 ) ん ?
そう いえ ば 警部 何 か の 事件 解決 を ―
君 に 頼 ん だ おかげ で ああ なった って
うむ その 件 に ジャクリーヌ も 関係 し て い た の だ
( 一弥 ) ふ ー ん
( 一弥 ) この 人 が ブロワ 警部 の …
( ジャクリーヌ ) ねえ ねえ ( 一弥 ) ん ?
( ジャクリーヌ ) あれ ヘビ み たい 面白い
( ジャクリーヌ ) フフフ ( マリ オン ) 面白い
( 一弥 ) か … 変わった 人 だ な
ねえ グレ ヴィール は 元気 に し てる ?
( 一弥 ) ん ?
この 後 不意 に 訪ね て 驚 かす つもり な の だ けれど ウフフ
ああ そう な ん です か
私 は 苦手 です ね あの 人
何だか 偉 そう だ し それ に とんがって る し
あら 昔 は 違った の よ
一体 なぜ あんな 髪形 に し た の か 何べん 聞い て も 教え て くれ ない の
一体 なぜ あんな 髪形 に し た の か 何べん 聞い て も 教え て くれ ない の
( 一弥 ) ん ?
でも グレ ヴィール も 今や 名 警部 さん です もの ね
私 も 鼻 が 高く て
( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと
( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと
( ジャクリーヌ ) いい わ ね ここ の お 庭
( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと
( 一弥 ) そう か この 人 何 も 知ら ない ん だ ホント の こと
うち に も あの 花 を 植えよ う かしら
知ら れる わけ に は いか ない な
( 2 人 の 笑い声 )
( 2 人 の 笑い声 )
( 2 人 の 笑い声 )
まさか あそこ に 本物 の 名 探偵 が いる なんて
まさか あそこ に 本物 の 名 探偵 が いる なんて
( ヴィクトリカ ) うむ
( 扉 が 開く 音 )
何 だ 久 城 か ?
まったく あの 男 は 私 の 平穏 を 乱す こと しか …
( ジャクリーヌ ) まあ すてき ! や っほ ~
( ヴィクトリカ ) えっ ! ?
( 山びこ ) や っほ ~
うん !
( マリ オン ) あの 奥様
急ぎ ませ ん と この 後 警察 署 に 立ち寄る 時間 が …
( ジャクリーヌ ) あっ それ は 困る わ
でも せっかく めったに 来 られ ない 名所 な の に
この 図書 館 が … です か ?
ええ そう よ 特に ね …
17 世紀 の 初め 学園 を 創立 し た 当時 の 国王 が ―
愛人 と の あ いびき の ため に 作った と いう 伝説 の ―
最上 階 に ある 植物 園 が !
( 一弥 ) な っ
( ジャクリーヌ ) あ あっ もう ! やっぱり 我慢 でき ない
ちょっと だけ
( マリ オン ) ちょ っ 奥様 !
う っ マズ い ! 上 に は …
何 だ ? あの 騒々しい 飢え た ダチョウ の ごとき 女 は
( ジャクリーヌ ) あ あ ~ ( ヴィクトリカ ) う っ
( ジャクリーヌ ) この 階段 迷路 み た ー い !
面白い !
( 2 人 ) ハァ ハァ …
( マリ オン ) お … 奥様 お 待ち に …
こら ~ 待ち や がれ !
そ … そう です よ え えっ と
( マリ オン ) 奥様 お 待ち ください !
( 一弥 ) ダメ です ! ストップ !
( ヴィクトリカ ) あっ 久 城 …
( 一弥 ) 上 に は その … 金色 の お化け が 出 ます !
( ヴィクトリカ ) むっ
( ジャクリーヌ ) お化け ?
( 一弥 ) はい ! 見つかったら マカロン み たい に ―
むしゃ むしゃ 食べ られ ちゃ い ます よ だ から 下 へ !
むしゃ むしゃ 食べ られ ちゃ い ます よ だ から 下 へ !
( ヴィクトリカ ) バカ 久 城 め 失敬 な
面白い ならば ご 要望 の とおり 震え上がら せ て やろ う で は ない か
( ジャクリーヌ ) お化け だ お化け だ ~ わ ~ い ! ウフフ
( 一弥 ) ちょ っ !
( ヴィクトリカ ) ♪ こ … 怖く なんか ない ぞ
( 階段 を 駆け上がる 音 )
( 階段 を 駆け上がる 音 )
( 階段 を 駆け上がる 音 )
♪ バカ 久 城 も いる ~ し ~
( ジャクリーヌ ) 着 い た わ ここ ね お化け は …
( ジャクリーヌ ) あら ? ( ヴィクトリカ ) ん ん っ
( ジャクリーヌ ) まあ 等 身 大 の ビスク ドール
なんて かわいい お 人形 な の !
( ヴィクトリカ ) ん ん っ
すごい わ まるで 本当 に 生き てる みたい
え ?
温かい ?
いかに も 残念 ながら この とおり 生き て いる
( ジャクリーヌ ) キャー !
イタッ 痛い
ごめんなさい !
あなた も しか して この 学園 の 生徒 さん ?
いちご の 棒 付き キャンディー 食べる ? お 嬢ちゃん
無論 だ
は … は ぁ
私 は ジャクリーヌ ・ ド ・ シニョレー あなた は ?
( ヴィクトリカ ) ん ? ほう で は 君 が
えっ 知って る の ? 私 の こと
( ヴィクトリカ ) む …
( 一弥 ) ああ 彼女 は です ね 実は ブロ …
( ヴィクトリカ ) う ー っ ( 一弥 ) う っ
( ジャクリーヌ ) ん ? ん …
ところで ―
君 たち は 何 だって わざわざ ここ を 訪れ た の だ ね ?
( ジャクリーヌ ) あっ ( マリ オン ) それ は です ね
( マリ オン ) 私 ども は こちら に この 本 を 寄贈 する ため …
( 一同 ) え ?
って あの …
本 など 入って い ない が
( マリ オン ) え ! ?
え えっ ! ?
( 一弥 ) 化粧 水 お 肌 の クリーム …
ど … どこ で …
入れ 代わった の かしら
( 行商 の 男性 ) あれ が ない と 困る ん です
( 行商 の 男性 ) あれ が ない と 困る ん です
( グレ ヴィール ) ん ?
( 行商 の 男性 ) お 願い し ます ( グレ ヴィール ) 何事 だ
( フラン ) はっ その 行商 品 の カバン を 捜し て くれ と
広場 で どこ か の メイド と ぶつかった 際 ―
荷物 を 取り違え た らしく …
ん っ その 紋章 は …
( シニョレー ) ああ ジャクリーヌ なら ―
確か に そちら を 訪ね て いる よ
おかしい な まだ 君 の 所 に は 顔 を 出し て ない の かい
( グレ ヴィール ) な … なぜ ?
聖 マルグリット 学園 の 図書 館 へ 本 を 寄贈 し に さ
バカンス の 荷造り 中 屋根 裏 部屋 で 見つけ た らしい ん だ が
何たる こと だ
( マリ オン ) 申し訳 あり ませ ん 奥様
いい わ よ 気 に し ない で
それ より きれい ね あの 天井 画
ふん っ
ヴィクトリカ 怒って る ?
( ヴィクトリカ ) 別に
( ジャクリーヌ ) あ … キュー ちゃん
( ヴィクトリカ ) あっ
昔 飼って た シマリス の 名前
背中 に アルファベット の “ q ” の 字 に 似 た 模様 が あった の
あなた を 見 て たら 何だか 思い出し ちゃ って
ふん っ あまり に 知性 と 無縁 の ネーミング だ な
まったく 失礼 な … はっ
おい 君 その 話 は
( ジャクリーヌ ) あれ は 数 年 前
ちょうど 私 に 夫 と の 縁談 が 持ち上がった 頃 だ わ
キュー ちゃん が 病気 で 死 ん で しまって …
そして 私 は 殺人 事件 の 容疑 者 に
( 一弥 ) それ って …
あの ちなみに 被害 者 は …
( ヴィクトリカ ) ん っ ( 一弥 ) ひ っ
ええ キュー ちゃん の 主治医 だった 獣医 の 先生 よ
ご 自宅 で 胸 を 刺さ れ て 亡くなって い た の
現場 に は 先生 が 最後 の 力 を 振り絞って 書 い た ―
“ q ” の 文字 が 残さ れ て い た わ
いわゆる ダイイング メッセージ ね
えっ “ q ” って さっき の
( ジャクリーヌ ) そう 死 ん だ キュー ちゃん の “ q ”
しかも ね それ だけ じゃ なく ―
お 葬式 の 時 先生 の 奥様 ポーラ さん の 腕 に ―
ひとりでに 謎 の 文字 が …
( ポーラ ) あ あー っ !
( ジャクリーヌ ) 亡くなった 先生 から の メッセージ だ と ―
みんな うわさ し て い た わ
その 鏡 文字 の 内容 は ―
“ ジャクリーヌ が 俺 を 殺し た ”
( 一弥 ) あっ
確か に 古来 より 左右 反転 し た 鏡 文字 は ―
呪い の 儀式 に 用い られる と さ れ て いる
つまり そこ に 居合わせ た 連中 は 死者 から の 告発 と 取った わけ だ
物知り な の ね お 嬢ちゃん
当然 だ 私 の 知恵 の 泉 が 告げ て いる の だ
( 一弥 ) 間違い ない
これ が 昔 ブロワ 警部 が 再 構成 を 頼 ん だ 事件 な ん だ
( ジャクリーヌ ) グレ ヴィール
どう し た の ? そんなに ムスッ と し て
ほら 笑って ほら ほら ほら ほら ~
ジャクリーヌ 君 元 気 が ない ね
( ジャクリーヌ ) え ?
( グレ ヴィール ) 元 気 が ない 時 の 君 は ―
決まって バカ を する
寝癖 の つい た まん ま で ぼんやり 出かけ たり ―
その くせ 妙に は しゃい だ り
今 だって ほら
そんなに も 衝動 買い を
こ これ は … その …
例 の 事件 の こと は 聞い た よ 許し がたい な
世間 の 無責任 な うわさ って やつ は
( ジャクリーヌ ) しかたない わ
あの 呪い の 文字 が 出 て き た の は 確か に 事実 な ん だ し
( グレ ヴィール ) ん …
お 断り しよ う と 思う の シニョレー さん と の 縁談 も
え ?
そりゃ あ 確か に 楽しく て 気 が 合う 方 だ し ―
ちょっと お 魚 の フナ に 似 てる ところ も ―
よく 見る と キュート な の よ
でも やっぱり 警察 の 方 です も の
ご 迷惑 を お かけ する わけ に も いか ない わ
ジャクリーヌ
灰色 狼 め
彼女 に 余計 な こと を しゃべって い たら ―
たとえ 父上 が 何と おっしゃ ろ う と 決して 許さ ん !
( ジャクリーヌ ) 墓地 で の 一 件 以来 私 は 世間 に 犯人 扱い さ れ た わ
きっと ペット の 恨み で 先生 を 刺し た に 違いない って
でも 不思議 な こと に その 後 すぐ …
なぜ か 真 犯人 が 自首 し 奥様 へ の 疑い は 無事 晴れ た の です
そして 旦那 様 の 元 へ と 嫁ぎ マダム ・ シニョレー に
あっ そう いえ ば グレ ヴィール の 髪形 が ああ なった の も ―
確か その 頃 だった よう な
う う っ ぐ … 偶然 だ
( 一弥 ) ん ん …
あの ジャクリーヌ さん それ で 結局 真 犯人 と いう の は …
え ? ええ … それ は ね
奥様 そろそろ お 時間 が
あっ ごめんなさい そろそろ グレ ヴィール の 所 へ 行か ない と
続き は まだ 今度 ね
( 一弥 ) え ?
楽しかった わ 二 人 と も
( 一弥 ) ああ …
( ジャクリーヌ ) わ ~ い ! ウフフ ( マリ オン ) 奥様 ! 待ち や がれ !
( 一弥 ) な … なんか 嵐 みたい な 人 だった ね
( ヴィクトリカ ) ふん
( 一弥 ) で さあ ヴィクトリカ
( ヴィクトリカ ) 真 犯人 か ?
そんな もの 混沌 ( カオス ) と 呼ぶ まで も ない 子供 だまし だ
あ …
教え て やろ う 問題 の 獣医 を 殺し た の は ―
他なら ぬ 彼 の 妻 だ よ
あっ
ウフッ ねえ あっ ち に は 何 が
奥様 ! だ から も う っ !
( ヴィクトリカ ) で は 言語 化 し て やろ う
まず は 墓地 で の 呪い の 文字 の 件
あれ を 書 い た の は 獣医 の 妻 ―
ポーラ 自身 だ ( 一弥 ) お っ
彼女 は 左利き だった の だ よ
左利き の 中 に は ごく まれ に 鏡 文字 を スラスラ と 書 ける 者 が いる
彼女 は その 特殊 技能 を 利用 し 呪い の 鏡 文字 を 仕上げ た
( 一弥 ) は ああ
( ヴィクトリカ ) 狙い は ジャクリーヌ に 罪 を かぶせる こと
そして ポーラ に ―
その よう な 行動 を 取ら せる きっかけ と なった の が ―
殺害 現場 に 残さ れ て い た ―
ダイイング メッセージ
その 文字 を 警察 は …
キュー ちゃん の …
そんなに 嫌 な 顔 する こと ない じゃ ない
かわいい 名前 だ と 思う けど な 僕 は
うるさい ! とにかく 警察 の バカ ども は だ な
これ を ペット の 名 の 頭文字 “ q ” だ と 思い込 ん だ
( 一弥 ) あ あっ あの ヴィクトリカ ?
( ヴィクトリカ ) 刺さ れ た 獣医 は 恐らく ―
この よう な 姿勢 で 横たわって い た の だ ろ う
そして この よう な 姿勢 で 文 字 を 書こ う と する と ―
自然 と 左右 が 反転 し て しまう
つまり 獣医 は 妻 ポーラ の イニシャル “ P ” を 書 い た つもり だった の だ
( 一弥 ) ああ …
( ヴィクトリカ ) いわば もう 一 つ の 鏡 文字
私 が 再 構成 し た これ ら の 真相 を ―
グレ ヴィール は 正体 を 隠し て ポーラ に 告げ た
“ 自首 し なけ れ ば 警察 に 話し ます よ ” と ね
結果 観念 し た 彼女 は …
警察 に 自首 し た わけ だ ね
うむ ちなみに グレ ヴィール は 彼女 に 己 の こと を 固く 口止め し た
この こと は 一切 公 に さ れ て は い ない
そう か ~
警部 は 人知れず 事件 解決 に 協力 し て ジャクリーヌ さん の 幸せ を …
( ヴィクトリカ ) 再 構成 し た の は 私 だ
その 夢見 がち な 乙女 の よう な 顔 は よせ
エヘヘヘ
でも 代償 が あの 髪形 って いう の は いくら 何でも ひどく ない ?
むっ
う っ 正当 な 要求 だ
( エレベーター の 到着 音 )
ジャ … ジャクリーヌ は ?
うむ どうやら 既に ここ に は い ない よう だ な
( ため息 )
( 刑事 ) こちら に おら れ まし た か 総監
そろそろ 会議 が
それ は 確か 奥様 が 独身 時代 に 巻き込ま れ た 事件 の
( シニョレー ) うん たま に 思い出し て は 眺め て いる の だ よ
いささか 気 に なる こと が あって ね
( シニョレー ) 彼女 は 己 の 犯し た 罪 を 悔い ―
自ら 出頭 し た と 記さ れ て いる
だが …
誰 か こっそり 事件 の 解決 に 手 を 貸し て くれ た 者 が いる
私 に は そう 思 え て なら ない の だ よ
( 行商 の 男性 ) お 願い だ あれ が 見つから ない と 大 損害 だ
私 の カバン は !
まあ 落ち着 い て 待て 警部 に 心 当たり が ある らしい から
( 行商 の 男性 ) ああ …
( ジャクリーヌ ) あの … ( 2 人 ) ん ?
( ジャクリーヌ ) よろしい です か ?
( フラン ) あっ はい
こちら に ブロワ 警部 と いう 方 が …
( マリ オン ) あ あっ ( 行商 の 男性 ) おお っ
( マリ オン ) あ ~ ! あの 時 の ? ( 行商 の 男性 ) お ~ あんた !
( グレ ヴィール ) シニョレー 夫人 から の 寄贈 本 だ
君 から 司書 に でも 渡し て おき た まえ
は ぁ … でも なぜ 警部 が ?
( ヴィクトリカ ) ふん っ まったく めでたい 女 だ
善意 と 鈍感 が 手 を つなぐ と 一種 の 悪徳 に なる と いう よい 見本 だ
( グレ ヴィール ) だ が それ も ジャクリーヌ の よい 所 だ よ
( ヴィクトリカ ) あ …
警部 あの …
( グレ ヴィール ) 小 リス 君 君 は 外し て くれ た まえ
今日 は 特別 に あれ を 使って も いい ぞ
( 一弥 ) え ?
あ …
あ … はい
( グレ ヴィール ) その 灰色 狼 の 頭脳 は ―
確か に 優秀 極まりない の だ ろ う
私 の もの など と 違って な
だが 妹 よ お前 に は 心 が ない
あっ
覚え て いる か ? あの 夜 私 は お前 に こう 言った
( 雷鳴 )
( ヴィクトリカ ) 事情 は 分かった
だが 私 に あえて 解決 を 依頼 し に き た 理由 は ?
ジャクリーヌ を 救い たい から だ
彼女 を 愛し て いる から だ
愛 … それ は ?
私 は 生まれ て この かた その よう な 言葉 を 聞い た こと が ない
う っ
で お前 の 欲し がった 代償 が これ だ
だが こんな 髪形 など どう って こと は ない
( ヴィクトリカ ) くっ
( グレ ヴィール ) “ ジャクリーヌ を 二 度 と 愛す な ”
本当 に 私 を 苦しめ たい なら そう 要求 す べき だった の だ よ
だが 灰色 狼 の お前 は …
( ヴィクトリカ ) 黙れ
人間 なら 誰しも 当たり前 に 思いつく そんな こと すら …
黙れ う う っ
( グレ ヴィール ) ん っ
( エレベーター の ドア の 開閉 音 )
( エレベーター の 作動 音 )
違う … 私 は もう 違う の だ
昔 の 私 と は …
( 一弥 ) ん ~ 大丈夫 か な あの 二 人 …
あっ 警部
行って やれ 灰色 狼 が お 待ち だ ぞ
( 一弥 ) え ?
ん っ
( マリ オン ) 残念 で し た ね 奥様
結局 あの とんがった 警部 さん に お 会い でき なく て
( ジャクリーヌ ) ねえ マリオン
あの 人 って す っ ごく すてき な 人 だった の よ
は あ
( ジャクリーヌ ) 昔 の 私 は ね
真っ黒 に 日焼け し て て ひ ょろ り と し て て ―
全然 きれい じゃ ない 女の子 だった から ―
ほんの 時々 グレ ヴィール と ―
ひと言 ふた 言 話し た だけ の 記憶 を 大事 に する の が ―
精いっぱい だった の
でも あの 人 優しい 人 だった の よ ね 昔 から
この 年 に なって ようやく 分かる よう に なった
だ と し たら ―
時 が 経って 大人 に なる の も 悪い こと ばかり じゃ ない わ ね
このまま ずっと 子供 で い たい と あの 頃 は 思って い た けれど
また 会 える かしら あの 人 と
“ 私 の 本 学園 に 届け て くれ た そう ね ”
“ ありがとう 持つ べき もの は 幼なじみ だ わ ” … か
フッ …
♪ ~
~ ♪
( 一弥 ) あ ~ もう すぐ 夏 休み か あ
( ヴィクトリカ ) 夏 の まばゆい 日ざし も ―
水しぶき を 跳ね 上げる きょう 声 も ―
私 から は 遠い もの だ …