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屍鬼, Shiki Episode 18

( 夏野 ) この 状況 から 逆転 する チャンス は おそらく 一 度 。

( 小池 ) 《 皆 起き上がり だった の か … 》

( 律子 ) もう 病院 も 辞め ます 。

( 敏夫 ) 俺 は 村 が 滅びる ところ を 見 たい 。

( 高 俊 ) でも 死体 の 管理 って →

葬儀 屋 の 速見 さん とこ で やって ん じゃ なかった っけ ?

( 康幸 ) あそこ が いっぱい に なった から →

置き きれ なく なった 分 を 山小屋 に 持ってき てる ん だ 。

( 高 俊 ) 大変 そう だ な 。 ( 康幸 ) そう で も ない よ 。 →

俺 が 管理 し てる 小屋 は 5 カ所 だ けど →

様子 を 見 て 回る だけ だ し 。 →

で 数 日 たって 起き上がったら 山 入 に 送って →

腐ったら こう やって 土 に 埋め れ ば いい だけ だ から 。

( 高 俊 ) ふう ん 。

( 康幸 ) 仕事 が ある って いう の は いい よ 。 それなり に 張り も 出る し 。

朝 の 光 を 手放し た 花

注が れ ない 雨 を 求め

覚め ない 眠り に つく

誰 か を そっと 呼ぶ 声

闇 の 楽園 は

嘘 か 夢 か

失う の は 身体 と

自分 と いう 心

その 対価 を 差し出し

何 を 得 られる の だ ろ う

この 涙 で 奪え る 程 に

命 は 脆く て 儚く て

全て に 訪れる

終わり を

「 恐怖 」 と 嘆く の か

終演 を 歌う 金 盞花

静か に 咲き誇る

憎しみ も

悲しみ も

その 根 で た くり 寄せ て

終焉 を 歌う 金 盞花

寂し さ を 潤す

注が れ ない 雨 を 求め て

覚め ない 眠り に つく

( 結城 ) キエエエエエ ! !

( 結城 ) ヒャハハハハ ! アハハ ハハ ! アッハハハハ !

やった ぞ 夏野 。 起き上がり を 退治 して やった 。 アハッ ! →

どう だ ! 父さん は 頼り に なる だ ろ う ? →

小出 工房 新装 開店 。 起き上がり デスク に は →

細かい アイデア が いっぱい だ ! ( 辰巳 ) やっ !

( 結城 ) あっ ! くたびれ たら ゆで卵 の 黄身 に な ろ う … 。

( 辰巳 ) お 父上 。 上がって も いい だ ろ う か ?

( 結城 ) ショールーム は 朝 から 営業 中 。

どうぞ 。

( 夏野 ) それ で ? 何 の 用 だ ?

起き上がって い た なら 教え て ほしかった な 。

( 夏野 ) そんな 義務 が あった ん だ 。 やっ ! 確かに 義務 じゃ ない かも 。

君 は 人 狼 と いう の は ご存じ か ?

( 夏野 ) あんた や 俺 の こと だ ろ ?

やはり 賢い 少年 だ 。 人 狼 と は 屍 鬼 の 亜種 だ 。

これ まで に 君 を 入れ て 4 人 しか 見 た こと が ない 。

けう と 言って いい だ ろ う 。 →

人 狼 と いう 名 は 沙 子 が 付け た ん だ 。 →

映画 なんか じゃ →

吸 血 鬼 に たいがい おおかみ 男 が 付き 従って いる もの だ ろ う ?

さあ ? 見 た こと が ない な 。

ところで 君 の 数 少ない 友人 の 1 人 →

田中 昭 君 。 →

最近 あまり 見掛け ない が どう し た ん だ ろ う ね ?

知ら ない な 。

やはり 血 を 吸って い ない な 。

う ぐ っ !

( 辰巳 ) 人 狼 は 呼吸 も 脈拍 も あり 昼間 も 出歩け →

ごく 普通 の 食事 でも 持ちこたえ られる 。

身体 能力 も 強化 さ れ 五感 に 至って は 人 の 倍 以上 だ 。 →

だが 血 を 吸って い なけ れ ば 本来 の 力 は 出せ ない 。

どう する ? このまま 殺す こと も できる ぞ 。

( せき )

僕 個人 と して は 君 は 殺し とい た 方 が いい と 思って いる 。

( 辰巳 ) だ が 沙 子 は 仲間 が 増える こと を 望 ん で いる 。

あと 少し だけ 考える 時間 を やる 。 俺 たち の 側 へ 来い 。

妙 な 態度 を 続ける なら また あらためて 殺し に 来 る 。

( 車 の 走行 音 )

( 正雄 ) うん ?

( クラクション ) ( 正雄 ) えー っ ! ! ダァ ~ ! !

( 篤 ) ひ ゃっ ほ ~ !

( 正雄 ) な … ! ? 何 だ ありゃ !

( 恵 ) 酒屋 の 息子 よ 。 ( 正雄 ) えっ ?

( 恵 ) 親父 さん から 解放 さ れ て はじけ ちゃ った みたい ね 。

殺人 の 特権 手 に 入れた って →

喜々と して 人 殺し て 回って る みたい 。

何 だ よ それ ! 新 入り の くせ に 調子 に 乗り 過ぎ じゃ ない の か ?

佳枝 さん に 言った 方 が いい ん じゃ ね ー の ?

は ぁ … 。

あんた って ホント 何もかも ちっちゃ い わ ね 。

な … ! ! →

って お前 年下 の くせ し て 「 あんた 」 と か 言って ん じゃ ねえ ! !

最高 だ ぜ ぇ ! ! アハ ハハ ! ( クラクション )

( 佳枝 ) もう … 。 千鶴 さん 大川 篤 に 好き勝手 さ せ て 。 →

調子 に 乗り 過ぎ だ わ 。

( 徹 ) 沙 子 は 何も 言って ない の ? ( 佳枝 ) 沙 子 は 千鶴 さん に 甘い の 。

( 徹 ) 甘い ? ( 佳枝 ) 特別 な の 。

まるで 母子 の よ う 。

千鶴 さん が 子供 の 方 よ 。

こんばん は 佳枝 さん 。

( 佳枝 ) それ から 沙 子 は あなた の こと を 買って る わ 。 →

幹部 候補 ね 。 だから と いう ん じゃ ない けど →

東山 の 起き上がり 小屋 の 巡回 に 付き合って ちょうだい 。

( 律子 ) 《 やっぱり 脈 が ない … 》

( ドア の 開く 音 )

( 佳枝 ) おはよう ! 物音 が し たから もしや と 思った けど 。

( 徹 ) 律 ちゃん !

( 律子 ) 《 そう か 。 わたし 呼吸 し て ない から … 》

( 律子 ) は ー !

あ … あなた … たち も 起き上がった の ね ?

おん や ? まだ 説明 し て い ない の に 分かって る ん だ 。

《 やっぱり … 》

( 律子 ) 自分 が どう なった か ぐらい 覚え てる 。 →

ひどい 過 呼吸 だった の 。 →

自分 で 処置 しよ う と して 袋 探し た ん だ けど →

近く に は 見つから なかった わ 。 →

ほか に 探し に 行 こ う と して →

意識 を 失った の 。

わたし は あれ で 死 ん だ の ね ? ( 佳枝 ) まっ そう でしょ う ね 。

何 が 起こった か 分かって る なら 話 が 早い わ 。

徹 君 。 最低 限 の こと を 教え て →

食事 さ せ て 。 ( 徹 ) 俺 が ?

今夜 は ほか に も 起き上がり そう な の 。 →

ここ は 任せる わ 。

着替え の ぞい たら 駄目 よ !

頼 ん だ わ よ !

( 徹 ) と … とにかく これ に 着替え て くれ 。 →

俺 は 外 に 出 てる から 。

( 律子 ) いら ない わ 。 →

わたし は 死 ん だ ん だ から 経 かた びら で 十分 。

それ に 食事 も し たく ない の 。 誰 も 殺し たく ない から 。

みんな 最初 は そう 言う ん だ 。

でも 結局 飢え に 負け て 襲って しまう 。 →

本当 に 苦しい 飢え な ん だ よ 。

家族 も きっと もう 死 ん でる わ ね 。 →

最後 に 見 た とき お 母さん も 緑 も そんな 顔 し て た もの 。 →

取りあえず できる か どう か やって みる わ 。

自分 を 嫌い に なり たく ない から 。

そういう 選択 の 自由 は ない の かしら ?

( 笈 太郎 ) タツ さん ! タツ さん ! 武子 さん が ゆうべ … 。

死 ん だ って … 。

( 千鶴 ) 《 わたし に 絶対 に 従う こと 》 →

《 この 村 で は 誰 も 死 ん で い ない の 》

う っ … ぐ っ … う っ … 。

う ぅ … !

あっ ! う っ う ぅ ぅ !

( 神楽 )

( 千鶴 ) 完ぺき ! ご苦労さま 。

( 千鶴 ) これ だけ の 数 を 書き 直す の 大変 だった でしょ ?

そう で も ない 。 君 の 指示 どおり に 何 か を しよ う と する とき →

取りつか れ た よう に 進める こと が でき た 。

( 千鶴 ) 沙 子 も これ を 見 たら 喜ぶ わ 。 →

沙 子 は 役 に 立つ 者 に は 寛容 な の 。

( 敏夫 ) せいぜい 役 に 立って 生かし て おい て もらわ ない と な 。

( 千鶴 ) お祭り な の ? ( 敏夫 ) ああ 。 霜月 神楽 だ 。

( 千鶴 ) 早く 村 が 屍 鬼 だけ に なれ ば いい のに 。 →

そ したら ホント に 自由 に 歩け る わ 。 →

買い物 を し て 立ち話 を し て … 。 ウフフフ 。

お ままごと み たい ね 。 ( 敏夫 ) それ が あんた ら の 望み か ?

そう ね 。 安全 な 拠点 が 欲しい の 。 隠れ なく て いい 安全 な 場所 。

もう 少し だ わ 。 もう じき それ が 手 に 入る 。

そう 簡単 に いく か ね ?

( 千鶴 ) 沙 子 は 最後 の 詰め が 難しい と 言う けど ね 。 →

ここ まで き たら 成功 し た も 同然 でしょ う ?

一 番 の 脅威 だった あなた も もう 敵 で は ない わけ だ し 。

フッ 。 「 敵 で は ない 」 か … 。 ( 千鶴 ) ウフフフ 。

( 敏夫 ) 千鶴 … 。 ( 千鶴 ) うん ?

デート し よ う 。 ( 千鶴 ) えっ ?

ブッ ! どう し た の ? 先生 。

俺 は もう じき 死ぬ ん だ 。

最後 ぐらい いい 目 に 合わせ て くれよ 。 →

それ に あんた 神楽 に 興味 津 々 じゃ ない か 。

そう だ けど … 。

駄目 よ 神事 は 。

肝心 の 場所 に 近寄ら なきゃ いい 。

( 敏夫 ) それ に 表 に 出 た 方 が 村 の 連中 の 不信 感 も なくせ る ぞ 。

( 千鶴 ) そういう もの ? ( 敏夫 ) ああ 。

そう よ ね 。 せっかく の お祭り な のに →

こそこそ し てる の も つまらない わ ね 。

よし ! そう と 決まれ ば … 。 ( 千鶴 ) あっ … 。 えっ ?

( 敏夫 ) 俺 と あんた が 一緒 に 歩 い て たら 不自然 だ ろ う ?

あんた は 子 芋 の 皮 を むこう と して 包丁 が 滑った ん だ 。

子 芋 ?

( 敏夫 ) ああ 。 親指 の 付け根 を 切った 。 そういう 処置 を し て ある 。

い … 意外 と 細かい の ね 。

それ が リアリティー って もん さ 。 ( 千鶴 ) ウフフフ 。

そう よ ね 。 子 芋 は 滑る の よ ね 。

わたし も 昔 よく 切った わ 。 ウフフフ 。

昔 ? どの くらい 昔 だ ?

そう やって 女性 の 年 を 探ら ない で 。

アハハ ハハ ! 結婚 は し て た の か ? 子供 は ?

夫 は 子供 を 与え て くれる ほど 長い 間 そば に い なかった わ 。 →

そして 南方 で 戦死 し た 。 ( 敏夫 ) うれし そう だ な 。 →

まるで 特大 の 宝石 が 付い た 指輪 でも 眺め てる ふう だ 。

そう ね 。 気分 的 に は 近い わ 。

不思議 ね … 。 わたし 人間 に 戻り たい の かしら 。 →

そんな こと もう とっくに どうでも よく なった と 思って た のに 。

ウフフフ 。

ねえ 行き ま しょ 。

包帯 を 見せびらかし に ? ( 千鶴 ) ええ そう !

とても 自慢 で うれしい の ! おかしい かしら ? ウフフフ !

( 神楽 )

( かず子 ) あら ?

かず子 さん 。 こんばんは 。 ( 千鶴 ) こんばんは 。

あっ えっ … 。 こ … こんばん は 。

( 敏夫 ) こちら は 兼 正 の 奥さん の 桐 敷 千鶴 さん だ 。

( かず子 ) まあ 。 それ は どうも 。

奥さん が この にぎやか な 音 は 何 だって 言う んで ね 。

ああ 。 今日 は お祭り な ん です よ 。

別に 外 から 見物 客 が 来る わけ で も ない けど … 。

わたし お 神楽 って そば で 見 た こ と ない ん です 。

都会 育ち だった もの です から お祭り や 年中 行事 に 縁 が なく て 。

あっ やっ だ ー ! 気付 い ちゃ い まし た ぁ ?

子 芋 が 手 の 中 から 逃げ ちゃ った ん です よ ぉ 。

ああ わたし も よく やり ます 。

根 が おっちょこちょい な の か ケガ が 絶え なく て 。

娘 な ん か 料理 し てる ん だ か さ れ てる ん だ か →

分から ない って 言う ん です よ 。

まあ ! アハハ ハハ !

お 体 が 悪い って 聞い た けど ?

この ところ 調子 が いい ん です 。 夏 の 間 は お 天気 が 良く て →

体 に こたえ まし た けど 。 ( 男性 ) へ ぇ ー 。

( 敏夫 ) 光線 過敏 症 って の が ある ん だ よ 。 →

大変 な ん だ 。 ( 女性 ) まあ 大変 !

家 の 中 で おとなしく し て い れ ば いい こと な ん です けど →

お 天気 が いい と シーツ な ん か を 洗って お 庭 に パーッ と →

干し たく なっちゃ っ て !

こら ! そういう こと を する から 寝込む 羽目 に なる !

は ー い 。

( 男性 ) まあ 楽し ん で って ください 。

( 康幸 ) さすが に 今日 は 夜 だって の に 人 が いっぱい だ よ 。

( 高 俊 ) だ ろ う な 。 俺 も 祭り 行き て ー な 。

( 康幸 ) ああ 千鶴 さん い た よ 。 ( 高 俊 ) えっ ?

( 康幸 ) 何だか 尾崎 先生 と カップル み たい に 歩 い て た な 。 →

めちゃくちゃ 機嫌 良 さ そう に 話し て た なぁ 。

何て 簡単 な の かしら !

みんな 「 何 だ 」 って 顔 に 書 い て ある みたい だった わ 。 →

あっ !

( 敏夫 ) 行って みる か ? ( 千鶴 ) 行って み たい 。 →

でも 駄目 。 ホント に 怖い の 。 もう 足 が すく ん でる 。

( 敏夫 ) 何 か 実害 が ある の か ? ( 千鶴 ) ない と は 思う けど … 。

( 敏夫 ) 怖 けれ ば つかまって れ ば いい 。

( 千鶴 ) これ は 何だか スキャン ダラス じゃ ない ?

( 敏夫 ) 構う もん か 。

( 千鶴 ) じゃあ 行ける 所 まで 。 でも 無理強い は し ない で 。

分かって る 。 だいたい 俺 は あんた の 命令 に 逆らえ ない 。

そう いえ ば そう ね 。

( 宗 秀 ) おや 。 若 先生 !

そちら は 桐 敷 さん の 奥さん です か ね ?

そう 。 お 神楽 を 見 た こと が ない って 言う もん で ね 。

でも あまり 体調 が 良く ない らしい 。 →

引き返し ます か ?

だ … 大丈夫 。 もう 少し だけ … 。

分かった 。 宗 秀 さん 。 人込み が すごい から →

よかったら 一緒 に 歩 い て そっち から 盾 に なって くれ ない か 。

ああ いい よ 。

( 宗 貴 ) あっ 若 先生 ! ( 武雄 ) 一緒 な の は 兼 正 の … 。

ああ 若 先生 ! ことし の 霜月 神楽 は →

いつも と ひと 味 違い ます ぞ ! ぜひ 見 て って ください よ !

( 男性 ) みんな ! 若 先生 が 来 た ぞ ! ( 男性 ) 先生 。 どうも !

( 敏夫 ) どう し た ?

か … 帰り ます !

待って ! ( 千鶴 ) 気 分 が 悪い の 。

戻る ん じゃ かえって 大変 でしょ う 。 すごい 汗 だ 。 →

少し 社務所 で お 休み なさい 。

いいえ 帰り ます ! ! これ は 命令 よ !

そう … 。 じゃあ →

清水 さん 手伝って くれ ! ( 武雄 ) どう し た ん です か ?

彼女 が 具合 悪い らしく て 社務所 まで 運び たい ん だ よ 。

えっ ! ?

( 武雄 ) いい です よ 。 さあ 奥さん 。 ( 千鶴 ) 何 を … !

( 武雄 ) 《 何 だ ! ? すごく 冷たい ぞ ! 》

先生 ! わたし は 帰る と 言って る の ! !

体温 が 下がって 徐脈 が 出 てる ん だ 。 急 い で くれ 。

( 武雄 ) ええ ! ( 千鶴 ) ちょっと どう し た の よ !

聞こえ て ない の ! ? 私 が 言って る の !

あっ … !

嫌 ぁぁ !

わ … 若 先生 。 彼女 は いったい どう し た ので ?

( 千鶴 ) あぁ ぁぁ ! あっ … !

何だか 神社 を 怖がって る みたい だ な 。

( 武雄 ) 《 この 女 の におい … 》 →

《 恵 が 倒れ て から 死ぬ まで の 数 日間 部屋 に は →

なぜ か 大人 の 香水 の よう な 残り香 が あった 》 →

《 その におい … 》

( 千鶴 ) あぁ ぁぁ !

逃がす な 。 起き上がり だ 。

( 敏夫 ) あんた の 娘 を 殺し た 犯人 だ よ 。

あぁ … ! ! →

ヒィー !

( 敏夫 ) 清水 さん 。 首 。 脈 を 診 て くれ 。 →

救急 車 を 呼ぶ か どう か 考え ない と 。

嫌 ぁぁ ぁ !

( 武雄 ) 《 ない … 》

( 武雄 ) こいつ 起き上がり だ !

( 宗 貴 ) は あ ?

こいつ が うち の 娘 を 殺し た ん だ !

うち の 娘 を 殺し た ん だ ! !

( 富雄 ) あんた 何 を バカ な … 。 ( 武雄 ) バカ な もん か ! →

こいつ に は 脈 が ない ! ( 千鶴 ) あぁ … 。

( 富雄 ) 確かに 脈 が ない 。 それ に 異様 に 冷たい 。

あぁ ぁぁ ! ( 寛子 ) そんな … !

( 寛子 ) ホント だ わ ! 心臓 の 音 が し ない !

( ざわめき )

( 千鶴 ) あぁ ぁぁ ぁ !

( 男性 ) こいつ 呼吸 も し て ない ぞ 。 ( 男性 ) 嘘 だ ろ ?

( 男性 ) 何 な ん だ こいつ は ! ( 銃声 )

( 篤 ) う ぉぉ ぉ ら !

おら おら おら おら ぁ ! ( 村人 たち の 悲鳴 )

( 衝突 音 )

えっ !

ぬ ぁぁ ぁ !

篤 … 。

お … 親父 … 。

ぬ ぁぁ ぁ ! !

( 正 志郎 ) 道 を 開け て もらえ ます か ?

篤 ぃぃ ぃ ! !

うわ ー っ !

篤 君 ! 何 を し て いる !

( 篤 ) 無理 だ ! 親父 に 勝て る はず が ねえ ! !

( 男性 ) ありゃ あ … 。

( 男性 ) この 間 死 ん だ 大川 の 息子 だ よ 。

( 宗 貴 ) 起き上がり だ 起き上がり が 仲間 を 助け に 来 た ん だ 。

( 千鶴 ) ヒッ ! ( 武雄 ) あっ ! おい 逃がす な ! !

( 男性 ) 起き上がり だ ! ( 女性 ) 起き上がり !

( 村人 たち ) 起き上がり ! 起き上がり ! →

起き上がり ! 起き上がり !

あぁ … 。 あぁ ぁぁ 。

闇 に 紛れ て

息 を 殺す

闇 を まとって

ふっと 微笑む

気のせい さ

お前 など 誰 も 知る はず ない

月 だけ が

見つめ て いる

ああ 終わり の 無い 夜 彷徨う

ああ あなた の 夢 ただ 夢見 て

ああ 終わり の 無い 夜 彷徨う

ああ あなた の 夢 ただ 夢見 て


( 夏野 ) この 状況 から 逆転 する チャンス は おそらく 一 度 。

( 小池 ) 《 皆 起き上がり だった の か … 》

( 律子 ) もう 病院 も 辞め ます 。

( 敏夫 ) 俺 は 村 が 滅びる ところ を 見 たい 。

( 高 俊 ) でも 死体 の 管理 って →

葬儀 屋 の 速見 さん とこ で やって ん じゃ なかった っけ ?

( 康幸 ) あそこ が いっぱい に なった から →

置き きれ なく なった 分 を 山小屋 に 持ってき てる ん だ 。

( 高 俊 ) 大変 そう だ な 。 ( 康幸 ) そう で も ない よ 。 →

俺 が 管理 し てる 小屋 は 5 カ所 だ けど →

様子 を 見 て 回る だけ だ し 。 →

で 数 日 たって 起き上がったら 山 入 に 送って →

腐ったら こう やって 土 に 埋め れ ば いい だけ だ から 。

( 高 俊 ) ふう ん 。

( 康幸 ) 仕事 が ある って いう の は いい よ 。 それなり に 張り も 出る し 。

朝 の 光 を 手放し た 花

注が れ ない 雨 を 求め

覚め ない 眠り に つく

誰 か を そっと 呼ぶ 声

闇 の 楽園 は

嘘 か 夢 か

失う の は 身体 と

自分 と いう 心

その 対価 を 差し出し

何 を 得 られる の だ ろ う

この 涙 で 奪え る 程 に

命 は 脆く て 儚く て

全て に 訪れる

終わり を

「 恐怖 」 と 嘆く の か

終演 を 歌う 金 盞花

静か に 咲き誇る

憎しみ も

悲しみ も

その 根 で た くり 寄せ て

終焉 を 歌う 金 盞花

寂し さ を 潤す

注が れ ない 雨 を 求め て

覚め ない 眠り に つく

( 結城 ) キエエエエエ ! !

( 結城 ) ヒャハハハハ ! アハハ ハハ ! アッハハハハ !

やった ぞ 夏野 。 起き上がり を 退治 して やった 。 アハッ ! →

どう だ ! 父さん は 頼り に なる だ ろ う ? →

小出 工房 新装 開店 。 起き上がり デスク に は →

細かい アイデア が いっぱい だ ! ( 辰巳 ) やっ !

( 結城 ) あっ ! くたびれ たら ゆで卵 の 黄身 に な ろ う … 。

( 辰巳 ) お 父上 。 上がって も いい だ ろ う か ?

( 結城 ) ショールーム は 朝 から 営業 中 。

どうぞ 。

( 夏野 ) それ で ? 何 の 用 だ ?

起き上がって い た なら 教え て ほしかった な 。

( 夏野 ) そんな 義務 が あった ん だ 。 やっ ! 確かに 義務 じゃ ない かも 。

君 は 人 狼 と いう の は ご存じ か ?

( 夏野 ) あんた や 俺 の こと だ ろ ?

やはり 賢い 少年 だ 。 人 狼 と は 屍 鬼 の 亜種 だ 。

これ まで に 君 を 入れ て 4 人 しか 見 た こと が ない 。

けう と 言って いい だ ろ う 。 →

人 狼 と いう 名 は 沙 子 が 付け た ん だ 。 →

映画 なんか じゃ →

吸 血 鬼 に たいがい おおかみ 男 が 付き 従って いる もの だ ろ う ?

さあ ? 見 た こと が ない な 。

ところで 君 の 数 少ない 友人 の 1 人 →

田中 昭 君 。 →

最近 あまり 見掛け ない が どう し た ん だ ろ う ね ?

知ら ない な 。

やはり 血 を 吸って い ない な 。

う ぐ っ !

( 辰巳 ) 人 狼 は 呼吸 も 脈拍 も あり 昼間 も 出歩け →

ごく 普通 の 食事 でも 持ちこたえ られる 。

身体 能力 も 強化 さ れ 五感 に 至って は 人 の 倍 以上 だ 。 →

だが 血 を 吸って い なけ れ ば 本来 の 力 は 出せ ない 。

どう する ? このまま 殺す こと も できる ぞ 。

( せき )

僕 個人 と して は 君 は 殺し とい た 方 が いい と 思って いる 。

( 辰巳 ) だ が 沙 子 は 仲間 が 増える こと を 望 ん で いる 。

あと 少し だけ 考える 時間 を やる 。 俺 たち の 側 へ 来い 。

妙 な 態度 を 続ける なら また あらためて 殺し に 来 る 。

( 車 の 走行 音 )

( 正雄 ) うん ?

( クラクション ) ( 正雄 ) えー っ ! ! ダァ ~ ! !

( 篤 ) ひ ゃっ ほ ~ !

( 正雄 ) な … ! ? 何 だ ありゃ !

( 恵 ) 酒屋 の 息子 よ 。 ( 正雄 ) えっ ?

( 恵 ) 親父 さん から 解放 さ れ て はじけ ちゃ った みたい ね 。

殺人 の 特権 手 に 入れた って →

喜々と して 人 殺し て 回って る みたい 。

何 だ よ それ ! 新 入り の くせ に 調子 に 乗り 過ぎ じゃ ない の か ?

佳枝 さん に 言った 方 が いい ん じゃ ね ー の ?

は ぁ … 。

あんた って ホント 何もかも ちっちゃ い わ ね 。

な … ! ! →

って お前 年下 の くせ し て 「 あんた 」 と か 言って ん じゃ ねえ ! !

最高 だ ぜ ぇ ! ! アハ ハハ ! ( クラクション )

( 佳枝 ) もう … 。 千鶴 さん 大川 篤 に 好き勝手 さ せ て 。 →

調子 に 乗り 過ぎ だ わ 。

( 徹 ) 沙 子 は 何も 言って ない の ? ( 佳枝 ) 沙 子 は 千鶴 さん に 甘い の 。

( 徹 ) 甘い ? ( 佳枝 ) 特別 な の 。

まるで 母子 の よ う 。

千鶴 さん が 子供 の 方 よ 。

こんばん は 佳枝 さん 。

( 佳枝 ) それ から 沙 子 は あなた の こと を 買って る わ 。 →

幹部 候補 ね 。 だから と いう ん じゃ ない けど →

東山 の 起き上がり 小屋 の 巡回 に 付き合って ちょうだい 。

( 律子 ) 《 やっぱり 脈 が ない … 》

( ドア の 開く 音 )

( 佳枝 ) おはよう ! 物音 が し たから もしや と 思った けど 。

( 徹 ) 律 ちゃん !

( 律子 ) 《 そう か 。 わたし 呼吸 し て ない から … 》

( 律子 ) は ー !

あ … あなた … たち も 起き上がった の ね ?

おん や ? まだ 説明 し て い ない の に 分かって る ん だ 。

《 やっぱり … 》

( 律子 ) 自分 が どう なった か ぐらい 覚え てる 。 →

ひどい 過 呼吸 だった の 。 →

自分 で 処置 しよ う と して 袋 探し た ん だ けど →

近く に は 見つから なかった わ 。 →

ほか に 探し に 行 こ う と して →

意識 を 失った の 。

わたし は あれ で 死 ん だ の ね ? ( 佳枝 ) まっ そう でしょ う ね 。

何 が 起こった か 分かって る なら 話 が 早い わ 。

徹 君 。 最低 限 の こと を 教え て →

食事 さ せ て 。 ( 徹 ) 俺 が ?

今夜 は ほか に も 起き上がり そう な の 。 →

ここ は 任せる わ 。

着替え の ぞい たら 駄目 よ !

頼 ん だ わ よ !

( 徹 ) と … とにかく これ に 着替え て くれ 。 →

俺 は 外 に 出 てる から 。

( 律子 ) いら ない わ 。 →

わたし は 死 ん だ ん だ から 経 かた びら で 十分 。

それ に 食事 も し たく ない の 。 誰 も 殺し たく ない から 。

みんな 最初 は そう 言う ん だ 。

でも 結局 飢え に 負け て 襲って しまう 。 →

本当 に 苦しい 飢え な ん だ よ 。

家族 も きっと もう 死 ん でる わ ね 。 →

最後 に 見 た とき お 母さん も 緑 も そんな 顔 し て た もの 。 →

取りあえず できる か どう か やって みる わ 。

自分 を 嫌い に なり たく ない から 。

そういう 選択 の 自由 は ない の かしら ?

( 笈 太郎 ) タツ さん ! タツ さん ! 武子 さん が ゆうべ … 。

死 ん だ って … 。

( 千鶴 ) 《 わたし に 絶対 に 従う こと 》 →

《 この 村 で は 誰 も 死 ん で い ない の 》

う っ … ぐ っ … う っ … 。

う ぅ … !

あっ ! う っ う ぅ ぅ !

( 神楽 )

( 千鶴 ) 完ぺき ! ご苦労さま 。

( 千鶴 ) これ だけ の 数 を 書き 直す の 大変 だった でしょ ?

そう で も ない 。 君 の 指示 どおり に 何 か を しよ う と する とき →

取りつか れ た よう に 進める こと が でき た 。

( 千鶴 ) 沙 子 も これ を 見 たら 喜ぶ わ 。 →

沙 子 は 役 に 立つ 者 に は 寛容 な の 。

( 敏夫 ) せいぜい 役 に 立って 生かし て おい て もらわ ない と な 。

( 千鶴 ) お祭り な の ? ( 敏夫 ) ああ 。 霜月 神楽 だ 。

( 千鶴 ) 早く 村 が 屍 鬼 だけ に なれ ば いい のに 。 →

そ したら ホント に 自由 に 歩け る わ 。 →

買い物 を し て 立ち話 を し て … 。 ウフフフ 。

お ままごと み たい ね 。 ( 敏夫 ) それ が あんた ら の 望み か ?

そう ね 。 安全 な 拠点 が 欲しい の 。 隠れ なく て いい 安全 な 場所 。

もう 少し だ わ 。 もう じき それ が 手 に 入る 。

そう 簡単 に いく か ね ?

( 千鶴 ) 沙 子 は 最後 の 詰め が 難しい と 言う けど ね 。 →

ここ まで き たら 成功 し た も 同然 でしょ う ?

一 番 の 脅威 だった あなた も もう 敵 で は ない わけ だ し 。

フッ 。 「 敵 で は ない 」 か … 。 ( 千鶴 ) ウフフフ 。

( 敏夫 ) 千鶴 … 。 ( 千鶴 ) うん ?

デート し よ う 。 ( 千鶴 ) えっ ?

ブッ ! どう し た の ? 先生 。

俺 は もう じき 死ぬ ん だ 。

最後 ぐらい いい 目 に 合わせ て くれよ 。 →

それ に あんた 神楽 に 興味 津 々 じゃ ない か 。

そう だ けど … 。

駄目 よ 神事 は 。

肝心 の 場所 に 近寄ら なきゃ いい 。

( 敏夫 ) それ に 表 に 出 た 方 が 村 の 連中 の 不信 感 も なくせ る ぞ 。

( 千鶴 ) そういう もの ? ( 敏夫 ) ああ 。

そう よ ね 。 せっかく の お祭り な のに →

こそこそ し てる の も つまらない わ ね 。

よし ! そう と 決まれ ば … 。 ( 千鶴 ) あっ … 。 えっ ?

( 敏夫 ) 俺 と あんた が 一緒 に 歩 い て たら 不自然 だ ろ う ?

あんた は 子 芋 の 皮 を むこう と して 包丁 が 滑った ん だ 。

子 芋 ?

( 敏夫 ) ああ 。 親指 の 付け根 を 切った 。 そういう 処置 を し て ある 。

い … 意外 と 細かい の ね 。

それ が リアリティー って もん さ 。 ( 千鶴 ) ウフフフ 。

そう よ ね 。 子 芋 は 滑る の よ ね 。

わたし も 昔 よく 切った わ 。 ウフフフ 。

昔 ? どの くらい 昔 だ ?

そう やって 女性 の 年 を 探ら ない で 。

アハハ ハハ ! 結婚 は し て た の か ? 子供 は ?

夫 は 子供 を 与え て くれる ほど 長い 間 そば に い なかった わ 。 →

そして 南方 で 戦死 し た 。 ( 敏夫 ) うれし そう だ な 。 →

まるで 特大 の 宝石 が 付い た 指輪 でも 眺め てる ふう だ 。

そう ね 。 気分 的 に は 近い わ 。

不思議 ね … 。 わたし 人間 に 戻り たい の かしら 。 →

そんな こと もう とっくに どうでも よく なった と 思って た のに 。

ウフフフ 。

ねえ 行き ま しょ 。

包帯 を 見せびらかし に ? ( 千鶴 ) ええ そう !

とても 自慢 で うれしい の ! おかしい かしら ? ウフフフ !

( 神楽 )

( かず子 ) あら ?

かず子 さん 。 こんばんは 。 ( 千鶴 ) こんばんは 。

あっ えっ … 。 こ … こんばん は 。

( 敏夫 ) こちら は 兼 正 の 奥さん の 桐 敷 千鶴 さん だ 。

( かず子 ) まあ 。 それ は どうも 。

奥さん が この にぎやか な 音 は 何 だって 言う んで ね 。

ああ 。 今日 は お祭り な ん です よ 。

別に 外 から 見物 客 が 来る わけ で も ない けど … 。

わたし お 神楽 って そば で 見 た こ と ない ん です 。

都会 育ち だった もの です から お祭り や 年中 行事 に 縁 が なく て 。

あっ やっ だ ー ! 気付 い ちゃ い まし た ぁ ?

子 芋 が 手 の 中 から 逃げ ちゃ った ん です よ ぉ 。

ああ わたし も よく やり ます 。

根 が おっちょこちょい な の か ケガ が 絶え なく て 。

娘 な ん か 料理 し てる ん だ か さ れ てる ん だ か →

分から ない って 言う ん です よ 。

まあ ! アハハ ハハ !

お 体 が 悪い って 聞い た けど ?

この ところ 調子 が いい ん です 。 夏 の 間 は お 天気 が 良く て →

体 に こたえ まし た けど 。 ( 男性 ) へ ぇ ー 。

( 敏夫 ) 光線 過敏 症 って の が ある ん だ よ 。 →

大変 な ん だ 。 ( 女性 ) まあ 大変 !

家 の 中 で おとなしく し て い れ ば いい こと な ん です けど →

お 天気 が いい と シーツ な ん か を 洗って お 庭 に パーッ と →

干し たく なっちゃ っ て !

こら ! そういう こと を する から 寝込む 羽目 に なる !

は ー い 。

( 男性 ) まあ 楽し ん で って ください 。

( 康幸 ) さすが に 今日 は 夜 だって の に 人 が いっぱい だ よ 。

( 高 俊 ) だ ろ う な 。 俺 も 祭り 行き て ー な 。

( 康幸 ) ああ 千鶴 さん い た よ 。 ( 高 俊 ) えっ ?

( 康幸 ) 何だか 尾崎 先生 と カップル み たい に 歩 い て た な 。 →

めちゃくちゃ 機嫌 良 さ そう に 話し て た なぁ 。

何て 簡単 な の かしら !

みんな 「 何 だ 」 って 顔 に 書 い て ある みたい だった わ 。 →

あっ !

( 敏夫 ) 行って みる か ? ( 千鶴 ) 行って み たい 。 →

でも 駄目 。 ホント に 怖い の 。 もう 足 が すく ん でる 。

( 敏夫 ) 何 か 実害 が ある の か ? ( 千鶴 ) ない と は 思う けど … 。

( 敏夫 ) 怖 けれ ば つかまって れ ば いい 。

( 千鶴 ) これ は 何だか スキャン ダラス じゃ ない ?

( 敏夫 ) 構う もん か 。

( 千鶴 ) じゃあ 行ける 所 まで 。 でも 無理強い は し ない で 。

分かって る 。 だいたい 俺 は あんた の 命令 に 逆らえ ない 。

そう いえ ば そう ね 。

( 宗 秀 ) おや 。 若 先生 !

そちら は 桐 敷 さん の 奥さん です か ね ?

そう 。 お 神楽 を 見 た こと が ない って 言う もん で ね 。

でも あまり 体調 が 良く ない らしい 。 →

引き返し ます か ?

だ … 大丈夫 。 もう 少し だけ … 。

分かった 。 宗 秀 さん 。 人込み が すごい から →

よかったら 一緒 に 歩 い て そっち から 盾 に なって くれ ない か 。

ああ いい よ 。

( 宗 貴 ) あっ 若 先生 ! ( 武雄 ) 一緒 な の は 兼 正 の … 。

ああ 若 先生 ! ことし の 霜月 神楽 は →

いつも と ひと 味 違い ます ぞ ! ぜひ 見 て って ください よ !

( 男性 ) みんな ! 若 先生 が 来 た ぞ ! ( 男性 ) 先生 。 どうも !

( 敏夫 ) どう し た ?

か … 帰り ます !

待って ! ( 千鶴 ) 気 分 が 悪い の 。

戻る ん じゃ かえって 大変 でしょ う 。 すごい 汗 だ 。 →

少し 社務所 で お 休み なさい 。

いいえ 帰り ます ! ! これ は 命令 よ !

そう … 。 じゃあ →

清水 さん 手伝って くれ ! ( 武雄 ) どう し た ん です か ?

彼女 が 具合 悪い らしく て 社務所 まで 運び たい ん だ よ 。

えっ ! ?

( 武雄 ) いい です よ 。 さあ 奥さん 。 ( 千鶴 ) 何 を … !

( 武雄 ) 《 何 だ ! ? すごく 冷たい ぞ ! 》

先生 ! わたし は 帰る と 言って る の ! !

体温 が 下がって 徐脈 が 出 てる ん だ 。 急 い で くれ 。

( 武雄 ) ええ ! ( 千鶴 ) ちょっと どう し た の よ !

聞こえ て ない の ! ? 私 が 言って る の !

あっ … !

嫌 ぁぁ !

わ … 若 先生 。 彼女 は いったい どう し た ので ?

( 千鶴 ) あぁ ぁぁ ! あっ … !

何だか 神社 を 怖がって る みたい だ な 。

( 武雄 ) 《 この 女 の におい … 》 →

《 恵 が 倒れ て から 死ぬ まで の 数 日間 部屋 に は →

なぜ か 大人 の 香水 の よう な 残り香 が あった 》 →

《 その におい … 》

( 千鶴 ) あぁ ぁぁ !

逃がす な 。 起き上がり だ 。

( 敏夫 ) あんた の 娘 を 殺し た 犯人 だ よ 。

あぁ … ! ! →

ヒィー !

( 敏夫 ) 清水 さん 。 首 。 脈 を 診 て くれ 。 →

救急 車 を 呼ぶ か どう か 考え ない と 。

嫌 ぁぁ ぁ !

( 武雄 ) 《 ない … 》

( 武雄 ) こいつ 起き上がり だ !

( 宗 貴 ) は あ ?

こいつ が うち の 娘 を 殺し た ん だ !

うち の 娘 を 殺し た ん だ ! !

( 富雄 ) あんた 何 を バカ な … 。 ( 武雄 ) バカ な もん か ! →

こいつ に は 脈 が ない ! ( 千鶴 ) あぁ … 。

( 富雄 ) 確かに 脈 が ない 。 それ に 異様 に 冷たい 。

あぁ ぁぁ ! ( 寛子 ) そんな … !

( 寛子 ) ホント だ わ ! 心臓 の 音 が し ない !

( ざわめき )

( 千鶴 ) あぁ ぁぁ ぁ !

( 男性 ) こいつ 呼吸 も し て ない ぞ 。 ( 男性 ) 嘘 だ ろ ?

( 男性 ) 何 な ん だ こいつ は ! ( 銃声 )

( 篤 ) う ぉぉ ぉ ら !

おら おら おら おら ぁ ! ( 村人 たち の 悲鳴 )

( 衝突 音 )

えっ !

ぬ ぁぁ ぁ !

篤 … 。

お … 親父 … 。

ぬ ぁぁ ぁ ! !

( 正 志郎 ) 道 を 開け て もらえ ます か ?

篤 ぃぃ ぃ ! !

うわ ー っ !

篤 君 ! 何 を し て いる !

( 篤 ) 無理 だ ! 親父 に 勝て る はず が ねえ ! !

( 男性 ) ありゃ あ … 。

( 男性 ) この 間 死 ん だ 大川 の 息子 だ よ 。

( 宗 貴 ) 起き上がり だ 起き上がり が 仲間 を 助け に 来 た ん だ 。

( 千鶴 ) ヒッ ! ( 武雄 ) あっ ! おい 逃がす な ! !

( 男性 ) 起き上がり だ ! ( 女性 ) 起き上がり !

( 村人 たち ) 起き上がり ! 起き上がり ! →

起き上がり ! 起き上がり !

あぁ … 。 あぁ ぁぁ 。

闇 に 紛れ て

息 を 殺す

闇 を まとって

ふっと 微笑む

気のせい さ

お前 など 誰 も 知る はず ない

月 だけ が

見つめ て いる

ああ 終わり の 無い 夜 彷徨う

ああ あなた の 夢 ただ 夢見 て

ああ 終わり の 無い 夜 彷徨う

ああ あなた の 夢 ただ 夢見 て