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イタズラなKiss2〜Love in TOKYO, イタズラなKiss2〜Love in TOKYO#10 (1)

( 入江 琴子 ( いりえ ことこ )) あれ ? あの 子 …

♪~

( 佐川 好美 ( さがわ このみ )) うわっ !

( 佐川 好美 ( さがわ このみ )) うわっ !

わあっ ! ああ …

わあっ ! ああ …

あなた 前 に も ウチ の 前 に …

あっ すいません ! あの 私 …

えっと …

その 制服 … 斗南 中学 の ?

あ …

ああ ! 裕樹 ( ゆうき ) 君 の お 友達 ?

ごめんなさい !

あっ 待って !

あなた 裕樹 君 の こと 好き でしょ ?

( 琴子 ) え ~!

F 組 な の ?

はい 私 なんか 勉強 苦手 みたい で …

裕樹 君 と 同じ クラス に なり たい って ―

いっつも A 組 目指して 頑張って る んです けど …

( 琴子 ) わかる !

おんなじ ! 一緒 ! 私 も F 組 だった もん

えっ お 姉さん も F 組 だった んです か ?

( 琴子 ) そう !

斗南 の 落ちこぼれ と 蔑ま れて いる あの F 組 だった の よ 私 !

お 姉さん !

ヤダ お 姉さん なんて 照れくさい

え … でも お 姉さん は ―

裕樹 君 の お 兄さん と 結婚 して る んです よ ね ?

まあ そう な んだ けど

どうやって 結婚 できた んです か ?

入江 君 の お 兄さん も すっごい 天才 で

女 嫌い だって 聞いて る んです けど

うーん そう ねえ

これといった 決め手 は 思い当たら ない けど …

告白 して から の 押して 押して 押して ー の …

4 年間 連続 技 って とこ かしら

根性 です ね … できる かな ~ 私

好美 ちゃん は 裕樹 君 の どこ が いい の ?

どこ が って … そ ~ です ね ~

やっぱり 頭 が いい ところ でしょ ?

それ に あの 冷たい 目 …

顔 は 抜群 に かっこいい し

背 は … まあ これ から 伸びる と して

( 入江 裕樹 ) バーカ

へえ ~ あいつ が そう 見える んだ

恋 は 盲目 っていうか 何て いう か

( 好美 ) え ?

ううん 何でもない …

あっ そうだ 裕樹 君 に 何か アプローチ とか して る の ?

それ が … まだ 一度も 口 きいた こと なく って

( 琴子 ) 一度も !?

たぶん 私 の 存在 すら 知ら ない と 思う んです

だって 彼 は A 組 私 は F 組

A 組 から F 組 の 距離 なんて ―

ホント は たいした こと ない んです けど

でも 私 の 中 で は ―

はるか 砂漠 の かなた の ような 気持ち な の …

わかるっ わかる わ !

まるで 昔 の 私 を 見て る よう …

お 姉さん …

裕樹 君 は 性格 に かなり 問題 あり だ けど

私 応援 する !

頑張って 恋 実らせ よう ね !

でも …

( 琴子 ) 大丈夫 !

裕樹 君 の お 兄さん も 頭 の 悪い 奴 は 嫌い だ と か 言って た けど ―

こうして 結婚 して る んだ から !

琴子 お 姉さん に 任せ なさい ―

ウフフ ウフフ

( 琴子 ) と は 言う もの の …

( 裕樹 ) 何 だ よ 琴子 ! 邪魔 す んな よ

じゃ 邪魔 なんて …

じゃあ なんで さっきから ずっと ―

俺 の 周り に 張りついて ボケッと して んだ よ

ボケッと なんか …

あっ 糸くず

( 裕樹 ) 用 が ない なら あっち 行って ろ

( 琴子 ) ガード 固い って いう か いつも 通り って いう か …

ねえ 佐川 好美 ちゃん って 知って る ?

佐川 好美 ?

私 の 知り合い の … 知り合い の 姪っ子 で

斗南 中学 に 通って る ん だって

知り合い の 知り合い の 姪 っ子 ?

そう そう … すっごーく かわいい んだ って

その 子 確か 裕樹 君 と 同じ 学年 だった ような …

知ら ない

知ら ない ?

ウチ の クラス に そんな 子 い ない し

A 組 の 女子 以外 覚えて ない

( 琴子 ) まあ こいつ は そういう 奴 だ けど

じゃ ! じゃ じゃ … じゃあ !

裕樹 君 好き な 女の子 とか って いない の ?

何 だ よ

好きな 女の子 !

はあ ?

じゃあ 女の子 に 興味 と か は ?

ない !

じゃあ 今 の ところ ―

好き な 女の子 は いない って こと ね ?

まあ 琴子 見て る と ―

女 って 生き物 に は 余計 に 興味 が なくなる ね

好き な 女の子 は いない で …

送信 !

おい !

♪~

たくさん 食べて ね

うっとうしい なあ

あっ 入江 君 今 ご飯 用意 する から ね ~

よいしょ はい どうぞ ―

あっ そうだ

今日 理美 ( さとみ ) の 赤ちゃん 見て きた んです よ ~

( 相原 重雄 ( あいはら しげお )) おお そう か

( 入江 紀子 ( のりこ )) まあ 理美 ちゃん の ?

どう だった ? 元気 だった ? 理美 ちゃん

元気 に お 母さん して ました

赤ちゃん も すっごーく かわいくて … ほら !

ま ~ 理美 ちゃん そっくり !

( 琴子 ) あんまり かわいくて 泣い ちゃい ました よ

確かに … かわいい

( 琴子 ) お 父さん 泣いて ん の ?

バカ ! 泣いて なんか いねえ よ

相原 さん ?

いや だって 理美 ちゃん も じんこ ちゃん も ―

昔 から 知って る から 娘 みたいな もん だろう ?

お 父さん …

そんな ん じゃ 琴子 ちゃん が 赤ちゃん 産んだら 大変 よ

琴子 ちゃん の 赤ちゃん だったら きっと ―

信じ られ ない ぐらい かわいい に 決まって る んです もの

琴子 の … 赤ちゃん …

( 紀子 ) 相原 さん !

( 重雄 ) やべ … こいつ の 小さい頃 思い出し ちゃって …

( 入江 直樹 ( なおき )) どう だった んです か ? 小さい 時 の 琴子 は

もう 一日中 びゃ ~ びゃ ~ 泣いて て さ

俺 も 悦子 ( えつこ ) も 最初 は 途方 に 暮れて …

か と 思う と いきなり 静かに なっ ちゃって

今度 は 死んで る んじゃ ない か って 二 人 して 慌てて …

え … で どう なった の ?

( 重雄 ) ん ?

まっ ただ 寝て た だけ だった んだ けど な

まっ !

今 と あんま 変わんない な

まっ そう な んだ よ ね

進歩 の ない 奴 …

これ 裕樹 !

そう いえば 琴子 の 小さい 時 の 写真 見た こと ない な

ほら ウチ 家 崩壊 し ちゃった じゃ ない ?

( 直樹 ) 流星群 で ?

うん … それ で わかん なくなっ ちゃって

( 紀子 ) そう だった わ ねえ かわいそうに

赤ちゃん の 時 は 知ら ない です けど ―

ちっちゃい 時 は 今 と 同じ 顔 だって 言って ます

琴子 ちゃん かわいい から

ガキ っぽい んだ ろ ?

お袋 さん の こと も 全然 知ら ない もん な

そっか …

そう だ よ な 昔 の 写真 も ほとんど 残って ない し

( 紀子 ) かわいらしい 人 だった わ ねえ 悦子 さん

よして ください よ

まあ 俺 に とって は … ね

あっ でも “ ミス あきた こまち ” だった ん でしょ ?

ミス あきた こまち ?

( 重雄 ) うん そう らしい よ

( 琴子 ) 私 に よく 似て る ん でしょ ?

あんまり 覚えて ない けど おしとやか で 品 も あって ―

かなり 美人 だった 記憶 が …

琴子 に 似て て かなり の 美人 ?

お 義父 ( とう ) さん

お 義父 ( とう ) さん

( 重雄 ) ん ?

来週 琴子 の お袋 さん の 命日 です よ ね

おお まあ そう だ けど …

知って た の ? 入江 君

ああ 毎年 この 時期 二人 で お 墓参り 行って た だろ ?

そう だった わ ね ~

悦子 さん が 亡くなって もう 何 回忌 に なる の かしら ?

ん ー こいつ が 小学校 1 年生 だった から

あ … もう 18 年 に なり ます か ね

あら もう そんなに なる の

まっ 今年 も 二人 で さっと 行って き ます よ

うん

( 直樹 ) 今年 は 俺 も 行き ます

(2 人 ) えっ !!

毎年 思って た んです ちゃんと お 墓参り した いって

あ … いや あの へんぴ な 所 だ し 遠い し さ

そそ そそ ! しかも 入江 君 勉強 大変 だろう し ~

もう その 気持ち だけ で 十分 だ よ

そう ! 無理 しなくて いい から ね !

無理 なんか して ない って

ちょうど その 時期 あいてる んだ よ

それ に ご 実家 って 秋田 です よ ね

新幹線 も 通って る し 大丈夫 です よ

いや … しかし …

実家 で お袋 さん の 写真 も 見 たい し な

ミス あきた こまち の

やみ ません ね

母さん … 雨女 だった から な

次 来た バス に 乗って 30 分 って とこ です か ね ?

ね … 直樹 君

今回 は 墓参り だけ さっと 終わら せて 引き揚げ ない ?

あの 実家 は また 今度 って こと で

あっ ほら こんな びしょ濡れ で 寄ったら 失礼 だ し さ

いいね お父さん ナイス 提案

それ で あの 温泉 に でも 寄って 鍋 でも つつこう よ

それ は 無理 です ね

(2 人 ) え ?

お袋 が もう 秋田 の ご 実家 に 連絡 入れて ます

お世話になる んで よろしく お 願い し ます と

何 か 隠して ます ね ?

仕方がない … 観念 する か

観念 ?

着けば わかる よ

( 直樹 ) ここ から どう やって 行く んです か ?―

タクシー です か ?

ああ …

どう やって って いう か その …

( 吉田 鶴三 ( よしだ つるぞう )) あっ ! 琴子 だ !

おおっ おーい !

ようこそ ~! 直木 さーん !

( 歓声 )

( 鶴三 ) や ~ いぐ来たな ~ いぐ来たな ~

初めて お 目 に 会う っす な ―

琴子 ちゃん も 重雄 君 も しばらく ぶり !

琴子 の 母親 の 兄 の 鶴三 伯父さん で ございます

さっ こっち さ 来て !―

こっち さ さ … こっち さ 来て はよ はよ こっち さ 来て …

ハッハッハッ …

( ハウリング )

え ~ それでは ―

ミス 熊代 ( くましろ ) より 花束 の 贈呈 で ございます

( 拍手 )

花束 の 贈呈 で ございます !

( ミス 熊代 ) ようこそ 熊代 へ

どうも

( 歓声 )

( 男性 ) いやあ―

あの ヨツ ヨツ 歩き だった 琴子 ちゃん が ね ~

( 男性 ) んだ よ ね こんだら 大きく なって ~

( 男性 ) 直木 さん は たいそう 頭 の いい ―

ムコ はん で お 医者 さん に なる んだ って

うわっ …

さ さ さ … はい 直木 さん も 一言 おねげします

はい はい …

( 琴子 ) ちょっと 伯父さん !

いい から いい から … はいはい …

( ハウリング )

( 鶴三 ) ごめんなさい

はじめ まして 入江 直樹 です

( 歓声 )

想像 を 絶する 大変な 歓迎 ありがとう ございます

( 鶴三 ) どう いたし まして

ただ 直樹 の “ き ” の 字 は 樹木 の “ じゅ ” の 方 でして

( 男性 ) え ?

( 男性 ) しまった …

( 男性 ) 誰 だあ 間違えた の ?

( 男性 ) 調べ とけ よー

もう一つ 言い ます と ―

歓迎 の “ かん ” の 字 も 間違って い ます

( 男性 ) あれ じゃなかった け か

( 男性 ) しまった !

迎 も 一画 多い です

( 男性 ) いや ~ 頭 の いい ムコ さん だ な ~

琴子 ちゃ ! おめ に しちゃ 出来 すぎ な ムコ さん だ な !―

よぐやった よぐやった

( 鶴三 ) それじゃあ 早速 家 さ 連れて いく べ

さあ さあ さあ …

( 重雄 ) 鶴三 さん もう 気持ち だけ で 十分 です から

僕ら だけ で 墓参り 行き ます んで …

なーに 言 っとる 重雄 君

そん だら ごど でけえ したら ―

悦 っちゃん が モッコ さ なって 出て くる で ~

モッコ ?

モッコ てば オバケ の こと だ へ

ハハハ !

ベー !―

さあさ 乗る べ 乗る べ あー 乗る べ 乗る べ ―

さ ~ 乗る べ 乗る べ ~

( 鶴三 ) 東京 から 姪っ子 が ムコ 連れて きて んだ

ほい で うち で 今晩 宴会 やっ から 飲み さ こね か

( 男性 ) 行ぐ 行ぐ

( 男性 ) 行ぐ 行ぐ

お ~ 来い 来い …

お ~ 来い 来い …

もう なんで いつも こう な の よ ウチ の 親戚 は !

し ~! 声 が 大きい よ

だって 恥ずかしい じゃない 入江 君 だって いる のに

何 よ この 車 ! 選挙 でも す ん の !?

それ に なんで ミス 熊代 が 助手席 座って ―

私 達 が …

俺 は もう 結構 慣れた けど

( 重雄 ) すまない ね 直樹 君

いや ~ こいつ の 母親 の 親戚 って いう の が ―

どうも こう お祭り 好き って いう か

派手 好き な 一族 で さあ

私 は 違う から ね !

俺 は どうしても これ が 苦手 で ね …

だから 墓参り は いつも 内緒 で こっそり 来て た んだ が

もし かして お 義父 さん も 昔 こういう 歓迎 を 受けた と か ?

そう ! そう な んだ よ !

佐賀 から 東京 に 出て 母さん と 知り合って 結婚 する こと に なって

初めて 挨拶 に 来た 時 の 衝撃 と 言ったら もう ね …

わかる 気 が し ます

いや ~ その 点 直樹 君 は 立派 だった

俺 なんか あがり まくっ ちゃって 思い出し たく も ない !

いや ~

君 だけ だ よ この 衝撃 を 分かち合える の

直樹 君 ! 君 と 俺 は もはや 同志 だ !

あまり … 分かち合い たく は ない です ね

うん … そうだ ね

( 琴子 ) ついに … ついに バレ て しまった !―

ウチ の 恥ずかしい 親戚 の こと が …―

入江 君 に だけ は 知られ たくなかった のに ―

どうか もう これ 以上 の こと が 起き ません ように …

( 鶴三 達 ) いち に …―

さーん !

( 拍手 )

まあまあ いい から いい から …

( 秀美 ( ひでみ )) よ … よぐ 来た ね 直樹 さん

どうも

( 琴子 ) 久しぶり だ ね 美晴 ( みはる ) ちゃん

ん にゃ 琴子 ねっ ちゃう ち 秀美 だ よ !

え ? そうだ っけ ?


( 入江 琴子 ( いりえ ことこ )) あれ ? あの 子 …

♪~

( 佐川 好美 ( さがわ このみ )) うわっ !

( 佐川 好美 ( さがわ このみ )) うわっ !

わあっ ! ああ …

わあっ ! ああ …

あなた 前 に も ウチ の 前 に …

あっ すいません ! あの 私 …

えっと …

その 制服 … 斗南 中学 の ?

あ …

ああ ! 裕樹 ( ゆうき ) 君 の お 友達 ?

ごめんなさい !

あっ 待って !

あなた 裕樹 君 の こと 好き でしょ ?

( 琴子 ) え ~!

F 組 な の ?

はい 私 なんか 勉強 苦手 みたい で …

裕樹 君 と 同じ クラス に なり たい って ―

いっつも A 組 目指して 頑張って る んです けど …

( 琴子 ) わかる !

おんなじ ! 一緒 ! 私 も F 組 だった もん

えっ お 姉さん も F 組 だった んです か ?

( 琴子 ) そう !

斗南 の 落ちこぼれ と 蔑ま れて いる あの F 組 だった の よ 私 !

お 姉さん !

ヤダ お 姉さん なんて 照れくさい

え … でも お 姉さん は ―

裕樹 君 の お 兄さん と 結婚 して る んです よ ね ?

まあ そう な んだ けど

どうやって 結婚 できた んです か ?

入江 君 の お 兄さん も すっごい 天才 で

女 嫌い だって 聞いて る んです けど

うーん そう ねえ

これといった 決め手 は 思い当たら ない けど …

告白 して から の 押して 押して 押して ー の …

4 年間 連続 技 って とこ かしら

根性 です ね … できる かな ~ 私

好美 ちゃん は 裕樹 君 の どこ が いい の ?

どこ が って … そ ~ です ね ~

やっぱり 頭 が いい ところ でしょ ?

それ に あの 冷たい 目 …

顔 は 抜群 に かっこいい し

背 は … まあ これ から 伸びる と して

( 入江 裕樹 ) バーカ

へえ ~ あいつ が そう 見える んだ

恋 は 盲目 っていうか 何て いう か

( 好美 ) え ?

ううん 何でもない …

あっ そうだ 裕樹 君 に 何か アプローチ とか して る の ?

それ が … まだ 一度も 口 きいた こと なく って

( 琴子 ) 一度も !?

たぶん 私 の 存在 すら 知ら ない と 思う んです

だって 彼 は A 組 私 は F 組

A 組 から F 組 の 距離 なんて ―

ホント は たいした こと ない んです けど

でも 私 の 中 で は ―

はるか 砂漠 の かなた の ような 気持ち な の …

わかるっ わかる わ !

まるで 昔 の 私 を 見て る よう …

お 姉さん …

裕樹 君 は 性格 に かなり 問題 あり だ けど

私 応援 する !

頑張って 恋 実らせ よう ね !

でも …

( 琴子 ) 大丈夫 !

裕樹 君 の お 兄さん も 頭 の 悪い 奴 は 嫌い だ と か 言って た けど ―

こうして 結婚 して る んだ から !

琴子 お 姉さん に 任せ なさい ―

ウフフ ウフフ

( 琴子 ) と は 言う もの の …

( 裕樹 ) 何 だ よ 琴子 ! 邪魔 す んな よ

じゃ 邪魔 なんて …

じゃあ なんで さっきから ずっと ―

俺 の 周り に 張りついて ボケッと して んだ よ

ボケッと なんか …

あっ 糸くず

( 裕樹 ) 用 が ない なら あっち 行って ろ

( 琴子 ) ガード 固い って いう か いつも 通り って いう か …

ねえ 佐川 好美 ちゃん って 知って る ?

佐川 好美 ?

私 の 知り合い の … 知り合い の 姪っ子 で

斗南 中学 に 通って る ん だって

知り合い の 知り合い の 姪 っ子 ?

そう そう … すっごーく かわいい んだ って

その 子 確か 裕樹 君 と 同じ 学年 だった ような …

知ら ない

知ら ない ?

ウチ の クラス に そんな 子 い ない し

A 組 の 女子 以外 覚えて ない

( 琴子 ) まあ こいつ は そういう 奴 だ けど

じゃ ! じゃ じゃ … じゃあ !

裕樹 君 好き な 女の子 とか って いない の ?

何 だ よ

好きな 女の子 !

はあ ?

じゃあ 女の子 に 興味 と か は ?

ない !

じゃあ 今 の ところ ―

好き な 女の子 は いない って こと ね ?

まあ 琴子 見て る と ―

女 って 生き物 に は 余計 に 興味 が なくなる ね

好き な 女の子 は いない で …

送信 !

おい !

♪~

たくさん 食べて ね

うっとうしい なあ

あっ 入江 君 今 ご飯 用意 する から ね ~

よいしょ はい どうぞ ―

あっ そうだ

今日 理美 ( さとみ ) の 赤ちゃん 見て きた んです よ ~

( 相原 重雄 ( あいはら しげお )) おお そう か

( 入江 紀子 ( のりこ )) まあ 理美 ちゃん の ?

どう だった ? 元気 だった ? 理美 ちゃん

元気 に お 母さん して ました

赤ちゃん も すっごーく かわいくて … ほら !

ま ~ 理美 ちゃん そっくり !

( 琴子 ) あんまり かわいくて 泣い ちゃい ました よ

確かに … かわいい

( 琴子 ) お 父さん 泣いて ん の ?

バカ ! 泣いて なんか いねえ よ

相原 さん ?

いや だって 理美 ちゃん も じんこ ちゃん も ―

昔 から 知って る から 娘 みたいな もん だろう ?

お 父さん …

そんな ん じゃ 琴子 ちゃん が 赤ちゃん 産んだら 大変 よ

琴子 ちゃん の 赤ちゃん だったら きっと ―

信じ られ ない ぐらい かわいい に 決まって る んです もの

琴子 の … 赤ちゃん …

( 紀子 ) 相原 さん !

( 重雄 ) やべ … こいつ の 小さい頃 思い出し ちゃって …

( 入江 直樹 ( なおき )) どう だった んです か ? 小さい 時 の 琴子 は

もう 一日中 びゃ ~ びゃ ~ 泣いて て さ

俺 も 悦子 ( えつこ ) も 最初 は 途方 に 暮れて …

か と 思う と いきなり 静かに なっ ちゃって

今度 は 死んで る んじゃ ない か って 二 人 して 慌てて …

え … で どう なった の ?

( 重雄 ) ん ?

まっ ただ 寝て た だけ だった んだ けど な

まっ !

今 と あんま 変わんない な

まっ そう な んだ よ ね

進歩 の ない 奴 …

これ 裕樹 !

そう いえば 琴子 の 小さい 時 の 写真 見た こと ない な

ほら ウチ 家 崩壊 し ちゃった じゃ ない ?

( 直樹 ) 流星群 で ?

うん … それ で わかん なくなっ ちゃって

( 紀子 ) そう だった わ ねえ かわいそうに

赤ちゃん の 時 は 知ら ない です けど ―

ちっちゃい 時 は 今 と 同じ 顔 だって 言って ます

琴子 ちゃん かわいい から

ガキ っぽい んだ ろ ?

お袋 さん の こと も 全然 知ら ない もん な

そっか …

そう だ よ な 昔 の 写真 も ほとんど 残って ない し

( 紀子 ) かわいらしい 人 だった わ ねえ 悦子 さん

よして ください よ

まあ 俺 に とって は … ね

あっ でも “ ミス あきた こまち ” だった ん でしょ ?

ミス あきた こまち ?

( 重雄 ) うん そう らしい よ

( 琴子 ) 私 に よく 似て る ん でしょ ?

あんまり 覚えて ない けど おしとやか で 品 も あって ―

かなり 美人 だった 記憶 が …

琴子 に 似て て かなり の 美人 ?

お 義父 ( とう ) さん

お 義父 ( とう ) さん

( 重雄 ) ん ?

来週 琴子 の お袋 さん の 命日 です よ ね

おお まあ そう だ けど …

知って た の ? 入江 君

ああ 毎年 この 時期 二人 で お 墓参り 行って た だろ ?

そう だった わ ね ~

悦子 さん が 亡くなって もう 何 回忌 に なる の かしら ?

ん ー こいつ が 小学校 1 年生 だった から

あ … もう 18 年 に なり ます か ね

あら もう そんなに なる の

まっ 今年 も 二人 で さっと 行って き ます よ

うん

( 直樹 ) 今年 は 俺 も 行き ます

(2 人 ) えっ !!

毎年 思って た んです ちゃんと お 墓参り した いって

あ … いや あの へんぴ な 所 だ し 遠い し さ

そそ そそ ! しかも 入江 君 勉強 大変 だろう し ~

もう その 気持ち だけ で 十分 だ よ

そう ! 無理 しなくて いい から ね !

無理 なんか して ない って

ちょうど その 時期 あいてる んだ よ

それ に ご 実家 って 秋田 です よ ね

新幹線 も 通って る し 大丈夫 です よ

いや … しかし …

実家 で お袋 さん の 写真 も 見 たい し な

ミス あきた こまち の

やみ ません ね

母さん … 雨女 だった から な

次 来た バス に 乗って 30 分 って とこ です か ね ?

ね … 直樹 君

今回 は 墓参り だけ さっと 終わら せて 引き揚げ ない ?

あの 実家 は また 今度 って こと で

あっ ほら こんな びしょ濡れ で 寄ったら 失礼 だ し さ

いいね お父さん ナイス 提案

それ で あの 温泉 に でも 寄って 鍋 でも つつこう よ

それ は 無理 です ね

(2 人 ) え ?

お袋 が もう 秋田 の ご 実家 に 連絡 入れて ます

お世話になる んで よろしく お 願い し ます と

何 か 隠して ます ね ?

仕方がない … 観念 する か

観念 ?

着けば わかる よ

( 直樹 ) ここ から どう やって 行く んです か ?―

タクシー です か ?

ああ …

どう やって って いう か その …

( 吉田 鶴三 ( よしだ つるぞう )) あっ ! 琴子 だ !

おおっ おーい !

ようこそ ~! 直木 さーん !

( 歓声 )

( 鶴三 ) や ~ いぐ来たな ~ いぐ来たな ~

初めて お 目 に 会う っす な ―

琴子 ちゃん も 重雄 君 も しばらく ぶり !

琴子 の 母親 の 兄 の 鶴三 伯父さん で ございます

さっ こっち さ 来て !―

こっち さ さ … こっち さ 来て はよ はよ こっち さ 来て …

ハッハッハッ …

( ハウリング )

え ~ それでは ―

ミス 熊代 ( くましろ ) より 花束 の 贈呈 で ございます

( 拍手 )

花束 の 贈呈 で ございます !

( ミス 熊代 ) ようこそ 熊代 へ

どうも

( 歓声 )

( 男性 ) いやあ―

あの ヨツ ヨツ 歩き だった 琴子 ちゃん が ね ~

( 男性 ) んだ よ ね こんだら 大きく なって ~

( 男性 ) 直木 さん は たいそう 頭 の いい ―

ムコ はん で お 医者 さん に なる んだ って

うわっ …

さ さ さ … はい 直木 さん も 一言 おねげします

はい はい …

( 琴子 ) ちょっと 伯父さん !

いい から いい から … はいはい …

( ハウリング )

( 鶴三 ) ごめんなさい

はじめ まして 入江 直樹 です

( 歓声 )

想像 を 絶する 大変な 歓迎 ありがとう ございます

( 鶴三 ) どう いたし まして

ただ 直樹 の “ き ” の 字 は 樹木 の “ じゅ ” の 方 でして

( 男性 ) え ?

( 男性 ) しまった …

( 男性 ) 誰 だあ 間違えた の ?

( 男性 ) 調べ とけ よー

もう一つ 言い ます と ―

歓迎 の “ かん ” の 字 も 間違って い ます

( 男性 ) あれ じゃなかった け か

( 男性 ) しまった !

迎 も 一画 多い です

( 男性 ) いや ~ 頭 の いい ムコ さん だ な ~

琴子 ちゃ ! おめ に しちゃ 出来 すぎ な ムコ さん だ な !―

よぐやった よぐやった

( 鶴三 ) それじゃあ 早速 家 さ 連れて いく べ

さあ さあ さあ …

( 重雄 ) 鶴三 さん もう 気持ち だけ で 十分 です から

僕ら だけ で 墓参り 行き ます んで …

なーに 言 っとる 重雄 君

そん だら ごど でけえ したら ―

悦 っちゃん が モッコ さ なって 出て くる で ~

モッコ ?

モッコ てば オバケ の こと だ へ

ハハハ !

ベー !―

さあさ 乗る べ 乗る べ あー 乗る べ 乗る べ ―

さ ~ 乗る べ 乗る べ ~

( 鶴三 ) 東京 から 姪っ子 が ムコ 連れて きて んだ

ほい で うち で 今晩 宴会 やっ から 飲み さ こね か

( 男性 ) 行ぐ 行ぐ

( 男性 ) 行ぐ 行ぐ

お ~ 来い 来い …

お ~ 来い 来い …

もう なんで いつも こう な の よ ウチ の 親戚 は !

し ~! 声 が 大きい よ

だって 恥ずかしい じゃない 入江 君 だって いる のに

何 よ この 車 ! 選挙 でも す ん の !?

それ に なんで ミス 熊代 が 助手席 座って ―

私 達 が …

俺 は もう 結構 慣れた けど

( 重雄 ) すまない ね 直樹 君

いや ~ こいつ の 母親 の 親戚 って いう の が ―

どうも こう お祭り 好き って いう か

派手 好き な 一族 で さあ

私 は 違う から ね !

俺 は どうしても これ が 苦手 で ね …

だから 墓参り は いつも 内緒 で こっそり 来て た んだ が

もし かして お 義父 さん も 昔 こういう 歓迎 を 受けた と か ?

そう ! そう な んだ よ !

佐賀 から 東京 に 出て 母さん と 知り合って 結婚 する こと に なって

初めて 挨拶 に 来た 時 の 衝撃 と 言ったら もう ね …

わかる 気 が し ます

いや ~ その 点 直樹 君 は 立派 だった

俺 なんか あがり まくっ ちゃって 思い出し たく も ない !

いや ~

君 だけ だ よ この 衝撃 を 分かち合える の

直樹 君 ! 君 と 俺 は もはや 同志 だ !

あまり … 分かち合い たく は ない です ね

うん … そうだ ね

( 琴子 ) ついに … ついに バレ て しまった !―

ウチ の 恥ずかしい 親戚 の こと が …―

入江 君 に だけ は 知られ たくなかった のに ―

どうか もう これ 以上 の こと が 起き ません ように …

( 鶴三 達 ) いち に …―

さーん !

( 拍手 )

まあまあ いい から いい から …

( 秀美 ( ひでみ )) よ … よぐ 来た ね 直樹 さん

どうも

( 琴子 ) 久しぶり だ ね 美晴 ( みはる ) ちゃん

ん にゃ 琴子 ねっ ちゃう ち 秀美 だ よ !

え ? そうだ っけ ?