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JIN-仁-, JIN-仁- #01 (1)

JIN -仁- #01 (1)

〈( 未来 ) 私 達 は 当たり前だ と 思って いる 〉

〈 思い立てば 地球 の 裏側 に でも 行ける こと を 〉

〈 いつでも 思い を 伝える こと が できる こと を 〉

〈 平凡だ が 満ち足りた 日々 が 続く であろう こと を 〉

〈 闇 を 忘れて しまった ような 夜 を 〉

〈 でも もし ある 日 突然 〉

〈 その すべて を 失って しまったら 〉

〈 鳥 の ような 自由 を 〉

〈 満たさ れた 生活 を 〉

〈 明るい 夜空 を 失って しまったら 〉

〈 闇 ばかり の 夜 に たった 1 人 〉

〈 ほうり込ま れて しまったら …〉

〈 あなた は そこ で 〉

〈 光 を 見つける こと が できる だろう か ?〉

〈 その 光 を つかもう と する だろう か ?〉

〈 それとも 光 なき 世界 に 〉

〈 光 を 与えよう と する だろう か ?〉

〈 あなた の その 手 で 〉

≪( 救急 隊員 ) 錦 糸 公園 内 で 倒れて いる ところ を 発見 →

性別 は 男性 年齢 は 不明 顔面 は 殴打 さ れ 内出血 多数 →

右 前 額 部 から 頭 頂 部 に かけて 裂傷 あり

( 玉田 ) どうして 先生 が 執刀 して くれ ない んです か ?

ずっと 診て くださって いた じゃ ないで す か

いや 難しい 手術 なんで

どうしても やって くださら ない んです か ?

杉田 先生 は 私 なんか より 腕 が 立つ 先生 だ し

絶対 に その ほう が いい です 玉田 さん の ため です

( 野口 ) どうして 先生 が オペ し ない んです か ?

杉田 先生 は すごい です けど 玉田 さん は 先生 を 信用 して …

アチッ ! 熱い …

入れ すぎた

俺 結構 不注意で さ たまに 入れ すぎちゃ ったり して

そういう ヤツ な の は あ ?

( 博美 ) 南方 先生 救急 の 患者 診て いただいて も いい です か ?

は いはい すぐ まいり ます

急性 硬 膜 外 血 腫 だ けど 変な もん くっついて る ね

( 医師 ) 松 果 体 部 から 脳 室 に かけて もともと 腫瘍 が あり ます ね

ハイドロ も 軽度 合併 して ます し ほか の 先生 は ?

脳 外科 は 先生 だけ です

先生 だったら この 位置 の 摘出 朝飯前 でしょう

緊急 開 頭 して 血 腫 除去

術中 の 様子 で 脳 実質 に 損傷 が なければ

そのまま 腫瘍 を 摘出 し ます ( 一同 ) はい

麻酔 完了 し ました

では まず 硬 膜 外 血 腫 の 除去 手術 を 始め ます

開 頭 し ます

パーフォレーター

クラニオトーム

血 腫 除去 しよう

では 続いて 腫瘍 の 摘出 を 行い ます マイクロ 用意 して

吸引 管 3 号 と バイポーラー

よし 腫瘍 が 見えて きた

マイクロ 剪刀

これ 胎児 の 組織 成分 です か ?

頭がい 骨 内 の 封 入 奇形 胎児

いや 幼児 や 子供 に は こういう 例 も ある と いう が

この 患者 は どう 見て も 成人 だし

ともかく 摘出 して 病理 診断 に まわそう

脳 実質 と 腫瘍 の 境界 を はく離 …

≪( 博美 ) どうかさ れ ました ?

いや 大丈夫だ

≪( 野口 ) 南方 先生 って どうして ああ な んです か ?→

手術 全然 下手 と か じゃ ない の に 面倒くさい んです かね

ここ に 来た の って 今月 から ? はい

じゃあ まだ 知ら ない の か 友永 先生 の こと は

何 す か ?

≪( 博美 ) 友永 先生 は 外科 の 優秀な お 医者 さん で →

仁 先生 の 恋人 だった 人 →

学生 時代 から 知り合い だった らしい んだ けど →

3 年 前 友永 先生 が この 病院 に 来た とき から →

付き合い が 始まって →

いよいよ 結婚 かって とき に なって →

脳幹 部 に 腫瘍 が 見つかった の

脳幹 部 に 腫瘍 です か ?

絶望 的だった んだ けど 南方 先生 は 手術 を する こと に した の よ

《≪( 杉田 ) 南方 これ は 絶対 に 無理だ ぞ 》

《 大丈夫です サブオクシピタルアプローチ と トランスコンディラーアプローチ を …》

《( 杉田 ) 腫瘍 は 脳幹 部 に 食い込んで る んだ ぞ →》

《 これ は 手術 じゃ なくて 実験 だ !》

《 何も し なくて も 死 を 待つ だけ だ ろ !》

《 これ は 患者 の 望み で も ある んです 》

《 この 手術 が 成功 すれば 》

《 これ から 何 千 人 と いう 人 達 が 希望 を 持つ こと が できる 》

《 もし 成功 し なくて も …》

《 その 礎 と なれる なら 本望 だ と 》

《 そう 言って ました 》

≪( 博美 ) その ころ の 南方 先生 は 脂 の 乗りきった 状態 だった し →

友永 先生 も 南方 先生 を 信用 して いた し →

みんな が 奇跡 を 信じる こと に した

《 思った 以上 に 腫瘍 が 動脈 を 巻き込んで る な 》

《 どう する ? 南方 》

《 やめた ほう が いい んじゃ ない か 》

《 続け ます 》 《 南方 !》

《 主治医 は 俺 だ 》

《 小脳 を 切除 する バイポーラー 20 から 30 に あげて 》

≪( 博美 ) 結果 は 腫瘍 は 除去 できた んだ けど →

その とき に 動脈 を 傷つけて 大量 出血 を 起こしちゃ って →

その 結果 友永 先生 は 植物 状態 に なって しまった の

それ から 南方 先生 は 難しい 手術 は

ほか の 先生 に あずける ように なった の

でも そのかわり ほか の 先生 達 が 手術 に 集中 できる ように

数 を こなし 夜勤 を 代わる ように なって

私 は 南方 先生 を 責める 気 に は なれ ない な

未来 今日 さ

すごい もん 見つけた んだ よ

胎児 様 奇形 腫

見て みたいだ ろ

どう だ 起きて み ない か ?

そろそろ 飲んで くれ ませ ん か ねえ

あんなに 飲み た がって た くせ に

何とか 言えよ

無愛想だ な

《 私さ ここ の 夕日 が 》

《 世界 で 一 番 きれいだ と 思う んだ よ ね 》

《 それ 言いすぎ だ ろ 》

《 南 の 島 と か ヒマラヤ と か さ 》

《 もっと すごい 夕日 なんて いくら で も ある だ ろ 》

《 分かって ない なあ もう 》

《 あそこ で いい 仕事 を して その 充実 感 を 感じ ながら 見る 》

《 だ から きれいな んじゃ ない 》

《 そういう 話 》

《 これ が つく と さらに きれいに 見える んだ けど 》

《 おい !》 《 ちょっと だけ 》

《 ダメ だって 明日 手術 だ ろ 》 《1 本 1 本 だけ 》

《 ねえ 付き合って よ 》 《 ダメ だって 》

《 いい じゃ ない ! これ が 最後 かも しれ ない んだ から 》

《 ごめん 》

《 仁 先生 を さ 信用 して ない わけじゃ ない んだ よ 》

《 でも ほら もしも って いう か …》

《 ごめん ね 》

《 ホント は 私 が 一 番 》

《 信じて て あげ なきゃ いけない のに 》

《 仁 先生 だって すごい プレッシャー な のに 》

《 必死で 平気な ふり して て くれて る のに 》

《 でも …》

《 でも 怖くて …》

《 こんなに 怖い んだ ね 手術 さ れる ほう って 》

《 私 今 まで 全然 分かって なかった よ 》

《 いい 勉強 に なった 》

《 俺 も 怖い よ 》

《 すげ ー 怖い 》

《 失敗 したら どう しよう って それ ばっ か 考えて る 》

《 でも そういう とき は アレ を 思い出す んだ 》

《 未来 の 好きな 言葉 》

《 神 は 乗り越え られる 試練 しか 与え ない ?》

《 そ っか 》

《 そう だった ね 》

《 あ ッ 手術 終わったら 新婚 旅行 》

《 ヒマラヤ に 夕日 でも 見 に 行く か 》

《 その 思い込み 正す ため に 》

《 ヤダ ここ で 一緒に ビール 飲んで もらう 》

《 思い込み を 正す ため に 》

《 おい ダメだ よ ちょっと ダメ だって …》

《 冷たい !》

じゃあ もう 帽子 は 大丈夫だ な

ちょ ちょ ちょ 返して ください って …

南方 先生

すいません でした

何も 知ら ないで 偉 そうな こ と 言って

でも 俺 は やっぱり 玉田 さん は

先生 が オペ する べきだ と 思い ます

( 野口 ) こんな こと 考え たく ない です けど

もしも の とき 全然 知ら ない 先生 に 失敗 さ れた んじゃ

玉田 さん も 浮かば れ ない って いう か …

あんな こと が あって 怖い の は 分かり ます けど

医者 は 患者 の ため に その 恐怖 と 戦う べきな んじゃ ない です か ?

一緒に 恐怖 と 戦う から 尊敬 さ れる んじゃ ない んです か ?

「 先生 」 って 呼ば れる んじゃ ない んです か ?

失敗 して 傷つか ない 人間 なんて い ないで すよ

先生 は 卑怯 です

先生 の やり 方 は 自分 の 代わり に

他人 に 傷ついて もらって る ような もん じゃ ないで す か

その とおり え ッ ?

その とおり だ よ

俺 みたいな 医者 に なる な よ な

( PHS の バイブレーター )

お呼び だ

はい

患者 の 傷 は 何 か 鋭利な 刃物 で

頭部 に 切りつけ られた もの と 思わ れ ます

頭がい 骨 骨折 と 急性 硬 膜 外 血 腫 を 起こして いた ので

緊急 手術 を 行い ました

顔面 に 無数の 打撲 傷 が あり 人相 は はっきり し ませ ん が

年齢 は 30 代 から 40 代 身長 は 180 センチ 程度 中肉

血液型 は A 型 の RH プラス です ( 刑事 A ) 意識 は ?

まだ 戻って ませ ん 当分 は 絶対 安静 が 必要です が

( 刑事 B ) 意識 が 戻り 次第 署 の ほう へ 連絡 して ください

どうして 彼 は 襲わ れた んです か ?

≪( 刑事 A ) まったく 分から ない んです →

身元 を 証明 する ような 物 が 何も なくて →

本人 から 事情 を 聴取 する しか ない 状態 で

ほか に 身体 的な 特徴 は なかった でしょう か ?

手がかり に なる か 分かり ませ ん が

腫瘍 が 見つかった ので 摘出 し ました

非常に 珍しい 胎児 の 形 を した もの です

もしかしたら 本物 の 胎児 かも しれ ない んです

大丈夫です か ? 先生 !

大丈夫です

最近 寝不足な んで

( 梅子 ) 意識 は まだ 傾 眠 傾向 です

バイタルサイン は 安定 して ます そうです か

早く 自分 の 名前 くらい 言える ように なる と いい んです けど ね

何 か あったら すぐ 連絡 ください は い

やる よ 杉田

こない だ 机 の 中 から 出て きた んだ

見て きた よ 例の 腫瘍

すごい だ ろ あれ どう 見て も 胎児 だ よ な

斎藤 教授 も 興味 持って た みたいで さ

早く 組織 細胞 診断 に 出せ と か

学会 に 間に合わ せろ って うるさくて な

そう だろう な そう 言わ れた んだ けど さ

お前 やって みたら ?

こんな 症例 に 当たる なんて さ

ぶっちゃ け すごい チャンス だ と 思う し

お前 の こんな 状態

未来 ちゃん だって 喜んで ない と 思う ぞ

現場 の 医者 は いつも 足 ん ないし 介護 も ある し

論文 書く 余裕 あったら 正直 寝 たい よ

気 が 変わったら いつでも 連絡 くれ

痛 ッ … 何 だ これ

チャンス か あ …

ウワッ

どうか して る な

先生 例の 患者 が 部屋 から い なく なり ました

は あ ?

≪( 博美 ) 薬品 棚 が 荒らさ れて ます

大丈夫です か ? 戻り ましょう まだ 安静に して ない と 危険です

どうして こんな こと した んです か ?

どうして これ を …

≪( 男 ) 戻る ぜ よ

戻る ぜ よ あん 世界 へ

え ッ …

ちょっと … 待ち なさい 待て !

うわ ーーーーーッ !

どう なって んだ …

どこ な んだ よ ここ

あの 男 何 だって こんな 物 …

≪ 待て ! 逃がす な

おい 誰 か ッ

助けて ください !

≪ 逃がす な !

時代 劇 ?

なんだ 撮影 か

覚悟 ー !

うわ 本物 …

そこ に おる 者 は 誰 か !

いや 私 は 偶然 … ( 浪人 ) 怪しい なり を し おって

見 られた と あって は 生かして は おけ ぬ 覚悟 !

ケガ は ? いえ

では 逃げろ 早く !

早く ! はい

≪( 浪人 ) 死ね !

≪ おい 誰 か 来た ぞ !

おい そこ で 何 を して おる !?

まずい 水戸 藩 だ 行く ぞ ひけ !

( うめき声 )

大丈夫です か ?

忠 兵衛 は …

そこ の 供 の 者 が …

残念です が …

そ そ なた は … 私 は 医者 です

私 は 助から ぬ な

いえ 無理で は ない と 思い ます

助かる の か ?

手術 さえ できれば の 話 です が

どうか 侍 の くせ に

女々しい ヤツ と お 笑い に なら ないで いただき たい

今 ここ で 私 が 死ねば お家 は お 取り つぶし

母 も 妹 も 路頭 に 迷う

頼む

私 は まだ ここ で 死ぬ わけに は いか ぬ のだ

( 家臣 A ) 水戸 藩 家中 の 者 で ご ざる これ は 一体 どういう こと か ?

湯島 4 丁目 裏通り 樹木 谷 に 住む

小 普請 組 小笠原 順 三郎 支配 内

橘 恭 太郎 で ございます

3 人 の 見知らぬ 者 に 襲わ れ

供 の 者 は 斬ら れて しまい …

橘 殿 どう な すった !? しっかり なされ

( 家臣 B ) お 主 は 何 を して おる

( 家臣 C ) 奇 態 なな り を して おる が 西洋 人 か !?

私 は 医者 です ( A ) 蘭 方 医 か ?

この 人 は 急性 硬 膜 外 血 腫 の 可能 性 が 高い

30 分 から 最長 1 時間 以内 に オペ し なければ 手遅れに なり ます

オ オペ ? 何 を 言って おる のだ そのほう は

とにかく 一刻 も 早く 彼 を 運んで ください

〈 これ は 夢 か ?〉

〈 だ と したら なんて 長い 〉

〈 生々しい 夢 な んだろう 〉

≪ さあ ここ へ

忠 兵衛 恭 太郎 !

何故 このような こと に …

兄 上 ! ( 栄 ) 咲 何 か かける もの を …

そのまま 部屋 の 中 へ 運んで ください


JIN -仁- #01 (1) jin|しとし

〈( 未来 ) 私 達 は   当たり前だ と 思って いる 〉 みらい|わたくし|さとる||あたりまえだ||おもって| <(Future) We take it for granted>

〈 思い立てば   地球 の 裏側 に でも 行ける こと を 〉 おもいたてば|ちきゅう||うらがわ|||いける|| <If you think about it, you can go to the other side of the earth>

〈 いつでも   思い を 伝える こと が できる こと を 〉 |おもい||つたえる||||| <Being able to convey your thoughts at any time>

〈 平凡だ が   満ち足りた 日々 が 続く であろう こと を 〉 へいぼんだ||みちたりた|ひび||つづく||| <May the days of mediocre and satisfying will continue>

〈 闇 を 忘れて しまった ような 夜 を 〉 やみ||わすれて|||よ| <A night that seems to have forgotten the darkness>

〈 でも   もし   ある 日   突然 〉 |||ひ|とつぜん <But if one day suddenly>

〈 その   すべて を 失って しまったら 〉 |||うしなって| <If you lose all of it>

〈 鳥 の ような 自由 を 〉 ちょう|||じゆう| <Freedom like a bird>

〈 満たさ れた 生活 を 〉 みたさ||せいかつ| <Satisfied life>

〈 明るい 夜空 を   失って しまったら 〉 あかるい|よぞら||うしなって| <If you lose the bright night sky>

〈 闇 ばかり の 夜 に   たった 1 人 〉 やみ|||よ|||じん <Only one person on a dark night>

〈 ほうり込ま れて しまったら …〉 ほうりこま|| <If you get caught in it ...>

〈 あなた は   そこ で 〉

〈 光 を 見つける こと が できる だろう か ?〉 ひかり||みつける||||| <Can you find the light? >

〈 その 光 を つかもう と する だろう か ?〉 |ひかり|||||| <Will you try to grab that light? >

〈 それとも   光 なき 世界 に 〉 |ひかり||せかい| <Or in a world without light>

〈 光 を 与えよう と する だろう か ?〉 ひかり||あたえよう|||| <Are you trying to give light? >

〈 あなた の   その 手 で 〉 |||て| <With your hands>

≪( 救急 隊員 ) 錦 糸 公園 内 で 倒れて いる ところ を 発見 → きゅうきゅう|たいいん|にしき|いと|こうえん|うち||たおれて||||はっけん ≪ (Emergency personnel) I found a fallen place in Kinshi Park →

性別 は 男性   年齢 は 不明 顔面 は 殴打 さ れ   内出血 多数 → せいべつ||だんせい|ねんれい||ふめい|がんめん||おうだ|||ないしゅっけつ|たすう Gender is male Age is unknown Face is beaten and internal bleeding is numerous →

右 前 額 部 から 頭 頂 部 に かけて 裂傷 あり みぎ|ぜん|がく|ぶ||あたま|いただ|ぶ|||れっしょう| There is a laceration from the right forehead to the crown

( 玉田 ) どうして   先生 が 執刀 して くれ ない んです か ? たまだ||せんせい||しっとう||||| (Tamada) Why doesn't the teacher perform the operation?

ずっと 診て くださって いた じゃ ないで す か |みて|||||| Didn't you see me all the time?

いや   難しい 手術 なんで |むずかしい|しゅじゅつ| No, why is it a difficult operation?

どうしても   やって くださら ない んです か ? Can't you just do it?

杉田 先生 は   私 なんか より 腕 が 立つ 先生 だ し すぎた|せんせい||わたくし|||うで||たつ|せんせい|| Mr. Sugita is a teacher who is more skilled than me.

絶対 に   その ほう が いい です 玉田 さん の ため です ぜったい|||||||たまだ|||| It ’s definitely better for Mr. Tamada.

( 野口 ) どうして   先生 が オペ し ない んです か ? のくち||せんせい|||||| (Noguchi) Why isn't the teacher operating?

杉田 先生 は   すごい です けど 玉田 さん は   先生 を 信用 して … すぎた|せんせい|||||たまだ|||せんせい||しんよう| Mr. Sugita is amazing, but Mr. Tamada trusts him ...

アチッ !  熱い … |あつい Achi! Hot ...

入れ すぎた いれ| I put too much

俺   結構   不注意で さ たまに   入れ すぎちゃ ったり して おれ|けっこう|ふちゅういで|||いれ||| I was pretty careless and sometimes I put too much in

そういう ヤツ な の は あ ? |やつ|||| What is that kind of guy?

( 博美 ) 南方 先生   救急 の 患者 診て いただいて も いい です か ? ひろみ|なんぽう|せんせい|きゅうきゅう||かんじゃ|みて||||| (Hiromi) Dr. Minamikata Is it okay to see an emergency patient?

は いはい   すぐ まいり ます Yes Yes I will come soon

急性 硬 膜 外 血 腫 だ けど 変な もん くっついて る ね きゅうせい|かた|まく|がい|ち|しゅ|||へんな|||| It's an acute epidural hematoma, but it's weird.

( 医師 ) 松 果 体 部 から 脳 室 に かけて もともと 腫瘍 が あり ます ね いし|まつ|か|からだ|ぶ||のう|しつ||||しゅよう|||| (Doctor) There is originally a tumor from the pineal gland to the ventricles.

ハイドロ も 軽度 合併 して ます し ほか の 先生 は ? ||けいど|がっぺい||||||せんせい| Hydro is also a mild merger, and what about other teachers?

脳 外科 は 先生 だけ です のう|げか||せんせい|| Brain surgery is only a teacher

先生 だったら   この 位置 の 摘出 朝飯前 でしょう せんせい|||いち||てきしゅつ|あさめしまえ| If it was a teacher, it would be before breakfast to extract this position.

緊急 開 頭 して   血 腫 除去 きんきゅう|ひらき|あたま||ち|しゅ|じょきょ Emergency craniotomy to remove blood tumor

術中 の 様子 で 脳 実質 に 損傷 が なければ じゅっちゅう||ようす||のう|じっしつ||そんしょう|| If there is no damage to the brain parenchyma during the operation

そのまま   腫瘍 を 摘出 し ます ( 一同 ) はい |しゅよう||てきしゅつ|||いちどう|

麻酔 完了 し ました ますい|かんりょう||

では   まず   硬 膜 外 血 腫 の 除去 手術 を 始め ます ||かた|まく|がい|ち|しゅ||じょきょ|しゅじゅつ||はじめ|

開 頭 し ます ひらき|あたま||

パーフォレーター

クラニオトーム

血 腫   除去 しよう ち|しゅ|じょきょ|

では   続いて   腫瘍 の 摘出 を 行い ます   マイクロ 用意 して |つづいて|しゅよう||てきしゅつ||おこない|||ようい|

吸引 管 3 号 と バイポーラー きゅういん|かん|ごう||

よし   腫瘍 が 見えて きた |しゅよう||みえて|

マイクロ 剪刀 |せんかたな

これ   胎児 の 組織 成分 です か ? |たいじ||そしき|せいぶん||

頭がい 骨 内 の 封 入 奇形 胎児 ずがい|こつ|うち||ふう|はい|きけい|たいじ

いや   幼児 や 子供 に は こういう 例 も ある と いう が |ようじ||こども||||れい|||||

この 患者 は   どう 見て も 成人 だし |かんじゃ|||みて||せいじん|

ともかく   摘出 して 病理 診断 に まわそう |てきしゅつ||びょうり|しんだん||

脳 実質 と 腫瘍 の 境界 を はく離 … のう|じっしつ||しゅよう||きょうかい||はくり

≪( 博美 ) どうかさ れ ました ? ひろみ|どうか さ||

いや   大丈夫だ |だいじょうぶだ

≪( 野口 ) 南方 先生 って どうして   ああ な んです か ?→ のくち|なんぽう|せんせい||||||

手術   全然   下手 と か じゃ ない の に 面倒くさい んです かね しゅじゅつ|ぜんぜん|へた|||||||めんどうくさい||

ここ に 来た の って   今月 から ? はい ||きた|||こんげつ||

じゃあ   まだ 知ら ない の か 友永 先生 の こと は ||しら||||ともなが|せんせい|||

何 す か ? なん||

≪( 博美 ) 友永 先生 は 外科 の 優秀な お 医者 さん で → ひろみ|ともなが|せんせい||げか||ゆうしゅうな||いしゃ||

仁 先生 の 恋人 だった 人 → しとし|せんせい||こいびと||じん

学生 時代 から 知り合い だった らしい んだ けど → がくせい|じだい||しりあい||||

3 年 前   友永 先生 が この 病院 に 来た とき から → とし|ぜん|ともなが|せんせい|||びょういん||きた||

付き合い が 始まって → つきあい||はじまって

いよいよ 結婚 かって とき に なって → |けっこん||||

脳幹 部 に 腫瘍 が 見つかった の のうかん|ぶ||しゅよう||みつかった|

脳幹 部 に 腫瘍 です か ? のうかん|ぶ||しゅよう||

絶望 的だった んだ けど   南方 先生 は 手術 を する こと に した の よ ぜつぼう|てきだった|||なんぽう|せんせい||しゅじゅつ|||||||

《≪( 杉田 ) 南方   これ は 絶対 に 無理だ ぞ 》 すぎた|なんぽう|||ぜったい||むりだ|

《 大丈夫です   サブオクシピタルアプローチ と トランスコンディラーアプローチ を …》 だいじょうぶです||||

《( 杉田 ) 腫瘍 は   脳幹 部 に 食い込んで る んだ ぞ →》 すぎた|しゅよう||のうかん|ぶ||くいこんで|||

《 これ は   手術 じゃ なくて 実験 だ !》 ||しゅじゅつ|||じっけん|

《 何も し なくて も 死 を 待つ だけ だ ろ !》 なにも||||し||まつ|||

《 これ は   患者 の 望み で も ある んです 》 ||かんじゃ||のぞみ||||

《 この 手術 が 成功 すれば 》 |しゅじゅつ||せいこう|

《 これ から   何 千 人 と いう 人 達 が 希望 を 持つ こと が できる 》 ||なん|せん|じん|||じん|さとる||きぼう||もつ|||

《 もし   成功 し なくて も …》 |せいこう|||

《 その 礎 と なれる なら   本望 だ と 》 |いしずえ||||ほんもう||

《 そう 言って ました 》 |いって|

≪( 博美 ) その ころ の   南方 先生 は 脂 の 乗りきった 状態 だった し → ひろみ||||なんぽう|せんせい||あぶら||のりきった|じょうたい||

友永 先生 も   南方 先生 を 信用 して いた し → ともなが|せんせい||なんぽう|せんせい||しんよう|||

みんな が   奇跡 を 信じる こと に した ||きせき||しんじる|||

《 思った 以上 に 腫瘍 が 動脈 を 巻き込んで る な 》 おもった|いじょう||しゅよう||どうみゃく||まきこんで||

《 どう する ?  南方 》 ||なんぽう

《 やめた ほう が いい んじゃ ない か 》

《 続け ます 》 《 南方 !》 つづけ||なんぽう

《 主治医 は   俺 だ 》 しゅじい||おれ|

《 小脳 を 切除 する バイポーラー  20 から 30 に あげて 》 しょうのう||せつじょ|||||

≪( 博美 ) 結果 は 腫瘍 は 除去 できた んだ けど → ひろみ|けっか||しゅよう||じょきょ|||

その とき に   動脈 を 傷つけて 大量 出血 を 起こしちゃ って → |||どうみゃく||きずつけて|たいりょう|しゅっけつ||おこしちゃ|

その 結果   友永 先生 は 植物 状態 に なって しまった の |けっか|ともなが|せんせい||しょくぶつ|じょうたい||||

それ から   南方 先生 は 難しい 手術 は ||なんぽう|せんせい||むずかしい|しゅじゅつ|

ほか の 先生 に あずける ように なった の ||せんせい|||||

でも   そのかわり   ほか の 先生 達 が 手術 に 集中 できる ように ||||せんせい|さとる||しゅじゅつ||しゅうちゅう||

数 を こなし 夜勤 を 代わる ように なって すう|||やきん||かわる||

私 は   南方 先生 を 責める 気 に は なれ ない な わたくし||なんぽう|せんせい||せめる|き|||||

未来   今日 さ みらい|きょう|

すごい もん 見つけた んだ よ ||みつけた||

胎児 様 奇形 腫 たいじ|さま|きけい|しゅ

見て みたいだ ろ みて||

どう だ   起きて み ない か ? ||おきて|||

そろそろ 飲んで くれ ませ ん か ねえ |のんで|||||

あんなに 飲み た がって た くせ に |のみ|||||

何とか 言えよ なんとか|いえよ

無愛想だ な ぶあいそうだ|

《 私さ   ここ の 夕日 が 》 わたくしさ|||ゆうひ|

《 世界 で 一 番 きれいだ と 思う んだ よ ね 》 せかい||ひと|ばん|||おもう|||

《 それ   言いすぎ だ ろ 》 |いいすぎ||

《 南 の 島 と か   ヒマラヤ と か さ 》 みなみ||しま|||ひまらや|||

《 もっと   すごい 夕日 なんて いくら で も ある だ ろ 》 ||ゆうひ|||||||

《 分かって ない なあ   もう 》 わかって|||

《 あそこ で   いい 仕事 を して その 充実 感 を 感じ ながら 見る 》 |||しごと||||じゅうじつ|かん||かんじ||みる

《 だ から   きれいな んじゃ ない 》

《 そういう 話 》 |はなし

《 これ が つく と   さらに きれいに 見える んだ けど 》 ||||||みえる||

《 おい !》 《 ちょっと だけ 》

《 ダメ だって   明日   手術 だ ろ 》 《1 本  1 本 だけ 》 だめ||あした|しゅじゅつ|||ほん|ほん|

《 ねえ   付き合って よ 》 《 ダメ だって 》 |つきあって||だめ|

《 いい じゃ ない !  これ が 最後 かも しれ ない んだ から 》 |||||さいご|||||

《 ごめん 》

《 仁 先生 を さ   信用 して ない わけじゃ ない んだ よ 》 しとし|せんせい|||しんよう||||||

《 でも   ほら   もしも って いう か …》

《 ごめん ね 》

《 ホント は   私 が 一 番 》 ほんと||わたくし||ひと|ばん

《 信じて て あげ なきゃ いけない のに 》 しんじて|||||

《 仁 先生 だって すごい プレッシャー な のに 》 しとし|せんせい|||ぷれっしゃー||

《 必死で   平気な ふり して て くれて る のに 》 ひっしで|へいきな||||||

《 でも …》

《 でも   怖くて …》 |こわくて

《 こんなに 怖い んだ ね 手術 さ れる ほう って 》 |こわい|||しゅじゅつ||||

《 私   今 まで 全然   分かって なかった よ 》 わたくし|いま||ぜんぜん|わかって||

《 いい 勉強 に なった 》 |べんきょう||

《 俺 も   怖い よ 》 おれ||こわい|

《 すげ ー   怖い 》 |-|こわい

《 失敗 したら   どう しよう って それ ばっ か 考えて る 》 しっぱい||||||||かんがえて|

《 でも   そういう とき は アレ を 思い出す んだ 》 ||||||おもいだす|

《 未来 の 好きな 言葉 》 みらい||すきな|ことば

《 神 は   乗り越え られる 試練 しか 与え ない ?》 かみ||のりこえ||しれん||あたえ|

《 そ っか 》

《 そう だった ね 》

《 あ ッ   手術 終わったら 新婚 旅行 》 ||しゅじゅつ|おわったら|しんこん|りょこう

《 ヒマラヤ に 夕日 でも 見 に 行く か 》 ひまらや||ゆうひ||み||いく|

《 その 思い込み   正す ため に 》 |おもいこみ|ただす||

《 ヤダ   ここ で 一緒に ビール 飲んで もらう 》 |||いっしょに|びーる|のんで|

《 思い込み を 正す ため に 》 おもいこみ||ただす||

《 おい   ダメだ よ ちょっと   ダメ だって …》 |だめだ|||だめ|

《 冷たい !》 つめたい

じゃあ   もう   帽子 は 大丈夫だ な ||ぼうし||だいじょうぶだ|

ちょ   ちょ   ちょ 返して ください って … |||かえして||

南方 先生 なんぽう|せんせい

すいません でした

何も 知ら ないで 偉 そうな こ と 言って なにも|しら||えら|そう な|||いって

でも   俺 は   やっぱり   玉田 さん は |おれ|||たまだ||

先生 が オペ する べきだ と 思い ます せんせい||||||おもい|

( 野口 ) こんな こと 考え たく ない です けど のくち|||かんがえ||||

もしも の とき   全然   知ら ない 先生 に 失敗 さ れた んじゃ |||ぜんぜん|しら||せんせい||しっぱい|||

玉田 さん も 浮かば れ ない って いう か … たまだ|||うかば|||||

あんな こと が あって 怖い の は 分かり ます けど ||||こわい|||わかり||

医者 は   患者 の ため に   その 恐怖 と 戦う べきな んじゃ ない です か ? いしゃ||かんじゃ|||||きょうふ||たたかう|||||

一緒に 恐怖 と 戦う から 尊敬 さ れる んじゃ ない んです か ? いっしょに|きょうふ||たたかう||そんけい||||||

「 先生 」 って 呼ば れる んじゃ ない んです か ? せんせい||よば|||||

失敗 して 傷つか ない 人間 なんて い ないで すよ しっぱい||きずつか||にんげん||||

先生 は   卑怯 です せんせい||ひきょう|

先生 の やり 方 は   自分 の 代わり に せんせい|||かた||じぶん||かわり|

他人 に 傷ついて もらって る ような もん じゃ ないで す か たにん||きずついて||||||||

その とおり え ッ ?

その とおり だ よ

俺 みたいな 医者 に なる な よ な おれ||いしゃ|||||

( PHS の バイブレーター ) phs||

お呼び だ および|

はい

患者 の 傷 は   何 か 鋭利な 刃物 で かんじゃ||きず||なん||えいりな|はもの|

頭部 に 切りつけ られた もの と 思わ れ ます とうぶ||きりつけ||||おもわ||

頭がい 骨 骨折 と   急性 硬 膜 外 血 腫 を 起こして いた ので ずがい|こつ|こっせつ||きゅうせい|かた|まく|がい|ち|しゅ||おこして||

緊急 手術 を 行い ました きんきゅう|しゅじゅつ||おこない|

顔面 に 無数の 打撲 傷 が あり 人相 は   はっきり し ませ ん が がんめん||むすうの|だぼく|きず|||にんそう||||||

年齢 は  30 代 から 40 代 身長 は  180 センチ 程度   中肉 ねんれい||だい||だい|しんちょう||せんち|ていど|ちゅうにく

血液型 は   A 型 の RH プラス です ( 刑事 A ) 意識 は ? けつえきがた||a|かた||rh|ぷらす||けいじ|a|いしき|

まだ 戻って ませ ん 当分 は   絶対 安静 が 必要です が |もどって|||とうぶん||ぜったい|あんせい||ひつようです|

( 刑事 B ) 意識 が 戻り 次第 署 の ほう へ 連絡 して ください けいじ|b|いしき||もどり|しだい|しょ||||れんらく||

どうして   彼 は 襲わ れた んです か ? |かれ||おそわ|||

≪( 刑事 A ) まったく 分から ない んです → けいじ|a||わから||

身元 を 証明 する ような 物 が 何も なくて → みもと||しょうめい|||ぶつ||なにも|

本人 から 事情 を 聴取 する しか ない 状態 で ほんにん||じじょう||ちょうしゅ||||じょうたい|

ほか に   身体 的な 特徴 は なかった でしょう か ? ||からだ|てきな|とくちょう||||

手がかり に なる か 分かり ませ ん が てがかり||||わかり|||

腫瘍 が 見つかった ので 摘出 し ました しゅよう||みつかった||てきしゅつ||

非常に 珍しい 胎児 の 形 を した もの です ひじょうに|めずらしい|たいじ||かた||||

もしかしたら 本物 の 胎児 かも しれ ない んです |ほんもの||たいじ||||

大丈夫です か ?  先生 ! だいじょうぶです||せんせい

大丈夫です だいじょうぶです

最近   寝不足な んで さいきん|ねぶそくな|

( 梅子 ) 意識 は   まだ 傾 眠 傾向 です うめこ|いしき|||かたむ|ねむ|けいこう|

バイタルサイン は 安定 して ます そうです か ||あんてい|||そう です|

早く 自分 の 名前 くらい   言える ように なる と いい んです けど ね はやく|じぶん||なまえ||いえる|||||||

何 か あったら   すぐ 連絡 ください は い なん||||れんらく|||

やる よ 杉田 ||すぎた

こない だ   机 の 中 から 出て きた んだ ||つくえ||なか||でて||

見て きた よ   例の 腫瘍 みて|||れいの|しゅよう

すごい だ ろ あれ   どう 見て も 胎児 だ よ な |||||みて||たいじ|||

斎藤 教授 も 興味 持って た みたいで さ さいとう|きょうじゅ||きょうみ|もって|||

早く   組織 細胞 診断 に 出せ と か はやく|そしき|さいぼう|しんだん||だせ||

学会 に 間に合わ せろ って うるさくて な がっかい||まにあわ||||

そう だろう な そう 言わ れた んだ けど さ ||||いわ||||

お前   やって みたら ? おまえ||

こんな 症例 に 当たる なんて さ |しょうれい||あたる||

ぶっちゃ け すごい チャンス だ と 思う し |||ちゃんす|||おもう|

お前 の こんな 状態 おまえ|||じょうたい

未来 ちゃん だって 喜んで ない と 思う ぞ みらい|||よろこんで|||おもう|

現場 の 医者 は   いつも 足 ん ないし 介護 も ある し げんば||いしゃ|||あし|||かいご|||

論文 書く 余裕 あったら 正直   寝 たい よ ろんぶん|かく|よゆう||しょうじき|ね||

気 が 変わったら いつでも 連絡 くれ き||かわったら||れんらく|

痛 ッ …  何 だ   これ つう||なん||

チャンス か あ … ちゃんす||

ウワッ

どうか して る な

先生   例の 患者 が 部屋 から い なく なり ました せんせい|れいの|かんじゃ||へや|||||

は あ ?

≪( 博美 ) 薬品 棚 が 荒らさ れて ます ひろみ|やくひん|たな||あらさ||

大丈夫です か ?  戻り ましょう まだ   安静に して ない と 危険です だいじょうぶです||もどり|||あんせいに||||きけんです

どうして   こんな こと した んです か ?

どうして   これ を …

≪( 男 ) 戻る ぜ よ おとこ|もどる||

戻る ぜ よ   あん 世界 へ もどる||||せかい|

え ッ …

ちょっと … 待ち なさい   待て ! |まち||まて

うわ ーーーーーッ ! |-----ッ

どう なって んだ …

どこ な んだ よ   ここ

あの 男   何 だって   こんな 物 … |おとこ|なん|||ぶつ

≪ 待て !  逃がす な まて|にがす|

おい   誰 か ッ |だれ||

助けて ください ! たすけて|

≪ 逃がす な ! にがす|

時代 劇 ? じだい|げき

なんだ   撮影 か |さつえい|

覚悟 ー ! かくご|-

うわ   本物 … |ほんもの

そこ に おる 者 は 誰 か ! |||もの||だれ|

いや   私 は 偶然 … ( 浪人 ) 怪しい なり を し おって |わたくし||ぐうぜん|ろうにん|あやしい||||

見 られた と あって は 生かして は おけ ぬ   覚悟 ! み|||||いかして||||かくご

ケガ は ? いえ けが||

では   逃げろ   早く ! |にげろ|はやく

早く ! はい はやく|

≪( 浪人 ) 死ね ! ろうにん|しね

≪ おい   誰 か 来た ぞ ! |だれ||きた|

おい   そこ で 何 を して おる !? |||なん|||

まずい   水戸 藩 だ   行く ぞ   ひけ ! |みと|はん||いく||

( うめき声 ) うめきごえ

大丈夫です か ? だいじょうぶです|

忠 兵衛 は … ただし|ひょうえ|

そこ の 供 の 者 が … ||とも||もの|

残念です が … ざんねんです|

そ   そ なた は … 私 は   医者 です ||||わたくし||いしゃ|

私 は   助から ぬ な わたくし||たすから||

いえ   無理で は ない と 思い ます |むりで||||おもい|

助かる の か ? たすかる||

手術 さえ できれば の 話 です が しゅじゅつ||||はなし||

どうか   侍 の くせ に |さむらい|||

女々しい ヤツ と   お 笑い に なら ないで いただき たい めめしい|やつ|||わらい|||||

今   ここ で 私 が 死ねば お家 は   お 取り つぶし いま|||わたくし||しねば|おいえ|||とり|

母 も 妹 も   路頭 に 迷う はは||いもうと||ろとう||まよう

頼む たのむ

私 は   まだ   ここ で 死ぬ わけに は いか ぬ のだ わたくし|||||しぬ|||||

( 家臣 A ) 水戸 藩 家中 の 者 で ご ざる これ は 一体   どういう こと か ? かしん|a|みと|はん|うちじゅう||もの||||||いったい|||

湯島 4 丁目   裏通り   樹木 谷 に 住む ゆしま|ちょうめ|うらどおり|じゅもく|たに||すむ

小 普請 組   小笠原 順 三郎 支配 内 しょう|ふしん|くみ|おがさはら|じゅん|さぶろう|しはい|うち

橘 恭 太郎 で ございます たちばな|きよう|たろう||

3 人 の 見知らぬ 者 に 襲わ れ じん||みしらぬ|もの||おそわ|

供 の 者 は   斬ら れて しまい … とも||もの||きら||

橘 殿   どう な すった !? しっかり なされ たちばな|しんがり|||||

( 家臣 B ) お 主 は   何 を して おる かしん|b||おも||なん|||

( 家臣 C ) 奇 態 なな り を して おる が 西洋 人 か !? かしん|c|き|なり|||||||せいよう|じん|

私 は   医者 です ( A ) 蘭 方 医 か ? わたくし||いしゃ||a|らん|かた|い|

この 人 は   急性 硬 膜 外 血 腫 の 可能 性 が 高い |じん||きゅうせい|かた|まく|がい|ち|しゅ||かのう|せい||たかい

30 分 から   最長 1 時間 以内 に オペ し なければ 手遅れに なり ます ぶん||さいちょう|じかん|いない|||||ておくれに||

オ   オペ ? 何 を 言って おる のだ   そのほう は ||なん||いって|||その ほう|

とにかく   一刻 も 早く 彼 を 運んで ください |いっこく||はやく|かれ||はこんで|

〈 これ は   夢 か ?〉 ||ゆめ|

〈 だ と したら   なんて 長い 〉 ||||ながい

〈 生々しい 夢 な んだろう 〉 なまなましい|ゆめ||

≪ さあ   ここ へ

忠 兵衛   恭 太郎 ! ただし|ひょうえ|きよう|たろう

何故   このような こと に … なぜ|||

兄 上 ! ( 栄 ) 咲   何 か   かける もの を … あに|うえ|さかい|さ|なん||||

そのまま   部屋 の 中 へ 運んで ください |へや||なか||はこんで|