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銀河英雄伝説 01黎明篇, 第一章 永遠の夜のなかで (4)

第 一 章 永遠 の 夜 の なか で (4)

金銭 は 懐中 を 、 美術 品 は 心 を 、 それぞれ ゆたかに して くれる ぞ 」

と は 言う もの の 、 父親 は 息子 に 自分 の 事業 や 趣味 を おしつける こと は なかった ので 、 ヤン ・ ウェンリー は ますます 歴史 に のめりこんで いった 。

彼 が 一六 歳 に なる 数 日 前 、 父親 の ヤン ・ タイロン が 死んだ 。 宇宙 船 の 核 融合 炉 に 事故 が 生じた 結果 である 。 息子 は ハイネセン 記念 大学 の 歴史 学科 を 受験 する こと に 決めて 、 父親 に 承諾 を えた ばかりだった 。

「…… まあ 、 いい か 。 歴史 で 金銭 儲け した 奴 が ひと り も い なかった わけじゃ ない 」

そういう 表現 で 、 父親 は 息子 が 好きな 道 を 歩む こと に 承諾 を あたえた 。

「 金銭 は けっして 軽蔑 す べき もの じゃ ない ぞ 。 これ が あれば いやな 奴 に 頭 を さげ ず に すむ し 、 生活 の ため に 節 を 曲げる こと も ない 。 政治 家 と おなじで な 、 こちら が きちんと コントロール して 独走 さ せ なければ いい のだ 」

ヤン ・ タイロン が 四八 年 の 生涯 で 遣した もの は 、 息子 と 、 交易 会社 と 、 そして 膨大な 美術 品 であった 。

ヤン ・ ウェンリー は 父親 の 葬儀 を 終える と 、 相続 やら 税金 やら の 俗 事 に おわ れた 。 そして 、 とんでもない 事実 を 知る こと に なった 。 父親 が 生前 、 熱心に 収集 して いた 美術 品 の ほとんど 全部 が 偽物 だった のである 。

エトルリア の 壺 と やら も 、 ロココ 様式 の 肖像 画 と やら も 、 漢 帝国 の 銅 馬 と やら も 、 すべて 、「 一 ディナール の 価値 も ありません 」 と 、 政府 公認 鑑定 家 の 無情な 託 宣 が くだった のだった 。 それ だけ で は ない 。 父親 が 生前 、 会社 に 有して いた 権利 は 借金 の 抵当 に は いって いた のだ 。 けっきょく 、 ヤン は がらくた の 山 と ともに 路頭 に 放りだされて しまった 。 吐息 まじり の 苦笑 と ともに 、 幼年 の ころ と おなじく 、 ヤン は 自分 の 境遇 を うけいれた 。 あの 辣腕 家 であった 父 が 、 好きな 美術 品 に かぎって 鑑定 眼 を 欠いて いた 、 と いう 事実 は 、 彼 を むしろ おかし がら せた 。 万が一 、 承知 の うえ で 贋作 を 集めて いた と すれば 、 それ も 父 らしい こと である ように 思えた 。 会社 の ほう は と いえば 、 最初 から 事業 を うけつぐ 気 など 、 ヤン に は なかった から 、 いっこうに かまわ なかった 。

それ でも なおかつ 困難 は 存在 した 。 上級 学校 へ すすむ べき 学資 すら 、 ヤン の 手 もと に は 残って い なかった のである 。

銀河 帝国 と の 慢性 的な 戦争 状態 は 、 巨額の 軍事 支出 に よる 国家 予算 の 圧迫 を 生み 、 直接 戦争 に 寄与 し ない 人文 科学 関係 の 教育 予算 は 削減 さ れる いっぽう だった 。 奨学 金 を 獲得 する の は むずかしい 。 どこ か 、 ただ で 歴史 学 を 修める こと の 可能な 学校 は ない もの だろう か …… あった 。

国防 軍 士官 学校 戦史 研究 科 が それ だった 。 ヤン は 提出 期限 まぎわ に 願書 を だし 、 受験 の 結果 、 首席 から は ほど遠い 成績 ながら も なんとか 合格 した 。

Ⅴ このように 、 ヤン ・ ウェンリー が 士官 学校 に 入学 した の は まったく の 方便 から だった 。 愛国 心 や 好 戦 性 と は 無縁な ところ で 彼 の 進路 は 決定 さ れた のである 。

彼 は 父 譲り の がらくた を 大部分 は 捨てて しまった が 、 一部 は 貸 倉庫 に あずけ 、 文字どおり 手ぶらで 士官 学校 の 寮 に はいった 。

動機 が 動機 であった から 、 ヤン が 優等 生 で あり える はず は なかった 。 彼 は 戦史 と その 背景 と なる 広 汎 な 歴史 と は 熱心に 学んだ が 、 ほか の 課目 は 可能な かぎり 手 を ぬいた 。 ことに 射撃 や 戦闘 艇 操縦 や 機関 工学 など 、 興味 の ない 課目 で は 、 落第 点 すれすれ の 成績 を とって 平然と して いた 。

落第 点 など とれば 放 校 さ れる お それ が ある し 、 そう で なくて も 再 試験 で 時間 を 奪わ れる かも しれ ない 。 要は 落第 さえ しなければ いい のだ 。 彼 の 目標 は 統合 作戦 本 部長 でも 宇宙 艦隊 司令 長官 でも 幕僚 総監 でも なく 、 戦史 編纂 室 の 研究 員 だった 。 軍人 と して の 出世 に は まるで 興味 が なかった 。

戦史 研究 の 成果 だけ は 抜群 、 実技 方面 の それ は 超 低空 飛行 、 合計 する と 平均 点 そのもの 、 と いう ヤン は 、 戦略 戦術 シミュレーション の 成績 は 悪く なかった 。 これ は コンピューター を 使った 学生 どうし の 対戦 で 成績 が 決定 さ れる のだ が 、 教官 たち を 驚かせた の は 、 一〇 年 来 の 秀才 と 称されて いた 学年 首席 の ワイドボーン を 、 ヤン が 撃破 して しまった こと である 。 ヤン は 全 兵力 を 一 点 に 集結 して 相手 の 補給 線 を 断って しまう と 、 あと は 防戦 いっぽう に まわった 。 ワイドボーン は さまざまな 戦術 を 駆使 して ヤン の 陣営 深く 攻めこんだ が 、 補給 が とだえた ため 、 退却 せ ざる を え なかった のだ 。 コンピューター の 判定 、 教官 の 採点 、 いずれ も ヤン の 勝利 だった 。

プライド を 傷つけ られた ワイドボーン は いきりたって 叫んだ 。

「 まともに 正面 から 戦って いれば 、 おれ の ほう が 勝って いた んだ ! 奴 は 逃げまわって いた だけ じゃ ない か 」

ヤン は 反論 し なかった 。 彼 と して は 機関 工学 の 不 成績 を こちら の 課目 で 補う こと が できた ので 、 充分に 満足だった のだ 。

しかし 、 その 満足 も 長く は つづか なかった 。

二 年次 の 終わり に ヤン は 教官 に 呼ば れ 、 戦略 研究 科 へ の 転 科 を 命ぜ られた のである 。

「 きみ だけ じゃ ない のだ 」

教官 は なだめた 。

「 戦史 研究 科 そのもの が 廃止 さ れる ので ね 、 学科 生 全員 が ほか の 科 へ 転じる こと に なる 。 きみ に は シミュレーション で あの ワイドボーン を 破った 実績 が ある 。 特性 を 生かす ため に も 、 きみ は 転 科した ほう が いい 」

「 私 は 戦史 を 学び たくて 士官 学校 に は いった のです 。 学生 を 募集 して おいて 、 卒業 する 前 に 科 を 廃止 する なんて 、 フェア じゃ ない と 思います 」 「 ヤン 候補 生 、 きみ は まだ 現役 で は ない が 、 この 学校 に は いった 時点 で 軍人 と なって いる のだ 。 下 士官 待遇 のな 。 軍人 である 以上 、 命令 に したがわ ねば なら ん のだ よ 」

「…………」

「 だいいち 、 これ は きみ に とって 悪い 話 で は ない はずだ 。 戦略 研究 科 は 秀才 ぞろい の 学科 だ 。 戦略 研究 科 を 志望 して 失敗 した 者 が ほか の 科 へ 流れる 。 それ が 現実 な んだ から な 。 この 流れ が 逆に なる なんて 、 めったに ない 」

「 光栄な こと です 。 私 は もともと 秀才 なんか じゃ ありません 」 「 皮肉 を 言う な 。 いや 、 もちろん 、 いや なら 辞める 権利 が きみ に は ある 。 しかし それ に は 、 現在 まで の 学資 を 返還 し なきゃ なら ん ぞ 。 軍人 に なる 者 だけ が ただ で 学べる のだ 」

ヤン は 天 を 仰いだ 。 金銭 に かんして 亡父 が 言って いた こと を 想起 し ない で は い られ なかった 。 まったく 、 人 は 人 である と いう こと じたい で 自由に はなれ ない もの だ 。

二〇 歳 の とき 、 ヤン は 戦略 研究 科 を 平凡な 成績 で 卒業 し 、 少尉 に 任官 した 。 一 年 後 に 中尉 に 昇進 した が 、 士官 学校 卒業 生 は それ が 普通で 、 とくに ヤン の 勤務 成績 が 優秀だった わけで は ない 。 配属 さ れた の が 統合 作戦 本部 の 記録 統計 室 と いう 部署 で は 、 武 勲 の たてよう も なかった わけだ が 、 古い 記録 に 接する こと の できる 仕事 は ヤン に とって むしろ 喜ばしい こと だった 。

しかし 中尉 昇進 と 同時に 、 ヤン は 前線 勤務 を 命じられる 。 エル ・ ファシル 星 域 駐在 部隊 の 幕僚 と して 、 彼 は 任地 に おもむいた 。

「 ひと つ くるう と すべて が くるう もの だ な 」

若い 中尉 は 胸中 で そう つぶやいて いた 。

軍人 に なろう など と 積極 的に 考えた こと は 一 度 も ない のに 、 現在 自分 が 身 に 着けて いる もの は 、 白い 五 稜星 の マーク の ついた 黒い ベレー 、 襟 元 に アイボリー ・ ホワイト の スカーフ を おしこんだ 黒い ジャンパー 、 スカーフ と おなじ 色 の スラックス に 黒い 短 靴 …… ごく 機能 的に デザイン さ れた 軍服 な のである 。

その 年 、 宇宙 暦 七八八 年 に 生じた 〝 エル ・ ファシル の 戦い 〟 は ヤン ・ ウェンリー 中尉 の 人生 に 大きな 加速 度 を かけた 。

この 戦い は 自由 惑星 同盟 軍 に とって はなはだ 不名誉な かたち で 幕 を あけた 。 戦闘 そのもの は 敵 味方 と も 一〇〇〇 隻 前後 の 艦隊 を うごかし 、 たがいに 二 割 ほど の 損害 を うけて いちおう は 終わった 。 この 戦闘 で は ヤン は なにも し なかった 。 旗 艦 の 艦 橋 で 自分 の 席 に すわって 戦闘 を 見て いた だけ である 。 意見 を もとめ られ も し なかった 。

ところが 、 同盟 軍 は 帰 投 しよう と する その 背後 から 不意 の 攻撃 を うけた のである 。 帝国 軍 は みずから も 帰 投 する と みせかけ ながら 、 急速 反転 し 、 安心 して 背中 を みせた 同盟 軍 に 襲いかかった のだ 。

エネルギー ・ ビーム の 槍 が 暗黒の 宇宙 空間 を 切り裂き 、 超 ミニサイズ の 恒星 が 瞬間 的に ひらめいて は 消えさって いく 。 破壊 さ れた 艦艇 から エネルギー が 放出 さ れ 、 それ が 颶風 と なって ほか の 艦艇 を 翻弄 する 。 同盟 軍 司令 官 リンチ 少将 は 恐慌 を きたした のであろう 。 味方 の 混乱 を 静めよう と も せ ず 、 旗 艦 を 駆って エル ・ ファシル 本 星 に 逃げ 帰って しまった 。

指揮 官 の 逃亡 を 知った 同盟 軍 は 当然 、 戦意 を 喪失 し 、 それ まで 孤立 し ながら 眼前 の 敵 と 闘って いた 諸 艦 も 、 つぎつぎ と 艦 首 を ひるがえして 戦場 を 離脱 した 。 その なかば は 自主 的に 退路 を えらんで エル ・ ファシル 星 域 から 脱出 し 、 ほか の なかば は 旗 艦 を 追って エル ・ ファシル 本 星 に 逃げこんだ 。 逃げ遅れた 艦艇 の 運命 は 二 つ に 一 つ 、 完全に 破壊 さ れる か 、 降伏 する か 、 だった 。 ほとんど が 降伏 を えらんだ 。

エル ・ ファシル に 逃げこんだ 同盟 軍 の 残存 部隊 は 、 なお 艦艇 二〇〇 隻 、 将兵 五万 人 から の 兵力 を 擁して いた が 、 その後 帝国 軍 は 兵力 を 三 倍 に 増強 し 、 この 機 に 乗じて いっきょに エル ・ ファシル 星 域 を 〝 叛乱 軍 の 魔 手 から 解放 〟 しよう と はかった 。 エル ・ ファシル の 民間 人 三〇〇万 人 は 情況 の 切迫 に 戦慄 した 。 もはや エル ・ ファシル の 失 陥 は まぬがれ ないで あろう 。

彼ら は 軍部 に 交渉 して 、 民間 人 全員 の 脱出 計画 の 立案 と 遂行 を もとめた 。 彼ら の 前 に 責任 者 と して 姿 を あらわした の が ヤン ・ ウェンリー 中尉 だった 。

若 すぎる し 、 階級 も 低い 。 軍部 は 真剣に やる 気 が ある の か ? 民間 人 たち は 疑惑 を いだいた が 、 ヤン は たよりな げ に 頭 を かき ながら も 、 やる べき こと は やってのけた 。 帝国 軍 の 侵攻 が 迫った 混乱 の なか で 、 民間 船 と 軍用 船 を 調達 し 、 脱出 の 準備 を ととのえ させた のだ 。

そこ まで なら 、 有能な 軍人 であれば ヤン で なく と も やった だろう 。 ヤン は あせる 民間 人 たち を 抑えて 時機 を 待って いる ようだった 。

一 日 、 急報 が 人々 を 驚かせた 。 リンチ 司令 官 と 彼 の 直属 の 部下 たち が 民間 人 や ほか の 部下 を 見捨て 、 軍需 物資 を かかえて エル ・ ファシル 本 星 から 逃亡 し つつ ある と いう のだ 。 騒ぎたてる 人々 に 、 ヤン は ようやく 脱出 の 指示 を だした 。 リンチ 司令 官 と 反対の 方向 に だ 。

「 心配 いりません 。 司令 官 が 帝国 軍 の 注意 を ひきつけて くれます 。 レーダー 透過 装置 など つけ ず 、 太陽 風 に のって 悠々と 脱出 できます よ 」 若い 中尉 は 、 なんと 司令 官 を 囮 に 使った のである 。

彼 の 予言 は 的中 した 。


第 一 章 永遠 の 夜 の なか で (4) だい|ひと|しょう|えいえん||よ||| Chapter 1 In the Eternal Night (4)

金銭 は 懐中 を 、 美術 品 は 心 を 、 それぞれ ゆたかに して くれる ぞ 」 きんせん||かいちゅう||びじゅつ|しな||こころ|||||| Money will make your pocket, and art will make your heart warm. "

と は 言う もの の 、 父親 は 息子 に 自分 の 事業 や 趣味 を おしつける こと は なかった ので 、 ヤン ・ ウェンリー は ますます 歴史 に のめりこんで いった 。 ||いう|||ちちおや||むすこ||じぶん||じぎょう||しゅみ|||||||||||れきし||| That said, Yang Wen-li became more and more enthusiastic about history because his father never gave his son his business or hobbies.

彼 が 一六 歳 に なる 数 日 前 、 父親 の ヤン ・ タイロン が 死んだ 。 かれ||いちろく|さい|||すう|ひ|ぜん|ちちおや|||||しんだ 宇宙 船 の 核 融合 炉 に 事故 が 生じた 結果 である 。 うちゅう|せん||かく|ゆうごう|ろ||じこ||しょうじた|けっか| 息子 は ハイネセン 記念 大学 の 歴史 学科 を 受験 する こと に 決めて 、 父親 に 承諾 を えた ばかりだった 。 むすこ|||きねん|だいがく||れきし|がっか||じゅけん||||きめて|ちちおや||しょうだく||| The son had just given his father's consent, deciding to take the history department of the Heinesen Memorial University.

「…… まあ 、 いい か 。 "…… whatever . 歴史 で 金銭 儲け した 奴 が ひと り も い なかった わけじゃ ない 」 れきし||きんせん|もうけ||やつ|||||||| It's not that no one has made money in history. "

そういう 表現 で 、 父親 は 息子 が 好きな 道 を 歩む こと に 承諾 を あたえた 。 |ひょうげん||ちちおや||むすこ||すきな|どう||あゆむ|||しょうだく||

「 金銭 は けっして 軽蔑 す べき もの じゃ ない ぞ 。 きんせん|||けいべつ|||||| これ が あれば いやな 奴 に 頭 を さげ ず に すむ し 、 生活 の ため に 節 を 曲げる こと も ない 。 ||||やつ||あたま|||||||せいかつ||||せつ||まげる||| With this, you don't have to give your head to the unpleasant one, and you don't have to bend the knots for your life. 政治 家 と おなじで な 、 こちら が きちんと コントロール して 独走 さ せ なければ いい のだ 」 せいじ|いえ|||||||こんとろーる||どくそう||||| Just like a politician, I have to control it properly and let it run alone. "

ヤン ・ タイロン が 四八 年 の 生涯 で 遣した もの は 、 息子 と 、 交易 会社 と 、 そして 膨大な 美術 品 であった 。 |||しはち|とし||しょうがい||よこした|||むすこ||こうえき|かいしゃ|||ぼうだいな|びじゅつ|しな|

ヤン ・ ウェンリー は 父親 の 葬儀 を 終える と 、 相続 やら 税金 やら の 俗 事 に おわ れた 。 |||ちちおや||そうぎ||おえる||そうぞく||ぜいきん|||ぞく|こと||| When Yang Wen-li finished his father's funeral, he was overwhelmed by inheritance, taxes, and other affairs. そして 、 とんでもない 事実 を 知る こと に なった 。 ||じじつ||しる||| 父親 が 生前 、 熱心に 収集 して いた 美術 品 の ほとんど 全部 が 偽物 だった のである 。 ちちおや||せいぜん|ねっしんに|しゅうしゅう|||びじゅつ|しな|||ぜんぶ||にせもの||

エトルリア の 壺 と やら も 、 ロココ 様式 の 肖像 画 と やら も 、 漢 帝国 の 銅 馬 と やら も 、 すべて 、「 一 ディナール の 価値 も ありません 」 と 、 政府 公認 鑑定 家 の 無情な 託 宣 が くだった のだった 。 ||つぼ|||||ようしき||しょうぞう|が||||かん|ていこく||どう|うま|||||ひと|||かち||||せいふ|こうにん|かんてい|いえ||むじょうな|たく|のたま||| Etruscan vases, Rococo portraits, and Han empire copper horses were all "not worth a dinar," the ruthless proclamation of a government-certified appraiser. It was. それ だけ で は ない 。 父親 が 生前 、 会社 に 有して いた 権利 は 借金 の 抵当 に は いって いた のだ 。 ちちおや||せいぜん|かいしゃ||ゆうして||けんり||しゃっきん||ていとう||||| けっきょく 、 ヤン は がらくた の 山 と ともに 路頭 に 放りだされて しまった 。 |||||やま|||ろとう||ほうりだされて| 吐息 まじり の 苦笑 と ともに 、 幼年 の ころ と おなじく 、 ヤン は 自分 の 境遇 を うけいれた 。 といき|||くしょう|||ようねん|||||||じぶん||きょうぐう|| あの 辣腕 家 であった 父 が 、 好きな 美術 品 に かぎって 鑑定 眼 を 欠いて いた 、 と いう 事実 は 、 彼 を むしろ おかし がら せた 。 |らつわん|いえ||ちち||すきな|びじゅつ|しな|||かんてい|がん||かいて||||じじつ||かれ||||| The fact that his father, who was a savvy man, lacked an appraisal eye only for his favorite works of art made him rather crazy. 万が一 、 承知 の うえ で 贋作 を 集めて いた と すれば 、 それ も 父 らしい こと である ように 思えた 。 まんがいち|しょうち||||がんさく||あつめて||||||ちち||||よう に|おもえた In the unlikely event that he knew that he had collected forgery, it seemed like he was a father. 会社 の ほう は と いえば 、 最初 から 事業 を うけつぐ 気 など 、 ヤン に は なかった から 、 いっこうに かまわ なかった 。 かいしゃ||||||さいしょ||じぎょう|||き||||||||| Speaking of the company, I didn't care about it because I wasn't in Yang because I was willing to take on the business from the beginning.

それ でも なおかつ 困難 は 存在 した 。 |||こんなん||そんざい| 上級 学校 へ すすむ べき 学資 すら 、 ヤン の 手 もと に は 残って い なかった のである 。 じょうきゅう|がっこう||||がくし||||て||||のこって|||

銀河 帝国 と の 慢性 的な 戦争 状態 は 、 巨額の 軍事 支出 に よる 国家 予算 の 圧迫 を 生み 、 直接 戦争 に 寄与 し ない 人文 科学 関係 の 教育 予算 は 削減 さ れる いっぽう だった 。 ぎんが|ていこく|||まんせい|てきな|せんそう|じょうたい||きょがくの|ぐんじ|ししゅつ|||こっか|よさん||あっぱく||うみ|ちょくせつ|せんそう||きよ|||じんぶん|かがく|かんけい||きょういく|よさん||さくげん|||| The chronic state of war with the Galactic Empire created pressure on the national budget due to huge military spending, while reducing the education budget for the humanities, which did not directly contribute to the war. 奨学 金 を 獲得 する の は むずかしい 。 しょうがく|きむ||かくとく|||| どこ か 、 ただ で 歴史 学 を 修める こと の 可能な 学校 は ない もの だろう か …… あった 。 ||||れきし|まな||おさめる|||かのうな|がっこう||||||

国防 軍 士官 学校 戦史 研究 科 が それ だった 。 こくぼう|ぐん|しかん|がっこう|せんし|けんきゅう|か||| ヤン は 提出 期限 まぎわ に 願書 を だし 、 受験 の 結果 、 首席 から は ほど遠い 成績 ながら も なんとか 合格 した 。 ||ていしゅつ|きげん|||がんしょ|||じゅけん||けっか|しゅせき|||ほどとおい|せいせき||||ごうかく| Yang submitted an application shortly before the deadline for submission, and as a result of taking the examination, he managed to pass the examination, although he was far from the chief.

Ⅴ このように 、 ヤン ・ ウェンリー が 士官 学校 に 入学 した の は まったく の 方便 から だった 。 このよう に||||しかん|がっこう||にゅうがく||||||ほうべん|| 愛国 心 や 好 戦 性 と は 無縁な ところ で 彼 の 進路 は 決定 さ れた のである 。 あいこく|こころ||よしみ|いくさ|せい|||むえんな|||かれ||しんろ||けってい|||

彼 は 父 譲り の がらくた を 大部分 は 捨てて しまった が 、 一部 は 貸 倉庫 に あずけ 、 文字どおり 手ぶらで 士官 学校 の 寮 に はいった 。 かれ||ちち|ゆずり||||だいぶぶん||すてて|||いちぶ||かし|そうこ|||もじどおり|てぶらで|しかん|がっこう||りょう||

動機 が 動機 であった から 、 ヤン が 優等 生 で あり える はず は なかった 。 どうき||どうき|||||ゆうとう|せい|||||| 彼 は 戦史 と その 背景 と なる 広 汎 な 歴史 と は 熱心に 学んだ が 、 ほか の 課目 は 可能な かぎり 手 を ぬいた 。 かれ||せんし|||はいけい|||ひろ|ひろし||れきし|||ねっしんに|まなんだ||||かもく||かのうな||て|| ことに 射撃 や 戦闘 艇 操縦 や 機関 工学 など 、 興味 の ない 課目 で は 、 落第 点 すれすれ の 成績 を とって 平然と して いた 。 |しゃげき||せんとう|てい|そうじゅう||きかん|こうがく||きょうみ|||かもく|||らくだい|てん|||せいせき|||へいぜんと|| Especially in the subjects that I was not interested in, such as shooting, combat boat maneuvering, and engine engineering, I was calm with the results of the failure points.

落第 点 など とれば 放 校 さ れる お それ が ある し 、 そう で なくて も 再 試験 で 時間 を 奪わ れる かも しれ ない 。 らくだい|てん|||はな|こう||||||||||||さい|しけん||じかん||うばわ|||| If you fail, you may be released from school, or you may lose time in the re-examination. 要は 落第 さえ しなければ いい のだ 。 ようは|らくだい|||| The point is that you don't have to fail. 彼 の 目標 は 統合 作戦 本 部長 でも 宇宙 艦隊 司令 長官 でも 幕僚 総監 でも なく 、 戦史 編纂 室 の 研究 員 だった 。 かれ||もくひょう||とうごう|さくせん|ほん|ぶちょう||うちゅう|かんたい|しれい|ちょうかん||ばくりょう|そうかん|||せんし|へんさん|しつ||けんきゅう|いん| 軍人 と して の 出世 に は まるで 興味 が なかった 。 ぐんじん||||しゅっせ||||きょうみ||

戦史 研究 の 成果 だけ は 抜群 、 実技 方面 の それ は 超 低空 飛行 、 合計 する と 平均 点 そのもの 、 と いう ヤン は 、 戦略 戦術 シミュレーション の 成績 は 悪く なかった 。 せんし|けんきゅう||せいか|||ばつぐん|じつぎ|ほうめん||||ちょう|ていくう|ひこう|ごうけい|||へいきん|てん|その もの|||||せんりゃく|せんじゅつ|しみゅれーしょん||せいせき||わるく| Only the results of the war history research were outstanding, and in the practical field, it was an ultra-low flight, and the average score itself in total, Yang said, the results of the strategic tactical simulation were not bad. これ は コンピューター を 使った 学生 どうし の 対戦 で 成績 が 決定 さ れる のだ が 、 教官 たち を 驚かせた の は 、 一〇 年 来 の 秀才 と 称されて いた 学年 首席 の ワイドボーン を 、 ヤン が 撃破 して しまった こと である 。 ||こんぴゅーたー||つかった|がくせい|どう し||たいせん||せいせき||けってい|||||きょうかん|||おどろかせた|||ひと|とし|らい||しゅうさい||そやされて||がくねん|しゅせき||||||げきは|||| ヤン は 全 兵力 を 一 点 に 集結 して 相手 の 補給 線 を 断って しまう と 、 あと は 防戦 いっぽう に まわった 。 ||ぜん|へいりょく||ひと|てん||しゅうけつ||あいて||ほきゅう|せん||たって|||||ぼうせん||| When Yang gathered all his troops at one point and cut off the supply line of the other party, he turned to defense. ワイドボーン は さまざまな 戦術 を 駆使 して ヤン の 陣営 深く 攻めこんだ が 、 補給 が とだえた ため 、 退却 せ ざる を え なかった のだ 。 |||せんじゅつ||くし||||じんえい|ふかく|せめこんだ||ほきゅう||||たいきゃく|||||| Wideborn used a variety of tactics to attack Yang's camp deeply, but was forced to retreat due to the lack of supply. コンピューター の 判定 、 教官 の 採点 、 いずれ も ヤン の 勝利 だった 。 こんぴゅーたー||はんてい|きょうかん||さいてん|||||しょうり|

プライド を 傷つけ られた ワイドボーン は いきりたって 叫んだ 。 ぷらいど||きずつけ|||||さけんだ

「 まともに 正面 から 戦って いれば 、 おれ の ほう が 勝って いた んだ ! |しょうめん||たたかって||||||かって|| 奴 は 逃げまわって いた だけ じゃ ない か 」 やつ||にげまわって|||||

ヤン は 反論 し なかった 。 ||はんろん|| 彼 と して は 機関 工学 の 不 成績 を こちら の 課目 で 補う こと が できた ので 、 充分に 満足だった のだ 。 かれ||||きかん|こうがく||ふ|せいせき||||かもく||おぎなう|||||じゅうぶんに|まんぞくだった|

しかし 、 その 満足 も 長く は つづか なかった 。 ||まんぞく||ながく|||

二 年次 の 終わり に ヤン は 教官 に 呼ば れ 、 戦略 研究 科 へ の 転 科 を 命ぜ られた のである 。 ふた|ねんじ||おわり||||きょうかん||よば||せんりゃく|けんきゅう|か|||てん|か||めいぜ||

「 きみ だけ じゃ ない のだ 」

教官 は なだめた 。 きょうかん||

「 戦史 研究 科 そのもの が 廃止 さ れる ので ね 、 学科 生 全員 が ほか の 科 へ 転じる こと に なる 。 せんし|けんきゅう|か|その もの||はいし|||||がっか|せい|ぜんいん||||か||てんじる||| きみ に は シミュレーション で あの ワイドボーン を 破った 実績 が ある 。 |||しみゅれーしょん|||||やぶった|じっせき|| 特性 を 生かす ため に も 、 きみ は 転 科した ほう が いい 」 とくせい||いかす||||||てん|かした|||

「 私 は 戦史 を 学び たくて 士官 学校 に は いった のです 。 わたくし||せんし||まなび||しかん|がっこう|||| 学生 を 募集 して おいて 、 卒業 する 前 に 科 を 廃止 する なんて 、 フェア じゃ ない と 思います 」 がくせい||ぼしゅう|||そつぎょう||ぜん||か||はいし|||ふぇあ||||おもいます 「 ヤン 候補 生 、 きみ は まだ 現役 で は ない が 、 この 学校 に は いった 時点 で 軍人 と なって いる のだ 。 |こうほ|せい||||げんえき||||||がっこう||||じてん||ぐんじん|||| "Candidate Yang, you are not yet active, but by the time you entered this school, you were a soldier. 下 士官 待遇 のな 。 した|しかん|たいぐう| 軍人 である 以上 、 命令 に したがわ ねば なら ん のだ よ 」 ぐんじん||いじょう|めいれい||||||| As long as you are a soldier, you have to obey your orders. "

「…………」

「 だいいち 、 これ は きみ に とって 悪い 話 で は ない はずだ 。 ||||||わるい|はなし|||| 戦略 研究 科 は 秀才 ぞろい の 学科 だ 。 せんりゃく|けんきゅう|か||しゅうさい|||がっか| The Department of Strategic Studies is a department of talented people. 戦略 研究 科 を 志望 して 失敗 した 者 が ほか の 科 へ 流れる 。 せんりゃく|けんきゅう|か||しぼう||しっぱい||もの||||か||ながれる それ が 現実 な んだ から な 。 ||げんじつ|||| この 流れ が 逆に なる なんて 、 めったに ない 」 |ながれ||ぎゃくに||||

「 光栄な こと です 。 こうえいな|| 私 は もともと 秀才 なんか じゃ ありません 」 わたくし|||しゅうさい||| 「 皮肉 を 言う な 。 ひにく||いう| いや 、 もちろん 、 いや なら 辞める 権利 が きみ に は ある 。 ||||やめる|けんり||||| しかし それ に は 、 現在 まで の 学資 を 返還 し なきゃ なら ん ぞ 。 ||||げんざい|||がくし||へんかん||||| However, in order to do so, I have to return the tuition fees up to now. 軍人 に なる 者 だけ が ただ で 学べる のだ 」 ぐんじん|||もの|||||まなべる| Only those who become military personnel can learn for free. "

ヤン は 天 を 仰いだ 。 ||てん||あおいだ 金銭 に かんして 亡父 が 言って いた こと を 想起 し ない で は い られ なかった 。 きんせん|||ぼうふ||いって||||そうき||||||| I couldn't help but remember what my late father was saying about money. まったく 、 人 は 人 である と いう こと じたい で 自由に はなれ ない もの だ 。 |じん||じん|||||||じゆうに|||| At all, a person cannot be free because he is a person.

二〇 歳 の とき 、 ヤン は 戦略 研究 科 を 平凡な 成績 で 卒業 し 、 少尉 に 任官 した 。 ふた|さい|||||せんりゃく|けんきゅう|か||へいぼんな|せいせき||そつぎょう||しょうい||にんかん| 一 年 後 に 中尉 に 昇進 した が 、 士官 学校 卒業 生 は それ が 普通で 、 とくに ヤン の 勤務 成績 が 優秀だった わけで は ない 。 ひと|とし|あと||ちゅうい||しょうしん|||しかん|がっこう|そつぎょう|せい||||ふつうで||||きんむ|せいせき||ゆうしゅうだった||| He was promoted to lieutenant a year later, but that was normal for military academy graduates, and Yang's work performance was not particularly good. 配属 さ れた の が 統合 作戦 本部 の 記録 統計 室 と いう 部署 で は 、 武 勲 の たてよう も なかった わけだ が 、 古い 記録 に 接する こと の できる 仕事 は ヤン に とって むしろ 喜ばしい こと だった 。 はいぞく|||||とうごう|さくせん|ほんぶ||きろく|とうけい|しつ|||ぶしょ|||ぶ|いさお|||||||ふるい|きろく||せっする||||しごと||||||よろこばしい|| Although I was assigned to a department called the Records and Statistics Office of the Joint Operations Headquarters, I couldn't do anything about it, but the job of being able to access old records was rather pleasing to Yang. ..

しかし 中尉 昇進 と 同時に 、 ヤン は 前線 勤務 を 命じられる 。 |ちゅうい|しょうしん||どうじに|||ぜんせん|きんむ||めいじられる エル ・ ファシル 星 域 駐在 部隊 の 幕僚 と して 、 彼 は 任地 に おもむいた 。 ||ほし|いき|ちゅうざい|ぶたい||ばくりょう|||かれ||にんち|| As a staff member of the El Facil expatriate unit, he settled in his post.

「 ひと つ くるう と すべて が くるう もの だ な 」 "Everything is round and round."

若い 中尉 は 胸中 で そう つぶやいて いた 。 わかい|ちゅうい||きょうちゅう||||

軍人 に なろう など と 積極 的に 考えた こと は 一 度 も ない のに 、 現在 自分 が 身 に 着けて いる もの は 、 白い 五 稜星 の マーク の ついた 黒い ベレー 、 襟 元 に アイボリー ・ ホワイト の スカーフ を おしこんだ 黒い ジャンパー 、 スカーフ と おなじ 色 の スラックス に 黒い 短 靴 …… ごく 機能 的に デザイン さ れた 軍服 な のである 。 ぐんじん|||||せっきょく|てきに|かんがえた|||ひと|たび||||げんざい|じぶん||み||つけて||||しろい|いつ|りょうほし|||||くろい||えり|もと|||ほわいと||すかーふ|||くろい|じゃんぱー|すかーふ|||いろ||すらっくす||くろい|みじか|くつ||きのう|てきに|でざいん|||ぐんぷく||

その 年 、 宇宙 暦 七八八 年 に 生じた 〝 エル ・ ファシル の 戦い 〟 は ヤン ・ ウェンリー 中尉 の 人生 に 大きな 加速 度 を かけた 。 |とし|うちゅう|こよみ|しちはちはち|とし||しょうじた||||たたかい||||ちゅうい||じんせい||おおきな|かそく|たび||

この 戦い は 自由 惑星 同盟 軍 に とって はなはだ 不名誉な かたち で 幕 を あけた 。 |たたかい||じゆう|わくせい|どうめい|ぐん||||ふめいよな|||まく|| This battle began in a very disgraceful way for the Free Planet Alliance Army. 戦闘 そのもの は 敵 味方 と も 一〇〇〇 隻 前後 の 艦隊 を うごかし 、 たがいに 二 割 ほど の 損害 を うけて いちおう は 終わった 。 せんとう|その もの||てき|みかた|||ひと|せき|ぜんご||かんたい||||ふた|わり|||そんがい|||||おわった The battle itself was over, with the enemy and ally moving around a fleet of around 100,000 ships, each suffering about 20% of the damage. この 戦闘 で は ヤン は なにも し なかった 。 |せんとう||||||| Yang did nothing in this battle. 旗 艦 の 艦 橋 で 自分 の 席 に すわって 戦闘 を 見て いた だけ である 。 き|かん||かん|きょう||じぶん||せき|||せんとう||みて||| 意見 を もとめ られ も し なかった 。 いけん||||||

ところが 、 同盟 軍 は 帰 投 しよう と する その 背後 から 不意 の 攻撃 を うけた のである 。 |どうめい|ぐん||かえ|とう|||||はいご||ふい||こうげき||| 帝国 軍 は みずから も 帰 投 する と みせかけ ながら 、 急速 反転 し 、 安心 して 背中 を みせた 同盟 軍 に 襲いかかった のだ 。 ていこく|ぐん||||かえ|とう|||||きゅうそく|はんてん||あんしん||せなか|||どうめい|ぐん||おそいかかった|

エネルギー ・ ビーム の 槍 が 暗黒の 宇宙 空間 を 切り裂き 、 超 ミニサイズ の 恒星 が 瞬間 的に ひらめいて は 消えさって いく 。 えねるぎー|||やり||あんこくの|うちゅう|くうかん||きりさき|ちょう|||こうせい||しゅんかん|てきに|||きえさって| 破壊 さ れた 艦艇 から エネルギー が 放出 さ れ 、 それ が 颶風 と なって ほか の 艦艇 を 翻弄 する 。 はかい|||かんてい||えねるぎー||ほうしゅつ|||||ぐふう|||||かんてい||ほんろう| 同盟 軍 司令 官 リンチ 少将 は 恐慌 を きたした のであろう 。 どうめい|ぐん|しれい|かん|りんち|しょうしょう||きょうこう||| 味方 の 混乱 を 静めよう と も せ ず 、 旗 艦 を 駆って エル ・ ファシル 本 星 に 逃げ 帰って しまった 。 みかた||こんらん||しずめよう|||||き|かん||かって|||ほん|ほし||にげ|かえって|

指揮 官 の 逃亡 を 知った 同盟 軍 は 当然 、 戦意 を 喪失 し 、 それ まで 孤立 し ながら 眼前 の 敵 と 闘って いた 諸 艦 も 、 つぎつぎ と 艦 首 を ひるがえして 戦場 を 離脱 した 。 しき|かん||とうぼう||しった|どうめい|ぐん||とうぜん|せんい||そうしつ||||こりつ|||がんぜん||てき||たたかって||しょ|かん||||かん|くび|||せんじょう||りだつ| その なかば は 自主 的に 退路 を えらんで エル ・ ファシル 星 域 から 脱出 し 、 ほか の なかば は 旗 艦 を 追って エル ・ ファシル 本 星 に 逃げこんだ 。 |||じしゅ|てきに|たいろ|||||ほし|いき||だっしゅつ||||||き|かん||おって|||ほん|ほし||にげこんだ 逃げ遅れた 艦艇 の 運命 は 二 つ に 一 つ 、 完全に 破壊 さ れる か 、 降伏 する か 、 だった 。 にげおくれた|かんてい||うんめい||ふた|||ひと||かんぜんに|はかい||||こうふく||| ほとんど が 降伏 を えらんだ 。 ||こうふく||

エル ・ ファシル に 逃げこんだ 同盟 軍 の 残存 部隊 は 、 なお 艦艇 二〇〇 隻 、 将兵 五万 人 から の 兵力 を 擁して いた が 、 その後 帝国 軍 は 兵力 を 三 倍 に 増強 し 、 この 機 に 乗じて いっきょに エル ・ ファシル 星 域 を 〝 叛乱 軍 の 魔 手 から 解放 〟 しよう と はかった 。 |||にげこんだ|どうめい|ぐん||ざんそん|ぶたい|||かんてい|ふた|せき|しょうへい|ごまん|じん|||へいりょく||ようして|||そのご|ていこく|ぐん||へいりょく||みっ|ばい||ぞうきょう|||き||じょうじて||||ほし|いき||はんらん|ぐん||ま|て||かいほう||| エル ・ ファシル の 民間 人 三〇〇万 人 は 情況 の 切迫 に 戦慄 した 。 |||みんかん|じん|みっ|よろず|じん||じょうきょう||せっぱく||せんりつ| もはや エル ・ ファシル の 失 陥 は まぬがれ ないで あろう 。 ||||うしな|おちい||||

彼ら は 軍部 に 交渉 して 、 民間 人 全員 の 脱出 計画 の 立案 と 遂行 を もとめた 。 かれら||ぐんぶ||こうしょう||みんかん|じん|ぜんいん||だっしゅつ|けいかく||りつあん||すいこう|| 彼ら の 前 に 責任 者 と して 姿 を あらわした の が ヤン ・ ウェンリー 中尉 だった 。 かれら||ぜん||せきにん|もの|||すがた|||||||ちゅうい|

若 すぎる し 、 階級 も 低い 。 わか|||かいきゅう||ひくい 軍部 は 真剣に やる 気 が ある の か ? ぐんぶ||しんけんに||き|||| 民間 人 たち は 疑惑 を いだいた が 、 ヤン は たよりな げ に 頭 を かき ながら も 、 やる べき こと は やってのけた 。 みんかん|じん|||ぎわく|||||||||あたま||||||||| 帝国 軍 の 侵攻 が 迫った 混乱 の なか で 、 民間 船 と 軍用 船 を 調達 し 、 脱出 の 準備 を ととのえ させた のだ 。 ていこく|ぐん||しんこう||せまった|こんらん||||みんかん|せん||ぐんよう|せん||ちょうたつ||だっしゅつ||じゅんび|||さ せた|

そこ まで なら 、 有能な 軍人 であれば ヤン で なく と も やった だろう 。 |||ゆうのうな|ぐんじん|||||||| ヤン は あせる 民間 人 たち を 抑えて 時機 を 待って いる ようだった 。 |||みんかん|じん|||おさえて|じき||まって||

一 日 、 急報 が 人々 を 驚かせた 。 ひと|ひ|きゅうほう||ひとびと||おどろかせた リンチ 司令 官 と 彼 の 直属 の 部下 たち が 民間 人 や ほか の 部下 を 見捨て 、 軍需 物資 を かかえて エル ・ ファシル 本 星 から 逃亡 し つつ ある と いう のだ 。 りんち|しれい|かん||かれ||ちょくぞく||ぶか|||みんかん|じん||||ぶか||みすて|ぐんじゅ|ぶっし|||||ほん|ほし||とうぼう|||||| 騒ぎたてる 人々 に 、 ヤン は ようやく 脱出 の 指示 を だした 。 さわぎたてる|ひとびと|||||だっしゅつ||しじ|| リンチ 司令 官 と 反対の 方向 に だ 。 りんち|しれい|かん||はんたいの|ほうこう||

「 心配 いりません 。 しんぱい| 司令 官 が 帝国 軍 の 注意 を ひきつけて くれます 。 しれい|かん||ていこく|ぐん||ちゅうい||| レーダー 透過 装置 など つけ ず 、 太陽 風 に のって 悠々と 脱出 できます よ 」 れーだー|とうか|そうち||||たいよう|かぜ|||ゆうゆうと|だっしゅつ|| 若い 中尉 は 、 なんと 司令 官 を 囮 に 使った のである 。 わかい|ちゅうい|||しれい|かん||おとり||つかった|

彼 の 予言 は 的中 した 。 かれ||よげん||てきちゅう|