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百物語 - Yōkai​ Stories, 血 染め の 足型

血 染め の 足型

血 染め の 足型

むかし むかし 、 高知県 南国市 の 篠原 ( しのはら ) と いう 所 に 、 渋谷権右衛門 ( しぶやごんえもん ) と いう 郷 士 ( ごうし → 武士 で あり ながら 、 農村 で 農家 を する 人 ) が い ました 。 その 渋谷 の 家 に は 、 お 春 と いう 娘 が 女 中 奉公 を して い ます 。 お 春 は とても 美しく 、 とても よく 働く 気 だて の 良い 娘 だった ので 、 主人 の 弟 の 藤 四郎 ( とうし ろう ) と いう 若者 が 、 お 春 を 嫁 に し たい と 言って きた のです 。 ところが お 春 に は 、 すでに 結婚 の 約束 を して いる 男 の 人 が い ました 。 愛し の お 春 に 断ら れた 藤 四郎 は 、 「 おのれ 、 お 春 め ・・・」 と 、 恋 の うらみ から 、 好きだった お 春 を にくむ 様 に なり ました 。

そんな ある 日 の 事 、 お 春 が 渋谷 家 に 伝わる 家宝 の 皿 を 洗って いる と 、 藤 四郎 が お 春 に 用事 を 言いつけ ました 。 その 用事 は 大した 物 で は なく 、 お 春 は 用事 を 済ませる と すぐに 帰って 来た のです が 、 でも その すきに 藤 四郎 が 洗い かけ の 家宝 の 皿 を 一 枚 盗んで 、 どこ か へ と 隠して しまった のです 。

皿 が 一 枚 足りない 事 に 気づいた お 春 は 、 まっ 青 な 顔 で 皿 が なくなった 事 を 主人 の 渋谷 権 右 衛 門 に 報告 し ました 。 「 何 だ と ! あの 皿 一 枚 は 、 お前 の 命 より も 価値 が ある のだ ぞ ! 」 ひどく 怒った 渋谷 権 右 衛 門 は 、 お 春 を 殺して しまい ました 。

それ から です 。 この 屋敷 で 、 怪しい 事 が 起り 始めた の は 。 まずは 夜中 に なる と 、 どこ から と も なく 若い 女 の 皿 を 数える 声 が 聞こえて き ます 。 「・・・一 枚 、・・・二 枚 、・・・三 枚 、・・・」 そして 最後 の 一 枚 足りない と 、 しぼり出す ような 声 で 泣く のです 。 「 う う っ 、 足りない 。 一 枚 、 足りない 。 どうして ? どうして な の ? わたし は 、 なく して い ない のに ・・・」 その 声 に 悩ま さ れた 藤 四郎 は 高い 熱 を 出して 何 日 も もがき 苦しみ 、 とうとう お 春 の 殺さ れた 場所 で 死んで しまい ました 。 する と 不思議な 事 に 、 二 人 が 死んだ その 場所 に 、 お 春 の 物 と 思わ れる 血 染め の 足型 が 浮かび上がった のです 。 主人 の 権 右 衛 門 は 家 の 者 に 命じて 、 すぐに 血 染め の 足型 を ふき取ら せ ました 。 しかし 次の 日 に なる と 、 血 染め の 足型 が また 現れ ました 。 血 染め の 足 形 は 何度 ふき取ら せて も 、 次の 日 に なる と 再び 浮かび上がり ます 。 これ に は さすが の 権 右 衛 門 も 怖く なり 、 屋敷 の 西 に 『 春喜 ( はる き ) さま 』 と 呼ば れる 祠 を 建てて 、 お 春 の 霊 を まつった そうです 。

おしまい

血 染め の 足型 ち|しめ||あしがた Blutverschmierte Fußabdrücke. blood-stained footprints Huellas manchadas de sangre. Des empreintes de pas tachées de sang. Impronte di piedi macchiati di sangue 핏빛 발 모양 Pegadas manchadas de sangue. Кровавые следы. Kan lekeli ayak izleri 血迹斑斑的脚印 血迹脚印 血跡腳印

血 染め の 足型 ち|しめ||あしがた Blood-dyed foot type

むかし むかし 、 高知県 南国市 の 篠原 ( しのはら ) と いう 所 に 、 渋谷権右衛門 ( しぶやごんえもん ) と いう 郷 士 ( ごうし → 武士 で あり ながら 、 農村 で 農家 を する 人 ) が い ました 。 ||こうち けん|なんごく し||しのはら|し のはら|||しょ||しぶや けん みぎ まもる もん|しぶ やご ん え もん|||ごう|し||ぶし||||のうそん||のうか|||じん||| Once upon a time, in a place called Shinohara in Nankoku City, Kochi Prefecture, a farmer named Shibuya Gonemon, a villager (goushi → samurai), but a farmer in a rural area. There was. Давным-давно в местечке Синохара в городе Нанкоку префектуры Коти жил местный самурай по имени Сибуя Гон'эмон (Гон'эмон Сибуя), который был воином и земледельцем. 从前,在高知县南国市一个叫做筱原的地方,有一个当地的武士,名叫涩谷后右卫门(在农村也经营农场的武士)。 從前,在高知縣南國市一個叫篠原的地方,住著一位名叫澀谷右衛門的當地武士。我就是這樣。 その 渋谷 の 家 に は 、 お 春 と いう 娘 が 女 中 奉公 を して い ます 。 |しぶや||いえ||||はる|||むすめ||おんな|なか|ほうこう|||| At the house in Shibuya, a daughter named Oharu is indentured as a maid. 在涉谷的那所房子里,一个名叫小春的女孩担任女仆。 お 春 は とても 美しく 、 とても よく 働く 気 だて の 良い 娘 だった ので 、 主人 の 弟 の 藤 四郎 ( とうし ろう ) と いう 若者 が 、 お 春 を 嫁 に し たい と 言って きた のです 。 |はる|||うつくしく|||はたらく|き|||よい|むすめ|||あるじ||おとうと||ふじ|しろう|||||わかもの|||はる||よめ|||||いって|| Oharu was a very beautiful and hard-working girl, so a young man named Toshiro, the younger brother of her husband, asked her to marry her. 小春是一个非常漂亮又勤奋的女孩,所以她丈夫的弟弟名叫敏郎的年轻人向她求婚。 ところが お 春 に は 、 すでに 結婚 の 約束 を して いる 男 の 人 が い ました 。 ||はる||||けっこん||やくそく||||おとこ||じん||| In spring, however, there was a man with whom she had already promised to marry. 愛し の お 春 に 断ら れた 藤 四郎 は 、 「 おのれ 、 お 春 め ・・・」 と 、 恋 の うらみ から 、 好きだった お 春 を にくむ 様 に なり ました 。 あいし|||はる||ことわら||ふじ|しろう||||はる|||こい||||すきだった||はる|||さま||| Shiro Fuji, who was refused by his beloved spring, said, "Oh, it's spring ...", and from the envy of love, he began to think of his favorite spring. 被心爱的小春拒绝的俊郎,因为恋情开始讨厌心爱的小春,说:“啊,春天来了……”。

そんな ある 日 の 事 、 お 春 が 渋谷 家 に 伝わる 家宝 の 皿 を 洗って いる と 、 藤 四郎 が お 春 に 用事 を 言いつけ ました 。 ||ひ||こと||はる||しぶや|いえ||つたわる|かほう||さら||あらって|||ふじ|しろう|||はる||ようじ||いいつけ| One day, when spring was washing the dishes of the heirloom that was handed down to the Shibuya family, Shiro Fuji told me to do something for spring. 某天,小春在洗涩谷家传下来的传家宝碗碟时,俊郎让小春帮忙做一件事。 その 用事 は 大した 物 で は なく 、 お 春 は 用事 を 済ませる と すぐに 帰って 来た のです が 、 でも その すきに 藤 四郎 が 洗い かけ の 家宝 の 皿 を 一 枚 盗んで 、 どこ か へ と 隠して しまった のです 。 |ようじ||たいした|ぶつ|||||はる||ようじ||すませる|||かえって|きた||||||ふじ|しろう||あらい|||かほう||さら||ひと|まい|ぬすんで|||||かくして|| The errand was not a big deal, and in the spring I came back as soon as I finished the errand, but Shiro Fuji stole a plate of the heirloom that had been washed and went somewhere. I hid it. 任务并不大,春天的时候,他刚办完就回来了,但正当他这么做的时候,藤四郎偷了一个洗了一半的传家宝盘子去了某个地方,我把它藏起来了。

皿 が 一 枚 足りない 事 に 気づいた お 春 は 、 まっ 青 な 顔 で 皿 が なくなった 事 を 主人 の 渋谷 権 右 衛 門 に 報告 し ました 。 さら||ひと|まい|たりない|こと||きづいた||はる|||あお||かお||さら|||こと||あるじ||しぶや|けん|みぎ|まもる|もん||ほうこく|| In spring, when he noticed that one plate was missing, he reported to his husband, Gonpachi Shibuya, that he had run out of plates with a deep blue face. 意识到少了一个盘子,Oharu 脸红了,并向她的丈夫 Gonemon Shibuya 报告说盘子已经用完了。 「 何 だ と ! なん|| " What did you say ! “ 你说什么 ! あの 皿 一 枚 は 、 お前 の 命 より も 価値 が ある のだ ぞ ! |さら|ひと|まい||おまえ||いのち|||かち|||| That plate is worth more than your life! 那盘子比你的命还值钱! 」   ひどく 怒った 渋谷 権 右 衛 門 は 、 お 春 を 殺して しまい ました 。 |いかった|しぶや|けん|みぎ|まもる|もん|||はる||ころして|| Gonpachi Shibuya, who was terribly angry, killed Spring. 涩谷后右卫门大怒,杀死了小春。

それ から です 。 Then. 自那以后。 この 屋敷 で 、 怪しい 事 が 起り 始めた の は 。 |やしき||あやしい|こと||おこり|はじめた|| What started to happen in this mansion? 这座豪宅开始发生可疑的事情。 まずは 夜中 に なる と 、 どこ から と も なく 若い 女 の 皿 を 数える 声 が 聞こえて き ます 。 |よなか|||||||||わかい|おんな||さら||かぞえる|こえ||きこえて|| First of all, in the middle of the night, you can hear the voice of a young woman counting the dishes from nowhere. 首先,在半夜,不知从哪里冒出来,我听到一个年轻女人数盘子的声音。 「・・・一 枚 、・・・二 枚 、・・・三 枚 、・・・」   そして 最後 の 一 枚 足りない と 、 しぼり出す ような 声 で 泣く のです 。 ひと|まい|ふた|まい|みっ|まい||さいご||ひと|まい|たりない||しぼりだす||こえ||なく| "...one,...two,...three,..." And when the last one is missing, she cries in a squeezed voice. “……一,……二,……三,……”最后一个不见了,她用压抑的声音哭了起来。 「 う う っ 、 足りない 。 |||たりない "Ugh, not enough. “呃,不够。 一 枚 、 足りない 。 ひと|まい|たりない One sheet is missing. どうして ? Why ? どうして な の ? Why is that? 为什么? わたし は 、 なく して い ない のに ・・・」   その 声 に 悩ま さ れた 藤 四郎 は 高い 熱 を 出して 何 日 も もがき 苦しみ 、 とうとう お 春 の 殺さ れた 場所 で 死んで しまい ました 。 ||||||||こえ||なやま|||ふじ|しろう||たかい|ねつ||だして|なん|ひ|||くるしみ|||はる||ころさ||ばしょ||しんで|| I haven't lost it ... "Shiro Fuji, who was troubled by his voice, had a high fever and struggled for days, and finally died in the place where he was killed in spring. 我没有丢……”被那个声音激怒的俊郎发高烧,挣扎了数日,终于死在了春天被杀的地方。 する と 不思議な 事 に 、 二 人 が 死んだ その 場所 に 、 お 春 の 物 と 思わ れる 血 染め の 足型 が 浮かび上がった のです 。 ||ふしぎな|こと||ふた|じん||しんだ||ばしょ|||はる||ぶつ||おもわ||ち|しめ||あしがた||うかびあがった| Curiously, a blood-stained foot pattern, which seems to be a spring thing, emerged at the place where the two died. 主人 の 権 右 衛 門 は 家 の 者 に 命じて 、 すぐに 血 染め の 足型 を ふき取ら せ ました 。 あるじ||けん|みぎ|まもる|もん||いえ||もの||めいじて||ち|しめ||あしがた||ふきとら|| The owner, Gonemon, ordered the householder to immediately wipe off the blood-stained foot pattern. 主人的右手命令户主立即擦去血迹斑斑的脚印。 しかし 次の 日 に なる と 、 血 染め の 足型 が また 現れ ました 。 |つぎの|ひ||||ち|しめ||あしがた|||あらわれ| But the next day, blood-stained footprints reappeared. 但第二天,血迹又出现了。 血 染め の 足 形 は 何度 ふき取ら せて も 、 次の 日 に なる と 再び 浮かび上がり ます 。 ち|しめ||あし|かた||なんど|ふきとら|||つぎの|ひ||||ふたたび|うかびあがり| The blood-stained foot shape will reappear the next day, no matter how many times it is wiped off. 无论我擦掉多少次血迹,第二天它们总是会重新出现。 これ に は さすが の 権 右 衛 門 も 怖く なり 、 屋敷 の 西 に 『 春喜 ( はる き ) さま 』 と 呼ば れる 祠 を 建てて 、 お 春 の 霊 を まつった そうです 。 |||||けん|みぎ|まもる|もん||こわく||やしき||にし||はるき|||||よば||し||たてて||はる||れい|||そう です As expected, Gonemon became scared, and he built a shrine called "Haruki-sama" in the west of the mansion to worship the spirit of spring. 据说连正统的统治者也对此感到害怕,于是在宅邸西侧建造了一座名为“春树大人”的神社,以供奉春天的精灵。

おしまい the end