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百物語 - Yōkai​ Stories, ろくろ首を退治した坊さん

ろくろ 首 を 退治 した 坊さん

ろくろ 首 を 退治 した 坊さん

むかし むかし 、 回 竜 ( かいりゅう ) と 言う 、 旅 の お 坊さん が い ました 。 たまたま 甲斐 の 国 ( かい の くに → 山梨 県 ) へ 来た 時 、 山道 の 途中 で 日 が 暮れて しまい ました 。 「 仕方 が ない 。 今夜 は ここ で 野宿 する か 」 回 竜 は 、 元 は 名 の ある 侍 で 、 怖い 物 知ら ず です 。 ゴロリ と 道ばた の 草 の 上 に 寝ころぶ と 、 そのまま すぐに いびき を かき 始め ました 。

さて 、 どの くらい 眠った でしょう 。 「・・・ もしもし 。 ・・・ もしもし 」 と 、 呼ぶ 声 に 目 を 覚ます と 、 一 人 の 木 こり が 立って い ました 。 「 お 坊 さま 、 こんな ところ で 寝て いて は いけ ませ ん よ 。 この 山 に は 人 を 食う 恐ろしい 化け物 が いて 、 何 人 も の 旅人 が 襲わ れ ました 。 よかったら 、 わたし たち の 小屋 へ 来 ませ ん か ? 」 「 それはそれは 、 ご 親切に 」 回 竜 が 木 こり の 後 を ついて行く と 、 山 の 中 に 一 軒 の 粗末な 家 が 建って い ました 。 家 の 中 に は 案内 して くれた 男 の ほか に 、 三 人 の 男 と 一 人 の 女 が い ました 。 貧しい 身なり を して いる のに 、 どこ か 礼儀正しくて 、 とても 木 こり と は 思え ませ ん 。 そこ で 回 竜 は 、 思い切って 尋ねて み ました 。 「 みなさん は 、 もし かして 都 の 人 で は あり ませ ん か ? 」 する と 、 一 番 年 上 の 男 が 言い ました 。 「 はい 、 おっしゃる 通り 。 元 は 、 都 の 侍 でした 。 お 恥ずかしい 事 です が 、 訳 あって 人 を 殺して しまい 、 家来 と ともに こうして 山 の 中 に 暮らし ながら 、 自分 の 犯した 罪 を 反省 して いる しだい です 」 「 それ は 、 よくぞ 話して くれ ました 。 そういう お 心 なら 亡くなった 方 も 、 きっと あなた たち を 許して くださる でしょう 。 わたし も お 経 を あげて 、 亡くなった 方 の めいふく を 祈り ましょう 」 そう 言って 回 竜 は 夕食 を いただいた 後 、 夜 遅く まで お 経 を 呼んで い ました 。

もう すっかり 夜 も ふけて 、 隣 の 部屋 から は 物音 ひと つ 聞こえて き ませ ん 。 「 さて 、 そろそろ わたし も 眠る と する か 」 回 竜 は 立ちあがって 、 戸 の 破れ から 何気なく 隣 の 部屋 を のぞき ました 。 「 うん ? ・・・ これ は ! 」 回 竜 は 、 思わず 息 を 飲み込み ました 。 何と 布団 の 中 に は 、 首 の ない 体 が 五 つ 並んで いる で は あり ませ ん か 。 「 さては 、 人食い お化け に やられた か 。 お 気の毒に 」 回 竜 は 恐ろし さ も 忘れて 、 部屋 に 飛び込み ました 。 ところが どこ に も 血 の 跡 が なく 、 どの 体 も 動かさ れた 様子 が あり ませ ん 。 「 おかしい ぞ ? 」 しばらく 考え込んで いた 回 竜 は 、 ふと 、 ろくろ 首 の 話 を 思い出し ました 。 首 の 伸びる ろくろ 首 は 、 体 から 首 を 離して 遠く へ 散歩 に 行く と 言い ます 。 「 さては 、 あの 五 人 が ろくろ 首 であった か 。 よし 、 もう 二度と 首 が 戻れ ない 様 に 、 こいつ ら の 体 を 隠して やろう 」 回 竜 は 床板 を はがす と 首 の ない 体 を 次々 と 下 へ 投げ込み 、 元 の 様 に 床板 を はめて 外 へ 出 ました 。 外 に は 生暖かい 風 が 吹いて いて 、 その 風 に 乗って 人 の 話し声 が 聞こえて き ます 。 回 竜 が その 話し声 の 方 に 近づいて いく と 、 五 つ の 首 が 、 あっ ち へ ゆらゆら 、 こっち へ ゆらゆら 飛びまわり ながら 話して い ました 。 「 あの 坊主 め 、 よく 太って いて 、 なかなか うま そうじゃ 」 回 竜 を 案内 して きた 、 木 こり の ろくろ 首 が 言い ました 。 「 しかし 、 いつまでも お 経 を 読ま れて は 、 近寄る 事 も 出来 ん 。 だが 、 もう だいぶ 夜 も ふけた 。 今頃 は 、 すっかり 眠り 込んで いる はずだ 。 誰 か 、 様子 を 見て 来い 」 一 番 年 上 の ろくろ 首 が 、 言い ました 。 する と 女 の ろくろ 首 が 、 フワフワ と 飛んで 行った か と 思う と 、 すぐに 戻って 来 ました 。 「 大変です ! 坊主 の 姿 が 、 見え ませ ん ! それ に 、 わたし たち の 体 が どこ に も 見当たら ない のです ! 」 「 何 だ と ! 」 一 番 年 上 の ろくろ 首 は 、 みるみる 恐ろしい 顔 に なり ました 。 髪 の 毛 を 逆立てて 、 歯 を むき ながら 目 を つり 上げる 姿 は 、 さすが の 回 竜 も ぞっと する ほど です 。 「 体 が なくて は 、 死んで しまう ぞ 。 こう なったら 何と して も 坊主 を 探し出し 、 八 つ 裂き に して くれる わ ! 」 五 つ の ろくろ 首 は 、 ものすごい 顔 で 火 の 玉 の 様 に 飛び交い 、 回 竜 を 探し 始め ました 。 回 竜 は 、 じっと 木 の 後ろ に 隠れて い ました が 、 ついに 五 つ の ろくろ 首 は 回 竜 の 姿 を 見つけ出し ました 。 「 よくも 、 わし ら の 正体 を 見破った な ! 」 五 つ の ろくろ 首 は 、 一度に 回 竜 目掛けて 飛びかかって き ます 。 しかし 回 竜 は 、 近く の 木 を すごい 力 で 引き抜く と 、 「 ふん ! 昔 取った 杵 柄 ( きね づか )! き さま ら 何 ぞ に 、 負け ん ぞ ! 」 と 、 いきなり 、 一 番 年 上 の ろくろ 首 を 叩き 落とし ました 。 「 ぎ ゃ ーーー っ ! 」 ろくろ 首 は 、 叫び声 を あげて 頭から 血 を 流し ました 。 「 さあ 、 かかって こい ! 」 回 竜 は 木 を ブンブン と 振り回して 、 ろくろ 首 を 次々 と 叩きのめして いき ました 。 回 竜 に やっつけ られた 五 つ の ろくろ 首 は 、 ふらふら 飛び ながら 暗闇 の 中 に 消えて いき ました 。

回 竜 が 山 の 家 に 戻って みる と 、 血だらけに なった 五 つ の ろくろ 首 が 、 白い 目 を むいて 転がって い ます 。 「 さて も 、 恐ろしい 目 に あった もの だ 。 しかし ろくろ 首 と は いえ 、 元 は 人間 の はず 。 ・・・ 成仏 せ いよ 」 回 竜 は 五 つ の ろくろ 首 に 手 を 合わせる と 、 夜明け の 山道 を ゆっくり と 下って 行き ました 。

おしまい


ろくろ 首 を 退治 した 坊さん |くび||たいじ||ぼうさん Der Mönch, der den Schurken getötet hat. Ο μοναχός που σκότωσε τον απατεώνα. The monk who got rid of the Rokurokubi Le moine qui a tué le voyou. Il monaco che ha ucciso la canaglia. De monnik die de schurk doodde. O monge que matou o malandro. 杀死流氓的和尚 杀死流氓的和尚

ろくろ 首 を 退治 した 坊さん |くび||たいじ||ぼうさん The monk who killed the head of the rokuro

むかし むかし 、 回 竜 ( かいりゅう ) と 言う 、 旅 の お 坊さん が い ました 。 ||かい|りゅう|||いう|たび|||ぼうさん||| たまたま 甲斐 の 国 ( かい の くに → 山梨 県 ) へ 来た 時 、 山道 の 途中 で 日 が 暮れて しまい ました 。 |かい||くに||||やまなし|けん||きた|じ|やまみち||とちゅう||ひ||くれて|| 「 仕方 が ない 。 しかた|| " it's no use . 今夜 は ここ で 野宿 する か 」   回 竜 は 、 元 は 名 の ある 侍 で 、 怖い 物 知ら ず です 。 こんや||||のじゅく|||かい|りゅう||もと||な|||さむらい||こわい|ぶつ|しら|| Do you want to camp here tonight? ”Kairyu was originally a famous samurai and is scary and ignorant. ゴロリ と 道ばた の 草 の 上 に 寝ころぶ と 、 そのまま すぐに いびき を かき 始め ました 。 ごろり||みちばた||くさ||うえ||ねころぶ|||||||はじめ| He fell asleep on the grass on the side of the road and started snoring right away.

さて 、 どの くらい 眠った でしょう 。 |||ねむった| Well, how long have you slept? 「・・・ もしもし 。 ・・・ もしもし 」 と 、 呼ぶ 声 に 目 を 覚ます と 、 一 人 の 木 こり が 立って い ました 。 ||よぶ|こえ||め||さます||ひと|じん||き|||たって|| When I woke up to the voice calling, "Hello," there was a woodcutter standing. 「 お 坊 さま 、 こんな ところ で 寝て いて は いけ ませ ん よ 。 |ぼう|||||ねて|||||| "Boss, don't sleep in a place like this. この 山 に は 人 を 食う 恐ろしい 化け物 が いて 、 何 人 も の 旅人 が 襲わ れ ました 。 |やま|||じん||くう|おそろしい|ばけもの|||なん|じん|||たびびと||おそわ|| There is a terrible monster that eats people in this mountain, and many travelers have been attacked. よかったら 、 わたし たち の 小屋 へ 来 ませ ん か ? ||||こや||らい||| Would you like to come to our hut? 」 「 それはそれは 、 ご 親切に 」   回 竜 が 木 こり の 後 を ついて行く と 、 山 の 中 に 一 軒 の 粗末な 家 が 建って い ました 。 ||しんせつに|かい|りゅう||き|||あと||ついていく||やま||なか||ひと|のき||そまつな|いえ||たって|| "That's it, kindly." When the dragon followed the woodcutter, a poor house was built in the mountains. 家 の 中 に は 案内 して くれた 男 の ほか に 、 三 人 の 男 と 一 人 の 女 が い ました 。 いえ||なか|||あんない|||おとこ||||みっ|じん||おとこ||ひと|じん||おんな||| In addition to the man who guided me in the house, there were three men and one woman. 貧しい 身なり を して いる のに 、 どこ か 礼儀正しくて 、 とても 木 こり と は 思え ませ ん 。 まずしい|みなり|||||||れいぎただしくて||き||||おもえ|| Even though he is poorly dressed, he is somehow polite and does not seem to be a very woodworker. そこ で 回 竜 は 、 思い切って 尋ねて み ました 。 ||かい|りゅう||おもいきって|たずねて|| So, Iryu took the plunge and asked. 「 みなさん は 、 もし かして 都 の 人 で は あり ませ ん か ? ||||と||じん|||||| "Aren't you all from the capital? 」   する と 、 一 番 年 上 の 男 が 言い ました 。 ||ひと|ばん|とし|うえ||おとこ||いい| Said the oldest man. 「 はい 、 おっしゃる 通り 。 ||とおり "Yes, you're right. 元 は 、 都 の 侍 でした 。 もと||と||さむらい| He used to be a samurai of the capital. お 恥ずかしい 事 です が 、 訳 あって 人 を 殺して しまい 、 家来 と ともに こうして 山 の 中 に 暮らし ながら 、 自分 の 犯した 罪 を 反省 して いる しだい です 」 「 それ は 、 よくぞ 話して くれ ました 。 |はずかしい|こと|||やく||じん||ころして||けらい||||やま||なか||くらし||じぶん||おかした|ざい||はんせい||||||||はなして|| It's embarrassing, but for some reason I killed a person, and while living in the mountains with my servants, I'm reflecting on my sins. "" That's a good story. Tata. そういう お 心 なら 亡くなった 方 も 、 きっと あなた たち を 許して くださる でしょう 。 ||こころ||なくなった|かた||||||ゆるして|| With that kind of heart, even those who have died will surely forgive you. わたし も お 経 を あげて 、 亡くなった 方 の めいふく を 祈り ましょう 」   そう 言って 回 竜 は 夕食 を いただいた 後 、 夜 遅く まで お 経 を 呼んで い ました 。 |||へ|||なくなった|かた||||いのり|||いって|かい|りゅう||ゆうしょく|||あと|よ|おそく|||へ||よんで|| I will also chant the sutras and pray for the souls of the deceased.” Saying this, Kairyu continued to chant sutras until late at night after dinner.

もう すっかり 夜 も ふけて 、 隣 の 部屋 から は 物音 ひと つ 聞こえて き ませ ん 。 ||よ|||となり||へや|||ものおと|||きこえて||| I've already lost the night, and I can't hear a single noise from the next room. 「 さて 、 そろそろ わたし も 眠る と する か 」   回 竜 は 立ちあがって 、 戸 の 破れ から 何気なく 隣 の 部屋 を のぞき ました 。 ||||ねむる||||かい|りゅう||たちあがって|と||やぶれ||なにげなく|となり||へや||| "Now, do I think I'm going to sleep?" The dragon stood up and casually looked into the next room from the torn door. 「 うん ? ・・・ これ は ! 」   回 竜 は 、 思わず 息 を 飲み込み ました 。 かい|りゅう||おもわず|いき||のみこみ| The dragon gulped. 何と 布団 の 中 に は 、 首 の ない 体 が 五 つ 並んで いる で は あり ませ ん か 。 なんと|ふとん||なか|||くび|||からだ||いつ||ならんで||||||| What is it that there are five neckless bodies lined up in the futon? 「 さては 、 人食い お化け に やられた か 。 |ひとくい|おばけ||| "Well, have you been killed by a cannibal ghost? お 気の毒に 」   回 竜 は 恐ろし さ も 忘れて 、 部屋 に 飛び込み ました 。 |きのどくに|かい|りゅう||おそろし|||わすれて|へや||とびこみ| The dragon forgot his fear and jumped into the room. ところが どこ に も 血 の 跡 が なく 、 どの 体 も 動かさ れた 様子 が あり ませ ん 。 ||||ち||あと||||からだ||うごかさ||ようす|||| However, there were no traces of blood anywhere, and every body seemed to be moved. 「 おかしい ぞ ? What's wrong? 」   しばらく 考え込んで いた 回 竜 は 、 ふと 、 ろくろ 首 の 話 を 思い出し ました 。 |かんがえこんで||かい|りゅう||||くび||はなし||おもいだし| After pondering for a while, Kairyu suddenly remembered the story of the rokurokubi. 首 の 伸びる ろくろ 首 は 、 体 から 首 を 離して 遠く へ 散歩 に 行く と 言い ます 。 くび||のびる||くび||からだ||くび||はなして|とおく||さんぽ||いく||いい| Rokurokubi with a stretched neck The neck is said to take the neck away from the body and go for a walk far away. 「 さては 、 あの 五 人 が ろくろ 首 であった か 。 ||いつ|じん|||くび|| "So, those five were the heads of the rokurokubi, were they? よし 、 もう 二度と 首 が 戻れ ない 様 に 、 こいつ ら の 体 を 隠して やろう 」   回 竜 は 床板 を はがす と 首 の ない 体 を 次々 と 下 へ 投げ込み 、 元 の 様 に 床板 を はめて 外 へ 出 ました 。 ||にどと|くび||もどれ||さま|||||からだ||かくして||かい|りゅう||ゆかいた||||くび|||からだ||つぎつぎ||した||なげこみ|もと||さま||ゆかいた|||がい||だ| Okay, let's hide their bodies so they can't get their heads back again." The Kairyu peeled off the floorboards and threw the headless bodies downward one after another, then put the floorboards back on and went outside. I was 外 に は 生暖かい 風 が 吹いて いて 、 その 風 に 乗って 人 の 話し声 が 聞こえて き ます 。 がい|||なまあたたかい|かぜ||ふいて|||かぜ||のって|じん||はなしごえ||きこえて|| A warm wind is blowing outside, and you can hear people talking on the wind. 回 竜 が その 話し声 の 方 に 近づいて いく と 、 五 つ の 首 が 、 あっ ち へ ゆらゆら 、 こっち へ ゆらゆら 飛びまわり ながら 話して い ました 。 かい|りゅう|||はなしごえ||かた||ちかづいて|||いつ|||くび|||||||||とびまわり||はなして|| As the dragon approached the voice, the five necks were fluttering over there and fluttering over here. 「 あの 坊主 め 、 よく 太って いて 、 なかなか うま そうじゃ 」   回 竜 を 案内 して きた 、 木 こり の ろくろ 首 が 言い ました 。 |ぼうず|||ふとって||||そう じゃ|かい|りゅう||あんない|||き||||くび||いい| "That shaved man, he's fat and looks pretty good," said Rokurokubi, a woodcutter who guided the dragon. 「 しかし 、 いつまでも お 経 を 読ま れて は 、 近寄る 事 も 出来 ん 。 |||へ||よま|||ちかよる|こと||でき| "But if you read the story forever, you can't get close to it. だが 、 もう だいぶ 夜 も ふけた 。 |||よ|| But it's already late at night. 今頃 は 、 すっかり 眠り 込んで いる はずだ 。 いまごろ|||ねむり|こんで|| By this time, you should be completely asleep. 誰 か 、 様子 を 見て 来い 」   一 番 年 上 の ろくろ 首 が 、 言い ました 。 だれ||ようす||みて|こい|ひと|ばん|とし|うえ|||くび||いい| Someone, come see me, "said Rokurokubi, the oldest man. する と 女 の ろくろ 首 が 、 フワフワ と 飛んで 行った か と 思う と 、 すぐに 戻って 来 ました 。 ||おんな|||くび||ふわふわ||とんで|おこなった|||おもう|||もどって|らい| Then, when I thought that the woman's rokurokubi flew fluffy, she immediately came back. 「 大変です ! たいへんです 坊主 の 姿 が 、 見え ませ ん ! ぼうず||すがた||みえ|| I can't see the monk! それ に 、 わたし たち の 体 が どこ に も 見当たら ない のです ! |||||からだ|||||みあたら|| Besides, we can't find our bodies anywhere! 」 「 何 だ と ! なん|| What? 」   一 番 年 上 の ろくろ 首 は 、 みるみる 恐ろしい 顔 に なり ました 。 ひと|ばん|とし|うえ|||くび|||おそろしい|かお||| The oldest Rokurokubi turned into a terrifying face. 髪 の 毛 を 逆立てて 、 歯 を むき ながら 目 を つり 上げる 姿 は 、 さすが の 回 竜 も ぞっと する ほど です 。 かみ||け||さかだてて|は||||め|||あげる|すがた||||かい|りゅう||||| The appearance of the hair being turned upside down and the eyes being lifted while peeling the teeth is as horrifying as the dragon. 「 体 が なくて は 、 死んで しまう ぞ 。 からだ||||しんで|| "If you don't have a body, you'll die. こう なったら 何と して も 坊主 を 探し出し 、 八 つ 裂き に して くれる わ ! ||なんと|||ぼうず||さがしだし|やっ||さき|||| If this happens, he will find the shaven and split it into eight pieces! 」   五 つ の ろくろ 首 は 、 ものすごい 顔 で 火 の 玉 の 様 に 飛び交い 、 回 竜 を 探し 始め ました 。 いつ||||くび|||かお||ひ||たま||さま||とびかい|かい|りゅう||さがし|はじめ| The five rokurokubi flew like a fireball with a terrifying face and began to search for the dragon. 回 竜 は 、 じっと 木 の 後ろ に 隠れて い ました が 、 ついに 五 つ の ろくろ 首 は 回 竜 の 姿 を 見つけ出し ました 。 かい|りゅう|||き||うしろ||かくれて|||||いつ||||くび||かい|りゅう||すがた||みつけだし| The dragon was hiding behind the tree, but at last the five rokurokubi found the figure of the dragon. 「 よくも 、 わし ら の 正体 を 見破った な ! ||||しょうたい||みやぶった| "Well, you've found out what we really are! 」   五 つ の ろくろ 首 は 、 一度に 回 竜 目掛けて 飛びかかって き ます 。 いつ||||くび||いちどに|かい|りゅう|めがけて|とびかかって|| The five rokurokubi will jump at the dragon at once. しかし 回 竜 は 、 近く の 木 を すごい 力 で 引き抜く と 、 「 ふん ! |かい|りゅう||ちかく||き|||ちから||ひきぬく|| However, when the dragon pulls out a nearby tree with great force, he says, "Hmm! 昔 取った 杵 柄 ( きね づか )! むかし|とった|きね|え|| The pestle pattern I took a long time ago (Kinezuka)! き さま ら 何 ぞ に 、 負け ん ぞ ! |||なん|||まけ|| You guys won't lose! 」 と 、 いきなり 、 一 番 年 上 の ろくろ 首 を 叩き 落とし ました 。 ||ひと|ばん|とし|うえ|||くび||たたき|おとし| Suddenly, I knocked down the oldest rokurokubi. 「 ぎ ゃ ーーー っ ! ||---| Geez! 」   ろくろ 首 は 、 叫び声 を あげて 頭から 血 を 流し ました 。 |くび||さけびごえ|||あたまから|ち||ながし| Rokurokubi screamed and shed blood from his head. 「 さあ 、 かかって こい ! "Come on, come on! 」   回 竜 は 木 を ブンブン と 振り回して 、 ろくろ 首 を 次々 と 叩きのめして いき ました 。 かい|りゅう||き||||ふりまわして||くび||つぎつぎ||たたきのめして|| The dragon swung around the tree and beat the rokurokubi one after another. 回 竜 に やっつけ られた 五 つ の ろくろ 首 は 、 ふらふら 飛び ながら 暗闇 の 中 に 消えて いき ました 。 かい|りゅう||||いつ||||くび|||とび||くらやみ||なか||きえて|| The five rokurokubi, which were beaten by the dragon, disappeared into the darkness, fluttering and flying.

回 竜 が 山 の 家 に 戻って みる と 、 血だらけに なった 五 つ の ろくろ 首 が 、 白い 目 を むいて 転がって い ます 。 かい|りゅう||やま||いえ||もどって|||ちだらけに||いつ||||くび||しろい|め|||ころがって|| When the dragon returns to the mountain house, the five bloody rokurokubi are rolling with their white eyes peeled off. 「 さて も 、 恐ろしい 目 に あった もの だ 。 ||おそろしい|め|||| "Well, I had a terrifying eye. しかし ろくろ 首 と は いえ 、 元 は 人間 の はず 。 ||くび||||もと||にんげん|| However, even though it is a rokurokubi, it must have been a human being. ・・・ 成仏 せ いよ 」   回 竜 は 五 つ の ろくろ 首 に 手 を 合わせる と 、 夜明け の 山道 を ゆっくり と 下って 行き ました 。 じょうぶつ|||かい|りゅう||いつ||||くび||て||あわせる||よあけ||やまみち||||くだって|いき| The Buddhahood was born. ”When the dragon put his hands on the necks of the five rokurokubi, he slowly went down the mountain road at dawn.

おしまい