×

We use cookies to help make LingQ better. By visiting the site, you agree to our cookie policy.

百物語 - Yōkai​ Stories, 人食い 和尚 – Text to read

百物語 - Yōkai​ Stories, 人食い 和尚

Beginner 2 Japanese lesson to practice reading

Start learning this lesson now

人食い 和尚

人食い 和尚

むかし むかし 、 快庵 ( か いあん ) と いう 、 とても 偉い お 坊さん が いました 。 その お 坊さん が 、修業 の 旅 を して いる 頃 の お話 です 。

日 が 暮れて きた ので 、お坊さん は 一晩 泊めて もらおう と ある 村 に 立ち寄った のです が 、畑 仕事 を すませた 村人たち は お坊さん を 見る なり 、「山 の 鬼 が 来た ぞ ! 」 と 、 大声 で 叫び ながら 、 手 に した クワ や 天秤棒 ( てん びんぼう ) で 殴り かかって きた の です 。 「 こら ! いきなり 何 を する ! 」お坊さん は 素早く 身 を かわし 、その はずみ で かぶって いた 青い ずきん が 落ちた ので 、村人たち は 人違い だ と わかりました 。 村人 たち は お 坊さん に 深々と 頭 を さげる と 、お 坊さん に 事情 を 話し ました 。 「この 村 の 近く に お寺 が あり 、そこ に 心優しい 和尚 さま が い ました 。 和尚 さま に は 、とても 可愛い がっていた 一人 息子 が いた のです が 、突然の 病気 に 亡くなって しまいました 。 和尚 さま は あまり の 悲しさ に 息子 が 死んで しまった 事 を 認めよう と は せず 、生きていた 時 と 同じ 様に 抱いたり おぶったり していました 。 です が その うち に 、その 息子 の 体 が 腐り 始めて 、ひどい 臭い を 村中 に まき散らした のです 。 そこ で 我々 が 、 なんとか 和尚 さま と 息子 の 亡きがら を 引き離そう と した の です が 、 和尚 さま は 『 大事な 息子 を 取られる ぐらい なら 』 と 、 その 息子 の 肉 や 骨 を 食べて しまった の です 」「 それ は 、 ひどい ! 」お坊さん は 、思わず 顔 を そむけました 。 村人 たち は 、そのまま 話 を 続け ました 。 「そして その 時 に 人肉 の 味 を 覚えて しまった 和尚さま は 、毎晩 の 様に 村 の 墓場 へ やって来て は 墓 を 掘り起こして 、死体 を むさぼる 様に なった のです 。 あの 心 優しい 和尚 さま は 、人食い 鬼 に なって しまった のです 。 それ で 我々 が 人食い 和尚 さま を 退治 しよう と 待ちかまえて いた ところへ 、あなた さま が やって 来た ので 、間違えて 殴り かかって しまい ました 。 どう か 、お 許し くだされ 」村人たち は お坊さん に 、もう 一度 深々と 頭 を 下げました 。 お坊さん は それ に 頷く と 、「お話し は 、わかりました 。 殴り かかられた 事 は 、もう 怒って は いません 。 それ より も 、この 地 に わたし が 訪れた の も 何か の 縁 です 。 人食い 和尚 の 事 は 、わたし が 何とか し ましょう 」

お坊さん は 、村人 に 教えて もらった お寺 へ と 出かけました 。 しかし その お 寺 は ずいぶん と 荒れ果て 、まるで お化け 屋敷 の 様 です 。 「 すみません 。 わたし は 、旅 の 坊主 です 。 どうか 今夜 一晩 、ここ に 泊めて 下され 」お坊さん が 声 を かける と 、寺 の 奥 から やせこけた 和尚さん が 現れました 。 そして 、お坊さん を するどい 目 で 見る と 、「どこ へ でも 、好きな 所 で 休む が よい 」と 、言って 、そのまま 奥 へ 入って しまいました 。

その 夜ふけ 、お坊さん が 寺 の 本堂 で 座禅 を 組んでいる と 、あの 和尚さん が やって来て 、あたり を キョロキョロ 見回し ながら 何か を 探し 始めました 。 目の前 に 座って いる お坊さん に は 、まったく 気 が つかない 様子 です 。 そして 一晩中 、 何 か を 探して いた 和尚 さん は 、 やがて 疲れ果てて 、 ばったり と 倒れて しまいました 。

間もなく 東 の 空 が 明るく なる と 、和尚さん は 夢 から 覚めた 様に 起き上がりました 。 そして お 坊さん に 気付く と 、へなへな と しゃがみ込んで 言い ました 。 「わたし の 目 は 死人 を 食べて から 、もう 死人 しか 見えなく なって しまい ました 。 わたし は 、もう 人間 では ありません 。 しかし 死ぬ 時 は 、人間 として 死に たい 。 その 為 なら 、どんな 苦行 に も 耐えます 。 どうぞ わたし を 、お 助け ください まし 」和尚さん は 、お坊さん に 涙 を こぼして 頼みました 。 「 わかりました 。 その お 覚悟 が ある の なら 、ここ へ お 座り なさい 」お坊さん は 和尚さん を 大きな 石 の 上 に 座らせて 、自分 の かぶっていた 青 ずきん を その 頭 に かぶせて やりました 。 「石 の 上 で 一心に お経 を 唱えれば 、いつか 人間 の 心 に 戻れる はず 。 それ まで は 、どんな 事 が あって も 動いて は なりません 」そう 言って 、お坊さん は お寺 を 出て 行きました 。

さて 、それ から 一年後 、お坊さん は 再び 、あの お寺 を 訪ねて みました 。 する と お 寺 は 一年前 より も さらに ひどく 荒れ果てて いて 、今にも くずれ そうです 。 「まさか 、まだ 人 に 戻って いない の か ? 」お坊さん は 和尚さん に 念仏 を 唱える 様に 言った 、大きな 石 の 所 へ 行って みました 。 する と あの 石 の 上 に 、まるで ガイコツ の 様に やせ細った 和尚さん が 、蚊 の 泣く 様 な 声 で まだ 念仏 を 唱えていた のです 。 「この おろか 者 ! 人間 として 、死に たい ので は なかった の か ! まだ 人間 に 戻れぬ の は 、お主 の 心 に まよい が ある から だ ! 」お坊さん は 、持っていた 杖 を 振り上げました 。 「しかた が ない 。 わたし が 、お主 を 成仏 させて やろう 。 ・・・か っ ! 」お坊さん は するどく 叫んで 、和尚さん の 頭 に 杖 を 打ち おろしました 。 する と 和尚 さん の 体 は 一瞬に して 砕け散り 、その あと に は 青い ずきん だけ が 残りました 。

その後 、村人 たち は 、この 荒れ 寺 を 新しく 建て直す と 、新しい 和尚さん が 決まる まで 、この お坊さん に 住んで もらった そうです 。

おしまい

Learn languages from TV shows, movies, news, articles and more! Try LingQ for FREE