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百物語 - Yōkai​ Stories, 逆立ち 幽霊

逆立ち 幽霊

逆立ち 幽霊

むかし むかし 、 那覇 の 町 に 、 みえ 橋 と いう 橋 が あって 、 その 橋 の たもと に 一 軒 の アメ 屋 が あり ました 。 ある 夏 の 夕暮れ 、 その 日 は 朝 から 、 しとしと と 雨 が 降り続いて い ました 。 「 ああ 、 こんな 日 に 、 アメ を 買い に 来る 人 は い ない だろう 。 少し 早い が 、 店 じまい を しよう 」 アメ 屋 の お じいさん は 、 久しぶりに 早く 店 を 閉め ました 。 そして 一 人 で 、 のんびり と お茶 を 飲んで いる と 、 トントン 、 トントン と 、 雨戸 が 鳴り ました 。 「 おや 、 風 が ひどく なって きた かな ? 」 お じいさん は 、 そう 思い ました が 、 トントン 、 トントン 。 今度 は はっきり と 、 戸 を 叩く 音 が し ました 。 「 どなた じゃ な ? もう 店 じまい を した から 、 また 明日 に して くださら ん か 」 トントン 、 トントン 。 何度 も 何度 も 戸 を 叩く ので 、 お じいさん は 仕方なく 戸口 を 開け ました 。 する と 外 に は 白い 着物 を 着た 女 の 人 が 、 雨 に ぐっしょり と 濡れて 立って い ました 。 「 すみません 。 アメ を 少し 、 分けて ください な 」 女 の 人 は 、 細い 声 で 言い ました 。 「 これ は これ は 。 せっかく 買い に 来て くれた のに 、 すぐに 出 なくて ごめん よ 。 さ さ 、 どれ でも 持って行って ください 」 お じいさん は 、 アメ を 紙 に 包んで 差し出し ました 。 「 よかった 。 これ で 、 家 の 子 も 喜び ます 。 ありがとう ございました 」 女 の 人 は ニッコリ 笑う と 、 お 金 を お じいさん に 渡し ました 。 「 では 、 気 を つけて お 帰り よ 」 「 はい 」 女 の 人 は 深く おじぎ を する と 、 雨 の 中 へ 消えて 行き ました 。

それ から も 時々 、 女 の 人 は アメ を 買い に 来る ように なり ました 。 でも 、 四 回 、 五 回 と 続く うち に 、 お じいさん は ある 事 に 気 が つき ました 。 それ は 、 女 の 人 が アメ を 買い に 来る の は 決まって 夕暮れ 時 で 、 それ も 人目 を 避けて やって 来る のです 。 「 もし かして ・・・」 お じいさん は 大急ぎで 、 お 金 を 入れた 箱 を 持って 来 ました 。 そして お 金 を 調べて いた お じいさん は 、 「 わ ー っ ! 」 と 、 腰 を 抜かして しまい ました 。 なんと お 金 の 中 から 、 半分 やけた 紙 銭 ( かみ ぜ に ) が 出て きた のです 。

紙 銭 と いう の は 、 死んだ 人 が 死 の 旅 の 途中 で 使う 様 に と 、 紙 で 作った お 金 の 事 です 。

お じいさん が 紙 銭 を 持って 、 ブルブル と 震えて いる と 、 トントン 、 トントン と 、 雨戸 を 叩く 音 が し ました 。 「 来た な 」 お じいさん は 、 そ ー っと 戸 を 開け ました 。 する と やはり 、 外 に は 白い 着物 の 女 の 人 が 立って い ました 。 「 お じいさん 、 アメ を ください な 」 女 の 人 は 、 細い 声 で 言い ました 。 「 はい 、 では これ を 」 お じいさん が 震え ながら アメ を 差し出す と 、 女 の 人 は アメ の 包み を 大切 そうに 胸 に かかえて 帰って 行き ました 。 「・・・ 怖い が 、 後 を つけて みる か 」 お じいさん は 女 の 人 の 後 を 、 つけて 行く 事 に し ました 。

女 の 人 は 山道 を 進んで 行き 、 山 の 中 に ある お 墓 に たどり着き ました 。 「 やはり 、 あの 女 は 幽霊 だ な 」 お じいさん が 息 を 殺して 見て いる と 、 女 の 人 は チラリ と お じいさん の 方 を 振り向いて 、 そのまま お 墓 の 中 に 消えて いき ました 。 お じいさん が 、 その お 墓 の 前 まで 行って みる と 、 「 オギャー ! オギャー ! 」 と 、 お 墓 の 中 から 、 赤ん坊 の 泣き声 が 聞こえて きた のです 。 「 うわ ー っ ! 」 びっくり した お じいさん は 、 すぐに 町 へ 帰る と 、 見て 来た 事 を みんな に 知らせ ました 。 そして お 墓 の 持ち主 と お 坊さん を 連れて 、 お 墓 の 前 に 集まり ました 。 さっそく お 墓 の 石 を 取り除き 、 中 を のぞいて 見て びっくり 。 何と 赤ん坊 が 、 アメ を しゃぶり ながら 死んだ お 母さん の そば に いる のです 。 お 母さん の 顔 は 、 確かに アメ を 買い に 来た 女 の 人 でした 。 お 墓 の 持ち主 の 話 で は 、 この 女 の 人 は 赤ん坊 を 生む 前 に 病気 で 死んだ と の 事 です 。 きっと 、 葬式 が 終わって お 墓 の 中 へ 入れ られた 後 で 、 この 赤ん坊 を 生んだ のでしょう 。 お 坊さん は 念仏 を 唱える と 、 女 の 人 の 足 を ひも で ゆわえ ました 。 「 もう 、 アメ を 買い に 行か なくて も いい んだ よ 。 赤ん坊 は 、 我々 が 育てる から ね 。 お前 さん の 両足 を 縛って おく から 、 もう 出て 来て は いけない よ 」 そして みんな も 、 女 の 人 の 成仏 を 手 を 合わせて 祈り ました 。

さて 、 それ から しばらく たった 、 ある 夕暮れ 時 。 アメ 屋 の お じいさん が 、 店 を 閉めて 休んで いる と 。 トントン 、 トントン 。 トントン 、 トントン 。 と 、 戸 を 叩く 音 が し ました 。 「 すみません 、 アメ を ください な 」 「 はい はい 、 ちょっと お 待ち を 」 お じいさん が 戸 を 開けて 見る と 、 あの 白い 着物 を 来た 女 の 人 が 逆立ち を して 立って い ました 。 お 坊さん に 両足 を ひも で 縛ら れた ので 、 逆立ち の まま やって 来た のです 。 「 ひ ぇ ーー っ ! 」 お じいさん は 腰 を 抜かして 、 言葉 が 出 ませ ん 。 「 すみません 、 アメ を ください な 」 逆立ち の 女 の 人 が もう 一 度 言った ので 、 お じいさん は 何とか アメ を 差し出す と 、 女 の 人 は アメ の 包み を 大切 そうに 胸 に 抱えて 闇 の 中 へ 消えて 行き ました 。

アメ 屋 の お じいさん の 知らせ を 受けて 、 お 墓 の 持ち主 と お 坊さん は 、 それ から 何度 も 女 の 人 の 供養 を し ました が 、 それ から 何 年 も の 間 、 女 の 人 は お じいさん の 店 に アメ を 買い に 来た そうです 。

おしまい


逆立ち 幽霊 さかだち|ゆうれい Geister, die an einen bestimmten physischen Ort gebunden sind (z.B. an den Ort, an dem der Tod eingetreten ist) ghost bound to a specific physical location (usu. where death occurred) Fantasmas boca abajo fantôme lié à un lieu physique spécifique (généralement le lieu du décès) Fantasmi a testa in giù fantasma ligado a um local físico específico (normalmente onde ocorreu a morte) призрак, привязанный к определенному физическому месту (например, к месту смерти) spöke bundet till en specifik fysisk plats (vanligtvis där döden inträffade) 倒立鬼 倒立鬼

逆立ち 幽霊 さかだち|ゆうれい Handstand ghost

むかし むかし 、 那覇 の 町 に 、 みえ 橋 と いう 橋 が あって 、 その 橋 の たもと に 一 軒 の アメ 屋 が あり ました 。 ||なは||まち|||きょう|||きょう||||きょう||||ひと|のき||あめ|や||| In der Stadt Naha gab es einmal eine Brücke, die Mie-Brücke, und am Fuße der Brücke befand sich ein Süßwarenladen. Once upon a time, there was a bridge called Miebashi in the town of Naha, and there was a candy store at the foot of the bridge. ある 夏 の 夕暮れ 、 その 日 は 朝 から 、 しとしと と 雨 が 降り続いて い ました 。 |なつ||ゆうぐれ||ひ||あさ||||あめ||ふりつづいて|| An einem Sommerabend hatte es seit dem Morgen geregnet. One summer evening, it had been raining since morning. 「 ああ 、 こんな 日 に 、 アメ を 買い に 来る 人 は い ない だろう 。 ||ひ||あめ||かい||くる|じん|||| "Ach, wer kommt denn an einem solchen Tag, um Süßigkeiten zu kaufen? "Oh, no one would come to buy candy on a day like this," he said. 少し 早い が 、 店 じまい を しよう 」   アメ 屋 の お じいさん は 、 久しぶりに 早く 店 を 閉め ました 。 すこし|はやい||てん||||あめ|や|||||ひさしぶりに|はやく|てん||しめ| Der alte Mann im Süßwarenladen schließt seinen Laden zum ersten Mal seit langer Zeit früher. It's a little early, but let's close the shop." The old man at the candy shop closed the shop early for the first time in a while. そして 一 人 で 、 のんびり と お茶 を 飲んで いる と 、   トントン 、 トントン と 、 雨戸 が 鳴り ました 。 |ひと|じん||||おちゃ||のんで|||とんとん|とんとん||あまど||なり| And while I was relaxing by myself, drinking tea, the storm door rang with a thump, thump, thump. 「 おや 、 風 が ひどく なって きた かな ? |かぜ||||| "Oh, is the wind getting worse? 」   お じいさん は 、 そう 思い ました が 、   トントン 、 トントン 。 ||||おもい|||とんとん|とんとん ' That's what the old man thought, but hey, hey, hey. 今度 は はっきり と 、 戸 を 叩く 音 が し ました 。 こんど||||と||たたく|おと||| This time, there was a distinct banging on the door. 「 どなた じゃ な ? "Who are you? もう 店 じまい を した から 、 また 明日 に して くださら ん か 」   トントン 、 トントン 。 |てん||||||あした||||||とんとん|とんとん The shop is already closed, so could you come back tomorrow?" 何度 も 何度 も 戸 を 叩く ので 、 お じいさん は 仕方なく 戸口 を 開け ました 。 なんど||なんど||と||たたく|||||しかたなく|とぐち||あけ| The old man had no choice but to open the door, because they kept banging on it over and over again. する と 外 に は 白い 着物 を 着た 女 の 人 が 、 雨 に ぐっしょり と 濡れて 立って い ました 。 ||がい|||しろい|きもの||きた|おんな||じん||あめ||||ぬれて|たって|| I looked up and saw a woman dressed in a white kimono standing outside, soaking wet from the rain. 「 すみません 。 アメ を 少し 、 分けて ください な 」   女 の 人 は 、 細い 声 で 言い ました 。 あめ||すこし|わけて|||おんな||じん||ほそい|こえ||いい| Please share some of the candy," said the woman in a thin voice. 「 これ は これ は 。 "This is this. せっかく 買い に 来て くれた のに 、 すぐに 出 なくて ごめん よ 。 |かい||きて||||だ||| I'm sorry that I didn't come out right away, even though you came all the way to buy it. さ さ 、 どれ でも 持って行って ください 」   お じいさん は 、 アメ を 紙 に 包んで 差し出し ました 。 ||||もっていって|||||あめ||かみ||つつんで|さしだし| Now, take whatever you want." The old man wrapped a piece of candy in a piece of paper and handed it over. 「 よかった 。 Good. これ で 、 家 の 子 も 喜び ます 。 ||いえ||こ||よろこび| With this, the children at home will be happy. ありがとう ございました 」   女 の 人 は ニッコリ 笑う と 、 お 金 を お じいさん に 渡し ました 。 ||おんな||じん||にっこり|わらう|||きむ|||||わたし| The woman smiled and handed the money to the grandfather. 「 では 、 気 を つけて お 帰り よ 」 「 はい 」   女 の 人 は 深く おじぎ を する と 、 雨 の 中 へ 消えて 行き ました 。 |き||||かえり|||おんな||じん||ふかく|||||あめ||なか||きえて|いき| "Then, be careful on your way home." "Yes." The woman bowed deeply and disappeared into the rain.

それ から も 時々 、 女 の 人 は アメ を 買い に 来る ように なり ました 。 |||ときどき|おんな||じん||あめ||かい||くる||| After that, women would sometimes come to buy candy. でも 、 四 回 、 五 回 と 続く うち に 、 お じいさん は ある 事 に 気 が つき ました 。 |よっ|かい|いつ|かい||つづく|||||||こと||き||| But four or five times in a row, the old man noticed something. それ は 、 女 の 人 が アメ を 買い に 来る の は 決まって 夕暮れ 時 で 、 それ も 人目 を 避けて やって 来る のです 。 ||おんな||じん||あめ||かい||くる|||きまって|ゆうぐれ|じ||||ひとめ||さけて||くる| The reason is that women always come to buy candy at dusk, and they also avoid being seen. 「 もし かして ・・・」   お じいさん は 大急ぎで 、 お 金 を 入れた 箱 を 持って 来 ました 。 |||||おおいそぎで||きむ||いれた|はこ||もって|らい| "Maybe ..." The old man hurriedly brought a box with money in it. そして お 金 を 調べて いた お じいさん は 、 「 わ ー っ ! ||きむ||しらべて||||||-| And the old man who was examining the money said, "Wow! 」 と 、 腰 を 抜かして しまい ました 。 |こし||ぬかして|| I pulled my hips out. なんと お 金 の 中 から 、 半分 やけた 紙 銭 ( かみ ぜ に ) が 出て きた のです 。 ||きむ||なか||はんぶん||かみ|せん|||||でて|| From the money, half-burnt paper money (Kamizen) came out.

紙 銭 と いう の は 、 死んだ 人 が 死 の 旅 の 途中 で 使う 様 に と 、 紙 で 作った お 金 の 事 です 。 かみ|せん|||||しんだ|じん||し||たび||とちゅう||つかう|さま|||かみ||つくった||きむ||こと| Paper money is money made from paper so that dead people can use it during their journey of death.

お じいさん が 紙 銭 を 持って 、 ブルブル と 震えて いる と 、   トントン 、 トントン と 、 雨戸 を 叩く 音 が し ました 。 |||かみ|せん||もって|ぶるぶる||ふるえて|||とんとん|とんとん||あまど||たたく|おと||| While the grandfather was shaking with paper money, there was a banging, banging, banging sound on the storm door. 「 来た な 」   お じいさん は 、 そ ー っと 戸 を 開け ました 。 きた||||||-||と||あけ| Grandpa opened the door with a whimper. する と やはり 、 外 に は 白い 着物 の 女 の 人 が 立って い ました 。 |||がい|||しろい|きもの||おんな||じん||たって|| After all, there was a woman in a white kimono standing outside. 「 お じいさん 、 アメ を ください な 」   女 の 人 は 、 細い 声 で 言い ました 。 ||あめ||||おんな||じん||ほそい|こえ||いい| Grandpa, please give me some candy," the woman said in a thin voice. 「 はい 、 では これ を 」   お じいさん が 震え ながら アメ を 差し出す と 、 女 の 人 は アメ の 包み を 大切 そうに 胸 に かかえて 帰って 行き ました 。 |||||||ふるえ||あめ||さしだす||おんな||じん||あめ||つつみ||たいせつ|そう に|むね|||かえって|いき| "Yes, let's do this." When the grandfather trembled and offered the candy, the woman took good care of the candy wrap and went home. 「・・・ 怖い が 、 後 を つけて みる か 」   お じいさん は 女 の 人 の 後 を 、 つけて 行く 事 に し ました 。 こわい||あと||||||||おんな||じん||あと|||いく|こと||| "... I'm scared, but would you like to follow me?" The grandfather decided to follow the woman's back.

女 の 人 は 山道 を 進んで 行き 、 山 の 中 に ある お 墓 に たどり着き ました 。 おんな||じん||やまみち||すすんで|いき|やま||なか||||はか||たどりつき| The woman went along a mountain path and reached a tomb in the mountains. 「 やはり 、 あの 女 は 幽霊 だ な 」   お じいさん が 息 を 殺して 見て いる と 、 女 の 人 は チラリ と お じいさん の 方 を 振り向いて 、 そのまま お 墓 の 中 に 消えて いき ました 。 ||おんな||ゆうれい||||||いき||ころして|みて|||おんな||じん||ちらり|||||かた||ふりむいて|||はか||なか||きえて|| "After all, that woman is a ghost." As the grandfather held his breath and looked at him, the woman turned around and disappeared into the grave. お じいさん が 、 その お 墓 の 前 まで 行って みる と 、 「 オギャー ! |||||はか||ぜん||おこなって||| When the old man went to the grave, he said, "Ogya! オギャー ! 」 と 、 お 墓 の 中 から 、 赤ん坊 の 泣き声 が 聞こえて きた のです 。 ||はか||なか||あかんぼう||なきごえ||きこえて|| ' came the cries of a baby from inside the grave. 「 うわ ー っ ! |-| 」   びっくり した お じいさん は 、 すぐに 町 へ 帰る と 、 見て 来た 事 を みんな に 知らせ ました 。 ||||||まち||かえる||みて|きた|こと||||しらせ| My grandfather was so surprised that he immediately went back to the town and let everyone know what he had seen. そして お 墓 の 持ち主 と お 坊さん を 連れて 、 お 墓 の 前 に 集まり ました 。 ||はか||もちぬし|||ぼうさん||つれて||はか||ぜん||あつまり| Then he gathered in front of the tomb with the owner of the tomb and the monk. さっそく お 墓 の 石 を 取り除き 、 中 を のぞいて 見て びっくり 。 ||はか||いし||とりのぞき|なか|||みて| Immediately remove the stones from the grave and look inside to be surprised. 何と 赤ん坊 が 、 アメ を しゃぶり ながら 死んだ お 母さん の そば に いる のです 。 なんと|あかんぼう||あめ||||しんだ||かあさん||||| What a baby is by the dead mother sucking candy. お 母さん の 顔 は 、 確かに アメ を 買い に 来た 女 の 人 でした 。 |かあさん||かお||たしかに|あめ||かい||きた|おんな||じん| The mother's face was certainly a woman who came to buy candy. お 墓 の 持ち主 の 話 で は 、 この 女 の 人 は 赤ん坊 を 生む 前 に 病気 で 死んだ と の 事 です 。 |はか||もちぬし||はなし||||おんな||じん||あかんぼう||うむ|ぜん||びょうき||しんだ|||こと| The owner of the grave tells us that this woman died of illness before she gave birth to a baby. きっと 、 葬式 が 終わって お 墓 の 中 へ 入れ られた 後 で 、 この 赤ん坊 を 生んだ のでしょう 。 |そうしき||おわって||はか||なか||いれ||あと|||あかんぼう||うんだ| I'm sure he gave birth to this baby after the funeral was over and he was put in the grave. お 坊さん は 念仏 を 唱える と 、 女 の 人 の 足 を ひも で ゆわえ ました 。 |ぼうさん||ねんぶつ||となえる||おんな||じん||あし||||| When the Buddhist priest chanted the Nembutsu, he shook the woman's feet with a string. 「 もう 、 アメ を 買い に 行か なくて も いい んだ よ 。 |あめ||かい||いか||||| "You don't have to go buy candy anymore. 赤ん坊 は 、 我々 が 育てる から ね 。 あかんぼう||われわれ||そだてる|| We will raise the baby. お前 さん の 両足 を 縛って おく から 、 もう 出て 来て は いけない よ 」   そして みんな も 、 女 の 人 の 成仏 を 手 を 合わせて 祈り ました 。 おまえ|||りょうあし||しばって||||でて|きて|||||||おんな||じん||じょうぶつ||て||あわせて|いのり| You shouldn't come out anymore because you're tying your feet together. "And everyone prayed with their hands together for the Buddhahood of a woman.

さて 、 それ から しばらく たった 、 ある 夕暮れ 時 。 ||||||ゆうぐれ|じ Well, it's been a while since then, and one evening at dusk. アメ 屋 の お じいさん が 、 店 を 閉めて 休んで いる と 。 あめ|や|||||てん||しめて|やすんで|| The old man at the candy store said his store was closed and he was taking a rest. トントン 、 トントン 。 とんとん|とんとん トントン 、 トントン 。 とんとん|とんとん と 、 戸 を 叩く 音 が し ました 。 |と||たたく|おと||| Then, there was a banging on the door. 「 すみません 、 アメ を ください な 」 「 はい はい 、 ちょっと お 待ち を 」 お じいさん が 戸 を 開けて 見る と 、 あの 白い 着物 を 来た 女 の 人 が 逆立ち を して 立って い ました 。 |あめ||||||||まち|||||と||あけて|みる|||しろい|きもの||きた|おんな||じん||さかだち|||たって|| "Sorry, please give me a candy." "Yes, wait a minute." When the grandfather opened the door and looked at it, the woman who came in that white kimono stood upside down. お 坊さん に 両足 を ひも で 縛ら れた ので 、 逆立ち の まま やって 来た のです 。 |ぼうさん||りょうあし||||しばら|||さかだち||||きた| His legs were tied to the monk with a string, so he came in a handstand. 「 ひ ぇ ーー っ ! ||--| "Oh my God! 」   お じいさん は 腰 を 抜かして 、 言葉 が 出 ませ ん 。 |||こし||ぬかして|ことば||だ|| '' The old man was dumbfounded and at a loss for words. 「 すみません 、 アメ を ください な 」   逆立ち の 女 の 人 が もう 一 度 言った ので 、 お じいさん は 何とか アメ を 差し出す と 、 女 の 人 は アメ の 包み を 大切 そうに 胸 に 抱えて 闇 の 中 へ 消えて 行き ました 。 |あめ||||さかだち||おんな||じん|||ひと|たび|いった|||||なんとか|あめ||さしだす||おんな||じん||あめ||つつみ||たいせつ|そう に|むね||かかえて|やみ||なか||きえて|いき| "I'm sorry, please give me a candy." The handstand woman said again, and when the grandfather managed to offer the candy, the woman carefully held the candy wrap in her chest and disappeared into the darkness. I went.

アメ 屋 の お じいさん の 知らせ を 受けて 、 お 墓 の 持ち主 と お 坊さん は 、 それ から 何度 も 女 の 人 の 供養 を し ました が 、 それ から 何 年 も の 間 、 女 の 人 は お じいさん の 店 に アメ を 買い に 来た そうです 。 あめ|や|||||しらせ||うけて||はか||もちぬし|||ぼうさん||||なんど||おんな||じん||くよう|||||||なん|とし|||あいだ|おんな||じん|||||てん||あめ||かい||きた|そう です After receiving the news from the candy shop's grandfather, the owner of the grave and the priest made offerings to the woman many times, and for many years after that, the woman came to his store to buy candy.

おしまい the end