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江戸小話, 入りにくい

入り にくい

ある 真 夜中 、 店 に 窓 から 忍び込もう と して いた 泥棒 が 店 の 若者 たち に 見つかって 、 簡単に 捕まって しまい ました 。 「 この 泥棒 め ! 店 に 忍び込む と は とんでもない 奴 だ ! 」 「 ぐるぐる巻き に して 、 お 役人 に 引き渡して しまえ ! 」 若者 たち が 興奮 して 大騒ぎ して いる と 、 その 騒ぎ を 聞きつけた 店 の 旦那 が やって 来 ました 。 「 これ は 旦那 さま 。 ただいま 泥棒 を 捕まえた ところ です 」 「 なに 、 泥棒 と な 」 ところが この 旦那 は 大 変心 の やさしい 人 で 、 泥棒 を 番 所 ( ばんしょ → 今 で いう 交番 ) に 突き出す どころ か 、 「 この 寒空 の 中 、 泥棒 を し なければ なら ない と は よほど の 事情 が あって の 事 でしょう 。 さあ 、 今日 の 所 は これ を 持って お 帰り なさい 」 と 、 銭 三百 文 (1万 円 ほど ) を 握ら せて 、 そのまま 泥棒 を 逃げ して やろう と した のです 。 する と 泥棒 は 、 すっかり 感激 ( かんげき ) して 言い ました 。 「 旦那 さま 。 こんなに ご 親切に さ れ ます と 、 わたし は この後 、 この 家 に は 入り にくう ございます 」 感激 は して も 、 泥棒 を やめる つもり は ない ようです ね 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


入り にくい

ある 真 夜中 、 店 に 窓 から 忍び込もう と して いた 泥棒 が 店 の 若者 たち に 見つかって 、 簡単に 捕まって しまい ました 。 「 この 泥棒 め ! 店 に 忍び込む と は とんでもない 奴 だ ! 」 「 ぐるぐる巻き に して 、 お 役人 に 引き渡して しまえ ! 」   若者 たち が 興奮 して 大騒ぎ して いる と 、 その 騒ぎ を 聞きつけた 店 の 旦那 が やって 来 ました 。 「 これ は 旦那 さま 。 ただいま 泥棒 を 捕まえた ところ です 」 「 なに 、 泥棒 と な 」   ところが この 旦那 は 大 変心 の やさしい 人 で 、 泥棒 を 番 所 ( ばんしょ → 今 で いう 交番 ) に 突き出す どころ か 、 「 この 寒空 の 中 、 泥棒 を し なければ なら ない と は よほど の 事情 が あって の 事 でしょう 。 さあ 、 今日 の 所 は これ を 持って お 帰り なさい 」 と 、 銭 三百 文 (1万 円 ほど ) を 握ら せて 、 そのまま 泥棒 を 逃げ して やろう と した のです 。 する と 泥棒 は 、 すっかり 感激 ( かんげき ) して 言い ました 。 「 旦那 さま 。 こんなに ご 親切に さ れ ます と 、 わたし は この後 、 この 家 に は 入り にくう ございます 」   感激 は して も 、 泥棒 を やめる つもり は ない ようです ね 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )