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江戸小話, パッと死ぬ

パッと 死ぬ

パッと 死ぬ

若者 たち が 集まって 、 た あい も ない 事 を 話して いる うち に 、 その うち の 一 人 が 言い ました 。 「 よく 聞け 。 おれ が 死ぬ 時 、 男らしく パッと 死んで みせる ぞ 」 それ を 聞いた 他 の 者 は 笑って 、 「 バカ いえ 。 そう は 、 うまく いく もん か 」 「 そうそう 、 そんな 奴 ほど 、 病気 に なって も しぶとく 生きて いる もん だ 」 と 、 言い ました 。 しかし 男 は 、 「 いや 、 何が何でも 、 おれ は 、 パッと 死んで みせる 。 絶対 だ 」 と 、 言って きき ませ ん 。

ところが 二 、 三 日 する と 、 その 男 は 馬 に けら れて 、 本当に パッと 死んで しまい ました 。 男 と 一緒に 話 を して いた 連中 は 、 お 通夜 ( つや → 死者 を 葬る 前 に 家族 ・ 縁者 ・ 知人 など が 、 遺体 の 側 で 終夜 守って いる こと ) の 席 で 、 すっかり 感心 して 言い ました 。 「 いや あ 、 まったく 、 大した もの だ 」 「 あいつ 。 本当に 、 パッと 死んだ なあ 」 「 うん 。 生きて いたら 、 今頃 は 鼻 たかだか と 、 わし ら に じまん して おる こと だろう 」 「 ああ 、 そう 言えば 、 あいつ が 死ぬ 時 に 一緒に いた 男 が 言って おった が 、 あいつ の 最後 の 言葉 を 知っている か ? 」 「 いや 、 知ら ぬ ぞ 。 何て 言って いた んだ ? 」 「 それ が な 、 あいつ は 死ぬ 直前 に 、『 やった ぞ ! おれ は パッと 死んで みせた ぞ ! 』 と 、 言って いた そうだ 」

おしまい


パッと 死ぬ ぱっと|しぬ

パッと 死ぬ ぱっと|しぬ

若者 たち が 集まって 、 た あい も ない 事 を 話して いる うち に 、 その うち の 一 人 が 言い ました 。 わかもの|||あつまって|||||こと||はなして|||||||ひと|じん||いい| 「 よく 聞け 。 |きけ おれ が 死ぬ 時 、 男らしく パッと 死んで みせる ぞ 」   それ を 聞いた 他 の 者 は 笑って 、 「 バカ いえ 。 ||しぬ|じ|おとこらしく|ぱっと|しんで|||||きいた|た||もの||わらって|ばか| そう は 、 うまく いく もん か 」 「 そうそう 、 そんな 奴 ほど 、 病気 に なって も しぶとく 生きて いる もん だ 」 と 、 言い ました 。 ||||||そう そう||やつ||びょうき|||||いきて|||||いい| しかし 男 は 、 「 いや 、 何が何でも 、 おれ は 、 パッと 死んで みせる 。 |おとこ|||なにがなんでも|||ぱっと|しんで| 絶対 だ 」 と 、 言って きき ませ ん 。 ぜったい|||いって|||

ところが 二 、 三 日 する と 、 その 男 は 馬 に けら れて 、 本当に パッと 死んで しまい ました 。 |ふた|みっ|ひ||||おとこ||うま||||ほんとうに|ぱっと|しんで|| 男 と 一緒に 話 を して いた 連中 は 、 お 通夜 ( つや → 死者 を 葬る 前 に 家族 ・ 縁者 ・ 知人 など が 、 遺体 の 側 で 終夜 守って いる こと ) の 席 で 、 すっかり 感心 して 言い ました 。 おとこ||いっしょに|はなし||||れんちゅう|||つや||ししゃ||ほうむる|ぜん||かぞく|えんじゃ|ちじん|||いたい||がわ||しゅうや|まもって||||せき|||かんしん||いい| 「 いや あ 、 まったく 、 大した もの だ 」 「 あいつ 。 |||たいした||| 本当に 、 パッと 死んだ なあ 」 「 うん 。 ほんとうに|ぱっと|しんだ|| 生きて いたら 、 今頃 は 鼻 たかだか と 、 わし ら に じまん して おる こと だろう 」 「 ああ 、 そう 言えば 、 あいつ が 死ぬ 時 に 一緒に いた 男 が 言って おった が 、 あいつ の 最後 の 言葉 を 知っている か ? いきて||いまごろ||はな|||||||||||||いえば|||しぬ|じ||いっしょに||おとこ||いって|||||さいご||ことば||しっている| 」 「 いや 、 知ら ぬ ぞ 。 |しら|| 何て 言って いた んだ ? なんて|いって|| 」 「 それ が な 、 あいつ は 死ぬ 直前 に 、『 やった ぞ ! |||||しぬ|ちょくぜん||| おれ は パッと 死んで みせた ぞ ! ||ぱっと|しんで|| 』 と 、 言って いた そうだ 」 |いって||そう だ

おしまい