×

We use cookies to help make LingQ better. By visiting the site, you agree to our cookie policy.


image

江戸小話, おたばこ入れ

お たばこ 入れ

お たばこ 入れ

ある 家 に 、 泥棒 が 入り ました 。 「 さて 、 何 か 盗もう か 」 泥棒 が あちらこちら 見回し ました が 、 この 家 に は たんす も なければ 米 び つ に 米 も 入って い ませ ん 。 「 うむ 、・・・ それほど 貧乏に は 見え なかった が 、 いやはや 、 ひどい 貧乏 暮らし だ 」 さすが の 泥棒 も あわれに 思って 、 寝て いる 夫婦 を ゆりおこす と 、 「 おい 、 おれ は 泥棒 だ 。 何 か を 盗もう と この 家 に 入った が 、 お前たち が あんまりに も 貧乏な の に は 、 驚いた 。 おかしな 話し だ が 、 少し めぐんで やろう 」 と 、 財布 から 百 文 (→ 三千 円 ほど ) を 取り出して 、 主人 に 手渡し ました 。 わずか 百 文 でも 、 この 貧乏 夫婦 に は 大金 です 。 二 人 は とても 喜び 、 どろぼう を おがみ ながら お 金 を 受け取り ました 。 「 じゃあ 、 たっしゃで な 」 泥棒 は すっかり いい 気持ち に なって 、 今日 は 帰る こと に し ました 。

さて 、 しばらく 行く と 先ほど の 家 の 主人 が 、 「 お ー い 、 泥棒 ー 、 泥棒 ー 」 と 、 追いかけて き ます 。 「 あの やろう ! 恩 を あだ で 返す つもりだ な 。 人でなし め 。 そば に 来たら 、 真っ二つ に して くれる わ ! 」 泥棒 が 刀 に 手 を かけて 待って いる と 、 ようやく 追いついた 主人 が 言い ました 。 「 泥棒 さま 。 先ほど は ありがとう ございました 。 あの 、 お たばこ 入れ を お 忘れ です よ 。 はい 」

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


お たばこ 入れ ||いれ

お たばこ 入れ ||いれ

ある 家 に 、 泥棒 が 入り ました 。 |いえ||どろぼう||はいり| 「 さて 、 何 か 盗もう か 」   泥棒 が あちらこちら 見回し ました が 、 この 家 に は たんす も なければ 米 び つ に 米 も 入って い ませ ん 。 |なん||ぬすもう||どろぼう|||みまわし||||いえ||||||べい||||べい||はいって||| 「 うむ 、・・・ それほど 貧乏に は 見え なかった が 、 いやはや 、 ひどい 貧乏 暮らし だ 」   さすが の 泥棒 も あわれに 思って 、 寝て いる 夫婦 を ゆりおこす と 、 「 おい 、 おれ は 泥棒 だ 。 ||びんぼうに||みえ|||||びんぼう|くらし||||どろぼう|||おもって|ねて||ふうふ|||||||どろぼう| 何 か を 盗もう と この 家 に 入った が 、 お前たち が あんまりに も 貧乏な の に は 、 驚いた 。 なん|||ぬすもう|||いえ||はいった||おまえたち||||びんぼうな||||おどろいた おかしな 話し だ が 、 少し めぐんで やろう 」 と 、 財布 から 百 文 (→ 三千 円 ほど ) を 取り出して 、 主人 に 手渡し ました 。 |はなし|||すこし||||さいふ||ひゃく|ぶん|さんせん|えん|||とりだして|あるじ||てわたし| わずか 百 文 でも 、 この 貧乏 夫婦 に は 大金 です 。 |ひゃく|ぶん|||びんぼう|ふうふ|||たいきん| 二 人 は とても 喜び 、 どろぼう を おがみ ながら お 金 を 受け取り ました 。 ふた|じん|||よろこび||||||きむ||うけとり| 「 じゃあ 、 たっしゃで な 」   泥棒 は すっかり いい 気持ち に なって 、 今日 は 帰る こと に し ました 。 |||どろぼう||||きもち|||きょう||かえる||||

さて 、 しばらく 行く と 先ほど の 家 の 主人 が 、 「 お ー い 、 泥棒 ー 、 泥棒 ー 」 と 、 追いかけて き ます 。 ||いく||さきほど||いえ||あるじ|||-||どろぼう|-|どろぼう|-||おいかけて|| 「 あの やろう ! 恩 を あだ で 返す つもりだ な 。 おん||||かえす|| 人でなし め 。 ひとでなし| そば に 来たら 、 真っ二つ に して くれる わ ! ||きたら|まっぷたつ|||| 」   泥棒 が 刀 に 手 を かけて 待って いる と 、 ようやく 追いついた 主人 が 言い ました 。 どろぼう||かたな||て|||まって||||おいついた|あるじ||いい| 「 泥棒 さま 。 どろぼう| 先ほど は ありがとう ございました 。 さきほど||| あの 、 お たばこ 入れ を お 忘れ です よ 。 |||いれ|||わすれ|| はい 」

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )