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江戸小話, 負け惜しみ

負け惜しみ

小 助 ( こす け ) の 家 に 、 友だち の 平六 ( へい ろく ) が やって 来 ました 。 「 おお 寒い な 。 こう 寒くっちゃ あ 、 やり きれ ねえ な 」 「 本当に な 、 寒くて かなわ ねぇ 。 どう だい 、 今夜 あたり ふぐ でも 食い に 行く か 」 小 助 が 誘う と 、 平六 は 顔 を しかめて 言い ました 。 「 いやいや 、 ふぐ は やめよう 」 「 なんだ お前 、 ふぐ に あたる (→ ふぐ を 食べて 毒 に やられる の を 、 ふぐ に あたる と いい ます ) の が 、 そんなに 怖い の か ? 」 「 いや 、 怖く は ない 。 ただ 、 魚 が 嫌いな の さ 。 その代わり 四 本 足 なら 、 何でも 食 っち まう ぜ 。 犬 でも 、 ネコ でも 、 キツネ でも 、 タヌキ でも 、 ウマ でも 、 ウシ でも 、 それ に サル でも 、 四 本 足 なら 何でも ござ れ だ 」 する と 小 助 が 、 意地 悪く 言い ました 。 「 ほほ う 。 四 本 足 なら 何でも か 。 ・・・ それ なら 、 この こたつ も 四 本 足 だ 、 これ も 食う の か ? 」 「 ああ 、 こいつ も 食って 食え ない 事 は ない が 、 しかし こたつ は あたる 物 だろう 。 あたる 物 と 知って は 、 どうも 食い にくい 」

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


負け惜しみ まけおしみ

小 助 ( こす け ) の 家 に 、 友だち の 平六 ( へい ろく ) が やって 来 ました 。 しょう|じょ||||いえ||ともだち||へいろく|||||らい| 「 おお 寒い な 。 |さむい| こう 寒くっちゃ あ 、 やり きれ ねえ な 」 「 本当に な 、 寒くて かなわ ねぇ 。 |さむくっちゃ||||||ほんとうに||さむくて|| どう だい 、 今夜 あたり ふぐ でも 食い に 行く か 」   小 助 が 誘う と 、 平六 は 顔 を しかめて 言い ました 。 ||こんや||||くい||いく||しょう|じょ||さそう||へいろく||かお|||いい| 「 いやいや 、 ふぐ は やめよう 」 「 なんだ お前 、 ふぐ に あたる (→ ふぐ を 食べて 毒 に やられる の を 、 ふぐ に あたる と いい ます ) の が 、 そんなに 怖い の か ? |||||おまえ||||||たべて|どく||||||||||||||こわい|| 」 「 いや 、 怖く は ない 。 |こわく|| ただ 、 魚 が 嫌いな の さ 。 |ぎょ||きらいな|| その代わり 四 本 足 なら 、 何でも 食 っち まう ぜ 。 そのかわり|よっ|ほん|あし||なんでも|しょく||| 犬 でも 、 ネコ でも 、 キツネ でも 、 タヌキ でも 、 ウマ でも 、 ウシ でも 、 それ に サル でも 、 四 本 足 なら 何でも ござ れ だ 」   する と 小 助 が 、 意地 悪く 言い ました 。 いぬ||ねこ||きつね||たぬき||||うし||||さる||よっ|ほん|あし||なんでも||||||しょう|じょ||いじ|わるく|いい| 「 ほほ う 。 四 本 足 なら 何でも か 。 よっ|ほん|あし||なんでも| ・・・ それ なら 、 この こたつ も 四 本 足 だ 、 これ も 食う の か ? |||||よっ|ほん|あし||||くう|| 」 「 ああ 、 こいつ も 食って 食え ない 事 は ない が 、 しかし こたつ は あたる 物 だろう 。 |||くって|くえ||こと||||||||ぶつ| あたる 物 と 知って は 、 どうも 食い にくい 」 |ぶつ||しって|||くい|

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )