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Fairy Tales, ウマのふん

ウマ の ふん

ウマ の ふん

むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。 この 頃 吉 四六 さん は 、 妙な 事 を 始め ました 。 毎朝 、 ざる に ウマ の ふん を 入れて 、 川 に さらして 洗って いる のです 。 そして 洗い流す と 、 ざる の 中 に いくらか の お 金 が 入って いる のです 。 「 今朝 も 、 もう かっ たわい 」 吉 四六 さん は 、 ざる に お 金 を 入れた まま 、 見せびらかす 様 に 帰って 行き ました 。 それ を 見て いた 近所 の 人 が 、 吉 四六 さん に 尋ね ました 。 「 吉 四六 さん 。 その お 金 、 まさか ウマ の ふん から 出た ので は ない だろう な 」 「 はい 、 確かに ふん から 出た 物 じゃ 」 「 する と お前 さん の ウマ は 、 お 金 の ふん を する の か ね ? 」 「 そう だ が 、 それ が 何 か ? さあ 、 それ を 聞いた 村 の 人 たち は 、 みんな 吉 四六 さん の ウマ が 欲しく なり ました 。 「 吉 四六 さん 。 その ウマ を 売って は くれ ん か ? 」 「 いや 、 売ら ん ぞ 。 このまま 持って いれば 、 金持ち に なれる もん な 」 売ら ない と 言えば 、 よけいに 欲しく なる もの です 。 「 五十 両 出す から 、 売って くれ 」 「 いや 、 おれ は 七十 両 だ 」 「 わし なら 、 百 両 出す ぞ 」 でも 、 吉 四六 さん は 、 「 そんな 金 、 毎日 ふん を 洗って おれば 、 すぐ に 貯まる わい 」 と 、 ウマ を 売ろう と は し ない のです 。 そして とうとう 、 噂 を 聞いた 町 一 番 の ウマ 買い が やって 来 ました 。 すると 吉 四六 さん は 、 「 仕方 ねえ な 。 村 の 人 なら ともかく 、 わざわざ 町 から 来た んじゃ 断れ ねえ 。 ただし 、 毎日 上等な えさ を やって くれ よ 」 と 、 とうとう ウマ を 手放した のです 。 ウマ 買い は 大金 を 置いて 、 喜んで ウマ を 引いて 行き ました 。 ところが ウマ 買い は 毎日 特別 上等な えさ を やって 、 大 事 大事に して いる のです が 、 ウマ は お 金 の ふん を 出さ ない のです 。 最初の 二 、 三 日 は 、 数 枚 の お 金 が 出て 来た のです が 、 それ から は まるで 出て き ませ ん 。 「 吉 四六 め ! だまし やがった な ! 」 怒った ウマ 買い は 村 に やって 来る と 、 「 やい 、 吉 四六 。 あの ウマ は 金 を 出さ ん ぞ ! 」 と 、 怒鳴り 込み ました 。 すると 吉 四六 さん は 、 「 はて ? そんな はず は 。 ・・・ えさ が 悪い んじゃ ない の か ? 」 「 何 を 言う か 。 ムギ やら ニンジン やら 、 毎日 上等な えさ を やって 、 大事に して いる んだ ! 」 「 ムギ や ニンジン ねえ 。 まあ 、 確かに それ も 上等な えさ だ が 。 ・・・ で 、 その えさ に は 、 お 金 は 入って いる かい ? 」 「 金 ? 」 「 そうさ 、 どんなに いいえ さ でも 、 お 金 入り の えさ ほど 上等じゃ ねえ 。 この世 で 一 番 上等な えさ は 、 お 金 入り の えさ だ 。 それ さえ やれば 、 ウマ は お 金 の 入った ふん を する よ 」

おしまい


ウマ の ふん horse dung paardenvijgen at gübresi

ウマ の ふん

むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。 ||きち|しろく|||いう|||じん||| この 頃 吉 四六 さん は 、 妙な 事 を 始め ました 。 |ころ|きち|しろく|||みょうな|こと||はじめ| 毎朝 、 ざる に ウマ の ふん を 入れて 、 川 に さらして 洗って いる のです 。 まいあさ|||||||いれて|かわ|||あらって|| そして 洗い流す と 、 ざる の 中 に いくらか の お 金 が 入って いる のです 。 |あらいながす||||なか|||||きむ||はいって|| 「 今朝 も 、 もう かっ たわい 」   吉 四六 さん は 、 ざる に お 金 を 入れた まま 、 見せびらかす 様 に 帰って 行き ました 。 けさ|||か っ|たわ い|きち|しろく||||||きむ||いれた||みせびらかす|さま||かえって|いき| それ を 見て いた 近所 の 人 が 、 吉 四六 さん に 尋ね ました 。 ||みて||きんじょ||じん||きち|しろく|||たずね| 「 吉 四六 さん 。 きち|しろく| その お 金 、 まさか ウマ の ふん から 出た ので は ない だろう な 」 「 はい 、 確かに ふん から 出た 物 じゃ 」 「 する と お前 さん の ウマ は 、 お 金 の ふん を する の か ね ? ||きむ||||||でた|||||||たしかに|||でた|ぶつ||||おまえ||||||きむ||||||| 」 「 そう だ が 、 それ が 何 か ? |||||なん| さあ 、 それ を 聞いた 村 の 人 たち は 、 みんな 吉 四六 さん の ウマ が 欲しく なり ました 。 |||きいた|むら||じん||||きち|しろく|||||ほしく|| 「 吉 四六 さん 。 きち|しろく| その ウマ を 売って は くれ ん か ? |||うって|||| 」 「 いや 、 売ら ん ぞ 。 |うら|| このまま 持って いれば 、 金持ち に なれる もん な 」   売ら ない と 言えば 、 よけいに 欲しく なる もの です 。 |もって||かねもち|||||うら|||いえば||ほしく||| 「 五十 両 出す から 、 売って くれ 」 「 いや 、 おれ は 七十 両 だ 」 「 わし なら 、 百 両 出す ぞ 」   でも 、 吉 四六 さん は 、 「 そんな 金 、 毎日 ふん を 洗って おれば 、 すぐ に 貯まる わい 」 と 、 ウマ を 売ろう と は し ない のです 。 ごじゅう|りょう|だす||うって|||||しちじゅう|りょう||||ひゃく|りょう|だす|||きち|しろく||||きむ|まいにち|||あらって||||たまる|わ い||||うろう||||| そして とうとう 、 噂 を 聞いた 町 一 番 の ウマ 買い が やって 来 ました 。 ||うわさ||きいた|まち|ひと|ばん|||かい|||らい| すると 吉 四六 さん は 、 「 仕方 ねえ な 。 |きち|しろく|||しかた|| 村 の 人 なら ともかく 、 わざわざ 町 から 来た んじゃ 断れ ねえ 。 むら||じん||||まち||きた||ことわれ| ただし 、 毎日 上等な えさ を やって くれ よ 」 と 、 とうとう ウマ を 手放した のです 。 |まいにち|じょうとうな||||||||||てばなした| ウマ 買い は 大金 を 置いて 、 喜んで ウマ を 引いて 行き ました 。 |かい||たいきん||おいて|よろこんで|||ひいて|いき| ところが ウマ 買い は 毎日 特別 上等な えさ を やって 、 大 事 大事に して いる のです が 、 ウマ は お 金 の ふん を 出さ ない のです 。 ||かい||まいにち|とくべつ|じょうとうな||||だい|こと|だいじに||||||||きむ||||ださ|| 最初の 二 、 三 日 は 、 数 枚 の お 金 が 出て 来た のです が 、 それ から は まるで 出て き ませ ん 。 さいしょの|ふた|みっ|ひ||すう|まい|||きむ||でて|きた|||||||でて||| 「 吉 四六 め ! きち|しろく| だまし やがった な ! |や がった| 」   怒った ウマ 買い は 村 に やって 来る と 、 「 やい 、 吉 四六 。 いかった||かい||むら|||くる|||きち|しろく あの ウマ は 金 を 出さ ん ぞ ! |||きむ||ださ|| 」 と 、 怒鳴り 込み ました 。 |どなり|こみ| すると 吉 四六 さん は 、 「 はて ? |きち|しろく||| そんな はず は 。 ・・・ えさ が 悪い んじゃ ない の か ? ||わるい|||| 」 「 何 を 言う か 。 なん||いう| ムギ やら ニンジン やら 、 毎日 上等な えさ を やって 、 大事に して いる んだ ! ||にんじん||まいにち|じょうとうな||||だいじに||| 」 「 ムギ や ニンジン ねえ 。 ||にんじん| まあ 、 確かに それ も 上等な えさ だ が 。 |たしかに|||じょうとうな||| ・・・ で 、 その えさ に は 、 お 金 は 入って いる かい ? ||||||きむ||はいって|| 」 「 金 ? きむ 」 「 そうさ 、 どんなに いいえ さ でも 、 お 金 入り の えさ ほど 上等じゃ ねえ 。 そう さ||||||きむ|はいり||||じょうとうじゃ| この世 で 一 番 上等な えさ は 、 お 金 入り の えさ だ 。 このよ||ひと|ばん|じょうとうな||||きむ|はいり||| それ さえ やれば 、 ウマ は お 金 の 入った ふん を する よ 」 ||||||きむ||はいった||||

おしまい