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Fairy Tales, オオカミ の 恩返し

オオカミ の 恩返し

オオカミ の 恩返し

むかし むかし 、 ある 山 の 中 の 一軒家 に 、 お母さん と 息子 が くらしていました 。 二人 は ひどい 貧乏 だった ので 、 お 母さん も 息子 も 、 毎日 毎日 働き づく めです 。 ある日 の ま 夜中 の 事 、 お 母さん が 急 の 病 に かかって 苦しんで い ました 。 医者 は 、 山 の 向こう の 里 に しか いません 。 それ に 山 に は たくさんの オオカミ が いる ので 、 夜 に なる と 誰 も 外 に 出よう と は しませ ん 。 ですが 息子 は 、 お 母さん の 病気 を 治したい 一心 で 出かけました 。 「 お願い だ 。オオカミ よ 、 どうか 出 ないで くれ 」 息子 は 神さま に いのり ながら 、 山道 を 急ぎ ました が 、 やっぱり オオカミ は 出て きた のです 。 一匹 の 大きな オオカミ に 、 まっ赤 な 目 で にらま れた 息子 は 、 「 オオカミ よ 、 今 だけ は おら を 食う の を かんべん して くれ 。 お母さん が 病気 で 苦しんで いる んだ 。 お医者さま を 連れて 来ない と 。 だから たのむ 。 見 逃がして くれ 」 と 、 言い ました が 、 オオカミ は こっち へ 近づいて き ます 。 「 たのむ 。お 医者 さま を 連れて 来たら 、 きっと 食わ れ に 来る から 」 息子 は 泣いて たのみ ました が 、 オオカミ は どんどん 近づいて き ます 。 オオカミ の 息 が 顔 に かかった とき 、 息子 は 目 を つぶって 、 オオカミ に 食べ られる の を 覚悟 しました 。 ですが 、 オオカミ は かみついて きません 。 ( もっ 、 もし かして 、 見逃して くれた の か ?) 息子 が ゆっくり と 目 を 開ける と 、 オオカミ は やっぱり 目の前 に い ます 。 「 ヒエーッ !」 息子 は 再び 目 を つぶり ました が 、 オオカミ は その 場 に ジッと しています 。 ( どうした ? どうして 、 かみつか ない んだ ? なに か 、 言い たい こと で も ある の か ?) 不思議に 思った 息子 が オオカミ を 見て いる と 、 どうも オオカミ の 様子 が おかしい のです 。 舌 を ベロン と 出して 、 口 を 大きく 開けた まま 、 何度 も 頭 を 下げたり 上げたり して い ます 。 どうも 、 口 に ある 何 か を うったえて いる 様子 です 。 息子 が オオカミ の 口 の 中 を のぞいて みる と 、 キラリ と 光る 物 が あり ました 。 「 おや 、 のど に 骨 が 刺さっとる ぞ 」 息子 は オオカミ の のど に 手 を 入れて 、 刺さって いた 骨 を 抜いて やりました 。 すると オオカミ は 何度 も 何度 も 頭 を 下げて 、 そのまま 立ち去って いき ました 。 息子 は 何とか 無事に 、 医者 の 家 を たずねた のです が 、 医者 は オオカミ を 怖 がって 、 外 に 出よう と は しません 。 そこ で 息子 は 薬 だけ を もらって 、 急いで 山道 を 引き返して いきました 。 すると 今度 は 、 四 、 五十 匹 も の オオカミ が 息子 に 寄って 来て 、 するどい キバ を 息子 に 向けました 。 ( あ あっ 、 今度 こそ だめだ 。 お母さん 。すまん! 息子 が 覚悟 を 決めた その 時 、 突然 大きな オオカミ が 飛び 込んで 来て 、 取り囲んで いる オオカミ に 向かって ほえました 。 すると 息子 を 取り囲んで いた オオカミ たち は 、 一斉 に どこ か へ 行って しまいました 。 この 大きな オオカミ は 、 さっき 息子 が 骨 を 抜いて やった オオカミ で 、 オオカミ の 大将 だった のです 。 息子 は オオカミ の 大将 に 守られ ながら 、 無事に 家 に 帰る こと が 出来 ました 。 次の 朝 、 息子 が 家 を 出よう と する と 、 家 の 前 に イノシシ や ウサギ や キジ など の 獲物 が 、 山 の ように つまれて います 。 息子 は それ を ふもと の 里 に 売り に 行き 、 たくさんの お 金 を 手 に する こと が 出来 ました 。 また 、 お 母さん の 病気 も すっかり よく なった ので 、 二 人 は 幸せに 暮らす こと が 出来 ました 。 おしまい

おしまい

オオカミ の 恩返し おおかみ||おんがえし Return of the Wolf Remboursement du loup. Terugbetaling van de wolf. Погашение волчьей задолженности. Kurt geri ödemesi.

オオカミ の 恩返し おおかみ||おんがえし Wolf repayment

むかし むかし 、 ある 山 の 中 の 一軒家 に 、 お母さん と 息子 が くらしていました 。 |||やま||なか||いっけんや||お かあさん||むすこ||くらして いました Once upon a time, a mother and her son lived in a house in the mountains. 二人 は ひどい 貧乏 だった ので 、 お 母さん も 息子 も 、 毎日 毎日 働き づく めです 。 ふた り|||びんぼう||||かあさん||むすこ||まいにち|まいにち|はたらき|| They were so poor that both their mother and son worked day after day. ある日 の ま 夜中 の 事 、 お 母さん が 急 の 病 に かかって 苦しんで い ました 。 ある ひ|||よなか||こと||かあさん||きゅう||びょう|||くるしんで|| One day in the middle of the night, the mother was suffering from a sudden illness. 医者 は 、 山 の 向こう の 里 に しか いません 。 いしゃ||やま||むこう||さと|||いま せ ん The doctor is only in the village over the mountain. それ に 山 に は たくさんの オオカミ が いる ので 、 夜 に なる と 誰 も 外 に 出よう と は しませ ん 。 ||やま||||おおかみ||||よ||||だれ||がい||でよう|||し ませ| And since there are so many wolves in the mountains, no one wants to go out at night. ですが 息子 は 、 お 母さん の 病気 を 治したい 一心 で 出かけました 。 |むすこ|||かあさん||びょうき||なおしたい|ひと こころ||でかけました But my son went out with the sole intention of curing his mother's illness. 「 お願い だ 。オオカミ よ 、 どうか 出 ないで くれ 」 お ねがい||おおかみ|||だ|| "Please. Wolf, please don't come out." 息子 は 神さま に いのり ながら 、 山道 を 急ぎ ました が 、 やっぱり オオカミ は 出て きた のです 。 むすこ||かみさま||||やまみち||いそぎ||||おおかみ||でて|| The son prayed to God and hurried up the mountain path, but the wolf came out after all. 一匹 の 大きな オオカミ に 、 まっ赤 な 目 で にらま れた 息子 は 、 「 オオカミ よ 、 今 だけ は おら を 食う の を かんべん して くれ 。 ひと ひき||おおきな|おおかみ||まっあか||め||||むすこ||おおかみ||いま|||||くう||||| A big wolf, with bright red eyes, said to his son, "Wolf, just for now, please eat me. お母さん が 病気 で 苦しんで いる んだ 。 お かあさん||びょうき||くるしんで|| My mother is suffering from an illness. お医者さま を 連れて 来ない と 。 お いしゃ さま||つれて|こ ない| I have to bring a doctor. だから たのむ 。 That's why I'm begging you. 見 逃がして くれ 」 と 、 言い ました が 、 オオカミ は こっち へ 近づいて き ます 。 み|にがして|||いい|||おおかみ||||ちかづいて|| Let me go", but the wolf kept coming closer. 「 たのむ 。お 医者 さま を 連れて 来たら 、 きっと 食わ れ に 来る から 」 ||いしゃ|||つれて|きたら||くわ|||くる| "Please. If you bring the doctor, I'm sure he will come and eat you." 息子 は 泣いて たのみ ました が 、 オオカミ は どんどん 近づいて き ます 。 むすこ||ないて||||おおかみ|||ちかづいて|| My son cried and pleaded, but the wolf kept coming closer and closer. オオカミ の 息 が 顔 に かかった とき 、 息子 は 目 を つぶって 、 オオカミ に 食べ られる の を 覚悟 しました 。 おおかみ||いき||かお||||むすこ||め|||おおかみ||たべ||||かくご| When the wolf's breath hit his face, he closed his eyes and prepared to be eaten by the wolf. ですが 、 オオカミ は かみついて きません 。 |おおかみ||| But the wolf does not bite. ( もっ 、 もし かして 、 見逃して くれた の か ?) も っ|||みのがして||| (Oh, my God, did you miss that?) 息子 が ゆっくり と 目 を 開ける と 、 オオカミ は やっぱり 目の前 に い ます 。 むすこ||||め||あける||おおかみ|||めのまえ||| When he slowly opens his eyes, the wolf is still right in front of him. 「 ヒエーッ !」 Whew! 息子 は 再び 目 を つぶり ました が 、 オオカミ は その 場 に ジッと しています 。 むすこ||ふたたび|め|||||おおかみ|||じょう||じっと|して います My son closes his eyes again, but the wolf remains still. ( どうした ? どうして 、 かみつか ない んだ ? (What's the matter? Why don't you bite me? なに か 、 言い たい こと で も ある の か ?) ||いい||||||| Do you have something you want to say?) 不思議に 思った 息子 が オオカミ を 見て いる と 、 どうも オオカミ の 様子 が おかしい のです 。 ふしぎに|おもった|むすこ||おおかみ||みて||||おおかみ||ようす|||の です My son, who was curious, looked at the wolf and saw that it was acting strangely. 舌 を ベロン と 出して 、 口 を 大きく 開けた まま 、 何度 も 頭 を 下げたり 上げたり して い ます 。 した||||だして|くち||おおきく|あけた||なんど||あたま||さげたり|あげたり||| He sticks out his tongue, keeps his mouth wide open, and repeatedly lowers and raises his head. どうも 、 口 に ある 何 か を うったえて いる 様子 です 。 |くち|||なん|||||ようす| It seems to be moaning about something in its mouth. 息子 が オオカミ の 口 の 中 を のぞいて みる と 、 キラリ と 光る 物 が あり ました 。 むすこ||おおかみ||くち||なか|||||きらり||ひかる|ぶつ||| When my son peeked inside the wolf's mouth, he saw something shiny. 「 おや 、 のど に 骨 が 刺さっとる ぞ 」 |||こつ||とげ さっとる| "Oh, no, he's got a bone stuck in his throat." 息子 は オオカミ の のど に 手 を 入れて 、 刺さって いた 骨 を 抜いて やりました 。 むすこ||おおかみ||||て||いれて|ささって||こつ||ぬいて| My son put his hand down the wolf's throat and pulled out the bone that was stuck in it. すると オオカミ は 何度 も 何度 も 頭 を 下げて 、 そのまま 立ち去って いき ました 。 |おおかみ||なんど||なんど||あたま||さげて||たちさって|| The wolf bowed his head again and again and then walked away. 息子 は 何とか 無事に 、 医者 の 家 を たずねた のです が 、 医者 は オオカミ を 怖 がって 、 外 に 出よう と は しません 。 むすこ||なんとか|ぶじに|いしゃ||いえ|||||いしゃ||おおかみ||こわ||がい||でよう||| My son managed to get to the doctor's house, but the doctor was afraid of the wolf and would not come out. そこ で 息子 は 薬 だけ を もらって 、 急いで 山道 を 引き返して いきました 。 ||むすこ||くすり||||いそいで|やまみち||ひきかえして| So my son took only the medicine and hurried back up the mountain road. すると 今度 は 、 四 、 五十 匹 も の オオカミ が 息子 に 寄って 来て 、 するどい キバ を 息子 に 向けました 。 |こんど||よっ|ごじゅう|ひき|||おおかみ||むすこ||よって|きて||||むすこ||むけました This time, forty or fifty wolves came up to my son and pointed their sharp teeth at him. ( あ あっ 、 今度 こそ だめだ 。 ||こんど|| ( Oh, no, not this time. お母さん 。すまん! お かあさん|すま ん Mom . Sorry! 息子 が 覚悟 を 決めた その 時 、 突然 大きな オオカミ が 飛び 込んで 来て 、 取り囲んで いる オオカミ に 向かって ほえました 。 むすこ||かくご||きめた||じ|とつぜん|おおきな|おおかみ||とび|こんで|きて|とりかこんで||おおかみ||むかって| Just as his son was ready, a large wolf suddenly jumped in and howled at the wolves surrounding him. すると 息子 を 取り囲んで いた オオカミ たち は 、 一斉 に どこ か へ 行って しまいました 。 |むすこ||とりかこんで||おおかみ|||いっせい|||||おこなって| The wolves that had been surrounding him all went away at once. この 大きな オオカミ は 、 さっき 息子 が 骨 を 抜いて やった オオカミ で 、 オオカミ の 大将 だった のです 。 |おおきな|おおかみ|||むすこ||こつ||ぬいて||おおかみ||おおかみ||たいしょう||の です This big wolf, the one my son had just boned, was the wolf leader. 息子 は オオカミ の 大将 に 守られ ながら 、 無事に 家 に 帰る こと が 出来 ました 。 むすこ||おおかみ||たいしょう||まもら れ||ぶじに|いえ||かえる|||でき| The son made it home safe and sound, protected by the wolf pack. 次の 朝 、 息子 が 家 を 出よう と する と 、 家 の 前 に イノシシ や ウサギ や キジ など の 獲物 が 、 山 の ように つまれて います 。 つぎの|あさ|むすこ||いえ||でよう||||いえ||ぜん||いのしし||うさぎ||きじ|||えもの||やま||よう に|| The next morning, when my son leaves the house, he finds a pile of wild boar, rabbits, pheasants, and other prey piled up in front of the house. 息子 は それ を ふもと の 里 に 売り に 行き 、 たくさんの お 金 を 手 に する こと が 出来 ました 。 むすこ||||||さと||うり||いき|||きむ||て|||||でき| He sold it to a village in the foothills and made a lot of money. また 、 お 母さん の 病気 も すっかり よく なった ので 、 二 人 は 幸せに 暮らす こと が 出来 ました 。 ||かあさん||びょうき||||||ふた|じん||しあわせに|くらす|||でき| And since Mom's illness was completely resolved, they were able to live happily ever after. おしまい

おしまい