×

We use cookies to help make LingQ better. By visiting the site, you agree to our cookie policy.


image

銀河鉄道の夜 『宮沢賢治』(Night on the Galactic Railroad), 4.ケンタウル 祭 の 夜

4.ケンタウル 祭 の 夜

ジョバンニ は 、 口笛 を 吹いて いる ような さびしい 口つき で 、 ひのき の まっ 黒 に ならんだ 町 の 坂 を おりて 来た のでした 。

坂 の 下 に 大きな 一 つ の 街灯 が 、 青白く 立派に 光 って 立って い ました 。

ジョバンニ が 、 どんどん 電灯 の 方 へ おりて 行き ます と 、 いま まで ばけもの の ように 、 長く ぼんやり 、 うしろ へ 引いて いた ジョバンニ の 影ぼうし は 、 だんだん 濃く 黒く はっきり なって 、 足 を あげたり 手 を 振ったり 、 ジョバンニ の 横 の 方 へ まわって 来る のでした 。

( ぼく は 立派な 機関車 だ 。 ここ は 勾配 だ から 速い ぞ 。 ぼく は いま その 電灯 を 通り越す 。 そう ら 、 こんど は ぼく の 影法師 は コンパス だ 。 あんなに くる っと まわって 、 前 の 方 へ 来た )

と ジョバンニ が 思い ながら 、 大股 に その 街灯 の 下 を 通り 過ぎた とき 、 いきなり ひるま の ザネリ が 、 新しい えり の とがった シャツ を 着て 、 電灯 の 向こう側 の 暗い 小路 から 出て 来て 、 ひらっと ジョバンニ と すれちがい ました 。

「 ザネリ 、 からすうり ながし に 行く の 」 ジョバンニ が まだ そう 言って しまわ ない うち に 、 「 ジョバンニ 、 お 父さん から 、 ラッコ の 上着 が 来る よ 」 その 子 が 投げつける ように うしろ から 叫び ました 。

ジョバンニ は 、 ばっと 胸 が つめたく なり 、 そこら じゅう きいん と 鳴る ように 思い ました 。

「 なんだい 、 ザネリ 」 と ジョバンニ は 高く 叫び 返し ました が 、 もう ザネリ は 向こう の ひば の 植わった 家 の 中 へ は いって い ました 。

( ザネリ は どうして ぼく が なんにも し ない のに あんな こと を 言う のだろう 。 走る とき は まるで ねずみ の ような くせ に 。 ぼく が なんにも し ない のに あんな こと を 言う の は ザネリ が ばかな から だ )

ジョバンニ は 、 せわしなく いろいろの こと を 考え ながら 、 さまざまの 灯 や 木 の 枝 で 、 すっかり きれいに 飾ら れた 街 を 通って 行き ました 。 時計 屋 の 店 に は 明るく ネオン 灯 が ついて 、 一 秒 ごと に 石 で こさえた ふくろう の 赤い 眼 が 、 くる っ くる っと うごいたり 、 いろいろな 宝石 が 海 の ような 色 を した 厚い 硝子 の 盤 に 載って 、 星 の ように ゆっくり めぐったり 、 また 向こう側 から 、 銅 の 人馬 が ゆっくり こっち へ まわって 来たり する のでした 。 その まん 中 に まるい 黒い 星座 早見 が 青い アスパラガス の 葉 で 飾って あり ました 。

ジョバンニ は われ を 忘れて 、 その 星座 の 図 に 見入り ました 。

それ は 昼 、 学校 で 見た あの 図 より はず う っと 小さかった のです が 、 その 日 と 時間 に 合わせて 盤 を まわす と 、 その とき 出て いる 空 が そのまま 楕円形 の なか に めぐって あらわれる ように なって おり 、 やはり その まん 中 に は 上 から 下 へ かけて 銀河 が ぼうと けむった ような 帯 に なって 、 その 下 の 方 で は かすかに 爆発 して 湯気 でも あげて いる ように 見える のでした 。 また その うしろ に は 三 本 の 脚 の ついた 小さな 望遠 鏡 が 黄いろ に 光って 立って い ました し 、 いちばん うしろ の 壁 に は 空 じゅう の 星座 を ふしぎな 獣 や 蛇 や 魚 や 瓶 の 形 に 書いた 大きな 図 が かかって い ました 。 本当に こんな ような サソリ だの 勇士 だの そら に ぎっしり いる だろう か 。 ああ 、 ぼく は その 中 を どこまでも 歩いて み たい 、 と 思って たり して しばらく ぼんやり 立って い ました 。

それ から にわかに お 母さん の 牛乳 の こと を 思いだして ジョバンニ は その 店 を はなれ ました 。

そして きゅうくつな 上着 の 肩 を 気 に し ながら 、 それ でも わざと 胸 を 張って 大きく 手 を 振って 町 を 通って 行き ました 。

空気 は 澄みきって 、 まるで 水 の ように 通り や 店 の 中 を 流れ ました し 、 街灯 は みな まっ青 な もみ や なら の 枝 で 包ま れ 、 電気 会社 の 前 の 六 本 の プラタナス の 木 など は 、 中 に たくさんの 豆 電灯 が ついて 、 ほんとうに そこら は 人魚 の 都 の ように 見える のでした 。 子ども ら は 、 みんな 新しい 折 の ついた 着物 を 着て 、 星 めぐり の 口笛 を 吹いたり 、

「 ケンタウルス 、 露 を ふらせ 」

と 叫んで 走ったり 、 青い マグネシヤ の 花火 を 燃したり して 、 たのし そうに 遊んで いる のでした 。

けれども ジョバンニ は 、 いつか また 深く 首 を たれて 、 そこら の にぎやか さ と は まるで ちがった こと を 考え ながら 、 牛乳 屋 の 方 へ 急ぐ のでした 。

ジョバンニ は 、 いつか 町 はずれ の ポプラ の 木 が 幾 本 も 幾 本 も 、 高く 星 ぞ ら に 浮かんで いる ところ に 来て い ました 。 その 牛乳 屋 の 黒い 門 を はいり 、 牛 の に おい の する うすくらい 台所 の 前 に 立って 、 ジョバンニ は 帽子 を ぬいで 、

「 こんばん は 」

と 言い ましたら 、 家 の 中 は し い ん と して 誰 も いた ようで は あり ませ ん でした 。

「 こんばんは 、 ごめんなさい 」

ジョバンニ は まっすぐに 立って また 叫び ました 。

すると しばらく たって から 、 年 とった 女 の 人 が 、 どこ か ぐあい が 悪い ように そろそろ と 出て 来て 、 何 か 用 か と 口 の 中 で 言い ました 。

「 あの 、 今日 、 牛乳 が 僕 とこ へ 来 なかった ので 、 もらい に あがった んです 」 ジョバンニ が 一生懸命 勢い よく 言い ました 。

「 いま 誰 も い ないで わかり ませ ん 。 あした に して ください 」 その 人 は 赤い 眼 の 下 の とこ を こすり ながら 、 ジョバンニ を 見おろして 言い ました 。

「 お っ か さん が 病気 な んです から 今晩 で ない と 困る んです 」

「 では もう 少し たって から 来て ください 」 その 人 は もう 行って しまい そうでした 。

「 そう です か 。 では ありがとう 」 ジョバンニ は 、 お辞儀 を して 台所 から 出 ました 。 十字 に なった 町 の かど を 、 まがろう と し ましたら 、 向こう の 橋 へ 行く 方 の 雑貨 店 の 前 で 、 黒い 影 や ぼんやり 白い シャツ が 入り乱れて 、 六 、 七 人 の 生徒 ら が 、 口笛 を 吹いたり 笑ったり して 、 めいめい からすうり の 燈火 を 持って やって 来る の を 見 ました 。 その 笑い声 も 口笛 も 、 みんな 聞きおぼえ の ある もの でした 。 ジョバンニ の 同 級 の 子供 ら だった のです 。 ジョバンニ は 思わず どき っと して 戻ろう と し ました が 、 思い 直して 、 いっそう 勢い よく そっち へ 歩いて 行き ました 。

「 川 へ 行く の 」 ジョバンニ が 言おう と して 、 少し のど が つまった ように 思った とき 、

「 ジョバンニ 、 ラッコ の 上着 が 来る よ 」 さっき の ザネリ が また 叫び ました 。

「 ジョバンニ 、 ラッコ の 上着 が 来る よ 」 すぐ みんな が 、 続いて 叫び ました 。 ジョバンニ は まっ 赤 に なって 、 もう 歩いて いる かも わから ず 、 急いで 行き すぎよう と し ましたら 、 その なか に カムパネルラ が いた のです 。 カムパネルラ は きのどく そうに 、 だまって 少し わらって 、 おこら ない だろう か と いう ように ジョバンニ の 方 を 見て い ました 。

ジョバンニ は 、 にげる ように その 眼 を 避け 、 そして カムパネルラ の せい の 高い かたち が 過ぎて 行って まもなく 、 みんな は てんで に 口笛 を 吹き ました 。 町 かど を 曲がる とき 、 ふりかえって 見 ましたら 、 ザネリ が やはり ふりかえって 見て い ました 。 そして カムパネルラ も また 、 高く 口笛 を 吹いて 向こう に ぼんやり 見える 橋 の 方 へ 歩いて 行って しまった のでした 。 ジョバンニ は 、 なんとも 言え ず さびしく なって 、 いきなり 走り だし ました 。 すると 耳 に 手 を あてて 、 わあわあと 言い ながら 片足 で ぴょんぴょん 跳んで いた 小さな 子供 ら は 、 ジョバンニ が おもしろくて かける のだ と 思って 、 わあい と 叫び ました 。

まもなく ジョバンニ は 黒い 丘 の 方 へ 急ぎ ました 。

4.ケンタウル 祭 の 夜 |さい||よ 4. zentaurische Festnacht 4. Centaur Festival Night 4. Noche de la Fiesta del Centauro 4. Notte del Festival del Centauro 4.ケンタウル 祭 の 夜 4. 켄타우르 축제의 밤 4. Nacht van het Centaurusfestival 4. noite do Festival dos Centauros 4. Centaur Festival Natt 四。半人马节之夜 四。半人馬節之夜

ジョバンニ は 、 口笛 を 吹いて いる ような さびしい 口つき で 、 ひのき の まっ 黒 に ならんだ 町 の 坂 を おりて 来た のでした 。 ||くちぶえ||ふいて||||くち つき|||||くろ|||まち||さか|||きた| Giovanni, with a lonely mouth like a whistle, came along the hill of a town that fits black with the hinoki. Giovanni bajó de la colina del pueblo, que estaba bordeada de cipreses negros, con una boca solitaria como silbando. ジョバンニ は 、 口笛 を 吹いて いる ような さびしい 口 つきで 、 ひのき の まっ 黒 に ならんだ 町 の 坂 を おりて 来た のでした 。 乔瓦尼带着一张锈迹斑斑、吹着口哨的嘴,从小镇桧木黑线的山坡上走下来。

坂 の 下 に 大きな 一 つ の 街灯 が 、 青白く 立派に 光 って 立って い ました 。 さか||した||おおきな|ひと|||がいとう||あおじろく|りっぱに|ひかり||たって|| Under the slope, a big single streetlight stood brightly pale white. Debajo de la colina, una gran farola brillaba pálida y brillante.

ジョバンニ が 、 どんどん 電灯 の 方 へ おりて 行き ます と 、 いま まで ばけもの の ように 、 長く ぼんやり 、 うしろ へ 引いて いた ジョバンニ の 影ぼうし は 、 だんだん 濃く 黒く はっきり なって 、 足 を あげたり 手 を 振ったり 、 ジョバンニ の 横 の 方 へ まわって 来る のでした 。 |||でんとう||かた|||いき||||||||ながく||||ひいて||||かげぼうし|||こく|くろく|||あし|||て||ふったり|||よこ||かた|||くる| As Giovanni went up and down to the light steadily, the shadow of Giovanni, who had been pulling long and long behind him like a stupid thing, became darker and darker and became clearer, raising his legs and waving his hands. Or they were coming to the side next to Giovanni. Mientras Giovanni se dirigía hacia las lámparas, como un monstruo, la sombra de Giovanni, que había estado detrás de él durante mucho tiempo, se volvió gradualmente más y más negra, y él levantó los pies, o se puso al lado de Giovanni.

( ぼく は 立派な 機関車 だ 。 ||りっぱな|きかん くるま| (I am a good locomotive. (Soy una buena locomotora. ここ は 勾配 だ から 速い ぞ 。 ||こうばい|||はやい| It's a slope here so fast. Es un gradiente aquí, así que es rápido. ぼく は いま その 電灯 を 通り越す 。 ||||でんとう||とおりこす I'm going past that light now. Estoy pasando la lámpara ahora. そう ら 、 こんど は ぼく の 影法師 は コンパス だ 。 ||||||かげぼうし||こんぱす| Well, this time my shadow master is a compass. Bueno, esta vez mi sombra maestra es una brújula. Por isso, desta vez, o meu dador de sombras é uma bússola. 所以,这一次,我的影子使者是一个指南针。 あんなに くる っと まわって 、 前 の 方 へ 来た ) ||||ぜん||かた||きた I came around like that and came to the front) Di la vuelta así y vine al frente)

と ジョバンニ が 思い ながら 、 大股 に その 街灯 の 下 を 通り 過ぎた とき 、 いきなり ひるま の ザネリ が 、 新しい えり の とがった シャツ を 着て 、 電灯 の 向こう側 の 暗い 小路 から 出て 来て 、 ひらっと ジョバンニ と すれちがい ました 。 |||おもい||おおまた|||がいとう||した||とおり|すぎた|||||||あたらしい||||しゃつ||きて|でんとう||むこうがわ||くらい|しょう じ||でて|きて||||| While Giovanni was thinking about this, he strode past the lamppost when suddenly Zanelli, wearing a new sharp-collared shirt, came out of the dark alley on the other side of the electric light and flew out. Then I passed Giovanni. Giovanni se preguntó, mientras se sentaba a horcajadas bajo la luz de la calle, de repente Zanelli, un hombre coqueto, salió de un callejón oscuro al otro lado de la lámpara, vistiendo una camisa nueva y puntiaguda. Pasé a Giovanni. 乔瓦尼想,当他在路灯下经过时,突然发现一个穿着新边缘锋利衬衫的光滑Zarneri从光背后的黑暗小巷里出来。我路过乔凡尼。

「 ザネリ 、 からすうり ながし に 行く の 」 ジョバンニ が まだ そう 言って しまわ ない うち に 、 「 ジョバンニ 、 お 父さん から 、 ラッコ の 上着 が 来る よ 」 その 子 が 投げつける ように うしろ から 叫び ました 。 |から すうり|||いく||||||いって|||||||とうさん||らっこ||うわぎ||くる|||こ||なげつける||||さけび| "Zanelli, I'm going to go to the sea otter." Before Giovanni said so, "Giovanni, my dad, a sea otter's coat will come." The child shouted from behind. .. "Zanelli, voy a ir a la nutria marina". Antes de que Giovanni lo dijera, "Giovanni, mi papá, vendrá un abrigo de nutria marina". El niño gritó desde atrás. .. 乔瓦尼还没有说:“扎内利,我要去一只松鼠,”她说:“爸爸的乔瓦尼要来了,我的水獭外套要来了。” ..

ジョバンニ は 、 ばっと 胸 が つめたく なり 、 そこら じゅう きいん と 鳴る ように 思い ました 。 |||むね||||||||なる||おもい| Giovanni's chest suddenly felt cold, and he felt his chest ringing all over the place. Giovanni se sentía como si estuviera enfermo y gritando por todos lados. Giovanni sentiu uma dor súbita no peito e pensou que a arma ressoava por todo o lado.

「 なんだい 、 ザネリ 」 と ジョバンニ は 高く 叫び 返し ました が 、 もう ザネリ は 向こう の ひば の 植わった 家 の 中 へ は いって い ました 。 |||||たかく|さけび|かえし||||||むこう||ひ ば||うわった|いえ||なか||||| "What is it, Zanelli?" cried Giovanni, but Zanelli was already in the cypress-grown house over there. "Qué diablos, Zanelli", gritó Giovanni en voz alta, pero Zanelli ya estaba en la casa donde se plantó la hiba.

( ザネリ は どうして ぼく が なんにも し ない のに あんな こと を 言う のだろう 。 ||||||||||||いう| (I wonder why Zanelli said what he did when I didn't do anything. (¿Por qué Zanelli dice eso cuando yo no hago nada? 走る とき は まるで ねずみ の ような くせ に 。 はしる|||||||| When you run, it's like a mouse. Cuando corres, es como un ratón. ぼく が なんにも し ない のに あんな こと を 言う の は ザネリ が ばかな から だ ) |||||||||いう||||||| I say that when I don't do anything because Zanelli is stupid.) Digo eso cuando no hago nada porque Zanelli es estúpido.)

ジョバンニ は 、 せわしなく いろいろの こと を 考え ながら 、 さまざまの 灯 や 木 の 枝 で 、 すっかり きれいに 飾ら れた 街 を 通って 行き ました 。 ||せわし なく||||かんがえ|||とう||き||えだ||||かざら||がい||かよって|いき| Giovanni, rushingly thinking about things, went through a completely beautifully decorated city with various lights and tree branches. Giovanni, pensando apresuradamente en las cosas, atravesó una ciudad completamente bellamente decorada con varias luces y ramas de árboles. 時計 屋 の 店 に は 明るく ネオン 灯 が ついて 、 一 秒 ごと に 石 で こさえた ふくろう の 赤い 眼 が 、 くる っ くる っと うごいたり 、 いろいろな 宝石 が 海 の ような 色 を した 厚い 硝子 の 盤 に 載って 、 星 の ように ゆっくり めぐったり 、 また 向こう側 から 、 銅 の 人馬 が ゆっくり こっち へ まわって 来たり する のでした 。 とけい|や||てん|||あかるく|ねおん|とう|||ひと|びょう|||いし||こさ えた|||あかい|がん||||||||ほうせき||うみ|||いろ|||あつい|がらす||ばん||のって|ほし||||||むこうがわ||どう||じん うま||||||きたり|| The watchmaker's store was brightly lit with neon lamps, and every second the red eyes of a stone owl would twirl and wiggle, and various jewels would slowly pass by like stars on a thick glass plate the color of the sea, and from the other side a copper horseman would slowly come around to us. The copper man and horse came slowly round to us from the other side. La tienda del relojero tiene luces de neón brillantes, los ojos rojos del búho, que se apedrean cada segundo, y las diversas joyas en el tablero de vidrio grueso, que tiene el color del mar. Estaba sobre la mesa, girando lentamente como una estrella. , y del otro lado, un hombre de cobre y un caballo llegaron lentamente por aquí. その まん 中 に まるい 黒い 星座 早見 が 青い アスパラガス の 葉 で 飾って あり ました 。 ||なか|||くろい|せいざ|はやみ||あおい|||は||かざって|| In its center was a round black constellation planisphere adorned with blue asparagus leaves. En el medio había una constelación negra redonda, Hayami, decorada con hojas de espárragos azules.

ジョバンニ は われ を 忘れて 、 その 星座 の 図 に 見入り ました 。 ||||わすれて||せいざ||ず||みいり| Giovanni forgot about me and looked at the chart of the constellations. Giovanni se olvidó de mí y miró la figura de la constelación.

それ は 昼 、 学校 で 見た あの 図 より はず う っと 小さかった のです が 、 その 日 と 時間 に 合わせて 盤 を まわす と 、 その とき 出て いる 空 が そのまま 楕円形 の なか に めぐって あらわれる ように なって おり 、 やはり その まん 中 に は 上 から 下 へ かけて 銀河 が ぼうと けむった ような 帯 に なって 、 その 下 の 方 で は かすかに 爆発 して 湯気 でも あげて いる ように 見える のでした 。 ||ひる|がっこう||みた||ず|||||ちいさかった||||ひ||じかん||あわせて|ばん||||||でて||から|||だえん かた||||||||||||なか|||うえ||した|||ぎんが|||||おび||||した||かた||||ばくはつ||ゆげ|||||みえる| It was much smaller than that figure I saw at school at noon, but when I turned the board according to the day and time, the sky that appeared at that time appeared as it was in an oval shape. In the middle of it, the galaxy becomes an elliptical band from top to bottom, and below that, it seems that it explodes slightly and is steaming. It was. Era mucho más pequeña que la figura que vi en la escuela durante el día, pero cuando giré el tablero de acuerdo con el día y la hora, el cielo que apareció en ese momento apareció como si tuviera una forma ovalada. la galaxia se convierte en una banda elíptica de arriba a abajo, y debajo de eso, parece que explota levemente y está humeando. また その うしろ に は 三 本 の 脚 の ついた 小さな 望遠 鏡 が 黄いろ に 光って 立って い ました し 、 いちばん うしろ の 壁 に は 空 じゅう の 星座 を ふしぎな 獣 や 蛇 や 魚 や 瓶 の 形 に 書いた 大きな 図 が かかって い ました 。 |||||みっ|ほん||あし|||ちいさな|ぼうえん|きよう||きいろ||ひかって|たって|||||||かべ|||から|||せいざ|||けだもの||へび||ぎょ||びん||かた||かいた|おおきな|ず|||| Behind it stood a small telescope with three legs that shone yellow, and on the farthest back wall were the constellations of the sky, made up of strange beasts, snakes, fish, and bottles. There was a big picture drawn on the shape. Detrás había un pequeño espejo con teleobjetivo con tres patas que brillaban en amarillo, y en la pared detrás de él había una constelación vacía de bestias misteriosas, serpientes, peces y botellas.Había una gran figura escrita en la forma. 本当に こんな ような サソリ だの 勇士 だの そら に ぎっしり いる だろう か 。 ほんとうに|||さそり||ゆうし||||||| Are there really scorpions and warriors like this crammed into the air? ¿Está realmente lleno de escorpiones y héroes como este? ああ 、 ぼく は その 中 を どこまでも 歩いて み たい 、 と 思って たり して しばらく ぼんやり 立って い ました 。 ||||なか|||あるいて||||おもって|||||たって|| I stood there for a while in a daze, thinking, "Oh, I want to walk through it as far as I can. Ah, me quedé desocupado por un tiempo, pensando que quería caminar en él para siempre.

それ から にわかに お 母さん の 牛乳 の こと を 思いだして ジョバンニ は その 店 を はなれ ました 。 ||||かあさん||ぎゅうにゅう||||おもいだして||||てん||| Then, suddenly remembering his mother's milk, Giovanni left the store. Entonces, de repente, recordando la leche de su madre, Giovanni salió de la tienda.

そして きゅうくつな 上着 の 肩 を 気 に し ながら 、 それ でも わざと 胸 を 張って 大きく 手 を 振って 町 を 通って 行き ました 。 ||うわぎ||かた||き|||||||むね||はって|おおきく|て||ふって|まち||かよって|いき| And while paying attention to the shoulders of his tight jacket, he deliberately stretched his chest and shook his hands to go through the town. Y sin dejar de prestar atención a los hombros de su ceñido abrigo, estiró deliberadamente el pecho y estrechó la mano para atravesar el pueblo.

空気 は 澄みきって 、 まるで 水 の ように 通り や 店 の 中 を 流れ ました し 、 街灯 は みな まっ青 な もみ や なら の 枝 で 包ま れ 、 電気 会社 の 前 の 六 本 の プラタナス の 木 など は 、 中 に たくさんの 豆 電灯 が ついて 、 ほんとうに そこら は 人魚 の 都 の ように 見える のでした 。 くうき||すみきって||すい|||とおり||てん||なか||ながれ|||がいとう|||まっあお||||||えだ||つつま||でんき|かいしゃ||ぜん||むっ|ほん||ぷらたなす||き|||なか|||まめ|でんとう||||||にんぎょ||と|||みえる| The air was so clear that it flowed like water through the streets and shops, the street lamps were all wrapped in bright blue fir and oak branches, and the six plane trees in front of the electric company , with so many miniature lamps inside, it really looked like a mermaid city. El aire era claro y fluía a través de las calles y tiendas como el agua, todas las farolas estaban envueltas en ramas de frijol azul, y los seis platanas frente a la compañía eléctrica, había muchas lámparas de frijol adentro, y realmente parecía una ciudad sirena. 子ども ら は 、 みんな 新しい 折 の ついた 着物 を 着て 、 星 めぐり の 口笛 を 吹いたり 、 こども||||あたらしい|お|||きもの||きて|ほし|||くちぶえ||ふいたり The children all wore new kimonos and whistled around the stars, Todos los niños vestían kimonos nuevos y silbaban alrededor de las estrellas,

「 ケンタウルス 、 露 を ふらせ 」 |ろ|| "Centaur, let the dew sway" "Centauro, deja que el rocío se balancee"

と 叫んで 走ったり 、 青い マグネシヤ の 花火 を 燃したり して 、 たのし そうに 遊んで いる のでした 。 |さけんで|はしったり|あおい|||はなび||もしたり|||そう に|あそんで|| They were having fun running, shouting, "I love you! Grité y corrí, y quemé los fuegos artificiales de la magnesia azul, y estaba jugando feliz.

けれども ジョバンニ は 、 いつか また 深く 首 を たれて 、 そこら の にぎやか さ と は まるで ちがった こと を 考え ながら 、 牛乳 屋 の 方 へ 急ぐ のでした 。 |||||ふかく|くび|||||||||||||かんがえ||ぎゅうにゅう|や||かた||いそぐ| But Giovanni rushed to the milk shop, thinking that one day he would be deeply struck again and that it was totally different from the liveliness of everywhere. Pero Giovanni corrió a la lechería, pensando que algún día volvería a estar profundamente impresionado, pensando que era totalmente diferente a la animación de todas partes.

ジョバンニ は 、 いつか 町 はずれ の ポプラ の 木 が 幾 本 も 幾 本 も 、 高く 星 ぞ ら に 浮かんで いる ところ に 来て い ました 。 |||まち|||ぽぷら||き||いく|ほん||いく|ほん||たかく|ほし||||うかんで||||きて|| Someday Giovanni came to a spot on the outskirts of town where a row or two of poplar trees floated high in the starry night sky. Giovanni llegó una vez a un lugar donde muchos álamos en las afueras de la ciudad flotaban en lo alto de las estrellas. その 牛乳 屋 の 黒い 門 を はいり 、 牛 の に おい の する うすくらい 台所 の 前 に 立って 、 ジョバンニ は 帽子 を ぬいで 、 |ぎゅうにゅう|や||くろい|もん|||うし||||||うす くらい|だいどころ||ぜん||たって|||ぼうし|| Giovanni enters the black door of the milkman's house and stands in front of the smoky kitchen, where the cow smells, Pasando por la puerta negra de la lechería, parado frente a la cocina tan delgado como una vaca, Giovanni se quitó el sombrero,

「 こんばん は 」 "Good evening."

と 言い ましたら 、 家 の 中 は し い ん と して 誰 も いた ようで は あり ませ ん でした 。 |いい||いえ||なか|||||||だれ|||||||| It didn't seem like there was anyone in the house. No parecía que hubiera nadie en la casa.

「 こんばんは 、 ごめんなさい 」 こんばん は|

ジョバンニ は まっすぐに 立って また 叫び ました 。 |||たって||さけび| Giovanni stood up straight and shouted again. Giovanni se puso de pie y volvió a gritar.

すると しばらく たって から 、 年 とった 女 の 人 が 、 どこ か ぐあい が 悪い ように そろそろ と 出て 来て 、 何 か 用 か と 口 の 中 で 言い ました 。 ||||とし||おんな||じん||||||わるい||||でて|きて|なん||よう|||くち||なか||いい| Then, after a while, an old woman came out and said in her mouth, something was wrong. Luego, después de un rato, salió una anciana y dijo en su boca, algo andaba mal.

「 あの 、 今日 、 牛乳 が 僕 とこ へ 来 なかった ので 、 もらい に あがった んです 」 ジョバンニ が 一生懸命 勢い よく 言い ました 。 |きょう|ぎゅうにゅう||ぼく|||らい|||||||||いっしょうけんめい|いきおい||いい| "Oh, milk didn't come to me today, so I went up to get it," Giovanni said with all his might. "Oh, la leche no me llegó hoy, así que subí a buscarla", dijo Giovanni con todas sus fuerzas.

「 いま 誰 も い ないで わかり ませ ん 。 |だれ|||||| "I don't know if there is no one right now. あした に して ください 」 その 人 は 赤い 眼 の 下 の とこ を こすり ながら 、 ジョバンニ を 見おろして 言い ました 。 |||||じん||あかい|がん||した||||||||みおろして|いい| Please do it tomorrow," he said, rubbing the lower part of his red eye and looking down at Giovanni. Por favor, hazlo mañana.” El hombre miró a Giovanni, frotándose el área debajo de sus ojos rojos.

「 お っ か さん が 病気 な んです から 今晩 で ない と 困る んです 」 |||||びょうき||||こんばん||||こまる| "My old man is sick, so I'm in trouble if it's not tonight."

「 では もう 少し たって から 来て ください 」 その 人 は もう 行って しまい そうでした 。 ||すこし|||きて|||じん|||おこなって||そう でした The person was about to leave.

「 そう です か 。 I see. では ありがとう 」 ジョバンニ は 、 お辞儀 を して 台所 から 出 ました 。 ||||おじぎ|||だいどころ||だ| Giovanni bowed and left the kitchen. 十字 に なった 町 の かど を 、 まがろう と し ましたら 、 向こう の 橋 へ 行く 方 の 雑貨 店 の 前 で 、 黒い 影 や ぼんやり 白い シャツ が 入り乱れて 、 六 、 七 人 の 生徒 ら が 、 口笛 を 吹いたり 笑ったり して 、 めいめい からすうり の 燈火 を 持って やって 来る の を 見 ました 。 じゅうじ|||まち||||||||むこう||きょう||いく|かた||ざっか|てん||ぜん||くろい|かげ|||しろい|しゃつ||いりみだれて|むっ|なな|じん||せいと|||くちぶえ||ふいたり|わらったり|||から すうり||ともしび||もって||くる|||み| When I tried to turn the corner of the crossed town, in front of the general store on the side of the bridge over there, a black shadow and vague white shirts jumbled together, and six or seven students were whistling. I blew and laughed, and saw each one come with a lantern. Si intentas dar la vuelta en la esquina del pueblo cruzado, frente a la tienda general en el camino hacia el puente de allí, las sombras negras y las camisas blancas vagas están desordenadas, seis o siete estudiantes silbando. Soplando y riendo, vi él viene con una luz de una cruz de su sobrina. 当我试图转过十字镇的拐角时,那边桥边的杂货店门前,黑影和依稀可见的白衬衫混杂在一起,六七个学生吹着口哨,我吹着笑着, 看到每个人都提着灯笼来了。 その 笑い声 も 口笛 も 、 みんな 聞きおぼえ の ある もの でした 。 |わらいごえ||くちぶえ|||ききおぼえ|||| The laughter and whistling were familiar to everyone. Las risas y los silbidos nos eran familiares. 笑声和口哨声都很熟悉。 ジョバンニ の 同 級 の 子供 ら だった のです 。 ||どう|きゅう||こども||| They were children of Giovanni's class. Eran compañeros de clase de Giovanni. 他们是乔瓦尼的同学。 ジョバンニ は 思わず どき っと して 戻ろう と し ました が 、 思い 直して 、 いっそう 勢い よく そっち へ 歩いて 行き ました 。 ||おもわず||||もどろう|||||おもい|なおして||いきおい||||あるいて|いき| Giovanni was about to go back with a thud, but then he changed his mind and walked towards them with more vigor. Giovanni de repente trató de regresar, pero lo reconsideró y caminó hacia allí aún más vigorosamente. 乔瓦尼吓了一跳,想要回去,但他改变了主意,更加用力地往回走。

「 川 へ 行く の 」 ジョバンニ が 言おう と して 、 少し のど が つまった ように 思った とき 、 かわ||いく||||いおう|||すこし|||||おもった| I'm going to the river," Giovanni was about to say when he felt a little choked up, "Voy al río", dijo Giovanni, cuando pensó que estaba un poco sofocado.

「 ジョバンニ 、 ラッコ の 上着 が 来る よ 」 さっき の ザネリ が また 叫び ました 。 |らっこ||うわぎ||くる|||||||さけび| Giovanni, the otters' jackets are coming," Zanelli shouted again. "Giovanni, viene una chaqueta de nutria marina", volvió a gritar Zanelli. “乔瓦尼,海獭大衣来了,”扎内利再次惊呼道。

「 ジョバンニ 、 ラッコ の 上着 が 来る よ 」 すぐ みんな が 、 続いて 叫び ました 。 |らっこ||うわぎ||くる|||||つづいて|さけび| "Giovanni, a sea otter jacket is coming." Immediately everyone shouted. “乔瓦尼,海獭大衣来了。”众人立即跟了上去。 ジョバンニ は まっ 赤 に なって 、 もう 歩いて いる かも わから ず 、 急いで 行き すぎよう と し ましたら 、 その なか に カムパネルラ が いた のです 。 |||あか||||あるいて|||||いそいで|いき||||||||||| Giovanni was so red that he didn't know if he was already walking, and he hurried past, only to find Campanella among them. Giovanni se puso rojo y ya no sabía si caminaba, y si intentaba ir demasiado lejos con prisa, Campanella estaba entre ellos. 乔瓦尼脸色通红,不知道自己已经走了,赶紧冲了过去,在他们中间发现了坎帕内拉。 カムパネルラ は きのどく そうに 、 だまって 少し わらって 、 おこら ない だろう か と いう ように ジョバンニ の 方 を 見て い ました 。 |||そう に||すこし|||||||||||かた||みて|| Campanella was looking at Giovanni as if he was sick, stumbling a little and wondering if it would happen. Estaba mirando a Giovanni como si la campanella fuera aterradora, y me preguntaba si no sucedería.

ジョバンニ は 、 にげる ように その 眼 を 避け 、 そして カムパネルラ の せい の 高い かたち が 過ぎて 行って まもなく 、 みんな は てんで に 口笛 を 吹き ました 。 |||||がん||さけ||||||たかい|||すぎて|おこなって||||||くちぶえ||ふき| Giovanni shook his eyes, and shortly after the high form of the campanella had passed, everyone whistled. Giovanni sacudió los ojos, y poco después de que pasara la forma alta de Campanella, todos silbaron. 乔瓦尼躲过了他的视线,康帕内拉那高大的身影刚过去不久,所有人都吹起了口哨。 町 かど を 曲がる とき 、 ふりかえって 見 ましたら 、 ザネリ が やはり ふりかえって 見て い ました 。 まち|||まがる|||み||||||みて|| As we turned the corner, I looked back and saw Zanelli looking back at me. Cuando doblé la esquina de la ciudad, miré hacia atrás y vi a Zanelli mirando hacia atrás. 当我转过拐角时,我回头看了看,扎内利也在回头看着我。 そして カムパネルラ も また 、 高く 口笛 を 吹いて 向こう に ぼんやり 見える 橋 の 方 へ 歩いて 行って しまった のでした 。 ||||たかく|くちぶえ||ふいて|むこう|||みえる|きょう||かた||あるいて|おこなって|| And then, whistling loudly, he too walked off toward the bridge dimly visible in the distance. Y Kampanella también silbó alto y caminó hacia el puente apenas visible de allí. 而康帕内拉也吹了一声口哨,朝着若隐若现的桥走去。 ジョバンニ は 、 なんとも 言え ず さびしく なって 、 いきなり 走り だし ました 。 |||いえ|||||はしり|| Giovanni felt indescribably lonely and suddenly started to run. Giovanni se sintió solo y de repente comenzó a correr. 乔瓦尼感到说不出的孤独,突然开始奔跑。 すると 耳 に 手 を あてて 、 わあわあと 言い ながら 片足 で ぴょんぴょん 跳んで いた 小さな 子供 ら は 、 ジョバンニ が おもしろくて かける のだ と 思って 、 わあい と 叫び ました 。 |みみ||て|||わ あわ あと|いい||かたあし||ぴょ ん ぴょ ん|とんで||ちいさな|こども|||||||||おもって|わ あい||さけび| Then the little children who were hopping on one leg, putting their hands to their ears and whistling, thought that Giovanni was playing for fun and cried out. 这时,那些单腿蹦跳的小孩子们,用手捂着耳朵吹着口哨,以为乔瓦尼在玩耍,“哇!”地叫了起来。

まもなく ジョバンニ は 黒い 丘 の 方 へ 急ぎ ました 。 |||くろい|おか||かた||いそぎ| Soon Giovanni was rushing toward the black hills. Pronto Giovanni se apresuró hacia las colinas negras. 不久,乔瓦尼急忙赶往黑山。