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幸福な王子 The Happy Prince, 幸福の王子 -2-

幸福 の 王子 -2-

「 君 を 好きに なって も いい かい 」 と ツバメ は 言いました 。 ツバメ は 単 刀 直入 に 話す の が 好きでした 。 葦 は 深く 頷きました 。 そこ で ツバメ は 、 翼 で 水 に 触れ ながら 彼女 の 周り を ぐるぐる と 回り 、 銀色 の さざなみ を 立てました 。 これ は ツバメ から の ラブコール で 、 それ は 夏 中 続きました 。 「 彼女 は おかしな 恋人 だ ね 」 と 他の ツバメ たち が ぺち ゃぺ ちゃ 言いました 。 「 財産 は ない くせ に 、 親戚 は 多 すぎる とき てる 」 実際 、 その 川 は 葦 で いっぱいだった のです 。 やがて 、 秋 が 来る と その ツバメ たち も みんな 飛んで いって しまいました 。 みんな が 行って しまう と 、 ツバメ は さびしく なり 、 自分 の 恋人 に も 飽き 始めました 。 「 彼女 は 何も 話して くれ ない し な 」 ツバメ は 言いました 。 「 それ に 浮気っぽい んじゃ ない か と 思う んだ 。 だって 彼女 は いつも 風 と いちゃ ついて る んだ から 」 確かに 、 風 が 吹く と いつも 、 葦 は 最高に 優美な おじぎ を する のでした 。 「 彼女 が 家庭 的な の は 認める けれど 」 と ツバメ は 続けました 。 「 でも 、 僕 は 旅 を する の が 好きな んだ から 、 僕 の 妻 たる もの も 、 旅 を する の が 好きで なくっちゃ 」

とうとう ツバメ は 「 僕 と 一緒に 行って くれ ない か 」 と 彼女 に 言いました 。 でも 葦 は 首 を 横 に 振りました 。 彼女 は 自分 の 家 に とても 愛着 が あった のです 。

「 君 は 僕 の こと を もてあそんで いた んだ な 」 と ツバメ は 叫びました 。 「 僕 は ピラミッド に 出発 する よ 。 じゃあ ね 」 ツバメ は 飛び去りました 。 一 日 中 ツバメ は 飛び 、 夜 に なって 町 に 着きました 。 「 どこ に 泊まったら いい か な 」 と ツバメ は 言いました 。 「 泊まれる ような ところ が あれば いい んだ けれど 」

それ から ツバメ は 高い 柱 の 上 の 像 を 見ました 。 「 あそこ に 泊まる こと に しよう 」 と 声 を あげました 。 「 あれ は いい 場所 だ 、 新鮮な 空気 も たくさん 吸 える し 」 そして ツバメ は 幸福 の 王子 の 両足 の ちょうど 間 に 止まりました 。 「 黄金 の ベッドルーム だ 」 ツバメ は あたり を 見まわし ながら そっと 一 人 で 言い 、 眠ろう と しました 。 ところが 、 頭 を 翼 の 中 に 入れよう と した とたん 、 大きな 水 の 粒 が ツバメ の 上 に 落ちて きました 。 「 何て 不思議な んだ ! 」 と ツバメ は 大きな 声 を あげました 。 「 空 に は 雲 一 つ なく 、 星 は とても くっきり と 輝いて いる と いう のに 、 雨 が 降って いる なんて 。 北 ヨーロッパ の 天候 は まったく ひどい もん だ ね 。 あの 葦 は 雨 が 好きだった が 、 それ は 単なる 自己 中心 だった し 」

すると 、 もう 一 滴 落ちて きました 。 「 雨 よけ に なら ない んだったら 、 像 なんて 何の 役 に も 立た ない な 」 と ツバメ は 言いました 。 「 もっと いい 煙突 を 探さ なくちゃ 」 ツバメ は 飛び立とう と 決心 しました 。 でも 、 翼 を 広げる より も 前 に 、 三 番 目 の 水滴 が 落ちて きて 、 ツバメ は 上 を 見上げました 。 すると ―― 何 が 見えた でしょう か 。

< 版権 表示 > オスカー ・ ワイルド 作 結城 浩 訳 Copyright ( C )2000 HiroshiYuki ( 結城 浩 ) http :// www . hyuki . com / trans / prince . html 本 翻訳 は 、 この 版権 表示 を 残す 限り 、 訳者 および 著者 にたいして 許可 を とったり 使用 料 を 支払ったり する こと 一切 なし に 、 商業 利用 を 含む あらゆる 形 で 自由に 利用 ・ 複製 が 認められます 。 プロジェクト 杉田 玄 白 正式 参加 作品 。 http :// www . genpaku . org /

幸福 の 王子 -2- こうふく||おうじ Prinz des Glücks -2-. Prince of Happiness -2- 행복의 왕자 -2- Prins van het Geluk -2-. Príncipe da Felicidade -2-. 快乐王子-2-

「 君 を 好きに なって も いい かい 」 と ツバメ は 言いました 。 きみ||すきに||||||つばめ||いい ました "Darf ich dich mögen", sagte Swallow. "Is it okay if I like you," Swallow said. Posso gostar de ti?", disse a andorinha. ツバメ は 単 刀 直入 に 話す の が 好きでした 。 つばめ||ひとえ|かたな|なおいり||はなす|||すきでした Schwalben sprachen gern unkompliziert. Swallows loved to speak straightforwardly. As andorinhas gostavam de ir directas ao assunto. 葦 は 深く 頷きました 。 あし||ふかく|うなずき ました Das Schilf nickte tief. The reed nodded deeply. Reed acenou profundamente com a cabeça. そこ で ツバメ は 、 翼 で 水 に 触れ ながら 彼女 の 周り を ぐるぐる と 回り 、 銀色 の さざなみ を 立てました 。 ||つばめ||つばさ||すい||ふれ||かのじょ||まわり||||まわり|ぎんいろ||||たて ました There, the swallow swirled around her, touching the water with her wings, creating a silvery ripple. Assim, as andorinhas rodeavam-na, tocando a água com as asas e fazendo ondulações prateadas. これ は ツバメ から の ラブコール で 、 それ は 夏 中 続きました 。 ||つばめ|||||||なつ|なか|つづき ました Dies war ein Liebesruf von einer Schwalbe, der den ganzen Sommer über andauerte. This is a love call from Swallows, which lasted all summer. Foi uma chamada de amor das andorinhas, que continuou durante todo o verão. 这是一只燕子的爱的呼唤,持续了整个夏天。 「 彼女 は おかしな 恋人 だ ね 」 と 他の ツバメ たち が ぺち ゃぺ ちゃ 言いました 。 かのじょ|||こいびと||||たの|つばめ||||||いい ました "Sie ist eine seltsame Geliebte", sagten die anderen Schwalben. “She's a weird lover,” said the other swallows. 「 財産 は ない くせ に 、 親戚 は 多 すぎる とき てる 」 実際 、 その 川 は 葦 で いっぱいだった のです 。 ざいさん|||||しんせき||おお||||じっさい||かわ||あし||| „Ich habe kein Vermögen, aber ich habe zu viele Verwandte.“ Tatsächlich war der Fluss voller Schilf. In fact, the river was full of reeds. De facto, o rio estava cheio de canas. やがて 、 秋 が 来る と その ツバメ たち も みんな 飛んで いって しまいました 。 |あき||くる|||つばめ||||とんで||しまい ました Eventually, all the swallows flew away when autumn came. みんな が 行って しまう と 、 ツバメ は さびしく なり 、 自分 の 恋人 に も 飽き 始めました 。 ||おこなって|||つばめ||||じぶん||こいびと|||あき|はじめ ました When everyone went away, the swallows became lonely, and I began to get bored with my lover. Quando todos se foram embora, as andorinhas começaram a sentir a sua falta e aborreceram-se com o seu amante. 「 彼女 は 何も 話して くれ ない し な 」 ツバメ は 言いました 。 かのじょ||なにも|はなして|||||つばめ||いい ました "She doesn't say anything," said Swallow. 「 それ に 浮気っぽい んじゃ ない か と 思う んだ 。 ||うわき っぽい|||||おもう| "Ich denke, es betrügt das. "And I think it's cheating. だって 彼女 は いつも 風 と いちゃ ついて る んだ から 」 確かに 、 風 が 吹く と いつも 、 葦 は 最高に 優美な おじぎ を する のでした 。 |かのじょ|||かぜ|||||||たしかに|かぜ||ふく|||あし||さいこうに|ゆうびな|||| Because she's always flirting with the wind." Indeed, whenever the wind blows, the reeds make the most elegant bow. De facto, sempre que o vento soprava, Reeds fazia os mais graciosos movimentos de contorção. 「 彼女 が 家庭 的な の は 認める けれど 」 と ツバメ は 続けました 。 かのじょ||かてい|てきな|||みとめる|||つばめ||つづけ ました "I admit she's homely," Swallow continued. 「 でも 、 僕 は 旅 を する の が 好きな んだ から 、 僕 の 妻 たる もの も 、 旅 を する の が 好きで なくっちゃ 」 |ぼく||たび|||||すきな|||ぼく||つま||||たび|||||すきで| “But I love traveling, so my wife, I must also love traveling.”

とうとう ツバメ は 「 僕 と 一緒に 行って くれ ない か 」 と 彼女 に 言いました 。 |つばめ||ぼく||いっしょに|おこなって|||||かのじょ||いい ました At last the swallow told her, "Can you go with me?" でも 葦 は 首 を 横 に 振りました 。 |あし||くび||よこ||ふり ました But Ashi shook her head. 彼女 は 自分 の 家 に とても 愛着 が あった のです 。 かのじょ||じぶん||いえ|||あいちゃく||| Sie war sehr an ihr Haus gebunden. She was very attached to her house. Ela era muito apegada à sua casa.

「 君 は 僕 の こと を もてあそんで いた んだ な 」 と ツバメ は 叫びました 。 きみ||ぼく|||||||||つばめ||さけび ました "Du hast mit mir gespielt", rief die Schwalbe aus. "You were playing with me," swallows exclaimed. Tens andado a brincar comigo", exclamou a andorinha. 「 僕 は ピラミッド に 出発 する よ 。 ぼく||ぴらみっど||しゅっぱつ|| "Ich gehe zur Pyramide. "I'm leaving for the Pyramid. じゃあ ね 」 ツバメ は 飛び去りました 。 ||つばめ||とびさり ました Wir sehen uns. «Die Schwalbe flog davon. The swallows flew away. 一 日 中 ツバメ は 飛び 、 夜 に なって 町 に 着きました 。 ひと|ひ|なか|つばめ||とび|よ|||まち||つき ました Die Schwalben flogen den ganzen Tag und kamen nachts in der Stadt an. The swallows flew all day long and arrived at night at night. 「 どこ に 泊まったら いい か な 」 と ツバメ は 言いました 。 ||とまったら|||||つばめ||いい ました Where should we stay?" said the swallow. 「 泊まれる ような ところ が あれば いい んだ けれど 」 とまれる||||||| "Ich wünschte, es gäbe einen Ort, an dem ich bleiben könnte." "I wish I had a place where I could stay."

それ から ツバメ は 高い 柱 の 上 の 像 を 見ました 。 ||つばめ||たかい|ちゅう||うえ||ぞう||み ました Then the swallows saw a statue on a tall pole. 「 あそこ に 泊まる こと に しよう 」 と 声 を あげました 。 ||とまる|||||こえ||あげ ました "Lass uns dort bleiben", sagte er. “Let's stay there,” he said. 「 あれ は いい 場所 だ 、 新鮮な 空気 も たくさん 吸 える し 」 そして ツバメ は 幸福 の 王子 の 両足 の ちょうど 間 に 止まりました 。 |||ばしょ||しんせんな|くうき|||す||||つばめ||こうふく||おうじ||りょうあし|||あいだ||とまり ました “That's a nice place to breathe a lot of fresh air,” and the swallows stopped just between the feet of the Prince of Happiness. 「 黄金 の ベッドルーム だ 」 ツバメ は あたり を 見まわし ながら そっと 一 人 で 言い 、 眠ろう と しました 。 おうごん||||つばめ||||みまわし|||ひと|じん||いい|ねむろう||し ました "Es ist ein goldenes Schlafzimmer", sah sich die Schwalbe um und sagte leise allein und versuchte zu schlafen. “It's a golden bedroom,” swallows whilst looking around, softly speaking alone and trying to sleep. ところが 、 頭 を 翼 の 中 に 入れよう と した とたん 、 大きな 水 の 粒 が ツバメ の 上 に 落ちて きました 。 |あたま||つばさ||なか||いれよう||||おおきな|すい||つぶ||つばめ||うえ||おちて|き ました Sobald ich jedoch versuchte, meinen Kopf in die Flügel zu stecken, fiel ein großes Wasserkorn auf die Schwalbe. However, just as he was about to put his head in his wing, a large grain of water fell on the swallow. 「 何て 不思議な んだ ! なんて|ふしぎな| "Was für ein Rätsel! "What a mystery! Que mistério! 」 と ツバメ は 大きな 声 を あげました 。 |つばめ||おおきな|こえ||あげ ました The swallows gave a loud cry. 「 空 に は 雲 一 つ なく 、 星 は とても くっきり と 輝いて いる と いう のに 、 雨 が 降って いる なんて 。 から|||くも|ひと|||ほし|||||かがやいて|||||あめ||ふって|| “There is no cloud in the sky and the stars are very bright, but it is raining. 北 ヨーロッパ の 天候 は まったく ひどい もん だ ね 。 きた|よーろっぱ||てんこう|||||| The weather in Northern Europe is really terrible. あの 葦 は 雨 が 好きだった が 、 それ は 単なる 自己 中心 だった し 」 |あし||あめ||すきだった||||たんなる|じこ|ちゅうしん|| Das Schilf mochte den Regen, aber es war nur egoistisch. " That reed liked rain, but it was just selfish."

すると 、 もう 一 滴 落ちて きました 。 ||ひと|しずく|おちて|き ました Then, another drop came off. 「 雨 よけ に なら ない んだったら 、 像 なんて 何の 役 に も 立た ない な 」 と ツバメ は 言いました 。 あめ||||||ぞう||なんの|やく|||たた||||つばめ||いい ました “If it didn't protect us from rain, the statue wouldn't do anything useful,” said Swallow. 「 もっと いい 煙突 を 探さ なくちゃ 」 ツバメ は 飛び立とう と 決心 しました 。 ||えんとつ||さがさ||つばめ||とびたとう||けっしん|し ました The swallows decided to fly away. でも 、 翼 を 広げる より も 前 に 、 三 番 目 の 水滴 が 落ちて きて 、 ツバメ は 上 を 見上げました 。 |つばさ||ひろげる|||ぜん||みっ|ばん|め||すいてき||おちて||つばめ||うえ||みあげ ました But before the wings were widened, the third drop of water was falling, and the swallow looked up. すると ―― 何 が 見えた でしょう か 。 |なん||みえた|| Dann ――Was hast du gesehen? What do you see?

< 版権 表示 > オスカー ・ ワイルド 作 結城 浩 訳 Copyright ( C )2000 HiroshiYuki ( 結城 浩 ) http :// www . hyuki . com / trans / prince . html 本 翻訳 は 、 この 版権 表示 を 残す 限り 、 訳者 および 著者 にたいして 許可 を とったり 使用 料 を 支払ったり する こと 一切 なし に 、 商業 利用 を 含む あらゆる 形 で 自由に 利用 ・ 複製 が 認められます 。 はんけん|ひょうじ|||さく|ゆうき|ひろし|やく|copyright|c|hiroshiyuki|ゆうき|ひろし||||||||ほん|ほんやく|||はんけん|ひょうじ||のこす|かぎり|やくしゃ||ちょしゃ|に たいして|きょか|||しよう|りょう||しはらったり|||いっさい|||しょうぎょう|りよう||ふくむ||かた||じゆうに|りよう|ふくせい||みとめ られ ます プロジェクト 杉田 玄 白 正式 参加 作品 。 ぷろじぇくと|すぎた|げん|しろ|せいしき|さんか|さくひん http :// www . genpaku . org /