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1 - Harry Potter, 15.2 禁じられた 森 (1)

15.2 禁じられた 森 (1)

ハーマイオニー が 一晩 分 の 勉強 を 損する と ブツブツ 言う ので は ない か と 思った が 、 彼女 は 文句 一 つ 言わ なかった 。 ハリー と 同じ ように 、 ハーマイオニー も 自分 たち は 処罰 を 受けて も 当然の こと を した と 思って いた 。

夜 十一 時 、 二 人 は 談話 室 で ロン に 別れ を 告げ 、 ネビル と 一緒に 玄関 ホール へ 向かった 。 フィルチ は もう 来て いた ── そして マルフォイ も 。 マルフォイ が 処罰 を 受ける こと も ハリー は すっかり 忘れて いた 。

「 ついて 来い 」

フィルチ は ランプ を 灯し 、 先 に 外 に 出た 。

「 規則 を 破る 前 に 、 よ ー く 考える ように なったろう ねぇ 。 どうか ね ? 」 フィルチ は 意地 の 悪い 目つき で みんな を 見た 。 「 ああ 、 そう だ と も …… 私 に 言わ せり や 、 しごいて 、 痛い 目 を 見せる の が 一 番 の 薬 だ よ ── 昔 の ような 体罰 が なくなって 、 まったく 残念だ …… 手首 を くくって 天井 から 数 日 吊るした もん だ 。 今 でも 私 の 事務 所 に 鎖 は 取って ある が ね …… 万一 必要に なった 時 に 備えて ピカピカ に 磨いて ある よ ── よし 、 出かける と する か 。 逃げよう なんて 考える んじゃ ない ぞ 。 そんな こと したら もっと ひどい こと に なる から ねぇ 」

真っ暗な 校庭 を 横切って 一行 は 歩いた 。 ネビル は ずっと メソメソ して いた 。 罰 って いったい 何 だろう 、 と ハリー は 思い 巡らせた 。 きっと 、 ひどく 恐ろしい もの に 違いない 。 で なけりゃ フィルチ が あんなに 嬉し そうに して いる はず が ない 。

月 は 晃 々 と 明るかった が 、 時折 サッと 雲 が かかり 、 あたり を 闇 に した 。 行く手 に 、 ハリー は ハグリッド の 小屋 の 窓 の 明かり を 見た 。 遠く から 大声 が 聞こえた 。

「 フィルチ か ? 急いで くれ 。 俺 は もう 出発 したい 」 ハリー の 心 は 踊った 。 ハグリッド と 一緒 なら 、 そんなに 悪く は ない だろう 。 ホッと した 気持 が 顔 に 出た に 違いない 。 フィルチ が たちまち それ を 読んだ 。

「 あの 木偶の坊 と 一緒に 楽しもう と 思って いる んだろう ねぇ ? 坊や 、 もう 一 度 よく 考えた ほう が いい ねぇ …… 君 たち が これ から 行く の は 、 森 の 中 だ 。 もし 全員 無傷 で 戻って きたら 私 の 見込み 違い だ が ね 」

とたん に ネビル は 低い うめき声 を 上げ 、 マルフォイ も その場で ピタツ と 動か なく なった 。

「 森 だって ? そんな ところ に 夜 行け ない よ …… それ こそ いろんな の が いる んだろう …… 狼 男 だ と か 、 そう 聞いて る けど 」 マルフォイ の 声 は いつも の 冷静 さ を 失って いた 。

ネビル は ハリー の ローブ の 袖 を しっかり 握り 、 ヒィーッ と 息 を 詰まら せた 。

「 そんな こと は 今さら 言って も 仕方 が ない ねぇ 」

フィルチ の 声 が うれし さ の あまり 上ずって いる 。

「 狼 男 の こと は 、 問題 を 起こす 前 に 考え とく べきだった ねぇ ? 」 ハグリッド が ファング を すぐ 後ろ に 従えて 暗闇 の 中 から 大股 で 現れた 。 大きな 石 弓 を 持ち 、 肩 に 矢筒 を 背負って いる 。

「 もう 時間 だ 。 俺 は もう 三十 分 くらい も 待った ぞ 。 ハリー 、 ハーマイオニー 、 大丈夫 か ? 」 「 こいつ ら は 罰 を 受け に 来た んだ 。 あんまり 仲良く する わけに は いきま せ ん よ ねえ 、 ハグリッド 」 フィルチ が 冷たく 言った 。

「 それ で 遅く なった と 、 そう 言う の か ? 」 ハグリッド は フィルチ を にらみつけた 。 「 説教 を たれて た んだろう 。 え ? 説教 する の は おまえ の 役目 じゃ なかろう 。 おまえ の 役目 は もう 終わり だ 。 ここ から は 俺 が 引き受ける 」

「 夜明け に 戻って くる よ 。 こいつ ら の 体 の 残って る 部分 だけ 引き取り に くる さ 」

フィルチ は 嫌 み たっぷりに そう 言う と 、 城 に 帰って いった 。 ランプ が 暗闇 に ユラユラ と 消えて いった 。 今度 は マルフォイ が ハグリッド に 向かって 言った 。

「 僕 は 森 に は 行か ない 」

声 が 恐怖 に おののいて いる の が わかる ので ハリー は いい 気味 だ と 思った 。

「 ホグワーツ に 残りたい なら 行か ねば なら ん 」 ハグリッド が 厳しく 言い返した 。 「 悪い こと を した んじゃ から 、 その 償い を せ に ゃ なら ん 」

「 でも 、 森 に 行く の は 召使い が する こと だ よ 。 生徒 に さ せる こと じゃ ない 。 同じ 文章 を 何 百 回 も 書き 取り する と か 、 そういう 罰 だ と 思って いた 。 もし 僕 が こんな こと を するって パパ が 知ったら 、 きっと ……」 「 きっと 、 これ が ホグワーツ の 流儀 だって そう 言いきかせる だろう よ 」 ハグリッド が うなる ように 言った 。 「 書き取り だって ? へっ! それ が なんの 役 に 立つ ? 役 に 立つ こと を しろ 、 さも なきゃ 退学 しろ 。 おまえ の 父さん が 、 おまえ が 追い出さ れた 方 が まし だって 言う ん なら 、 さっさと 城 に 戻って 荷物 を まとめろ ! さあ 行け ! 」 マルフォイ は 動か なかった 。 ハグリッド を にらみつけて いた が 、 やがて 視線 を 落とした 。

「 よ ー し 、 それ じゃ 、 よ ー く 聞いて くれ 。 なん せ 、 俺 たち が 今夜 やろう と して いる こと は 危険な んだ 。 みんな 軽はずみな こと を しちゃ いか ん 。 しばらく は わし に ついて 来て くれ 」

ハグリッド が 先頭 に 立って 、 森 の はずれ まで やってきた 。 ランプ を 高く 掲げ 、 ハグリッド は 暗く 生い茂った 木々 の 奥 へ と 消えて いく 細い 曲がりくねった 獣 道 を 指さした 。 森 の 中 を のぞき込む と 一陣 の 風 が みんな の 髪 を 逆立てた 。

「 あそこ を 見ろ 。 地面 に 光った 物 が 見える か ? 銀色 の 物 が 見える か ? 一角 獣 の 血 だ 。 何者 か に ひどく 傷つけられた ユニコーン が この 森 の 中 に いる 。 今週 に なって 二 回 目 だ 。 水曜日 に 最初の 死骸 を 見つけた 。 みんな で かわいそうな やつ を 見つけだす んだ 。 助から ない なら 、 苦しま ない ように して やら ねば なら ん 」

「 ユニコーン を 襲った やつ が 先 に 僕たち を 見つけたら どう する ん だい ? 」 マルフォイ は 恐怖 を 隠し きれ ない 声 で 聞いた。 「 俺 や ファング と 一緒に おれば 、 この 森 に 住む もの は 誰 も おまえたち を 傷つけ は せ ん 。 道 を 外れる な よ 。 よ ー し 、 では 二 組 に 分かれて 別々 の 道 を 行こう 。 そこら 中 血だらけだ 。 ユニコーン は 少なくとも 昨日 の 夜 から のたうち 回って る んじゃ ろう 」

「 僕 は ファング と 一緒 が いい 」 ファング の 長い 牙 を 見て 、 マルフォイ が 急いで 言った 。

「 よかろう 。 断っと く が 、 そい つ は 臆病 じゃ よ 。 そんじゃ 、 ハリー と ハーマイオニー は 俺 と 一緒に 行こう 。 ドラコ と ネビル は ファング と 一緒に 別の 道 だ 。 もし ユニコーン を 見つけたら 緑 の 光 を 打ち上げる 、 いい か ? 杖 を 出して 練習 しよう ── それ で よし ── もし 困った こと が 起きたら 、 赤い 光 を 打ち上げろ 。 みんな で 助け に 行く ── じゃ 、 気 を つけろ よ ── 出発 だ 」

森 は 真っ暗で シーン と して いた 。 少し 歩く と 道 が 二手 に 分かれて いた 。 ハグリッド たち は 左 の 道 を 、 ファング の 組 は 右 の 道 を 取った 。

三 人 は 無言 で 足元 だけ を 見 ながら 歩いた 。 時々 枝 の すき間 から 漏れる 月 明かり が 、 落葉 の 上 に 点々 と 滴った シルバーブルー の 血痕 を 照らし出した 。

ハリー は ハグリッド の 深刻な 顔 に 気づいた 。

「 狼 男 が ユニコーン を 殺す なんて こと あり うる の ? 」 と ハリー は 聞いて みた 。

「 あいつ ら は そんなに 速く ない 。 ユニコーン を 捕まえる の は たやすい こと じゃ ない 。 強い 魔力 を 持った 生き物 な んじゃ よ 。 ユニコーン が 怪我 した なんて こ た ぁ 、 俺 は 今 まで 聞いた こと が ない な 」

苔 むした 切株 を 通り過ぎる 時 、 ハリー は 水 の 音 を 聞いた 。 どこ か 近く に 川 が ある らしい 。 曲りくねった 小道 に は まだ あちこち に ユニコーン の 血 が 落ちて いた 。

「 そっち は 大丈夫 か ? ハーマイオニー 」 ハグリッド が ささやいた 。

「 心配 する な 。 この ひどい 怪我 じゃ そんなに 遠く まで は 行け ない はずだ 。 もう すぐ …… その 木 の 陰 に 隠れろ ! 」 ハグリッド は ハリー と ハーマイオニー を ひっつか み 、 樫 の 巨木 の 裏 に 放り込んだ 。 矢 を 引き出して 弓 に つがえ 、 持ち上げて 構え 、 いつでも 矢 を 放てる ように した 。 三 人 は 耳 を 澄ました 。

何 か が 、 すぐ そば の 枯葉 の 上 を スルスル 滑って いく 。 マント が 地面 を 引きずる ような 音 だった 。

ハグリッド が 目 を 細めて 暗い 道 を ジッと 見て いた が 、 数 秒 後 に 音 は 徐々に 消えて いった 。

「 思った とおり だ 」 ハグリッド が つぶやいた 。

「 ここ に いる べきでない 何者 か だ 」

「 狼 男 ? 」 「 い ー や 、 狼 男 じゃ ないし ユニコーン で も ない 」 ハグリッド は 険しい 顔 を した 。 「 よ ー し 、 俺 に ついて 来い 。 気 を つけて な 」

三 人 は 前 より も さらに ゆっくり と 、 どんな 小さな 音 も 聞き逃す まい と 聞き 耳 を 立てて 進んだ 。

突然 、 前方 の 開けた 場所 で 確かに 何 か が 動いた 。

「 そこ に いる の は 誰 だ ? 姿 を 現せ …… こっち に は 武器 が ある ぞ ! 」 ハグリッド が 声 を 掛り 上げた 。 開けた 空間 に 現れた の は …… 人間 、 いや 、 それとも 馬 ? 腰 から 上 は 赤い 髪 に 赤い ヒゲ の 人 の 姿 。 そして 腰 から 下 は ツヤツヤ と した 栗毛 に 赤味 が かった 長い 尾 を つけた 馬 。 ハリー と ハーマイオニー は 口 を ポカン と 開けた まま だった 。

「 ああ 、 君 か 、 ロナン 」 ハグリッド が ホッと した ように 言った 。

「 元気 かね ? 」 ハグリッド は ケンタウルス に 近づき 握手 した 。

「 こんばんは 、 ハグリッド 」

ロナン の 声 は 深く 、 悲しげ だった 。

「 私 を 撃とう と した んです か ? 」 「 ロナン 、 用心 に こした こと は ない 」 石 弓 を 軽く 叩き ながら ハグリッド が 言った 。

「 なんか 悪い もん が この 森 を うろついて いる んで な 。 ところで 、 ここ の 二 人 は ハリー ・ ポッター と ハーマイオニー ・ グレンジャー だ 。 学校 の 生徒 で な 。 お 二 人 さん 、 こちら は ロナン だ よ 。 ケンタウルス だ 」

「 気 が ついて いた わ 」 ハーマイオニー が 消え 入る ような 声 で 言った 。

「 こんばん は 。 生徒 さん だ ね ? 学校 で は たくさん 勉強 して る かね ? 」 「 えー と ……」 「 少し は 」 ハーマイオニー が オズオズ と 答えた 。

「 少し 。 そう 。 それ は よかった 」

ロナン は フーッ と ため息 を つき 、 首 を ブルルッ と 振って 空 を 見上げた 。

「 今夜 は 火星 が とても 明るい 」

「 ああ 」

ハグリッド も チラリ と 空 を 見上げた 。

「 なあ 、 ロナン よ 。 君 に 会えて よかった 。 ユニコーン が 、 しかも 怪我 を した ヤツ が おる んだ …… なんか 見かけ ん かった か ? 」 ロナン は すぐに は 返事 を し なかった 。 瞬き も せ ず 空 を 見つめ 、 ロナン は 再び ため息 を ついた 。

「 いつでも 罪 も ない 者 が 真っ先 に 犠牲 に なる 。 大昔 から ずっと そう だった 。 そして 今もなお ……」

「 あぁ 。 だが ロナン 、 何 か 見 なかった か ? いつも と 違う 何 か を ? 」 ハグリッド が もう 一 度 聞いた 。

「 今夜 は 火星 が 明るい 」

ハグリッド が イライラ して いる のに 、 ロナン は 同じ こと を 繰り返した 。

「 いつも と 違う 明る さ だ 」

「 あぁ 、 だが 俺 が 聞きたい の は 火星 より 、 もう ちょいと 自分 に 近い 方 の こと だ が 。 そう か 、 君 は 奇妙な もの は 何も 気づか なかった んだ な ? 」 またしても ロナン は しばらく 答え なかった が 、 ついに こう 言った 。 「 森 は 多く の 秘密 を 覆い隠す 」

ロナン の 後ろ の 木立 の 中 で 何 か が 動いた 。 ハグリッド は また 弓 を 構えた 。 だが それ は 別の ケンタウルス だった 。 真っ黒な 髪 と 胴体 で ロナン より 荒々しい 感じ が した 。

「 や あ 、 ベイン 。 元気 かね ? 」 と ハグリッド が 声 を かけた 。

「 こんばん は 。 ハグリッド 、 あなた も 元気です か ? 」 「 ああ 、 元気だ 。 なあ 、 ロナン に も 今 聞いた んだ が 、 最近 この 辺 で 何 か おかしな 物 を 見 ん かった か ? 実は ユニコーン が 傷つけられて な …… おまえ さん 何か知ら ん かい ? 」 ベイン は ロナン の そば まで 歩いて いき 、 隣 に 立って 空 を 見上げた 。 「 今夜 は 火星 が 明るい 」 ベイン は それ だけ 言った 。

「 もう それ は 聞いた 」 ハグリッド は 不機嫌 だった 。

「 さーて 、 もし お 二 人 さん の どっち か でも 何 か 気 が ついたら 俺 に 知らせて くれ 、 たのむ 。 さあ 、 俺 たち は 行こう か 」

ハリー と ハーマイオニー は ハグリッド の 後 に ついて そこ から 離れた 。 二 人 は 肩 越し に 何度 も 振り返り 、 木立 が 邪魔 して 見え なく なる まで 、 ロナン と ベイン を しげしげ と 見つめて いた 。

「 ただ の 一 度 も ──」 ハグリッド は イライラ して 言った 。

「 ケンタウルス から はっきり した 答え を もらった ためし が ない 。 いまいましい 夢想 家 よ 。 星 ばかり 眺めて 、 月 より 近く の もの に は なんの 興味 も 持っと らん 」 「 森 に は ケンタウルス が たくさん いる の ? 」 と ハーマイオニー が 尋ねた 。

「 ああ 、 まあまあ だな ……たいてい やっこ さん たち は あんまり 他の やつ と は 接する こと が ない 。 だが 俺 が 何 か 聞きたい 時 は 、 ちゃんと 現れる と いう 親切 さ は ある 。 連中 は 深い 、 心 が な 。 ケンタウルス …… いろんな こと を 知っと る が …… あまり 教えちゃ くれ ん 」 「 さっき 聞いた 音 、 ケンタウルス だった の か な ? 」 ハリー が 聞いた 。

「 あれ が 蹄 の 音 に 聞こえた かね ? い ー や 、 俺 に は わかる 。 ユニコーン を 殺した ヤツ の 物音 だ …… あんな 音 は 今 まで 聞いた こと が ない 」

三 人 は 深く 真っ暗な 茂み の 中 を 進んだ 。 ハリー は 神経質に 何度 も 後ろ を 振り返った 。 なんとなく 見張られて いる ような 嫌な 感じ が する のだ 。 ハグリッド も いる し 、 おまけに 石 弓 も ある から 大丈夫 、 と ハリー は 思った 。 ちょうど 角 を 曲がった 時 、 ハーマイオニー が ハグリッド の 腕 を つかんだ 。

「 ハグリッド ! 見て 、 赤い 火花 よ 。 ネビル たち に 何 か あった んだ わ ! 」 「 二 人 と も ここ で 待って ろ 。 この 小道 から 外れる な よ 。 すぐ 戻って くる から な 」

15.2 禁じられた 森 (1) きんじ られた|しげる 15.2 Verbotener Wald (1) 15.2 Forbidden forest (1) 15.2 Verboden bos (1) 15.2 Zakazany las (1) 15.2 Förbjuden skog (1) 15.2 禁林(1)

ハーマイオニー が 一晩 分 の 勉強 を 損する と ブツブツ 言う ので は ない か と 思った が 、 彼女 は 文句 一 つ 言わ なかった 。 ||ひとばん|ぶん||べんきょう||そんする||ぶつぶつ|いう||||||おもった||かのじょ||もんく|ひと||いわ| Ich dachte, Hermine würde sich darüber beschweren, dass sie einen Abend lang nicht lernen konnte, aber sie hat sich nicht beschwert. I thought Hermione would grumble about losing an evening's study, but she didn't complain at all. ハリー と 同じ ように 、 ハーマイオニー も 自分 たち は 処罰 を 受けて も 当然の こと を した と 思って いた 。 ||おなじ||||じぶん|||しょばつ||うけて||とうぜんの|||||おもって| Like Harry, Hermione believed that they had done something that deserved to be punished.

夜 十一 時 、 二 人 は 談話 室 で ロン に 別れ を 告げ 、 ネビル と 一緒に 玄関 ホール へ 向かった 。 よ|じゅういち|じ|ふた|じん||だんわ|しつ||||わかれ||つげ|||いっしょに|げんかん|ほーる||むかった At eleven o'clock at night, they said goodbye to Ron in the common room and headed for the entrance hall with Neville. フィルチ は もう 来て いた ── そして マルフォイ も 。 |||きて|||| Filch was already here, and Malfoy. マルフォイ が 処罰 を 受ける こと も ハリー は すっかり 忘れて いた 。 ||しょばつ||うける||||||わすれて| Harry had completely forgotten that Malfoy would be punished.

「 ついて 来い 」 |こい Follow me.

フィルチ は ランプ を 灯し 、 先 に 外 に 出た 。 ||らんぷ||ともし|さき||がい||でた Filch turned on the lamp and went out first.

「 規則 を 破る 前 に 、 よ ー く 考える ように なったろう ねぇ 。 きそく||やぶる|ぜん|||-||かんがえる||| "You'd think twice before breaking the rules, wouldn't you? どうか ね ? What do you think? 」 フィルチ は 意地 の 悪い 目つき で みんな を 見た 。 ||いじ||わるい|めつき||||みた Filch looked at everyone with a mean look. 「 ああ 、 そう だ と も …… 私 に 言わ せり や 、 しごいて 、 痛い 目 を 見せる の が 一 番 の 薬 だ よ ── 昔 の ような 体罰 が なくなって 、 まったく 残念だ …… 手首 を くくって 天井 から 数 日 吊るした もん だ 。 |||||わたくし||いわ||||いたい|め||みせる|||ひと|ばん||くすり|||むかし|||たいばつ||||ざんねんだ|てくび|||てんじょう||すう|ひ|つるした|| "Yeah, that's right. ...... You know what they say about me, the best medicine is a good spanking and a good beating. ...... It's a shame we don't have corporal punishment like we did in the old days. 今 でも 私 の 事務 所 に 鎖 は 取って ある が ね …… 万一 必要に なった 時 に 備えて ピカピカ に 磨いて ある よ ── よし 、 出かける と する か 。 いま||わたくし||じむ|しょ||くさり||とって||||まんいち|ひつように||じ||そなえて|ぴかぴか||みがいて||||でかける||| I still keep the chains in my office, though. ...... I've got them all shined up just in case I need them. 逃げよう なんて 考える んじゃ ない ぞ 。 にげよう||かんがえる||| Don't even think about running away. そんな こと したら もっと ひどい こと に なる から ねぇ 」 Because if you do, it'll be worse.

真っ暗な 校庭 を 横切って 一行 は 歩いた 。 まっくらな|こうてい||よこぎって|いっこう||あるいた The group walked across the darkened schoolyard. ネビル は ずっと メソメソ して いた 。 |||めそめそ|| Neville had been so gloomy all the time. 罰 って いったい 何 だろう 、 と ハリー は 思い 巡らせた 。 ばち|||なん|||||おもい|めぐらせた Harry wondered what in the world punishment was. きっと 、 ひどく 恐ろしい もの に 違いない 。 ||おそろしい|||ちがいない It must have been something terrible. で なけりゃ フィルチ が あんなに 嬉し そうに して いる はず が ない 。 |||||うれし|そう に||||| Otherwise, there's no way Filch would have been so happy.

月 は 晃 々 と 明るかった が 、 時折 サッと 雲 が かかり 、 あたり を 闇 に した 。 つき||あきら|||あかるかった||ときおり|さっと|くも|||||やみ|| The moon was bright and shining, but occasionally a brief glimmer of cloud cover darkened the scene. 行く手 に 、 ハリー は ハグリッド の 小屋 の 窓 の 明かり を 見た 。 ゆくて||||||こや||まど||あかり||みた On the way there, Harry saw the lights in Hagrid's cabin window. 遠く から 大声 が 聞こえた 。 とおく||おおごえ||きこえた I heard a loud voice in the distance.

「 フィルチ か ? "Filch? 急いで くれ 。 いそいで| Hurry up. 俺 は もう 出発 したい 」  ハリー の 心 は 踊った 。 おれ|||しゅっぱつ|し たい|||こころ||おどった I want to go now," Harry's heart danced. ハグリッド と 一緒 なら 、 そんなに 悪く は ない だろう 。 ||いっしょ|||わるく||| With Hagrid, it's not so bad. ホッと した 気持 が 顔 に 出た に 違いない 。 ほっと||きもち||かお||でた||ちがいない The relief must have shown on his face. フィルチ が たちまち それ を 読んだ 。 |||||よんだ Filch read it instantly.

「 あの 木偶の坊 と 一緒に 楽しもう と 思って いる んだろう ねぇ ? |でくのぼう||いっしょに|たのしもう||おもって||| "You think you're going to have fun with that little wooden doll, don't you? 坊や 、 もう 一 度 よく 考えた ほう が いい ねぇ …… 君 たち が これ から 行く の は 、 森 の 中 だ 。 ぼうや||ひと|たび||かんがえた|||||きみ|||||いく|||しげる||なか| Boy, you better think again. ...... You guys are going to be in the woods. もし 全員 無傷 で 戻って きたら 私 の 見込み 違い だ が ね 」 |ぜんいん|むきず||もどって||わたくし||みこみ|ちがい||| If they all come back unharmed, that's not what I expect."

とたん に ネビル は 低い うめき声 を 上げ 、 マルフォイ も その場で ピタツ と 動か なく なった 。 ||||ひくい|うめきごえ||あげ|||そのばで|||うごか|| Neville lets out a low moan, and Malfoy stops moving on the spot.

「 森 だって ? しげる| "Because of the forest? そんな ところ に 夜 行け ない よ …… それ こそ いろんな の が いる んだろう …… 狼 男 だ と か 、 そう 聞いて る けど 」 マルフォイ の 声 は いつも の 冷静 さ を 失って いた 。 |||よ|いけ||||||||||おおかみ|おとこ|||||きいて|||||こえ||||れいせい|||うしなって| I can't go there at night. ...... That's where all kinds of things are. ...... Werewolves and all that, I hear.

ネビル は ハリー の ローブ の 袖 を しっかり 握り 、 ヒィーッ と 息 を 詰まら せた 。 ||||||そで|||にぎり|||いき||つまら| Neville gripped the sleeve of Harry's robe tightly, hissing under his breath.

「 そんな こと は 今さら 言って も 仕方 が ない ねぇ 」 |||いまさら|いって||しかた||| "It's too late to talk about that now.

フィルチ の 声 が うれし さ の あまり 上ずって いる 。 ||こえ||||||うわずって| Filch's voice rises in happiness.

「 狼 男 の こと は 、 問題 を 起こす 前 に 考え とく べきだった ねぇ ? おおかみ|おとこ||||もんだい||おこす|ぜん||かんがえ||| You should have thought about the werewolf thing before you started causing trouble, huh? 」 ハグリッド が ファング を すぐ 後ろ に 従えて 暗闇 の 中 から 大股 で 現れた 。 |||||うしろ||したがえて|くらやみ||なか||おおまた||あらわれた Hagrid emerges from the darkness with Fang close behind him, his big toe in the air. 大きな 石 弓 を 持ち 、 肩 に 矢筒 を 背負って いる 。 おおきな|いし|ゆみ||もち|かた||や つつ||せおって| He carries a large stone bow and a quiver of arrows on his shoulder.

「 もう 時間 だ 。 |じかん| It's time to go. 俺 は もう 三十 分 くらい も 待った ぞ 。 おれ|||さんじゅう|ぶん|||まった| I've been waiting for 30 minutes. ハリー 、 ハーマイオニー 、 大丈夫 か ? ||だいじょうぶ| Harry, Hermione, are you okay? 」 「 こいつ ら は 罰 を 受け に 来た んだ 。 |||ばち||うけ||きた| They are here to be punished. あんまり 仲良く する わけに は いきま せ ん よ ねえ 、 ハグリッド 」 フィルチ が 冷たく 言った 。 |なかよく||||||||||||つめたく|いった I don't think we're going to get along very well, Hagrid," Filch said coldly.

「 それ で 遅く なった と 、 そう 言う の か ? ||おそく||||いう|| "So you're late, is that what you're saying? 」 ハグリッド は フィルチ を にらみつけた 。 Hagrid glared at Filch. 「 説教 を たれて た んだろう 。 せっきょう|||| "I think he was preaching. え ? What? 説教 する の は おまえ の 役目 じゃ なかろう 。 せっきょう||||||やくめ|| It's not your job to lecture me. おまえ の 役目 は もう 終わり だ 。 ||やくめ|||おわり| Your role in this is over. ここ から は 俺 が 引き受ける 」 |||おれ||ひきうける I'll take it from here."

「 夜明け に 戻って くる よ 。 よあけ||もどって|| He'll be back at dawn. こいつ ら の 体 の 残って る 部分 だけ 引き取り に くる さ 」 |||からだ||のこって||ぶぶん||ひきとり||| They'll come back for what's left of their bodies."

フィルチ は 嫌 み たっぷりに そう 言う と 、 城 に 帰って いった 。 ||いや||||いう||しろ||かえって| Filch said this with disgust and went back to the castle. ランプ が 暗闇 に ユラユラ と 消えて いった 。 らんぷ||くらやみ||ゆらゆら||きえて| The lamp faded into the darkness. 今度 は マルフォイ が ハグリッド に 向かって 言った 。 こんど||||||むかって|いった Now Malfoy turns to Hagrid.

「 僕 は 森 に は 行か ない 」 ぼく||しげる|||いか| "I'm not going into the woods."

声 が 恐怖 に おののいて いる の が わかる ので ハリー は いい 気味 だ と 思った 。 こえ||きょうふ|||||||||||きみ|||おもった I thought Harry was in a good mood because I could hear the horror in his voice.

「 ホグワーツ に 残りたい なら 行か ねば なら ん 」 ハグリッド が 厳しく 言い返した 。 ||のこり たい||いか||||||きびしく|いいかえした If you want to stay at Hogwarts," Hagrid retorted sternly, "you'll have to go. 「 悪い こと を した んじゃ から 、 その 償い を せ に ゃ なら ん 」 わるい|||||||つぐない|||||| "You did a bad thing, and now you have to pay for it."

「 でも 、 森 に 行く の は 召使い が する こと だ よ 。 |しげる||いく|||めしつかい||||| But going to the forest is something that servants do. 生徒 に さ せる こと じゃ ない 。 せいと|||||| That's not something you should let your students do. 同じ 文章 を 何 百 回 も 書き 取り する と か 、 そういう 罰 だ と 思って いた 。 おなじ|ぶんしょう||なん|ひゃく|かい||かき|とり|||||ばち|||おもって| I thought it was some kind of punishment, like writing the same sentence over and over hundreds of times. もし 僕 が こんな こと を するって パパ が 知ったら 、 きっと ……」 「 きっと 、 これ が ホグワーツ の 流儀 だって そう 言いきかせる だろう よ 」 ハグリッド が うなる ように 言った 。 |ぼく|||||する って|ぱぱ||しったら|||||||りゅうぎ|||いいきかせる|||||||いった If my dad knew I was doing this, I'm sure he'd tell him ...... that this is the Hogwarts way," Hagrid growled. 「 書き取り だって ? かき とり| "Dictation"? へっ! へ っ Heh! それ が なんの 役 に 立つ ? |||やく||たつ What good would that do? 役 に 立つ こと を しろ 、 さも なきゃ 退学 しろ 。 やく||たつ||||||たいがく| Do something useful, or you'll be expelled. おまえ の 父さん が 、 おまえ が 追い出さ れた 方 が まし だって 言う ん なら 、 さっさと 城 に 戻って 荷物 を まとめろ ! ||とうさん||||おいださ||かた||||いう||||しろ||もどって|にもつ|| If your father says he'd rather you were kicked out, then get your ass back to the castle and pack your bags! さあ 行け ! |いけ Come on, let's go! 」 マルフォイ は 動か なかった 。 ||うごか| Malfoy didn't move. ハグリッド を にらみつけて いた が 、 やがて 視線 を 落とした 。 ||||||しせん||おとした He glanced at Hagrid, but then dropped his gaze.

「 よ ー し 、 それ じゃ 、 よ ー く 聞いて くれ 。 |-|||||-||きいて| All right, listen to me very carefully. なん せ 、 俺 たち が 今夜 やろう と して いる こと は 危険な んだ 。 ||おれ|||こんや|||||||きけんな| What we're doing tonight is dangerous. みんな 軽はずみな こと を しちゃ いか ん 。 |かるはずみな||||| Everyone should not do anything rash. しばらく は わし に ついて 来て くれ 」 |||||きて| You will follow me for a while."

ハグリッド が 先頭 に 立って 、 森 の はずれ まで やってきた 。 ||せんとう||たって|しげる|||| Hagrid led the way to the edge of the forest. ランプ を 高く 掲げ 、 ハグリッド は 暗く 生い茂った 木々 の 奥 へ と 消えて いく 細い 曲がりくねった 獣 道 を 指さした 。 らんぷ||たかく|かかげ|||くらく|おいしげった|きぎ||おく|||きえて||ほそい|まがりくねった|けだもの|どう||ゆびさした Raising his lamp high in the air, Hagrid pointed to a narrow, curving beast path that disappeared into the dark, overgrown trees. 森 の 中 を のぞき込む と 一陣 の 風 が みんな の 髪 を 逆立てた 。 しげる||なか||のぞきこむ||いちじん||かぜ||||かみ||さかだてた A gust of wind ruffled everyone's hair as they peeked into the forest.

「 あそこ を 見ろ 。 ||みろ "Look over there. 地面 に 光った 物 が 見える か ? じめん||ひかった|ぶつ||みえる| Do you see anything shiny on the ground? 銀色 の 物 が 見える か ? ぎんいろ||ぶつ||みえる| Do you see anything silver? 一角 獣 の 血 だ 。 いっかく|けだもの||ち| It's unicorn blood. 何者 か に ひどく 傷つけられた ユニコーン が この 森 の 中 に いる 。 なにもの||||きずつけ られた||||しげる||なか|| There is a unicorn in these woods that has been badly wounded by someone. 今週 に なって 二 回 目 だ 。 こんしゅう|||ふた|かい|め| This is the second time this week. 水曜日 に 最初の 死骸 を 見つけた 。 すいようび||さいしょの|しがい||みつけた We found the first carcass on Wednesday. みんな で かわいそうな やつ を 見つけだす んだ 。 |||||みつけだす| We're all going to find that poor bastard. 助から ない なら 、 苦しま ない ように して やら ねば なら ん 」 たすから|||くるしま||||||| If we can't help them, we have to make sure they don't suffer."

「 ユニコーン を 襲った やつ が 先 に 僕たち を 見つけたら どう する ん だい ? ||おそった|||さき||ぼくたち||みつけたら|||| What if whoever attacked the unicorn found us first? 」 マルフォイ は 恐怖 を 隠し きれ ない 声 で 聞いた。 ||きょうふ||かくし|||こえ||きいた Malfoy could hear the fear in his voice. 「 俺 や ファング と 一緒に おれば 、 この 森 に 住む もの は 誰 も おまえたち を 傷つけ は せ ん 。 おれ||||いっしょに|||しげる||すむ|||だれ||||きずつけ||| Mit mir und Fang wird dich niemand, der in diesem Wald lebt, verletzen. With me and Fang, no one who lives in this forest will hurt you. 道 を 外れる な よ 。 どう||はずれる|| Don't stray from the path. よ ー し 、 では 二 組 に 分かれて 別々 の 道 を 行こう 。 |-|||ふた|くみ||わかれて|べつべつ||どう||いこう All right, let's split up and go our separate ways. そこら 中 血だらけだ 。 |なか|ちだらけだ There's blood everywhere. ユニコーン は 少なくとも 昨日 の 夜 から のたうち 回って る んじゃ ろう 」 ||すくなくとも|きのう||よ|||まわって||| The unicorn must have been kicking around since at least yesterday night."

「 僕 は ファング と 一緒 が いい 」 ファング の 長い 牙 を 見て 、 マルフォイ が 急いで 言った 。 ぼく||||いっしょ|||||ながい|きば||みて|||いそいで|いった I want to be with Fang," Malfoy said hurriedly, looking at Fang's long fangs.

「 よかろう 。 "Very well . 断っと く が 、 そい つ は 臆病 じゃ よ 。 だん っと||||||おくびょう|| I must warn you, he is a coward. そんじゃ 、 ハリー と ハーマイオニー は 俺 と 一緒に 行こう 。 |||||おれ||いっしょに|いこう Well, Harry and Hermione, you're coming with me. ドラコ と ネビル は ファング と 一緒に 別の 道 だ 。 ||||||いっしょに|べつの|どう| Draco and Neville are going their separate ways with Fang. もし ユニコーン を 見つけたら 緑 の 光 を 打ち上げる 、 いい か ? |||みつけたら|みどり||ひかり||うちあげる|| If I see a unicorn, I'll shoot out a green light, okay? 杖 を 出して 練習 しよう ── それ で よし ── もし 困った こと が 起きたら 、 赤い 光 を 打ち上げろ 。 つえ||だして|れんしゅう||||||こまった|||おきたら|あかい|ひかり||うちあげろ Let's get out the cane and practice. That's it. - If you get in trouble, shoot a red light. みんな で 助け に 行く ── じゃ 、 気 を つけろ よ ── 出発 だ 」 ||たすけ||いく||き||||しゅっぱつ| We're all here to help you. - So be careful. - Let's go.

森 は 真っ暗で シーン と して いた 。 しげる||まっくらで|しーん||| The forest was pitch black and a scene was created. 少し 歩く と 道 が 二手 に 分かれて いた 。 すこし|あるく||どう||ふたて||わかれて| After a short walk, the road split in two. ハグリッド たち は 左 の 道 を 、 ファング の 組 は 右 の 道 を 取った 。 |||ひだり||どう||||くみ||みぎ||どう||とった Hagrid's group took the left path and Fang's group took the right path.

三 人 は 無言 で 足元 だけ を 見 ながら 歩いた 。 みっ|じん||むごん||あしもと|||み||あるいた The three of them walked silently, looking only at their feet. 時々 枝 の すき間 から 漏れる 月 明かり が 、 落葉 の 上 に 点々 と 滴った シルバーブルー の 血痕 を 照らし出した 。 ときどき|えだ||すきま||もれる|つき|あかり||らくよう||うえ||てんてん||したたった|||けっこん||てらしだした The occasional moonlight filtering through a crack in the branches illuminated the silver-blue bloodstains dripping on the fallen leaves.

ハリー は ハグリッド の 深刻な 顔 に 気づいた 。 ||||しんこくな|かお||きづいた Harry noticed the serious look on Hagrid's face.

「 狼 男 が ユニコーン を 殺す なんて こと あり うる の ? おおかみ|おとこ||||ころす||||| How is it possible for a werewolf to kill a unicorn? 」 と ハリー は 聞いて みた 。 |||きいて| Harry asked.

「 あいつ ら は そんなに 速く ない 。 ||||はやく| They're not that fast. ユニコーン を 捕まえる の は たやすい こと じゃ ない 。 ||つかまえる|||||| Catching a unicorn is no easy task. 強い 魔力 を 持った 生き物 な んじゃ よ 。 つよい|まりょく||もった|いきもの||| It's a creature of great magical power. ユニコーン が 怪我 した なんて こ た ぁ 、 俺 は 今 まで 聞いた こと が ない な 」 ||けが||||||おれ||いま||きいた|||| I've never heard of a unicorn getting hurt.

苔 むした 切株 を 通り過ぎる 時 、 ハリー は 水 の 音 を 聞いた 。 こけ||きりかぶ||とおりすぎる|じ|||すい||おと||きいた Harry heard the sound of water as he passed a mossy stump. どこ か 近く に 川 が ある らしい 。 ||ちかく||かわ||| There is a river somewhere nearby. 曲りくねった 小道 に は まだ あちこち に ユニコーン の 血 が 落ちて いた 。 まがりくねった|こみち||||||||ち||おちて| The winding paths were still littered here and there with unicorn blood.

「 そっち は 大丈夫 か ? ||だいじょうぶ| "Is everything okay over there? ハーマイオニー 」 ハグリッド が ささやいた 。 Hermione," Hagrid whispered.

「 心配 する な 。 しんぱい|| "Don't worry. この ひどい 怪我 じゃ そんなに 遠く まで は 行け ない はずだ 。 ||けが|||とおく|||いけ|| With an injury this bad, you shouldn't be able to go that far. もう すぐ …… その 木 の 陰 に 隠れろ ! |||き||かげ||かくれろ Soon ...... hide behind that tree! 」 ハグリッド は ハリー と ハーマイオニー を ひっつか み 、 樫 の 巨木 の 裏 に 放り込んだ 。 ||||||||かし||きょぼく||うら||ほうりこんだ Hagrid grabbed Harry and Hermione and threw them behind a huge oak tree. 矢 を 引き出して 弓 に つがえ 、 持ち上げて 構え 、 いつでも 矢 を 放てる ように した 。 や||ひきだして|ゆみ||つ がえ|もちあげて|かまえ||や||はな てる|| He pulled out his arrows, attached them to his bow, lifted it up and held it ready, ready to fire at any moment. 三 人 は 耳 を 澄ました 。 みっ|じん||みみ||すました The three of them listened attentively.

何 か が 、 すぐ そば の 枯葉 の 上 を スルスル 滑って いく 。 なん||||||かれは||うえ||するする|すべって| Something is slipping on the dead leaves right next to me. マント が 地面 を 引きずる ような 音 だった 。 まんと||じめん||ひきずる||おと| It sounded like a cape dragging on the ground.

ハグリッド が 目 を 細めて 暗い 道 を ジッと 見て いた が 、 数 秒 後 に 音 は 徐々に 消えて いった 。 ||め||ほそめて|くらい|どう||じっと|みて|||すう|びょう|あと||おと||じょじょに|きえて| Hagrid's eyes narrowed as he stared at the dark road, but after a few seconds the sound slowly faded away.

「 思った とおり だ 」 ハグリッド が つぶやいた 。 おもった||||| "Just as I thought," Hagrid murmured.

「 ここ に いる べきでない 何者 か だ 」 |||べきで ない|なにもの|| "You're something that shouldn't be here."

「 狼 男 ? おおかみ|おとこ "Wolf man? 」 「 い ー や 、 狼 男 じゃ ないし ユニコーン で も ない 」 ハグリッド は 険しい 顔 を した 。 |-||おおかみ|おとこ|||||||||けわしい|かお|| No, he's not a werewolf, and he's not a unicorn," Hagrid said, his face grim. 「 よ ー し 、 俺 に ついて 来い 。 |-||おれ|||こい Okay, follow me. 気 を つけて な 」 き||| Be careful.

三 人 は 前 より も さらに ゆっくり と 、 どんな 小さな 音 も 聞き逃す まい と 聞き 耳 を 立てて 進んだ 。 みっ|じん||ぜん|||||||ちいさな|おと||ききのがす|||きき|みみ||たてて|すすんだ The three of them moved more slowly than before, their ears straining to hear even the smallest sound.

突然 、 前方 の 開けた 場所 で 確かに 何 か が 動いた 。 とつぜん|ぜんぽう||あけた|ばしょ||たしかに|なん|||うごいた Suddenly, something moved in an open area ahead.

「 そこ に いる の は 誰 だ ? |||||だれ| Who's there? 姿 を 現せ …… こっち に は 武器 が ある ぞ ! すがた||あらわせ||||ぶき||| Show yourself at ...... We have weapons over here! 」 ハグリッド が 声 を 掛り 上げた 。 ||こえ||かかり|あげた Hagrid called out to him. 開けた 空間 に 現れた の は …… 人間 、 いや 、 それとも 馬 ? あけた|くうかん||あらわれた|||にんげん|||うま In the open space appeared ...... a man or a horse? 腰 から 上 は 赤い 髪 に 赤い ヒゲ の 人 の 姿 。 こし||うえ||あかい|かみ||あかい|ひげ||じん||すがた From the waist up, a human figure with red hair and a red beard. そして 腰 から 下 は ツヤツヤ と した 栗毛 に 赤味 が かった 長い 尾 を つけた 馬 。 |こし||した||つやつや|||くりげ||あかみ|||ながい|お|||うま And from the waist down, a horse with shiny chestnut hair and a long reddish tail. ハリー と ハーマイオニー は 口 を ポカン と 開けた まま だった 。 ||||くち||||あけた|| Harry and Hermione's mouths were hanging open.

「 ああ 、 君 か 、 ロナン 」 ハグリッド が ホッと した ように 言った 。 |きみ|||||ほっと|||いった "Ah, it's you, Ronan," Hagrid said, relieved.

「 元気 かね ? げんき| How are you? 」 ハグリッド は ケンタウルス に 近づき 握手 した 。 ||||ちかづき|あくしゅ| Hagrid approached the centaur and shook hands.

「 こんばんは 、 ハグリッド 」 こんばん は| "Good evening, Hagrid."

ロナン の 声 は 深く 、 悲しげ だった 。 ||こえ||ふかく|かなしげ| Ronan's voice was deep and sad.

「 私 を 撃とう と した んです か ? わたくし||うとう|||| "Were you going to shoot me? 」 「 ロナン 、 用心 に こした こと は ない 」 |ようじん||||| Ronan, you must never be too careful. 石 弓 を 軽く 叩き ながら ハグリッド が 言った 。 いし|ゆみ||かるく|たたき||||いった Hagrid said, tapping his stone bow.

「 なんか 悪い もん が この 森 を うろついて いる んで な 。 |わるい||||しげる||||| Something bad has been hanging around these woods. ところで 、 ここ の 二 人 は ハリー ・ ポッター と ハーマイオニー ・ グレンジャー だ 。 |||ふた|じん||||||| By the way, these two are Harry Potter and Hermione Granger. 学校 の 生徒 で な 。 がっこう||せいと|| You are not a student at the school. お 二 人 さん 、 こちら は ロナン だ よ 。 |ふた|じん|||||| Hey, guys, this is Ronan. ケンタウルス だ 」 Centaur."

「 気 が ついて いた わ 」 ハーマイオニー が 消え 入る ような 声 で 言った 。 き|||||||きえ|はいる||こえ||いった "I was aware of that," Hermione said in a disappearing voice.

「 こんばん は 。 Good evening . 生徒 さん だ ね ? せいと||| You are a student, aren't you? 学校 で は たくさん 勉強 して る かね ? がっこう||||べんきょう||| Do you study a lot at school? 」 「 えー と ……」 "Let's see... ......" 「 少し は 」 ハーマイオニー が オズオズ と 答えた 。 すこし||||||こたえた "A little," Hermione replied, "but not much.

「 少し 。 すこし "A little bit . そう 。 So . それ は よかった 」 That's good.

ロナン は フーッ と ため息 を つき 、 首 を ブルルッ と 振って 空 を 見上げた 。 ||||ためいき|||くび||||ふって|から||みあげた Ronan sighs, shakes his head, and looks up at the sky.

「 今夜 は 火星 が とても 明るい 」 こんや||かせい|||あかるい "Mars is very bright tonight."

「 ああ 」 "Oh."

ハグリッド も チラリ と 空 を 見上げた 。 ||ちらり||から||みあげた Hagrid also glanced up at the sky.

「 なあ 、 ロナン よ 。 Hey, Ronan. 君 に 会えて よかった 。 きみ||あえて| It was nice to meet you. ユニコーン が 、 しかも 怪我 を した ヤツ が おる んだ …… なんか 見かけ ん かった か ? |||けが|||やつ|||||みかけ||| There's a unicorn, and he's hurt. ...... Have you seen anything? 」 ロナン は すぐに は 返事 を し なかった 。 ||||へんじ||| Ronan did not respond immediately. 瞬き も せ ず 空 を 見つめ 、 ロナン は 再び ため息 を ついた 。 まばたき||||から||みつめ|||ふたたび|ためいき|| Staring at the sky without blinking, Ronan sighs again.

「 いつでも 罪 も ない 者 が 真っ先 に 犠牲 に なる 。 |ざい|||もの||まっさき||ぎせい|| The innocent always get sacrificed first. 大昔 から ずっと そう だった 。 おおむかし|||| It's been that way since the beginning of time. そして 今もなお ……」 |いまもなお And still ......"

「 あぁ 。 Oh . だが ロナン 、 何 か 見 なかった か ? ||なん||み|| But, Ronan, did you see something? いつも と 違う 何 か を ? ||ちがう|なん|| Something out of the ordinary? 」 ハグリッド が もう 一 度 聞いた 。 |||ひと|たび|きいた Hagrid asked again.

「 今夜 は 火星 が 明るい 」 こんや||かせい||あかるい "Mars is bright tonight."

ハグリッド が イライラ して いる のに 、 ロナン は 同じ こと を 繰り返した 。 ||いらいら||||||おなじ|||くりかえした Hagrid was annoyed, but Ronan kept repeating the same thing.

「 いつも と 違う 明る さ だ 」 ||ちがう|あかる|| "It's a different kind of brightness than usual."

「 あぁ 、 だが 俺 が 聞きたい の は 火星 より 、 もう ちょいと 自分 に 近い 方 の こと だ が 。 ||おれ||きき たい|||かせい||||じぶん||ちかい|かた|||| Yeah, but I'm asking about something a little closer to me than Mars. そう か 、 君 は 奇妙な もの は 何も 気づか なかった んだ な ? ||きみ||きみょうな|||なにも|きづか||| I see, you didn't notice anything strange, did you? 」 またしても ロナン は しばらく 答え なかった が 、 ついに こう 言った 。 ||||こたえ|||||いった Again, Ronan did not answer for a while, but finally he said, "I'm sorry. 「 森 は 多く の 秘密 を 覆い隠す 」 しげる||おおく||ひみつ||おおいかくす "The forest hides many secrets."

ロナン の 後ろ の 木立 の 中 で 何 か が 動いた 。 ||うしろ||こだち||なか||なん|||うごいた Something moved in the trees behind Ronan. ハグリッド は また 弓 を 構えた 。 |||ゆみ||かまえた Hagrid has his bow up again. だが それ は 別の ケンタウルス だった 。 |||べつの|| But it was another centaur. 真っ黒な 髪 と 胴体 で ロナン より 荒々しい 感じ が した 。 まっくろな|かみ||どうたい||||あらあらしい|かんじ|| With his pitch-black hair and torso, he had a more rugged look than Ronan.

「 や あ 、 ベイン 。 "Hi, Bane. 元気 かね ? げんき| How are you? 」 と ハグリッド が 声 を かけた 。 |||こえ|| Hagrid called out to him.

「 こんばん は 。 Good evening . ハグリッド 、 あなた も 元気です か ? |||げんきです| How are you, too, Hagrid? 」 「 ああ 、 元気だ 。 |げんきだ Yeah, I'm fine. なあ 、 ロナン に も 今 聞いた んだ が 、 最近 この 辺 で 何 か おかしな 物 を 見 ん かった か ? ||||いま|きいた|||さいきん||ほとり||なん|||ぶつ||み||| Hey, I was just asking Ronan if he's seen anything strange around here lately? 実は ユニコーン が 傷つけられて な …… おまえ さん 何か知ら ん かい ? じつは|||きずつけ られて||||なにかしら|| Actually, the unicorn was hurt. ...... You don't know anything about that, do you? 」 ベイン は ロナン の そば まで 歩いて いき 、 隣 に 立って 空 を 見上げた 。 ||||||あるいて||となり||たって|から||みあげた Bane walked over to Ronan and stood next to him, looking up at the sky. 「 今夜 は 火星 が 明るい 」 ベイン は それ だけ 言った 。 こんや||かせい||あかるい|||||いった "Mars is bright tonight," was all Bain said.

「 もう それ は 聞いた 」 ハグリッド は 不機嫌 だった 。 |||きいた|||ふきげん| "I've already heard that," Hagrid grumbled.

「 さーて 、 もし お 二 人 さん の どっち か でも 何 か 気 が ついたら 俺 に 知らせて くれ 、 たのむ 。 |||ふた|じん||||||なん||き|||おれ||しらせて|| Well, if either of you two notice anything, let me know, please. さあ 、 俺 たち は 行こう か 」 |おれ|||いこう| Come on, we're going.

ハリー と ハーマイオニー は ハグリッド の 後 に ついて そこ から 離れた 。 ||||||あと|||||はなれた Harry and Hermione followed Hagrid away. 二 人 は 肩 越し に 何度 も 振り返り 、 木立 が 邪魔 して 見え なく なる まで 、 ロナン と ベイン を しげしげ と 見つめて いた 。 ふた|じん||かた|こし||なんど||ふりかえり|こだち||じゃま||みえ||||||||||みつめて| They looked back and forth over their shoulders, staring intently at Ronan and Bane until the trees obscured their view.

「 ただ の 一 度 も ──」 ハグリッド は イライラ して 言った 。 ||ひと|たび||||いらいら||いった "Not once," Hagrid said, annoyed.

「 ケンタウルス から はっきり した 答え を もらった ためし が ない 。 ||||こたえ||||| I've never gotten a clear answer from Centauri. いまいましい 夢想 家 よ 。 |むそう|いえ| Fucking dreamer. 星 ばかり 眺めて 、 月 より 近く の もの に は なんの 興味 も 持っと らん 」 「 森 に は ケンタウルス が たくさん いる の ? ほし||ながめて|つき||ちかく||||||きょうみ||じ っと||しげる||||||| "He just gazes at the stars and has no interest in anything closer than the moon. 」 と ハーマイオニー が 尋ねた 。 |||たずねた Hermione asked.

「 ああ 、 まあまあ だな ……たいてい やっこ さん たち は あんまり 他の やつ と は 接する こと が ない 。 ||だ な||や っこ|||||たの||||せっする||| Yeah, it's okay. ...... Most of the time these guys don't have much contact with other guys. だが 俺 が 何 か 聞きたい 時 は 、 ちゃんと 現れる と いう 親切 さ は ある 。 |おれ||なん||きき たい|じ|||あらわれる|||しんせつ||| But he is kind enough to show up when I have a question. 連中 は 深い 、 心 が な 。 れんちゅう||ふかい|こころ|| They are deep, heartless. ケンタウルス …… いろんな こと を 知っと る が …… あまり 教えちゃ くれ ん 」 「 さっき 聞いた 音 、 ケンタウルス だった の か な ? ||||ち っと||||おしえちゃ||||きいた|おと||||| Centaur ...... knows a lot of things, but ...... won't tell you much." "Was that sound I just heard Centaur? 」 ハリー が 聞いた 。 ||きいた Harry heard that.

「 あれ が 蹄 の 音 に 聞こえた かね ? ||ひづめ||おと||きこえた| "Did you hear those hoofbeats? い ー や 、 俺 に は わかる 。 |-||おれ||| No, I know what I'm talking about. ユニコーン を 殺した ヤツ の 物音 だ …… あんな 音 は 今 まで 聞いた こと が ない 」 ||ころした|やつ||ものおと|||おと||いま||きいた||| That's the sound of him killing a unicorn. ...... I've never heard anything like that before."

三 人 は 深く 真っ暗な 茂み の 中 を 進んだ 。 みっ|じん||ふかく|まっくらな|しげみ||なか||すすんだ The three of them went deep into the pitch-dark bushes. ハリー は 神経質に 何度 も 後ろ を 振り返った 。 ||しんけいしつに|なんど||うしろ||ふりかえった Harry nervously looked back several times. なんとなく 見張られて いる ような 嫌な 感じ が する のだ 。 |みはら れて|||いやな|かんじ||| I have a bad feeling that I'm being watched. ハグリッド も いる し 、 おまけに 石 弓 も ある から 大丈夫 、 と ハリー は 思った 。 |||||いし|ゆみ||||だいじょうぶ||||おもった Harry thought that with Hagrid there and the stone bow, he'd be fine. ちょうど 角 を 曲がった 時 、 ハーマイオニー が ハグリッド の 腕 を つかんだ 。 |かど||まがった|じ|||||うで|| Just as they rounded the corner, Hermione grabbed Hagrid's arm.

「 ハグリッド ! Hagrid! 見て 、 赤い 火花 よ 。 みて|あかい|ひばな| Look, red sparks. ネビル たち に 何 か あった んだ わ ! |||なん|||| Something happened to Neville and the others! 」 「 二 人 と も ここ で 待って ろ 。 ふた|じん|||||まって| "Both of you, wait here. この 小道 から 外れる な よ 。 |こみち||はずれる|| Don't get off this path. すぐ 戻って くる から な 」 |もどって||| I'll be right back."