ど くろ の お 経
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Sutra des Doktors
Sutras of the Skull
Sutra del Doktor
Sutra du Doktor
도쿠로의 경전
Sutra van de Doktor
Sutra Doktora
Sutra do Doktor
Doktor'un Sutrası
骷髅经
骷髏經
ど くろ の お 経
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Skull
むかし むかし 、 紀伊 の 国 ( きい の くに → 和歌山 県 ) の 山寺 に 、 とても 偉い お 坊さん が い ました 。
||きい||くに||||わかやま|けん||やまでら|||えらい||ぼうさん|||
人々 は この お 坊さん を 敬意 を 込めて 、『 紀伊 菩薩 ( きい ぼさつ )』 と 呼び ました 。
ひとびと||||ぼうさん||けいい||こめて|きい|ぼさつ||||よび|
People called this monk "Kii Bosatsu" (Kii Bodhisattva) out of respect.
ある 年 の 事 、 この 紀伊 菩薩 の ところ に 、 一 人 の 若者 が 弟子入り を し ました 。
|とし||こと||きい|ぼさつ||||ひと|じん||わかもの||でしいり|||
One year, at this Kii Bodhisattva, a young man became a disciple.
この 弟子 は 大変 まじめで 、 少し でも 時間 が あれば 、 いつも お 経 を 唱えて い ました 。
|でし||たいへん||すこし||じかん|||||へ||となえて||
This disciple was very serious and always chanted the sutra if he had a little time.
そして 何 年 も お 経 を 読む うち に 、 この お 坊さん の 声 は とても 美しい 声 に なり ました 。
|なん|とし|||へ||よむ|||||ぼうさん||こえ|||うつくしい|こえ|||
And over the years, the voice of this monk became very beautiful.
ある 日 の 事 、 この お 坊さん が 紀伊 菩薩 に 言い ました 。
|ひ||こと|||ぼうさん||きい|ぼさつ||いい|
One day, this monk told the Kii Bodhisattva.
「 わたし は これ から 諸国 ( しょこく ) を 行脚 ( あんぎゃ → 各地 を 歩いて 修行 する こと ) して 、 仏 の 教え を 広め とう ございます 」 「 ほう 、 それ は 感心な 事 じゃ 。
||||しょこく|||あんぎゃ||かくち||あるいて|しゅぎょう||||ふつ||おしえ||ひろめ||||||かんしんな|こと|
I am now going to walk around the country to spread the Buddha's teachings.
気 を つけて 、 行って 来る のだ よ 」 紀伊 菩薩 は こころよく 、 この 弟子 を 寺 から 送り出し ました 。
き|||おこなって|くる|||きい|ぼさつ||||でし||てら||おくりだし|
Be careful and come. ”The Bodhisattva Kii sent this disciple out of the temple.
それ から 三 年 後 、 里 に 船大工 ( ふな だいく → 船 作り の 人 ) たち が やって 来 ました 。
||みっ|とし|あと|さと||ふなだいく|||せん|つくり||じん||||らい|
Three years later, ship carpenters (Funadaiku → ship builders) came to the village.
船大工 たち は 船 を 作る 木 を 切り出す 為 に 山 へ 小屋 を 建てて 、 そこ で 仕事 を 始め ました 。
ふなだいく|||せん||つくる|き||きりだす|ため||やま||こや||たてて|||しごと||はじめ|
Shipbuilders built huts in the mountains to cut the wood for their boats and began working from there.
する と どこ から と も なく 、 お 経 を よむ 声 が 聞こえて 来 ました 。
||||||||へ|||こえ||きこえて|らい|
Then, out of nowhere, I heard a voice reciting a sutra.
その 声 は 、 少しも 休む 事 なく 聞こえて 来 ます 。
|こえ||すこしも|やすむ|こと||きこえて|らい|
The voice can be heard without any rest.
「 さて 、 なんと 美しい お 声 じゃ ろう 」 「 こんな 山 の 中 で 、 ああ も 一心に お 経 を よんで おら れる と は 、 とても 素晴らしい お方 に 違いない 」 「 ぜひ 、 お目にかかり たい もの じゃ 」 「 ああ 」 そこ で みんな は お供え 物 を 持って 、 山 の 中 を 探して 歩き ました 。
||うつくしい||こえ||||やま||なか||||いっしんに||へ||||||||すばらしい|おかた||ちがいない||おめにかかり|||||||||おそなえ|ぶつ||もって|やま||なか||さがして|あるき|
"Well, what a beautiful voice." So everyone took their offerings and walked around the mountains looking for them.
ところが 一 日 中 探して も 、 その 姿 を 見る 事 が 出来 ませ ん 。
|ひと|ひ|なか|さがして|||すがた||みる|こと||でき||
ガッカリ して 小屋 に 帰って 来る と 、 また どこ から と も なく 、 お 経 が 聞こえて 来る のです 。
がっかり||こや||かえって|くる|||||||||へ||きこえて|くる|
When I returned to the cabin disappointed, I heard chanting again from nowhere.
船大工 たち は 、 それ から 何度 も 山中 を 探し ました が 、 どうしても 姿 を 見つける 事 は 出来 ませ ん でした 。
ふなだいく|||||なんど||さんちゅう||さがし||||すがた||みつける|こと||でき|||
The carpenters searched the mountains again and again, but could not find him.
それ から 半年 後 、 船大工 たち は 新しい 船 を 作る 為 に 、 また 山 ヘ やって 来 ました 。
||はんとし|あと|ふなだいく|||あたらしい|せん||つくる|ため|||やま|||らい|
Six months later, the shipwrights came to the mountains again to build a new ship.
する と 半年 前 と 同じ 様 に 、 お 経 を 読む 声 が 聞こえて 来る のです 。
||はんとし|ぜん||おなじ|さま|||へ||よむ|こえ||きこえて|くる|
Then, just like half a year ago, I heard voices reciting sutras.
「 前 と 、 同じ お 声 じゃ 」 「 本当に 。
ぜん||おなじ||こえ||ほんとうに
It's the same voice as before.
なんとも 、 不思議な 事 じゃ 」 「 これ に は なに か 、 わけ が ある に 違いない 」 船大工 たち は また 、 山 の 中 を 探して 歩き ました 。
|ふしぎな|こと|||||||||||ちがいない|ふなだいく||||やま||なか||さがして|あるき|
It's a strange thing. "" There must be some reason for this. "The shipbuilders also walked in search of the mountains.
今度 も 声 を たより に 歩き ました が 、 なかなか 見つかり ませ ん 。
こんど||こえ||||あるき||||みつかり||
I walked with my voice again, but I couldn't find it easily.
「 もしかしたら 、 川 の 流れ の 音 が 岩山 に ぶつかって 、 お 経 の 様 に 聞こえて 来る ので は ない か ?
|かわ||ながれ||おと||いわやま||||へ||さま||きこえて|くる||||
"Maybe the sound of the river hitting the rocky mountain sounds like a sutra?
」 「 いや 、 あれ は 確かに 、 お 経 を よま れる お 坊 さま の お 声 だ 」 なおも 探して いる と 、 一行 は けわしい 岩山 に 出 ました 。
|||たしかに||へ|||||ぼう||||こえ|||さがして|||いっこう|||いわやま||だ|
"No, that's certainly the voice of a priest who has passed through." While still looking for it, the party went out to a rugged rocky mountain.
「 おや ?
あれ は 、 な んじゃ ?
What is that?
」 一 人 の 男 が 指差す 方 を 見て みる と 、 谷底 の しげみ に 何 か 白い 物 が あり ます 。
ひと|じん||おとこ||ゆびさす|かた||みて|||たにそこ||||なん||しろい|ぶつ|||
When I looked in the direction where the man was pointing, I saw something white in the shadows at the bottom of the valley.
近寄って みる と 、 なんと それ は ガイコツ でした 。
ちかよって|||||||
When I approached it, it was a skeleton.
何 年 も 前 に 死んだ の か 、 もう 白い 骨 が 残って いる だけ です 。
なん|とし||ぜん||しんだ||||しろい|こつ||のこって|||
It must have died many years ago, so all that's left are its white bones.
盗賊 に 襲わ れた の か 、 それとも オオカミ に 襲わ れた の か 。
とうぞく||おそわ|||||おおかみ||おそわ|||
Was it attacked by a thief or was it attacked by a wolf?
「 ああ 、 気の毒な 事 じゃ 」 みんな で 手 を 合せる と 、 なんと その ガイコツ が 、 大きな 声 で お 経 を あげ はじめた のです 。
|きのどくな|こと||||て||あわせる||||||おおきな|こえ|||へ||||
"Oh, sorry for that." When we all got together, the skeleton began to speak loudly.
「 ひ ぇ ーーー っ !
||---|
Heeeee...!
」 船大工 たち は ビックリ して 、 あわてて その 場 から 逃げ 帰り ました 。
ふなだいく|||びっくり||||じょう||にげ|かえり|
さらに それ から 三 年 後 、 船大工 の 一 人 が 山寺 に 立ち寄った 時 、 紀伊 菩薩 に この 話し を し ました 。
|||みっ|とし|あと|ふなだいく||ひと|じん||やまでら||たちよった|じ|きい|ぼさつ|||はなし|||
Three years later, when one of the shipbuilders stopped by the temple, he told this story to Kii Bodhisattva.
する と 菩薩 は 、 「 死んで も なお 、 お 経 を 唱える と は 。
||ぼさつ||しんで||||へ||となえる||
Then the bodhisattva said, ``How can you still recite sutras even after you die?
その 仏さま を 、 手厚く ほうむって あげ たいのう 」 と 、 さっそく 熊野 の 山 ヘ 出かけた のです 。
|ふつ さま||てあつく||||||くまの||やま||でかけた|
I want to give the Buddha a warm welcome," and immediately set out for the mountains of Kumano.
そして 紀伊 菩薩 が 船大工 の 小屋 の そば ヘ 来た 時 、 紀伊 菩薩 は 首 を かしげ ました 。
|きい|ぼさつ||ふなだいく||こや||||きた|じ|きい|ぼさつ||くび|||
And when the Kii Bodhisattva came to the side of the ship carpenter's hut, the Kii Bodhisattva shook his head.
「 おお 、 確かに 聞こえる 。
|たしかに|きこえる
Oh, it sure sounds like it.
見事な 声 じゃ 。
みごとな|こえ|
What a wonderful voice.
しかし 、 この 声 に は 聞き覚え が ・・・。
||こえ|||ききおぼえ|
However, this voice sounds familiar...
そう じゃ !
Yes, that's right!
この 声 は 修業 の 旅 に 出た 、 あの 弟子 の 声 に 違いない 」 紀伊 菩薩 が 谷底 へ 行って みる と 、 そこ に は ガイコツ は なく 、 ドクロ が 一 つ ゴロン と 転がって い ました 。
|こえ||しゅぎょう||たび||でた||でし||こえ||ちがいない|きい|ぼさつ||たにそこ||おこなって|||||||||||ひと||||ころがって||
This voice must be the voice of that disciple who went on a training journey. ”When the Bodhisattva Kii went to the bottom of the valley, there was no skeleton, and a skull was rolling with Goron.
そして その ドクロ の 口 の 中 から 、 あの お 経 が 聞こえて 来る のです 。
||||くち||なか||||へ||きこえて|くる|
紀伊 菩薩 も 一緒に お 経 を 唱え ながら 、 ドクロ の 口 の 中 を のぞいて み ました 。
きい|ぼさつ||いっしょに||へ||となえ||||くち||なか||||
While chanting the sutra with the Kii Bodhisattva, I looked into the skull's mouth.
する と 不思議な 事 に 、 ドクロ の 口 の 中 に は 舌 ( した ) だけ が 腐ら ず に まだ 残って いて 、 その 舌 が 動いて 一心に お 経 を 唱えて いた と いう 事 です 。
||ふしぎな|こと||||くち||なか|||した||||くさら||||のこって|||した||うごいて|いっしんに||へ||となえて||||こと|
Strangely enough, only the tongue was still inside the skull's mouth, and it was still moving and chanting sutras with all his heart.
おしまい