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かめ かつぎ
かめ かつ ぎ
むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。
ある お 正月 の 事 です 。
町 へ 行った 吉 四六 さん は 瀬戸物 屋 へ 立ち寄って 、 十 枚 ひと 組 の 皿 を 五十 文 で 買って 来 ました 。
ところが 家 に 戻って 数えて みる と 、 十 枚 ある はず が 九 枚 しか あり ませ ん 。
瀬戸物 屋 の 主人 の 重 兵 衛 ( じゅう べ え ) が 、 数え 間違えた のでしょう 。
重 兵 衛 は へそ曲がり で 有名でした が 、 吉 四六 さん と は 顔見知り だった ので 、 二 、 三 日 たって 町 へ 行った ついで に 店 に 立ち寄り 、 「 重 兵 衛 さん 、 この 間 買った 、 十 枚 ひと 組 の 皿 の 事 だ が 、 家 に 戻って 数えて みたら 一 枚 少なかった よ 」 と 、 言い ました 。
ところが 重 兵 衛 は 、 「 そうかい 、 それ は 気の毒でした なあ 。
じゃ 、 代金 は 九 枚 分 だけ もらって おく よ 」 と 、 いつも と 違って 、 ニコニコ し ながら 言い ました 。
「 おや ?
重 兵 衛 さん 、 今日 は やけに 話 が 分かる ねえ 。
まあ 、 代金 は 九 枚 分 に し なくて も いい から 、 足り なかった 分 の 皿 を 一 枚 もらって 行く よ 」 そう 言って 、 同じ 皿 を 一 枚 取った 吉 四六 さん が 店 を 出よう と する と 、 重 兵 衛 さん が あわてて 引き止め ました 。
「 おいおい 、 吉 四六 さん 、 ちょっと 待って !
」 「 なんだい ?
」 「 あんた 、 皿 を 泥棒 する つもり か ?
ちゃんと 皿 の 代金 を 置いて 行き な 」 さっき と は 違って 怖い 顔 の 重 兵 衛 さん を 見て 、 吉 四六 さん は 思い ました 。
( やれやれ 、 やっぱり 本性 を 現して きた な ) 吉 四六 さん は 、 わざと 不思議 そうな 顔 を して 言い ました 。
「 皿 の 代金 だって ?
ちゃんと この 間 、 五十 文 を 払った じゃ ない か 」 すると 重 兵 衛 は 、 皿 の 値段 が 書いた 張り紙 を 突き出して 言い ました 。
「 この 張り紙 を 読んで み な 。
お前 が 買った 皿 は 十 枚 ひと 組 だ と 五十 文 だ が 、 バラ 売り だ と 一 枚 が 六 文 と 書いて ある だろう 。
だから 九 枚 で は 五十四 文 。
それ に 今日 の 一 枚 が 六 文 で 、 合わせて 六十 文 だ 。
この前 の 五十 文 を 差し引いて も 、 まだ 十 文 が 足り ない じゃ ない か 」 「 なるほど 、 確かに 十 文 足り ない な 。
こいつ は 、 まいった 」 さすが の 吉 四六 さん も 、 して やられた と ばかり に 頭 を かいて 、 いさぎよく 十 文 を 払い ました 。
「 では 、 代金 の 十 文 」 代金 を 受け取った 重 兵 衛 は 、 「 どう だい 、 吉 四六 さん 。
あんた も 商売 上手 と 聞く が 、 本当の 商売 上手 と は 、 おれ みたいな 者 を 言う んだ よ 。
あはは は は はっ 」 と 、 大笑い し ました 。
「・・・!
」 この 大笑い さえ なければ 、 吉 四六 さん は 素直に 帰った のです が 、 この 事 が 吉 四六 さん の とんち に 火 を 付けた のです 。
「 いや 、 まったく 、 あんた に は かなわない なあ 。
・・・ して 、 ときに 重 兵 衛 さん 、 この かめ は いくら する か ね ?
」 吉 四六 ん は そう 言って 店先 に 立てて ある 、 大きな かめ を 指差し ました 。
それ は 一 人 で は とても か つげ ない ほど の 、 大きな かめ です 。
「 ああ 、 それ なら 一 両 だ 」 「 安い !
一 両 と は 安い なあ 。
じゃあ 、 今日 は この かめ も 買って 帰る と する よ 」 「 おいおい 、 吉 四六 さん 、 買って もらう の は ありがたい が 、 こんな 大きな かめ を 、 お前 一 人 で か つげる もの か 」 「 な に 、 平気だ よ 」 「 平気じゃ ない 。
三 人 がかり で 、 やっと 運んで 来た 代物 だ ぞ 」 「 大丈夫 。
これ くらい の 物 が かつげ ない ようで は 、 百姓 は 出来 ない よ 」 「 ほう 、 こりゃ 面白い 。
もし お前 さん 一 人 で この かめ が か つげたら 、 代金 は いら ん 。
ただ で やろう 」 「 そりゃ 、 本当 かい ?
」 「 本当だ と も 」 「 よし 、 で は かついで み せる よ 」 きっ ちょ むさん は そう 言う と 、 近く にあった 石 を 両手 で 持ち 上げ ました 。
「 おいおい 、 吉 四六 さん 。
それ で 一体 、 何 を する つもりだ ?
」 「 な に 、 このまま で は 持ち にくい から 、 この 石 で かめ を 粉々に して やる の さ 。
そう すり ゃあ 、 何 回 か に 分けて 持って 帰れる だろう 」 「 あっ 、 そう きた か !
」 「 じゃあ 、 ここ で 割ら して もらう よ 」 そう 言って 再び 石 を 持ち 上げる 吉 四六 さん を 、 重 兵 衛 さん は あわてて 止め ました 。
「 まて 、 待って くれ !
」 「 いや 、 待て ぬ 。
今 すぐ 持って 帰る のだ から 」 「 しかし それでは 、 一 両 を 失った の と 同じだ 。
いくら 何でも 、 そんな もったいない 事 は 」 「 よし 、 では この つぼ を 売って やる よ 。
一 両 の ところ を 、 たった の 百 文 で どう だ ?
それ が いや なら 、 ここ で 割る ぞ 」 重 兵 衛 さん は 仕方なく 、 自分 の 負け を 認め ました 。
「 ま 、 まいった 。
その つぼ を 百 文 で 買わ せて もらう よ 。
・・・ と ほほ 、 やっぱり 吉 四六 さん は 、 商売 上手だ 」 こうして 吉 四六 さん は 重 兵 衛 さん から 百 文 を 受け取る と 、 ホクホク 顔 で 帰った のでした 。
おしまい
かめ かつぎ
harvesting rice while it is still young
pirinci henüz gençken hasat etmek
趁早收割
趁早收割
かめ かつ ぎ
むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。
||きち|しろく|||いう|||じん|||
ある お 正月 の 事 です 。
||しょうがつ||こと|
町 へ 行った 吉 四六 さん は 瀬戸物 屋 へ 立ち寄って 、 十 枚 ひと 組 の 皿 を 五十 文 で 買って 来 ました 。
まち||おこなった|きち|しろく|||せともの|や||たちよって|じゅう|まい||くみ||さら||ごじゅう|ぶん||かって|らい|
ところが 家 に 戻って 数えて みる と 、 十 枚 ある はず が 九 枚 しか あり ませ ん 。
|いえ||もどって|かぞえて|||じゅう|まい||||ここの|まい||||
瀬戸物 屋 の 主人 の 重 兵 衛 ( じゅう べ え ) が 、 数え 間違えた のでしょう 。
せともの|や||あるじ||おも|つわもの|まもる|||||かぞえ|まちがえた|
重 兵 衛 は へそ曲がり で 有名でした が 、 吉 四六 さん と は 顔見知り だった ので 、 二 、 三 日 たって 町 へ 行った ついで に 店 に 立ち寄り 、 「 重 兵 衛 さん 、 この 間 買った 、 十 枚 ひと 組 の 皿 の 事 だ が 、 家 に 戻って 数えて みたら 一 枚 少なかった よ 」 と 、 言い ました 。
おも|つわもの|まもる||へそまがり||ゆうめいでした||きち|しろく||||かおみしり|||ふた|みっ|ひ||まち||おこなった|||てん||たちより|おも|つわもの|まもる|||あいだ|かった|じゅう|まい||くみ||さら||こと|||いえ||もどって|かぞえて||ひと|まい|すくなかった|||いい|
ところが 重 兵 衛 は 、 「 そうかい 、 それ は 気の毒でした なあ 。
|おも|つわもの|まもる|||||きのどくでした|
じゃ 、 代金 は 九 枚 分 だけ もらって おく よ 」 と 、 いつも と 違って 、 ニコニコ し ながら 言い ました 。
|だいきん||ここの|まい|ぶん||||||||ちがって|にこにこ|||いい|
「 おや ?
重 兵 衛 さん 、 今日 は やけに 話 が 分かる ねえ 。
おも|つわもの|まもる||きょう|||はなし||わかる|
まあ 、 代金 は 九 枚 分 に し なくて も いい から 、 足り なかった 分 の 皿 を 一 枚 もらって 行く よ 」 そう 言って 、 同じ 皿 を 一 枚 取った 吉 四六 さん が 店 を 出よう と する と 、 重 兵 衛 さん が あわてて 引き止め ました 。
|だいきん||ここの|まい|ぶん|||||||たり||ぶん||さら||ひと|まい||いく|||いって|おなじ|さら||ひと|まい|とった|きち|しろく|||てん||でよう||||おも|つわもの|まもる||||ひきとめ|
「 おいおい 、 吉 四六 さん 、 ちょっと 待って !
|きち|しろく|||まって
」 「 なんだい ?
」 「 あんた 、 皿 を 泥棒 する つもり か ?
|さら||どろぼう|||
ちゃんと 皿 の 代金 を 置いて 行き な 」 さっき と は 違って 怖い 顔 の 重 兵 衛 さん を 見て 、 吉 四六 さん は 思い ました 。
|さら||だいきん||おいて|いき|||||ちがって|こわい|かお||おも|つわもの|まもる|||みて|きち|しろく|||おもい|
( やれやれ 、 やっぱり 本性 を 現して きた な ) 吉 四六 さん は 、 わざと 不思議 そうな 顔 を して 言い ました 。
||ほんしょう||あらわして|||きち|しろく||||ふしぎ|そう な|かお|||いい|
「 皿 の 代金 だって ?
さら||だいきん|
ちゃんと この 間 、 五十 文 を 払った じゃ ない か 」 すると 重 兵 衛 は 、 皿 の 値段 が 書いた 張り紙 を 突き出して 言い ました 。
||あいだ|ごじゅう|ぶん||はらった|||||おも|つわもの|まもる||さら||ねだん||かいた|はりがみ||つきだして|いい|
「 この 張り紙 を 読んで み な 。
|はりがみ||よんで||
お前 が 買った 皿 は 十 枚 ひと 組 だ と 五十 文 だ が 、 バラ 売り だ と 一 枚 が 六 文 と 書いて ある だろう 。
おまえ||かった|さら||じゅう|まい||くみ|||ごじゅう|ぶん|||ばら|うり|||ひと|まい||むっ|ぶん||かいて||
だから 九 枚 で は 五十四 文 。
|ここの|まい|||ごじゅうし|ぶん
それ に 今日 の 一 枚 が 六 文 で 、 合わせて 六十 文 だ 。
||きょう||ひと|まい||むっ|ぶん||あわせて|ろくじゅう|ぶん|
この前 の 五十 文 を 差し引いて も 、 まだ 十 文 が 足り ない じゃ ない か 」 「 なるほど 、 確かに 十 文 足り ない な 。
この まえ||ごじゅう|ぶん||さしひいて|||じゅう|ぶん||たり||||||たしかに|じゅう|ぶん|たり||
こいつ は 、 まいった 」 さすが の 吉 四六 さん も 、 して やられた と ばかり に 頭 を かいて 、 いさぎよく 十 文 を 払い ました 。
|||||きち|しろく||||||||あたま||||じゅう|ぶん||はらい|
「 では 、 代金 の 十 文 」 代金 を 受け取った 重 兵 衛 は 、 「 どう だい 、 吉 四六 さん 。
|だいきん||じゅう|ぶん|だいきん||うけとった|おも|つわもの|まもる||||きち|しろく|
あんた も 商売 上手 と 聞く が 、 本当の 商売 上手 と は 、 おれ みたいな 者 を 言う んだ よ 。
||しょうばい|じょうず||きく||ほんとうの|しょうばい|じょうず|||||もの||いう||
あはは は は はっ 」 と 、 大笑い し ました 。
あ は は|||||おおわらい||
「・・・!
」 この 大笑い さえ なければ 、 吉 四六 さん は 素直に 帰った のです が 、 この 事 が 吉 四六 さん の とんち に 火 を 付けた のです 。
|おおわらい|||きち|しろく|||すなおに|かえった||||こと||きち|しろく|||||ひ||つけた|
「 いや 、 まったく 、 あんた に は かなわない なあ 。
・・・ して 、 ときに 重 兵 衛 さん 、 この かめ は いくら する か ね ?
||おも|つわもの|まもる||||||||
」 吉 四六 ん は そう 言って 店先 に 立てて ある 、 大きな かめ を 指差し ました 。
きち|しろく||||いって|みせさき||たてて||おおきな|||ゆびさし|
それ は 一 人 で は とても か つげ ない ほど の 、 大きな かめ です 。
||ひと|じん|||||||||おおきな||
「 ああ 、 それ なら 一 両 だ 」 「 安い !
|||ひと|りょう||やすい
一 両 と は 安い なあ 。
ひと|りょう|||やすい|
じゃあ 、 今日 は この かめ も 買って 帰る と する よ 」 「 おいおい 、 吉 四六 さん 、 買って もらう の は ありがたい が 、 こんな 大きな かめ を 、 お前 一 人 で か つげる もの か 」 「 な に 、 平気だ よ 」 「 平気じゃ ない 。
|きょう|||||かって|かえる|||||きち|しろく||かって|||||||おおきな|||おまえ|ひと|じん||||||||へいきだ||へいきじゃ|
三 人 がかり で 、 やっと 運んで 来た 代物 だ ぞ 」 「 大丈夫 。
みっ|じん||||はこんで|きた|しろもの|||だいじょうぶ
これ くらい の 物 が かつげ ない ようで は 、 百姓 は 出来 ない よ 」 「 ほう 、 こりゃ 面白い 。
|||ぶつ||||||ひゃくしょう||でき|||||おもしろい
もし お前 さん 一 人 で この かめ が か つげたら 、 代金 は いら ん 。
|おまえ||ひと|じん|||||||だいきん|||
ただ で やろう 」 「 そりゃ 、 本当 かい ?
||||ほんとう|
」 「 本当だ と も 」 「 よし 、 で は かついで み せる よ 」 きっ ちょ むさん は そう 言う と 、 近く にあった 石 を 両手 で 持ち 上げ ました 。
ほんとうだ|||||||||||||||いう||ちかく||いし||りょうて||もち|あげ|
「 おいおい 、 吉 四六 さん 。
|きち|しろく|
それ で 一体 、 何 を する つもりだ ?
||いったい|なん|||
」 「 な に 、 このまま で は 持ち にくい から 、 この 石 で かめ を 粉々に して やる の さ 。
|||||もち||||いし||||こなごなに||||
そう すり ゃあ 、 何 回 か に 分けて 持って 帰れる だろう 」 「 あっ 、 そう きた か !
|||なん|かい|||わけて|もって|かえれる|||||
」 「 じゃあ 、 ここ で 割ら して もらう よ 」 そう 言って 再び 石 を 持ち 上げる 吉 四六 さん を 、 重 兵 衛 さん は あわてて 止め ました 。
|||わら|||||いって|ふたたび|いし||もち|あげる|きち|しろく|||おも|つわもの|まもる||||とどめ|
「 まて 、 待って くれ !
|まって|
」 「 いや 、 待て ぬ 。
|まて|
今 すぐ 持って 帰る のだ から 」 「 しかし それでは 、 一 両 を 失った の と 同じだ 。
いま||もって|かえる|||||ひと|りょう||うしなった|||おなじだ
いくら 何でも 、 そんな もったいない 事 は 」 「 よし 、 では この つぼ を 売って やる よ 。
|なんでも|||こと|||||||うって||
一 両 の ところ を 、 たった の 百 文 で どう だ ?
ひと|りょう||||||ひゃく|ぶん|||
それ が いや なら 、 ここ で 割る ぞ 」 重 兵 衛 さん は 仕方なく 、 自分 の 負け を 認め ました 。
||||||わる||おも|つわもの|まもる|||しかたなく|じぶん||まけ||みとめ|
「 ま 、 まいった 。
その つぼ を 百 文 で 買わ せて もらう よ 。
|||ひゃく|ぶん||かわ|||
・・・ と ほほ 、 やっぱり 吉 四六 さん は 、 商売 上手だ 」 こうして 吉 四六 さん は 重 兵 衛 さん から 百 文 を 受け取る と 、 ホクホク 顔 で 帰った のでした 。
|||きち|しろく|||しょうばい|じょうずだ||きち|しろく|||おも|つわもの|まもる|||ひゃく|ぶん||うけとる||ほくほく|かお||かえった|
おしまい