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ブギーポップは笑わない, Boogiepop wa Warawanai (2019) Episode 11

( 足音 )

( 真希子 ( まきこ ) ) 殺し て やる 殺し て やる …

殺し て やる 殺し て やる 殺し て やる 殺し て やる …

殺し て やる 殺し て やる 殺し て やる …

♪ ~

~ ♪

( 真希子 ) なるほど みんな が 自分 の こと を ―

悪く 言って いる よう な 気 が し て しかたがない と

( スピーカー の 音楽 )

( スピーカー の 音楽 )

( 真希子 ) 誰 か に つけ られ て いる よう な 感じ です か ?

( 患者 ) 私 が ウソ を つい て いる と ?

( 真希子 ) いいえ まだ 分かり ませ ん

( 患者 ) フッ … 先生 聞い て いた だ け ます か ?

ええ もちろん

( 患者 ) 実は 世界 に は 恐るべき 悪 が すみ 着 い て いる こと に ―

私 は 気づ い て しまった ん です

( 文 字 を 書く 音 )

( 患者 ) それ で ヤツ は ―

自分 の 存在 に 気づ い た 私 を ウソつき に する ため ―

先回り し て 周囲 の 人 たち に 悪評 を 流し て 回って いる ん です よ

大変 な こと です これ は

なぜ 気づ い た ん です か ?

( 患者 ) フフッ 気づ い た も 何 も …

ヤツ は 嫌がらせ を し て いる こと を ―

テレビ や ラジオ で 私 に 伝え て き ます から

( 真希子 ) なるほど

それ は 大変 です ね

( 患者 ) まったく 大変 な ん です

あっ

( 真希子 ) 久しぶり ね ( 凪 ( なぎ ) ) ん ?

( 凪 ) ああ 来 生 ( き すぎ ) 先生

( 真希子 ) 元気 そう で 何より だ わ

先生 も 変わ ん ない ね

ありがとう

でも ホント … 正直 に 言って しまう けど ―

今 でも 私 あなた が どう やって 治った の か 分から ない

先生 は やっぱり 心理 的 な もの だ と 考え てん だ ろ ?

まあ そう ね 正直 言って

実は 俺 も ―

今 じゃ そう だった ん じゃ ない か って 気 も する

あっ 心 当たり が ある の ?

ああ 俺 ある 人 に 会った ん だ

それ から なんか 心 が すごく 軽く なった よう な 気 が し て

それ で ひ ょっ と する と その せい で 治った ん じゃ ない か って

あっ

( 真希子 ) へ … へえ どんな 人 な の ?

男 の 人 ?

( 凪 ) 変 な ヤツ だった

ただ すぐ に ど っか 消え ち まって さ

捜し てん だ けど たぶん 見つか ん ない

( 真希子 ) ふ ~ ん ( 凪 ) そんな 気 が する ん だ

( 真希子 ) 恋 … だった の かも ね

( 凪 ) ヘヘヘッ ( 真希子 ) 違う ?

さあ ? よく 分か ん ねえ ん だ これ が

オヤジ だったら 何て 言う かな ?

“ 初恋 は 実ら ない ” って 言う わ よ

まっ 忘れる こと ね

うん そう な ん だ ろ う けど …

でも さ …

なあ 先生

先生 は どう し て 精神 科 の 医者 に な ろ う って 思った の ?

えっ ?

( 凪 ) 俺 さ ―

これ から どう し て いい の か よく 分か ん ない ん だ よ ね

先生 は なんで 今 の 進路 を 選 ん だ の ?

そう ね … 怖がり だった から かしら

ん ? どう いう 意味 ?

精神 分析 って つまる ところ ―

“ 訳 の 分から ない 怖 さ ” と いう もの の 解体 って ところ が ある の

( 凪 ) うん

私 は 子供 の ころ から とても 怖がり で ね

“ なんで そんな ふう に 思う の か な ? ”

“ なんで 恐怖 なんて もの が ある ん だ ろ う ? ” って …

ずっと それ を 追いかけ て い たら ここ に 至った って 感じ かしら

ふ ~ ん

じゃあ さ もしも …

じゃあ さ もしも …

( アナウンス チャイム )

( アナウンス チャイム )

( アナウンス ) 霧 間 ( き り ま ) 凪 さん 3 番 の 窓口 まで お 越し ください

( 凪 ) チェッ 呼ば れ た

じゃあ ね 先生

( 真希子 ) ええ さよなら 凪 ちゃん

( 真希子 ) やはり あの 子 は 何 も 気づ い て い ない よう だ

( ラット の 鳴き声 )

( 真希子 ) 全て の 始まり は あの とき だった

あの 直後 不治 の 病 だった 霧 間 凪 が 奇跡 的 に 回復

その 後 の 実験 で は ラット は 不死身 と も いえる 再生 能力 を 得 た

やっぱり これ は 進化 と 言わ ざる を 得 ない わ ね

これ 患者 に 投与 し たら どう なる かしら ?

なんて ね 無理 よ 無理

( 真希子 ) しか し あるいは …

( 男性 の 荒い 息 )

うん ?

あっ !

ハッ …

う わ っ …

( キャスター ) 連続 殺人 事件 に 関する 速報 です

昨夜 新た な 被害 者 と み られる ―

10 代 の 女性 の 遺体 が 発見 さ れ まし た

下あご が 外さ れる など 遺体 の 損傷 が 激しい こと から ―

警察 は 3 か月 前 から 続く 一 連 の 殺人 死体 遺棄 事件 の ―

新た な 被害 者 と み て 捜査 を 進め て い ます

( 司会 者 ) ついに 5 人 目 の 犠牲 者 が 出 て しまい まし た

今回 も 過去 の 犠牲 者 と 同様 に 下あご が 外さ れ ―

脳 が 抜き取ら れ て い た と の こと です が …

( コメンテーター ) ええ 犯人 は やはり ―

脳 と いう もの に 過剰 な 思い入れ が ある よう です ね

と 言い ます と ?

きれい に 頭蓋 骨 だけ を 解体 し て いる わけ です から ねえ

儀式 と いう か 何 か 呪術 めい た 意図 を 感じ て しまい ます

( 真希子 ) フフッ

( イン ターン ) あっ … 何 です ?

( 真希子 ) いえ ずいぶん テレビ 映り の いい 先生 だ な って

アハハッ 顔 が いい から テレビ 向き な ん でしょ う ね

来 生 先生 は この 事件 どう お 考え です か ?

( 真希子 ) “ 専門 家 は こう いう 極端 な 事件 に ― ”

“ 軽々しく 関心 を 持つ べき で は ない ” って ―

院長 先生 なら 言う わ よ

ああ …

脳 に 対する 過剰 な 関心 か …

しかし 頭蓋 骨 の 解体 なんて かなり 高度 な 知識 を 持って ます よ ね

やっぱり マニア かな …

解剖 その もの が 目的 と か ―

バラ す こと その もの に 何らか の 快楽 を 得 て いる と か

どう でしょ う ね

さあ ね

ただ 医療 関係 者 が 犯人 だ と する と 大 問題 に なり ます よ これ は

( 真希子 ) 蛇 の 巣 を ひっくり返し た よう な 騒ぎ に なる わ ね

な … 何 です か ?

“ 蜂 の 巣 ” です よ ね ?

そう だった かしら ?

え … ええ 確か …

( 真希子 ) 蛇 嫌い な ん だ ?

い … いや そう いう わけ じゃ

蛇 に トラウマ で も ある の ?

い … いえ ただ なんか 気味 が 悪く て

蛇 って 確か 男性 自身 を 表し てる って 話 も あった わ よ ね ?

フロイト だ っけ ?

だ … だ から そう いう の じゃ なく て

べ … 別に 僕 は その …

大丈夫 ? 顔色 が 悪い けど

( イン ターン ) い … いえ 平気 です

ちょっと 疲れ てる の か な …

( 真希子 ) 話 に なら ない 甘 さ ね

これ 以上 恐怖 さ せ て も ロク な 味 に なら ない わ

やっぱり 男 は 深 み が ない

( 少女 ) 誰 か … 誰 か 来 て !

( 少女 ) 助け て ! ( 少女 ) 夢 よ 夢 に 決まって る !

まっ 疲れる の も 無理 ない わ

ここ の ところ いろいろ あった もん ね

急に ベテラン 看護 師 さん を 解雇 し たり

院長 先生 です か ?

確か に ご 乱心 の おかげ で 現場 は 大 混乱 です

誰 か に 弱み でも 握ら れ ちゃ った の かしら ね

( 真希子 ) こんなん じゃ 足り ない

( 真希子 ) 足り ない 足り ない 足り ない …

足り ない 足り ない 足り ない 足り ない 足り ない …

足り ない 足り ない 足り ない 足り ない 足り ない …

( ノック )

( 真希子 ) 篠 北 ( し の き た ) さん お 加減 は いかが です か ?

誰 か お 見舞い に 来 まし た か ?

あら やっぱり 誰 も 来 ない ん です ね

親身 に なって くれ た 看護 師 さん 退職 さ れ た そう です ね

( 足音 )

( 篠 北 ) ハッ !

さみしい です か ? 篠 北 さん

家族 の ため に 身 を 粉 に し て 働 い た のに ―

奥さん に は 離婚 さ れ 会社 でも 降格

おまけに 長年 の 接待 の ツケ で 内臓 は ボロボロ

今 は 会社 も 病気 休暇 を 認め て くれ て いる けど ―

それ も いつ まで やら

傷病 手当 が 切れ たら どう やって 入院 費用 を 払え ば いい の かしら ね

あの お 薬 篠 北 さん に 投与 し たら 治った かも ね

こっち を 向け !

ここ の ところ 少し 派手 に やっちゃ っ て ―

今 は あんた を いた ぶる しか ない の !

そう そう よ !

もっと … もっと もっと 心 の 底 から おびえ て !

あ あっ !

( 真希子 ) どう ? すごい でしょ

こんな こと も でき ちゃ う

お 薬 の おかげ

なんて ね 手品 よ 何て こと の ない 手品

フッ ウフフ フフ …

( うめき声 )

あら あら また です か ?

でも ダメ よ 篠 北 さん

正気 を 失って しまったら 私 の 病棟 に 来る こと に なり ます よ

そう なったら もっと もっと 楽しま せ て もらい ます から ね

( 戸 の 開閉 音 )

( 戸 の 開閉 音 )

( 真希子 ) 足り ない … こんなん じゃ 足り ない

もっと もっと もっと …

もっと もっと もっと …

( 少女 ) 助け て …

もっと もっと もっと もっと もっと もっと …

もっと もっと もっと もっと もっと もっと …

( 少女 ) 助け て … ください

もっと もっと もっと もっと もっと もっと …

もっと もっと もっと もっと もっと もっと …

( 少女 ) お 願い し ます …

もっと !

もっと もっと 圧倒 的 な 崩壊 の …

その 恐怖 が 欲しい

( 真希子 ) やはり 恐怖 の 味 は 男 より も 女

そして 意志 の 強い 者 ほど いい

( 友人 ) でも …

( 末 真 ( す えま ) ) だって そう いう の は さ 両方 に 責任 が ある でしょ ?

( 友人 ) だって 相手 大学生 だ し …

( 末 真 ) そんな の 関係ない って

だから 直接 話し に 行 こ う

( 真希子 ) そう 若い ほう が 怖い もの 知ら ず な の だ

この 子 なら …

大丈夫 だ から

フフ フッ

( キャスター ) 続 い て 連続 殺人 事件 に 関する …

( 真希子 の 母 ) おお 怖い 女の子 ばかり 狙う なんて

真希子 さん あなた も 気 を つけ て よ 本当 に

( 真希子 ) そう ね

( 真希子 ) それにしても ―

派手 な 痕跡 を 残し て しまった

当然 このまま で は 犯行 を 特定 さ れ て しまう

あの 子 を 殺す 前 に ―

犯人 を でっち上げる なり 何なり し ない と ね

で なけ れ ば いずれ 薬 の 製造 者 たち の 目 に も 留まる

ただ これ だけ の もの を 隠し 通 せ て いる と いう こと は ―

それ だけ 大きい 組織 で ある と いう こと

今 の 私 なら ば 逆 に 利用 する こと も できる わ

弱み さえ 握って しまえ ば ね

あら 私 に おびえ て いる の ?

( 真希子 ) そう 個体 は 群れる もの だ

群れ と は いわば 1 つ の 個体 で あり そこ に また 弱点 が 生まれる

それ は 恐らく 国家 と いう 単位 でも それ が 群れ で ある 以上 …

( ラット の 鳴き声 )

国 全体 が 恐怖 に おののく とき って ―

一体 どんな 味 が する の かしら ?

( 真希子 ) どう です か お 変わり は ない です か ?

( 真希子 ) どう です か お 変わり は ない です か ?

( スピーカー の 音楽 )

( スピーカー の 音楽 )

( スピーカー の 音楽 )

( 患者 ) お 世話 に なった ので 先生 に だけ は 教え ます けど ―

( 患者 ) お 世話 に なった ので 先生 に だけ は 教え ます けど ―

もう すぐ 世界 は 終わって しまう の です よ

へえ それ は 大変 ね

( 患者 ) ええ まったく 大変 な 話 です

前 に お 話し し た 恐るべき 悪 な ん です が ―

そい つ が とうとう 活動 を 開始 し た ん です よ

なるほど 困った わ ね

やめ させる こと は でき ない の かしら ?

( 患者 ) でき ませ ん と も

じゃあ どう する の ?

( 患者 ) どう も でき ませ ん

我々 は 諦め て 全滅 する しか ない ん です

恐怖 に おののき ながら

( 真希子 ) 怖い の ?

( 患者 ) ものすごく 怖い はず です

( 真希子 ) 大変 ね ( 患者 ) まったく 大変 な ん です よ

( 真希子 ) 次 の 方 どうぞ

( 真希子 ) 二 重人 格 … です か ?

( 藤 花 ( とうか ) の 母 ) はい この 子 の 心 に は 奇妙 な 男 の 人格 が ある ん です

しかし 宮下 ( みや した ) さん 多重 人格 と いう の は ―

そう 簡単 に 決めつけ られる もの で は …

( 藤 花 の 母 ) 本当 な ん です !

その 奇妙 な 男 の 人格 に 私 は 危うく 殺さ れ かけ た ん です

( 藤 花 ) お 母 さん

あなた は 黙って なさい

何 が あった の か よく 分かり ませ ん が ―

一 度 娘 さん と 2 人 で お 話し し て も よろしい です か ?

( 藤 花 ) ずっと あんな 調子 な ん です

( 真希子 ) それ は あなた が 二 重人 格 だ から ?

( 藤 花 ) そう らしい ん です

私 に は よく 分かり ませ ん けど

( 真希子 ) 自覚 は ない の ね ?

はい

ところで お 母 さん お 父さん と は うまく いって る の かしら ?

い … いえ それ は …

それ だけ が 理由 じゃ ない と は 思う けれど ―

そう いう こと が 原因 って 多い の よ

まっ 何 と も 言 え ない わ よ ね

それ じゃ 少し 試し て み ま しょ う か

( 藤 花 ) 何 を です か ?

( 真希子 ) あなた の もう 1 人 の 人格 と やら を ―

ちょっと その つもり で 演じ て み なさい

えっ ?

( 真希子 ) “ 奇妙 な 男 ” と お 母 さん は 言って た わ ね

そう いう イメージ の 人間 の つもり に なって みる の よ

( 藤 花 ) そ … そんな こと 言わ れ て も …

一種 の 催眠 療法 みたい な も の よ

本当 に あなた が 二 重人 格 なら ―

演じ て いる うち に 出 て くる かも しれ ない し

( 藤 花 ) そ … そう いう もの でしょ う か

( 真希子 ) ほら ほら そこ で 男 の つもり で しゃべる の よ

あっ はい

あっ わ … 分かった ぜ

( 真希子 ) そう そう その 調子 気楽 に ね

( 藤 花 ) お … おう

( 真希子 ) さて あなた は どんな 男 な の かしら ?

( 藤 花 ) えっ と …

( スピーカー : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )

( スピーカー : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )

( 真希子 ) 奇妙 と いう からに は 相当 変わり者 な ん でしょ う ね

( ブギー ポップ ) 男 でも 女 でも どっち でも 好き に 考える と いい さ

へえ 性別 不明 って わけ ? 変わって る わ ね

それ で あなた は なぜ 藤 花 ちゃん の 中 に いる の ?

( ブギー ポップ ) それ が 分から ない ん だ まだ

( 真希子 ) 分から ない ?

( ブギー ポップ ) 迷惑 を かけ て いる 宮 下 家 に は 悪い が ―

その へん 僕 に は どう しよう も なく て ね

しかし 使命 の ほう は 分かって いる

へえ 何 か する こと が ある の ?

( ブギー ポップ ) 世界 の 危機 を 回避 し なく て は なら ない ん だ

世界 の 危機 ?

( ブギー ポップ ) 世界 の 敵 が この 辺 に 現れ て いる

このまま で は 世界 は 滅びる

( 真希子 ) スケール が 大きい わ ね

( ブギー ポップ ) フッ それ は 違う ね

世界 の 危機 なんて もの は その 辺 に ゴロゴロ し て いる もの さ

へえ それ なら あんまり 怖く ない わ ね

( ブギー ポップ ) それ は 怖く ない だ ろ あなた に は

( 真希子 ) どう いう 意味 ? それ

( ブギー ポップ ) あなた こそ が 世界 の 敵 だ から だ

あっ …

( 真希子 ) 弱点 が 消え た ?

敵 … ね

そう 敵 だ

でも それ は あなた だけ で は なく 全て の 人 間 は 皆 ―

世界 の 敵 たり 得る 可能 性 を 秘め て いる ん だ

人間 と いう の は 起爆 剤 の よう な もの で ―

ちょっと し た きっかけ で すぐ に 破裂 する

そして 後先 考え ない で 世界 を きしま せ て いく

僕 は いう なれ ば そう いう 者 の 天敵 み たい な もの か

( 真希子 ) 全て の 人 間 と 言う けど ほとんど の 人 は 普通 だ と 思う わ

( ブギー ポップ ) 普通 だ から そう なる の さ

どう いう こと ?

もしも 何 か 特別 な こと に 出合った と し て も ―

自分 を 持って いる 人 で あれ ば それ を 冷静 に 受け止め られる

だが 普通 すぎる と ―

その 波 に のみ 込ま れ あと は 流さ れ て いく

そう いう 暴走 が 一 番 危険 な の さ

( 真希子 ) それ って 正常 性 バイアス の たぐい かしら ?

( ブギー ポップ ) さ あね

ただ そう いう ―

“ 普通 な だけ で いい ” と 思って いる 者 に は 抵抗 力 が ない

そして 彼ら が 思い込 ん で いる ほど 実は 世界 は 安定 も し て い ない

いつ でも 危機 が …

そう その 壁 を 突破 する こと を ―

待望 し て いる 者 に とって の チャンス が ―

そこら 中 に 転がって いる

いい 曲 だ ね とても きれい だ

そう ね 余計 な もの が なく て

それ に 恐怖 が 全然 ない ところ も

( ブギー ポップ ) どう いう 意味 だい ?

世 の 中 に は 恐怖 が 多 すぎる わ

うんざり する くらい

本当 に あらゆる 恐怖 が なくなれ ば どんな に いい か

( ブギー ポップ ) なるほど それ が 君 の “ 方向 性 ” か

( 真希子 ) それ でも “ 世界 の 危機 ” に なる の かしら ?

( ブギー ポップ ) 全て の もの に は 多面 性 が ある

当然 それ に も 別 の 解釈 が あって しかるべき だ

例えば “ 全て 死に 絶え れ ば そこ に は もう 恐怖 は ない ”

… と かね

なるほど ね

じゃ その 世界 の 敵 を 前 に し て あなた は どう する の ?

( ブギー ポップ ) 殺す

怖い こと を 言う の ね

( ブギー ポップ ) しかたがない よ そう いう もの らしい から ね

( 真希子 ) 容赦 は ない って わけ ね

そう だ

恐らく 僕 の 敵 に なる よう な 者 も それ を 望 ん じゃ い ない

真剣 勝負 の 決闘 って ところ かしら

( ブギー ポップ ) 違う かい ?

( 真希子 ) あるいは 今 ここ で この 娘 を 殺し て しまえ ば …

欲望 の まま 病院 中 の 人間 も 皆 殺し て しまえ ば …

( 藤 花 の 母 ) ど … どう で し た でしょ う か ?

今 の 段階 で は 何 と も

もう 少し 冷静 に 見極め て 判断 する 必要 が あり ます

( 藤 花 の 母 ) あっ … そう です か

( 真希子 ) そう 今 は まだ その とき じゃ ない

( 真希子 ) 藤 花 ちゃん ( 藤 花 ) ん ?

あなた も あまり 考え 詰め ない よう に ね

はい

( 真希子 ) それ じゃ

( 藤 花 ) はい ありがとう ござい まし た

( 足音 )

( マウス の 操作 音 )

( スピーカー : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )

死ぬ とき は こう いう 曲 に 送ら れ たい もの ね

レクイエム の よう な 辛 気 くさい もの で は なく フフッ

♪ ~

~ ♪


( 足音 )

( 真希子 ( まきこ ) ) 殺し て やる 殺し て やる …

殺し て やる 殺し て やる 殺し て やる 殺し て やる …

殺し て やる 殺し て やる 殺し て やる …

♪ ~

~ ♪

( 真希子 ) なるほど みんな が 自分 の こと を ―

悪く 言って いる よう な 気 が し て しかたがない と

( スピーカー の 音楽 )

( スピーカー の 音楽 )

( 真希子 ) 誰 か に つけ られ て いる よう な 感じ です か ?

( 患者 ) 私 が ウソ を つい て いる と ?

( 真希子 ) いいえ まだ 分かり ませ ん

( 患者 ) フッ … 先生 聞い て いた だ け ます か ?

ええ もちろん

( 患者 ) 実は 世界 に は 恐るべき 悪 が すみ 着 い て いる こと に ―

私 は 気づ い て しまった ん です

( 文 字 を 書く 音 )

( 患者 ) それ で ヤツ は ―

自分 の 存在 に 気づ い た 私 を ウソつき に する ため ―

先回り し て 周囲 の 人 たち に 悪評 を 流し て 回って いる ん です よ

大変 な こと です これ は

なぜ 気づ い た ん です か ?

( 患者 ) フフッ 気づ い た も 何 も …

ヤツ は 嫌がらせ を し て いる こと を ―

テレビ や ラジオ で 私 に 伝え て き ます から

( 真希子 ) なるほど

それ は 大変 です ね

( 患者 ) まったく 大変 な ん です

あっ

( 真希子 ) 久しぶり ね ( 凪 ( なぎ ) ) ん ?

( 凪 ) ああ 来 生 ( き すぎ ) 先生

( 真希子 ) 元気 そう で 何より だ わ

先生 も 変わ ん ない ね

ありがとう

でも ホント … 正直 に 言って しまう けど ―

今 でも 私 あなた が どう やって 治った の か 分から ない

先生 は やっぱり 心理 的 な もの だ と 考え てん だ ろ ?

まあ そう ね 正直 言って

実は 俺 も ―

今 じゃ そう だった ん じゃ ない か って 気 も する

あっ 心 当たり が ある の ?

ああ 俺 ある 人 に 会った ん だ

それ から なんか 心 が すごく 軽く なった よう な 気 が し て

それ で ひ ょっ と する と その せい で 治った ん じゃ ない か って

あっ

( 真希子 ) へ … へえ どんな 人 な の ?

男 の 人 ?

( 凪 ) 変 な ヤツ だった

ただ すぐ に ど っか 消え ち まって さ

捜し てん だ けど たぶん 見つか ん ない

( 真希子 ) ふ ~ ん ( 凪 ) そんな 気 が する ん だ

( 真希子 ) 恋 … だった の かも ね

( 凪 ) ヘヘヘッ ( 真希子 ) 違う ?

さあ ? よく 分か ん ねえ ん だ これ が

オヤジ だったら 何て 言う かな ?

“ 初恋 は 実ら ない ” って 言う わ よ

まっ 忘れる こと ね

うん そう な ん だ ろ う けど …

でも さ …

なあ 先生

先生 は どう し て 精神 科 の 医者 に な ろ う って 思った の ?

えっ ?

( 凪 ) 俺 さ ―

これ から どう し て いい の か よく 分か ん ない ん だ よ ね

先生 は なんで 今 の 進路 を 選 ん だ の ?

そう ね … 怖がり だった から かしら

ん ? どう いう 意味 ?

精神 分析 って つまる ところ ―

“ 訳 の 分から ない 怖 さ ” と いう もの の 解体 って ところ が ある の

( 凪 ) うん

私 は 子供 の ころ から とても 怖がり で ね

“ なんで そんな ふう に 思う の か な ? ”

“ なんで 恐怖 なんて もの が ある ん だ ろ う ? ” って …

ずっと それ を 追いかけ て い たら ここ に 至った って 感じ かしら

ふ ~ ん

じゃあ さ もしも …

じゃあ さ もしも …

( アナウンス チャイム )

( アナウンス チャイム )

( アナウンス ) 霧 間 ( き り ま ) 凪 さん 3 番 の 窓口 まで お 越し ください

( 凪 ) チェッ 呼ば れ た

じゃあ ね 先生

( 真希子 ) ええ さよなら 凪 ちゃん

( 真希子 ) やはり あの 子 は 何 も 気づ い て い ない よう だ

( ラット の 鳴き声 )

( 真希子 ) 全て の 始まり は あの とき だった

あの 直後 不治 の 病 だった 霧 間 凪 が 奇跡 的 に 回復

その 後 の 実験 で は ラット は 不死身 と も いえる 再生 能力 を 得 た

やっぱり これ は 進化 と 言わ ざる を 得 ない わ ね

これ 患者 に 投与 し たら どう なる かしら ?

なんて ね 無理 よ 無理

( 真希子 ) しか し あるいは …

( 男性 の 荒い 息 )

うん ?

あっ !

ハッ …

う わ っ …

( キャスター ) 連続 殺人 事件 に 関する 速報 です

昨夜 新た な 被害 者 と み られる ―

10 代 の 女性 の 遺体 が 発見 さ れ まし た

下あご が 外さ れる など 遺体 の 損傷 が 激しい こと から ―

警察 は 3 か月 前 から 続く 一 連 の 殺人 死体 遺棄 事件 の ―

新た な 被害 者 と み て 捜査 を 進め て い ます

( 司会 者 ) ついに 5 人 目 の 犠牲 者 が 出 て しまい まし た

今回 も 過去 の 犠牲 者 と 同様 に 下あご が 外さ れ ―

脳 が 抜き取ら れ て い た と の こと です が …

( コメンテーター ) ええ 犯人 は やはり ―

脳 と いう もの に 過剰 な 思い入れ が ある よう です ね

と 言い ます と ?

きれい に 頭蓋 骨 だけ を 解体 し て いる わけ です から ねえ

儀式 と いう か 何 か 呪術 めい た 意図 を 感じ て しまい ます

( 真希子 ) フフッ

( イン ターン ) あっ … 何 です ?

( 真希子 ) いえ ずいぶん テレビ 映り の いい 先生 だ な って

アハハッ 顔 が いい から テレビ 向き な ん でしょ う ね

来 生 先生 は この 事件 どう お 考え です か ?

( 真希子 ) “ 専門 家 は こう いう 極端 な 事件 に ― ”

“ 軽々しく 関心 を 持つ べき で は ない ” って ―

院長 先生 なら 言う わ よ

ああ …

脳 に 対する 過剰 な 関心 か …

しかし 頭蓋 骨 の 解体 なんて かなり 高度 な 知識 を 持って ます よ ね

やっぱり マニア かな …

解剖 その もの が 目的 と か ―

バラ す こと その もの に 何らか の 快楽 を 得 て いる と か

どう でしょ う ね

さあ ね

ただ 医療 関係 者 が 犯人 だ と する と 大 問題 に なり ます よ これ は

( 真希子 ) 蛇 の 巣 を ひっくり返し た よう な 騒ぎ に なる わ ね

な … 何 です か ?

“ 蜂 の 巣 ” です よ ね ?

そう だった かしら ?

え … ええ 確か …

( 真希子 ) 蛇 嫌い な ん だ ?

い … いや そう いう わけ じゃ

蛇 に トラウマ で も ある の ?

い … いえ ただ なんか 気味 が 悪く て

蛇 って 確か 男性 自身 を 表し てる って 話 も あった わ よ ね ?

フロイト だ っけ ?

だ … だ から そう いう の じゃ なく て

べ … 別に 僕 は その …

大丈夫 ? 顔色 が 悪い けど

( イン ターン ) い … いえ 平気 です

ちょっと 疲れ てる の か な …

( 真希子 ) 話 に なら ない 甘 さ ね

これ 以上 恐怖 さ せ て も ロク な 味 に なら ない わ

やっぱり 男 は 深 み が ない

( 少女 ) 誰 か … 誰 か 来 て !

( 少女 ) 助け て ! ( 少女 ) 夢 よ 夢 に 決まって る !

まっ 疲れる の も 無理 ない わ

ここ の ところ いろいろ あった もん ね

急に ベテラン 看護 師 さん を 解雇 し たり

院長 先生 です か ?

確か に ご 乱心 の おかげ で 現場 は 大 混乱 です

誰 か に 弱み でも 握ら れ ちゃ った の かしら ね

( 真希子 ) こんなん じゃ 足り ない

( 真希子 ) 足り ない 足り ない 足り ない …

足り ない 足り ない 足り ない 足り ない 足り ない …

足り ない 足り ない 足り ない 足り ない 足り ない …

( ノック )

( 真希子 ) 篠 北 ( し の き た ) さん お 加減 は いかが です か ?

誰 か お 見舞い に 来 まし た か ?

あら やっぱり 誰 も 来 ない ん です ね

親身 に なって くれ た 看護 師 さん 退職 さ れ た そう です ね

( 足音 )

( 篠 北 ) ハッ !

さみしい です か ? 篠 北 さん

家族 の ため に 身 を 粉 に し て 働 い た のに ―

奥さん に は 離婚 さ れ 会社 でも 降格

おまけに 長年 の 接待 の ツケ で 内臓 は ボロボロ

今 は 会社 も 病気 休暇 を 認め て くれ て いる けど ―

それ も いつ まで やら

傷病 手当 が 切れ たら どう やって 入院 費用 を 払え ば いい の かしら ね

あの お 薬 篠 北 さん に 投与 し たら 治った かも ね

こっち を 向け !

ここ の ところ 少し 派手 に やっちゃ っ て ―

今 は あんた を いた ぶる しか ない の !

そう そう よ !

もっと … もっと もっと 心 の 底 から おびえ て !

あ あっ !

( 真希子 ) どう ? すごい でしょ

こんな こと も でき ちゃ う

お 薬 の おかげ

なんて ね 手品 よ 何て こと の ない 手品

フッ ウフフ フフ …

( うめき声 )

あら あら また です か ?

でも ダメ よ 篠 北 さん

正気 を 失って しまったら 私 の 病棟 に 来る こと に なり ます よ

そう なったら もっと もっと 楽しま せ て もらい ます から ね

( 戸 の 開閉 音 )

( 戸 の 開閉 音 )

( 真希子 ) 足り ない … こんなん じゃ 足り ない

もっと もっと もっと …

もっと もっと もっと …

( 少女 ) 助け て …

もっと もっと もっと もっと もっと もっと …

もっと もっと もっと もっと もっと もっと …

( 少女 ) 助け て … ください

もっと もっと もっと もっと もっと もっと …

もっと もっと もっと もっと もっと もっと …

( 少女 ) お 願い し ます …

もっと !

もっと もっと 圧倒 的 な 崩壊 の …

その 恐怖 が 欲しい

( 真希子 ) やはり 恐怖 の 味 は 男 より も 女

そして 意志 の 強い 者 ほど いい

( 友人 ) でも …

( 末 真 ( す えま ) ) だって そう いう の は さ 両方 に 責任 が ある でしょ ?

( 友人 ) だって 相手 大学生 だ し …

( 末 真 ) そんな の 関係ない って

だから 直接 話し に 行 こ う

( 真希子 ) そう 若い ほう が 怖い もの 知ら ず な の だ

この 子 なら …

大丈夫 だ から

フフ フッ

( キャスター ) 続 い て 連続 殺人 事件 に 関する …

( 真希子 の 母 ) おお 怖い 女の子 ばかり 狙う なんて

真希子 さん あなた も 気 を つけ て よ 本当 に

( 真希子 ) そう ね

( 真希子 ) それにしても ―

派手 な 痕跡 を 残し て しまった

当然 このまま で は 犯行 を 特定 さ れ て しまう

あの 子 を 殺す 前 に ―

犯人 を でっち上げる なり 何なり し ない と ね

で なけ れ ば いずれ 薬 の 製造 者 たち の 目 に も 留まる

ただ これ だけ の もの を 隠し 通 せ て いる と いう こと は ―

それ だけ 大きい 組織 で ある と いう こと

今 の 私 なら ば 逆 に 利用 する こと も できる わ

弱み さえ 握って しまえ ば ね

あら 私 に おびえ て いる の ?

( 真希子 ) そう 個体 は 群れる もの だ

群れ と は いわば 1 つ の 個体 で あり そこ に また 弱点 が 生まれる

それ は 恐らく 国家 と いう 単位 でも それ が 群れ で ある 以上 …

( ラット の 鳴き声 )

国 全体 が 恐怖 に おののく とき って ―

一体 どんな 味 が する の かしら ?

( 真希子 ) どう です か お 変わり は ない です か ?

( 真希子 ) どう です か お 変わり は ない です か ?

( スピーカー の 音楽 )

( スピーカー の 音楽 )

( スピーカー の 音楽 )

( 患者 ) お 世話 に なった ので 先生 に だけ は 教え ます けど ―

( 患者 ) お 世話 に なった ので 先生 に だけ は 教え ます けど ―

もう すぐ 世界 は 終わって しまう の です よ

へえ それ は 大変 ね

( 患者 ) ええ まったく 大変 な 話 です

前 に お 話し し た 恐るべき 悪 な ん です が ―

そい つ が とうとう 活動 を 開始 し た ん です よ

なるほど 困った わ ね

やめ させる こと は でき ない の かしら ?

( 患者 ) でき ませ ん と も

じゃあ どう する の ?

( 患者 ) どう も でき ませ ん

我々 は 諦め て 全滅 する しか ない ん です

恐怖 に おののき ながら

( 真希子 ) 怖い の ?

( 患者 ) ものすごく 怖い はず です

( 真希子 ) 大変 ね ( 患者 ) まったく 大変 な ん です よ

( 真希子 ) 次 の 方 どうぞ

( 真希子 ) 二 重人 格 … です か ?

( 藤 花 ( とうか ) の 母 ) はい この 子 の 心 に は 奇妙 な 男 の 人格 が ある ん です

しかし 宮下 ( みや した ) さん 多重 人格 と いう の は ―

そう 簡単 に 決めつけ られる もの で は …

( 藤 花 の 母 ) 本当 な ん です !

その 奇妙 な 男 の 人格 に 私 は 危うく 殺さ れ かけ た ん です

( 藤 花 ) お 母 さん

あなた は 黙って なさい

何 が あった の か よく 分かり ませ ん が ―

一 度 娘 さん と 2 人 で お 話し し て も よろしい です か ?

( 藤 花 ) ずっと あんな 調子 な ん です

( 真希子 ) それ は あなた が 二 重人 格 だ から ?

( 藤 花 ) そう らしい ん です

私 に は よく 分かり ませ ん けど

( 真希子 ) 自覚 は ない の ね ?

はい

ところで お 母 さん お 父さん と は うまく いって る の かしら ?

い … いえ それ は …

それ だけ が 理由 じゃ ない と は 思う けれど ―

そう いう こと が 原因 って 多い の よ

まっ 何 と も 言 え ない わ よ ね

それ じゃ 少し 試し て み ま しょ う か

( 藤 花 ) 何 を です か ?

( 真希子 ) あなた の もう 1 人 の 人格 と やら を ―

ちょっと その つもり で 演じ て み なさい

えっ ?

( 真希子 ) “ 奇妙 な 男 ” と お 母 さん は 言って た わ ね

そう いう イメージ の 人間 の つもり に なって みる の よ

( 藤 花 ) そ … そんな こと 言わ れ て も …

一種 の 催眠 療法 みたい な も の よ

本当 に あなた が 二 重人 格 なら ―

演じ て いる うち に 出 て くる かも しれ ない し

( 藤 花 ) そ … そう いう もの でしょ う か

( 真希子 ) ほら ほら そこ で 男 の つもり で しゃべる の よ

あっ はい

あっ わ … 分かった ぜ

( 真希子 ) そう そう その 調子 気楽 に ね

( 藤 花 ) お … おう

( 真希子 ) さて あなた は どんな 男 な の かしら ?

( 藤 花 ) えっ と …

( スピーカー : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )

( スピーカー : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )

( 真希子 ) 奇妙 と いう からに は 相当 変わり者 な ん でしょ う ね

( ブギー ポップ ) 男 でも 女 でも どっち でも 好き に 考える と いい さ

へえ 性別 不明 って わけ ? 変わって る わ ね

それ で あなた は なぜ 藤 花 ちゃん の 中 に いる の ?

( ブギー ポップ ) それ が 分から ない ん だ まだ

( 真希子 ) 分から ない ?

( ブギー ポップ ) 迷惑 を かけ て いる 宮 下 家 に は 悪い が ―

その へん 僕 に は どう しよう も なく て ね

しかし 使命 の ほう は 分かって いる

へえ 何 か する こと が ある の ?

( ブギー ポップ ) 世界 の 危機 を 回避 し なく て は なら ない ん だ

世界 の 危機 ?

( ブギー ポップ ) 世界 の 敵 が この 辺 に 現れ て いる

このまま で は 世界 は 滅びる

( 真希子 ) スケール が 大きい わ ね

( ブギー ポップ ) フッ それ は 違う ね

世界 の 危機 なんて もの は その 辺 に ゴロゴロ し て いる もの さ

へえ それ なら あんまり 怖く ない わ ね

( ブギー ポップ ) それ は 怖く ない だ ろ あなた に は

( 真希子 ) どう いう 意味 ? それ

( ブギー ポップ ) あなた こそ が 世界 の 敵 だ から だ

あっ …

( 真希子 ) 弱点 が 消え た ?

敵 … ね

そう 敵 だ

でも それ は あなた だけ で は なく 全て の 人 間 は 皆 ―

世界 の 敵 たり 得る 可能 性 を 秘め て いる ん だ

人間 と いう の は 起爆 剤 の よう な もの で ―

ちょっと し た きっかけ で すぐ に 破裂 する

そして 後先 考え ない で 世界 を きしま せ て いく

僕 は いう なれ ば そう いう 者 の 天敵 み たい な もの か

( 真希子 ) 全て の 人 間 と 言う けど ほとんど の 人 は 普通 だ と 思う わ

( ブギー ポップ ) 普通 だ から そう なる の さ

どう いう こと ?

もしも 何 か 特別 な こと に 出合った と し て も ―

自分 を 持って いる 人 で あれ ば それ を 冷静 に 受け止め られる

だが 普通 すぎる と ―

その 波 に のみ 込ま れ あと は 流さ れ て いく

そう いう 暴走 が 一 番 危険 な の さ

( 真希子 ) それ って 正常 性 バイアス の たぐい かしら ?

( ブギー ポップ ) さ あね

ただ そう いう ―

“ 普通 な だけ で いい ” と 思って いる 者 に は 抵抗 力 が ない

そして 彼ら が 思い込 ん で いる ほど 実は 世界 は 安定 も し て い ない

いつ でも 危機 が …

そう その 壁 を 突破 する こと を ―

待望 し て いる 者 に とって の チャンス が ―

そこら 中 に 転がって いる

いい 曲 だ ね とても きれい だ

そう ね 余計 な もの が なく て

それ に 恐怖 が 全然 ない ところ も

( ブギー ポップ ) どう いう 意味 だい ?

世 の 中 に は 恐怖 が 多 すぎる わ

うんざり する くらい

本当 に あらゆる 恐怖 が なくなれ ば どんな に いい か

( ブギー ポップ ) なるほど それ が 君 の “ 方向 性 ” か

( 真希子 ) それ でも “ 世界 の 危機 ” に なる の かしら ?

( ブギー ポップ ) 全て の もの に は 多面 性 が ある

当然 それ に も 別 の 解釈 が あって しかるべき だ

例えば “ 全て 死に 絶え れ ば そこ に は もう 恐怖 は ない ”

… と かね

なるほど ね

じゃ その 世界 の 敵 を 前 に し て あなた は どう する の ?

( ブギー ポップ ) 殺す

怖い こと を 言う の ね

( ブギー ポップ ) しかたがない よ そう いう もの らしい から ね

( 真希子 ) 容赦 は ない って わけ ね

そう だ

恐らく 僕 の 敵 に なる よう な 者 も それ を 望 ん じゃ い ない

真剣 勝負 の 決闘 って ところ かしら

( ブギー ポップ ) 違う かい ?

( 真希子 ) あるいは 今 ここ で この 娘 を 殺し て しまえ ば …

欲望 の まま 病院 中 の 人間 も 皆 殺し て しまえ ば …

( 藤 花 の 母 ) ど … どう で し た でしょ う か ?

今 の 段階 で は 何 と も

もう 少し 冷静 に 見極め て 判断 する 必要 が あり ます

( 藤 花 の 母 ) あっ … そう です か

( 真希子 ) そう 今 は まだ その とき じゃ ない

( 真希子 ) 藤 花 ちゃん ( 藤 花 ) ん ?

あなた も あまり 考え 詰め ない よう に ね

はい

( 真希子 ) それ じゃ

( 藤 花 ) はい ありがとう ござい まし た

( 足音 )

( マウス の 操作 音 )

( スピーカー : 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」 )

死ぬ とき は こう いう 曲 に 送ら れ たい もの ね

レクイエム の よう な 辛 気 くさい もの で は なく フフッ

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