×

Vi använder kakor för att göra LingQ bättre. Genom att besöka sajten, godkänner du vår cookie-policy.

image

コンビニ人間, 21.

21 .

白羽 さん の こと は あっという間に 店 の 中 に 広がり 、店長 から は しつこく 、会う たび に 「白羽 くん 元気 !?飲み会 いつ に する !?」と 言わ れる ように なった 。 ・・

8人目の店長は、仕事熱心なところが尊敬できて、最高の同志だと思っていたのに、会えば白羽さんの話ばかりでうんざりしていた。 ・・

今まで は 、顔を 合わせると 、最近 暑く なって チョコレート 菓子 の 売り上げが いまいちだ とか 、近くに 新しい マンションが 出来た から 夕方の お客さんが 増えた とか 、再来週の 新商品は CMがすごく入るらしいから期待できるとか、そんな有意義な話を、コンビニ店員とコンビニ店長として真っ直ぐに交わしていたのに。 店長の 中で 、私が コンビニ 店員である 以前に 、人間の メスに なってしまった と いう 感覚だった 。 ・・

「 古 倉 さん 、 悩み と が あったら さ 、 俺 が 聞く よ ー ! 」・・

「 そうそう 、 今度 、 古 倉 さん だけ でも 飲み 会 に おいで よ 。 本当 は 白羽 さん が 来て くれれば いい ん だ けど ね ー ! 私 から 活 を 入れて あげる のに ! 」 ・・

白羽 さん を 嫌い だ と 言って いた 菅原 さん まで 、「私 も 白羽 さん に 会いたい です ! 誘って ください よ ー ! 」と 言って きた 。 ・・

今まで 知らなかった が 、どうやら 皆 、たまに 飲み会 を している ようで 、子持ち の 泉さん も 夫 が 世話 を してくれる 日 は 顔 を 出したり している ようだった 。 ・・

「いや あ 、古倉 さん とも 、一度 飲みたい と 思ってた んだよ ! 」・・

皆 、白羽 さん を 飲み会 に 引き摺り出そう と していて 、彼 を 叱ろう と 、その 機会 を 待ち構えて いる のだった 。 ・・

こんなに 皆 から 叱ろう と されたら 、白羽 さん が 「隠れたい 」と 思う 気持ち も わかる 気 が した 。 ・・

白羽 さん が 辞めた とき に 処分 する べき 白羽 さん の 履歴書 まで 店長 は 持ちだして 、泉 さん と 「見て 見て ここ 、大学 を 中退 して 専門学校 に 行って 、そっち も すぐに やめてる 」「資格って 、今時 英検 だけ ですか ? え 、免許 も ない って こと なんですか ね ? 」など と 白羽 さん を 品評 して いた 。 ・・

皆 、嬉々 と して 白羽 さん を 叱ろう と して いた 。 それ が おにぎり 100円均一セールや、チーズフランクフルトの新発売や、お惣菜が全部割引になるクーポンをお配りすることより大切な優先事項だと言わんばかりだった。 ・・

店 の 「音 」に は 雑音 が 混じる ように なった 。 皆 で 同じ 音楽 を 奏でて いた のに 、急に 皆 が バラバラ の 楽器 を ポケット から 取り出して 演奏 を 始めた ような 、不愉快な 不協和音 だった 。 ・・

一番 怖かった のは 、新人 の トゥアン くん だった 。 彼は どんどん 店を 吸収して いて 、店の 皆に 似てきて いた 。 それは 以前の 店だったら 問題 なかった だろうが 、今の 皆に 似てくる ことで 、トゥアン くんが どんどん 、「店員 」とは ほど遠い 生き物に 成長していく ようだった 。 ・・

あんなに 真面目 だった トゥアン くん が 、フランク を 作る 手 を 休めて 、「古倉 さん の オット 、前 に この 店 に いた んです カー ? 」と 言った 。 ・・

語尾 を 伸ばす 喋り 方 は 泉 さん の もの が 移り つつ ある の かも しれない 。 私 は トゥアン くん に 早口 で 言った 。 ・・

「夫 じゃ ない です よ 。 それ より 、今日 は 、暑い から 冷たい 飲み物 が 売れる 日 なんです 。 ペットボトル の ミネラルウォーター が 売れて 少なく なったら すぐ 補充して ください 、段ボール で ウォークイン の 中 に たくさん 冷やして あります から 。 パック の お茶 も よく 売れる ん で 、 売り場 を 常に 気 を 付けて 見て あげて ください ね 」・・

「古倉 さん 、コドモ 作らない デス か ? 私 の 姉 、結婚 して 子供 三 人 イマス 。 まだ 小さい 、 かわいい デスネー 」・・

トゥアン くん は どんどん 店員 で は なくなって いく 。 皆 、制服 を 着て 同じ ように 働いて いても 、前 より も 店員 で は ない 気 が する 。 ・・

客 だけ は 、変わら ず 店 に 来て 、「店員 」として の 私 を 必要 と して くれる 。 自分 と 同じ 細胞 の ように 思って いた 皆 が どんどん 「ムラ の オス と メス 」に なって いって しまって いる 不気味 さ の 中 で 、客 だけ が 、私 を 店員 であり つづけ させて くれていた 。

Learn languages from TV shows, movies, news, articles and more! Try LingQ for FREE