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江戸小話, ほどほどに

ほどほどに

ある 、 北風 の 吹きつける 寒い 晩 の 事 です 。 「 火 の 用心 、 火 の 用心 」 夜回り が ひょうし 木 を 打ち鳴らし ながら 、 表通り を 歩いて いる と 、 店 の ご 隠居 ( いんきょ → 仕事 を 引退 して 、 老後 生活 を 楽しんで いる 人 ) さん が 、 この 夜回り を 呼び止めて 、 「 この 寒空 の 中 を ご 苦労 さん 。 まあ 、 酒 でも 飲んで 体 を 温めて いく が いい 」 と 、 親切に も 、 お 酒 と 湯豆腐 を ふるまって やり ました 。 「 これ は これ は 、 ありがたい 事 です 。 本当に 、 ご 隠居 さま の 様 なお 心 優しい お方 は 、 めったに いる もの で は ございませ ん 」 お 酒 の 好き 夜回り は 、 やたら と お世辞 を 言い ながら 出さ れた 酒 を 飲み干す と 、 「 ぷは ー っ 。 おかげ さま で 、 すっかり 体 が 温まり ました 。 それでは あっし は 、 もう 一回り して き ます 」 と 、 ほろ酔い 気分 で 出て 行き ました 。 ところが 何 を 思い出した の か 、 夜回り は すぐに 引き返して 来て 言い ました 。 「 さっき の お礼 に 、 ご 隠居 さま の お家 だけ は 大 目 に 見る 事 に いたし ます 。 『 火 の 用心 』 は 、 ほどほどで 結構で ございます 」

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


ほどほどに

ある 、 北風 の 吹きつける 寒い 晩 の 事 です 。 |きたかぜ||ふきつける|さむい|ばん||こと| 「 火 の 用心 、 火 の 用心 」   夜回り が ひょうし 木 を 打ち鳴らし ながら 、 表通り を 歩いて いる と 、 店 の ご 隠居 ( いんきょ → 仕事 を 引退 して 、 老後 生活 を 楽しんで いる 人 ) さん が 、 この 夜回り を 呼び止めて 、 「 この 寒空 の 中 を ご 苦労 さん 。 ひ||ようじん|ひ||ようじん|よまわり|||き||うちならし||おもてどおり||あるいて|||てん|||いんきょ||しごと||いんたい||ろうご|せいかつ||たのしんで||じん||||よまわり||よびとめて||さむぞら||なか|||くろう| まあ 、 酒 でも 飲んで 体 を 温めて いく が いい 」 と 、 親切に も 、 お 酒 と 湯豆腐 を ふるまって やり ました 。 |さけ||のんで|からだ||あたためて|||||しんせつに|||さけ||ゆどうふ|||| 「 これ は これ は 、 ありがたい 事 です 。 |||||こと| 本当に 、 ご 隠居 さま の 様 なお 心 優しい お方 は 、 めったに いる もの で は ございませ ん 」   お 酒 の 好き 夜回り は 、 やたら と お世辞 を 言い ながら 出さ れた 酒 を 飲み干す と 、 「 ぷは ー っ 。 ほんとうに||いんきょ|||さま||こころ|やさしい|おかた||||||||||さけ||すき|よまわり||||おせじ||いい||ださ||さけ||のみほす|||-| おかげ さま で 、 すっかり 体 が 温まり ました 。 ||||からだ||あたたまり| それでは あっし は 、 もう 一回り して き ます 」 と 、 ほろ酔い 気分 で 出て 行き ました 。 ||||ひとまわり|||||ほろよい|きぶん||でて|いき| ところが 何 を 思い出した の か 、 夜回り は すぐに 引き返して 来て 言い ました 。 |なん||おもいだした|||よまわり|||ひきかえして|きて|いい| 「 さっき の お礼 に 、 ご 隠居 さま の お家 だけ は 大 目 に 見る 事 に いたし ます 。 ||お れい|||いんきょ|||おいえ|||だい|め||みる|こと||| 『 火 の 用心 』 は 、 ほどほどで 結構で ございます 」 ひ||ようじん|||けっこうで|

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )