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Aozora Bunko imports, 星の子

星の子

星 の 子

小川 未明

ある ところ に 、 子供 を かわいがって いる 夫婦 が あり ました 。 その 人 たち の 暮らし は 、 なにひとつ と して 不足 を 感ずる もの は なかった のであり ました から 、 夫婦 は 、 朝 から 晩 まで 、 子供 を 抱いて は かわいがって いる こと が でき ました 。 子供 は 、 やっと 二 つ に なった ばかりの 無邪気な 、 かわいらしい 盛り で あり ました ので 、 二 人 は 、 子供 の 顔 を 見る と 、 なにもかも 忘れて しまって 、 ただ かわいい と いう より ほか に 思う こと も なかった のであり ます 。 「 どうして こんなに 無邪気な のでしょう ね 。 赤ちゃん の 目 に は 、 なんでも 珍しく 見える のでしょう ね 。 ほんとうに 、 こんな とき は 神さま も 同じな んです わ ね 。」 と 、 妻 は 、 夫 に 向かって い い ました 。 夫 も 目 を 細く して 、 じっと や さしみ の ある 目 を 子供 に 向けて 、 妻 の 言葉 に うなずく のであり ました 。 二 人 は 、 同じ ように 、 我が 子 を かわいがり ました が 、 中 に も 妻 は 女 である だけ に 、 いっそう かわいがった のであり ます 。 しかし 、 この 世の中 は 、 美しい 、 無邪気な もの が 、 つねに 、 神 に 愛さ れて 変わり なし に いる と ばかり は まいり ませ ん 。 美しい 、 無邪気な もの でも 、 冷酷な 運命 に もてあそば れる こと が たびたび あり ます 。 それ は どう する こと も でき なかった のであり ました 。 こんなに 、 二 人 が 大事に して いた 子供 が 病気 に かかり ました 。 二 人 は 、 どんなに 心配 を した でしょう 。 あらんかぎり の 力 を つくした に も かかわら ず 、 小さな 、 なんの 罪 も ない 子供 は 、 幾 日 か 高い 熱 の ため に 苦しめ られ ました 。 そして 、 その あげく 、 とうとう 花びら が 、 むごたらしい 風 に もま れて 散る ように 、 死んで しまい ました 。 その後 で 、 この 二 人 の もの は 、 どんなに 悲しみ 、 なげいた で あり ましょう 。 自分 たち の 命 を 縮めて も 、 どうか 子供 を 助け たい と 、 心 の 中 で 神 に 念じた の も 、 いま は 、 なんの 役 に も たち ませ ん でした 。 「 この 世の中 に は 、 神 も 仏 も ない 。」 と 、 二 人 は いって 、 神 を うらみ ました 。 それ から と いう もの は 、 りっぱな 家 も 、 広い 屋敷 も 、 ありあまる ほど の 財産 も 、 二 人 の 心 を 満たす こと は でき ませ ん でした 。 二 人 は 、 もし 、 それ ら の もの を 亡くした 子供 と 換える こと が できたら 、 あるいは それ ら の もの を 投げ出す こと を 惜しむ もの で は なかった かも しれ ませ ん 。 どんな 貴重 の もの も 、 子供 と は 、 とうてい 比較 に なる もの で は ない と 、 しみじみ この とき だけ は 感じた のであり ます 。 二 人 は 、 金 を 惜し まず に 、 子供 の ため に 、 美しい 、 小さな 大理石 の 墓 を 建て ました 。 そして 、 その まわり に 花 の 咲く 木 や 、 いろいろの 草花 を 植え ました 。 けれど 、 これ だけ で は 、 かぎりない 思いやり に 対して 、 その 幾 分 を も 消す こと が でき なかった のです 。 寒い 風 の 吹く 、 暗い 夜 に 、 女 は 、 いまごろ 、 子供 は 墓 の 下 で 目 を 覚まして 、 どんなに さびし がって いる だろう か と 思う と 、 泣か ず に はいら れ ませ ん でした 。 する と 、 男 は いい ました 。 「 なんで 、 あの 凍った 冷たい 地 の 下 など に いる もの か 。 いまごろ は 、 神さま に つれ られて 天国 へ いって 遊んで いる 。」 と いい ました 。 「 そう でしょう か ? 」 「 そう と も 、 天国 へ いって 遊んで いる よ 。」 と 、 男 は 答え ました 。 「 そんなに 、 遠い 、 高い ところ へ なら いかれ ませ ん けれど 、 もし 歩いて いける ところ なら 、 幾 千里 、 遠い 、 遠く 国 の どんな さびしい 野原 でも 、 子供 が いる こと なら 探して いき ます のに ……。」 と 、 女 は いって 、 泣き つづけ ました 。 二 人 は 、 もう 、 ただ 子供 の 死んで いって から の しあわせ を 、 いまでは 、 思う より ほか に 途 は なかった のであり ます 。 その とき 、 ちょうど 、 過去 、 現在 、 未来 、 なんでも 聞いて わから ない こと は ない と いう 占い 者 が あり ました 。 女 は 、 さっそく その 占い 者 の ところ へ いって 、 自分 の 死んだ 子供 の こと を ば 見て もらい ました 。 占い 者 は 、 死んだ 子供 の 過去 、 現在 、 未来 を 見て 語り ました 。 「 あなた がた 二 人 に は 、 長い 間 子供 が なかった が 、 信 神 に よって 、 子供 が 生まれ ました 。 けれど 子供 は 、 まだ この 世の中 に くる の に は 早かった 。 早い と いう の は 、 この 世の中 が あまりに 汚れ すぎて いる のです 。 それ で もう 一 度 、 星 の 世界 へ 帰る こと に なり ました 。 しかし 、 短かった けれど 、 この 世の中 に 出て きた うえ は 、 苦行 を し なければ 、 ふたたび 天国 へ 帰る こと は でき ませ ん 。 いま 、 あなた の 死んだ お 子供 さん は 、 高い 山 の 頂 に 、 真っ赤な 小さい 花 を つけた 草 に なって い られ ます 。 いまごろ は 、 山 に は 雪 が 降って い ます から 、 雪 の 中 に うずもれて い ます が 、 その うち に 神さま の お召し に よって 、 星 の 世界 へ 帰ら れ ます 。 この後 、 あなた がた の 信 神 に よって は 、 もう 一 度 この 世の中 へ 出て こ られ ない もの で も あり ませ ん 。」 占い 者 は 、 このように いい ました 。 これ を 聞いて 、 二 人 は 、 わが 子 に 対して あれほど まで かわいがり 、 また 大事に した けれど 、 まだ 足り なかった か ? まだ 二 人 の 真心 は 、 通じ なかった か と なげき ました 。 女 は 、 夜 、 外 に 立って 、 月 の さえた 、 青い 空 を ながめ ました 。 そして 、 いまごろ 、 高い 山 の 上 の 雪 の 光る 下 に 、 草 と なって ふるえて いる 、 わが 子 の 傷ましい 運命 を 思い ました 。 いま から 、 すぐ に も 、 彼女 は 、 旅立ち を して その 高い 山 に 、 雪 を 分けて 登って ゆこう と 思い ました が 、 もとより どこ に 草 が うずもれて いる か 知る こと が でき なかった のです 。 このうえ は ただ 、 もう 一 度 信 神 の 力 で 、 子供 を 自分 の 手 に 帰して もらう より ほか に 、 どう する こと も でき ない と 知り ました 。 彼女 は 、 その 日 から 毎日 、 神 に 願 を かけて 、「 どうか 死んだ 子供 が 、 もう 一 度 帰って き ます ように 。」 と 、 宮 や 、 寺 へ いって 祈った のであり ます 。 こう する うち に 、 春 も だんだん に 近づいて き ました 。 しかし 、 まだ 木 が 芽 ぐ むに は 早く 、 風 も 寒かった のであり ます 。 ただ 雲 の 切れ目 に 、 ほんのり と 柔らかな 日 の 光 が にじんで 、 なんとなく 、 なつかしい 穏やかな 日 が つづく ように なり ました 。 小鳥 は 、 庭 の 木立 に きて 、 よい 声 で さえずって い ました 。 日 が たち ました けれど 、 彼女 の 子供 を 亡くした 悲しみ は 、 ますます 鋭く 、 胸 を 刺して たえ られ なく なって 、 彼女 は 、 毎日 の ように 子供 の 墓 に お詣り を し ました 。 そして 、 どう か 、 もう 一 度 生まれ変わって 帰って くる ように 祈り ました 。 ある 夜 の こと 、 女 は 、 不思議な 夢 から 、 驚いて 目覚め ました 。 「 おまえ が 、 それほど まで 子供 を かわいがる なら 、 もう 一 度 あの 子供 を かえして やろう 。 明日 の 晩 に 、 おまえ は 独り で 、 町 の 西 の 端 に 河 が 流れて いる 、 あの 河 を 渡って 、 野原 の 中 に いって み れ 、 おまえ の 子供 が 、 なにも 知ら ず に 遊んで いる から ……。」 こう いって 、 見な れ ない 、 白い ひげ の はえた お じいさん が 、 あちら の 方 を 指した か と 思う と 、 目 が さめた のであり ます 。 その こと を 彼女 は 、 朝 に なって 、 夫 に 告げ ました 。 「 それ は 、 おまえ が 平常 死んだ 子供 の こと ばかり 思って いる から 、 夢 を 見た のだ 。 そんな こと が ある もの で ない 。」 と 、 夫 は いい ました 。 しかし 、 女 は 、 どうしても 、 昨日 見た 夢 を 忘れる こと が でき ませ ん でした 。 きっと 神さま が 私 の お 願い を かなえて くださ れた のだろう 。 とにかく 自分 は 夜 に なったら 、 野原 に いって み なければ なら ぬ と 決心 し ました 。 せんだって 降った 雪 は 、 まだ 町 の 中 に も 消え ず に 、 そこ ここ に 残って い ました 。 彼女 は 夜 に なる の を 待って い ました 。 その 夜 は 、 いつ に なく 空 が 清らかに 晴れて 、 青く さえた うち に 星 の 花 の ごとく きれいに 乱れて い ました 。 その 一つ一つ 異なった 色 の 光 を 放って 、 輝いて いた のであり ます 。 彼女 は 、 寒い 風 が 吹く 中 を 歩いて 、 町 の 西 の はずれ に いたり ました 。 そこ に は 、 大きな 河 が 音 を たてて 流れて い ました 。 あたり は 、 一面に 煙る ように 青白い 月 の 光 に さらさ れて い ます 。 この 河 の ふち は 、 一帯 に 貧民 窟 が 建て 込んで いて 、 いろいろの 工場 が あり ました 。 どの 工場 の 窓 も 赤く なって 、 その 中 から は 機械 の 音 が 絶え間 なく 聞こえて き ました 。 そして 建物 の 頂 に そびえ たった 煙突 から は 、 夜 の 青い 空 に 、 毒々しい 濁った 煙 を 吐き出して いる のであり ました 。 彼女 は 、 ある 工場 の 前 で は 、 多く の 女工 が 働いて いる のだ と 思い ました 。 また 、 鉄槌 の 響いて くる 工場 を 見て は 、 多く の 男 の 労働 者 が 働いて いる のだ と 思い ました 。 その 人々 は 、 みんな 、 この あたり の みすぼらしい 家 に 住んで いる のだ と 思った とき に 、 彼女 は 、 自分 たち は どうして ここ に 生まれて こ ず に 、 金持ち の 家 へ 生まれて きた か 、 しあわせ と いえば 、 そう である が 、 その こと が 不思議に も 思わ れた のであり ました 。 ここ を 離れて 、 だんだん 寂しい 野原 に さしかかる と 雪 が 深く なり ました 。 手足 は 寒 さ に 凍えて 、 ことに 踏む 足 の 指先 は 、 切れて 落ち そうに 、 痛み を 感じた のであり ます 。 どこ を 見 まして も 、 あたり は 、 灰色 の 雪 に おおわ れて い ました 。 そして 、 あの 天国 で 聞こえる であろう ような 、 よい 音色 も 、 また 輝かしい 明かり も さして い ませ ん でした 。 彼女 は 、 せっかく 子供 に あえる と 思って 、 苦痛 を 忍んで 歩いて きた のでした 。 彼女 は 、 葉 の ない 林 の 中 に 入って ゆき ました 。 そこ に も 明るい ほど 星 の 光 は さして い ました 。 「 どこ に 、 私 の かわいい 子供 が いる だろう 。」 彼女 は 、 こう 思って 、 灰色 の 世界 を さがして い ました 。 この とき 、 すこし 隔たった ところ に 、 黒い 人影 が 人 の くる の を 待って いる ように 立って い ました 。 彼女 は 、 その方 に 歩いて ゆき ました 。 すると 、 髪 の 毛 を 乱して 、 やせた 女 が 子供 を 抱いて 立って い ました 。 その 女 は 泣いて い ました 。 彼女 が 近づく と 、 みすぼらしい ふう を した 女 は 、 「 どうか 助けて ください 。」 と いい ました 。 彼女 は 、 もっと 近づいて 、 よく ようす を 見 ます と 、 この 工場 町 に 住んで いる 貧乏な 若い 女房 で あり ました 。 「 おまえ さん は 、 こんな ところ に 立って 、 なに を して いる のです か ? 」 と 、 彼女 は たずね ました 。 する と 、 やせた 貧し げな 若い 女 は 、 「 私 たち は 、 この 子供 を 養って ゆく こと が でき ませ ん 。 それ で 、 だれ も 、 もらって は くれ ませ ん から 、 かわいそうです けれど 、 ここ へ 捨て に やってきた のです 。 けれど 、 やはり 捨て られ ない ので もらって くださる 人 の くる の を 待って い ました 。」 と いい ました 。 彼女 は 、 これ を 聞く と びっくり し ました 。 「 まあ 、 こんな 雪 の 上 へ 、 子供 を 捨てる 気 な んです か 。」 と いって 、 やせた 女 を 見すえ ました 。 やせた 女 は 泣き ながら 、 「 奥さま 、 私 たち は 、 この 子供 が ある ばかりに 、 手足 ま とい に なって 、 どんなに 困って い ます か 、 どうか お 慈悲 を もって 、 この 子供 を 育てて ください ませ ん か 。」 と 頼み ました 。 金持ち の 妻 は 、 心 の 中 で 、 不思議な こと が あれば ある もの だ と 思い ました 。 「 まあ 、 どんな 子供 です か 、 私 に 、 見せて ください 。」 と いい ました 。 そして 、 星 の 明かり に 照らして 、 やせた 女 に 、 抱か れて いる 子供 の 顔 を のぞき ました 。 星 の 光 は 、 下界 を おお うた 雪 の 面 に 反射 して 、 子供 の 顔 が かすかに わかった のであり ます 。 けれど 、 その 子供 は 、 彼女 が 探して いる 自分 の 死んだ 子供 で は あり ませ ん でした 。 「 この 子供 は 、 私 の 死んだ 子供 じゃ ない 。」 と 、 彼女 は いい ました 。 やせた 女 は 、 しくしく と 泣いて い ました 。 その ようす は 、 いかにも 哀れに 見 られ ました 。 「 奥さま 、 どうか この 子供 を 育てて ください ませ ん か 。 そうして くださ れたら 、 私 ども は 、 どんなに 助かり ましょう 。」 と いい ました 。 金持ち の 妻 は 、 私 が これほど まで に せつない 思い を して 、 神さま に 願って いる の も 、 みんな 死んだ 自分 の 子供 が かわいい から の こと だ 。 自分 の 死んだ 子供 が 、 永久 に 帰って こ ない もの なら 、 なんで 、 見ず知らず の 人 の 子供 を 苦労 して 育てる こと が あろう ? 私 は 、 あくまで 、 私 の 死んだ 子供 を 神さま から 返して もらわ なければ なら ぬ と 考え ました 。 「 私 は 、 いま 自分 の 子供 を 探して いる のです 。 それ が 見つかる まで は 、 知ら ない 人 の 子供 を もらう こと は でき ませ ん 。」 と 、 彼女 は 断り ました 。 やせた 女 は 、 絶望 して 、 ため息 を ついて い ました 。 「 奥さま 、 子供 は みんな かわいい もの で ございます 。 しかた が あり ませ ん 。 私 は 、 また これ から 、 この 子供 を 育てて くださる 人 を 探さ なければ なり ませ ん 。」 と いって 、 やせた 女 は しおしお と 、 彼女 の 前 を 離れて 雪 の 上 を あちら に 歩いて ゆき ました 。 彼女 は 、 この とき 、 女 の いった こと を よく 考えて み ました 。 そして 、 だんだん 遠ざかって ゆく 哀れな 女 の 姿 を 見送り ながら 、 もう 一 度 、 あの 子供 の 顔 を よく ながめて 、 どこ か 死んだ 自分 の 子供 の 顔つき に 似て いる ところ が あったら 、 もらって 育てよう か と 思い ました 。 しかし 、 こう 思った とき は 、 もう 遅かった のであり ます 。 もはや 、 どこ を 探して も 、 やせた 女 の 姿 は 見え ませ ん でした 。 雪 の 上 を 、 空 の 星 の 光 が 、 寒 そうに 、 かすかに 照らして い ました 。 彼女 は 、 寒い 身 に しみる 風 に さらさ れ ながら 、 なお 、 死んで しまった 子供 を 探して 歩いて い ました 。 その 夜 、 遅く なって から 、 彼女 は 疲れて 、 空しく 町 の 方 へ 帰って ゆき ました 。 この 二 人 の 夫婦 は 、 それ から 後 、 長い 間 、 子供 と いう もの が なく 、 さびしい 生涯 を 送った のであり ます 。


星の子 ほし の こ Stachelhäuter (alle Stachelhäuter der Klasse Asteroidea) star child storno (qualsiasi echinoderma della classe Asteroidea) 별의 아이 szpak (każdy szkarłupnia z klasy Asteroidea) 星童

星 の 子 ほし||こ Star child

小川 未明 おがわ|みめい Mimei Ogawa

ある ところ に 、 子供 を かわいがって いる 夫婦 が あり ました 。 |||こども||||ふうふ||| At one point, there was a couple who were petting their children. その 人 たち の 暮らし は 、 なにひとつ と して 不足 を 感ずる もの は なかった のであり ました から 、 夫婦 は 、 朝 から 晩 まで 、 子供 を 抱いて は かわいがって いる こと が でき ました 。 |じん|||くらし|||||ふそく||かんずる|||||||ふうふ||あさ||ばん||こども||いだいて||||||| None of their lives felt lacking, so the couple were able to love their children from morning till night. 子供 は 、 やっと 二 つ に なった ばかりの 無邪気な 、 かわいらしい 盛り で あり ました ので 、 二 人 は 、 子供 の 顔 を 見る と 、 なにもかも 忘れて しまって 、 ただ かわいい と いう より ほか に 思う こと も なかった のであり ます 。 こども|||ふた|||||むじゃきな||さかり|||||ふた|じん||こども||かお||みる|||わすれて|||||||||おもう||||| The children were innocent and cute as they were just two, so when they look at their faces, they forget everything and think more than just being cute There was nothing that happened. 「 どうして こんなに 無邪気な のでしょう ね 。 ||むじゃきな|| "Why is it so innocent? 赤ちゃん の 目 に は 、 なんでも 珍しく 見える のでしょう ね 。 あかちゃん||め||||めずらしく|みえる|| Für die Augen des Babys sieht alles ungewöhnlich aus, nicht wahr? Everything looks unusual to the baby's eyes, doesn't it? ほんとうに 、 こんな とき は 神さま も 同じな んです わ ね 。」 ||||かみさま||おなじな||| In einem solchen Fall ist Gott derselbe, nicht wahr? "" In such a case, God is the same, isn't it? " と 、 妻 は 、 夫 に 向かって い い ました 。 |つま||おっと||むかって||| 夫 も 目 を 細く して 、 じっと や さしみ の ある 目 を 子供 に 向けて 、 妻 の 言葉 に うなずく のであり ました 。 おっと||め||ほそく|||||||め||こども||むけて|つま||ことば|||| Der Ehemann kniff die Augen zusammen und wandte seine sanften Augen dem Kind zu. Er nickte den Worten seiner Frau zu. The husband also narrowed his eyes and turned his gentle eyes toward the child, nodding to his wife's words. 二 人 は 、 同じ ように 、 我が 子 を かわいがり ました が 、 中 に も 妻 は 女 である だけ に 、 いっそう かわいがった のであり ます 。 ふた|じん||おなじ||わが|こ|||||なか|||つま||おんな||||||| They loved their children in the same way, but even more so because their wives were women. 他们都同样爱自己的孩子,但更爱妻子,因为她是女人。 しかし 、 この 世の中 は 、 美しい 、 無邪気な もの が 、 つねに 、 神 に 愛さ れて 変わり なし に いる と ばかり は まいり ませ ん 。 ||よのなか||うつくしい|むじゃきな||||かみ||あいさ||かわり||||||||| In dieser Welt werden schöne und unschuldige Dinge jedoch immer von Gott geliebt und bleiben unverändert. However, in this world, beautiful and innocent things are always loved by God and remain unchanged. 然而,在这个世界上,并不总是美丽而纯真的事物总是被上帝所喜爱并保持不变。 美しい 、 無邪気な もの でも 、 冷酷な 運命 に もてあそば れる こと が たびたび あり ます 。 うつくしい|むじゃきな|||れいこくな|うんめい|||||||| Sogar schöne und unschuldige Dinge werden oft von ihrem rücksichtslosen Schicksal geworfen. Even beautiful and innocent things are often tossed about by their ruthless destiny. 即使是美丽而纯真的事物,也常常被残酷的命运玩弄。 それ は どう する こと も でき なかった のであり ました 。 It couldn't be helped. 我对此无能为力。 こんなに 、 二 人 が 大事に して いた 子供 が 病気 に かかり ました 。 |ふた|じん||だいじに|||こども||びょうき||| So sehr, das Kind, das sie liebten, wurde krank. 二 人 は 、 どんなに 心配 を した でしょう 。 ふた|じん|||しんぱい||| How worried they were. あらんかぎり の 力 を つくした に も かかわら ず 、 小さな 、 なんの 罪 も ない 子供 は 、 幾 日 か 高い 熱 の ため に 苦しめ られ ました 。 ||ちから|||||||ちいさな||ざい|||こども||いく|ひ||たかい|ねつ||||くるしめ|| そして 、 その あげく 、 とうとう 花びら が 、 むごたらしい 風 に もま れて 散る ように 、 死んで しまい ました 。 ||||はなびら|||かぜ||||ちる||しんで|| その後 で 、 この 二 人 の もの は 、 どんなに 悲しみ 、 なげいた で あり ましょう 。 そのご|||ふた|じん|||||かなしみ|||| 自分 たち の 命 を 縮めて も 、 どうか 子供 を 助け たい と 、 心 の 中 で 神 に 念じた の も 、 いま は 、 なんの 役 に も たち ませ ん でした 。 じぶん|||いのち||ちぢめて|||こども||たすけ|||こころ||なか||かみ||ねんじた||||||やく|||||| Even if we shortened our lives, we wanted to help our children, and in our hearts we thought of God, but now we have no use for anything. 「 この 世の中 に は 、 神 も 仏 も ない 。」 |よのなか|||かみ||ふつ|| と 、 二 人 は いって 、 神 を うらみ ました 。 |ふた|じん|||かみ||| それ から と いう もの は 、 りっぱな 家 も 、 広い 屋敷 も 、 ありあまる ほど の 財産 も 、 二 人 の 心 を 満たす こと は でき ませ ん でした 。 |||||||いえ||ひろい|やしき|||||ざいさん||ふた|じん||こころ||みたす|||||| 二 人 は 、 もし 、 それ ら の もの を 亡くした 子供 と 換える こと が できたら 、 あるいは それ ら の もの を 投げ出す こと を 惜しむ もの で は なかった かも しれ ませ ん 。 ふた|じん||||||||なくした|こども||かえる||||||||||なげだす|||おしむ|||||||| They may not have been willing to throw them out, if they could replace them with the deceased children. どんな 貴重 の もの も 、 子供 と は 、 とうてい 比較 に なる もの で は ない と 、 しみじみ この とき だけ は 感じた のであり ます 。 |きちょう||||こども||||ひかく|||||||||||||かんじた|| 二 人 は 、 金 を 惜し まず に 、 子供 の ため に 、 美しい 、 小さな 大理石 の 墓 を 建て ました 。 ふた|じん||きむ||おし|||こども||||うつくしい|ちいさな|だいりせき||はか||たて| そして 、 その まわり に 花 の 咲く 木 や 、 いろいろの 草花 を 植え ました 。 ||||か||さく|き|||くさばな||うえ| けれど 、 これ だけ で は 、 かぎりない 思いやり に 対して 、 その 幾 分 を も 消す こと が でき なかった のです 。 ||||||おもいやり||たいして||いく|ぶん|||けす||||| However, this alone could not eliminate some of the infinite compassion. 寒い 風 の 吹く 、 暗い 夜 に 、 女 は 、 いまごろ 、 子供 は 墓 の 下 で 目 を 覚まして 、 どんなに さびし がって いる だろう か と 思う と 、 泣か ず に はいら れ ませ ん でした 。 さむい|かぜ||ふく|くらい|よ||おんな|||こども||はか||した||め||さまして||||||||おもう||なか||||||| In the cold wind, on a dark night, the woman, by now, woke up under the grave and wondered how lonely she was, without crying. 漆黑的夜晚,凛冽的寒风吹过,女人想到此时在坟墓下醒来的孩子该是多么的孤独,她不禁落泪。 する と 、 男 は いい ました 。 ||おとこ||| Then the man said. 「 なんで 、 あの 凍った 冷たい 地 の 下 など に いる もの か 。 ||こおった|つめたい|ち||した||||| "Why are you under such frozen cold lands? いまごろ は 、 神さま に つれ られて 天国 へ いって 遊んで いる 。」 ||かみさま||||てんごく|||あそんで| Nowadays, I am being addicted to God and going to heaven and playing. " と いい ました 。 「 そう でしょう か ? 」 「 そう と も 、 天国 へ いって 遊んで いる よ 。」 |||てんごく|||あそんで|| と 、 男 は 答え ました 。 |おとこ||こたえ| 「 そんなに 、 遠い 、 高い ところ へ なら いかれ ませ ん けれど 、 もし 歩いて いける ところ なら 、 幾 千里 、 遠い 、 遠く 国 の どんな さびしい 野原 でも 、 子供 が いる こと なら 探して いき ます のに ……。」 |とおい|たかい|||||||||あるいて||||いく|ちさと|とおい|とおく|くに||||のはら||こども|||||さがして||| "I wouldn't go to such a distant, high place, but if I could walk, I would look for any lonely field in a distant, distant country, if I had children ...". と 、 女 は いって 、 泣き つづけ ました 。 |おんな|||なき|| 二 人 は 、 もう 、 ただ 子供 の 死んで いって から の しあわせ を 、 いまでは 、 思う より ほか に 途 は なかった のであり ます 。 ふた|じん||||こども||しんで|||||||おもう||||と|||| Die beiden waren einfach glücklich, seit ihr Kind tot war, und jetzt haben sie keine andere Wahl, als nachzudenken. The two had just had the happiness of their child's death, and now they have no choice but to think. 孩子死后,两人别无选择,只能寻找幸福。 その とき 、 ちょうど 、 過去 、 現在 、 未来 、 なんでも 聞いて わから ない こと は ない と いう 占い 者 が あり ました 。 |||かこ|げんざい|みらい||きいて||||||||うらない|もの||| At that time, there was a fortune-teller who said that there was nothing that he couldn't understand by listening to the past, the present, the future, and so on. 女 は 、 さっそく その 占い 者 の ところ へ いって 、 自分 の 死んだ 子供 の こと を ば 見て もらい ました 。 おんな||||うらない|もの|||||じぶん||しんだ|こども|||||みて|| The woman immediately went to the fortune-teller to see her dead child. 占い 者 は 、 死んだ 子供 の 過去 、 現在 、 未来 を 見て 語り ました 。 うらない|もの||しんだ|こども||かこ|げんざい|みらい||みて|かたり| 「 あなた がた 二 人 に は 、 長い 間 子供 が なかった が 、 信 神 に よって 、 子供 が 生まれ ました 。 ||ふた|じん|||ながい|あいだ|こども||||しん|かみ|||こども||うまれ| "Zwei von euch hatten lange Zeit keine Kinder, aber der Gott des Glaubens brachte sie zur Welt. "The two of you had no children for a long time, but God gave birth to them. けれど 子供 は 、 まだ この 世の中 に くる の に は 早かった 。 |こども||||よのなか||||||はやかった But children were still early to come to the world. 早い と いう の は 、 この 世の中 が あまりに 汚れ すぎて いる のです 。 はやい||||||よのなか|||けがれ||| Early means that the world is too dirty. それ で もう 一 度 、 星 の 世界 へ 帰る こと に なり ました 。 |||ひと|たび|ほし||せかい||かえる|||| So I decided to go back to the world of stars again. しかし 、 短かった けれど 、 この 世の中 に 出て きた うえ は 、 苦行 を し なければ 、 ふたたび 天国 へ 帰る こと は でき ませ ん 。 |みじかかった|||よのなか||でて||||くぎょう|||||てんごく||かえる||||| However, although it was short, it was not possible to return to heaven again without penance after coming out into the world. いま 、 あなた の 死んだ お 子供 さん は 、 高い 山 の 頂 に 、 真っ赤な 小さい 花 を つけた 草 に なって い られ ます 。 |||しんだ||こども|||たかい|やま||いただ||まっかな|ちいさい|か|||くさ||||| Now your dead child is a grass on the top of a high mountain with small bright red flowers. いまごろ は 、 山 に は 雪 が 降って い ます から 、 雪 の 中 に うずもれて い ます が 、 その うち に 神さま の お召し に よって 、 星 の 世界 へ 帰ら れ ます 。 ||やま|||ゆき||ふって||||ゆき||なか|||||||||かみさま||おめし|||ほし||せかい||かえら|| この後 、 あなた がた の 信 神 に よって は 、 もう 一 度 この 世の中 へ 出て こ られ ない もの で も あり ませ ん 。」 このあと||||しん|かみ|||||ひと|たび||よのなか||でて||||||||| After this, depending on your devotion, you may not be able to come out into the world again. " 占い 者 は 、 このように いい ました 。 うらない|もの|||| これ を 聞いて 、 二 人 は 、 わが 子 に 対して あれほど まで かわいがり 、 また 大事に した けれど 、 まだ 足り なかった か ? ||きいて|ふた|じん|||こ||たいして|||||だいじに||||たり|| Als die beiden das hörten, liebten und schätzten sie ihr Kind so sehr, aber fehlte es ihnen immer noch? Hearing this, they loved and cherished their child so much, but were they still lacking? まだ 二 人 の 真心 は 、 通じ なかった か と なげき ました 。 |ふた|じん||まごころ||つうじ||||| I wondered if the two of them couldn't understand their sincerity. 女 は 、 夜 、 外 に 立って 、 月 の さえた 、 青い 空 を ながめ ました 。 おんな||よ|がい||たって|つき|||あおい|から||| The woman stood outside at night, looking at the moon and the blue sky. そして 、 いまごろ 、 高い 山 の 上 の 雪 の 光る 下 に 、 草 と なって ふるえて いる 、 わが 子 の 傷ましい 運命 を 思い ました 。 ||たかい|やま||うえ||ゆき||ひかる|した||くさ||||||こ||いたま し い|うんめい||おもい| Und jetzt dachte ich an das traumatische Schicksal meines Kindes, das wie Gras unter dem leuchtenden Schnee auf einem hohen Berg schwankte. いま から 、 すぐ に も 、 彼女 は 、 旅立ち を して その 高い 山 に 、 雪 を 分けて 登って ゆこう と 思い ました が 、 もとより どこ に 草 が うずもれて いる か 知る こと が でき なかった のです 。 |||||かのじょ||たびだち||||たかい|やま||ゆき||わけて|のぼって|||おもい||||||くさ|||||しる||||| From now on, she immediately decided to set out on a journey to climb the high mountains, splitting the snow, but she couldn't even know where the grass was. It is. このうえ は ただ 、 もう 一 度 信 神 の 力 で 、 子供 を 自分 の 手 に 帰して もらう より ほか に 、 どう する こと も でき ない と 知り ました 。 ||||ひと|たび|しん|かみ||ちから||こども||じぶん||て||かえして||||||||||||しり| Darüber hinaus wusste ich, dass ich nichts anderes tun konnte, als das Kind mit der Kraft von Shinjin wieder in meine eigenen Hände zu bekommen. On top of that, I knew that I couldn't do anything other than get the child back into my hands with the power of God again. 彼女 は 、 その 日 から 毎日 、 神 に 願 を かけて 、「 どうか 死んだ 子供 が 、 もう 一 度 帰って き ます ように 。」 かのじょ|||ひ||まいにち|かみ||ねがい||||しんだ|こども|||ひと|たび|かえって||| と 、 宮 や 、 寺 へ いって 祈った のであり ます 。 |みや||てら|||いのった|| こう する うち に 、 春 も だんだん に 近づいて き ました 。 ||||はる||||ちかづいて|| しかし 、 まだ 木 が 芽 ぐ むに は 早く 、 風 も 寒かった のであり ます 。 ||き||め||||はやく|かぜ||さむかった|| However, it was still early for the trees to sprout, and the wind was cold. ただ 雲 の 切れ目 に 、 ほんのり と 柔らかな 日 の 光 が にじんで 、 なんとなく 、 なつかしい 穏やかな 日 が つづく ように なり ました 。 |くも||きれめ||||やわらかな|ひ||ひかり|||||おだやかな|ひ||||| Das leicht weiche Sonnenlicht blutet jedoch in die Wolkenbrüche und irgendwie geht ein nostalgisch ruhiger Tag weiter. However, the light of the slightly soft sun bleeds into the breaks in the clouds, and somehow the nostalgic calm days continue. 小鳥 は 、 庭 の 木立 に きて 、 よい 声 で さえずって い ました 。 ことり||にわ||こだち||||こえ|||| 日 が たち ました けれど 、 彼女 の 子供 を 亡くした 悲しみ は 、 ますます 鋭く 、 胸 を 刺して たえ られ なく なって 、 彼女 は 、 毎日 の ように 子供 の 墓 に お詣り を し ました 。 ひ|||||かのじょ||こども||なくした|かなしみ|||するどく|むね||さして|||||かのじょ||まいにち|||こども||はか||お けい り||| そして 、 どう か 、 もう 一 度 生まれ変わって 帰って くる ように 祈り ました 。 ||||ひと|たび|うまれかわって|かえって|||いのり| ある 夜 の こと 、 女 は 、 不思議な 夢 から 、 驚いて 目覚め ました 。 |よ|||おんな||ふしぎな|ゆめ||おどろいて|めざめ| 「 おまえ が 、 それほど まで 子供 を かわいがる なら 、 もう 一 度 あの 子供 を かえして やろう 。 ||||こども|||||ひと|たび||こども||| "If you love a child so much, I'll give it back again. 明日 の 晩 に 、 おまえ は 独り で 、 町 の 西 の 端 に 河 が 流れて いる 、 あの 河 を 渡って 、 野原 の 中 に いって み れ 、 おまえ の 子供 が 、 なにも 知ら ず に 遊んで いる から ……。」 あした||ばん||||ひとり||まち||にし||はし||かわ||ながれて|||かわ||わたって|のはら||なか|||||||こども|||しら|||あそんで|| Tomorrow evening, you are alone, a river is flowing at the western end of the town, across that river, into the fields, your child, playing without knowing anything. Since there ……. " こう いって 、 見な れ ない 、 白い ひげ の はえた お じいさん が 、 あちら の 方 を 指した か と 思う と 、 目 が さめた のであり ます 。 ||みな|||しろい|||||||||かた||さした|||おもう||め|||| I woke up when I thought that the unseen, white-bearded grandfather pointed to that direction. その こと を 彼女 は 、 朝 に なって 、 夫 に 告げ ました 。 |||かのじょ||あさ|||おっと||つげ| She told her husband about it in the morning. 「 それ は 、 おまえ が 平常 死んだ 子供 の こと ばかり 思って いる から 、 夢 を 見た のだ 。 ||||へいじょう|しんだ|こども||||おもって|||ゆめ||みた| "It's because you're just thinking of a dead child, so you dreamed. そんな こと が ある もの で ない 。」 Es gibt keine solche Sache. "" There is no such thing. " と 、 夫 は いい ました 。 |おっと||| しかし 、 女 は 、 どうしても 、 昨日 見た 夢 を 忘れる こと が でき ませ ん でした 。 |おんな|||きのう|みた|ゆめ||わすれる|||||| きっと 神さま が 私 の お 願い を かなえて くださ れた のだろう 。 |かみさま||わたくし|||ねがい||||| とにかく 自分 は 夜 に なったら 、 野原 に いって み なければ なら ぬ と 決心 し ました 。 |じぶん||よ|||のはら||||||||けっしん|| Anyway, I decided that I had to go to the field at night. せんだって 降った 雪 は 、 まだ 町 の 中 に も 消え ず に 、 そこ ここ に 残って い ました 。 |ふった|ゆき|||まち||なか|||きえ||||||のこって|| Der Schnee, der am Ende gefallen war, verschwand nicht einmal in der Stadt und blieb hier und da. The snow that had fallen had not disappeared even in the town, and it remained here and there. 彼女 は 夜 に なる の を 待って い ました 。 かのじょ||よ|||||まって|| She was waiting for the night to come. その 夜 は 、 いつ に なく 空 が 清らかに 晴れて 、 青く さえた うち に 星 の 花 の ごとく きれいに 乱れて い ました 。 |よ|||||から||きよらかに|はれて|あおく||||ほし||か||||みだれて|| In dieser Nacht war der Himmel beispiellos klar und klar, und obwohl er blau war, war er wie eine Sternblume gestört. That night, the sky was clear and clear, and while it was blue, it was disturbed like a star flower. その 一つ一つ 異なった 色 の 光 を 放って 、 輝いて いた のであり ます 。 |ひとつひとつ|ことなった|いろ||ひかり||はなって|かがやいて||| 彼女 は 、 寒い 風 が 吹く 中 を 歩いて 、 町 の 西 の はずれ に いたり ました 。 かのじょ||さむい|かぜ||ふく|なか||あるいて|まち||にし||||| She walked in the cold wind and was on the western edge of the town. そこ に は 、 大きな 河 が 音 を たてて 流れて い ました 。 |||おおきな|かわ||おと|||ながれて|| あたり は 、 一面に 煙る ように 青白い 月 の 光 に さらさ れて い ます 。 ||いちめんに|けむる||あおじろい|つき||ひかり||||| The area is exposed to the light of the pale moon like smoke all over. この 河 の ふち は 、 一帯 に 貧民 窟 が 建て 込んで いて 、 いろいろの 工場 が あり ました 。 |かわ||||いったい||ひんみん|いわや||たて|こんで|||こうじょう||| At the edge of this river, a poor cave was built in the area, and there were various factories. どの 工場 の 窓 も 赤く なって 、 その 中 から は 機械 の 音 が 絶え間 なく 聞こえて き ました 。 |こうじょう||まど||あかく|||なか|||きかい||おと||たえま||きこえて|| そして 建物 の 頂 に そびえ たった 煙突 から は 、 夜 の 青い 空 に 、 毒々しい 濁った 煙 を 吐き出して いる のであり ました 。 |たてもの||いただ||||えんとつ|||よ||あおい|から||どくどくしい|にごった|けむり||はきだして||| And from the chimneys that towered over the top of the building, they were exhaling poisonous, muddy smoke into the blue sky at night. 彼女 は 、 ある 工場 の 前 で は 、 多く の 女工 が 働いて いる のだ と 思い ました 。 かのじょ|||こうじょう||ぜん|||おおく||じょこう||はたらいて||||おもい| She thought that many female workers were working in front of a factory. また 、 鉄槌 の 響いて くる 工場 を 見て は 、 多く の 男 の 労働 者 が 働いて いる のだ と 思い ました 。 |くろがね つち||ひびいて||こうじょう||みて||おおく||おとこ||ろうどう|もの||はたらいて||||おもい| Also, when I saw the factory where the iron mallet echoed, I thought that many male workers were working. その 人々 は 、 みんな 、 この あたり の みすぼらしい 家 に 住んで いる のだ と 思った とき に 、 彼女 は 、 自分 たち は どうして ここ に 生まれて こ ず に 、 金持ち の 家 へ 生まれて きた か 、 しあわせ と いえば 、 そう である が 、 その こと が 不思議に も 思わ れた のであり ました 。 |ひとびと|||||||いえ||すんで||||おもった|||かのじょ||じぶん||||||うまれて||||かねもち||いえ||うまれて||||||||||||ふしぎに||おもわ||| Als sie alle dachten, sie würden hier in einem schäbigen Haus leben, fragte sie sich, warum sie nicht hier geboren wurden, sondern in einem reichen Haus. Das stimmt, aber es schien seltsam. When they all thought they lived in a shabby house around here, she said, why were they not born here, but in a rich house? That's right, but it seemed strange. ここ を 離れて 、 だんだん 寂しい 野原 に さしかかる と 雪 が 深く なり ました 。 ||はなれて||さびしい|のはら||||ゆき||ふかく|| 手足 は 寒 さ に 凍えて 、 ことに 踏む 足 の 指先 は 、 切れて 落ち そうに 、 痛み を 感じた のであり ます 。 てあし||さむ|||こごえて||ふむ|あし||ゆびさき||きれて|おち|そう に|いたみ||かんじた|| どこ を 見 まして も 、 あたり は 、 灰色 の 雪 に おおわ れて い ました 。 ||み|||||はいいろ||ゆき||||| そして 、 あの 天国 で 聞こえる であろう ような 、 よい 音色 も 、 また 輝かしい 明かり も さして い ませ ん でした 。 ||てんごく||きこえる||||ねいろ|||かがやかしい|あかり|||||| And there was no good tone, no brilliant light, as you would hear in that heaven. 彼女 は 、 せっかく 子供 に あえる と 思って 、 苦痛 を 忍んで 歩いて きた のでした 。 かのじょ|||こども||||おもって|くつう||しのんで|あるいて|| She walked in pain, thinking that she would be able to meet her child. 彼女 は 、 葉 の ない 林 の 中 に 入って ゆき ました 。 かのじょ||は|||りん||なか||はいって|| そこ に も 明るい ほど 星 の 光 は さして い ました 。 |||あかるい||ほし||ひかり|||| The brighter it was, the more the starlight was shining. 「 どこ に 、 私 の かわいい 子供 が いる だろう 。」 ||わたくし|||こども||| 彼女 は 、 こう 思って 、 灰色 の 世界 を さがして い ました 。 かのじょ|||おもって|はいいろ||せかい|||| この とき 、 すこし 隔たった ところ に 、 黒い 人影 が 人 の くる の を 待って いる ように 立って い ました 。 |||へだたった|||くろい|ひとかげ||じん|||||まって|||たって|| 彼女 は 、 その方 に 歩いて ゆき ました 。 かのじょ||そのほう||あるいて|| すると 、 髪 の 毛 を 乱して 、 やせた 女 が 子供 を 抱いて 立って い ました 。 |かみ||け||みだして||おんな||こども||いだいて|たって|| Then, the hair was disturbed, and a thin woman stood with her child in her arms. その 女 は 泣いて い ました 。 |おんな||ないて|| 彼女 が 近づく と 、 みすぼらしい ふう を した 女 は 、 「 どうか 助けて ください 。」 かのじょ||ちかづく||||||おんな|||たすけて| と いい ました 。 彼女 は 、 もっと 近づいて 、 よく ようす を 見 ます と 、 この 工場 町 に 住んで いる 貧乏な 若い 女房 で あり ました 。 かのじょ|||ちかづいて||||み||||こうじょう|まち||すんで||びんぼうな|わかい|にょうぼう||| She came closer and, if you look closely, was a poor young wife who lived in this factory town. 「 おまえ さん は 、 こんな ところ に 立って 、 なに を して いる のです か ? ||||||たって|||||| 」 と 、 彼女 は たずね ました 。 |かのじょ||| する と 、 やせた 貧し げな 若い 女 は 、 「 私 たち は 、 この 子供 を 養って ゆく こと が でき ませ ん 。 |||まずし|げ な|わかい|おんな||わたくし||||こども||やしなって|||||| Dann sagte die dünne, arme junge Frau: "Wir können dieses Kind nicht ernähren. Then the lean, poor young woman said, "We cannot feed this child. それ で 、 だれ も 、 もらって は くれ ませ ん から 、 かわいそうです けれど 、 ここ へ 捨て に やってきた のです 。 ||||||||||||||すて||| Es tut mir leid, dass niemand es bekommen hat, aber ich bin hergekommen, um es wegzuwerfen. So, I'm sorry that no one got it, but I came here to throw it away. けれど 、 やはり 捨て られ ない ので もらって くださる 人 の くる の を 待って い ました 。」 ||すて||||||じん|||||まって|| と いい ました 。 彼女 は 、 これ を 聞く と びっくり し ました 。 かのじょ||||きく|||| 「 まあ 、 こんな 雪 の 上 へ 、 子供 を 捨てる 気 な んです か 。」 ||ゆき||うえ||こども||すてる|き||| と いって 、 やせた 女 を 見すえ ました 。 |||おんな||みすえ| やせた 女 は 泣き ながら 、 「 奥さま 、 私 たち は 、 この 子供 が ある ばかりに 、 手足 ま とい に なって 、 どんなに 困って い ます か 、 どうか お 慈悲 を もって 、 この 子供 を 育てて ください ませ ん か 。」 |おんな||なき||おくさま|わたくし||||こども||||てあし||||||こまって||||||じひ||||こども||そだてて|||| と 頼み ました 。 |たのみ| 金持ち の 妻 は 、 心 の 中 で 、 不思議な こと が あれば ある もの だ と 思い ました 。 かねもち||つま||こころ||なか||ふしぎな||||||||おもい| 「 まあ 、 どんな 子供 です か 、 私 に 、 見せて ください 。」 ||こども|||わたくし||みせて| と いい ました 。 そして 、 星 の 明かり に 照らして 、 やせた 女 に 、 抱か れて いる 子供 の 顔 を のぞき ました 。 |ほし||あかり||てらして||おんな||いだか|||こども||かお||| 星 の 光 は 、 下界 を おお うた 雪 の 面 に 反射 して 、 子供 の 顔 が かすかに わかった のであり ます 。 ほし||ひかり||げかい||||ゆき||おもて||はんしゃ||こども||かお||||| Das Licht der Sterne wurde auf der Oberfläche des Schnees reflektiert, der die Unterwelt bedeckte, und das Gesicht des Kindes war schwach sichtbar. けれど 、 その 子供 は 、 彼女 が 探して いる 自分 の 死んだ 子供 で は あり ませ ん でした 。 ||こども||かのじょ||さがして||じぶん||しんだ|こども|||||| 「 この 子供 は 、 私 の 死んだ 子供 じゃ ない 。」 |こども||わたくし||しんだ|こども|| と 、 彼女 は いい ました 。 |かのじょ||| やせた 女 は 、 しくしく と 泣いて い ました 。 |おんな||||ないて|| その ようす は 、 いかにも 哀れに 見 られ ました 。 ||||あわれに|み|| 「 奥さま 、 どうか この 子供 を 育てて ください ませ ん か 。 おくさま|||こども||そだてて|||| そうして くださ れたら 、 私 ども は 、 どんなに 助かり ましょう 。」 |||わたくし||||たすかり| と いい ました 。 金持ち の 妻 は 、 私 が これほど まで に せつない 思い を して 、 神さま に 願って いる の も 、 みんな 死んだ 自分 の 子供 が かわいい から の こと だ 。 かねもち||つま||わたくし||||||おもい|||かみさま||ねがって|||||しんだ|じぶん||こども|||||| 自分 の 死んだ 子供 が 、 永久 に 帰って こ ない もの なら 、 なんで 、 見ず知らず の 人 の 子供 を 苦労 して 育てる こと が あろう ? じぶん||しんだ|こども||えいきゅう||かえって||||||みずしらず||じん||こども||くろう||そだてる||| 私 は 、 あくまで 、 私 の 死んだ 子供 を 神さま から 返して もらわ なければ なら ぬ と 考え ました 。 わたくし|||わたくし||しんだ|こども||かみさま||かえして||||||かんがえ| I thought that I had to get my dead child back from God. 「 私 は 、 いま 自分 の 子供 を 探して いる のです 。 わたくし|||じぶん||こども||さがして|| それ が 見つかる まで は 、 知ら ない 人 の 子供 を もらう こと は でき ませ ん 。」 ||みつかる|||しら||じん||こども||||||| と 、 彼女 は 断り ました 。 |かのじょ||ことわり| やせた 女 は 、 絶望 して 、 ため息 を ついて い ました 。 |おんな||ぜつぼう||ためいき|||| 「 奥さま 、 子供 は みんな かわいい もの で ございます 。 おくさま|こども|||||| しかた が あり ませ ん 。 Es gibt keine Möglichkeit. 私 は 、 また これ から 、 この 子供 を 育てて くださる 人 を 探さ なければ なり ませ ん 。」 わたくし||||||こども||そだてて||じん||さがさ|||| と いって 、 やせた 女 は しおしお と 、 彼女 の 前 を 離れて 雪 の 上 を あちら に 歩いて ゆき ました 。 |||おんな||||かのじょ||ぜん||はなれて|ゆき||うえ||||あるいて|| 彼女 は 、 この とき 、 女 の いった こと を よく 考えて み ました 。 かのじょ||||おんな||||||かんがえて|| そして 、 だんだん 遠ざかって ゆく 哀れな 女 の 姿 を 見送り ながら 、 もう 一 度 、 あの 子供 の 顔 を よく ながめて 、 どこ か 死んだ 自分 の 子供 の 顔つき に 似て いる ところ が あったら 、 もらって 育てよう か と 思い ました 。 ||とおざかって||あわれな|おんな||すがた||みおくり|||ひと|たび||こども||かお||||||しんだ|じぶん||こども||かおつき||にて||||||そだてよう|||おもい| しかし 、 こう 思った とき は 、 もう 遅かった のであり ます 。 ||おもった||||おそかった|| もはや 、 どこ を 探して も 、 やせた 女 の 姿 は 見え ませ ん でした 。 |||さがして|||おんな||すがた||みえ||| 雪 の 上 を 、 空 の 星 の 光 が 、 寒 そうに 、 かすかに 照らして い ました 。 ゆき||うえ||から||ほし||ひかり||さむ|そう に||てらして|| 彼女 は 、 寒い 身 に しみる 風 に さらさ れ ながら 、 なお 、 死んで しまった 子供 を 探して 歩いて い ました 。 かのじょ||さむい|み|||かぜ||||||しんで||こども||さがして|あるいて|| She was exposed to the cold wind, and was still walking in search of her dead child. その 夜 、 遅く なって から 、 彼女 は 疲れて 、 空しく 町 の 方 へ 帰って ゆき ました 。 |よ|おそく|||かのじょ||つかれて|むなしく|まち||かた||かえって|| この 二 人 の 夫婦 は 、 それ から 後 、 長い 間 、 子供 と いう もの が なく 、 さびしい 生涯 を 送った のであり ます 。 |ふた|じん||ふうふ||||あと|ながい|あいだ|こども|||||||しょうがい||おくった|| After that, the two couples had a lonely life for a long time, without children.