にせ 本尊
むかし むかし 、 一休 さん ( いっきゅう さん ) と 言う 、 とんち で 評判 の 小僧 さん が いました 。
一休 さん が 寺 の 小僧 たち と 掃除 を している と 、近く の 家 の おかみさん が やって来て 言いました 。
「小僧 さん たち 。 ぼたもち つくった から 、食ベて おくれ 」
「こりゃ 、うま そう だ 」
「いただき ま ー す 」
小僧 さん たち は 、さっそく ぼたもち に かぶりつきました 。
すると 、
ガチッ !
と 、固い 音 が しました 。
「 なんだ ? 」
ぼたもち を 見て みる と 、それ は 黒い 石 だった のです 。
「 おばさん ! これ は 石 じゃ ない か ! 」
小僧 たち が 文句 を 言う と 、おかみさん は ドロン と とんぼ返り を して 、キツネ の 正体 を 現しました 。
「け け け 、おいら の ぼたもち は 、うまかった か あ ? 」
「 あっ! こいつ は キツネ だ ぞ ! それ 、つかまえろ ! 」
小僧 たち は キツネ を 追いかけました が 、キツネ は 素早く 身 を 隠して しまいました 。
「どこ へ 行った の だろう ? 」
「お寺 から は 、出て いない はず だ けど 」
その 時 、 本堂 から 和尚 ( おしょう ) さん の 呼ぶ 声 が 聞こえました 。
「大変 だ あ ! みんな 来て くれ ! 」
小僧 たち が 行って みる と 、お 堂 に は 一体 の 仏さま しか ない はず なのに 、そっくり 同じ 仏さま が 二 体 並んで 座って いる のです 。
「これ は 、さっき の キツネ が 化けて いる な 」
和尚 さん と 小僧 たち が 両方 の 仏 さま を 見比べました が 、キツネ は とても 上手 に 化けて いて 、どっち が 本物 で 、どっち が キツネ か さっぱり 見分け が つきません 。
「和尚 さん 、こう なれば 、棒 で 頭 を 叩きましょう か ? 」
「いかん 、本物 を 叩いたら 大変 じゃ 」
すると 、今 まで 黙って いた 一休 さん が 言いました 。
「何 を 言って いる のです 。
見分ける の は 、簡単 では ありません か 。
何しろ 本物 の 仏 さま は 、和尚 さん が お経 を 読む と 、いつも 舌 を ペロリ と 出します から 」
そして 一休 さん は 、和尚さん に 目 で 合図 を 送りました 。
それ に 気づいた 和尚さん は 、一休 さん に 合わせて 言いました 。
「おお 、そう じゃった 、そう じゃった 。
一休 よ 、よく 気 が 付いた な 。
・・・で は 、さっそく お 経 を 読む から 、どっち の 仏さま が 舌 を 出す か 見て いて くれよ 」
そう 言って 和尚さん が お経 を 読み 始める と 、一つ の 仏さま が 長い 舌 を ペロリ と 出しました 。
「それっ、舌 を ペロリ と 出した の が キツネ だ ぞ! 」
一休 さん の 合図 に 、小僧 たち は キツネ を 捕まえる と 柱 に しばり 付けました 。
さすが の キツネ も 、涙 を 流して 謝りました 。
「助けて 下さい 。 もう 二度と 、イタズラ は しません から 」
「本当に 、二度と しない な ! 」
「はい 、約束 します 」
「よし 、なら 許して やろう 」
こうして キツネ は 許される と 、二度と お 寺 に は 近づきません でした 。
おしまい