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刀語, Katanagatari Episode 1 (2)

Katanagatari Episode 1 (2)

天下 が 欲しく ない か って そういう 意味 か

いかにも 別に 本当に そな たが 天下 人 に なる わけで は ない

今 の 幕府 は 長い こと 盤石 なんだろう

大 乱 すら 力任せに 押さえ付ける こと が できる くらい 強大 よ

そう 力任せに な

いや その 大 乱 が 問題 だった のだ

尾張 幕府 もはや 150 年

今 と なって は 戦国 時代 を 本当の 意味 で 知っている 者 は い ない

四季 崎 の 刀 も 今や お守り 程度 に しか 考え られて は い なかったろう

が 考えて も みる が よい

もしも 先 の 大 乱 の 首謀 者 が

こぞって 12 本 の 刀 の 持ち主 だった なら

現 幕府 とて どう なって いた もの か

幕府 は 反乱 を 恐れて いる

念 に は 念 を って ことか

それ で 刀 の 所在 は ?

分かって いる もの は 因幡 出雲 薩摩 蝦夷 土佐

残り は 調査 中

半分 しか 分かって い ない と は

「 半分 も 分かって いる 」 と 言って くれ

何 だ

反乱 が 怖い んだったら 変に

今 の 持ち主 を 刺激 し ない 方 が いい んじゃ ない の か

「 うまく やれ 」 と いう の が 幕府 から の お 達し だ

どう うまく やれ って いう んだ よ

その ため に 奇 策 士 が いる

わたし の ように 裏 で 動く 人間 が な

あの

奇 策 士 って 何 な のです か ?

正確に は

尾張 幕府 家 鳴 将軍 直轄 預奉 所 軍 所 総 監督

奇 策 士 とがめ だ

えっ と この 20 年 の 間 に 新しく できた 役職 か 何 か で ?

いや これ は わたし が 勝手に 名乗って いる だけ だ

自称 かよ

策 を 練る の が 策 士 なら

奇 策 を 練る の が 奇 策 士 だ

普通で は ない 命令 は 普通で ない わたし の ところ に 下りる のだ

そんな わけ で わたし に 協力 して は くれ まい か ?

あんた が 幕府 の 人間 だって いう ん なら

別に 虚 刀 流 に 頼ら なくて も いくら でも

言わ ん と して いる こと は 分かる が

金 で 動く 人間 は 駄目だ

はっ ?

収集 を 依頼 した 忍者 が

裏切った のだ

忍者 な のに です か

その 驚き は 分かる ぞ

そんな こと を すれば

長年 築き上げて きた 信用 も がた 落ち だ から な

しかし それ でも やつ ら は 刀 を 持った まま 姿 を 消した のだ

忍 軍 丸ごと 里 もろとも だ

とんでもない こと を

完成 形 変 体 刀 は 1 本 で 国 が 買える 価値 を 持つ 高級 芸術 品 だ

金 で 動く 人間 は 駄目だ

なるほど じゃあ 名誉 は どう だ ?

剣士 は かく ある べきだ と 俺 は 親父 に 教え られた ぞ

名誉 か 剣士 も 駄目だ

うん ?

幕府 が 知る 中 で 最も 強く 最も 忠義に 厚い 剣 客 を 1 人 選んだ

名 を 錆 白 兵 と いって な

最も 手 に 入れる の が 困難だろう と 思わ れた 薄 刀 針 を

き ゃつ は 驚く べき 短 時間 で 手 に 入れた

手 に 入れて 失踪 した のだ

毒 が 強 過ぎる のだ

名誉で 動く 剣士 だ から こそ

四季 崎 の 刀 を 所持 する 名誉 から は 逃れ られ なかった のであろう

忍者 に 剣士 と

より 強い やつ の ところ に 刀 が 移った わけだ

あんた の 信用 が た 落ち だ わ

そう な のだ 何とか なら ん もの か

知る か

それ で 虚 刀 流 です か

金 で 動か ず 刀 を 使わ ない 剣士 である こと

そう だ

虚 刀 流 当主 鑢 七 花

尾張 幕府 1,000 年 の 歴史 の ため に

研さん した その 技術 を 使って は くれ ぬ か

話 は 分かった けど よ

それ は あんた に は 必要 って 話 で 俺 は 特に 刀 って やつ に も 関心 が ねえ

怖い の か

そりゃ 怖い よ けれども それ 以上 に 面倒だ

わざわざ 海 を 渡って 出向く ほど じゃ ない

その 答え この わたし が 予想 し なかった と 思う か

幾 度 と なく 煮え湯 を 飲ま さ れて きた この 奇 策 士 が

そ なた ごとき を 動かす の に 足る 理由 も 持た ず に

この 島 に やって 来た と 思った か

煮え湯 を 飲んで きた んです ね

何 か あん の かよ 理由

金 で 動く 人間 は 駄目だ

名誉で 動く 人間 も 駄目だった

ならば 残さ れた 理由 は たった 一 つ

愛 だ

愛 ?

愛で 動く 人間 は 信用 できる

鑢 七 花 わたし に ほれて いい ぞ

手 裏 剣 ?

ふざけ ん な !

親父 が 建てた 家 だ ぞ

七 花

まったく 何て 短絡 的な

いや あれ で 正解 だ

飛び道具 に 関して は 即断 即決 しか ない

まあ 本能 で 動いて い ます から ね

忍者 真庭 忍 軍 だ な

真庭 ?

四季 崎 の 刀 の 価値 を 知った 途端 裏切った や つら だ

何 人 でしょう か ?

1 人 であろう な

真庭 の 忍び は 集団 行動 を 嫌う

分から ん の は どうして やつ ら が ここ に と いう こと だ

尾行 さ れる わけ など ないし

行く先 は 誰 に も 告げて ない のに

敵 が 本当に 1 人 なら おそらく

この先 の 砂浜 に 七 花 は 相手 を 誘導 して いる はずです

ずいぶんな 自信 だ な

敵 は 真庭 忍 軍 だ ぞ

忍者 ごとき に 後れ を 取る 虚 刀 流 で は あり ませ ん

頼もしい かぎり だ が

今 は 真庭 忍 軍 の 者 が

どうして ここ に いる の か を 事項 だ 考える 方 が 圧倒 的 優先

それ は そう です ね

とがめ さ ん 尾行 さ れて いた 可能 性 は 本当に ない のです か

くどい な

相手 が 忍者 だ から こそ これ 以上 ない くらい 警戒 を 払った のだ

行く先 を 誰 に も 告げ なかった の も その ため だ

本当に どうして ?

あの とがめ さん は この 島 に 1 人 で来 られた んです か

何 を いまさら

では どう やって 来 ました か

舟 で 来た に 決まって おる

自分 で 舟 を こいだ のです か

異な こと を 言う わたし は 頭脳 労働 が 専門 な のだ

そんな 力 が ある ように 見える

船頭 が いた ので は ?

いや しかし

まずい !

そい つ は 四季 崎 の 刀 を 持って いる !

お前 は ひ ょっ と しちゃ って

この 俺 を 追い詰めた つもり に なって んじゃ ねえ だろう な

逆だ ぜ 逆

俺 が お前 を ここ まで 誘導 した んだ っ つう の

待て 待て

今日 は 客 が 多くて 頭 が 混乱 して いる んだ

そう 1 日 に 何 人 も 来る な

は あ ? お前 の 都合 なんか 知る か よ

俺 は 真庭 忍 軍 十二 頭領 が 一 人 真庭 蝙蝠 さま だ

真庭 忍 軍 ?

ああ さっき 忍者 が どう と か 聞いた な

その 聞いて しまった の が 運 の 尽き だ

それ さえ なきゃ 逃がして やって も よかった んだ が な

俺 の 目的 は あの 女 が しゃべる 情報 の 方 に あった んだ から よ

盗み聞き して た の か

趣味 が 悪い な

趣味 が いい と 言って くれ

とがめ の 後 を つけて きた の か

いい や そんな こそ こそ した まね は し ねえ

一緒に 来た の よ

ギーコラバッタン 舟 を こいで な

しんどかった ぜ

あの 女 偉 そうに ふんぞり返って 手伝おう と もし ねえ んだ から よ

本土 の 人間 って の は ど いつも こいつ も こんなに しゃべる の か

な っ そう 思う だ ろ ?

ノリ の 悪い やつ

まっ 田舎 者 だし なし ゃあ ねえ か

お前 に 恨み は ねえ けど ぶ っ 殺さ せて もらう ぜ

そう いえば 実戦 は 初めて か

おびえて ん の か

いや 見た ところ 刀 も 持って ない ようだ し

ああ そうい や 刀 を 使わ ない 剣士 なん だって

剣 術 って の は 普通 刀 を 相手 に 想定 する もん だ から な

バカげた 剣 術 も あった もん だ ぜ

別に

ただ 俺 が 忍者 に ついて よく 知ら ない って こと だ

安心 し な よ 確かに 俺 は 剣士 じゃ ねえ が

しかし 刀 は 使え ない わけじゃ ない

ご 要望 に お 応え して

取って置き の 刀 を いき なし 使って やろう じゃ ねえ か

何 だ !?

人間 って そんな こと が できた の か

聞いて 驚け 見て 驚け

これ が

四季 崎記 紀 が 完成 形 変 体 刀 十二 本 が 一 本 絶 刀 鉋 だ !

刀 以上 に あんた の 体 に 驚き だ

俺 の 通り 名 は 冥土 の 蝙蝠

冥土 の 土産 を あまりに も 大盤 振る舞い する

接待 好き の 性格 って わけだ

メード の 蝙蝠

不思議 と カワイイ 感じ が する んだ が

訳 分か ん ねえ こ と 言って んじゃ ねえ よ

それ より お前 何 か 感想 は ねえ の か

さっき あの 女 が 散々 語って いた 四季 崎 の 刀 だ ぜ

うん 何 か ねえ の か よ

べとべと に なっちゃ って る の は いただけ ない な

あん ?

貴重 品 なんだ ろ

そんなふうに 持ち歩いて て いい の か よ ?

逆だ 逆

肌身 離さ ず 身 に 着けて ねえ と こんな 高価な もん

不安でしょう が ね えっ つう の

それ に こいつ に は 不思議な 魅力 が ある ぜ

あの 女 は 毒 っつ って た けど こいつ は とんだ 百 薬 の 長 だ

所有 する と 人 を 斬って み たく なる

報復 絶 刀 !

虚 刀 流 一 の 構え

鈴蘭

じゃあ こういう の は どう よ

報復 絶 刀

虚 刀 流 菊

あれ !?

て め え 俺 が 見えて

騒ぎ 過ぎ だ

礼 を 言う ぜ 虚 刀 流

久しぶりに びっくり仰天 って やつ を 体験 さ せて もらった

手 刀 や 足 刀 を 駆使 する わけ か

種 が 知れりゃ 確かに 剣士 で は ある わな

あんた の びっくり 人間 ぶり ほど じゃ ねえ さ

それ に その 鉋 ほど でも な

さっき の 一 合 で

何 か 気付いた の か

さっき の あれ 剣 を 受け止める 技 じゃ ねえ んだ

はっ ?

虚 刀 流 菊 は 相手 の 刀 を 真っ二つ に する 技 だ

うん ?

その 刀 絶対 変だ ぞ

何かと 思えば

変 も 変 さ 変で ねえ 方 が おかしい っ つう の

この 絶 刀 鉋 は な

頑丈 さ に 主眼 に 置いて 作ら れた 刀 な んだ よ

刀 なん ざ 消耗 品 だ から 使って りゃ

折れる し 曲がる しよく 斬れ なく な っち まう

ところが この 鉋 は 違う 本当に 折れ ない し 本当に 曲がら ない し

だからこそ いつまでも よく 斬 れる の さ

へ ぇ ー

こいつ は 直 刀 で あり ながら

何 を したって 刃 こぼれ 一 つ 起き ねえ んだ

象 が 踏んで も 壊れ ない 日本 刀

こいつ は 高く 売れちゃ う ぜ

俺 の 調べた 話 じゃ

四季 崎 って じ じい は 刀 かじ で あり ながら

陰 陽道 や 錬金術 やら に も 手 を 出して いた らしい から な

怪しい 術 でも 使って た んじゃ ねえ の ?

口 から 刀 を 取り出す お前 の 方 が 十二分に 怪しい よ

ところで

と いう こと は だ ぜ

虚 刀 流 って の は 四季 崎 の 刀 に は かなわない って こと だ よ な

刀 を 折る 技 で 折れ なかった んだ から な

虚 刀 流 と きたら 相手 の 武器 の 破壊 を もくろんじゃ う なんて な

いやはや ずばぬけ てるよ

しかし できれば 見て 驚き たかった ところ だ よ な

虚 刀 流 二 の 構え

水仙

今度 は きっちり その 絶 刀 鉋 と やら を へし折って やる よ

バカ !

折って どう する 折って !

そんな もの 幕府 に 差し出したら 腹 を 切らさ れる わ !

あっ

そ なた は 人 の 話 を 何一つ 聞いて なかった の か

別に 俺 は あんた の 頼み 事 を 引き受ける と は 言って ない のだ が

そういう 問題 で は ない わ

お前 に は 物 の 価値 が 分から ない の か

その とおり だ な

お 金 に なる もん を ぶ っ 壊しちゃ う だ なんて


Katanagatari Episode 1 (2) katanagatari|episode

天下 が 欲しく ない か って そういう 意味 か てんか||ほしく|||||いみ|

いかにも   別に 本当に そな たが 天下 人 に なる わけで は ない |べつに|ほんとうに|||てんか|じん|||||

今 の 幕府 は   長い こと 盤石 なんだろう いま||ばくふ||ながい||ばんじゃく|

大 乱 すら 力任せに 押さえ付ける こと が できる くらい 強大 よ だい|らん||ちからまかせに|おさえつける|||||きょうだい|

そう 力任せに な |ちからまかせに|

いや その 大 乱 が 問題 だった のだ ||だい|らん||もんだい||

尾張 幕府 もはや 150 年 おわり|ばくふ||とし

今 と なって は 戦国 時代 を 本当の 意味 で 知っている 者 は い ない いま||||せんごく|じだい||ほんとうの|いみ||しっている|もの|||

四季 崎 の 刀 も 今や お守り 程度 に しか 考え られて は い なかったろう しき|さき||かたな||いまや|おもり|ていど|||かんがえ||||

が 考えて も みる が よい |かんがえて||||

もしも   先 の 大 乱 の 首謀 者 が |さき||だい|らん||しゅぼう|もの|

こぞって 12 本 の 刀 の 持ち主 だった なら |ほん||かたな||もちぬし||

現 幕府 とて どう なって いた もの か げん|ばくふ||||||

幕府 は 反乱 を 恐れて いる ばくふ||はんらん||おそれて|

念 に は 念 を って ことか ねん|||ねん|||

それ で   刀 の 所在 は ? ||かたな||しょざい|

分かって いる もの は   因幡 出雲 薩摩 蝦夷 土佐 わかって||||いなば|いずも|さつま|えぞ|とさ

残り は 調査 中 のこり||ちょうさ|なか

半分 しか 分かって い ない と は はんぶん||わかって||||

「 半分 も 分かって いる 」 と 言って くれ はんぶん||わかって|||いって|

何 だ なん|

反乱 が 怖い んだったら 変に はんらん||こわい||へんに

今 の 持ち主 を 刺激 し ない 方 が いい んじゃ ない の か いま||もちぬし||しげき|||かた||||||

「 うまく やれ 」 と いう の が 幕府 から の お 達し だ ||||||ばくふ||||たっし|

どう うまく やれ って いう んだ よ

その ため に 奇 策 士 が いる |||き|さく|し||

わたし の ように 裏 で 動く 人間 が な ||よう に|うら||うごく|にんげん||

あの

奇 策 士 って   何 な のです か ? き|さく|し||なん|||

正確に は せいかくに|

尾張 幕府 家 鳴 将軍 直轄 預奉 所 軍 所 総 監督 おわり|ばくふ|いえ|な|しょうぐん|ちょっかつ|よほう|しょ|ぐん|しょ|そう|かんとく

奇 策 士   とがめ だ き|さく|し||

えっ と この 20 年 の 間 に 新しく できた 役職 か 何 か で ? |||とし||あいだ||あたらしく||やくしょく||なん||

いや これ は わたし が 勝手に 名乗って いる だけ だ |||||かってに|なのって|||

自称 かよ じしょう|

策 を 練る の が 策 士 なら さく||ねる|||さく|し|

奇 策 を 練る の が 奇 策 士 だ き|さく||ねる|||き|さく|し|

普通で は ない 命令 は 普通で ない わたし の ところ に 下りる のだ ふつうで|||めいれい||ふつうで||||||おりる|

そんな わけ で   わたし に 協力 して は くれ まい か ? |||||きょうりょく|||||

あんた が 幕府 の 人間 だって いう ん なら ||ばくふ||にんげん||||

別に 虚 刀 流 に 頼ら なくて も いくら でも べつに|きょ|かたな|りゅう||たよら||||

言わ ん と して いる こと は 分かる が いわ|||||||わかる|

金 で 動く 人間 は 駄目だ きむ||うごく|にんげん||だめだ

はっ ?

収集 を 依頼 した 忍者 が しゅうしゅう||いらい||にんじゃ|

裏切った のだ うらぎった|

忍者 な のに です か にんじゃ||||

その 驚き は 分かる ぞ |おどろき||わかる|

そんな こと を すれば

長年 築き上げて きた 信用 も がた 落ち だ から な ながねん|きずきあげて||しんよう|||おち|||

しかし それ でも   やつ ら は 刀 を 持った まま 姿 を 消した のだ ||||||かたな||もった||すがた||けした|

忍 軍 丸ごと 里 もろとも だ おし|ぐん|まるごと|さと||

とんでもない こと を

完成 形 変 体 刀 は 1 本 で 国 が 買える 価値 を 持つ 高級 芸術 品 だ かんせい|かた|へん|からだ|かたな||ほん||くに||かえる|かち||もつ|こうきゅう|げいじゅつ|しな|

金 で 動く 人間 は 駄目だ きむ||うごく|にんげん||だめだ

なるほど じゃあ 名誉 は どう だ ? ||めいよ|||

剣士 は かく ある べきだ と 俺 は 親父 に 教え られた ぞ けんし||||||おれ||おやじ||おしえ||

名誉 か 剣士 も 駄目だ めいよ||けんし||だめだ

うん ?

幕府 が 知る 中 で 最も 強く 最も 忠義に 厚い 剣 客 を 1 人 選んだ ばくふ||しる|なか||もっとも|つよく|もっとも|ちゅうぎに|あつい|けん|きゃく||じん|えらんだ

名 を 錆 白 兵 と いって な な||さび|しろ|つわもの|||

最も 手 に 入れる の が 困難だろう と 思わ れた 薄 刀 針 を もっとも|て||いれる|||こんなんだろう||おもわ||うす|かたな|はり|

き ゃつ は 驚く べき 短 時間 で 手 に 入れた |||おどろく||みじか|じかん||て||いれた

手 に 入れて 失踪 した のだ て||いれて|しっそう||

毒 が 強 過ぎる のだ どく||つよ|すぎる|

名誉で 動く 剣士 だ から こそ めいよで|うごく|けんし|||

四季 崎 の 刀 を 所持 する 名誉 から は 逃れ られ なかった のであろう しき|さき||かたな||しょじ||めいよ|||のがれ|||

忍者 に 剣士 と にんじゃ||けんし|

より 強い やつ の ところ に 刀 が 移った わけだ |つよい|||||かたな||うつった|

あんた の 信用 が た 落ち だ わ ||しんよう|||おち||

そう な のだ 何とか なら ん もの か |||なんとか||||

知る か しる|

それ で   虚 刀 流 です か ||きょ|かたな|りゅう||

金 で 動か ず 刀 を 使わ ない 剣士 である こと きむ||うごか||かたな||つかわ||けんし||

そう だ

虚 刀 流 当主   鑢 七 花 きょ|かたな|りゅう|とうしゅ|やすり|なな|か

尾張 幕府 1,000 年 の 歴史 の ため に おわり|ばくふ|とし||れきし|||

研さん した その 技術 を 使って は くれ ぬ か けんさん|||ぎじゅつ||つかって||||

話 は 分かった けど よ はなし||わかった||

それ は あんた に は 必要 って 話 で 俺 は 特に 刀 って やつ に も 関心 が ねえ |||||ひつよう||はなし||おれ||とくに|かたな|||||かんしん||

怖い の か こわい||

そりゃ 怖い よ けれども それ 以上 に 面倒だ |こわい||||いじょう||めんどうだ

わざわざ 海 を 渡って 出向く ほど じゃ ない |うみ||わたって|でむく|||

その 答え   この わたし が 予想 し なかった と 思う か |こたえ||||よそう||||おもう|

幾 度 と なく 煮え湯 を 飲ま さ れて きた この 奇 策 士 が いく|たび|||にえゆ||のま|||||き|さく|し|

そ なた ごとき を 動かす の に 足る 理由 も 持た ず に ||||うごかす|||たる|りゆう||もた||

この 島 に やって 来た と 思った か |しま|||きた||おもった|

煮え湯 を 飲んで きた んです ね にえゆ||のんで||ん です|

何 か あん の かよ 理由 なん|||||りゆう

金 で 動く 人間 は 駄目だ きむ||うごく|にんげん||だめだ

名誉で 動く 人間 も 駄目だった めいよで|うごく|にんげん||だめだった

ならば 残さ れた 理由 は たった 一 つ |のこさ||りゆう|||ひと|

愛 だ あい|

愛 ? あい

愛で 動く 人間 は 信用 できる めで|うごく|にんげん||しんよう|

鑢 七 花 わたし に ほれて いい ぞ やすり|なな|か|||||

手 裏 剣 ? て|うら|けん

ふざけ ん な !

親父 が 建てた 家 だ ぞ おやじ||たてた|いえ||

七 花 なな|か

まったく   何て 短絡 的な |なんて|たんらく|てきな

いや あれ で 正解 だ |||せいかい|

飛び道具 に 関して は 即断 即決 しか ない とびどうぐ||かんして||そくだん|そっけつ||

まあ 本能 で 動いて い ます から ね |ほんのう||うごいて||||

忍者 真庭 忍 軍 だ な にんじゃ|まにわ|おし|ぐん||

真庭 ? まにわ

四季 崎 の 刀 の 価値 を 知った 途端 裏切った や つら だ しき|さき||かたな||かち||しった|とたん|うらぎった|||

何 人 でしょう か ? なん|じん||

1 人 であろう な じん||

真庭 の 忍び は 集団 行動 を 嫌う まにわ||しのび||しゅうだん|こうどう||きらう

分から ん の は どうして やつ ら が ここ に と いう こと だ わから|||||||||||||

尾行 さ れる わけ など ないし びこう|||||

行く先 は 誰 に も 告げて ない のに ゆくさき||だれ|||つげて||

敵 が 本当に 1 人 なら おそらく てき||ほんとうに|じん||

この先 の 砂浜 に 七 花 は 相手 を 誘導 して いる はずです このさき||すなはま||なな|か||あいて||ゆうどう|||

ずいぶんな 自信 だ な |じしん||

敵 は 真庭 忍 軍 だ ぞ てき||まにわ|おし|ぐん||

忍者 ごとき に 後れ を 取る 虚 刀 流 で は あり ませ ん にんじゃ|||おくれ||とる|きょ|かたな|りゅう|||||

頼もしい かぎり だ が たのもしい|||

今 は 真庭 忍 軍 の 者 が いま||まにわ|おし|ぐん||もの|

どうして ここ に いる の か を 事項 だ 考える 方 が 圧倒 的 優先 |||||||じこう||かんがえる|かた||あっとう|てき|ゆうせん

それ は そう です ね

とがめ さ ん 尾行 さ れて いた 可能 性 は 本当に ない のです か |||びこう||||かのう|せい||ほんとうに|||

くどい な

相手 が 忍者 だ から こそ これ 以上 ない くらい 警戒 を 払った のだ あいて||にんじゃ|||||いじょう|||けいかい||はらった|

行く先 を   誰 に も 告げ なかった の も その ため だ ゆくさき||だれ|||つげ||||||

本当に どうして ? ほんとうに|

あの   とがめ さん は この 島 に 1 人 で来 られた んです か |||||しま||じん|でき||ん です|

何 を いまさら なん||

では   どう やって 来 ました か |||らい||

舟 で 来た に 決まって おる ふね||きた||きまって|

自分 で 舟 を こいだ のです か じぶん||ふね||||

異な こと を 言う わたし は 頭脳 労働 が 専門 な のだ ことな|||いう|||ずのう|ろうどう||せんもん||

そんな 力 が ある ように 見える |ちから|||よう に|みえる

船頭 が いた ので は ? せんどう||||

いや しかし

まずい !

そい つ は 四季 崎 の 刀 を 持って いる ! |||しき|さき||かたな||もって|

お前 は ひ ょっ と しちゃ って おまえ||||||

この 俺 を 追い詰めた つもり に なって んじゃ ねえ だろう な |おれ||おいつめた|||||||

逆だ ぜ 逆 ぎゃくだ||ぎゃく

俺 が お前 を ここ まで 誘導 した んだ っ つう の おれ||おまえ||||ゆうどう|||||

待て   待て まて|まて

今日 は 客 が 多くて 頭 が 混乱 して いる んだ きょう||きゃく||おおくて|あたま||こんらん|||

そう 1 日 に 何 人 も 来る な |ひ||なん|じん||くる|

は あ ? お前 の 都合 なんか 知る か よ ||おまえ||つごう||しる||

俺 は 真庭 忍 軍 十二 頭領 が 一 人 真庭 蝙蝠 さま だ おれ||まにわ|おし|ぐん|じゅうに|とうりょう||ひと|じん|まにわ|こうもり||

真庭 忍 軍 ? まにわ|おし|ぐん

ああ さっき 忍者 が どう と か 聞いた な ||にんじゃ|||||きいた|

その 聞いて しまった の が 運 の 尽き だ |きいて||||うん||つき|

それ さえ なきゃ   逃がして やって も よかった んだ が な |||にがして||||||

俺 の 目的 は あの 女 が しゃべる 情報 の 方 に あった んだ から よ おれ||もくてき|||おんな|||じょうほう||かた|||||

盗み聞き して た の か ぬすみぎき||||

趣味 が 悪い な しゅみ||わるい|

趣味 が いい と 言って くれ しゅみ||||いって|

とがめ の 後 を つけて きた の か ||あと|||||

いい や そんな こそ こそ した まね は し ねえ

一緒に 来た の よ いっしょに|きた||

ギーコラバッタン 舟 を こいで な |ふね|||

しんどかった ぜ

あの 女 偉 そうに ふんぞり返って 手伝おう と もし ねえ んだ から よ |おんな|えら|そう に|ふんぞりかえって|てつだおう||||||

本土 の 人間 って の は ど いつも こいつ も こんなに しゃべる の か ほんど||にんげん|||||||||||

な っ   そう 思う だ ろ ? |||おもう||

ノリ の 悪い やつ のり||わるい|

まっ   田舎 者 だし なし ゃあ ねえ か |いなか|もの|||||

お前 に   恨み は ねえ けど ぶ っ 殺さ せて もらう ぜ おまえ||うらみ||||||ころさ|||

そう いえば   実戦 は 初めて か ||じっせん||はじめて|

おびえて ん の か

いや 見た ところ 刀 も 持って ない ようだ し |みた||かたな||もって|||

ああ そうい や 刀 を 使わ ない 剣士 なん だって |そう い||かたな||つかわ||けんし||

剣 術 って の は 普通   刀 を 相手 に 想定 する もん だ から な けん|じゅつ||||ふつう|かたな||あいて||そうてい|||||

バカげた 剣 術 も あった もん だ ぜ ばかげた|けん|じゅつ|||||

別に べつに

ただ 俺 が 忍者 に ついて よく 知ら ない って こと だ |おれ||にんじゃ||||しら||||

安心 し な よ   確かに 俺 は 剣士 じゃ ねえ が あんしん||||たしかに|おれ||けんし|||

しかし 刀 は 使え ない わけじゃ ない |かたな||つかえ|||

ご 要望 に お 応え して |ようぼう|||こたえ|

取って置き の 刀 を いき なし 使って やろう じゃ ねえ か とっておき||かたな||||つかって||||

何 だ !? なん|

人間 って そんな こと が できた の か にんげん|||||||

聞いて 驚け   見て 驚け きいて|おどろけ|みて|おどろけ

これ が

四季 崎記 紀 が 完成 形 変 体 刀 十二 本 が 一 本 絶 刀   鉋 だ ! しき|さきき|き||かんせい|かた|へん|からだ|かたな|じゅうに|ほん||ひと|ほん|た|かたな|かんな|

刀 以上 に あんた の 体 に 驚き だ かたな|いじょう||||からだ||おどろき|

俺 の 通り 名 は 冥土 の 蝙蝠 おれ||とおり|な||めいど||こうもり

冥土 の 土産 を あまりに も 大盤 振る舞い する めいど||みやげ||||おおばん|ふるまい|

接待 好き の 性格 って わけだ せったい|すき||せいかく||

メード の 蝙蝠 めーど||こうもり

不思議 と カワイイ 感じ が する んだ が ふしぎ|||かんじ||||

訳 分か ん ねえ こ と 言って んじゃ ねえ よ やく|わか|||||いって|||

それ より   お前 何 か 感想 は ねえ の か ||おまえ|なん||かんそう||||

さっき あの 女 が 散々 語って いた 四季 崎 の 刀 だ ぜ ||おんな||さんざん|かたって||しき|さき||かたな||

うん 何 か ねえ の か よ |なん|||||

べとべと に なっちゃ って る の は いただけ ない な

あん ?

貴重 品 なんだ ろ きちょう|しな||

そんなふうに 持ち歩いて て いい の か よ ? |もちあるいて|||||

逆だ 逆 ぎゃくだ|ぎゃく

肌身 離さ ず 身 に 着けて ねえ と こんな 高価な もん はだみ|はなさ||み||つけて||||こうかな|

不安でしょう が ね えっ つう の ふあんでしょう|||||

それ に   こいつ に は 不思議な 魅力 が ある ぜ |||||ふしぎな|みりょく|||

あの 女 は 毒 っつ って た けど こいつ は とんだ 百 薬 の 長 だ |おんな||どく||||||||ひゃく|くすり||ちょう|

所有 する と 人 を 斬って み たく なる しょゆう|||じん||きって|||

報復 絶 刀 ! ほうふく|た|かたな

虚 刀 流 一 の 構え きょ|かたな|りゅう|ひと||かまえ

鈴蘭 すずらん

じゃあ   こういう の は どう よ

報復 絶 刀 ほうふく|た|かたな

虚 刀 流   菊 きょ|かたな|りゅう|きく

あれ !?

て め え   俺 が 見えて |||おれ||みえて

騒ぎ 過ぎ だ さわぎ|すぎ|

礼 を 言う ぜ   虚 刀 流 れい||いう||きょ|かたな|りゅう

久しぶりに びっくり仰天 って やつ を 体験 さ せて もらった ひさしぶりに|びっくりぎょうてん||||たいけん|||

手 刀 や 足 刀 を 駆使 する わけ か て|かたな||あし|かたな||くし|||

種 が 知れりゃ 確かに 剣士 で は ある わな しゅ||しれりゃ|たしかに|けんし||||

あんた の びっくり 人間 ぶり ほど じゃ ねえ さ |||にんげん|||||

それ に   その 鉋 ほど でも な |||かんな|||

さっき の 一 合 で ||ひと|ごう|

何 か 気付いた の か なん||きづいた||

さっき の あれ 剣 を 受け止める 技 じゃ ねえ んだ |||けん||うけとめる|わざ|||

はっ ?

虚 刀 流 菊 は 相手 の 刀 を 真っ二つ に する 技 だ きょ|かたな|りゅう|きく||あいて||かたな||まっぷたつ|||わざ|

うん ?

その 刀 絶対 変だ ぞ |かたな|ぜったい|へんだ|

何かと 思えば なにかと|おもえば

変 も 変 さ 変で ねえ 方 が おかしい っ つう の へん||へん||へんで||かた|||||

この 絶 刀 鉋 は な |た|かたな|かんな||

頑丈 さ に 主眼 に 置いて 作ら れた 刀 な んだ よ がんじょう|||しゅがん||おいて|つくら||かたな|||

刀 なん ざ 消耗 品 だ から 使って りゃ かたな|||しょうもう|しな|||つかって|

折れる し 曲がる しよく 斬れ なく な っち まう おれる||まがる||きれ||||

ところが この 鉋 は 違う 本当に 折れ ない し 本当に 曲がら ない し ||かんな||ちがう|ほんとうに|おれ|||ほんとうに|まがら||

だからこそ いつまでも よく 斬 れる の さ |||き|||

へ ぇ ー ||-

こいつ は   直 刀 で あり ながら ||なお|かたな|||

何 を したって 刃 こぼれ 一 つ 起き ねえ んだ なん|||は||ひと||おき||

象 が 踏んで も 壊れ ない 日本 刀 ぞう||ふんで||こぼれ||にっぽん|かたな

こいつ は 高く 売れちゃ う ぜ ||たかく|うれちゃ||

俺 の 調べた 話 じゃ おれ||しらべた|はなし|

四季 崎 って じ じい は 刀 かじ で あり ながら しき|さき|||||かたな||||

陰 陽道 や 錬金術 やら に も 手 を 出して いた らしい から な かげ|ようみち||れんきんじゅつ||||て||だして||||

怪しい 術 でも 使って た んじゃ ねえ の ? あやしい|じゅつ||つかって||||

口 から 刀 を 取り出す お前 の 方 が 十二分に 怪しい よ くち||かたな||とりだす|おまえ||かた||じゅうにぶんに|あやしい|

ところで

と いう こと は だ ぜ

虚 刀 流 って の は 四季 崎 の 刀 に は かなわない って こと だ よ な きょ|かたな|りゅう||||しき|さき||かたな||||||||

刀 を 折る 技 で 折れ なかった んだ から な かたな||おる|わざ||おれ||||

虚 刀 流 と きたら 相手 の 武器 の 破壊 を もくろんじゃ う なんて な きょ|かたな|りゅう|||あいて||ぶき||はかい|||||

いやはや ずばぬけ てるよ

しかし できれば 見て 驚き たかった ところ だ よ な ||みて|おどろき|||||

虚 刀 流 二 の 構え きょ|かたな|りゅう|ふた||かまえ

水仙 すいせん

今度 は きっちり その 絶 刀 鉋 と やら を へし折って やる よ こんど||||た|かたな|かんな||||へしおって||

バカ ! ばか

折って どう する 折って ! おって|||おって

そんな もの 幕府 に 差し出したら 腹 を 切らさ れる わ ! ||ばくふ||さしだしたら|はら||きらさ||

あっ

そ なた は   人 の 話 を 何一つ 聞いて なかった の か |||じん||はなし||なにひとつ|きいて|||

別に   俺 は あんた の 頼み 事 を 引き受ける と は 言って ない のだ が べつに|おれ||||たのみ|こと||ひきうける|||いって|||

そういう 問題 で は ない わ |もんだい||||

お前 に は 物 の 価値 が 分から ない の か おまえ|||ぶつ||かち||わから|||

その とおり だ な

お 金 に なる もん を ぶ っ 壊しちゃ う だ なんて |きむ|||||||こわしちゃ|||