×

We use cookies to help make LingQ better. By visiting the site, you agree to our cookie policy.


image

銀河英雄伝説, Ginga Eiyuu Densetsu (Legend of the Galactic Heroes) Episode 92

Ginga Eiyuu Densetsu (Legend of the Galactic Heroes ) Episode 92

… えー と いう わけ で いい か ね 青少年 諸君

これ から は 俺 の こと を 「 深 慮 遠 謀 品行 方 正 の ポプラン 」 と 呼ぶ よう に

「 レディー ・ キラー の ポプラン 」 で は なく て です か ?

つまら ん こと を 知って いる な

アッテンボロー 中将 から 聞い た の か ?

いえ キャゼルヌ 中将 から です

古い 世代 から の 無理解 は 若い 変革 者 の 背負う 宿命 だ

ともに 立って 彼ら を 過去 の 追憶 の 中 へ

追いやって しま お う ぜ 諸君

あいつ 平和 な 時代 に 生まれ て たら

意外に 幼稚 園 の 先生 に でも なって た ん じゃ ない か

子供 相手 が 妙に 似合う 奴 だ

ポプラン 中佐 が レディー ・ キラー から

幼稚 園 の 先生 に 転向 なさった こと だ し

アッテンボロー 中将 も 独身 主義 を 返上 なさって は いかが です か

独身 主義 の 方 が 俺 を 返上 し そう も ない よ

俺 も 長年 奴 と 交際 し て き た ので ね

捨てる に 忍びなく て な

じゃあ な

ヤン が 在 世 し て い た 時 ユリアン は 黒 髪 の 魔術 師 より

更に 豊か な 軍事 的 センス を 有する 天才 型 の 人物 に 見え た

だが ヤン の 死後 その 印象 は 変わった

彼 自身 が 変わった の で は なく

見る 側 の 感性 が 変わった の で ある が

「 ヤン ・ ウェン リー 語録 」 と いう 聖典 を 抱え た

努力 型 の 布教 活動 家 と いう 一面 を 表し て き た よう で あった

と は いって も ユリアン は 陰気 でも 強圧 的 で も なかった

カイザー ・ ラインハルト の よう な 華麗 で 熱っぽい 自信 と は 縁 が なく

ごく 自然 な 流れ に 乗って

ヤン の 後継 者 と いう 位置 を 占める よう に なった の で ある

その 一例 と し て ユリアン は

不満 や 意見 を 投書 の 形 で 発散 さ せる 方法 を 取って い た

それ ら の 中 に は 建設 的 な もの も あった が

ユリアン 個人 に 対する 悪 口 を 連ね た だけ の もの も あった

だが 指導 者 に 対する 悪 口 を 公然と 言え ない よう な 社会 は

開か れ た 社会 で は ない と いう ヤン の 教え を 守って

ユリアン は 彼 自身 に 対する 批判 や 非難 を 封じ た こと は ない

彼 が 我 を 忘れる の は ヤン の 悪 口 を 言わ れ た 時 で

その こと に 関し て は カ ー テロ ー ゼ ・ フォン ・ クロイツェル はじめ

多く の 同 時代 人 の 証言 が ある

「 ユリアン ・ ミンツ は 自分 の 言葉 で 語った こと が 一 度 も ない 」

「 彼 の 発言 や 見識 の 源 は 全て ヤン ・ ウェンリ ー 語録 の うち に ある 」

「 彼 は 創造 せ ず 全て を 剽窃 し た 」

「 彼 は ヤン より 後 に 生き残った と いう だけ で 」

「 全て の 栄光 を 不当 に 独占 し た の だ 」

この 種 の 残忍 な まで の 誹謗 に 対し て

ユリアン 自身 は 何 も 語ら なかった が

ダスティ ・ アッテンボロー が 反論 し て いる

「 ユリアン ・ ミンツ は 作曲 家 で は なく 演奏 家 だった 」

「 作家 で は なく 翻訳 家 だった 」

「 彼 は そう あり たい と 望 ん で 最も 優秀 な 演奏 家 に 」

「 また 翻訳 家 に なった の だ 」

「 彼 は 出典 を 隠し た こと は 一 度 も なかった 」

「 剽窃 呼ばわり さ れる 筋合い は 全く ない 」

「 演奏 さ れ ず に 人々 を 感動 さ せる 名曲 など と いう もの は ない の だ 」

だが この 時期 いまだ ユリアン は

名曲 を 演奏 する 機会 に 恵まれ て は い ない

当時 の 彼 の 基本 的 な 姿勢 は 待つ こと で あった

帝国 の 人民 は 20 世 代 近く に わたって

統治 さ れる こと 支配 さ れる こと に 慣れ て き た

彼ら に とって 政治 と は 何 か を さ れる こと

何 か を し て もらう こと だった

だから これ まで より ずっと よい こと を し て くれる

ロー エン グラム 支配 体制 を 支持 する の は 当然 だ

従って ロー エン グラム 王朝 が

時 の 風化 作用 の 中 で 自 壊 へ の 坂道 を 下り 始める

その 時 こそ 民主 共和 政 が 意味 を 持ち 始める の で は ない だ ろ う か

だから 今 必要 な こと は 待つ こと だ と

ユリアン は 考え て い た

だが 現実 は ユリアン の 予想 し た より はるか に 早く 動き出し て い た

10 月 中旬 帝国 軍 の 囲み を 破って

物資 と 情報 を イゼルローン 要塞 に もたらす こと を

自ら に 課し て いる ボリス ・ コーネフ の 一行 が

またしても 重大 で 衝撃 的 な 情報 を もたらす

それ は 5 月 末 に ヤン ・ ウェン リー 暗殺 計画 の 存在 を

告げ た 時 以来 の 無形 の 爆発 物 と も 言う べき もの だった

い わく 銀河 帝国 ノイエ ・ ラント 総督 ロイエンタール 元帥

カイザー ・ ラインハルト に 反す

カイザー ・ ラインハルト が ハイネ セン に 向かう 途中

戦没 者 の 慰霊 の ため に ガン ダルヴァ 星 系 の

惑星 ウルヴァシー に 立ち寄った の は

10 月 7 日 の こと で ある

現在 この 地 に は ロイエンタール 旗 下 の

アルフレット ・ アロイス ・ ヴィンクラー 中将 が

50 万 人 の ノイエ ・ ラント 治安 軍 を 率い て 駐留 し て いる

カイザー ・ ラインハルト が 大 親 征 に おける

戦没 者 の 碑 に 慰霊 を 済ませ

司令 部 に 隣接 し た 迎賓館 に 移った の は

21 時 10 分 で あった

22 時 40 分 ルッツ ミュラー ら が 御前 を 辞す と

ラインハルト は 睡魔 が 訪れる まで 読書 を 始める

23 時 30 分

どう し た ? エミール

陛下 ルッツ 提督 と ミュラー 提督 が

至急 に お 話 が ある そう です お 通し し て よろしい でしょ う か

おそれ ながら 陛下

どうぞ ご 出立 の ご 支度 を いただき ます よう

警備 兵 ども の 動き が 何やら 不穏 で ござい ます

ご 苦労 ミュラー

だが 一体 何事 が 生じ た の か

確か な こと は 何 も 分かり ませ ん が

先刻 より 基地 の 内外 で 兵士 たち の 慌ただしい 動き が ござい ます

それ を 問い合わせよ う と し まし た ところ

外部 と の 電話 が 通じ ませ ん

ここ は 念のため に も 総 旗 艦 ブリュンヒルト に

お 戻り い ただい た ほう が よい と 存じ ます

シュトライト リュッケ は どう し た

分かり ませ ん 陛下 それどころか

私 ども 自身 の 置か れ た 状況 すら 明らか で は ない の です

だが 危険 だ と いう こと だけ は 分かって いる わけ か

一 個 連隊 は い そう です な

銀河 帝国 の 皇帝 と 上級 大将 が 2 名

それ を 害する の に たかだか 一 個 連隊 と は 安く 見 られ た もの だ

失礼 陛下

ミュラー ! 無事 か ?

恐縮 です 陛下 小 官 の 背中 の 皮 は

いささか 厚う ござい ます ゆえ ご 心配 なく

それにしても これ は 基地 全体 が

陛下 の 御 身 を 狙って いる と しか 思え ませ ん

では ロイエンタール が 背 い た と 卿 は 言う の か

僚友 を おとしめる よう な こと は 小 官 は 申し上げ たく ござい ませ ん

ですが 陛下 に は 危険 を 避ける 義務 が お あり です

小 官 ら に 誹謗 の 罪 が あれ ば 後 刻 償い ます ゆえ 今 は

御 身 の 安全 のみ を お 考え ください

無用 の 心配 を する な エミール

余 は いま 少し 見栄え の する 場所 で 死ぬ よう に 決め て いる

「 カイザー の 墓 所 は ウルヴァシー 」 など と いう の は 響き が よく ない

仮に ロイエンタ ー ル が 反し た と すれ ば その 計画 は 水 も 漏らさ ぬ

いや 分子 すら 漏れる 隙 も なか ろ う

今頃 は 余 も 卿 ら も 自由 の 身 で ある はず が ない

そう で は ない か ?

ん ? 陛下 ブリュンヒルト が 出 まし た

こちら は ルッツ 上級 大将 で ある ザイド リッツ 准将 か ?

そう だ 陛下 は ご 無事 だ

傍受 さ れる 危険 が ある ので こちら の 現状 は

詳しく は 伝え られ ない そちら の 状況 のみ 伝えよ

陛下 ブリュンヒルト も 地上 から の 攻撃 を 受け 交戦 中 と の こと です

軍事 宇宙 港 は 既に 反乱 部隊 に 制圧 さ れ て いる 模様 なれ ば

ブリュンヒルト は ひとまず 宇宙 港 を 離れ

人造 湖 に 着水 し 陛下 を お 待ち する と の こと です

車 は これ 以上 近づけ ませ ん

陛下 こちら へ

陛下 陛下 ご 無事 で よう ござい まし た

リュッケ で は ない か

どう し て ここ に ?

それ が シュトライト 閣下 と 小 官 は

陛下 が 既に 脱出 さ れ た と の 虚 報 に おびき出さ れ た の です が

それ が 偽り と 分かって 以来 陛下 を お 捜し し て い た の です

ブリュンヒルト が 湖 に 向かった と の 情報 を 得 て

先回り を し て おり まし た

シュトライト 中将 ら は この 先 で お 待ち です

では すぐ に ブリュンヒルト を 発進 さ せよ

いや お 待ち ください

もし この 反乱 行為 が 突発 的 な もの で ない と し たら

衛星 軌道 上 に 既に 敵 が 待ち構え て いる や も しれ ませ ん

ルッツ 卿 の 言う 「 敵 」 と は 誰 を 指し て いる の か

やはり ロイエンタール で あ ろ う

確たる 証拠 が ない ゆえ 卿 も 名 を 出さ ぬ の で あ ろ う が

先刻 の ミュラー 提督 の 表現 に ならって 申し上げ れ ば

ノイエ ・ ラント に おい て 総督 たる ロイエンタール 元帥 に は

陛下 の ご 安全 を 保障 する 責任 が あり ま しょ う

に も かかわら ず この 現実

彼 が 批判 に 値せ ぬ と は 残念 ながら 思え ませ ん

いずれ に せよ ブリュンヒルト まで 参り ま しょ う

たとえ 地上 に あって も あの 艦 内 に いれ ば まず 安心 です

対策 は その 後 で よろしい か と

誰 だ ! 止まれ

カ … カイザー

多少 なり と 正気 が 残って いる と 見える な

確か に 余 は お前 たち の 皇帝 だ

撃つ が よい ラインハルト ・ フォン ・ ロ ー エングラム は ただ 一 人 で

それ を 殺す 者 も 一 人 しか 歴史 に は 残ら ない の だ から な

その 一 人 に 誰 が なる ?

陛下

何 を し て いる ん だ

カイザ ー の 首 に は 10 億 帝国 マルク の 賞金 が かかって いる ん だ ぞ

ジーク ・ カイザー !

も … 申し訳 ござい ませ ぬ

卿 の 名 は ? はい 陛下

私 は マインホフ 兵 長 と 申し ます

そそのかさ れ た と は いえ 陛下 に 銃 を 向ける など

罪 は 万 死 に 値し ます どう か お 許し を

よろしい 今 から 卿 は 軍曹 だ

我々 を ブリュンヒルト まで 連れ て いって もら える かな

マインホフ 軍曹 は い もちろん で ござい ます 陛下

で は 立つ が よい は い

こちら に 徒歩 で しか 行け ない 近道 が ござい ます

ご 案内 いたし ます どうぞ どうぞ

即死 です 何者 に そそのかさ れ た の か を

尋ねよ う と 思った の です が

銃声 が し た ぞ こっち だ

俺 が 残って 奴 ら を 防ぐ

卿 は 陛下 を 守護 し 奉って ブリュンヒルト に 乗れ

バカ な こと を おっしゃる な ルッツ 提督

おいおい 一応 俺 は 卿 より 5 歳 ばかり 年上 な の だ ぞ

バカ は ない だ ろ う 年長 者 の 責任 を 果たす だけ の こと だ

失礼 し まし た です が 責任 は 私 も 同様

しかも 卿 に は 婚約 者 が おいで だ 身軽 な 私 の 方 こそ 残り ます

右腕 を 負傷 し た 卿 が 残って

何 の 役 に 立つ の だ です が …

卿 は 卿 に しか 果たし 得 ぬ 責任 を 果たせ

これ 以上 形式 論 を 聞か せ て くれる な よ

そんな こと を し たら 謝礼 と し て 左腕 も 撃ち抜 い て やる から な

ならば 小 官 も 残り ます

親 衛 隊長 たる もの

最後 まで 陛下 の お そば で お守り し ない で どう する

気持ち だけ … いや

予備 の エネルギー パック だけ もらって おこ う

ルッツ はい 陛下

余 は … 余 は 卿 を 死後 に 元帥 に 特進 さ せる が ごとき を 望ま ぬ

いくら 遅れ て も 構わ ぬ ゆえ 後 から 必ず 来い

元 より 小 官 は 生き て 元帥 杖 を 手 に する つもり で ござい ます

おそれ ながら 陛下 と は 建国 の 労苦 を

ともに さ せ て いただき まし た

ぜひ 今後 の 安楽 と 栄華 も

分かち合って いき たい と 存じ ます ので

参り ま しょ う 陛下

ルッツ 銃 が 撃 て なく なったら 降伏 せよ

ロイエンタール は 勇者 を 遇 する 道 を 知って いる はず だ

散れ

ひるむ な 相手 は 1 人 だ

そんな こと を し て も 勝ち目 は ない ぞ

降伏 する なら 身 の 安全 は 保障 する

せっかく の 機会 だ

ロー エン グラム 王朝 の 上級 大将 が どの よう な 死に 方 を する か

卿 ら が 死ぬ に せよ 生き残る に せよ 見届け て いったら どう だ

まだ か …

まだ か

まだ ブリュンヒルト は 離 水 し ない の か

陛下 ご 無事 で

マイン ・ カイザー

あなた の 御 手 から 元帥 杖 を いただく お 約束 でし た が

かなわ ぬ こと の よう です

お しかり は ヴァルハラ で いただき ます が

どう か それ が 遠い 未来 の こと で あり ます よう に …

かくして カイザー ・ ラインハルト は 虎 口 を 逃れ た

だが ただ 1 隻 で 惑星 ウルヴァシー を 脱し た

総 旗 艦 ブリュンヒルト の その 後 の 行方 は

よう と して 知れ なかった

そこ まで の 事情 が イゼルローン に 伝わった の で ある

歴史 全体 が 加速 し て いる の か

皆 生き 急ぎ そして 死 に 急 い で いる

どう する ユリアン この 混乱 に 乗じ て

我々 の 置か れ た 状況 を 改善 する 機会 が 与え られる だ ろ う か

ぜひ そう し たい と 思い ます が

判断 を 誤れ ば 民主 共和 政治 自体 の 命運 に も 関わって くる

メルカッツ 提督 ロイエンタ ー ル 元帥 は 古今 の 名将 です が

果たして カイザー ・ ラインハルト に 勝 てる もの でしょ う か

思う に ロイエンタール は 地位 が 高まり

舞台 が 広がる の に 応じ て 力量 を 充実 さ せ て いく 男 です

リップ シュ タット 戦 役 以前 は

経験 の 差 で 彼 に 負ける と 私 は 思って い ませ ん で し た な

当然 彼 が カイザ ー ・ ラインハルト に 及ぶ はず も ない と 考え て い まし た

ですが

もし 今 彼 が 二 正面 作戦 を 避け て 持久 戦 に 持ち込み

帝国 軍 本体 の 補給 の 限界 を 待て ば 活路 が ある かも しれ ませ ん な

二 正面 作戦 を 避ける …

ですが ロイエンタール 元帥 の 才 幹 は ともかく

カイザー ・ ラインハルト に 反旗 を 翻す こと を

彼 の 部下 たち が よし と する でしょ う か

うむ

ヤン 提督 が 生き て おいで だったら …

自分 で … 自分 で 考える ん です よ ね 提督

宇宙 暦 800 年 新 帝国 暦 2 年 10 月

ロイエンタール 元帥 謀 反 の 報 は

再び 宇宙 を 混迷 の 時代 に 引き 込も う と し て い た

惑星 ウルヴァシー に おける カイザー 襲撃 事件 は

ロイエンタール を 追い詰め た

謀 反 人 に 仕立て られる ぐらい なら 自ら 進 ん で 謀 反 人 に なる

ロイエンタール ついに 立つ

一方 ルッツ の 死 と それ に 続く 逃避 行 に

ラインハルト の 心 も また …

次回 「 銀河 英雄 伝説 」 第 93 話 「 矜持 に かけ て 」

銀河 の 歴史 が また 1 ページ


Ginga Eiyuu Densetsu (Legend of the Galactic Heroes ) Episode 92 ginga|eiyuu|densetsu|legend|||galactic|heroes|episode

… えー と いう わけ で いい か ね 青少年 諸君 ||||||||せいしょうねん|しょくん And so, young people,

これ から は 俺 の こと を 「 深 慮 遠 謀 品行 方 正 の ポプラン 」 と 呼ぶ よう に |||おれ||||ふか|おもんぱか|とお|はかりごと|ひんこう|かた|せい||||よぶ|| from now on you should call me Poplin, the Prudent and Respectable.

「 レディー ・ キラー の ポプラン 」 で は なく て です か ? れでぃー|きらー|||||||| Wasn't it Lady Killer Poplin?

つまら ん こと を 知って いる な ||||しって||

アッテンボロー 中将 から 聞い た の か ? |ちゅうじょう||ききい||| Did you hear that from Vice Admiral Attenborough?

いえ キャゼルヌ 中将 から です ||ちゅうじょう|| No, from Vice Admiral Cazerne.

古い 世代 から の 無理解 は 若い 変革 者 の 背負う 宿命 だ ふるい|せだい|||むりかい||わかい|へんかく|もの||せおう|しゅくめい| It is the fate of young reformers to be burdened by unsympathetic elders.

ともに 立って 彼ら を 過去 の 追憶 の 中 へ |たって|かれら||かこ||ついおく||なか|

追いやって しま お う ぜ 諸君 おいやって|||||しょくん

あいつ 平和 な 時代 に 生まれ て たら |へいわ||じだい||うまれ|| Jeez...

意外に 幼稚 園 の 先生 に でも なって た ん じゃ ない か いがいに|ようち|えん||せんせい|||||||| he might have ended up as a kindergarten teacher or something, don't you think?

子供 相手 が 妙に 似合う 奴 だ こども|あいて||みょうに|にあう|やつ| He's strangely good with kids.

ポプラン 中佐 が レディー ・ キラー から |ちゅうさ||れでぃー|きらー| If Commander Poplin is switching from being a lady killer to a kindergarten teacher,

幼稚 園 の 先生 に 転向 なさった こと だ し ようち|えん||せんせい||てんこう||||

アッテンボロー 中将 も 独身 主義 を 返上 なさって は いかが です か |ちゅうじょう||どくしん|しゅぎ||へんじょう||||| then how about giving up your bachelorhood, Vice Admiral Attenborough?

独身 主義 の 方 が 俺 を 返上 し そう も ない よ どくしん|しゅぎ||かた||おれ||へんじょう||||| It's bachelorhood that doesn't seem to want to give me up.

俺 も 長年 奴 と 交際 し て き た ので ね おれ||ながねん|やつ||こうさい|||||| We've kept each other company for years, so I can't bring myself to just throw it away.

捨てる に 忍びなく て な すてる||しのびなく||

じゃあ な See you around!

ヤン が 在 世 し て い た 時 ユリアン は 黒 髪 の 魔術 師 より ||ざい|よ|||||じ|||くろ|かみ||まじゅつ|し| While Yang was still alive, Julian seemed to be the type of genius

更に 豊か な 軍事 的 センス を 有する 天才 型 の 人物 に 見え た さらに|ゆたか||ぐんじ|てき|せんす||ゆうする|てんさい|かた||じんぶつ||みえ| who was far more abundant in military sense than even the black haired magician.

だが ヤン の 死後 その 印象 は 変わった |||しご||いんしょう||かわった But after Yang's death, that impression changed.

彼 自身 が 変わった の で は なく かれ|じしん||かわった|||| It was more the sense of the people looking than he himself that changed,

見る 側 の 感性 が 変わった の で ある が みる|がわ||かんせい||かわった||||

「 ヤン ・ ウェン リー 語録 」 と いう 聖典 を 抱え た |||ごろく|||せいてん||かかえ| with some now seeing him as an activist

努力 型 の 布教 活動 家 と いう 一面 を 表し て き た よう で あった どりょく|かた||ふきょう|かつどう|いえ|||いちめん||あらわし|||||| spending great effort proselytizing the "scriptures" of Yang Wen-li's sayings.

と は いって も ユリアン は 陰気 でも 強圧 的 で も なかった ||||||いんき||きょうあつ|てき||| However, Julian was neither gloomy nor overbearing.

カイザー ・ ラインハルト の よう な 華麗 で 熱っぽい 自信 と は 縁 が なく |||||かれい||ねつっぽい|じしん|||えん|| He was not like Kaiser Reinhard, with his splendor and enthusiastic confidence,

ごく 自然 な 流れ に 乗って |しぜん||ながれ||のって and instead went with the flow and took his place as Yang's successor.

ヤン の 後継 者 と いう 位置 を 占める よう に なった の で ある ||こうけい|もの|||いち||しめる||||||

その 一例 と し て ユリアン は |いちれい||||| For example,

不満 や 意見 を 投書 の 形 で 発散 さ せる 方法 を 取って い た ふまん||いけん||とうしょ||かた||はっさん|||ほうほう||とって||

それ ら の 中 に は 建設 的 な もの も あった が |||なか|||けんせつ|てき||||| Some of them were constructive,

ユリアン 個人 に 対する 悪 口 を 連ね た だけ の もの も あった |こじん||たいする|あく|くち||つらね|||||| but there were piles of abuse aimed directly at Julian himself.

だが 指導 者 に 対する 悪 口 を 公然と 言え ない よう な 社会 は |しどう|もの||たいする|あく|くち||こうぜんと|いえ||||しゃかい| However, following Yang's teachings

開か れ た 社会 で は ない と いう ヤン の 教え を 守って あか|||しゃかい||||||||おしえ||まもって

ユリアン は 彼 自身 に 対する 批判 や 非難 を 封じ た こと は ない ||かれ|じしん||たいする|ひはん||ひなん||ほうじ|||| Julian did not seal away any criticism or attacks on himself.

彼 が 我 を 忘れる の は ヤン の 悪 口 を 言わ れ た 時 で かれ||われ||わすれる|||||あく|くち||いわ|||じ| It was said by many from the same period, starting with Katerose von Kreutzer,

その こと に 関し て は カ ー テロ ー ゼ ・ フォン ・ クロイツェル はじめ |||かんし|||||||||| that he only lost his temper when people spoke ill of Yang.

多く の 同 時代 人 の 証言 が ある おおく||どう|じだい|じん||しょうげん||

「 ユリアン ・ ミンツ は 自分 の 言葉 で 語った こと が 一 度 も ない 」 |||じぶん||ことば||かたった|||ひと|たび|| "Mr. Julian Mintz has never said anything in his own words.

「 彼 の 発言 や 見識 の 源 は 全て ヤン ・ ウェンリ ー 語録 の うち に ある 」 かれ||はつげん||けんしき||げん||すべて||||ごろく|||| The source of his speech and knowledge is everything that was said by Yang Wen-li.

「 彼 は 創造 せ ず 全て を 剽窃 し た 」 かれ||そうぞう|||すべて||ひょうせつ|| He copies all, but he doesn't want to create anything.

「 彼 は ヤン より 後 に 生き残った と いう だけ で 」 かれ||||あと||いきのこった|||| He occupies all the glory unbeseemingly,

「 全て の 栄光 を 不当 に 独占 し た の だ 」 すべて||えいこう||ふとう||どくせん|||| and the only difference between them is that he has survived longer than Yang."

この 種 の 残忍 な まで の 誹謗 に 対し て |しゅ||ざんにん||||ひぼう||たいし| In response to this cruel slander, Julian himself didn't have anything to say,

ユリアン 自身 は 何 も 語ら なかった が |じしん||なん||かたら||

ダスティ ・ アッテンボロー が 反論 し て いる |||はんろん||| but Dusty Attenborough raised an objection.

「 ユリアン ・ ミンツ は 作曲 家 で は なく 演奏 家 だった 」 |||さっきょく|いえ||||えんそう|いえ| "Julian Mintz was not a composer, but a performing musician.

「 作家 で は なく 翻訳 家 だった 」 さっか||||ほんやく|いえ| Not an author, but a translator.

「 彼 は そう あり たい と 望 ん で 最も 優秀 な 演奏 家 に 」 かれ||||||のぞみ|||もっとも|ゆうしゅう||えんそう|いえ| And if he had wanted to, he could have become a better performing artist,

「 また 翻訳 家 に なった の だ 」 |ほんやく|いえ|||| and an even more excellent translator.

「 彼 は 出典 を 隠し た こと は 一 度 も なかった 」 かれ||しゅってん||かくし||||ひと|たび|| He never once hid his source.

「 剽窃 呼ばわり さ れる 筋合い は 全く ない 」 ひょうせつ|よばわり|||すじあい||まったく| There's no reason to call that plagiarism.

「 演奏 さ れ ず に 人々 を 感動 さ せる 名曲 など と いう もの は ない の だ 」 えんそう|||||ひとびと||かんどう|||めいきょく|||||||| There's no such thing as a piece of famous music that can move the people without a performance."

だが この 時期 いまだ ユリアン は ||じき||| But at this time, Julian had not yet been granted the chance to perform any famous music.

名曲 を 演奏 する 機会 に 恵まれ て は い ない めいきょく||えんそう||きかい||めぐまれ||||

当時 の 彼 の 基本 的 な 姿勢 は 待つ こと で あった とうじ||かれ||きほん|てき||しせい||まつ||| At that point, he was essentially waiting.

帝国 の 人民 は 20 世 代 近く に わたって ていこく||じんみん||よ|だい|ちかく|| Over the course of nearly twenty eras of Imperial reign,

統治 さ れる こと 支配 さ れる こと に 慣れ て き た とうち||||しはい|||||なれ|||

彼ら に とって 政治 と は 何 か を さ れる こと かれら|||せいじ|||なん||||| To them, government meant having something done to you, and being made to do something.

何 か を し て もらう こと だった なん|||||||

だから これ まで より ずっと よい こと を し て くれる And so they obviously gave the Lohengramm regime their support,

ロー エン グラム 支配 体制 を 支持 する の は 当然 だ |えん|ぐらむ|しはい|たいせい||しじ||||とうぜん| as it was far better than what came before it.

従って ロー エン グラム 王朝 が したがって||えん|ぐらむ|おうちょう| Consequently, when the Lohengramm Dynasty begins to fade in time,

時 の 風化 作用 の 中 で 自 壊 へ の 坂道 を 下り 始める じ||ふうか|さよう||なか||じ|こわ|||さかみち||くだり|はじめる

その 時 こそ 民主 共和 政 が 意味 を 持ち 始める の で は ない だ ろ う か |じ||みんしゅ|きょうわ|まつりごと||いみ||もち|はじめる||||||||

だから 今 必要 な こと は 待つ こと だ と |いま|ひつよう||||まつ||| And so Julian thought that, for now, what they needed to do was wait.

ユリアン は 考え て い た ||かんがえ|||

だが 現実 は ユリアン の 予想 し た より はるか に 早く 動き出し て い た |げんじつ||||よそう||||||はやく|うごきだし||| And yet, in reality, things started moving far more quickly than Julian predicted.

10 月 中旬 帝国 軍 の 囲み を 破って つき|ちゅうじゅん|ていこく|ぐん||かこみ||やぶって In the middle of October, Boris Konev's group,

物資 と 情報 を イゼルローン 要塞 に もたらす こと を ぶっし||じょうほう|||ようさい|||| who had charged themselves with running the Imperial blockade

自ら に 課し て いる ボリス ・ コーネフ の 一行 が おのずから||かし||||||いっこう| to bring those in Iserlohn Fortress goods and information,

またしても 重大 で 衝撃 的 な 情報 を もたらす |じゅうだい||しょうげき|てき||じょうほう|| once more came bearing serious and astonishing news.

それ は 5 月 末 に ヤン ・ ウェン リー 暗殺 計画 の 存在 を ||つき|すえ|||||あんさつ|けいかく||そんざい| This was the most explosive and significant information

告げ た 時 以来 の 無形 の 爆発 物 と も 言う べき もの だった つげ||じ|いらい||むけい||ばくはつ|ぶつ|||いう|||

い わく 銀河 帝国 ノイエ ・ ラント 総督 ロイエンタール 元帥 ||ぎんが|ていこく|||そうとく||げんすい That is to say, the revolt of the Galactic Empire's Neue Land Governor Marshal Reuenthal

カイザー ・ ラインハルト に 反す |||はんす against Kaiser Reinhard.

カイザー ・ ラインハルト が ハイネ セン に 向かう 途中 ||||||むかう|とちゅう While on his way to Heinessen, Kaiser Reinhard stopped on Urvashi in the Gandharva star system

戦没 者 の 慰霊 の ため に ガン ダルヴァ 星 系 の せんぼつ|もの||いれい||||がん||ほし|けい|

惑星 ウルヴァシー に 立ち寄った の は わくせい|||たちよった||

10 月 7 日 の こと で ある つき|ひ|||| It was October 7th.

現在 この 地 に は ロイエンタール 旗 下 の げんざい||ち||||き|した|

アルフレット ・ アロイス ・ ヴィンクラー 中将 が |||ちゅうじょう|

50 万 人 の ノイエ ・ ラント 治安 軍 を 率い て 駐留 し て いる よろず|じん||||ちあん|ぐん||ひきい||ちゅうりゅう||| under the command of Reuenthal's subordinate, Vice Admiral Alfred Aloys Winckler.

カイザー ・ ラインハルト が 大 親 征 に おける |||だい|おや|すすむ|| Kaiser Reinhard finished paying his respects at the monument for the dead,

戦没 者 の 碑 に 慰霊 を 済ませ せんぼつ|もの||ひ||いれい||すませ

司令 部 に 隣接 し た 迎賓館 に 移った の は しれい|ぶ||りんせつ|||げいひんかん||うつった|| and then at 2110, moved to the reception hall adjacent to headquarters.

21 時 10 分 で あった じ|ぶん||

22 時 40 分 ルッツ ミュラー ら が 御前 を 辞す と じ|ぶん|||||おまえ||じす| At 2240, Lutz and Müller excused themselves from his presence,

ラインハルト は 睡魔 が 訪れる まで 読書 を 始める ||すいま||おとずれる||どくしょ||はじめる and Reinhard began reading, planning to do so until he grew tired.

23 時 30 分 じ|ぶん 2330...

どう し た ? エミール What is it, Emil?

陛下 ルッツ 提督 と ミュラー 提督 が へいか||ていとく|||ていとく| Your Majesty, Admirals Lutz and Müller have something they urgently need to discuss with you.

至急 に お 話 が ある そう です お 通し し て よろしい でしょ う か しきゅう|||はなし||||||とおし||||||

おそれ ながら 陛下 ||へいか My apologies, Your Majesty,

どうぞ ご 出立 の ご 支度 を いただき ます よう ||いでたち|||したく|||| but please make preparations to depart.

警備 兵 ども の 動き が 何やら 不穏 で ござい ます けいび|つわもの|||うごき||なにやら|ふおん|||

ご 苦労 ミュラー |くろう| Good work, Müller.

だが 一体 何事 が 生じ た の か |いったい|なにごと||しょうじ||| But what in the world is happening?

確か な こと は 何 も 分かり ませ ん が たしか||||なん||わかり||| I don't know anything for certain, but for a while now,

先刻 より 基地 の 内外 で 兵士 たち の 慌ただしい 動き が ござい ます せんこく||きち||ないがい||へいし|||あわただしい|うごき||| soldiers both inside and outside the base have been moving about hurriedly.

それ を 問い合わせよ う と し まし た ところ ||といあわせよ|||||| When I attempted to inquire about it, none of the phones would connect to the outside.

外部 と の 電話 が 通じ ませ ん がいぶ|||でんわ||つうじ||

ここ は 念のため に も 総 旗 艦 ブリュンヒルト に ||ねんのため|||そう|き|かん||

お 戻り い ただい た ほう が よい と 存じ ます |もどり||||||||ぞんじ|

シュトライト リュッケ は どう し た Where are Streit and Rücke?

分かり ませ ん 陛下 それどころか わかり|||へいか| I don't know, Your Majesty.

私 ども 自身 の 置か れ た 状況 すら 明らか で は ない の です わたくし||じしん||おか|||じょうきょう||あきらか|||||

だが 危険 だ と いう こと だけ は 分かって いる わけ か |きけん|||||||わかって||| But we at least understand that there is a danger.

一 個 連隊 は い そう です な ひと|こ|れんたい||||| There seems to be a single regiment.

銀河 帝国 の 皇帝 と 上級 大将 が 2 名 ぎんが|ていこく||こうてい||じょうきゅう|たいしょう||な

それ を 害する の に たかだか 一 個 連隊 と は 安く 見 られ た もの だ ||がいする||||ひと|こ|れんたい|||やすく|み|||| Trying to stop us with just one regiment makes it seem as if they're taking us lightly.

失礼 陛下 しつれい|へいか My apologies, Your Majesty!

ミュラー ! 無事 か ? |ぶじ| Müller, are you all right?!

恐縮 です 陛下 小 官 の 背中 の 皮 は きょうしゅく||へいか|しょう|かん||せなか||かわ| My thanks, Your Majesty.

いささか 厚う ござい ます ゆえ ご 心配 なく |あつう|||||しんぱい|

それにしても これ は 基地 全体 が |||きち|ぜんたい| Still, with this I can't help but think that the entire base is aiming for Your Majesty's life.

陛下 の 御 身 を 狙って いる と しか 思え ませ ん へいか||ご|み||ねらって||||おもえ||

では ロイエンタール が 背 い た と 卿 は 言う の か |||せ||||きょう||いう|| So, you're saying that Reuenthal has betrayed Us?!

僚友 を おとしめる よう な こと は 小 官 は 申し上げ たく ござい ませ ん りょうゆう|||||||しょう|かん||もうしあげ|||| I don't wish to indict a comrade.

ですが 陛下 に は 危険 を 避ける 義務 が お あり です |へいか|||きけん||さける|ぎむ|||| However, I have a duty to keep Your Majesty safe from danger.

小 官 ら に 誹謗 の 罪 が あれ ば 後 刻 償い ます ゆえ 今 は しょう|かん|||ひぼう||ざい||||あと|きざ|つぐない|||いま| If we're guilty of slander, then we can make up for it later,

御 身 の 安全 のみ を お 考え ください ご|み||あんぜん||||かんがえ| but for now think only of your safety, please.

無用 の 心配 を する な エミール むよう||しんぱい|||| You needn't worry, Emil.

余 は いま 少し 見栄え の する 場所 で 死ぬ よう に 決め て いる よ|||すこし|みばえ|||ばしょ||しぬ|||きめ|| It's certain that We'll die in a place with some charm to it.

「 カイザー の 墓 所 は ウルヴァシー 」 など と いう の は 響き が よく ない ||はか|しょ||||||||ひびき||| Calling Urvashi the grave of the kaiser just doesn't have the right ring to it.

仮に ロイエンタ ー ル が 反し た と すれ ば その 計画 は 水 も 漏らさ ぬ かりに|||||はんし||||||けいかく||すい||もらさ| Supposing that Reuenthal had betrayed us, then his plan wouldn't leave us an inch,

いや 分子 すら 漏れる 隙 も なか ろ う |ぶんし||もれる|すき|||| no, even a molecule of leeway.

今頃 は 余 も 卿 ら も 自由 の 身 で ある はず が ない いまごろ||よ||きょう|||じゆう||み||||| We certainly wouldn't still be free.

そう で は ない か ?

ん ? 陛下 ブリュンヒルト が 出 まし た |へいか|||だ||

こちら は ルッツ 上級 大将 で ある ザイド リッツ 准将 か ? |||じょうきゅう|たいしょう|||||じゅんしょう| This is Senior Admiral Lutz.

そう だ 陛下 は ご 無事 だ ||へいか|||ぶじ| Yes, His Majesty is safe.

傍受 さ れる 危険 が ある ので こちら の 現状 は ぼうじゅ|||きけん||||||げんじょう| They may be listening in, so I can't give you an exact situation report!

詳しく は 伝え られ ない そちら の 状況 のみ 伝えよ くわしく||つたえ|||||じょうきょう||つたえよ

陛下 ブリュンヒルト も 地上 から の 攻撃 を 受け 交戦 中 と の こと です へいか|||ちじょう|||こうげき||うけ|こうせん|なか|||| Your Majesty, the Brünhild is also under attack, and is facing an assault from the surface!

軍事 宇宙 港 は 既に 反乱 部隊 に 制圧 さ れ て いる 模様 なれ ば ぐんじ|うちゅう|こう||すでに|はんらん|ぶたい||せいあつ|||||もよう|| If the military space port has already fallen under the control of the rebel forces,

ブリュンヒルト は ひとまず 宇宙 港 を 離れ |||うちゅう|こう||はなれ

人造 湖 に 着水 し 陛下 を お 待ち する と の こと です じんぞう|こ||ちゃくすい||へいか|||まち|||||

車 は これ 以上 近づけ ませ ん くるま|||いじょう|ちかづけ||

陛下 こちら へ へいか|| This way, Your Majesty!

陛下 陛下 ご 無事 で よう ござい まし た へいか|へいか||ぶじ||||| Your Majesty!

リュッケ で は ない か Is that you, Rücke?

どう し て ここ に ? What are you doing here?

それ が シュトライト 閣下 と 小 官 は |||かっか||しょう|かん| Streit and I were drawn away by false information stating that you'd already escaped,

陛下 が 既に 脱出 さ れ た と の 虚 報 に おびき出さ れ た の です が へいか||すでに|だっしゅつ||||||きょ|ほう||おびきださ|||||

それ が 偽り と 分かって 以来 陛下 を お 捜し し て い た の です ||いつわり||わかって|いらい|へいか|||さがし|||||| and ever since we realized it was a lie, we've been searching for you.

ブリュンヒルト が 湖 に 向かった と の 情報 を 得 て ||こ||むかった|||じょうほう||とく| When we heard that the Brünhild was heading for the lake,

先回り を し て おり まし た さきまわり|||||| we went on ahead to anticipate its arrival.

シュトライト 中将 ら は この 先 で お 待ち です |ちゅうじょう||||さき|||まち| Vice Admiral Streit and the others are waiting up ahead.

では すぐ に ブリュンヒルト を 発進 さ せよ |||||はっしん|| Well then, the Brünhild should take off as soon as possible.

いや お 待ち ください ||まち| No, please wait!

もし この 反乱 行為 が 突発 的 な もの で ない と し たら ||はんらん|こうい||とっぱつ|てき||||||| If this wasn't a spontaneous insurrection,

衛星 軌道 上 に 既に 敵 が 待ち構え て いる や も しれ ませ ん えいせい|きどう|うえ||すでに|てき||まちかまえ||||||| the enemy may already be lying in wait in orbit.

ルッツ 卿 の 言う 「 敵 」 と は 誰 を 指し て いる の か |きょう||いう|てき|||だれ||さし||||

やはり ロイエンタール で あ ろ う It's Reuenthal, isn't it?

確たる 証拠 が ない ゆえ 卿 も 名 を 出さ ぬ の で あ ろ う が かくたる|しょうこ||||きょう||な||ださ||||||| But without definite proof, you can't offer his name.

先刻 の ミュラー 提督 の 表現 に ならって 申し上げ れ ば せんこく|||ていとく||ひょうげん|||もうしあげ|| Following on from what Admiral Müller stated before,

ノイエ ・ ラント に おい て 総督 たる ロイエンタール 元帥 に は |||||そうとく|||げんすい|| while you are in Neue Land,

陛下 の ご 安全 を 保障 する 責任 が あり ま しょ う へいか|||あんぜん||ほしょう||せきにん|||||

に も かかわら ず この 現実 |||||げんじつ And yet, here we are.

彼 が 批判 に 値せ ぬ と は 残念 ながら 思え ませ ん かれ||ひはん||あたいせ||||ざんねん||おもえ|| I hate to say it, but I can't help but criticize him.

いずれ に せよ ブリュンヒルト まで 参り ま しょ う |||||まいり||| At any rate, let's return to the Brünhild.

たとえ 地上 に あって も あの 艦 内 に いれ ば まず 安心 です |ちじょう|||||かん|うち|||||あんしん| Even on the surface, we should be safe as long as we're inside that ship.

対策 は その 後 で よろしい か と たいさく|||あと|||| We can leave the countermeasures for later.

誰 だ ! 止まれ だれ||とどまれ Who's there?! Halt!

カ … カイザー K-Kaiser...

多少 なり と 正気 が 残って いる と 見える な たしょう|||しょうき||のこって|||みえる| You seem to have at least a little sanity left.

確か に 余 は お前 たち の 皇帝 だ たしか||よ||おまえ|||こうてい|

撃つ が よい ラインハルト ・ フォン ・ ロ ー エングラム は ただ 一 人 で うつ||||||||||ひと|じん| Go ahead and fire.

それ を 殺す 者 も 一 人 しか 歴史 に は 残ら ない の だ から な ||ころす|もの||ひと|じん||れきし|||のこら||||| and thus We can only have one killer listed in the annals of history.

その 一 人 に 誰 が なる ? |ひと|じん||だれ|| Who shall it be?

陛下 へいか Your Majesty!

何 を し て いる ん だ なん|||||| What are you doing?!

カイザ ー の 首 に は 10 億 帝国 マルク の 賞金 が かかって いる ん だ ぞ |||くび|||おく|ていこく|||しょうきん|||||| There's a reward of a billion reichsmarks on the kaiser's head!

ジーク ・ カイザー ! Sieg Kaiser!

も … 申し訳 ござい ませ ぬ |もうしわけ||| M-my deepest apologies!

卿 の 名 は ? はい 陛下 きょう||な|||へいか

私 は マインホフ 兵 長 と 申し ます わたくし|||つわもの|ちょう||もうし|

そそのかさ れ た と は いえ 陛下 に 銃 を 向ける など ||||||へいか||じゅう||むける| Though I may have been incited,

罪 は 万 死 に 値し ます どう か お 許し を ざい||よろず|し||あたいし|||||ゆるし|

よろしい 今 から 卿 は 軍曹 だ |いま||きょう||ぐんそう| Very well, from now on you are a sergeant.

我々 を ブリュンヒルト まで 連れ て いって もら える かな われわれ||||つれ||||| Would you escort Us to the Brünhild, Sergeant Mainhof?

マインホフ 軍曹 は い もちろん で ござい ます 陛下 |ぐんそう|||||||へいか

で は 立つ が よい は い ||たつ|||| Then you may stand.

こちら に 徒歩 で しか 行け ない 近道 が ござい ます ||とほ|||いけ||ちかみち||| From here, there's a shortcut that can only be taken on foot.

ご 案内 いたし ます どうぞ どうぞ |あんない||||

即死 です 何者 に そそのかさ れ た の か を そくし||なにもの||||||| He died instantly.

尋ねよ う と 思った の です が たずねよ|||おもった|||

銃声 が し た ぞ こっち だ じゅうせい|||||| I heard gunfire!

俺 が 残って 奴 ら を 防ぐ おれ||のこって|やつ|||ふせぐ I'll stay behind and hold them off.

卿 は 陛下 を 守護 し 奉って ブリュンヒルト に 乗れ きょう||へいか||しゅご||たてまつって|||のれ Protect His Majesty and get him aboard the Brünhild.

バカ な こと を おっしゃる な ルッツ 提督 ばか|||||||ていとく Don't be a fool, Admiral Lutz!

おいおい 一応 俺 は 卿 より 5 歳 ばかり 年上 な の だ ぞ |いちおう|おれ||きょう||さい||としうえ|||| Hey, I'm five years your senior,

バカ は ない だ ろ う 年長 者 の 責任 を 果たす だけ の こと だ ばか||||||ねんちょう|もの||せきにん||はたす|||| and I'm no fool.

失礼 し まし た です が 責任 は 私 も 同様 しつれい||||||せきにん||わたくし||どうよう My apologies.

しかも 卿 に は 婚約 者 が おいで だ 身軽 な 私 の 方 こそ 残り ます |きょう|||こんやく|もの||||みがる||わたくし||かた||のこり| and you have a fiancée.

右腕 を 負傷 し た 卿 が 残って みぎうで||ふしょう|||きょう||のこって What good would you do to stay behind, with your right arm injured like that?

何 の 役 に 立つ の だ です が … なん||やく||たつ||||

卿 は 卿 に しか 果たし 得 ぬ 責任 を 果たせ きょう||きょう|||はたし|とく||せきにん||はたせ Carry out the duty that you alone can handle.

これ 以上 形式 論 を 聞か せ て くれる な よ |いじょう|けいしき|ろん||きか||||| I won't hear any more objections from you.

そんな こと を し たら 謝礼 と し て 左腕 も 撃ち抜 い て やる から な |||||しゃれい||||さわん||うちぬ||||| If I do, then I'll shoot your left arm, too.

ならば 小 官 も 残り ます |しょう|かん||のこり| In that case, I'll remain behind as well.

親 衛 隊長 たる もの おや|まもる|たいちょう|| The head of the Imperial Guard needs to protect His Majesty until the end.

最後 まで 陛下 の お そば で お守り し ない で どう する さいご||へいか|||||おもり|||||

気持ち だけ … いや きもち|| I'll just accept your feelings.

予備 の エネルギー パック だけ もらって おこ う よび||えねるぎー|ぱっく|||| Actually, I'll take any spare energy packs you have, too.

ルッツ はい 陛下 ||へいか Lutz...

余 は … 余 は 卿 を 死後 に 元帥 に 特進 さ せる が ごとき を 望ま ぬ よ||よ||きょう||しご||げんすい||とくしん||||||のぞま| We...

いくら 遅れ て も 構わ ぬ ゆえ 後 から 必ず 来い |おくれ|||かまわ|||あと||かならず|こい We don't mind how late you may be, but do come back!

元 より 小 官 は 生き て 元帥 杖 を 手 に する つもり で ござい ます もと||しょう|かん||いき||げんすい|つえ||て|||||| I never intended to hold the position of marshal while alive.

おそれ ながら 陛下 と は 建国 の 労苦 を ||へいか|||けんこく||ろうく|

ともに さ せ て いただき まし た

ぜひ 今後 の 安楽 と 栄華 も |こんご||あんらく||えいが| I'd certainly like to live on and experience the ease and glory that's to come as well.

分かち合って いき たい と 存じ ます ので わかちあって||||ぞんじ||

参り ま しょ う 陛下 まいり||||へいか Let's go, Your Majesty.

ルッツ 銃 が 撃 て なく なったら 降伏 せよ |じゅう||う||||こうふく| Lutz, if you can't fire your gun, then surrender.

ロイエンタール は 勇者 を 遇 する 道 を 知って いる はず だ ||ゆうしゃ||ぐう||どう||しって||| Reuenthal should know how to treat a hero.

散れ ちれ Spread out!

ひるむ な 相手 は 1 人 だ ||あいて||じん| Don't falter! He's only one man!

そんな こと を し て も 勝ち目 は ない ぞ ||||||かちめ||| You have no chance of winning!

降伏 する なら 身 の 安全 は 保障 する こうふく|||み||あんぜん||ほしょう| If you surrender, I'll guarantee your safety!

せっかく の 機会 だ ||きかい| This is a great opportunity.

ロー エン グラム 王朝 の 上級 大将 が どの よう な 死に 方 を する か |えん|ぐらむ|おうちょう||じょうきゅう|たいしょう|||||しに|かた||| How about seeing

卿 ら が 死ぬ に せよ 生き残る に せよ 見届け て いったら どう だ きょう|||しぬ|||いきのこる|||みとどけ||||

まだ か … Not yet?

まだ か Not yet?!

まだ ブリュンヒルト は 離 水 し ない の か |||はな|すい|||| Has the Brünhild not taken off yet?!

陛下 ご 無事 で へいか||ぶじ| You're safe, Your Majesty.

マイン ・ カイザー Mein Kaiser...

あなた の 御 手 から 元帥 杖 を いただく お 約束 でし た が ||ご|て||げんすい|つえ||||やくそく||| you promised to give me the rank of marshal yourself,

かなわ ぬ こと の よう です but it seems that won't come true.

お しかり は ヴァルハラ で いただき ます が You'll have to scold me in Valhalla,

どう か それ が 遠い 未来 の こと で あり ます よう に … ||||とおい|みらい||||||| but please save that for some point in the far future.

かくして カイザー ・ ラインハルト は 虎 口 を 逃れ た ||||とら|くち||のがれ|

だが ただ 1 隻 で 惑星 ウルヴァシー を 脱し た ||せき||わくせい|||だっし| However, it was completely unknown

総 旗 艦 ブリュンヒルト の その 後 の 行方 は そう|き|かん||||あと||ゆくえ| as to where that single flagship, the Brünhild, went after escaping Urvashi.

よう と して 知れ なかった |||しれ|

そこ まで の 事情 が イゼルローン に 伝わった の で ある |||じじょう||||つたわった||| These circumstances were relayed to the inhabitants of Iserlohn.

歴史 全体 が 加速 し て いる の か れきし|ぜんたい||かそく||||| Is the whole of history accelerating?

皆 生き 急ぎ そして 死 に 急 い で いる みな|いき|いそぎ||し||きゅう||| Is everyone living recklessly and hurrying to their deaths?

どう する ユリアン この 混乱 に 乗じ て ||||こんらん||じょうじ| What should we do, Julian?

我々 の 置か れ た 状況 を 改善 する 機会 が 与え られる だ ろ う か われわれ||おか|||じょうきょう||かいぜん||きかい||あたえ|||||

ぜひ そう し たい と 思い ます が |||||おもい||

判断 を 誤れ ば 民主 共和 政治 自体 の 命運 に も 関わって くる はんだん||あやまれ||みんしゅ|きょうわ|せいじ|じたい||めいうん|||かかわって| If I don't call this right, I may doom democratic republicanism itself.

メルカッツ 提督 ロイエンタ ー ル 元帥 は 古今 の 名将 です が |ていとく||||げんすい||ここん||めいしょう|| Admiral Merkatz, Marshal Reuenthal may be a great commander of the ages,

果たして カイザー ・ ラインハルト に 勝 てる もの でしょ う か はたして||||か||||| but do you think he can win against Kaiser Reinhard?

思う に ロイエンタール は 地位 が 高まり おもう||||ちい||たかまり From what I remember, Reuenthal is the sort of man

舞台 が 広がる の に 応じ て 力量 を 充実 さ せ て いく 男 です ぶたい||ひろがる|||おうじ||りきりょう||じゅうじつ|||||おとこ| whose ability only grows in response to arriving at a higher position and greater military strength.

リップ シュ タット 戦 役 以前 は |||いくさ|やく|いぜん| Before the Lippstadt War,

経験 の 差 で 彼 に 負ける と 私 は 思って い ませ ん で し た な けいけん||さ||かれ||まける||わたくし||おもって||||||| I thought that I wouldn't lose to him, thanks to the difference in experience.

当然 彼 が カイザ ー ・ ラインハルト に 及ぶ はず も ない と 考え て い まし た とうぜん|かれ||||||およぶ|||||かんがえ|||| And of course, I didn't think he would challenge Kaiser Reinhard.

ですが But now...

もし 今 彼 が 二 正面 作戦 を 避け て 持久 戦 に 持ち込み |いま|かれ||ふた|しょうめん|さくせん||さけ||じきゅう|いくさ||もちこみ If he were to avoid a face-to-face battle and drag the kaiser into a war of attrition,

帝国 軍 本体 の 補給 の 限界 を 待て ば 活路 が ある かも しれ ませ ん な ていこく|ぐん|ほんたい||ほきゅう||げんかい||まて||かつろ||||||| then wait until the supplies of the Imperial forces hit their limit,

二 正面 作戦 を 避ける … ふた|しょうめん|さくせん||さける Avoid a face-to-face battle?

ですが ロイエンタール 元帥 の 才 幹 は ともかく ||げんすい||さい|みき|| Putting aside Marshal Reuenthal's ability,

カイザー ・ ラインハルト に 反旗 を 翻す こと を |||はんき||ひるがえす|| would his subordinates willingly rise in revolt against Kaiser Reinhard?

彼 の 部下 たち が よし と する でしょ う か かれ||ぶか||||||||

うむ

ヤン 提督 が 生き て おいで だったら … |ていとく||いき||| If Admiral Yang were alive...

自分 で … 自分 で 考える ん です よ ね 提督 じぶん||じぶん||かんがえる|||||ていとく Figure it out myself, right, Admiral?

宇宙 暦 800 年 新 帝国 暦 2 年 10 月 うちゅう|こよみ|とし|しん|ていこく|こよみ|とし|つき Universal Calendar 800,

ロイエンタール 元帥 謀 反 の 報 は |げんすい|はかりごと|はん||ほう| The news of Marshal Reuenthal's rebellion

再び 宇宙 を 混迷 の 時代 に 引き 込も う と し て い た ふたたび|うちゅう||こんめい||じだい||ひき|こも|||||| once more dragged the universe into an era of chaos.

惑星 ウルヴァシー に おける カイザー 襲撃 事件 は わくせい|||||しゅうげき|じけん| Reuenthal is cornered by the incident in which the kaiser was attacked on Urvashi.

ロイエンタール を 追い詰め た ||おいつめ|

謀 反 人 に 仕立て られる ぐらい なら 自ら 進 ん で 謀 反 人 に なる はかりごと|はん|じん||したて||||おのずから|すすむ|||はかりごと|はん|じん|| Even if he was not a traitor before, he will now become one.

ロイエンタール ついに 立つ ||たつ

一方 ルッツ の 死 と それ に 続く 逃避 行 に いっぽう|||し||||つづく|とうひ|ぎょう| Meanwhile, Reinhard's heart wavers yet again

ラインハルト の 心 も また … ||こころ||

次回 「 銀河 英雄 伝説 」 第 93 話 「 矜持 に かけ て 」 じかい|ぎんが|えいゆう|でんせつ|だい|はなし|きょうじ||| Next time, on Legend of the Galactic Heroes,

銀河 の 歴史 が また 1 ページ ぎんが||れきし|||ぺーじ Another page turns in the history of the galaxy.