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盾の勇者の成り上がり (The Rising of the Shield Hero ), 盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 23

盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 23

二十三 話 聞き たかった 言葉

「 何 が 勝ち だ 、 卑怯 者 !

一 対 一 の 決闘 に 横槍 が 入った じゃ ねえ か ! 「 何の 事 を 言って や がる 。

お前 が 俺 の 力 を 抑え きれ ず に 立ち 上がら せた の が 敗因 だ ろ ! …… 本気で 言って ん の か 、 この 野郎 は ?

何 が 勇者 だ !

何 が 勇者 に 奴隷 は 許さ れ ない だ !

出来 レース すら 満足に 全うでき ない 奴 が 勇者 気取って んじゃ ね ー よ !

「 お前 の 仲間 が 決闘 に 水 を 差した んだ よ !

だ から 俺 は よろめいた んだ ! 「 ハッ !

嘘吐き が 負け 犬 の 遠吠え か ? 「 ち げ え よ !

卑怯 者 !

俺 の 言い分 を 無視 した 卑怯 者 、 元 康 は 勝ち誇った 態度 で 見下して くる 。

本当に 、 横槍 が 入った んだ 。

なのに …… この 野郎 は !

「 そう な の か ?

観衆 に 元 康 は 目 を 向ける 。

だけど 観衆 は その 事実 に 気付いて いる の か い ない の か …… 沈黙 が 支配 する 。

「 罪人 の 勇者 の 言葉 など 信じる 必要 は 無い 。

槍 の 勇者 よ ! そ なた の 勝利 だ ! この 野郎 !

言う に 事欠いて 、 主催 者 である 王様 が 堂々と 宣言 し や がった 。

元 康 が 負け そうに なって いる とき は 余所見 して た 癖 に 、 俺 が 押さえ つけ られたら コレ か よ !

さすが に 周り の 連中 は 若干 思う ところ も あった のだろう 。

目 が 泳いで 何 か を 言い た げ に して いる 。 だが 、 ここ で 一 番 の 権力 者 である 王様 が 断言 して しまえば 覆せる 奴 なんて 居 ない 。

それ こそ 王様 に よって 抹殺 さ れ かね ない のだろう 。

ここ は 独裁 国家 かって んだ !

「 さすが です わ 、 モトヤス 様 !

事 の 元凶 である クソ 女 が 白々しく 元 康 に 駆け寄る 。

そして 城 の 魔法使い が 元 康 だけ に 回復 魔法 を 施し 、 怪我 を 治した 。

俺 に は 掛ける つもり も ない ようだ 。

「 ふむ 、 さすが は 我が 娘 、 マルティ の 選んだ 勇者 だ 」

と 、 王様 は マイン の 肩 に 手 を 乗せる 。

「 な 、 んだ と っ ……!?」

マイン が 王様 の 娘 !?

「 いや ぁ …… 俺 も あの 時 は 驚いた よ 。

マイン が 王女 様 で 、 偽名 を 使って 潜り 込んで た なんて な 」

「 はい …… 世界 平和 の 為 に 立候補 した んです よ ♪」

…… そう か 、 そういう 事 だった の か 。

いくら なんでも 被害 者 の 証言 だけ で 俺 が 犯罪 者 の レッテル を 貼ら れる なんて 変だ と 思って いた んだ 。

お忍び の 王女 様 が お 気 に 入り の 勇者 の 一 番 に なる 為 に 、 勇者 の 中 で 一 番 劣る 俺 を 生 贄 に して 、 金 を 騙し 取り 、 その 父親 は バカ 娘 の ワガママ を 寛容に 許し 、 証拠 を でっちあげて 冤罪 を 被せる 。

そうして 犯罪 者 から 王女 を 救った 勇者 である 元 康 は 、 お忍び の 王女 と 結果 的に 仲 良く なり 、 他の 女性 より も 関係 が 深まる 。

ここ で 最初の 支度 金 が 俺 だけ 多かった の も 説明 が 付く 。

つまり 王女 は 良い 装備 を 合法 的に 手 に 入れ 、 お 気 に 入り の 勇者 である 元 康 を 優遇 する 。

最初 から 他の 冒険 者 より も 遥かに 高価な 装備 を 付けて いたら 、 元 康 だって おかしい と 思って 距離 を 置く はずだ 。

どこ まで 計算 さ れて いる の か は 、 もはや 本人 に 直接 尋ねる 他 ない が 、 ここ まで する 奴 等 だ 、 絶対 に 証拠 を 残したり は し ない はず 。

要するに 、 後 に 残る の は 犯罪 者 で 役立た ず の 盾 の 勇者 と 、 王女 を 華麗に 救った 槍 の 勇者 だけ 。

芋蔓 式 に 出て くる 推理 。

ダメージ こそ 受け なかった が 、 俺 を よろめか せる 程 高 威力 の ウイングブロウ を 放 てる の は 、 それ だけ 育ち が 良い 証拠 に 他なら ない 。

つまり この 国 の 王女 である 、 偽ら ざる 証 。

出来 レース を 開催 した 挙句 、 横槍 の 異議 を 無理矢理 封殺 した の は 、 そんな 裏 が あった 訳 か 。

そりゃ あ 娘 が 決闘 の 邪魔 を したら 、 娘 の お 気 に 入り である 元 康 を 庇う よ な 。

だ と する と 元 康 が 俺 と 決闘 する の も 最初 から 仕組ま れて いた と 見る べきだ 。

…… な に 、 簡単だ 。

あの 女 好き の 元 康 の 耳元 で こう 囁く だけ で いい 。

『 あの 女の子 は 盾 の 勇者 に 無理矢理 隷属 さ せら れて いる 奴隷 です わ 。

今 すぐ 助けて あげて ください 』

未来 の 夫 の 評価 と 優しい 自分 を 同時に 手 に 入れる 最大 の 機会 だ 。

ここ まで する あいつ 等 が 、 この チャンス を 見逃さ ない はず が ない 。

最終 的に 元 康 が 王女 と 結婚 すれば 、 犯罪 者 から 奴隷 の 少女 を 救った 英雄 譚 の 完成 だ 。

伝説 は 、 悪 が 強大であれば ある 程 、 英雄 が 際立つ 。

後々 の 人民 に は 悪い 勇者 を 倒した 伝説 の 英雄 と 、 その 妻 の 名 が 永遠に 語り 継が れる と いう 訳 だ 。

クソッ !

なんて クズ な 王 と ビッチ な 王女 な んだ !

いや 、 待てよ …… 王女 が 、 ビッチ ……?

この フレーズ 、 どこ か で 聞いた 覚え が ある 。

どこ だ ?

一体 どこ で そんな 話 を 聞いた 。

…… 思い出した 。

四 聖 武器 書 を 読んだ 時 だ 。

あの 本 の 王女 は どの 勇者 に も 色 目 を 使う ビッチ だった 。

仮に クソ 勇者 共 と 同じく 、 俺 が 図書 館 で 読んだ 四 聖 武器 書 が 、 この 世界 と なんらか の 関わり が ある のならば 、 王女 が ビッチ である 理由 に も 納得 が 行く 。

身体 の 底 から 沸騰 する ような 怒り が 湧き出て 、 全身 を 駆け巡る 。

ドクン ……。

盾 から 、 何 か …… 鼓動 を 感じた 。

「 さあ 、 モトヤス 殿 、 盾 の 勇者 が 使役 して いた 奴隷 が 待って い ます ぞ 」

人垣 が 割れ 、 ラフタリア が 国 の 魔法使い に よって 奴隷 の 呪い を 、 今 まさに 解か れよう と して いた 。

魔法使い が 持って きた 杯 から 液体 が 零れ 、 ラフタリア の 胸 に 刻ま れて いる 奴隷 紋 に 染み込む 。

する と 俺 の 視界 に 映って いた 奴隷 の アイコン が 明滅 して 消え 去る 。

これ で 正式に 、 ラフタリア は 俺 の 奴隷 で は なく なって しまった 。

心 の 底 に 蠢く 、 黒い 感情 が 心 を 支配 して いく の を 感じる 。

この 世界 は 俺 を あざ笑い 、 嘲り 、 そして 苦しむ 様 を 喜んで いる ように しか 見え なく なって きた 。

そう 、 もう 俺 の 視界 に は …… 黒い 笑み を 浮かべる 影 しか 見え なく なり つつ ある 。

「 ラフタリア ちゃん !

元 康 が ラフタリア の 方 へ 駆け寄る 。

口 に 巻か れた 布 を 外さ れた ラフタリア は 近付いて くる 元 康 に 向けて 何 か 言おう と し 、 涙 を 流し ながら 元 康 の 頬 を ……。

「…… え ?

叩か れた 元 康 が 呆 気 に 取ら れた ような 顔 を する 。

「 卑怯 な 手 を 使う 事 も 許せ ませ ん が 、 私 が 何 時 、 助けて ください なんて 頼み ました か !?」

「 で 、 でも ラフタリア ちゃん は アイツ に 酷使 さ れて いた んだ ろ ?

「 ナオフミ 様 は 何 時 だって 、 私 に 出来 ない 事 は さ せ ませ ん でした !

私 自身 が 怯えて 、 嫌 がった 時 だけ 戦う ように 呪い を 使った だけ です ! 俺 の 意識 は 薄く 、 何 を 言って いる の か 良く 聞こえ ない 。

いや 、 聞こえて は いる 。

だけど 、 もう 誰 の 言葉 も 聞き たく ない 。

こんな 場所 から 早く 逃げ たい 。

元 の 世界 に 帰り たい 。

「 それ が ダメな んだ ろ !

「 ナオフミ 様 は 魔物 を 倒す こと が でき ない んです 。

なら 誰 か が 倒す しか ない じゃ ないで す か ! 「 君 が する 必要 が 無い !

アイツ に ボロボロ に なる まで 使わ れる ぞ ! 「 ナオフミ 様 は 今 まで 一 度 だって 私 に 魔物 の 攻撃 で 怪我 を 負わ せた 事 は あり ませ ん !

疲れたら 休ま せて くれ ます ! 「 い 、 いや …… アイツ は そんな 思いやり の ある ような 奴 じゃ ……」

「…… アナタ は 小 汚い 、 病 を 患った ボロボロ の 奴隷 に 手 を 差し伸べたり し ます か ?

「 え ?

「 ナオフミ 様 は 私 の 為 に 様々な 事 を して ください ました 。

食べ たい と 思った 物 を 食べ させて ください ました 。 咳 で 苦しむ 私 に 身 を 切る 思い で 貴重な 薬 を 分け 与えて ください ました 。 アナタ に それ が でき ます か ? 「 で 、 できる !

「 なら 、 アナタ の 隣 に 私 で は ない 奴隷 が いる はずです !

「!?」

ラフタリア が …… 俺 の 方 へ 駆け寄って くる 。

「 く 、 来る な !

ここ は …… 地獄 だ 。

悪意 で 作り 上げ られた 世界 だ 。

女 は 、 いや 、 この 世界 の 奴 等 の 全て が 俺 を 蔑み 、 苦しむ ように 責め 立てる 。

触ったら また 嫌な 思い を する 。

ラフタリア は そんな 俺 の 態度 に 再度 、 元 康 を 睨む 。

「 噂 を 聞き ました …… ナオフミ 様 が 仲間 に 無理やり 関係 を 迫った 、 最低な 勇者 だ と いう 話 を 」

「 あ 、 ああ 。

そい つ は 性 犯罪 者 だ ! 君 だって 性 奴隷 に さ れて いた んだ から 分かる だろう 」

「 なんで そう なる んです か !

ナオフミ 様 は 一 度 だって 私 に 迫った 事 なんて 無い で す ! そして ラフタリア は 俺 の 手 を 掴んだ 。

「 は 、 放せ !

「 ナオフミ 様 …… 私 は どう したら 、 アナタ に 信頼 して 頂ける のです か ?

「 手 を 放せ !

世界 中 の 全て の 人 が 俺 を 謂れ の 無い 罪 で 責め 立てる んだ !

「 俺 は やって ない !

ふわ ……。

激高 する 俺 に 、 何 か が 覆いかぶさる 。

「 どうか 怒り を 静めて ください ナオフミ 様 。

どう か 、 アナタ に 信じて いただく 為 に 耳 を お 貸し ください 」

「…… え ?

「 逆らえ ない 奴隷 しか 信じ られ ませ ん か ?

なら これ から 私 達 が 出会った あの 場所 に 行って 呪い を 掛けて ください 」

「 う 、 嘘 だ 。

そう 言って また 騙す つもりな んだ ! なんだ 。

俺 の 心 に 無理やり 入って 来る この 声 は な んだ !

「 私 は 何 が あろう と も 、 ナオフミ 様 を 信じて おり ます 」

「 黙れ !

また 、 お前 達 は 俺 に 罪 を 着せる つもりな んだ ! 「…… 私 は 、 ナオフミ 様 が 噂 の ように 誰 か に 関係 を 強要 した と は 思って い ませ ん 。

アナタ は そんな 事 を する ような 人 で は あり ませ ん 」

この 世界 に 来て …… 初めて 、 聞き たかった 言葉 が 聞こえた 。

視界 を 覆う 黒い 影 が ふわり と 散って いく ような 気 が する 。

人 肌 の 優し さ が 伝わって きた 。

「 世界 中 の 全て が ナオフミ 様 が やった と 責め 立てよう と も 、 私 は 違う と …… 何度 だって 、 ナオフミ 様 は そんな 事 を やって い ない と 言い ます 」

顔 を 上げる と そこ に は 今 まで 俺 の 瞳 に 映って いた 少女 で は なく 、 一七 歳 くらい の 女の子 が いた 。

その 顔立ち は 何 処 と 無く ラフタリア を 彷彿と さ せる が 、 比べる の も 失礼だ と 思う くらい 可愛らしい 少女 。

汚れて くすんだ 色 を して いた 髪 が 綺麗に 整って おり 、 カサカサ だった 皮膚 は 健康 的な 物 に 変わって いる 。

ガリガリ で 骨 が 見えて いた 様 な 身体 に も しっかり と 肉 が 付いて 、 外見 相応 な 、 元気な 姿 。

何より も 俺 を 見つめる 瞳 が 、 濁った 、 何もかも を 諦めた 色 で は なく 、 強い 意志 が 篭った もの に 変わって いる 。

俺 は こんな 女の子 を 知ら ない 。

「 ナオフミ 様 、 これ から 私 に 呪い を 掛けて もらい に 行き ましょう 」

「 だ 、 だれ ?

「 え ?

何 を 言って いる んです か 。 私 です よ 、 ラフタリア です 」

「 いやいや いや 、 ラフタリア は 幼い 子供 だ ろ ?

ラフタリア を 自称 する 、 俺 を 信じる と 言って くれた 女の子 が 困った ように 首 を 傾げる 。

「 まったく 、 ナオフミ 様 は 相変わらず 私 を 子供 扱い する んです ね 」

声 は …… 確かに 聞き覚え の ある ラフタリア の 声 だ 。

だけど 、 姿 が まったく 違う 。

いやいや いや 、 幾ら なんでも 、 仮に ラフタリア だ と して も おかしい だ ろ 。

「 ナオフミ 様 、 この際 だ から 言い ます ね 」

「 何 ?

「 亜人 は です ね 。

幼い 時 に Lv を あげる と 比例 して 肉体 が 最も 効率 の 良い ように 急 成長 する んです 」

「 へ ?

「 亜人 は 人間 じゃ ない 。

魔物 と 同じだ と 断罪 さ れる 理由 が ここ に ある のです 」

恥ずかし そうに ラフタリア を 自称 する 女の子 は 続ける 。

「 確かに 私 は …… その 、 精神 的に は まだ 子供 です けれど 、 体 は 殆ど 大人 に なって しまい ました 」

そして ラフタリア は また 俺 を …… その 良く 見る と 豊 満 な 胸 に 顔 を 埋め させて 告げる 。

「 どうか 、 信じて ください 。

私 は 、 ナオフミ 様 が 何も 罪 を 犯して い ない と 確信 して い ます 。 貴重な 薬 を 分け 与え 、 私 の 命 を 救い 、 生きる 術 と 戦い 方 を 教えて くださった 偉大なる 盾 の 勇者 様 …… 私 は アナタ の 剣 、 たとえ どんな 苦行 の 道 であろう と も 付き 従い ます 」

それ は …… ずっと 、 誰 か に 言って もらい たかった 言葉 。

ラフタリア が 俺 と 一緒に 戦う 事 を 誓って から 、 ずっと 言い 続けて いる 言葉 。

「 どうか 、 信じ られ ない の なら 私 を 奴隷 に でも 何 に でも して ください 。

しがみ付いた って 絶対 に 付いて いき ます から 」

「 くっ …… う …… う う ……」

この 世界 に 来て 、 初めて の 優しい 言葉 に 無意識に 嗚咽 が 漏れる 。

泣いて は ダメだ と 押しとどめよう と して も 、 涙 が 溢れて 止まら ない 。

「 う う う …… う う う う う う う う う う 」

ラフタリア に 抱きつく ような 形 で 俺 は 泣き 出して しまった 。

「 さっき の 決闘 …… 元 康 、 お前 の 反則 負け だ 」

「 は ぁ !?」

錬 と 樹 が 人 混 み の 間 から 現れて 告げる 。

「 上 から はっきり 見えて いた ぞ 、 お前 の 仲間 が 尚 文 に 向けて 風 の 魔法 を 打つ 所 が 」

「 いや 、 だって …… みんな が 違う って 」

「 王様 に 黙ら さ れて いる んです よ 。

目 を 見て わかり ませ ん か ? 「…… そう な の か ?

元 康 が 観衆 に 視線 を 向ける と みんな 顔 を 逸ら す 。

「 でも コイツ は 魔物 を 俺 に 」

「 攻撃 力 が 無い んだ 。

それ くらい は 認めて やれ よ 。 攻撃 手段 も 無く 決闘 さ せた お前 が 悪い 」

今更 、 正義 面 で 錬 は 元 康 を 糾弾 する 。

「 だけど …… コイツ !

俺 の 顔 と 股 間 を 集中 狙い して ──」

「 勝てる 見込み の 無い 戦い を 要求 した のです から 、 最大 限 の 嫌がらせ だった のでしょう 。

それ くらい は 許して あげ ましょう よ 」

樹 の 提案 に 元 康 は 不服 ながら も 、 諦めた か の ように 肩 の 力 を 抜く 。

「 今回 の 戦い は どうやら お前 に 非 が ある みたいだ から な 、 諦めろ 」

「 チッ …… 後味 が 悪い な 。

ラフタリア ちゃん が 洗脳 さ れて いる 疑惑 が ある んだ ぞ 」

「 あれ を 見て 、 まだ それ を 言える なんて 凄い です よ 」

「 そう だ な 」

バツ が 悪 そうに 、 勇者 達 が 立ち去る と 、 観衆 も 釣ら れて 城 に 戻って いく 。

「…… ち ぇっ !

おもしろく な ー い 」

「 ふむ …… 非常に 遺憾な 結果 だ な 」

不愉快 の 化身 二 人 も 苛立ち ながら 立ち去り 、 庭 に は 俺 達 だけ と なった 。

「 つらかった んです ね 。

私 は 全然 知り ませ ん でした 。 これ から は 私 に も その つら さ を 分けて ください 」

優しい 、 その 声 に …… 俺 の 意識 は スーッ と 遠く なって いった 。

本当に 驚いた 。

まさか ラフタリア が こんなに 成長 して いる と は 思い も し なかった 。

どうして 、 気付か なかった の か …… たぶん 、 余裕 が 無かった から だ 。

俺 の 目 に は ラフタリア の 成長 に 気付く 余裕 が 無かった 。

全て を ステータス 魔法 で 計測 して 、 ラフタリア を 評価 して いた 。


盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 23 たて の ゆうしゃ の なり あがり|chapter Der Aufstieg des Schildhelden 01 Kapitel 23. The Rising of the Shield Hero 01 Chapter 23 Rise of the shield hero 01 Capítulo 23. Powstanie bohatera tarczy 01 Rozdział 23. Ascensão do herói do escudo 01 Capítulo 23. 盾之勇者成名錄 01 第 23 章

二十三 話   聞き たかった 言葉 にじゅうさん|はなし|きき||ことば Twenty-three stories I wanted to hear words

「 何 が 勝ち だ 、 卑怯 者 ! なん||かち||ひきょう|もの "What wins, you coward!

一 対 一 の 決闘 に 横槍 が 入った じゃ ねえ か ! ひと|たい|ひと||けっとう||よこやり||はいった||| It wasn't that Yokomuka entered the one-on-one battle! 「 何の 事 を 言って や がる 。 なんの|こと||いって|| "What are you talking about?

お前 が 俺 の 力 を 抑え きれ ず に 立ち 上がら せた の が 敗因 だ ろ ! おまえ||おれ||ちから||おさえ||||たち|あがら||||はいいん|| You were the cause of my defeat because you couldn't hold back my power and made me stand up! …… 本気で 言って ん の か 、 この 野郎 は ? ほんきで|いって|||||やろう| ...... Are you serious, you son of a bitch?

何 が 勇者 だ ! なん||ゆうしゃ| What a hero!

何 が 勇者 に 奴隷 は 許さ れ ない だ ! なん||ゆうしゃ||どれい||ゆるさ||| What a hero can't forgive slaves!

出来 レース すら 満足に 全うでき ない 奴 が 勇者 気取って んじゃ ね ー よ ! でき|れーす||まんぞくに|まっとうでき||やつ||ゆうしゃ|きどって|||-| A guy who can't even complete the race satisfactorily isn't pretending to be a hero!

「 お前 の 仲間 が 決闘 に 水 を 差した んだ よ ! おまえ||なかま||けっとう||すい||さした|| "Your comrades put a damper on the duel!

だ から 俺 は よろめいた んだ ! ||おれ||| So I was upset! 「 ハッ !

嘘吐き が 負け 犬 の 遠吠え か ? うそつき||まけ|いぬ||とおぼえ| Is the lie vomiting losing the dog howling? 「 ち げ え よ ! "C'mon!

卑怯 者 ! ひきょう|もの Cowards !

俺 の 言い分 を 無視 した 卑怯 者 、 元 康 は 勝ち誇った 態度 で 見下して くる 。 おれ||いいぶん||むし||ひきょう|もの|もと|やす||かちほこった|たいど||みくだして| Motoyasu, the coward who ignored my words, looks down on me with a triumphant attitude.

本当に 、 横槍 が 入った んだ 。 ほんとうに|よこやり||はいった| Yokoyari really came in.

なのに …… この 野郎 は ! ||やろう| And yet ...... this bastard!

「 そう な の か ? " Oh really ?

観衆 に 元 康 は 目 を 向ける 。 かんしゅう||もと|やす||め||むける Motoyasu turned his attention to the audience.

だけど 観衆 は その 事実 に 気付いて いる の か い ない の か …… 沈黙 が 支配 する 。 |かんしゅう|||じじつ||きづいて||||||||ちんもく||しはい| But whether the audience is aware of that fact or not... silence reigns.

「 罪人 の 勇者 の 言葉 など 信じる 必要 は 無い 。 ざいにん||ゆうしゃ||ことば||しんじる|ひつよう||ない "There is no need to believe the words of a sinner hero.

槍 の 勇者 よ ! やり||ゆうしゃ| O valiant spearman! そ なた の 勝利 だ ! |||しょうり| You have won! この 野郎 ! |やろう

言う に 事欠いて 、 主催 者 である 王様 が 堂々と 宣言 し や がった 。 いう||ことかいて|しゅさい|もの||おうさま||どうどうと|せんげん||| There was not enough to say, so the king, who was the organizer, made a bold statement.

元 康 が 負け そうに なって いる とき は 余所見 して た 癖 に 、 俺 が 押さえ つけ られたら コレ か よ ! もと|やす||まけ|そう に|||||よそみ|||くせ||おれ||おさえ||||| When Motoyasu was on the verge of losing, I used to look the other way.

さすが に 周り の 連中 は 若干 思う ところ も あった のだろう 。 ||まわり||れんちゅう||じゃっかん|おもう|||| As expected, the people around me must have had some thoughts.

目 が 泳いで 何 か を 言い た げ に して いる 。 め||およいで|なん|||いい||||| His eyes are watering, as if to say something. だが 、 ここ で 一 番 の 権力 者 である 王様 が 断言 して しまえば 覆せる 奴 なんて 居 ない 。 |||ひと|ばん||けんりょく|もの||おうさま||だんげん|||くつがえせる|やつ||い| However, if the king, who is the most powerful person here, asserts, there is no one who can overturn it.

それ こそ 王様 に よって 抹殺 さ れ かね ない のだろう 。 ||おうさま|||まっさつ||||| That might be the reason why the king could wipe them out.

ここ は 独裁 国家 かって んだ ! ||どくさい|こっか|| This place is a dictatorship!

「 さすが です わ 、 モトヤス 様 ! ||||さま I am very proud of you, Mr. Motoyasu!

事 の 元凶 である クソ 女 が 白々しく 元 康 に 駆け寄る 。 こと||げんきょう||くそ|おんな||しらじらしく|もと|やす||かけよる The source of the problem, the bitch, rushes toward Motoyasu.

そして 城 の 魔法使い が 元 康 だけ に 回復 魔法 を 施し 、 怪我 を 治した 。 |しろ||まほうつかい||もと|やす|||かいふく|まほう||ほどこし|けが||なおした The castle wizard then cast a restorative spell on Motoyasu, healing his injuries.

俺 に は 掛ける つもり も ない ようだ 。 おれ|||かける|||| It seems I have no intention of hanging.

「 ふむ 、 さすが は 我が 娘 、 マルティ の 選んだ 勇者 だ 」 |||わが|むすめ|||えらんだ|ゆうしゃ| "Fumu, as expected of a hero chosen by my daughter, Marty."

と 、 王様 は マイン の 肩 に 手 を 乗せる 。 |おうさま||||かた||て||のせる And the king puts his hand on Mine's shoulder.

「 な 、 んだ と っ ……!?」 "Wha-what is that...!?"

マイン が 王様 の 娘 !? ||おうさま||むすめ Mine is the daughter of the king!

「 いや ぁ …… 俺 も あの 時 は 驚いた よ 。 ||おれ|||じ||おどろいた| I was also surprised at that time.

マイン が 王女 様 で 、 偽名 を 使って 潜り 込んで た なんて な 」 ||おうじょ|さま||ぎめい||つかって|くぐり|こんで||| Mine was a princess and used a pseudonym to sneak in.」

「 はい …… 世界 平和 の 為 に 立候補 した んです よ ♪」 |せかい|へいわ||ため||りっこうほ||| "Yes... I ran for world peace♪"

…… そう か 、 そういう 事 だった の か 。 |||こと||| ...... Oh, so that's what happened.

いくら なんでも 被害 者 の 証言 だけ で 俺 が 犯罪 者 の レッテル を 貼ら れる なんて 変だ と 思って いた んだ 。 ||ひがい|もの||しょうげん|||おれ||はんざい|もの||れってる||はら|||へんだ||おもって|| I thought it strange that I would be labeled as a criminal based only on the testimony of the victim.

お忍び の 王女 様 が お 気 に 入り の 勇者 の 一 番 に なる 為 に 、 勇者 の 中 で 一 番 劣る 俺 を 生 贄 に して 、 金 を 騙し 取り 、 その 父親 は バカ 娘 の ワガママ を 寛容に 許し 、 証拠 を でっちあげて 冤罪 を 被せる 。 おしのび||おうじょ|さま|||き||はいり||ゆうしゃ||ひと|ばん|||ため||ゆうしゃ||なか||ひと|ばん|おとる|おれ||せい|にえ|||きむ||だまし|とり||ちちおや||ばか|むすめ||||かんように|ゆるし|しょうこ|||えんざい||かぶせる The princess, a princess-in-waiting, sacrifices me, the least brave of all the heroes, to become the favorite of the princess, and cheats me out of my money, while her father tolerates his daughter's selfishness and falsely accuses her of fabricating evidence.

そうして 犯罪 者 から 王女 を 救った 勇者 である 元 康 は 、 お忍び の 王女 と 結果 的に 仲 良く なり 、 他の 女性 より も 関係 が 深まる 。 |はんざい|もの||おうじょ||すくった|ゆうしゃ||もと|やす||おしのび||おうじょ||けっか|てきに|なか|よく||たの|じょせい|||かんけい||ふかまる Motoyasu, the hero who saved the princess from the criminals, eventually became friends with the incognito princess, and their relationship deepened more than with other women.

ここ で 最初の 支度 金 が 俺 だけ 多かった の も 説明 が 付く 。 ||さいしょの|したく|きむ||おれ||おおかった|||せつめい||つく It also explains why I was the only one who paid more for the initial preparations.

つまり 王女 は 良い 装備 を 合法 的に 手 に 入れ 、 お 気 に 入り の 勇者 である 元 康 を 優遇 する 。 |おうじょ||よい|そうび||ごうほう|てきに|て||いれ||き||はいり||ゆうしゃ||もと|やす||ゆうぐう| In other words, the princess gets good equipment legally and gives preferential treatment to her favorite hero, Motoyasu.

最初 から 他の 冒険 者 より も 遥かに 高価な 装備 を 付けて いたら 、 元 康 だって おかしい と 思って 距離 を 置く はずだ 。 さいしょ||たの|ぼうけん|もの|||はるかに|こうかな|そうび||つけて||もと|やす||||おもって|きょり||おく| If you were wearing much more expensive equipment than the other adventurers from the beginning, even Motoyasu would think it was strange and keep his distance.

どこ まで 計算 さ れて いる の か は 、 もはや 本人 に 直接 尋ねる 他 ない が 、 ここ まで する 奴 等 だ 、 絶対 に 証拠 を 残したり は し ない はず 。 ||けいさん||||||||ほんにん||ちょくせつ|たずねる|た||||||やつ|とう||ぜったい||しょうこ||のこしたり|||| I have no choice but to directly ask him how far he's calculated, but I'm sure that those who go this far will never leave behind any evidence.

要するに 、 後 に 残る の は 犯罪 者 で 役立た ず の 盾 の 勇者 と 、 王女 を 華麗に 救った 槍 の 勇者 だけ 。 ようするに|あと||のこる|||はんざい|もの||やくだた|||たて||ゆうしゃ||おうじょ||かれいに|すくった|やり||ゆうしゃ| In short, only the criminal and useless Hero of the Shield and the Hero of the Spear who brilliantly saved the princess were left behind.

芋蔓 式 に 出て くる 推理 。 いもづる|しき||でて||すいり Reasoning that comes out in the imo vine style.

ダメージ こそ 受け なかった が 、 俺 を よろめか せる 程 高 威力 の ウイングブロウ を 放 てる の は 、 それ だけ 育ち が 良い 証拠 に 他なら ない 。 だめーじ||うけ|||おれ||||ほど|たか|いりょく||||はな||||||そだち||よい|しょうこ||ほかなら| It didn't take any damage, but the fact that it can unleash a powerful wing blow that staggers me is nothing but proof of how well it's raised.

つまり この 国 の 王女 である 、 偽ら ざる 証 。 ||くに||おうじょ||いつわら||あかし In other words, it is a false proof that she is the princess of this country.

出来 レース を 開催 した 挙句 、 横槍 の 異議 を 無理矢理 封殺 した の は 、 そんな 裏 が あった 訳 か 。 でき|れーす||かいさい||あげく|よこやり||いぎ||むりやり|ふうさつ|||||うら|||やく| Is that the reason why Yokoyari's objection was forcibly suppressed after holding the final race?

そりゃ あ 娘 が 決闘 の 邪魔 を したら 、 娘 の お 気 に 入り である 元 康 を 庇う よ な 。 ||むすめ||けっとう||じゃま|||むすめ|||き||はいり||もと|やす||かばう|| Well, if your daughter gets in the way of the duel, you should protect your daughter's favorite, Motoyasu.

だ と する と 元 康 が 俺 と 決闘 する の も 最初 から 仕組ま れて いた と 見る べきだ 。 ||||もと|やす||おれ||けっとう||||さいしょ||しくま||||みる| If that's the case, it should be seen that Motoyasu's duel with me was planned from the beginning.

…… な に 、 簡単だ 。 ||かんたんだ …… What, it's easy.

あの 女 好き の 元 康 の 耳元 で こう 囁く だけ で いい 。 |おんな|すき||もと|やす||みみもと|||ささやく||| All you have to do is whisper into Motoyasu's ear, who likes women.

『 あの 女の子 は 盾 の 勇者 に 無理矢理 隷属 さ せら れて いる 奴隷 です わ 。 |おんなのこ||たて||ゆうしゃ||むりやり|れいぞく|||||どれい|| "That girl is a slave who is being forced into servitude by the Hero of the Shield.

今 すぐ 助けて あげて ください 』 いま||たすけて|| Please help him now.

未来 の 夫 の 評価 と 優しい 自分 を 同時に 手 に 入れる 最大 の 機会 だ 。 みらい||おっと||ひょうか||やさしい|じぶん||どうじに|て||いれる|さいだい||きかい| It's the greatest opportunity to get your future husband's evaluation and your kind self at the same time.

ここ まで する あいつ 等 が 、 この チャンス を 見逃さ ない はず が ない 。 ||||とう|||ちゃんす||みのがさ|||| There's no way someone like that who's gone this far wouldn't miss this chance.

最終 的に 元 康 が 王女 と 結婚 すれば 、 犯罪 者 から 奴隷 の 少女 を 救った 英雄 譚 の 完成 だ 。 さいしゅう|てきに|もと|やす||おうじょ||けっこん||はんざい|もの||どれい||しょうじょ||すくった|えいゆう|たん||かんせい| If Motoyasu finally marries the princess, the heroic story of saving a slave girl from criminals will be complete.

伝説 は 、 悪 が 強大であれば ある 程 、 英雄 が 際立つ 。 でんせつ||あく||きょうだいであれば||ほど|えいゆう||きわだつ In legends, the more powerful the evil, the more prominent the hero.

後々 の 人民 に は 悪い 勇者 を 倒した 伝説 の 英雄 と 、 その 妻 の 名 が 永遠に 語り 継が れる と いう 訳 だ 。 あとあと||じんみん|||わるい|ゆうしゃ||たおした|でんせつ||えいゆう|||つま||な||えいえんに|かたり|つが||||やく| The name of the legendary hero who defeated the evil hero and the name of his wife will be handed down to the people of the future forever.

クソッ !

なんて クズ な 王 と ビッチ な 王女 な んだ ! |くず||おう||||おうじょ|| What a scum king and a bitchy princess!

いや 、 待てよ …… 王女 が 、 ビッチ ……? |まてよ|おうじょ|| No, wait, ...... princess is a bitch ......?

この フレーズ 、 どこ か で 聞いた 覚え が ある 。 |||||きいた|おぼえ|| I remember hearing this phrase somewhere.

どこ だ ? Where's ?

一体 どこ で そんな 話 を 聞いた 。 いったい||||はなし||きいた Where in the world did I hear such a story?

…… 思い出した 。 おもいだした …… I remembered.

四 聖 武器 書 を 読んだ 時 だ 。 よっ|せい|ぶき|しょ||よんだ|じ| It was when I read the Book of the Four Holy Weapons.

あの 本 の 王女 は どの 勇者 に も 色 目 を 使う ビッチ だった 。 |ほん||おうじょ|||ゆうしゃ|||いろ|め||つかう|| The princess in that book was a bitch who had a crush on any hero.

仮に クソ 勇者 共 と 同じく 、 俺 が 図書 館 で 読んだ 四 聖 武器 書 が 、 この 世界 と なんらか の 関わり が ある のならば 、 王女 が ビッチ である 理由 に も 納得 が 行く 。 かりに|くそ|ゆうしゃ|とも||おなじく|おれ||としょ|かん||よんだ|よっ|せい|ぶき|しょ|||せかい||||かかわり||||おうじょ||||りゆう|||なっとく||いく If, like the damn heroes, the Book of Four Holy Weapons I read in the library had some kind of connection with this world, then I can understand why the princess is a bitch.

身体 の 底 から 沸騰 する ような 怒り が 湧き出て 、 全身 を 駆け巡る 。 からだ||そこ||ふっとう|||いかり||わきでて|ぜんしん||かけめぐる A boiling anger welled up from the bottom of my body and ran through my body.

ドクン ……。

盾 から 、 何 か …… 鼓動 を 感じた 。 たて||なん||こどう||かんじた From the shield, I felt something...a heartbeat.

「 さあ 、 モトヤス 殿 、 盾 の 勇者 が 使役 して いた 奴隷 が 待って い ます ぞ 」 ||しんがり|たて||ゆうしゃ||しえき|||どれい||まって||| "Come on, Motoyasu-dono, the slave that the Hero of the Shield used to work is waiting for you."

人垣 が 割れ 、 ラフタリア が 国 の 魔法使い に よって 奴隷 の 呪い を 、 今 まさに 解か れよう と して いた 。 ひとがき||われ|||くに||まほうつかい|||どれい||まじない||いま||とか|||| The crowd had split, and Raphtalia was about to be freed from the curse of slavery by the country's magician.

魔法使い が 持って きた 杯 から 液体 が 零れ 、 ラフタリア の 胸 に 刻ま れて いる 奴隷 紋 に 染み込む 。 まほうつかい||もって||さかずき||えきたい||こぼれ|||むね||きざま|||どれい|もん||しみこむ Liquid spilled out of the cup brought by the wizard, and soaked into the slave crest engraved on Raphtalia's chest.

する と 俺 の 視界 に 映って いた 奴隷 の アイコン が 明滅 して 消え 去る 。 ||おれ||しかい||うつって||どれい||||めいめつ||きえ|さる Then the slave icon in my field of vision flickers and disappears.

これ で 正式に 、 ラフタリア は 俺 の 奴隷 で は なく なって しまった 。 ||せいしきに|||おれ||どれい||||| With this, Raphtalia is officially no longer my slave.

心 の 底 に 蠢く 、 黒い 感情 が 心 を 支配 して いく の を 感じる 。 こころ||そこ||うごめく|くろい|かんじょう||こころ||しはい|||||かんじる Wriggling in the depths of my heart, I feel a dark emotion taking control of my heart.

この 世界 は 俺 を あざ笑い 、 嘲り 、 そして 苦しむ 様 を 喜んで いる ように しか 見え なく なって きた 。 |せかい||おれ||あざわらい|あざけり||くるしむ|さま||よろこんで||||みえ||| The world is ridiculing me, ridiculing me, and only seeming to take pleasure in my suffering.

そう 、 もう 俺 の 視界 に は …… 黒い 笑み を 浮かべる 影 しか 見え なく なり つつ ある 。 ||おれ||しかい|||くろい|えみ||うかべる|かげ||みえ|||| That's right, in my field of vision... all I can see is a shadow with a black smile.

「 ラフタリア ちゃん ! "Raphtalia-chan!

元 康 が ラフタリア の 方 へ 駆け寄る 。 もと|やす||||かた||かけよる Motoyasu rushes toward Raftalia.

口 に 巻か れた 布 を 外さ れた ラフタリア は 近付いて くる 元 康 に 向けて 何 か 言おう と し 、 涙 を 流し ながら 元 康 の 頬 を ……。 くち||まか||ぬの||はずさ||||ちかづいて||もと|やす||むけて|なん||いおう|||なみだ||ながし||もと|やす||ほお| With the cloth wrapped around her mouth removed, Raphtalia tried to say something to Motoyasu as she approached her, she rubbed Motoyasu's cheek with tears in her eyes...

「…… え ?

叩か れた 元 康 が 呆 気 に 取ら れた ような 顔 を する 。 たたか||もと|やす||ぼけ|き||とら|||かお|| Motoyasu, who was hit, made a dumbfounded face.

「 卑怯 な 手 を 使う 事 も 許せ ませ ん が 、 私 が 何 時 、 助けて ください なんて 頼み ました か !?」 ひきょう||て||つかう|こと||ゆるせ||||わたくし||なん|じ|たすけて|||たのみ|| "I can not forgive to use cowardly hands, but what time did I ask you to help me !?"

「 で 、 でも ラフタリア ちゃん は アイツ に 酷使 さ れて いた んだ ろ ? |||||||こくし||||| "But Raphtalia was being abused by him, right?

「 ナオフミ 様 は 何 時 だって 、 私 に 出来 ない 事 は さ せ ませ ん でした ! |さま||なん|じ||わたくし||でき||こと|||||| "At any time Nao Humi-sama, I did not let things I can not do!

私 自身 が 怯えて 、 嫌 がった 時 だけ 戦う ように 呪い を 使った だけ です ! わたくし|じしん||おびえて|いや||じ||たたかう||まじない||つかった|| I used the curse so that I would fight only when I was frightened and didn't like it! 俺 の 意識 は 薄く 、 何 を 言って いる の か 良く 聞こえ ない 。 おれ||いしき||うすく|なん||いって||||よく|きこえ| My consciousness is thin, and I can't hear what you're saying.

いや 、 聞こえて は いる 。 |きこえて|| No, I can hear you.

だけど 、 もう 誰 の 言葉 も 聞き たく ない 。 ||だれ||ことば||きき|| But I don't want to listen to anyone anymore.

こんな 場所 から 早く 逃げ たい 。 |ばしょ||はやく|にげ| I want to escape from this place as soon as possible.

元 の 世界 に 帰り たい 。 もと||せかい||かえり| I want to return to my original world.

「 それ が ダメな んだ ろ ! ||だめな|| "That's no good!

「 ナオフミ 様 は 魔物 を 倒す こと が でき ない んです 。 |さま||まもの||たおす||||| "Naofumi-sama can't defeat monsters.

なら 誰 か が 倒す しか ない じゃ ないで す か ! |だれ|||たおす|||||| Then there must be someone to beat! 「 君 が する 必要 が 無い ! きみ|||ひつよう||ない "You don't have to!

アイツ に ボロボロ に なる まで 使わ れる ぞ ! ||ぼろぼろ||||つかわ|| He'll use it until it falls apart! 「 ナオフミ 様 は 今 まで 一 度 だって 私 に 魔物 の 攻撃 で 怪我 を 負わ せた 事 は あり ませ ん ! |さま||いま||ひと|たび||わたくし||まもの||こうげき||けが||おわ||こと|||| "Naofumi-sama has never hurt me with a monster's attack!

疲れたら 休ま せて くれ ます ! つかれたら|やすま||| If you get tired, they'll let you rest! 「 い 、 いや …… アイツ は そんな 思いやり の ある ような 奴 じゃ ……」 |||||おもいやり||||やつ| "No, no... he's that kind of caring guy..."

「…… アナタ は 小 汚い 、 病 を 患った ボロボロ の 奴隷 に 手 を 差し伸べたり し ます か ? ||しょう|きたない|びょう||わずらった|ぼろぼろ||どれい||て||さしのべたり||| "...Will you ever reach out to a dirty, sick, battered slave?

「 え ?

「 ナオフミ 様 は 私 の 為 に 様々な 事 を して ください ました 。 |さま||わたくし||ため||さまざまな|こと|||| "Naofumi-sama has done many things for me.

食べ たい と 思った 物 を 食べ させて ください ました 。 たべ|||おもった|ぶつ||たべ|さ せて|| They let me eat what I wanted to eat. 咳 で 苦しむ 私 に 身 を 切る 思い で 貴重な 薬 を 分け 与えて ください ました 。 せき||くるしむ|わたくし||み||きる|おもい||きちょうな|くすり||わけ|あたえて|| As I was suffering from a cough, you gave me a precious medicine out of desperation. アナタ に それ が でき ます か ? Can you do that? 「 で 、 できる ! "And you can do it!

「 なら 、 アナタ の 隣 に 私 で は ない 奴隷 が いる はずです ! |||となり||わたくし||||どれい||| "Then there must be a slave next to you who isn't me!

「!?」

ラフタリア が …… 俺 の 方 へ 駆け寄って くる 。 ||おれ||かた||かけよって| Raphtalia... runs towards me.

「 く 、 来る な ! |くる| "Kuh, don't come!

ここ は …… 地獄 だ 。 ||じごく| This place is hell.

悪意 で 作り 上げ られた 世界 だ 。 あくい||つくり|あげ||せかい| It is a world created with malice.

女 は 、 いや 、 この 世界 の 奴 等 の 全て が 俺 を 蔑み 、 苦しむ ように 責め 立てる 。 おんな||||せかい||やつ|とう||すべて||おれ||さげすみ|くるしむ||せめ|たてる Women, no, all of these guys in this world despise me and blame me for suffering.

触ったら また 嫌な 思い を する 。 さわったら||いやな|おもい|| If I touch it, I feel bad again.

ラフタリア は そんな 俺 の 態度 に 再度 、 元 康 を 睨む 。 |||おれ||たいど||さいど|もと|やす||にらむ Raftalia glared at Motoyasu again because of my attitude.

「 噂 を 聞き ました …… ナオフミ 様 が 仲間 に 無理やり 関係 を 迫った 、 最低な 勇者 だ と いう 話 を 」 うわさ||きき|||さま||なかま||むりやり|かんけい||せまった|さいていな|ゆうしゃ||||はなし| "I heard a rumor... that Naofumi-sama is the worst hero who forced her comrades to have a relationship with her."

「 あ 、 ああ 。

そい つ は 性 犯罪 者 だ ! |||せい|はんざい|もの| He's a sex offender! 君 だって 性 奴隷 に さ れて いた んだ から 分かる だろう 」 きみ||せい|どれい|||||||わかる| Even you were a sex slave, so you should know."

「 なんで そう なる んです か ! "Why does it happen!

ナオフミ 様 は 一 度 だって 私 に 迫った 事 なんて 無い で す ! |さま||ひと|たび||わたくし||せまった|こと||ない|| Naofumi-sama has never approached me! そして ラフタリア は 俺 の 手 を 掴んだ 。 |||おれ||て||つかんだ And then Raphtalia grabbed my hand.

「 は 、 放せ ! |はなせ "Ha, let go!

「 ナオフミ 様 …… 私 は どう したら 、 アナタ に 信頼 して 頂ける のです か ? |さま|わたくし||||||しんらい||いただける|| "Naofumi-sama... how can I get you to trust me?

「 手 を 放せ ! て||はなせ "Let go!

世界 中 の 全て の 人 が 俺 を 謂れ の 無い 罪 で 責め 立てる んだ ! せかい|なか||すべて||じん||おれ||いわれ||ない|ざい||せめ|たてる| All the people in the world are accusing me of unfounded sins!

「 俺 は やって ない ! おれ||| "I'm not doing it!

ふわ ……。 Fluffy …….

激高 する 俺 に 、 何 か が 覆いかぶさる 。 げきこう||おれ||なん|||おおいかぶさる Something is covering me, who is going into a rage.

「 どうか 怒り を 静めて ください ナオフミ 様 。 |いかり||しずめて|||さま "Please calm your anger, Naofumi-sama.

どう か 、 アナタ に 信じて いただく 為 に 耳 を お 貸し ください 」 ||||しんじて||ため||みみ|||かし| Please lend me your ear so that I can make you believe me."

「…… え ?

「 逆らえ ない 奴隷 しか 信じ られ ませ ん か ? さからえ||どれい||しんじ|||| "Can you believe only slaves that can not go?

なら これ から 私 達 が 出会った あの 場所 に 行って 呪い を 掛けて ください 」 |||わたくし|さとる||であった||ばしょ||おこなって|まじない||かけて| In that case, please go to the place where we met and cast a curse on us."

「 う 、 嘘 だ 。 |うそ| "Uh, that's a lie.

そう 言って また 騙す つもりな んだ ! |いって||だます|| I'm going to deceive you again by saying that! なんだ 。 what .

俺 の 心 に 無理やり 入って 来る この 声 は な んだ ! おれ||こころ||むりやり|はいって|くる||こえ||| What is this voice that forcibly enters my heart!

「 私 は 何 が あろう と も 、 ナオフミ 様 を 信じて おり ます 」 わたくし||なん||||||さま||しんじて|| "No matter what happens, I believe in Naofumi-sama."

「 黙れ ! だまれ

また 、 お前 達 は 俺 に 罪 を 着せる つもりな んだ ! |おまえ|さとる||おれ||ざい||きせる|| Also, you guys are going to frame me! 「…… 私 は 、 ナオフミ 様 が 噂 の ように 誰 か に 関係 を 強要 した と は 思って い ませ ん 。 わたくし|||さま||うわさ|||だれ|||かんけい||きょうよう||||おもって||| "...I don't believe that Naofumi-sama forced someone into a relationship like the rumors say.

アナタ は そんな 事 を する ような 人 で は あり ませ ん 」 |||こと||||じん||||| You are not the kind of person who would do such a thing."

この 世界 に 来て …… 初めて 、 聞き たかった 言葉 が 聞こえた 。 |せかい||きて|はじめて|きき||ことば||きこえた Come to this world ... ... For the first time, I heard the words I wanted to hear.

視界 を 覆う 黒い 影 が ふわり と 散って いく ような 気 が する 。 しかい||おおう|くろい|かげ||||ちって|||き|| It feels like the black shadows that cover my vision are fading away.

人 肌 の 優し さ が 伝わって きた 。 じん|はだ||やさし|||つたわって| I could feel the kindness of human skin.

「 世界 中 の 全て が ナオフミ 様 が やった と 責め 立てよう と も 、 私 は 違う と …… 何度 だって 、 ナオフミ 様 は そんな 事 を やって い ない と 言い ます 」 せかい|なか||すべて|||さま||||せめ|たてよう|||わたくし||ちがう||なんど|||さま|||こと||||||いい| "Even if the whole world accuses Naofumi-sama of doing it, I say otherwise... over and over again, Naofumi-sama says she didn't do that."

顔 を 上げる と そこ に は 今 まで 俺 の 瞳 に 映って いた 少女 で は なく 、 一七 歳 くらい の 女の子 が いた 。 かお||あげる|||||いま||おれ||ひとみ||うつって||しょうじょ||||いちしち|さい|||おんなのこ|| When I looked up, instead of the girl I had seen before, there was a girl around seventeen.

その 顔立ち は 何 処 と 無く ラフタリア を 彷彿と さ せる が 、 比べる の も 失礼だ と 思う くらい 可愛らしい 少女 。 |かおだち||なん|しょ||なく|||ほうふつと||||くらべる|||しつれいだ||おもう||かわいらしい|しょうじょ Her features are somewhat reminiscent of Raphtalia's, but she's so pretty that it would be rude to compare her.

汚れて くすんだ 色 を して いた 髪 が 綺麗に 整って おり 、 カサカサ だった 皮膚 は 健康 的な 物 に 変わって いる 。 けがれて||いろ||||かみ||きれいに|ととのって||||ひふ||けんこう|てきな|ぶつ||かわって| Her hair, which had been dirty and dull in color, has been neatly arranged, and her dry skin has become healthy.

ガリガリ で 骨 が 見えて いた 様 な 身体 に も しっかり と 肉 が 付いて 、 外見 相応 な 、 元気な 姿 。 ||こつ||みえて||さま||からだ|||||にく||ついて|がいけん|そうおう||げんきな|すがた The body, which was so skinny that the bones were visible, is now firmly fleshy, and has a healthy figure that matches its appearance.

何より も 俺 を 見つめる 瞳 が 、 濁った 、 何もかも を 諦めた 色 で は なく 、 強い 意志 が 篭った もの に 変わって いる 。 なにより||おれ||みつめる|ひとみ||にごった|なにもかも||あきらめた|いろ||||つよい|いし||こもった|||かわって| More than anything else, the eyes that stare at me have changed from the cloudy color of giving up on everything to something filled with a strong will.

俺 は こんな 女の子 を 知ら ない 。 おれ|||おんなのこ||しら| I don't know a girl like this.

「 ナオフミ 様 、 これ から 私 に 呪い を 掛けて もらい に 行き ましょう 」 |さま|||わたくし||まじない||かけて|||いき| "Naofumi-sama, let's go have a curse cast on me."

「 だ 、 だれ ?

「 え ?

何 を 言って いる んです か 。 なん||いって||| What are you talking about? 私 です よ 、 ラフタリア です 」 わたくし||||

「 いやいや いや 、 ラフタリア は 幼い 子供 だ ろ ? ||||おさない|こども|| "No no no, Raphtalia is a young child, right?

ラフタリア を 自称 する 、 俺 を 信じる と 言って くれた 女の子 が 困った ように 首 を 傾げる 。 ||じしょう||おれ||しんじる||いって||おんなのこ||こまった||くび||かしげる The self-proclaimed Raphtalia, the girl who told me she believed in me tilted her head in embarrassment.

「 まったく 、 ナオフミ 様 は 相変わらず 私 を 子供 扱い する んです ね 」 ||さま||あいかわらず|わたくし||こども|あつかい||| "Really, Naofumi-sama still treats me like a child."

声 は …… 確かに 聞き覚え の ある ラフタリア の 声 だ 。 こえ||たしかに|ききおぼえ|||||こえ| The voice was... definitely Raphtalia's voice.

だけど 、 姿 が まったく 違う 。 |すがた|||ちがう But he looks completely different.

いやいや いや 、 幾ら なんでも 、 仮に ラフタリア だ と して も おかしい だ ろ 。 ||いくら||かりに|||||||| No, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, even if it was Raftalia, it's ridiculous.

「 ナオフミ 様 、 この際 だ から 言い ます ね 」 |さま|このさい|||いい|| "Naofumi-sama, I'm telling you this at this time."

「 何 ? なん

「 亜人 は です ね 。 あにん||| "Demi-humans.

幼い 時 に Lv を あげる と 比例 して 肉体 が 最も 効率 の 良い ように 急 成長 する んです 」 おさない|じ||lv||||ひれい||にくたい||もっとも|こうりつ||よい||きゅう|せいちょう|| When you raise your Lv when you're young, your body will grow rapidly in proportion to the most efficient level."

「 へ ?

「 亜人 は 人間 じゃ ない 。 あにん||にんげん|| "Ajin are not humans.

魔物 と 同じだ と 断罪 さ れる 理由 が ここ に ある のです 」 まもの||おなじだ||だんざい|||りゆう||||| This is the reason why they are condemned to be the same as monsters."

恥ずかし そうに ラフタリア を 自称 する 女の子 は 続ける 。 はずかし|そう に|||じしょう||おんなのこ||つづける The girl who shyly called herself Raphtalia continued.

「 確かに 私 は …… その 、 精神 的に は まだ 子供 です けれど 、 体 は 殆ど 大人 に なって しまい ました 」 たしかに|わたくし|||せいしん|てきに|||こども|||からだ||ほとんど|おとな|||| "It's true... I'm still a child mentally, but my body has almost become an adult."

そして ラフタリア は また 俺 を …… その 良く 見る と 豊 満 な 胸 に 顔 を 埋め させて 告げる 。 ||||おれ|||よく|みる||とよ|まん||むね||かお||うずめ|さ せて|つげる And Raphtalia tells me again... if you look closely, she buries her face in her plump breasts.

「 どうか 、 信じて ください 。 |しんじて| "Please believe me.

私 は 、 ナオフミ 様 が 何も 罪 を 犯して い ない と 確信 して い ます 。 わたくし|||さま||なにも|ざい||おかして||||かくしん||| I am convinced that Naofumi-sama has not committed any crimes. 貴重な 薬 を 分け 与え 、 私 の 命 を 救い 、 生きる 術 と 戦い 方 を 教えて くださった 偉大なる 盾 の 勇者 様 …… 私 は アナタ の 剣 、 たとえ どんな 苦行 の 道 であろう と も 付き 従い ます 」 きちょうな|くすり||わけ|あたえ|わたくし||いのち||すくい|いきる|じゅつ||たたかい|かた||おしえて||いだいなる|たて||ゆうしゃ|さま|わたくし||||けん|||くぎょう||どう||||つき|したがい| The great hero of the shield who shared the precious medicine, saved my life, and taught me how to live and how to fight... I will follow your sword, no matter what the path of penance. "

それ は …… ずっと 、 誰 か に 言って もらい たかった 言葉 。 |||だれ|||いって|||ことば That's... the words I always wanted someone to say.

ラフタリア が 俺 と 一緒に 戦う 事 を 誓って から 、 ずっと 言い 続けて いる 言葉 。 ||おれ||いっしょに|たたかう|こと||ちかって|||いい|つづけて||ことば These are the words I've been saying ever since Rakhtalia swore to fight with me.

「 どうか 、 信じ られ ない の なら 私 を 奴隷 に でも 何 に でも して ください 。 |しんじ|||||わたくし||どれい|||なん|||| "Please, if you don't believe me, make me your slave or whatever.

しがみ付いた って 絶対 に 付いて いき ます から 」 しがみついた||ぜったい||ついて||| Even if you cling to me, I'll definitely follow you."

「 くっ …… う …… う う ……」

この 世界 に 来て 、 初めて の 優しい 言葉 に 無意識に 嗚咽 が 漏れる 。 |せかい||きて|はじめて||やさしい|ことば||むいしきに|おえつ||もれる Coming to this world, I unconsciously let out a sob at the kind words I received for the first time.

泣いて は ダメだ と 押しとどめよう と して も 、 涙 が 溢れて 止まら ない 。 ないて||だめだ||おしとどめよう||||なみだ||あふれて|とまら| Even if I try to stop him from crying, the tears overflow and won't stop.

「 う う う …… う う う う う う う う う う 」

ラフタリア に 抱きつく ような 形 で 俺 は 泣き 出して しまった 。 ||だきつく||かた||おれ||なき|だして| I started crying while hugging Raphtalia.

「 さっき の 決闘 …… 元 康 、 お前 の 反則 負け だ 」 ||けっとう|もと|やす|おまえ||はんそく|まけ| "The duel just now... Motoyasu, you lost because of a foul."

「 は ぁ !?」

錬 と 樹 が 人 混 み の 間 から 現れて 告げる 。 ||き||じん|こん|||あいだ||あらわれて|つげる Ren and Itsuki appear from the crowd and tell them.

「 上 から はっきり 見えて いた ぞ 、 お前 の 仲間 が 尚 文 に 向けて 風 の 魔法 を 打つ 所 が 」 うえ|||みえて|||おまえ||なかま||しよう|ぶん||むけて|かぜ||まほう||うつ|しょ| "I could clearly see it from above, where your comrades cast wind spells at Naofumi."

「 いや 、 だって …… みんな が 違う って 」 ||||ちがう| "No, because... everyone is different."

「 王様 に 黙ら さ れて いる んです よ 。 おうさま||だまら||||| "I'm being silenced by the king.

目 を 見て わかり ませ ん か ? め||みて|||| Can't you tell by looking at my eyes? 「…… そう な の か ? "…… Oh really ?

元 康 が 観衆 に 視線 を 向ける と みんな 顔 を 逸ら す 。 もと|やす||かんしゅう||しせん||むける|||かお||はやら| When Motoyasu looks out at the crowd, everyone looks away.

「 でも コイツ は 魔物 を 俺 に 」 |||まもの||おれ| "But this guy is a monster to me."

「 攻撃 力 が 無い んだ 。 こうげき|ちから||ない| "It has no offensive power.

それ くらい は 認めて やれ よ 。 |||みとめて|| Admit that much. 攻撃 手段 も 無く 決闘 さ せた お前 が 悪い 」 こうげき|しゅだん||なく|けっとう|||おまえ||わるい It's your fault for having me fight a duel with no means of attack."

今更 、 正義 面 で 錬 は 元 康 を 糾弾 する 。 いまさら|せいぎ|おもて||||もと|やす||きゅうだん| Even now, Ren denounces Motoyasu in terms of justice.

「 だけど …… コイツ ! "But... this guy!

俺 の 顔 と 股 間 を 集中 狙い して ──」 おれ||かお||また|あいだ||しゅうちゅう|ねらい| Concentrating on my face and crotch--"

「 勝てる 見込み の 無い 戦い を 要求 した のです から 、 最大 限 の 嫌がらせ だった のでしょう 。 かてる|みこみ||ない|たたかい||ようきゅう||||さいだい|げん||いやがらせ|| "Since he demanded a battle with no chance of winning, it must have been the greatest form of harassment.

それ くらい は 許して あげ ましょう よ 」 |||ゆるして||| Please forgive me for that much."

樹 の 提案 に 元 康 は 不服 ながら も 、 諦めた か の ように 肩 の 力 を 抜く 。 き||ていあん||もと|やす||ふふく|||あきらめた||||かた||ちから||ぬく Although Motoyasu was dissatisfied with Itsuki's proposal, he relaxed as if he had given up.

「 今回 の 戦い は どうやら お前 に 非 が ある みたいだ から な 、 諦めろ 」 こんかい||たたかい|||おまえ||ひ||||||あきらめろ "It looks like you're at fault for this fight, so give it up."

「 チッ …… 後味 が 悪い な 。 |あとあじ||わるい| "Tch...it has a bad aftertaste.

ラフタリア ちゃん が 洗脳 さ れて いる 疑惑 が ある んだ ぞ 」 |||せんのう||||ぎわく|||| There is a suspicion that Raphtalia-chan is being brainwashed."

「 あれ を 見て 、 まだ それ を 言える なんて 凄い です よ 」 ||みて||||いえる||すごい|| "It's amazing that you can still say that after seeing that."

「 そう だ な 」 "That's right."

バツ が 悪 そうに 、 勇者 達 が 立ち去る と 、 観衆 も 釣ら れて 城 に 戻って いく 。 ばつ||あく|そう に|ゆうしゃ|さとる||たちさる||かんしゅう||つら||しろ||もどって| When the heroes leave, seemingly embarrassed, the spectators are lured back to the castle.

「…… ち ぇっ ! "... Whoa!

おもしろく な ー い 」 ||-| It's funny."

「 ふむ …… 非常に 遺憾な 結果 だ な 」 |ひじょうに|いかんな|けっか|| "Hmm... that's a very unfortunate result."

不愉快 の 化身 二 人 も 苛立ち ながら 立ち去り 、 庭 に は 俺 達 だけ と なった 。 ふゆかい||けしん|ふた|じん||いらだち||たちさり|にわ|||おれ|さとる||| The two incarnations of discomfort were annoyed and left, leaving us alone in the yard.

「 つらかった んです ね 。 "It must have been hard.

私 は 全然 知り ませ ん でした 。 わたくし||ぜんぜん|しり||| I had no idea. これ から は 私 に も その つら さ を 分けて ください 」 |||わたくし|||||||わけて| Please share your pain with me from now on."

優しい 、 その 声 に …… 俺 の 意識 は スーッ と 遠く なって いった 。 やさしい||こえ||おれ||いしき||||とおく|| That gentle voice... my consciousness slowly faded away.

本当に 驚いた 。 ほんとうに|おどろいた I was really surprised.

まさか ラフタリア が こんなに 成長 して いる と は 思い も し なかった 。 ||||せいちょう|||||おもい||| I never thought that Raphtalia would grow so much.

どうして 、 気付か なかった の か …… たぶん 、 余裕 が 無かった から だ 。 |きづか|||||よゆう||なかった|| I don't know why I didn't notice... Maybe it was because I didn't have time to spare.

俺 の 目 に は ラフタリア の 成長 に 気付く 余裕 が 無かった 。 おれ||め|||||せいちょう||きづく|よゆう||なかった My eyes didn't have the time to notice Raphtalia's growth.

全て を ステータス 魔法 で 計測 して 、 ラフタリア を 評価 して いた 。 すべて|||まほう||けいそく||||ひょうか|| He evaluated Raphtalia by measuring everything with status magic.