×

We use cookies to help make LingQ better. By visiting the site, you agree to our cookie policy.


image

盾の勇者の成り上がり (The Rising of the Shield Hero ), 盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 22

盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 22

二十二 話 矛盾 の 実践

城 の 庭 は 今 、 決闘 会場 と 化して いた 。

辺り に は 松明 が 焚 かれ 、 宴 を 楽しんで いた 者 達 が みんな 勇者 の 戦い を 楽しみに して いる 。

しかし 、 決着 が どう 付く か は 既に 周知 の 事実 と なって いる のだ 。

攻撃 する 手段 の 無い 俺 と 、 槍 の 勇者 である 元 康 の 戦い 。

盾 の 勇者 一行 と 槍 の 勇者 一行 の 戦い …… で は なく 、 俺 と 元 康 の 一騎打ち に なった 。

さすが に 元 康 自身 の プライド が 許さ なかった らしい 。

結果 は 誰 だって 想像 出来る 。

現に この 手 の 場面 で お 約束 である 賭博 行為 を する 声 が まったく 聞こえて こ ない 。

まあ 城 に 居る の が 貴族 が 多い と 言う の も ある けれど 、 波 で 戦った 冒険 者 だって 居る のだ 。 普通であれば 賭博 が 行わ れ ない はず が 無い 。

つまり みんな 分かって いて 尚 、 俺 に 敗北 を 要求 して いる 。

錬 や 樹 も 城 の テラス から こちら を 傍観 して 笑って いる 。

俺 が 負け 、 奴隷 を 失う 瞬間 を 楽しみに 見て いる のだ 。

クソ !

クソクソクソクソ !

ど いつも こいつ も 俺 から 毟り 取る 事 しか 考えて い やがら ない 。

波 と の 戦い であって も 俺 達 に 火 の 雨 を 降ら す 。

世界 中 の 全て が 俺 を あざ笑う 敵 に しか 見え ない 。

…… 良い だろう 。

俺 に は 敗北 しか 選択肢 は 無い 。 だが 、 タダ で 負けて なんか やら ない 。

見て い やがれ 元 康 。

お前 に は 抑え きれ ない 程 の 恨み が ある んだ 。

「 では 、 これ より 槍 の 勇者 と 盾 の 勇者 の 決闘 を 開始 する !

勝敗 の 判定 は トドメ を 刺す 寸前 まで 相手 を 追い 詰める か 、 敗北 を 認める こと 」

俺 は 手首 が 上手く 回る か 試し 、 指 を 鳴らし つつ 、 構える 。

「 矛 と 盾 が 戦ったら どっち が 勝つ か 、 なんて 話 が ある が …… 今回 は 余裕 だ な 」

元 康 は 鼻 に 掛けた 態度 で 俺 を 蔑む ように 睨んで いる 。

ふざけ や が って 。

「 では ──」

元 康 、 戦い は 相手 を 倒す こと だけ じゃ ない と 教えて やる 。

矛盾 と は 最強の 矛 と 盾 を 売ろう と した 商人 に どっち が 最強な んだ と 周り の 連中 が 聞いた こと から 話 が 始まる 。

辻 褄 が 合わ ない 事 を 指す 言葉 だ 。

だけど 、 この 矛盾 と いう 言葉 自体 が 、 矛盾 である と 俺 は 思って いる 。

そもそも 、 何 を 以 て 勝負 が 決する と いう の か 。

将棋 と 囲碁 で 勝負 する ような もの だ ぞ 。

仮に それ で 勝負 する なら 持ち 手 に 注目 して みれば どう だ ?

矛 の 目的 は 相手 を 殺す 武器 。

盾 の 目的 は 持ち 手 を 守る 防 具 。

ここ まで 視野 を 広げる と 、 最強の 矛 から 持ち 手 を 守った 盾 の 勝利 、 である と いう 考え も ある 。

根本 的に 目的 が 違う んだ 。

矛 と 盾 で は 。

「 勝負 !

「 う お おお おお おお おお おお おお !

「 でりゃ ああ ああ ああ ああ あ ああ !

俺 は テレフォンパンチ の 構え を し ながら 元 康 の 方 へ 駆け寄る 。

元 康 も 矛 を 構え ながら 走って 、 俺 に 一 突き しよう と 試みた 。

距離 が 一気に 近づき 、 元 康 の 間合い に 入った 俺 に 元 康 は 勢い を 付けて 矛 を 前 に 突く 。

「 乱れ 突き !

元 康 の 矛 が 一瞬にして 何 個 に も 分かれて 飛んで くる 。

スキル か !

いきなり か まして くる と はやって くれる 。

俺 の 突進 は 止め られ ない 。

盾 で 頭 を 守り ながら 走り 抜ける 。

く …… 鋭い 矛 の 先端 が 二 発 刺さり 、 肩 と 脇腹 に 痛み が 走った 。

かすり傷 だ けど 、 やはり 勇者 の 攻撃 だけ あって 耐え 切れ ない 。

しかし 元 康 の スキル は それ で 一 度 打ち切り 、 クールタイム に 入った ようだ 。

「 喰 ら え !

それ でも 元 康 は 俺 に 向けて 矛 を 放つ 。

槍 、 もしくは 矛 の 弱点 は その 射程 に ある 。

中 距離 を 得意 と する 長 物 の 武器 は 射程 の 内側 に 来 られる と 途端 に 扱い が 難しく なる のだ 。 本来 であれば 近付か れる 前 に 敵 を 倒せば 良い 。 だが 俺 は 、 盾 は 一撃 で は 倒れ ない 。 俺 は 紙一重 で 元 康 の 突き を 避け 、 全体 重 を 掛けて 突進 し 、 組み 伏す 。

そして 元 康 の 顔面 に 拳 を 叩き込んだ 。

ガン !

チッ !

やっぱり 俺 で は ダメージ を 負わ す こと が でき ない 。

しかし 、 俺 の 攻撃 は これ だけ で 納まる はず も 無い 。

元 康 の 野郎 は 俺 の 攻撃 が 痛く も 痒 く も 無い の か 舐めた 目 を し や がる 。

何時まで そんな 顔 で 居ら れる かな ?

俺 は マント の 中 から 必殺 武器 を 取り出して 元 康 の 顔 に ねじ 込む 。

「 いて !

波 の 時 に 火 の 雨 を 受けて 全滅 して しまった が 、 城 に 来る 途中 で 拾って きた 脅し の 道具 だ 。

「 な ?

な !?」

ククク …… 元 康 の 奴 、 メチャクチャ 戸惑い の 声 を 上げて や がる 。

攻撃 する 相手 を 変えた バルーン が 元 康 に 必死に 噛み付いて いる 。

「 いて 、 いて !

元 康 は 大事な 顔 を 噛ま れて 痛み に 悶えた 。

そう 、 俺 の 攻撃 は 何も 素手 だけ で は ない 。

バルーン と 言う 人間 専門 の 便利な 武器 が ある んだ よ !

「 オラオラオラ !

顔 に 二 匹 、 そして 立ち 上がれ ない ように 足 で 元 康 を 押さえ つけ ながら 股 間 に バルーン を 投げ つける 。

「 な 、 なんで バルーン が !?」

観衆 が 悲鳴 を 上げる 。

知った こと か !

後 は 全 体重 を 掛けて 、 股 間 に バルーン を 深く 齧り付か せる 。

「 グ …… て め え !

何の 真似 だ ! 「 どうせ 勝て ない なら 、 精一杯 嫌がらせ し てる よ !

ターゲット は モテ 男 の 命 である 顔 と 、 男 の 証 である 股 間 だ ! て め ぇ なんて 面 と 玉 が なけりゃ タダ の キモイオタク な んだ よ ! 「 な っ !? やめろ おお おお ぉぉ ぉぉ !

「 不能に なり や が れ れ え ええ ぇぇ ぇ !

ガツンガツン と 俺 は 元 康 が バルーン を 剥がそう と する 手 を 妨害 する 。

元 康 は 顔面 に 引っ付いた バルーン を 引き 剥がす の が やっと で 、 倒れた 体勢 で は 強く 矛 も 振るえ ない 。

その ため 、 顔面 の バルーン を 割る ごと に 俺 が 追加 の バルーン を 投げ つける と また 対処 に 時間 を 食う 。 無論 バルーン だけ で は なく 、 エグッグ など も 含め 元 康 は 針 の 筵 状態 だ 。

この 間 に 出来る 限り の 嫌がらせ を する 。

どうせ 負ける んだ 。

なら 、 最大 限 の トラウマ を 元 康 に 刻み 込んで やる 。

「 オラオラオラ !

「 くっ !

この やろ おお おお ! 全力 で 起き上がろう と する 元 康 を 全 体重 で 押さえ つけ 、 バルーン の 攻撃 が 続いて いく 。

そうだ 。

どっち 道 負ける の なら 試して みる 手 も ある な 。

盾 を 双 頭 黒 犬 の 盾 に 変化 さ せる 。

そして 押さえ つけ られた 体勢 の 為 に 力 の 入ら ない 元 康 の 槍 の 切 っ 先 を 盾 で 受け止めた 。

黒板 を 引っかいた ような 音 が 響く 。

専用 効果 、 ドッグバイト が 作動 し 、 盾 に 装飾 さ れて いた 犬 の 剥製 が 元 康 に 向 って 吠えて 噛みつく 。

ドッグバイト は 攻撃 を 受けて 発動 する カウンター 効果 だ 。

この 効果 に よって 、 犬 の 装飾 部分 が 動いて 、 敵 に 食らいつく 。

効果 時間 は 三〇 秒 。

普段 の 使用 用途 は 敵 に 僅かな ダメージ を 与えて 拘束 する と 言う 物 だ が 、 こう 言う 使い道 も ある 。

「 い 、 い で !

お ?

ちゃんと ダメージ が 入る じゃ ない か 。 もしかしたら 勝てる かも しれ ない 。

なら やる 手 は 他 に も 出て くる 。

「 エアストシールド !

場所 は 元 康 の 腹 だ 。

盾 が 出現 して 元 康 の 腹 に 盾 が 乗っかる 。

スキル に は こういう 使い 方 も ある !

「 ぐ …… は 、 放せ !

「 やれる もの なら やって みろ !

この 卑怯 者 が ! 俺 に 攻撃 の 手段 が 無い と 舐め きった 事 を 考えて いる から こう なる んだ 。

双 頭 黒 犬 の 盾 を 元 康 の 顔面 に 近づけ 、 顔 を 上げる タイミング に あわせて ぶつける 。

ドッグバイト が 作動 し 、 元 康 の 顔 に 噛みつく 。

「 ぐ …… て め ぇ !

覚えて ろ ! 「 知る か !

おっと エアストシールド の 効果 時間 が 切れる な 。

「 シールドプリズン !

「 く ……──!

今度 は 大きな 盾 の 檻 だ 。

その 体勢 で の 脱出 は 難しい ぞ 。 更に バルーン や エグッグ が 動け ない 所 に 噛み付き 続ける 。

こりゃ あ 勝てる ぞ !

対人 の 対戦 経験 無い んじゃ ない か ?

「 ガハ !

プリズン が 砕ける 。

その タイミング に 合わせて クールタイム が 過ぎた エアストシールド を 元 康 の 腹 に 再 召喚 。

バルーン が 割れる 事 無く 、 しかも 隙 あら ば ドッグバイト で 攻めて いけば 勝てる ぞ !

「 さっさと 負け を 認めろ !

こんな 茶 番 で 勝って お前 は 嬉しい の か ? 「 盾 の 癖 に 槍 の 勇者 様 に 何 を する んだ ー !

野次 が 聞こえて くる 。

知った こと か 、 八百長 試合 を さ せた の を 黙って 聞き入れた 外野 が 騒ぐ な 。

「 こ 、 このまま じゃ 盾 が 勝つ んじゃ ない か ?

「 まさか …… 嘘 だ ろ ?

とんだ 番狂わせ だった な 。

「 ほら 元 康 、 降参 しろ 。

お前 の 負け だ 」

「 だ 、 誰 が 降参 なんて する か !

「 じゃあ 耐え きれ なく なる まで 押さえ つける まで だ 。

実際 、 俺 の 勝ち の はずな んだ が な ー ……」

審判 を して いる 王 に 視線 を 向ける と 、 露骨に 余所見 を して い やがる 。

無かった こと に する つもりだ な 。

ならば このまま バルーン と エグッグ に 元 康 の 顔 や 手足 を 攻撃 さ せ 続ける と する か 。

じゃ ない と アイツ 等 は どっち が 勝って いる の か 分から ない みたいだ し 。

と 、 思って いたら ──。

「 ぐ あっ ……!

突然 背後 を 強く 押さ れ 、 よろめく 。

何 が あった か よろめき ながら 衝撃 が 来た と 思わ しき 方角 を 見る 。

する と そこ に は あの 地雷 女 !

マイン が 人 混 み に まぎれて こっち に 向けて 手 を かざして いた のだ 。

おそらく 、 風 の 魔法 だ 。

確か 、 ウイングブロウ と いう 拳 大 の 空気 の 塊 を 当てる 魔法 。

空気 の 塊 故 に 見た目 は 透明 。

良く 見 なければ 見え ない 。

マイン の 奴 、 して やったり と いう 笑み を 浮かべ 、 あっかん べ ー と 挑発 して いる 。

「 て め え ええ ええ !

俺 の 叫び は 起き上がった 元 康 の 反撃 に かき消さ れた 。

立ち 上がった 元 康 は 直 に 矛 で バルーン を 殲滅 し 、 俺 に 矛 を 向ける 。

既に バルーン は い ない 。

もはや 反撃 効果 の ある 盾 で 誤 魔 化 す しか ない 。

クソッ !

元 康 ……! どこ まで 卑怯 な 男 だ 。

以降 は 一方的な 戦い だった 。

反撃 効果 の ドッグバイト を 当てる 位 しか 手段 が 無くなった から だ 。

やがて 猛攻 に 倒れた 俺 に 元 康 が 肩 で 息 を し ながら 、 矛 を 首筋 に 当てる 。

「 は ぁ …… は ぁ …… 俺 の 、 勝ち だ !

災厄 の 波 より も つら そうな 表情 で 元 康 は 矛 を 掲げて 宣言 した 。


盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 22 たて の ゆうしゃ の なり あがり|chapter Der Aufstieg des Schildhelden 01 Kapitel 22. The Rise of the Shield Hero 01 Chapter 22 Rise of the shield hero 01 Capítulo 22. Powstanie bohatera tarczy 01 Rozdział 22. Ascensão do herói do escudo 01 Capítulo 22. 盾之勇者成名錄 01 第 22 章

二十二 話   矛盾 の 実践 にじゅうに|はなし|むじゅん||じっせん 22 The practice of contradiction

城 の 庭 は 今 、 決闘 会場 と 化して いた 。 しろ||にわ||いま|けっとう|かいじょう||かして| The castle yard had now turned into a dueling hall.

辺り に は 松明 が 焚 かれ 、 宴 を 楽しんで いた 者 達 が みんな 勇者 の 戦い を 楽しみに して いる 。 あたり|||たいまつ||ふん||えん||たのしんで||もの|さとる|||ゆうしゃ||たたかい||たのしみに|| Torches are lit around the area, and all the revelers are looking forward to the battle of the heroes.

しかし 、 決着 が どう 付く か は 既に 周知 の 事実 と なって いる のだ 。 |けっちゃく|||つく|||すでに|しゅうち||じじつ|||| However, it is already a well-known fact how the settlement will end.

攻撃 する 手段 の 無い 俺 と 、 槍 の 勇者 である 元 康 の 戦い 。 こうげき||しゅだん||ない|おれ||やり||ゆうしゃ||もと|やす||たたかい It was a battle between me, who had no means to attack, and Motoyasu, a brave spearman.

盾 の 勇者 一行 と 槍 の 勇者 一行 の 戦い …… で は なく 、 俺 と 元 康 の 一騎打ち に なった 。 たて||ゆうしゃ|いっこう||やり||ゆうしゃ|いっこう||たたかい||||おれ||もと|やす||いっきうち|| Instead of a battle between a group of brave shieldmen and a group of brave spearmen ......, it became a one-on-one battle between me and Motoyasu.

さすが に 元 康 自身 の プライド が 許さ なかった らしい 。 ||もと|やす|じしん||ぷらいど||ゆるさ|| As expected, Motoyasu's own pride would not allow it.

結果 は 誰 だって 想像 出来る 。 けっか||だれ||そうぞう|できる Anyone can imagine the result.

現に この 手 の 場面 で お 約束 である 賭博 行為 を する 声 が まったく 聞こえて こ ない 。 げんに||て||ばめん|||やくそく||とばく|こうい|||こえ|||きこえて|| In fact, in this kind of scene, I can't hear the promised gambling at all.

まあ 城 に 居る の が 貴族 が 多い と 言う の も ある けれど 、 波 で 戦った 冒険 者 だって 居る のだ 。 |しろ||いる|||きぞく||おおい||いう|||||なみ||たたかった|ぼうけん|もの||いる| Well, it is said that there are many nobles in the castle, but there are also adventurers who fought in the waves. 普通であれば 賭博 が 行わ れ ない はず が 無い 。 ふつうであれば|とばく||おこなわ|||||ない Under normal circumstances, there is no reason why gambling would not take place.

つまり みんな 分かって いて 尚 、 俺 に 敗北 を 要求 して いる 。 ||わかって||しよう|おれ||はいぼく||ようきゅう||

錬 や 樹 も 城 の テラス から こちら を 傍観 して 笑って いる 。 ||き||しろ||てらす||||ぼうかん||わらって| Ren and Itsuki are also watching from the castle terrace and laughing.

俺 が 負け 、 奴隷 を 失う 瞬間 を 楽しみに 見て いる のだ 。 おれ||まけ|どれい||うしなう|しゅんかん||たのしみに|みて|| I'm looking forward to the moment when I lose and lose my slave.

クソ ! くそ

クソクソクソクソ !

ど いつも こいつ も 俺 から 毟り 取る 事 しか 考えて い やがら ない 。 ||||おれ||むしり|とる|こと||かんがえて||や がら| This guy is always thinking about nothing but taking things away from me.

波 と の 戦い であって も 俺 達 に 火 の 雨 を 降ら す 。 なみ|||たたかい|||おれ|さとる||ひ||あめ||ふら| Even if it's a battle with the waves, it rains fire on us.

世界 中 の 全て が 俺 を あざ笑う 敵 に しか 見え ない 。 せかい|なか||すべて||おれ||あざわらう|てき|||みえ| Everything in the world seems to me to be an enemy mocking me.

…… 良い だろう 。 よい| ...... would be good.

俺 に は 敗北 しか 選択肢 は 無い 。 おれ|||はいぼく||せんたくし||ない Defeat is the only option for me. だが 、 タダ で 負けて なんか やら ない 。 |ただ||まけて||| But I won't do it for free.

見て い やがれ 元 康 。 みて||や がれ|もと|やす Watch it, Motoyasu.

お前 に は 抑え きれ ない 程 の 恨み が ある んだ 。 おまえ|||おさえ|||ほど||うらみ||| You have so much resentment that you can't control it.

「 では 、 これ より 槍 の 勇者 と 盾 の 勇者 の 決闘 を 開始 する ! |||やり||ゆうしゃ||たて||ゆうしゃ||けっとう||かいし| "Now then, the duel between the Hero of the Spear and the Hero of the Shield will begin!

勝敗 の 判定 は トドメ を 刺す 寸前 まで 相手 を 追い 詰める か 、 敗北 を 認める こと 」 しょうはい||はんてい||||さす|すんぜん||あいて||おい|つめる||はいぼく||みとめる| Victory is determined by pushing your opponent to the brink of victory or conceding defeat.

俺 は 手首 が 上手く 回る か 試し 、 指 を 鳴らし つつ 、 構える 。 おれ||てくび||うまく|まわる||ためし|ゆび||ならし||かまえる I tried to see if I could turn my wrist well, snapped my fingers, and took a stance.

「 矛 と 盾 が 戦ったら どっち が 勝つ か 、 なんて 話 が ある が …… 今回 は 余裕 だ な 」 ほこ||たて||たたかったら|||かつ|||はなし||||こんかい||よゆう|| There's a story about which side would win in a battle of the shields, and ...... has plenty to spare this time.

元 康 は 鼻 に 掛けた 態度 で 俺 を 蔑む ように 睨んで いる 。 もと|やす||はな||かけた|たいど||おれ||さげすむ||にらんで| Motoyasu is glaring at me contemptuously with a snide attitude.

ふざけ や が って 。 Bullshit .

「 では ──」

元 康 、 戦い は 相手 を 倒す こと だけ じゃ ない と 教えて やる 。 もと|やす|たたかい||あいて||たおす||||||おしえて| Motoyasu, I'll teach you that fighting isn't just about defeating your opponent.

矛盾 と は 最強の 矛 と 盾 を 売ろう と した 商人 に どっち が 最強な んだ と 周り の 連中 が 聞いた こと から 話 が 始まる 。 むじゅん|||さいきょうの|ほこ||たて||うろう|||しょうにん||||さいきょうな|||まわり||れんちゅう||きいた|||はなし||はじまる Contradiction begins with a merchant trying to sell the strongest spear and shield, and the people around him asking which one is the strongest.

辻 褄 が 合わ ない 事 を 指す 言葉 だ 。 つじ|つま||あわ||こと||さす|ことば| It's a word for things that don't add up.

だけど 、 この 矛盾 と いう 言葉 自体 が 、 矛盾 である と 俺 は 思って いる 。 ||むじゅん|||ことば|じたい||むじゅん|||おれ||おもって| However, I believe that the word contradiction itself is a contradiction.

そもそも 、 何 を 以 て 勝負 が 決する と いう の か 。 |なん||い||しょうぶ||けっする|||| In the first place, what is it that decides the battle?

将棋 と 囲碁 で 勝負 する ような もの だ ぞ 。 しょうぎ||いご||しょうぶ||||| It's like playing Shogi and Igo.

仮に それ で 勝負 する なら 持ち 手 に 注目 して みれば どう だ ? かりに|||しょうぶ|||もち|て||ちゅうもく|||| If you're going to compete on that basis, why don't you focus on the handlers?

矛 の 目的 は 相手 を 殺す 武器 。 ほこ||もくてき||あいて||ころす|ぶき The purpose of the spear is to kill the opponent.

盾 の 目的 は 持ち 手 を 守る 防 具 。 たて||もくてき||もち|て||まもる|ふせ|つぶさ The purpose of a shield is to protect the holder.

ここ まで 視野 を 広げる と 、 最強の 矛 から 持ち 手 を 守った 盾 の 勝利 、 である と いう 考え も ある 。 ||しや||ひろげる||さいきょうの|ほこ||もち|て||まもった|たて||しょうり||||かんがえ|| If we broaden our perspective to this point, we can also consider the shield as a victory that protects its wielder from the strongest contradiction.

根本 的に 目的 が 違う んだ 。 こんぽん|てきに|もくてき||ちがう| Their purpose is fundamentally different.

矛 と 盾 で は 。 ほこ||たて|| With a spear and shield.

「 勝負 ! しょうぶ

「 う お おお おお おお おお おお おお !

「 でりゃ ああ ああ ああ ああ あ ああ !

俺 は テレフォンパンチ の 構え を し ながら 元 康 の 方 へ 駆け寄る 。 おれ||||かまえ||||もと|やす||かた||かけよる I rushed over to Motoyasu while preparing for a telephone punch.

元 康 も 矛 を 構え ながら 走って 、 俺 に 一 突き しよう と 試みた 。 もと|やす||ほこ||かまえ||はしって|おれ||ひと|つき|||こころみた Motoyasu also ran while holding a spear and attempted to make a thrust at me.

距離 が 一気に 近づき 、 元 康 の 間合い に 入った 俺 に 元 康 は 勢い を 付けて 矛 を 前 に 突く 。 きょり||いっきに|ちかづき|もと|やす||まあい||はいった|おれ||もと|やす||いきおい||つけて|ほこ||ぜん||つく As the distance between the two of us grew closer, Motoyasu thrust his spear forward with momentum as I entered his space.

「 乱れ 突き ! みだれ|つき Rampant Thrust!

元 康 の 矛 が 一瞬にして 何 個 に も 分かれて 飛んで くる 。 もと|やす||ほこ||いっしゅんにして|なん|こ|||わかれて|とんで| Motoyasu's spear split into many pieces and flew at them.

スキル か ! Skills!

いきなり か まして くる と はやって くれる 。 If you come suddenly, they will do it.

俺 の 突進 は 止め られ ない 。 おれ||とっしん||とどめ|| My rush is unstoppable.

盾 で 頭 を 守り ながら 走り 抜ける 。 たて||あたま||まもり||はしり|ぬける It runs while protecting its head with a shield.

く …… 鋭い 矛 の 先端 が 二 発 刺さり 、 肩 と 脇腹 に 痛み が 走った 。 |するどい|ほこ||せんたん||ふた|はつ|ささり|かた||わきばら||いたみ||はしった Ku... The tip of the sharp spear stabbed me twice, and pain ran through my shoulder and side.

かすり傷 だ けど 、 やはり 勇者 の 攻撃 だけ あって 耐え 切れ ない 。 かすりきず||||ゆうしゃ||こうげき|||たえ|きれ| It's only a scratch, but it's still a very hard to resist, just like a brave man's attack.

しかし 元 康 の スキル は それ で 一 度 打ち切り 、 クールタイム に 入った ようだ 。 |もと|やす||||||ひと|たび|うちきり|||はいった| However, Motoyasu's skill seems to have been discontinued and entered a cooldown.

「 喰 ら え ! しょく|| "Eat it!

それ でも 元 康 は 俺 に 向けて 矛 を 放つ 。 ||もと|やす||おれ||むけて|ほこ||はなつ But Motoyasu still pointed the spear at me.

槍 、 もしくは 矛 の 弱点 は その 射程 に ある 。 やり||ほこ||じゃくてん|||しゃてい|| The spear's or spear's weakness is its range.

中 距離 を 得意 と する 長 物 の 武器 は 射程 の 内側 に 来 られる と 途端 に 扱い が 難しく なる のだ 。 なか|きょり||とくい|||ちょう|ぶつ||ぶき||しゃてい||うちがわ||らい|||とたん||あつかい||むずかしく|| A long weapon that excels at mid-range becomes difficult to handle as soon as it comes inside the range. 本来 であれば 近付か れる 前 に 敵 を 倒せば 良い 。 ほんらい||ちかづか||ぜん||てき||たおせば|よい Normally, you should defeat the enemy before they get close. だが 俺 は 、 盾 は 一撃 で は 倒れ ない 。 |おれ||たて||いちげき|||たおれ| But I know that the shield won't go down with a single blow. 俺 は 紙一重 で 元 康 の 突き を 避け 、 全体 重 を 掛けて 突進 し 、 組み 伏す 。 おれ||かみひとえ||もと|やす||つき||さけ|ぜんたい|おも||かけて|とっしん||くみ|ふす I dodged Motoyasu's thrust with a fine line, and charged with all my weight, then grappled.

そして 元 康 の 顔面 に 拳 を 叩き込んだ 。 |もと|やす||がんめん||けん||たたきこんだ He then slammed his fist into Motoyasu's face.

ガン ! がん

チッ !

やっぱり 俺 で は ダメージ を 負わ す こと が でき ない 。 |おれ|||だめーじ||おわ||||| After all, I can't inflict damage on myself.

しかし 、 俺 の 攻撃 は これ だけ で 納まる はず も 無い 。 |おれ||こうげき|||||おさまる|||ない However, there's no way my attacks will end there.

元 康 の 野郎 は 俺 の 攻撃 が 痛く も 痒 く も 無い の か 舐めた 目 を し や がる 。 もと|やす||やろう||おれ||こうげき||いたく||よう|||ない|||なめた|め|||| Motoyasu's bastard licked his eyes as if my attack didn't hurt or itch.

何時まで そんな 顔 で 居ら れる かな ? いつまで||かお||おら|| How long can you stay with that face?

俺 は マント の 中 から 必殺 武器 を 取り出して 元 康 の 顔 に ねじ 込む 。 おれ||まんと||なか||ひっさつ|ぶき||とりだして|もと|やす||かお|||こむ I take out my deadly weapon from inside my cloak and screw it into Motoyasu's face.

「 いて !

波 の 時 に 火 の 雨 を 受けて 全滅 して しまった が 、 城 に 来る 途中 で 拾って きた 脅し の 道具 だ 。 なみ||じ||ひ||あめ||うけて|ぜんめつ||||しろ||くる|とちゅう||ひろって||おどし||どうぐ| It was wiped out by the rain of fire during the wave, but it's a tool of intimidation that I picked up on my way to the castle.

「 な ?

な !?」

ククク …… 元 康 の 奴 、 メチャクチャ 戸惑い の 声 を 上げて や がる 。 |もと|やす||やつ||とまどい||こえ||あげて|| Kukukuku... Motoyasu's bastard let out a bewildered voice.

攻撃 する 相手 を 変えた バルーン が 元 康 に 必死に 噛み付いて いる 。 こうげき||あいて||かえた|||もと|やす||ひっしに|かみついて| The balloon that has changed its attacking opponent desperately bites Motoyasu.

「 いて 、 いて ! "Ouch, ouch!

元 康 は 大事な 顔 を 噛ま れて 痛み に 悶えた 。 もと|やす||だいじな|かお||かま||いたみ||もだえた Motoyasu writhed in pain after being bitten on his precious face.

そう 、 俺 の 攻撃 は 何も 素手 だけ で は ない 。 |おれ||こうげき||なにも|すで|||| Yes, my attacks are not limited to bare hands.

バルーン と 言う 人間 専門 の 便利な 武器 が ある んだ よ ! ||いう|にんげん|せんもん||べんりな|ぶき|||| There's a convenient human-specific weapon called a balloon!

「 オラオラオラ !

顔 に 二 匹 、 そして 立ち 上がれ ない ように 足 で 元 康 を 押さえ つけ ながら 股 間 に バルーン を 投げ つける 。 かお||ふた|ひき||たち|あがれ|||あし||もと|やす||おさえ|||また|あいだ||||なげ| Two on his face, and while holding down Motoyasu with his legs to prevent him from standing up, he threw a balloon between his legs.

「 な 、 なんで バルーン が !?」 "Wha, why is there a balloon!?"

観衆 が 悲鳴 を 上げる 。 かんしゅう||ひめい||あげる The crowd screams.

知った こと か ! しった|| Did you know!

後 は 全 体重 を 掛けて 、 股 間 に バルーン を 深く 齧り付か せる 。 あと||ぜん|たいじゅう||かけて|また|あいだ||||ふかく|かじりつか| After that, put your whole weight on it and bite the balloon deeply into your crotch.

「 グ …… て め え ! "Gu... you!

何の 真似 だ ! なんの|まね| What is imitating! 「 どうせ 勝て ない なら 、 精一杯 嫌がらせ し てる よ ! |かて|||せいいっぱい|いやがらせ||| "If you can't win anyway, I'll do my best to harass you!

ターゲット は モテ 男 の 命 である 顔 と 、 男 の 証 である 股 間 だ ! たーげっと|||おとこ||いのち||かお||おとこ||あかし||また|あいだ| て め ぇ なんて 面 と 玉 が なけりゃ タダ の キモイオタク な んだ よ ! ||||おもて||たま|||ただ||||| If you don't have a mask and balls, you're a gross otaku! 「 な っ !?  やめろ おお おお ぉぉ ぉぉ ! "No! No, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no!

「 不能に なり や が れ れ え ええ ぇぇ ぇ ! ふのうに||||||||| "You can be disabled and yeah yeah!

ガツンガツン と 俺 は 元 康 が バルーン を 剥がそう と する 手 を 妨害 する 。 ||おれ||もと|やす||||はがそう|||て||ぼうがい| With a bang, I obstruct Motoyasu's hand when he tries to peel off the balloon.

元 康 は 顔面 に 引っ付いた バルーン を 引き 剥がす の が やっと で 、 倒れた 体勢 で は 強く 矛 も 振るえ ない 。 もと|やす||がんめん||ひっついた|||ひき|はがす|||||たおれた|たいせい|||つよく|ほこ||ふるえ| Motoyasu was barely able to tear off the balloon stuck to his face, and when he was lying down, he was so strong that he could not swing his spear.

その ため 、 顔面 の バルーン を 割る ごと に 俺 が 追加 の バルーン を 投げ つける と また 対処 に 時間 を 食う 。 ||がんめん||||わる|||おれ||ついか||||なげ||||たいしょ||じかん||くう Because of that, if I throw an additional balloon every time I pop the balloon on the face, it takes time to deal with it. 無論 バルーン だけ で は なく 、 エグッグ など も 含め 元 康 は 針 の 筵 状態 だ 。 むろん|||||||||ふくめ|もと|やす||はり||むしろ|じょうたい| Of course, it wasn't just the balloon, but also the eggs, etc., and Motoyasu was in a state of a straw mat.

この 間 に 出来る 限り の 嫌がらせ を する 。 |あいだ||できる|かぎり||いやがらせ|| Harass as much as possible during this time.

どうせ 負ける んだ 。 |まける| I'm going to lose anyway.

なら 、 最大 限 の トラウマ を 元 康 に 刻み 込んで やる 。 |さいだい|げん||||もと|やす||きざみ|こんで| If that's the case, I'm going to imprint maximum trauma on Motokoshi.

「 オラオラオラ ! "Ooh, ooh, ooh, ooh, ooh!

「 くっ !

この やろ おお おお ! This yam. Oh, oh, oh, oh! 全力 で 起き上がろう と する 元 康 を 全 体重 で 押さえ つけ 、 バルーン の 攻撃 が 続いて いく 。 ぜんりょく||おきあがろう|||もと|やす||ぜん|たいじゅう||おさえ||||こうげき||つづいて| Motoyasu tries to get up with all his might, but the balloon continues to attack.

そうだ 。 そう だ

どっち 道 負ける の なら 試して みる 手 も ある な 。 |どう|まける|||ためして||て||| If you're going to lose either way, there's also a way to try it.

盾 を 双 頭 黒 犬 の 盾 に 変化 さ せる 。 たて||そう|あたま|くろ|いぬ||たて||へんか|| Transforms the shield into a two-headed black dog shield.

そして 押さえ つけ られた 体勢 の 為 に 力 の 入ら ない 元 康 の 槍 の 切 っ 先 を 盾 で 受け止めた 。 |おさえ|||たいせい||ため||ちから||はいら||もと|やす||やり||せつ||さき||たて||うけとめた Then, he blocked the tip of Motoyasu's spear, which was weak due to his pinned down position, with his shield.

黒板 を 引っかいた ような 音 が 響く 。 こくばん||ひっかいた||おと||ひびく The sound of scratching on the blackboard echoed.

専用 効果 、 ドッグバイト が 作動 し 、 盾 に 装飾 さ れて いた 犬 の 剥製 が 元 康 に 向 って 吠えて 噛みつく 。 せんよう|こうか|||さどう||たて||そうしょく||||いぬ||はくせい||もと|やす||むかい||ほえて|かみつく The stuffed dog on the shield barks and bites at Motoyasu, activating Dog Bite, a special effect.

ドッグバイト は 攻撃 を 受けて 発動 する カウンター 効果 だ 。 ||こうげき||うけて|はつどう||かうんたー|こうか| Dogbite is a counter effect that activates upon receiving an attack.

この 効果 に よって 、 犬 の 装飾 部分 が 動いて 、 敵 に 食らいつく 。 |こうか|||いぬ||そうしょく|ぶぶん||うごいて|てき||くらいつく This effect causes the dog's decoration to move and bite the enemy.

効果 時間 は 三〇 秒 。 こうか|じかん||みっ|びょう The effect time is 30 seconds.

普段 の 使用 用途 は 敵 に 僅かな ダメージ を 与えて 拘束 する と 言う 物 だ が 、 こう 言う 使い道 も ある 。 ふだん||しよう|ようと||てき||わずかな|だめーじ||あたえて|こうそく|||いう|ぶつ||||いう|つかいみち|| Its normal use is to inflict a small amount of damage on the enemy and restrain them, but there is another way to use it.

「 い 、 い で !

お ?

ちゃんと ダメージ が 入る じゃ ない か 。 |だめーじ||はいる||| It's not going to do any damage. もしかしたら 勝てる かも しれ ない 。 |かてる||| Maybe we can win.

なら やる 手 は 他 に も 出て くる 。 ||て||た|||でて| If so, there are other ways to do it.

「 エアストシールド ! "East Shield!

場所 は 元 康 の 腹 だ 。 ばしょ||もと|やす||はら| The location is Motoyasu's belly.

盾 が 出現 して 元 康 の 腹 に 盾 が 乗っかる 。 たて||しゅつげん||もと|やす||はら||たて||のっかる A shield appears and rests on Motoyasu's stomach.

スキル に は こういう 使い 方 も ある ! ||||つかい|かた|| There are other ways to use skills!

「 ぐ …… は 、 放せ ! ||はなせ Let go of ......!

「 やれる もの なら やって みろ ! "If you can do it, do it!

この 卑怯 者 が ! |ひきょう|もの| You coward! 俺 に 攻撃 の 手段 が 無い と 舐め きった 事 を 考えて いる から こう なる んだ 。 おれ||こうげき||しゅだん||ない||なめ||こと||かんがえて||||| I'm like this because I'm thinking that I have no way to attack.

双 頭 黒 犬 の 盾 を 元 康 の 顔面 に 近づけ 、 顔 を 上げる タイミング に あわせて ぶつける 。 そう|あたま|くろ|いぬ||たて||もと|やす||がんめん||ちかづけ|かお||あげる|たいみんぐ||| He brings the shield of the two-headed black dog close to Motoyasu's face and strikes him when he looks up.

ドッグバイト が 作動 し 、 元 康 の 顔 に 噛みつく 。 ||さどう||もと|やす||かお||かみつく The dog bites are activated and bite Motoyasu in the face.

「 ぐ …… て め ぇ ! "Goo... you!

覚えて ろ ! おぼえて| Remember that! 「 知る か ! しる| " Do you know !

おっと エアストシールド の 効果 時間 が 切れる な 。 |||こうか|じかん||きれる| Oops, the East Shield's effect time has expired.

「 シールドプリズン ! "Shield Prison!

「 く ……──!

今度 は 大きな 盾 の 檻 だ 。 こんど||おおきな|たて||おり| Now it's a big shield cage.

その 体勢 で の 脱出 は 難しい ぞ 。 |たいせい|||だっしゅつ||むずかしい| It's hard to get out of that position. 更に バルーン や エグッグ が 動け ない 所 に 噛み付き 続ける 。 さらに|||||うごけ||しょ||かみつき|つづける Balloons and eggheads continue to bite at the stuck places.

こりゃ あ 勝てる ぞ ! ||かてる| This is a winner!

対人 の 対戦 経験 無い んじゃ ない か ? たいじん||たいせん|けいけん|ない||| You have no experience playing against other people, do you?

「 ガハ !

プリズン が 砕ける 。 ||くだける Prison crumbles.

その タイミング に 合わせて クールタイム が 過ぎた エアストシールド を 元 康 の 腹 に 再 召喚 。 |たいみんぐ||あわせて|||すぎた|||もと|やす||はら||さい|しょうかん At the same time, the cooldown expires, and the Aerst Shield is summoned back to Motoyasu's belly.

バルーン が 割れる 事 無く 、 しかも 隙 あら ば ドッグバイト で 攻めて いけば 勝てる ぞ ! ||われる|こと|なく||すき|||||せめて||かてる| If the balloon doesn't break, and if you can use the dogbite whenever the opportunity arises, you can win the game!

「 さっさと 負け を 認めろ ! |まけ||みとめろ "Hurry up and admit defeat!

こんな 茶 番 で 勝って お前 は 嬉しい の か ? |ちゃ|ばん||かって|おまえ||うれしい|| Are you happy to win such a farce? 「 盾 の 癖 に 槍 の 勇者 様 に 何 を する んだ ー ! たて||くせ||やり||ゆうしゃ|さま||なん||||- "What to do for the brave of spear in the habit of shield -!

野次 が 聞こえて くる 。 やじ||きこえて| I hear a hoot.

知った こと か 、 八百長 試合 を さ せた の を 黙って 聞き入れた 外野 が 騒ぐ な 。 しった|||やおちょう|しあい||||||だまって|ききいれた|がいや||さわぐ| Do not be afraid of the outfield that you heard silently listening to what he knew, to have a match played.

「 こ 、 このまま じゃ 盾 が 勝つ んじゃ ない か ? |||たて||かつ||| "At this rate, the shield will win, won't it?

「 まさか …… 嘘 だ ろ ? |うそ|| "No way... you're lying, right?

とんだ 番狂わせ だった な 。 |ばんくるわせ|| It was quite an upset.

「 ほら 元 康 、 降参 しろ 。 |もと|やす|こうさん| "Look Motoyasu, surrender.

お前 の 負け だ 」 おまえ||まけ| It's your loss."

「 だ 、 誰 が 降参 なんて する か ! |だれ||こうさん||| "Wait, who would surrender!

「 じゃあ 耐え きれ なく なる まで 押さえ つける まで だ 。 |たえ|||||おさえ||| "Then hold it down until it becomes unbearable.

実際 、 俺 の 勝ち の はずな んだ が な ー ……」 じっさい|おれ||かち||||||- Actually, I should have won, but..."

審判 を して いる 王 に 視線 を 向ける と 、 露骨に 余所見 を して い やがる 。 しんぱん||||おう||しせん||むける||ろこつに|よそみ||||や がる When I turned my gaze to the king who was judging, he blatantly looked the other way.

無かった こと に する つもりだ な 。 なかった||||| I am going to declare it was not there.

ならば このまま バルーン と エグッグ に 元 康 の 顔 や 手足 を 攻撃 さ せ 続ける と する か 。 ||||||もと|やす||かお||てあし||こうげき|||つづける||| In that case, should we continue to let Balloon and Eggg attack Motoyasu's face and limbs?

じゃ ない と アイツ 等 は どっち が 勝って いる の か 分から ない みたいだ し 。 ||||とう||||かって||||わから||| Otherwise, it seems like they won't know who's winning.

と 、 思って いたら ──。 |おもって| I was thinking ──.

「 ぐ あっ ……! "Guah...!

突然 背後 を 強く 押さ れ 、 よろめく 。 とつぜん|はいご||つよく|おさ|| Suddenly there was a strong push behind me and I staggered.

何 が あった か よろめき ながら 衝撃 が 来た と 思わ しき 方角 を 見る 。 なん||||||しょうげき||きた||おもわ||ほうがく||みる While staggering to see what happened, I looked in the direction where the impact seemed to have come.

する と そこ に は あの 地雷 女 ! ||||||じらい|おんな Then there's that landmine woman!

マイン が 人 混 み に まぎれて こっち に 向けて 手 を かざして いた のだ 。 ||じん|こん||||||むけて|て|||| Mine was hiding in the crowd and pointing her hand at me.

おそらく 、 風 の 魔法 だ 。 |かぜ||まほう| It's probably wind magic.

確か 、 ウイングブロウ と いう 拳 大 の 空気 の 塊 を 当てる 魔法 。 たしか||||けん|だい||くうき||かたまり||あてる|まほう If I'm not mistaken, it's a magic called Wing Blow that hits a fist-sized mass of air.

空気 の 塊 故 に 見た目 は 透明 。 くうき||かたまり|こ||みため||とうめい It looks transparent because it is a mass of air.

良く 見 なければ 見え ない 。 よく|み||みえ| You can't see it unless you look closely.

マイン の 奴 、 して やったり と いう 笑み を 浮かべ 、 あっかん べ ー と 挑発 して いる 。 ||やつ|||||えみ||うかべ|||-||ちょうはつ|| Mine's guy smiled as if he had done it, and was provoking him.

「 て め え ええ ええ !

俺 の 叫び は 起き上がった 元 康 の 反撃 に かき消さ れた 。 おれ||さけび||おきあがった|もと|やす||はんげき||かきけさ| My scream was drowned out by Motoyasu's counterattack.

立ち 上がった 元 康 は 直 に 矛 で バルーン を 殲滅 し 、 俺 に 矛 を 向ける 。 たち|あがった|もと|やす||なお||ほこ||||せんめつ||おれ||ほこ||むける Motoyasu stood up and immediately destroyed the balloon with his spear and pointed it at me.

既に バルーン は い ない 。 すでに|||| No more balloons.

もはや 反撃 効果 の ある 盾 で 誤 魔 化 す しか ない 。 |はんげき|こうか|||たて||ご|ま|か||| There is no choice but to deceive it with a shield that has a counterattack effect.

クソッ !

元 康 ……! もと|やす どこ まで 卑怯 な 男 だ 。 ||ひきょう||おとこ| What kind of a coward is this guy?

以降 は 一方的な 戦い だった 。 いこう||いっぽうてきな|たたかい| After that, it was a one-sided battle.

反撃 効果 の ドッグバイト を 当てる 位 しか 手段 が 無くなった から だ 。 はんげき|こうか||||あてる|くらい||しゅだん||なくなった|| It's because there's nothing left to do but hit the counterattack with a dog bite.

やがて 猛攻 に 倒れた 俺 に 元 康 が 肩 で 息 を し ながら 、 矛 を 首筋 に 当てる 。 |もうこう||たおれた|おれ||もと|やす||かた||いき||||ほこ||くびすじ||あてる Before long, I was defeated by a fierce attack, and Motoyasu put his spear to my neck while breathing on my shoulder.

「 は ぁ …… は ぁ …… 俺 の 、 勝ち だ ! ||||おれ||かち| "Haa...haa...my win!

災厄 の 波 より も つら そうな 表情 で 元 康 は 矛 を 掲げて 宣言 した 。 さいやく||なみ||||そう な|ひょうじょう||もと|やす||ほこ||かかげて|せんげん| Motoyasu raised his spear with an expression that looked more painful than a wave of calamity and declared.