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2 - Harry Potter, 7.1 穢れた血と幽かな声 - Mudbloods and Murmurs

7.1 穢れた血と幽かな声 - Mudbloods and Murmurs

第 7 章 穢 れた 血 と 幽 かな 声 - Mudbloods and Murmurs

それ から 二 、 三 日 は 、 ギルデロイ ・ ロックハート が 廊下 を 歩いて くる の が 見える たび に 、 サッと 隠れる と いう 事 の 繰り返し で 、 ハリー は ずいぶん 時間 を 取ら れた 。 それ より 厄介な の が コリン ・ クリービー だった 。 どうも ハリー の 時間割 を 暗記 して いる らしい 。 「 ハリー 、 元 気 かい ?」 と 一 日 に 六 回 も 七 回 も 呼びかけ 、「 や ぁ 、 コリン 」 と ハリー に 返事 を して もらう だけ で 、 たとえ ハリー が どんなに 迷惑 そうな 声 を 出そう が 、 コリン は 最高に わくわく して い る ようだった 。

ヘドウィグ は あの ひどく 惨めな 空 の ドライブ の こと で 、 ハリー に 腹 を 立てっぱなし だった し 、 ロン の 杖 は 相変わらず 使い物 に なら なかった 。 金曜日 の 午前 、「 妖精 の 魔法 」 の 授業 中 に 、 杖 は キレ て ロン の 手 から 飛び出し 、 チビ の 老 教授 、 フリットウィック 先生 の 眉間 に まと も に 当たり 、 そこ が 大きく 腫れあがって 、 ズキンズキン 痚 そうな 緑色 の 瘤 を 作った 。 あれ や これ や で 、 ハリー は やっと 週 末 に なって ほっと した 。 土曜日 の 午前 中 に 、 ロン や ハーマイオ ニー と 一緒に 、 ハリー は は グリッド を 訪ねる 予定 だった 。 ところが 、 起きたい と 思って いた 時間 より 数 時間 も 早く 、 グリフィンドール ・ クィディッチ ・ チーム の キャプテン 、 オリ バー ・ ウッド に 揺り起こさ れた 。 「 に ゃに ごと な の ?」 と ハリー は 寝ぼけ 声 を 出した 。

「 クィディッチ の 練習 だ ! 起きろ !」 ウッド が 怒鳴った 。

ハリー は 薄 め を 開けて 窓 の 方 を 見た 。 ピンク と 金色 の 空 に うっすら と 朝靄 が かかって いる 。 目 が 覚めて みれば 、 こんなに 鳥 が 騒がしく 鳴いて いる のに 、 よく 寝て いられた もの だ と 思った 。 「 オリバー 、 夜 が 明けた ばかりじゃ ない か 」 ハリー は かすれ 声 で 言った 。

「 その 通り 」

ウッド は 背 が 高く たくましい 六 年生 で 、 その 目 は 、 今や 普通 と は 思え ない 情熱 で ギラギラ 輝 いて いた 。

「 これ も 新しい 練習 計画 の 一部 だ 。 さあ 、 箒 を 持て 、 行く ぞ 」 ウッド が 威勢 よく 言った 。 「 他の チーム は まだ どこ も 練習 を 開始 して いない 。 今年 は 我々 が 一番乗り だ ......」

あくび と 一緒に 、 尐 し 身震い し ながら 、 ハリー は ベッド から 降りて 、 クィディッチ 用 の ロー ブ を 探した 。

「 それ で こそ 男 だ 。 十五 分 後 に 競技 場 で 会おう 」 と ウッド が 言った 。

チーム の ユニフォーム 、 深紅 の ローブ を 探し出し 、 寒い ので その 上 に マント を 着た 。 ロン に 走り書き で 行き先 を 告げる メモ を 残し 、 ハリー は ニンバス 2000 を 肩 に 、 螺旋 階段 を 下 り 、 談話 室 へ 向かった 。 肖僕 画 の 穴 に 着いた その とき 、 後ろ で ガタガタ 音 が した か と 思う と 、 コリン ・ クリービー が 、 螺旋 階段 を 転がる ように 駆け 下りて きた 。 首 から かけた カメラ が ブランブラン 大きく 揺れ 、 手 に 何 か を 握りしめて いた 。

「 階段 の ところ で 誰 か が 君 の 名前 を 呼ぶ の が 聞えた んだ 。 ハリー ! これ 、 なんだか わかる ? 現像 した んだ 。 君 に これ を 見せ たくて ――」

コリン が 得意 げ に ヒラヒラ さ せて いる 写真 を 、 ハリー は なんだか わから ない まま に 覗いた 。

白黒 写真 の ロック ハート が 、 誰 か の 腕 を ぐいぐい 引っ張って いる 。 ハリー は それ が 自分 の 腕 だ と わかった 。 写真 の ハリー が なかなか がんばって 、 画面 に 引き込ま れ まい と 抵抗 して いる の を 見て ハリー は 嬉しく なった 。 ハリー が 写真 を 見て いる うち に 、 ロックハート は ついに 諦 め 、 ハーハー 息 を 切らし ながら 、 写真 の 白 枞 に もたれて へたり込んだ 。

「 これ に サイン して くれる ?」 コリン が 拝む ように 言った 。

「 ダメ 」

即座に 断り ながら 、 ハリー は あたり を 見回し 、 ほんとうに 誰 も 談話 室 に いない か どう か 確か め た 。 「 ごめん ね 、 コリン 、 急ぐ んだ ―― クィディッチ の 練習 で 」

ハリー は 肖僕 画 の 穴 を よじ登った 。

「 ウヮッ ! 待って よく クィディッチって 、 僕 、 見た こと ない んだ !」 コリン も 肖像 画 の 穴 を 這い上がって ついてきた 。 「 きっと ものすごく つま ん ない よ 」

ハリー が 慌てて 言った が 、 コリン の 耳 に は 入ら ない 。 興奮 で 顔 を 輝か せて いた 。

「 君って 、 この 百 年間 で 最 年 尐 の 寮 代表 選手 なん だって ? ね 、 ハリー 、 そう な の ?」 コリン は ハリー と 並んで トコトコ 小走り に なって 歩いた 。 「 君って 、 きっと ものすごく 巧 いんだ ね 。 僕 、 飛んだ こと ない んだ 。 簡単 ? それ 、 君 の 箒 な の ? それって 、 一 番 いい やつ な の ?」 ハリー は どう やって コリン を 追っ払えば いい の か 途方 に くれた 。 まるで 、 恐ろしく おしゃ べ り な 自分 の 影法師 に つきまとわれて いる ようだった 。 コリン は 息 を はずま せて しゃべり 続けて いる 。

「 クィディッチって 、 僕 、 あんまり 知ら ない んだ 。 ボール が 四 つ あるって ほんと ? そして そ の うち の 二 つ が 、 飛び回って 、 選手 を 箒 から 叩き 落とす んだって ?」 「 そうだ よ 」 ハリー は やれやれ と 諦めて 、 クィディッチ の 複雑な ルール に ついて 説明 する こと に した 。 「 その ボール は ブラッジャーって いう んだ 。 チーム に は 二 人 の ビーター が いて 、 クラブって いう 棍棒 で ブラッジャー を 叩いて 、 自分 の チーム から ブラッジャー を 追っ払う んだ 。 フレッ ド と ジョージ ・ ウィーズリー が グリフィンドール の ビーター だ よ 」

「 それ じゃ 、 他の ボール は なんの ため な の ?」

コリン は ポカッ と 口 を 開けた まま ハリー に 見とれて 、 階段 を ニ 、 三 段 踏みはずし そうに なり ながら 聞いた 。

「 えー と 、 まず クァッフル ―― 一 番 大きい 赤い やつ ―― これ を ゴール に 入れて 点 を 取る 。 各 チーム に チェイサー が 三 人 いて 、 クァッフル を パス し 合って 、 コート の 端に ある ゴール を 通 過 さ せる ―― ゴールって 、 てっぺん に 輪っか が ついた 長い 柱 で 、 両端 に 三 本 ずつ 立って る 」 「 それ で 四 番 目 の ボール が ――」 「 金色 の スニッチ だ よ 」 ハリー が あと を 続けた 。 「 とても 小さい し 、 速くって 、 捕まえる の は 難しい 。 だけど シーカー は それ を 捕まえ なく ちゃ いけない んだ 。 だって 、 クィディッチ の 試合 は 、 スニッチ を 捕まえる まで は 終わら ない んだ 。 シーカー が スニッチ を 捕まえた 方 の チーム に は 一五〇 点 追加 さ れる 」

「 そして 、 君 は グリフィンドール の シーカー な んだ 。 ね ?」 コリン は 尊敬 の まなざし で 言った 。

「 そうだ よ 」

二 人 は 城 を あと に し 、 朝露 で しっとり 塗れた 芝生 を 横切り はじめた 。 「 それ から キーパー が いる 。 ゴール を 守る んだ 。 それ で だいたい おしまい だ よ 。 うん 」

それ でも コリン は 質問 を やめ なかった 。 芝生 の 斜面 を 下りる 間 も 、 クィディッチ 競技 場 に つ くまで ずっと ハリー を 質問 攻め に し 、 やっと 振り払う こと が できた の は 、 更衣室 に たどり 着 いた とき だった 。

「 僕 、 いい 席 を 取り に 行く !」 コリン は ハリー の 後ろ から 上ずった 声 で 呼びかけ 、 スタンド の 方 に 走って 行った 。

グリフィンドール の 選手 たち は もう 更衣室 に 来て いた 。 バッチリ 目覚めて いる の は ウッド だ け の ようだった 。 フレッド と ジョージ は 腫れぼったい 目 で 、 くしゃくしゃ 髪 の まま 座り込 ん で いたし 、 その 隣 の 四 年生 の チェイサー 、 アリシア ・ スピネット と きたら 、 後ろ の 壁 に もたれて コックリコックリ して いる ようだった 。 その 向かい 側 で 、 チェイサー 仲間 の ケイティ ・ ベル と アンジェリーナ ・ ジョンソナ が 並んで あくび を して いた 。

「 遅い ぞ ハリー 。 どうかした か ?」 ウッド が きびきび と 言った 。

「 グラウンド に 出る 前 に 、 諸君 に 手短に 説明 して おこう 。 ひと 夏 かけて 、 まったく 新しい 練 習 方法 を 編み出した んだ 。 これ なら 絶対 、 今 まで と は でき が 違う ......」

ウッド は クィディッチ 競技 場 の 大きな 図 を 掲げた 。 図 に は 線 やら 矢印 やら バッテン が いく つ も 、 色とりどりの インク で 書き込まれて いる 。 ウッド が 杖 を 取り出して 図 を 叩く と 、 矢印 が 図 の 上 で 毛虫 の ように もぞもぞ 動き はじめた 。 ウッド が 新 戦略 に ついて の 演説 を ぶち 挙げ は じ め る と 、 フレッド ・ ウィーズリー の 頭 が コトン と アリシア ・ スピネット の 肩 に 乗っかり 、 いびき を かき はじめた 。

一 枚 目 の 説明 に ほとんど 二十 分 かかった 。 その 下 から 二枚目 、 さらに 三枚目 が 出て きた 。 ウッド が 延々と ぶち 挙げ 続ける の を 聞き ながら 、 ハリー は 、 ぼ ーっと 夢見 心地 に なって いった 。 「 と いう こと で ――」

やっと の こと で 、 ウッド が そう 言う の が 聞えた 。 今ごろ 城 で は どんな 朝食 を 食べて いる んだ ろうと 、 おいしい 空想 に 耽って いた ハリー は 、 突然 現実 に 引き戻さ れた 。 「 諸君 、 わかった か ? 質問 は ?」

「 質問 、 オリバー 」 急に 目 が 覚めた ジョージ が 聞いた 。

「 今 まで 言った こと 、 どうして 昨日 の うち に 、 俺 たち が 起きて る うち に 言って くれ なかった ん だい ?」

ウッド は むっと した 。 「 いい か 、 諸君 、 よく 聞けよ 」 ウッド は みんな を にらみつけ ながら 言った 。

「 我々 は 去年 クィディッチ に 勝つ はずだった んだ 。 まちがい なく 最強の チーム だった 。 残念 ながら 、 我々 の 力 で は どうにも なら ない 事態 が 起きて ......」

ハリー は 申し訳な さ そうに もじもじ した 。 昨年 の シーズン 最後 の 試合 の とき 、 ハリー は 意識 不明で 、 医務 室 に いた 。 グリフィンドール は 選手 一 人 欠場 の まま 、 この 三百 年 来 、 最悪 と い う 大 敗北 に 泣いた 。

ウッド が 平静 を 取り戻す のに 、 一 瞬間 を 置いた 。 前回 の 大 敗北 が ウッド を 胃 まで も 苦しめて いる に 違いない 。

「 だ から 、 今年 は 今 まで より 厳しく 練習 したい ...... よ ー し 、 行こう か 。 新しい 戦術 を 実践 す る んだ !」

ウッド は 大声 で そう 言う なり 、 箒 を ぐ いと つかみ 、 先頭 を 切って 更衣室 から 出て 行った 。 他 の 選手 たち は 、 足 を 引きずり 、 あくび を 連発 し ながら あと に 続いた 。

ずいぶん 長い 間 更衣室 に いた ので 、 競技 場 の 芝生 に は まだ 名残 の 霧 が 漂って は いた が 、 太陽 は もう しっかり 昇って いた 。 グラウンド を 歩き ながら 、 ハリー は ロン と ハーマイオニー が ス タンド に 座って いる の を 見つけた 。

「 まだ 終わって ない の かい ?」 ロン が 信じられ ない と いう 顔 を した 。 「 まだ 始まって も いない んだ よ 。 ウッド が 新しい 動き を 教えて くれた んだ 」

ロン と ハーマイオニー が 大広間 から 持ち出して きた マーマレード ・ トースト を ハリー は 羨ま し そうな 目 で 見た 。

箒 に またがり 、 ハリー は 地面 を 蹴って 空中 に 舞い上がった 。 冷たい 朝 の 空気 が 顔 を 打ち 、 ウッド の 長たらしい 演説 より ずっと 効果 的な 目覚まし だった 。 クィディッチ ・ グラウンド に また 戻って きた 。 なんて すばらしい んだろう 。 ハリー は フレッド や ジョージ と 競争 し ながら 競技 場 の 周り を 全速力 で 飛び回った 。

「 カシャッカシャッ て 変な 音 が する けど 、 なんだ ろ ?」

コーナー を 回り込み ながら フレッド が 言った 。

ハリー が スタンド の 方 を 見る と 、 コリン だった 。 最 後部 の 座席 に 座って 、 カメラ を 高く 掲 げ 、 次 から 次 へ と 写真 を 撮り まくって いる 。 人気 の ない 競技 場 で 、 その 音 が 異常に 大きく 聞 えた 。

「 こっち を 向いて 、 ハリー ! こっち だ よく 」 コリン は 黄色い 声 を 出した 。

「 誰 だ ? あいつ 」 と フレッド が 言った 。

「 全然 知ら ない 」

ハリー は 嘘 を ついた 。 そして 、 スパート を かけ 、 コリン から できる だけ 離れた 。

「 いったい な んだ ? あれ は 」

しかめっ面 で ウッド が 二 人 の 方 へ 、 スイーッ と 風 に 乗って 飛んで きた 。 「 なんで あの 一 年 坊主 は 写真 を 撮って る んだ ? 気 に 入ら ない なあ 。 我々 の 新しい 練習 方法 を 盗み に きた 、 スリザリン の スパイ かも しれ ない ぞ 」

「 あの 子 、 グリフィンドール だ よ 」 ハリー は 慌てて 言った 。

「 それ に 、 オリバー 、 スリザリン に スパイ なんて 必要 ない ぜ 」 と ジョージ も 言った 。

「 なんで そんな こと が 言える んだ ?」 ウッド は 短気に なった 。

「 ご 本人 たち が お出まし さ 」

ジョージ が 指差した 方 を 見る と 、 グリーン の ローブ を 着込んで 、 箒 を 手 に 、 数 人 が 競技 場 に 入って くる ところ だった 。

「 そんな はず は ない 」 ウッド が 怒り で 歯ぎしり した 。

「 この 競技 場 を 今日 予約 して る の は 僕 だ 。 話 を つけて くるり 」

ウッド は 一直線 に グラウンド に 向かった 。 怒り の ため 、 着地 で 勢い あまって 突っ込み 気味に なり 、 箒 から 降りる とき も 尐 し よろめいた 。

ハリー 、 フレッド 、 ジョージ も ウッド に 続いた 。

「 フリント !」

ウッド は スリザリン の キャプテン に 向かって 怒鳴った 。

「 我々 の 練習 時間 だ 。 その ため に 特別に 早起き した んだ ! 今 すぐ 立ち去って もらおう !」

マーカス ・ フリント は ウッド より さらに 大きい 。 トロール 並み の ずる そうな 表情 を 浮かべ 、 「 ウッド 、 俺 たち 全部 が 使える ぐらい 広い だ ろ 」 と 答えた 。

アンジェリーナ 、 アリシア 、 ケイティ も やってきた 。

スリザリン に は 女子 選手 は 一 人 も いない ―― グリフィンドール の 選手 の 前 に 肩 と 肩 を くっつ け て 立ちはだかり 、 全員 が ニヤニヤ して いる 。 「 いや 、 ここ は 僕 が 予約 した んだ !」 怒り で 唾 を 飛び 散らし ながら ウッド が 叫んだ 。

「 僕 が 予約 した んだ ぞ ?」

「 ヘン 、 こっち に は スネイプ 先生 が 、 特別に サイン して くれた メモ が ある ぞ 。 『 私 、 スネイ プ 教授 は 、 本日 クィディッチ 競技 場 に おいて 、 新人 シーカー を 教育 する 必要 が ある ため 、 ス リザリン ・ チーム が 練習 する こと を 許可 する 』」

「 新しい シーカー だって ? どこ に ?」 ウッド の 注意 が 逸れた 。

目の前 の 大きな 六 人 の 後ろ から 、 小さな 七 番 目 が 現れた 。

青白い 尖った 顔 いっぱい に 得意 げ な 笑い を 浮かべて いる 。

ドラコ ・ マルフォイ だった 。

「 ルシウス ・ マルフォイ の 息子 じゃ ない か 」 フレッド が 嫌悪 感 を むき出しに した 。

「 ドラコ の 父親 を 持ち出す と は 、 偶然 の 一致 だ な 」

フリント の 言葉 で 、 スリザリン ・ チーム 全員 が ますます ニヤニヤ した 。

「 その方 が スリザリン ・ チーム に くださった ありがたい 贈 物 を 見せて やろう じゃ ない か 」

七 人 全員 が 揃って 自分 の 箒 を 突き出した 。 七 本 と も ピカピカ に 磨き上げられた 新品 の 柄 に 、 美しい 金 文字 で 銘 が 書かれて いる 。 「 ニンバス 2001」

グリフィンドール 選手 の 鼻先 で その 文字 は 朝 の 光 を 受けて 輝いて いた 。

「 最新 型 だ 。 先月 出た ばかり さ 」

フリント は 無造作に そう 言って 、 自分 の 箒 の 先 に ついて いた 埃 の かけら を 指 で ヒョイ と 払った 。 「 旧 型 2000 シリーズ に 対して 相当 水 を あける はずだ 。 旧 型 の クリーンスイープ に 対して は 」

フリント は クリーンスイープ 5 号 を 握りしめて いる フレッド と ジョージ を 鼻先 で 笑った 。

「2001 が クリーンに 圧勝 」

グリフィンドール ・ チーム は 一瞬 誰 も 言葉 が 出 なかった 。

マルフォイ は ますます 得意 げ に ニターッ と 笑い 、 冷たい 目 が 二 本 の 糸 の ように なった 。

「 おい 、 見ろ よ 。 競技 場 乱入 だ 」 フリント が 言った 。

ロン と ハーマイオニー が 何事 か と 様子 を 見 に 、 芝生 を 横切って こっち に 向かって いた 。

「 どうし たんだい ? どうして 練習 し ない んだ よ 。 それ に 、 あいつ 、 こんな とこ で 何 して る ん だい ?」

ロン は スリザリン の クィディッチ ・ ローブ を 着て いる マルフォイ の 方 を 見て 言った 。

「 ウィーズリー 、 傍 は スリザリン の 新しい シーカー だ 」 マルフォイ は 満足げに 言った 。

「 僕 の 父上 が 、 チーム 全員 に 買って あげた 箒 を 、 みんな で 賞 賛 して いた ところ だ よ 」

ロン は 目の前 に 並んだ 七 本 の 最高 級 の 箒 を 見て 、 口 を あん ぐ り 開けた 。

「 いい だろう ?」 マルフォイ が こともなげに 言った 。

「 だけど 、 グリフィンドール ・ チーム も 資金 集め して 新しい 箒 を 買えば いい 。

クリーンスイープ 5 号 を 慈善 事業 の 競売 に かければ 、 博物 館 が 買い を 入れる だろう よ 」

スリザリン ・ チーム は 大 爆笑 だ 。

「 尐 なく と も 、 グリフィンドール の 選手 は 、 誰一人 と して お 金 で 選ば れたり して ない わ 。 ハ リー は 純粋に 才能 で 選手 に なった の よ 」

ハーマイオニー が きっぱり と 言った 。

マルフォイ の 自慢 顔 が ちらり と ゆがんだ 。

「 誰 も おまえ の 意見 なんか 求めて ない 。 生まれ そこない の 『 稼 れた 血 』 め 」

マルフォイ が 吐き捨てる ように 言い返した 。

とたん に 轟 々 と 声 が あがった ので 、 マルフォイ が ひどい 悪態 を ついた らしい こと は 、 ハリー に も すぐ わかった 。

フレッド と ジョージ は マルフォイ に 飛びかかろう と した し 、 それ を 食い止める ため 、 フリン ト が 急いで マルフォイ の 前 に 立ちはだかった 。

アリシア は 「 よくも そんな こと を !」 と 金切り声 を あげた 。

ロン は ローブ に 手 を 突っ込み 、 ポケット から 杖 を 取り出し 、「 マルフォイ 、 思い知れ !」 と 叫んで 、 かんかんに なって フリント の 脇 の 下 から マルフォイ の 顔 に 向かって 杖 を 突きつけ た 。

バーン と いう 大きな 音 が 競技 場 中 に こだま し 、 緑 の 閃光 が 、 ロン の 杖 先 ではな ? 反対 側 から 飛び出し 、 ロン の 胃 の あたり に 当たった 。

ロン は よろめいて 芝生 の 上 に 尻もち を ついた 。

「 ロン ! ロン ! 大丈夫 ?」 ハーマイオニー が 悲鳴 を あげた 。

ロン は ロ を 開いた が 、 言葉 が 出て こ ない 。 かわり に とてつもない ゲップ が 一 発 と 、 ナメクジ が 数 匹 ボクボタ と 膝 に こぼれ落ちた 。

スリザリン ・ チーム は 笑い転げた 。 フリント など 、 新品 の 箒 に すがって 腹 を よじって 笑い 、 マルフォイ は 四 つ ん 這い に なり 、 拳 で 地面 を 叩き ながら 笑って いた 。

グリフィンドール の 仲間 は 、 ヌメヌメ 光る 大 ナメクジ を 次々 と 吐き出して いる ロン の 周り に 集まり は した が 、 誰 も ロン に 触れ たく は ない ようだった 。

「 ハグリッド の ところ に 連れて 行こう 。 一 番 近い し 」

ハリー が ハーマイオニー に 呼びかけた 。

ハーマイオニー は 勇敢に も うなずき 、 二 人 で ロン の 両側 から 腕 を つかんで 助け 起こした 。

「 ハリー 、 どうした の ? ねえ 、 どうした の ? 病気 な の ? でも 君 なら 治 せる よ ね ?」

コリン が スタンド から 駆け 下りて きて 、 グラウンド から 出て 行こう と する 三 人 に まとわり つ いて 周り を 飛び 跳ねた 。

ロン が ゲポッ と 吐いて 、 また ナメクジ が ボクボタ と 落ちて きた 。

「 おわ ぁ ?」 コリン は 感心 して カメラ を 構えた 。

「 ハリー 、 動か ない ように 押さえて て くれる ?」

「 コリン 、 そこ を ど いて !」

ハリー は コリン を 叱りつけ 、 ハーマイオニー と 一緒に ロン を 抱えて グラウンド を 抜け 、 森 の 方 に 向かった 。

7.1 穢れた血と幽かな声 - Mudbloods and Murmurs あい れた ち と ゆう かな こえ|mudbloods||murmurs 7.1 Mudbloods and Murmurs 7.1 Sang de boue et murmures - Sang de boue et murmures 7.1 Mudbloods and Murmurs - Mudbloods and Murmurs 7.1 Mudbloods and Murmurs - Mudbloods and Murmurs

第 7 章 穢 れた 血 と 幽 かな 声 -  Mudbloods and Murmurs だい|しょう|あい||ち||ゆう||こえ|mudbloods||murmurs Chapter 7 Mudbloods and Murmurs

それ から 二 、 三 日 は 、 ギルデロイ ・ ロックハート が 廊下 を 歩いて くる の が 見える たび に 、 サッと 隠れる と いう 事 の 繰り返し で 、 ハリー は ずいぶん 時間 を 取ら れた 。 ||ふた|みっ|ひ|||||ろうか||あるいて||||みえる|||さっと|かくれる|||こと||くりかえし|||||じかん||とら| Then, for a few days, Harry took a lot of time to hide quickly every time he saw Gilderoy Lockhart walking down the hallway. それ より 厄介な の が コリン ・ クリービー だった 。 ||やっかいな||||| More troubling was Colin Creevy. どうも ハリー の 時間割 を 暗記 して いる らしい 。 |||じかんわり||あんき||| Apparently he memorizes Harry's timetable. 「 ハリー 、 元 気 かい ?」 と 一 日 に 六 回 も 七 回 も 呼びかけ 、「 や ぁ 、 コリン 」 と ハリー に 返事 を して もらう だけ で 、 たとえ ハリー が どんなに 迷惑 そうな 声 を 出そう が 、 コリン は 最高に わくわく して い る ようだった 。 |もと|き|||ひと|ひ||むっ|かい||なな|かい||よびかけ|||||||へんじ||||||||||めいわく|そう な|こえ||だそう||||さいこうに||||| "Harry, how are you?" six or seven times a day. six or seven times a day, and just to have Harry reply, "Hi, Colin," no matter how annoyed he sounded, seemed to thrill Colin to no end.

ヘドウィグ は あの ひどく 惨めな 空 の ドライブ の こと で 、 ハリー に 腹 を 立てっぱなし だった し 、 ロン の 杖 は 相変わらず 使い物 に なら なかった 。 ||||みじめな|から||どらいぶ||||||はら||たて っぱなし|||||つえ||あいかわらず|つかいもの||| Hedwig was angry with Harry for that terribly miserable empty drive, and Ron's wand remained useless. 金曜日 の 午前 、「 妖精 の 魔法 」 の 授業 中 に 、 杖 は キレ て ロン の 手 から 飛び出し 、 チビ の 老 教授 、 フリットウィック 先生 の 眉間 に まと も に 当たり 、 そこ が 大きく 腫れあがって 、 ズキンズキン 痚 そうな 緑色 の 瘤 を 作った 。 きんようび||ごぜん|ようせい||まほう||じゅぎょう|なか||つえ||きれ||||て||とびだし|||ろう|きょうじゅ||せんせい||みけん|||||あたり|||おおきく|はれあがって|||そう な|みどりいろ||こぶ||つくった On Friday morning, during "Fairy Magic" class, the wand snaps out of Ron's hand and hits little old Professor Flitwick right between the eyes, causing a large, swollen, green bump to form that looks like it could throb. あれ や これ や で 、 ハリー は やっと 週 末 に なって ほっと した 。 ||||||||しゅう|すえ|||| After all that had happened, Harry was relieved that the end of the week had finally arrived. 土曜日 の 午前 中 に 、 ロン や ハーマイオ ニー と 一緒に 、 ハリー は は グリッド を 訪ねる 予定 だった 。 どようび||ごぜん|なか|||||||いっしょに||||||たずねる|よてい| ところが 、 起きたい と 思って いた 時間 より 数 時間 も 早く 、 グリフィンドール ・ クィディッチ ・ チーム の キャプテン 、 オリ バー ・ ウッド に 揺り起こさ れた 。 |おき たい||おもって||じかん||すう|じかん||はやく|||ちーむ||きゃぷてん||ばー|||ゆりおこさ| However, several hours earlier than he had hoped to wake up, he was roused by Oliver Wood, captain of the Gryffindor Quidditch team. 「 に ゃに ごと な の ?」 と ハリー は 寝ぼけ 声 を 出した 。 ||||||||ねぼけ|こえ||だした What the hell? Harry said in a sleepy voice.

「 クィディッチ の 練習 だ ! 起きろ !」 ウッド が 怒鳴った 。 ||れんしゅう||おきろ|||どなった

ハリー は 薄 め を 開けて 窓 の 方 を 見た 。 ||うす|||あけて|まど||かた||みた Harry opened his eyelids and looked at the window. ピンク と 金色 の 空 に うっすら と 朝靄 が かかって いる 。 ぴんく||きんいろ||から||||あさもや||| The pink and golden sky was slightly covered with morning mist. 目 が 覚めて みれば 、 こんなに 鳥 が 騒がしく 鳴いて いる のに 、 よく 寝て いられた もの だ と 思った 。 め||さめて|||ちょう||さわがしく|ないて||||ねて|いら れた||||おもった When I woke up, I thought that the bird was so noisy, but I slept well. 「 オリバー 、 夜 が 明けた ばかりじゃ ない か 」 ハリー は かすれ 声 で 言った 。 |よ||あけた|||||||こえ||いった "Oliver, isn't it just dawn?" Harry said in a faint voice.

「 その 通り 」 |とおり " that's right "

ウッド は 背 が 高く たくましい 六 年生 で 、 その 目 は 、 今や 普通 と は 思え ない 情熱 で ギラギラ 輝 いて いた 。 ||せ||たかく||むっ|ねんせい|||め||いまや|ふつう|||おもえ||じょうねつ||ぎらぎら|あきら|| Wood was a tall and strong sixth grader, and his eyes were shining with an unusual passion.

「 これ も 新しい 練習 計画 の 一部 だ 。 ||あたらしい|れんしゅう|けいかく||いちぶ| This is part of the new practice plan. さあ 、 箒 を 持て 、 行く ぞ 」 ウッド が 威勢 よく 言った 。 |そう||もて|いく||||いせい||いった 「 他の チーム は まだ どこ も 練習 を 開始 して いない 。 たの|ちーむ|||||れんしゅう||かいし|| “No other team has started practicing yet. 今年 は 我々 が 一番乗り だ ......」 ことし||われわれ||いちばんのり|

あくび と 一緒に 、 尐 し 身震い し ながら 、 ハリー は ベッド から 降りて 、 クィディッチ 用 の ロー ブ を 探した 。 ||いっしょに|||みぶるい|||||べっど||おりて||よう|||||さがした

「 それ で こそ 男 だ 。 |||おとこ| "That's why he's a man. 十五 分 後 に 競技 場 で 会おう 」 と ウッド が 言った 。 じゅうご|ぶん|あと||きょうぎ|じょう||あおう||||いった See you on the field in 15 minutes," Wood said.

チーム の ユニフォーム 、 深紅 の ローブ を 探し出し 、 寒い ので その 上 に マント を 着た 。 ちーむ||ゆにふぉーむ|しんく||||さがしだし|さむい|||うえ||まんと||きた He found a team uniform, a crimson robe, and put on a cape over it because it was cold. ロン に 走り書き で 行き先 を 告げる メモ を 残し 、 ハリー は ニンバス 2000 を 肩 に 、 螺旋 階段 を 下 り 、 談話 室 へ 向かった 。 ||はしりがき||いきさき||つげる|めも||のこし|||||かた||らせん|かいだん||した||だんわ|しつ||むかった 肖僕 画 の 穴 に 着いた その とき 、 後ろ で ガタガタ 音 が した か と 思う と 、 コリン ・ クリービー が 、 螺旋 階段 を 転がる ように 駆け 下りて きた 。 しょうぼく|が||あな||ついた|||うしろ||がたがた|おと|||||おもう|||||らせん|かいだん||ころがる||かけ|おりて| 首 から かけた カメラ が ブランブラン 大きく 揺れ 、 手 に 何 か を 握りしめて いた 。 くび|||かめら|||おおきく|ゆれ|て||なん|||にぎりしめて| The camera around his neck was swinging wildly, and he was clutching something in his hand.

「 階段 の ところ で 誰 か が 君 の 名前 を 呼ぶ の が 聞えた んだ 。 かいだん||||だれ|||きみ||なまえ||よぶ|||きこえた| I heard someone calling your name on the stairs. ハリー ! これ 、 なんだか わかる ? 現像 した んだ 。 ||||げんぞう|| Harry! Do you know what this is? I developed it. 君 に これ を 見せ たくて ――」 きみ||||みせ| I wanted to show you this.

コリン が 得意 げ に ヒラヒラ さ せて いる 写真 を 、 ハリー は なんだか わから ない まま に 覗いた 。 ||とくい|||ひらひら||||しゃしん|||||||||のぞいた Harry peeked at the photo that Colin was proud of, without knowing what it was.

白黒 写真 の ロック ハート が 、 誰 か の 腕 を ぐいぐい 引っ張って いる 。 しろくろ|しゃしん||ろっく|はーと||だれ|||うで|||ひっぱって| Lockhart, in the black-and-white photo, is pulling on someone's arm. ハリー は それ が 自分 の 腕 だ と わかった 。 ||||じぶん||うで||| Harry knew it was his arm. 写真 の ハリー が なかなか がんばって 、 画面 に 引き込ま れ まい と 抵抗 して いる の を 見て ハリー は 嬉しく なった 。 しゃしん||||||がめん||ひきこま||||ていこう|||||みて|||うれしく| Harry was happy to see Harry in the picture doing his best and resisting being drawn into the screen. ハリー が 写真 を 見て いる うち に 、 ロックハート は ついに 諦 め 、 ハーハー 息 を 切らし ながら 、 写真 の 白 枞 に もたれて へたり込んだ 。 ||しゃしん||みて|||||||てい|||いき||きらし||しゃしん||しろ|||もた れて|へたりこんだ While Harry was looking at the photo, Lockhart finally gave up, and while he was out of breath, he leaned against the white shackles of the photo and sank.

「 これ に サイン して くれる ?」 コリン が 拝む ように 言った 。 ||さいん|||||おがむ||いった "Will you sign this?" Colin said to worship.

「 ダメ 」 だめ " No good "

即座に 断り ながら 、 ハリー は あたり を 見回し 、 ほんとうに 誰 も 談話 室 に いない か どう か 確か め た 。 そくざに|ことわり||||||みまわし||だれ||だんわ|しつ||||||たしか|| With an immediate refusal, Harry looked around and made sure that no one was really in the lounge. 「 ごめん ね 、 コリン 、 急ぐ んだ ―― クィディッチ の 練習 で 」 |||いそぐ||||れんしゅう| "Sorry, Colin, I'm in a hurry - Quidditch practice."

ハリー は 肖僕 画 の 穴 を よじ登った 。 ||しょうぼく|が||あな||よじのぼった

「 ウヮッ ! 待って よく クィディッチって 、 僕 、 見た こと ない んだ !」 コリン も 肖像 画 の 穴 を 這い上がって ついてきた 。 |まって||クィディッチ って|ぼく|みた||||||しょうぞう|が||あな||はいあがって| "Whoa! I've never seen Quidditch before! Colin crawled up through the portrait hole and followed me. 「 きっと ものすごく つま ん ない よ 」 "I'm sure it's really boring."

ハリー が 慌てて 言った が 、 コリン の 耳 に は 入ら ない 。 ||あわてて|いった||||みみ|||はいら| 興奮 で 顔 を 輝か せて いた 。 こうふん||かお||かがやか|| The excitement made her face shine.

「 君って 、 この 百 年間 で 最 年 尐 の 寮 代表 選手 なん だって ? ね 、 ハリー 、 そう な の ?」 コリン は ハリー と 並んで トコトコ 小走り に なって 歩いた 。 きみ って||ひゃく|ねんかん||さい|とし|||りょう|だいひょう|せんしゅ||||||||||||ならんで||こばしり|||あるいた "You're the youngest varsity sorority girl in a hundred years, aren't you? Isn't that right, Harry? Colin trotted alongside Harry. 「 君って 、 きっと ものすごく 巧 いんだ ね 。 きみ って|||こう|| "You're definitely very good at it, aren't you? 僕 、 飛んだ こと ない んだ 。 ぼく|とんだ||| I've never flown. 簡単 ? それ 、 君 の 箒 な の ? それって 、 一 番 いい やつ な の ?」 ハリー は どう やって コリン を 追っ払えば いい の か 途方 に くれた 。 かんたん||きみ||そう|||それ って|ひと|ばん|||||||||||つい っ はらえば||||とほう|| Easy? Is it your broom? Is that the best one? "Harry was at a loss how to get rid of Colin. まるで 、 恐ろしく おしゃ べ り な 自分 の 影法師 に つきまとわれて いる ようだった 。 |おそろしく|||||じぶん||かげぼうし||つきまとわ れて|| It was as if he was obsessed with his horribly talkative shadow master. コリン は 息 を はずま せて しゃべり 続けて いる 。 ||いき|||||つづけて| Colin continues to talk, but with his breath held back.

「 クィディッチって 、 僕 、 あんまり 知ら ない んだ 。 クィディッチ って|ぼく||しら|| ボール が 四 つ あるって ほんと ? そして そ の うち の 二 つ が 、 飛び回って 、 選手 を 箒 から 叩き 落とす んだって ?」 「 そうだ よ 」 ハリー は やれやれ と 諦めて 、 クィディッチ の 複雑な ルール に ついて 説明 する こと に した 。 ぼーる||よっ||ある って|||||||ふた|||とびまわって|せんしゅ||そう||たたき|おとす|ん だって|そう だ||||||あきらめて|||ふくざつな|るーる|||せつめい|||| Really there are four balls? And two of them fly around and knock the player off the broom? "" That's right. "Harry gave up and explained Quidditch's complicated rules. I decided to do it. 「 その ボール は ブラッジャーって いう んだ 。 |ぼーる||ブラッジャー って|| チーム に は 二 人 の ビーター が いて 、 クラブって いう 棍棒 で ブラッジャー を 叩いて 、 自分 の チーム から ブラッジャー を 追っ払う んだ 。 ちーむ|||ふた|じん|||||くらぶ って||こんぼう||||たたいて|じぶん||ちーむ||||お っ はらう| There are two beaters on the team, hitting the braggers with a club club and driving them away from their team. フレッ ド と ジョージ ・ ウィーズリー が グリフィンドール の ビーター だ よ 」 |||じょーじ|||||||

「 それ じゃ 、 他の ボール は なんの ため な の ?」 ||たの|ぼーる|||||

コリン は ポカッ と 口 を 開けた まま ハリー に 見とれて 、 階段 を ニ 、 三 段 踏みはずし そうに なり ながら 聞いた 。 ||||くち||あけた||||みとれて|かいだん|||みっ|だん|ふみはずし|そう に|||きいた Colin was staring at Harry with his mouth open, and heard as he was about to step down the stairs and three steps.

「 えー と 、 まず クァッフル ―― 一 番 大きい 赤い やつ ―― これ を ゴール に 入れて 点 を 取る 。 ||||ひと|ばん|おおきい|あかい||||ごーる||いれて|てん||とる Well, first of all, the quaffle - the biggest red one - is put into the goal to score a point. 各 チーム に チェイサー が 三 人 いて 、 クァッフル を パス し 合って 、 コート の 端に ある ゴール を 通 過 さ せる ―― ゴールって 、 てっぺん に 輪っか が ついた 長い 柱 で 、 両端 に 三 本 ずつ 立って る 」 「 それ で 四 番 目 の ボール が ――」 「 金色 の スニッチ だ よ 」 ハリー が あと を 続けた 。 かく|ちーむ||||みっ|じん||||ぱす||あって|こーと||はしたに||ごーる||つう|か|||ごーる って|||りん っか|||ながい|ちゅう||りょうたん||みっ|ほん||たって||||よっ|ばん|め||ぼーる||きんいろ|||||||||つづけた Each team has three chasers who pass the quaffle to each other to get it past the goal at the end of the court--a goal is a long pole with a ring on the end, and there are three of them at each end. --The fourth ball is the Golden Snitch, Harry followed. 「 とても 小さい し 、 速くって 、 捕まえる の は 難しい 。 |ちいさい||はやく って|つかまえる|||むずかしい だけど シーカー は それ を 捕まえ なく ちゃ いけない んだ 。 |||||つかまえ|||| But the Seeker has to catch it. だって 、 クィディッチ の 試合 は 、 スニッチ を 捕まえる まで は 終わら ない んだ 。 |||しあい||||つかまえる|||おわら|| シーカー が スニッチ を 捕まえた 方 の チーム に は 一五〇 点 追加 さ れる 」 ||||つかまえた|かた||ちーむ|||いちご|てん|ついか||

「 そして 、 君 は グリフィンドール の シーカー な んだ 。 |きみ|||||| ね ?」 コリン は 尊敬 の まなざし で 言った 。 |||そんけい||||いった

「 そうだ よ 」 そう だ|

二 人 は 城 を あと に し 、 朝露 で しっとり 塗れた 芝生 を 横切り はじめた 。 ふた|じん||しろ|||||あさつゆ|||ぬれた|しばふ||よこぎり| They left the castle and began to walk across the lawn, which was moist with morning dew. 「 それ から キーパー が いる 。 ||きーぱー|| Then there is the keeper. ゴール を 守る んだ 。 ごーる||まもる| それ で だいたい おしまい だ よ 。 That's pretty much it. うん 」

それ でも コリン は 質問 を やめ なかった 。 ||||しつもん||| 芝生 の 斜面 を 下りる 間 も 、 クィディッチ 競技 場 に つ くまで ずっと ハリー を 質問 攻め に し 、 やっと 振り払う こと が できた の は 、 更衣室 に たどり 着 いた とき だった 。 しばふ||しゃめん||おりる|あいだ|||きょうぎ|じょう|||||||しつもん|せめ||||ふりはらう||||||こういしつ|||ちゃく||| It was only when I arrived at the changing room that I was able to attack Harry asking questions all the way down the grass slopes to the Quidditch stadium and finally shake them off.

「 僕 、 いい 席 を 取り に 行く !」 コリン は ハリー の 後ろ から 上ずった 声 で 呼びかけ 、 スタンド の 方 に 走って 行った 。 ぼく||せき||とり||いく|||||うしろ||うわずった|こえ||よびかけ|すたんど||かた||はしって|おこなった

グリフィンドール の 選手 たち は もう 更衣室 に 来て いた 。 ||せんしゅ||||こういしつ||きて| バッチリ 目覚めて いる の は ウッド だ け の ようだった 。 |めざめて|||||||| It seemed that only Wood was awake. フレッド と ジョージ は 腫れぼったい 目 で 、 くしゃくしゃ 髪 の まま 座り込 ん で いたし 、 その 隣 の 四 年生 の チェイサー 、 アリシア ・ スピネット と きたら 、 後ろ の 壁 に もたれて コックリコックリ して いる ようだった 。 ||じょーじ||はれぼったい|め|||かみ|||すわりこ|||||となり||よっ|ねんせい|||||||うしろ||かべ||もた れて|||| Fred and George sat with swollen eyes and mussed hair, while their fourth grade chaser, Alicia Spinnette, leaned against the back wall and cocked her head back. その 向かい 側 で 、 チェイサー 仲間 の ケイティ ・ ベル と アンジェリーナ ・ ジョンソナ が 並んで あくび を して いた 。 |むかい|がわ|||なかま|||べる|||||ならんで|||| Across from them, fellow chasers Katie Bell and Angelina Johnson were yawning side by side.

「 遅い ぞ ハリー 。 おそい|| "You're late, Harry. どうかした か ?」 ウッド が きびきび と 言った 。 ||||||いった What's wrong? Wood said briskly.

「 グラウンド に 出る 前 に 、 諸君 に 手短に 説明 して おこう 。 ぐらうんど||でる|ぜん||しょくん||てみじかに|せつめい|| "Before going out to the ground, let me give you a brief explanation. ひと 夏 かけて 、 まったく 新しい 練 習 方法 を 編み出した んだ 。 |なつ|||あたらしい|ね|なら|ほうほう||あみだした| Over the course of a summer, we developed a whole new way of training. これ なら 絶対 、 今 まで と は でき が 違う ......」 ||ぜったい|いま||||||ちがう If this is the case, it will definitely be different than before ... "

ウッド は クィディッチ 競技 場 の 大きな 図 を 掲げた 。 |||きょうぎ|じょう||おおきな|ず||かかげた 図 に は 線 やら 矢印 やら バッテン が いく つ も 、 色とりどりの インク で 書き込まれて いる 。 ず|||せん||やじるし|||||||いろとりどりの|いんく||かきこま れて| ウッド が 杖 を 取り出して 図 を 叩く と 、 矢印 が 図 の 上 で 毛虫 の ように もぞもぞ 動き はじめた 。 ||つえ||とりだして|ず||たたく||やじるし||ず||うえ||けむし||||うごき| ウッド が 新 戦略 に ついて の 演説 を ぶち 挙げ は じ め る と 、 フレッド ・ ウィーズリー の 頭 が コトン と アリシア ・ スピネット の 肩 に 乗っかり 、 いびき を かき はじめた 。 ||しん|せんりゃく||||えんぜつ|||あげ|||||||||あたま|||||||かた||のっかり|||| As Wood began giving a speech on the new strategy, Fred Weasley's head rested on the shoulders of Coton and Alicia Spinnet and began to snore.

一 枚 目 の 説明 に ほとんど 二十 分 かかった 。 ひと|まい|め||せつめい|||にじゅう|ぶん| It took almost 20 minutes to explain the first piece. その 下 から 二枚目 、 さらに 三枚目 が 出て きた 。 |した||にまいめ||さんまいめ||でて| The second and third ones came out from the bottom. ウッド が 延々と ぶち 挙げ 続ける の を 聞き ながら 、 ハリー は 、 ぼ ーっと 夢見 心地 に なって いった 。 ||えんえんと||あげ|つづける|||きき|||||- っと|ゆめみ|ここち||| Harry became a little dreamy, listening to Wood slamming endlessly. 「 と いう こと で ――」 "By that--"

やっと の こと で 、 ウッド が そう 言う の が 聞えた 。 |||||||いう|||きこえた Finally, I heard Wood say so. 今ごろ 城 で は どんな 朝食 を 食べて いる んだ ろうと 、 おいしい 空想 に 耽って いた ハリー は 、 突然 現実 に 引き戻さ れた 。 いまごろ|しろ||||ちょうしょく||たべて|||||くうそう||たん って||||とつぜん|げんじつ||ひきもどさ| Harry, who had been indulging in a delicious fantasy about what they were having for breakfast at the castle, was suddenly jolted back to reality. 「 諸君 、 わかった か ? 質問 は ?」 しょくん|||しつもん|

「 質問 、 オリバー 」 急に 目 が 覚めた ジョージ が 聞いた 。 しつもん||きゅうに|め||さめた|じょーじ||きいた "Question, Oliver," George asked, suddenly awake.

「 今 まで 言った こと 、 どうして 昨日 の うち に 、 俺 たち が 起きて る うち に 言って くれ なかった ん だい ?」 いま||いった|||きのう||||おれ|||おきて||||いって|||| "What I said so far, why didn't you tell me yesterday while we were awake?"

ウッド は むっと した 。 Wood was disgusted. 「 いい か 、 諸君 、 よく 聞けよ 」 ウッド は みんな を にらみつけ ながら 言った 。 ||しょくん||きけよ|||||||いった Listen up, gentlemen," Wood said, glancing at everyone.

「 我々 は 去年 クィディッチ に 勝つ はずだった んだ 。 われわれ||きょねん|||かつ|| "We were supposed to beat Quidditch last year. まちがい なく 最強の チーム だった 。 ||さいきょうの|ちーむ| Without a doubt, they were the best team. 残念 ながら 、 我々 の 力 で は どうにも なら ない 事態 が 起きて ......」 ざんねん||われわれ||ちから||||||じたい||おきて Unfortunately, things happen that are beyond our control. ......

ハリー は 申し訳な さ そうに もじもじ した 。 ||もうしわけな||そう に|| Harry grimaced apologetically. 昨年 の シーズン 最後 の 試合 の とき 、 ハリー は 意識 不明で 、 医務 室 に いた 。 さくねん||しーずん|さいご||しあい|||||いしき|ふめいで|いむ|しつ|| In the last game of the season last year, Harry was in the infirmary, unconscious. グリフィンドール は 選手 一 人 欠場 の まま 、 この 三百 年 来 、 最悪 と い う 大 敗北 に 泣いた 。 ||せんしゅ|ひと|じん|けつじょう||||さんびゃく|とし|らい|さいあく||||だい|はいぼく||ないた Gryffindor was left without a player and cried the worst defeat in its 300-year history.

ウッド が 平静 を 取り戻す のに 、 一 瞬間 を 置いた 。 ||へいせい||とりもどす||ひと|しゅんかん||おいた It took Wood a moment to regain his composure. 前回 の 大 敗北 が ウッド を 胃 まで も 苦しめて いる に 違いない 。 ぜんかい||だい|はいぼく||||い|||くるしめて|||ちがいない The last defeat must have been hard on Wood's stomach.

「 だ から 、 今年 は 今 まで より 厳しく 練習 したい ...... よ ー し 、 行こう か 。 ||ことし||いま|||きびしく|れんしゅう|し たい||-||いこう| 新しい 戦術 を 実践 す る んだ !」 あたらしい|せんじゅつ||じっせん||| We need to practice new tactics!

ウッド は 大声 で そう 言う なり 、 箒 を ぐ いと つかみ 、 先頭 を 切って 更衣室 から 出て 行った 。 ||おおごえ|||いう||そう|||||せんとう||きって|こういしつ||でて|おこなった 他 の 選手 たち は 、 足 を 引きずり 、 あくび を 連発 し ながら あと に 続いた 。 た||せんしゅ|||あし||ひきずり|||れんぱつ|||||つづいた

ずいぶん 長い 間 更衣室 に いた ので 、 競技 場 の 芝生 に は まだ 名残 の 霧 が 漂って は いた が 、 太陽 は もう しっかり 昇って いた 。 |ながい|あいだ|こういしつ||||きょうぎ|じょう||しばふ||||なごり||きり||ただよって||||たいよう||||のぼって| I had been in the changing room for so long that there was still some remnant fog on the lawn of the stadium, but the sun had already risen. グラウンド を 歩き ながら 、 ハリー は ロン と ハーマイオニー が ス タンド に 座って いる の を 見つけた 。 ぐらうんど||あるき|||||||||||すわって||||みつけた

「 まだ 終わって ない の かい ?」 ロン が 信じられ ない と いう 顔 を した 。 |おわって||||||しんじ られ||||かお|| "Isn't it over yet?" Ron said he couldn't believe it. 「 まだ 始まって も いない んだ よ 。 |はじまって|||| It hasn't even started yet. ウッド が 新しい 動き を 教えて くれた んだ 」 ||あたらしい|うごき||おしえて|| Wood has taught me a new dynamic."

ロン と ハーマイオニー が 大広間 から 持ち出して きた マーマレード ・ トースト を ハリー は 羨ま し そうな 目 で 見た 。 ||||おおひろま||もちだして|||とーすと||||うらやま||そう な|め||みた Harry looked enviously at the marmalade toast that Ron and Hermione had brought out of the Great Hall.

箒 に またがり 、 ハリー は 地面 を 蹴って 空中 に 舞い上がった 。 そう|||||じめん||けって|くうちゅう||まいあがった 冷たい 朝 の 空気 が 顔 を 打ち 、 ウッド の 長たらしい 演説 より ずっと 効果 的な 目覚まし だった 。 つめたい|あさ||くうき||かお||うち|||ながたらしい|えんぜつ|||こうか|てきな|めざまし| クィディッチ ・ グラウンド に また 戻って きた 。 |ぐらうんど|||もどって| I'm back on the Quidditch field again. なんて すばらしい んだろう 。 ハリー は フレッド や ジョージ と 競争 し ながら 競技 場 の 周り を 全速力 で 飛び回った 。 ||||じょーじ||きょうそう|||きょうぎ|じょう||まわり||ぜんそくりょく||とびまわった Harry flew around the field at full speed, competing with Fred and George.

「 カシャッカシャッ て 変な 音 が する けど 、 なんだ ろ ?」 ||へんな|おと||||| "It makes a strange noise, but what is it?"

コーナー を 回り込み ながら フレッド が 言った 。 こーなー||まわりこみ||||いった

ハリー が スタンド の 方 を 見る と 、 コリン だった 。 ||すたんど||かた||みる||| 最 後部 の 座席 に 座って 、 カメラ を 高く 掲 げ 、 次 から 次 へ と 写真 を 撮り まくって いる 。 さい|こうぶ||ざせき||すわって|かめら||たかく|けい||つぎ||つぎ|||しゃしん||とり|| 人気 の ない 競技 場 で 、 その 音 が 異常に 大きく 聞 えた 。 にんき|||きょうぎ|じょう|||おと||いじょうに|おおきく|き| The sound sounded unusually loud on an otherwise unpopular playing field.

「 こっち を 向いて 、 ハリー ! こっち だ よく 」 コリン は 黄色い 声 を 出した 。 ||むいて|||||||きいろい|こえ||だした

「 誰 だ ? あいつ 」 と フレッド が 言った 。 だれ||||||いった

「 全然 知ら ない 」 ぜんぜん|しら|

ハリー は 嘘 を ついた 。 ||うそ|| そして 、 スパート を かけ 、 コリン から できる だけ 離れた 。 |すぱーと|||||||はなれた Then, I spurted it and kept it as far away from Colin as possible.

「 いったい な んだ ? あれ は 」 "What the hell is that? What is that?

しかめっ面 で ウッド が 二 人 の 方 へ 、 スイーッ と 風 に 乗って 飛んで きた 。 しかめ っ おもて||||ふた|じん||かた||||かぜ||のって|とんで| With a frown on his face, Wood swooped toward them on the wind. 「 なんで あの 一 年 坊主 は 写真 を 撮って る んだ ? 気 に 入ら ない なあ 。 ||ひと|とし|ぼうず||しゃしん||とって|||き||はいら|| "Why is that one-year-old boy taking pictures? I don't like it. 我々 の 新しい 練習 方法 を 盗み に きた 、 スリザリン の スパイ かも しれ ない ぞ 」 われわれ||あたらしい|れんしゅう|ほうほう||ぬすみ|||||すぱい|||| It could be a Slytherin spy trying to steal our new training methods."

「 あの 子 、 グリフィンドール だ よ 」 ハリー は 慌てて 言った 。 |こ||||||あわてて|いった She's a Gryffindor," Harry said hurriedly.

「 それ に 、 オリバー 、 スリザリン に スパイ なんて 必要 ない ぜ 」 と ジョージ も 言った 。 |||||すぱい||ひつよう||||じょーじ||いった

「 なんで そんな こと が 言える んだ ?」 ウッド は 短気に なった 。 ||||いえる||||たんきに| "Why can you say that?" Wood became impatient.

「 ご 本人 たち が お出まし さ 」 |ほんにん|||おでまし| "They are here to see you."

ジョージ が 指差した 方 を 見る と 、 グリーン の ローブ を 着込んで 、 箒 を 手 に 、 数 人 が 競技 場 に 入って くる ところ だった 。 じょーじ||ゆびさした|かた||みる||ぐりーん||||きこんで|そう||て||すう|じん||きょうぎ|じょう||はいって||| I looked in the direction George pointed and saw several people entering the stadium wearing green robes and holding brooms.

「 そんな はず は ない 」 ウッド が 怒り で 歯ぎしり した 。 ||||||いかり||はぎしり| "That shouldn't be the case," Wood bruxed with anger.

「 この 競技 場 を 今日 予約 して る の は 僕 だ 。 |きょうぎ|じょう||きょう|よやく|||||ぼく| 話 を つけて くるり 」 はなし||| Talk to me, Kuru."

ウッド は 一直線 に グラウンド に 向かった 。 ||いっちょくせん||ぐらうんど||むかった Wood headed straight for the field. 怒り の ため 、 着地 で 勢い あまって 突っ込み 気味に なり 、 箒 から 降りる とき も 尐 し よろめいた 。 いかり|||ちゃくち||いきおい||つっこみ|ぎみに||そう||おりる||||| In his anger, he became so energetic on landing that he almost plunged into the air and staggered a bit when he got off his broom.

ハリー 、 フレッド 、 ジョージ も ウッド に 続いた 。 ||じょーじ||||つづいた

「 フリント !」

ウッド は スリザリン の キャプテン に 向かって 怒鳴った 。 ||||きゃぷてん||むかって|どなった

「 我々 の 練習 時間 だ 。 われわれ||れんしゅう|じかん| その ため に 特別に 早起き した んだ ! 今 すぐ 立ち去って もらおう !」 |||とくべつに|はやおき|||いま||たちさって|

マーカス ・ フリント は ウッド より さらに 大きい 。 ||||||おおきい Marcus Flint is even bigger than Wood. トロール 並み の ずる そうな 表情 を 浮かべ 、 「 ウッド 、 俺 たち 全部 が 使える ぐらい 広い だ ろ 」 と 答えた 。 |なみ|||そう な|ひょうじょう||うかべ||おれ||ぜんぶ||つかえる||ひろい||||こたえた With a sly look like a troll, he replied, "Wood, it's wide enough for us all to use."

アンジェリーナ 、 アリシア 、 ケイティ も やってきた 。

スリザリン に は 女子 選手 は 一 人 も いない ―― グリフィンドール の 選手 の 前 に 肩 と 肩 を くっつ け て 立ちはだかり 、 全員 が ニヤニヤ して いる 。 |||じょし|せんしゅ||ひと|じん|||||せんしゅ||ぜん||かた||かた|||||たちはだかり|ぜんいん|||| There are no female athletes in Slytherin--all grinning, standing in front of Gryffindor's athletes with their shoulders stuck together. 「 いや 、 ここ は 僕 が 予約 した んだ !」 怒り で 唾 を 飛び 散らし ながら ウッド が 叫んだ 。 |||ぼく||よやく|||いかり||つば||とび|ちらし||||さけんだ No, I'm the one who booked this place! Wood shouted, spitting in anger.

「 僕 が 予約 した んだ ぞ ?」 ぼく||よやく||| "I made the reservations. What do you mean?"

「 ヘン 、 こっち に は スネイプ 先生 が 、 特別に サイン して くれた メモ が ある ぞ 。 |||||せんせい||とくべつに|さいん|||めも||| "Hen, I have a note signed especially for you by Professor Snape. 『 私 、 スネイ プ 教授 は 、 本日 クィディッチ 競技 場 に おいて 、 新人 シーカー を 教育 する 必要 が ある ため 、 ス リザリン ・ チーム が 練習 する こと を 許可 する 』」 わたくし|||きょうじゅ||ほんじつ||きょうぎ|じょう|||しんじん|||きょういく||ひつよう||||||ちーむ||れんしゅう||||きょか|

「 新しい シーカー だって ? どこ に ?」 ウッド の 注意 が 逸れた 。 あたらしい|||||||ちゅうい||それた "A new Seeker? Where? Wood's attention was diverted.

目の前 の 大きな 六 人 の 後ろ から 、 小さな 七 番 目 が 現れた 。 めのまえ||おおきな|むっ|じん||うしろ||ちいさな|なな|ばん|め||あらわれた From behind the big six in front of me, a small seventh appeared.

青白い 尖った 顔 いっぱい に 得意 げ な 笑い を 浮かべて いる 。 あおじろい|とがった|かお|||とくい|||わらい||うかべて|

ドラコ ・ マルフォイ だった 。

「 ルシウス ・ マルフォイ の 息子 じゃ ない か 」 フレッド が 嫌悪 感 を むき出しに した 。 |||むすこ||||||けんお|かん||むきだしに|

「 ドラコ の 父親 を 持ち出す と は 、 偶然 の 一致 だ な 」 ||ちちおや||もちだす|||ぐうぜん||いっち|| "It's a coincidence to bring out Draco's father."

フリント の 言葉 で 、 スリザリン ・ チーム 全員 が ますます ニヤニヤ した 。 ||ことば|||ちーむ|ぜんいん||||

「 その方 が スリザリン ・ チーム に くださった ありがたい 贈 物 を 見せて やろう じゃ ない か 」 そのほう|||ちーむ||||おく|ぶつ||みせて|||| "Let's show him what a generous gift he's given to the Slytherin team."

七 人 全員 が 揃って 自分 の 箒 を 突き出した 。 なな|じん|ぜんいん||そろって|じぶん||そう||つきだした 七 本 と も ピカピカ に 磨き上げられた 新品 の 柄 に 、 美しい 金 文字 で 銘 が 書かれて いる 。 なな|ほん|||ぴかぴか||みがきあげ られた|しんぴん||え||うつくしい|きむ|もじ||めい||かか れて| 「 ニンバス 2001」

グリフィンドール 選手 の 鼻先 で その 文字 は 朝 の 光 を 受けて 輝いて いた 。 |せんしゅ||はなさき|||もじ||あさ||ひかり||うけて|かがやいて|

「 最新 型 だ 。 さいしん|かた| 先月 出た ばかり さ 」 せんげつ|でた||

フリント は 無造作に そう 言って 、 自分 の 箒 の 先 に ついて いた 埃 の かけら を 指 で ヒョイ と 払った 。 ||むぞうさに||いって|じぶん||そう||さき||||ほこり||||ゆび||||はらった Flint said this carelessly and brushed a speck of dust off the end of his broom with a flick of his finger. 「 旧 型 2000 シリーズ に 対して 相当 水 を あける はずだ 。 きゅう|かた|しりーず||たいして|そうとう|すい||| "It should be quite watery for the old 2000 series. 旧 型 の クリーンスイープ に 対して は 」 きゅう|かた||||たいして| For older clean sweeps. "

フリント は クリーンスイープ 5 号 を 握りしめて いる フレッド と ジョージ を 鼻先 で 笑った 。 |||ごう||にぎりしめて||||じょーじ||はなさき||わらった Flint laughed at Fred and George holding Clean Sweep No. 5 with his nose.

「2001 が クリーンに 圧勝 」 |くりーんに|あっしょう "2001 wins cleanly"

グリフィンドール ・ チーム は 一瞬 誰 も 言葉 が 出 なかった 。 |ちーむ||いっしゅん|だれ||ことば||だ| No one spoke the Gryffindor team for a moment.

マルフォイ は ますます 得意 げ に ニターッ と 笑い 、 冷たい 目 が 二 本 の 糸 の ように なった 。 |||とくい|||||わらい|つめたい|め||ふた|ほん||いと||| Malfoy became more and more proudly laughing, and his cold eyes became like two threads.

「 おい 、 見ろ よ 。 |みろ| 競技 場 乱入 だ 」 フリント が 言った 。 きょうぎ|じょう|らんにゅう||||いった It's a stadium intrusion, "Flint said.

ロン と ハーマイオニー が 何事 か と 様子 を 見 に 、 芝生 を 横切って こっち に 向かって いた 。 ||||なにごと|||ようす||み||しばふ||よこぎって|||むかって| Ron and Hermione were heading across the lawn to see what was going on.

「 どうし たんだい ? どうして 練習 し ない んだ よ 。 どう し|||れんしゅう|||| "What's wrong? Why don't you practice? それ に 、 あいつ 、 こんな とこ で 何 して る ん だい ?」 ||||||なん|||| And what is he doing in a place like this?

ロン は スリザリン の クィディッチ ・ ローブ を 着て いる マルフォイ の 方 を 見て 言った 。 |||||||きて||||かた||みて|いった

「 ウィーズリー 、 傍 は スリザリン の 新しい シーカー だ 」 マルフォイ は 満足げに 言った 。 |そば||||あたらしい|||||まんぞくげに|いった

「 僕 の 父上 が 、 チーム 全員 に 買って あげた 箒 を 、 みんな で 賞 賛 して いた ところ だ よ 」 ぼく||ちちうえ||ちーむ|ぜんいん||かって||そう||||しょう|さん||||| "My father was just praising the broom that he bought for the whole team."

ロン は 目の前 に 並んだ 七 本 の 最高 級 の 箒 を 見て 、 口 を あん ぐ り 開けた 。 ||めのまえ||ならんだ|なな|ほん||さいこう|きゅう||そう||みて|くち|||||あけた

「 いい だろう ?」 マルフォイ が こともなげに 言った 。 |||||いった

「 だけど 、 グリフィンドール ・ チーム も 資金 集め して 新しい 箒 を 買えば いい 。 ||ちーむ||しきん|あつめ||あたらしい|そう||かえば| But the Gryffindor team can also raise money to buy new brooms.

クリーンスイープ 5 号 を 慈善 事業 の 競売 に かければ 、 博物 館 が 買い を 入れる だろう よ 」 |ごう||じぜん|じぎょう||きょうばい|||はくぶつ|かん||かい||いれる|| If Clean Sweep No. 5 is auctioned off for charity, the Natural History Museum will buy it. "

スリザリン ・ チーム は 大 爆笑 だ 。 |ちーむ||だい|ばくしょう|

「 尐 なく と も 、 グリフィンドール の 選手 は 、 誰一人 と して お 金 で 選ば れたり して ない わ 。 ||||||せんしゅ||だれひとり||||きむ||えらば|||| "None of the Gryffindor players have been chosen for money." ハ リー は 純粋に 才能 で 選手 に なった の よ 」 |||じゅんすいに|さいのう||せんしゅ|||| Harry became a player purely talented. "

ハーマイオニー が きっぱり と 言った 。 ||||いった

マルフォイ の 自慢 顔 が ちらり と ゆがんだ 。 ||じまん|かお||||

「 誰 も おまえ の 意見 なんか 求めて ない 。 だれ||||いけん||もとめて| "No one is asking for your opinion. 生まれ そこない の 『 稼 れた 血 』 め 」 うまれ|||かせ||ち| "Because of the unborn" blood earned ""

マルフォイ が 吐き捨てる ように 言い返した 。 ||はきすてる||いいかえした

とたん に 轟 々 と 声 が あがった ので 、 マルフォイ が ひどい 悪態 を ついた らしい こと は 、 ハリー に も すぐ わかった 。 ||とどろき|||こえ|||||||あくたい|||||||||| Harry soon knew that Malfoy seemed to have been terribly cursed, as the roaring voices rose immediately.

フレッド と ジョージ は マルフォイ に 飛びかかろう と した し 、 それ を 食い止める ため 、 フリン ト が 急いで マルフォイ の 前 に 立ちはだかった 。 ||じょーじ||||とびかかろう||||||くいとめる|||||いそいで|||ぜん||たちはだかった

アリシア は 「 よくも そんな こと を !」 と 金切り声 を あげた 。 |||||||かなきりごえ||

ロン は ローブ に 手 を 突っ込み 、 ポケット から 杖 を 取り出し 、「 マルフォイ 、 思い知れ !」 と 叫んで 、 かんかんに なって フリント の 脇 の 下 から マルフォイ の 顔 に 向かって 杖 を 突きつけ た 。 ||||て||つっこみ|ぽけっと||つえ||とりだし||おもいしれ||さけんで|||||わき||した||||かお||むかって|つえ||つきつけ| Ron thrust his hand into his robe, took the wand out of his pocket, and shouted, "Malfoy, think!"

バーン と いう 大きな 音 が 競技 場 中 に こだま し 、 緑 の 閃光 が 、 ロン の 杖 先 ではな ? 反対 側 から 飛び出し 、 ロン の 胃 の あたり に 当たった 。 |||おおきな|おと||きょうぎ|じょう|なか||||みどり||せんこう||||つえ|さき||はんたい|がわ||とびだし|||い||||あたった A loud buzzing sound echoed throughout the stadium, and a green flash, not at Ron's wand tip? It popped out from the other side and hit Ron's stomach.

ロン は よろめいて 芝生 の 上 に 尻もち を ついた 。 |||しばふ||うえ||しりもち|| Ron staggered and hung his butt on the lawn.

「 ロン ! ロン ! 大丈夫 ?」 ハーマイオニー が 悲鳴 を あげた 。 ||だいじょうぶ|||ひめい||

ロン は ロ を 開いた が 、 言葉 が 出て こ ない 。 ||||あいた||ことば||でて|| Ron opened B, but no words came out. かわり に とてつもない ゲップ が 一 発 と 、 ナメクジ が 数 匹 ボクボタ と 膝 に こぼれ落ちた 。 |||||ひと|はつ||||すう|ひき|||ひざ||こぼれおちた Instead, I got a huge burp and a few slugs that landed in my lap.

スリザリン ・ チーム は 笑い転げた 。 |ちーむ||わらいころげた フリント など 、 新品 の 箒 に すがって 腹 を よじって 笑い 、 マルフォイ は 四 つ ん 這い に なり 、 拳 で 地面 を 叩き ながら 笑って いた 。 ||しんぴん||そう|||はら|||わらい|||よっ|||はい|||けん||じめん||たたき||わらって| Flint, for example, was bellyaching over his new broom, while Malfoy was on all fours, pounding the ground with his fists, laughing.

グリフィンドール の 仲間 は 、 ヌメヌメ 光る 大 ナメクジ を 次々 と 吐き出して いる ロン の 周り に 集まり は した が 、 誰 も ロン に 触れ たく は ない ようだった 。 ||なかま|||ひかる|だい|||つぎつぎ||はきだして||||まわり||あつまり||||だれ||||ふれ|||| Gryffindor's companions gathered around Ron, who was spitting out a series of slugs, but no one seemed to want to touch Ron.

「 ハグリッド の ところ に 連れて 行こう 。 ||||つれて|いこう 一 番 近い し 」 ひと|ばん|ちかい|

ハリー が ハーマイオニー に 呼びかけた 。 ||||よびかけた

ハーマイオニー は 勇敢に も うなずき 、 二 人 で ロン の 両側 から 腕 を つかんで 助け 起こした 。 ||ゆうかんに|||ふた|じん||||りょうがわ||うで|||たすけ|おこした

「 ハリー 、 どうした の ? ねえ 、 どうした の ? 病気 な の ? でも 君 なら 治 せる よ ね ?」 ||||||びょうき||||きみ||ち||| "Harry, what's wrong? Hey, what's wrong? Are you sick? But you can fix it, can't you?"

コリン が スタンド から 駆け 下りて きて 、 グラウンド から 出て 行こう と する 三 人 に まとわり つ いて 周り を 飛び 跳ねた 。 ||すたんど||かけ|おりて||ぐらうんど||でて|いこう|||みっ|じん|||||まわり||とび|はねた Colin ran down from the stand, clinging to the three men trying to get out of the ground and jumping around.

ロン が ゲポッ と 吐いて 、 また ナメクジ が ボクボタ と 落ちて きた 。 ||||はいて||||||おちて| Ron vomited, and the slugs fell again.

「 おわ ぁ ?」 コリン は 感心 して カメラ を 構えた 。 ||||かんしん||かめら||かまえた

「 ハリー 、 動か ない ように 押さえて て くれる ?」 |うごか|||おさえて|| "Harry, can you hold me down so that it doesn't move?"

「 コリン 、 そこ を ど いて !」 "Colin, go there!"

ハリー は コリン を 叱りつけ 、 ハーマイオニー と 一緒に ロン を 抱えて グラウンド を 抜け 、 森 の 方 に 向かった 。 ||||しかりつけ|||いっしょに|||かかえて|ぐらうんど||ぬけ|しげる||かた||むかった