この 素晴らしい 世界 に 祝福を !あぁ 、駄女神さま (17)
体育 座り 状態 で 膝 に 顔 を 埋めた アクア の 肩 が ぴくり と 動く 。
だが 、オリ から 出て くる 気配 は ない 。
「……おい 、いい加減 オリ から 出ろ よ 。 もう アリゲーター は い ない から 」
俺 の 言葉 に 、アクア が 小さな 声 で 呟く の が 聞こえた 。
「……まま 連れて って ……」
…………?
「なん だって ?」
「……オリ の 外 の 世界 は 怖い から 、このまま 街 まで 連れて って 」
……どうやら 、今回 の クエスト は 、カエル 討伐 に 続いて アクア に また トラウマ を 植えつけた 様 だ 。
10.
「 ドナドナドーナードーナー ……」
「……お 、おい アクア 、もう 街中 なんだ から その 歌 は 止めて くれ 。 ボロボロ の オリ に 入って 膝 抱えた 女 を 運んでる 時点 で 、ただ で さえ 街 の 住人 の 注目 を 集めてる んだ から な ? と いう か 、もう 安全な 街 の 中 な んだ から 、いい加減 出て 来い よ 」
「 嫌 。 この 中 こそ が 私 の 聖域 よ 。 外 の 世界 は 怖い から しばらく 出 ない わ 」
すっかり オリ の 中 に 引き篭もって しまった アクア を 、馬 で 引き ながら 。
無事に クエスト を 終えて 街 に 帰って 来た 俺達 は 、街の 人達 の 生温かい 注目 を 集め つつ 、ギルド へ と 向かって いた 。
頑なに オリ から 出よう と しない アクア が 自分 の 足 で 歩いて くれない せい で 、馬 に オリ を 引かせている にもかかわらず 俺達 の 歩み は 遅い 。
しかし 、今回 は 約 一名 に トラウマ は できた が 、それ 以外 に は 被害 らしい 被害 は 無い 。
装備 や 魔法 を 試し たかった が 、楽に クエスト が 済んだ のだ から 、そちら の 方 が いい に 決まっている 。
俺 達 に しては 珍しく 、大した 事 も 無く クエスト が 無事 済んだ なあ ……。
俺 が 、そんな フラグ に なる 様 な 事 を 考えて しまった から だろう か 。
「め 、女神 様 っ !?女神 様 じゃ ないで すかっ ! 何 を して いる のです か 、そんな 所 で !」
突然 叫んで 、オリ に 引き篭もっている アクア に 駆け寄り 、鉄格子 を 摑む 男 。
そいつ は あろう 事 か 、ブルータルアリゲーター が 齧りついて も 破壊 でき なかった オリ の 鉄 格子 を 、いとも 容易く グニャリ と 捻じ曲げ 、中 の アクア に 手 を 差し伸べた 。
啞然 と している 俺 と めぐみ ん を 尻目 に 、その 見知らぬ 男 は 、同じく 啞然 と している アクア の 手 を ……、
「……おい 、私 の 仲間 に 馴れ馴れしく 触る な 。 貴様 、何者 だ ? 知り合い に しては 、アクア が お前 に 反応 して いない のだが 」
手 を 取ろう と した その 男 に ダクネス が 詰め寄った 。
アリゲーター に たかられる アクア を 羨ましそうに 見ていた 先ほど と は 違い 、今 の ダクネス は 大切な 仲間 を 守る 盾 として 、どこに 出しても 恥ずかしくない クルセイダー だ 。
……いつも こんな 感じ で いて くれた なら ……。
男 は ダクネス を 一瞥 する と 、ため息 を 吐き ながら 首 を 振る 。
いかにも 、自分 は 厄介 事 に 巻き込まれたく は 無い のだ けど 仕方がない 、といった 感じ で 。
男 の その 態度 に 、普段 は あまり 表情 を あらわに し ない ダクネス が 、明らかに イラッ と した 。
何だか きな臭い 雰囲気 に なって きた ので 、俺 は この 期 に 及んで も 膝 を 抱えて オリ から 出よう と しない アクア に 、そっと 耳打ち する 。
「……おい 、あれ お前 の 知り合い な んだろ ? 女神 様 と か 言って たし 。 お前 が あの 男 を 何とか しろ よ 」
そんな 俺 の 囁き に 、アクア は 一瞬 だけ 、なに 言ってんの ? と いう 表情 を 浮かべ …… 。
「……あ あっ ! 女神 ! そう 、そう よ 、女神 よ 私 は 。 それ で ? 女神 の 私 に この 状況 を どうにか して 欲しい わけ ね ? しょうがない わ ね !」
アクア は ようやく オリ から 出て きた 。
こいつ 、自分 が 女神 だ と いう 事 を 、本気で 忘れて いた んじゃ ない だろう な 。
もぞもぞ と オリ から 出て きた アクア は 、その 男 に 対して 首 を 傾げる 。
「……あんた 誰 ?」
知り合い じゃ ない の か よ 。
……いや 、やはり 知り合い の 様 だ 。
男 が 、驚き の 表情 で 目 を 見開いて いる から 。
多分 、アクア が 忘れて いる だけ な のだろう 。
「何 言って る んです か 女神 様 ! 僕 です 、御 剣 響 夜 です よ ! あなた に 、魔剣 グラム を 頂いた !!」
「…………?」
アクア が なおも 首 を 傾げて いる が 、俺 は ピンと きた 。
アニメ や 漫画 の 主要 キャラ みたいな 名前 だ が 、その 日本 人名 から して 、俺 より 先 に アクア に 強力な 装備 を 貰い 、ここ に 送られた 奴 な のだろう 。
正義 感 が 強そうな その 男 は 、茶色い 髪 を した 、かなり の イケメン だ 。
鮮やかに 青く 輝く 高 そうな 鎧 を 身 に 着け 、腰 に は 、黒 鞘 に 入った 剣 を 下げて いた 。
そして 後ろ に は 、槍 を 持った 戦士風 の 美少女 と 、革鎧 を 着て 、腰 に ダガー を ぶら下げた 美少女 を 引き連れている 。
ミツルギ と 名乗った そいつ は 、年 は 俺 と 同じ くらい だろう か ?
その 男 は 一言 で 言って しまえば ……。
漫画 の 主人公 っぽい 奴 だった 。
「あ あっ ! いたわ ね 、そう いえば そんな 人 も ! ごめん ね 、すっかり 忘れて た わ 。 だって 結構な 数 の 人 を 送った し 、忘れて たって しょうがない わ よ ね !」
俺 や ミツルギ の 説明 で 、ようやく 思い出した アクア 。
若干 表情 を 引きつらせ ながら も 、ミツルギ は アクア に 笑い かけた 。
「ええ っと 、お 久しぶり です アクア 様 。 あなた に 選ばれた 勇者 として 、日々 頑張ってます よ 。 職業 は ソードマスター 。 レベル は 37 に まで 上がり ました 。 ……ところで 、アクア 様 は なぜ ここ に ? と いう か 、どうして オリ の 中 に 閉じ込められて いた んです か ?」
ミツルギ は 、チラチラ と 俺 を 見 ながら 言って くる 。
アクア は こいつ に 、お前 は 選ばれた 者 に して 勇者 だ とか 、そんな 適当な 事 を 言って この 世界 に 送り込んだ の か 。
今 の 今まで 存在 を 忘れて いた ところが 、いかに ミツルギ に いい加減な 事 を 言って いた の か が 良く 分かる 。
と いう か 、ミツルギ に は 俺 が アクア を オリ に 閉じ込めて いた 様 に 映った の か ?
……いや 、普通 は そう 取る な 。
本人 が オリ の 中 から 出たがらない んです と 言っても 、きっと こいつ は 信じて くれない だろう 。
俺 だって 、そんな 変わり者 の 女神 が いる 事 を 、この 目 で 見て いても 信じ られない のだ 。
俺 は 、自分 と 一緒に アクア が この 世界 に 来る 事 に なった 経緯 や 、今まで の 出来事 を ミツルギ に 説明 し …… 。
「…… バカな 。 あり え ない そんな 事 ! 君 は 一体 何 考えて いる んです か !?女神 様 を この 世界 に 引き込んで !?しかも 、今回 の クエスト で は オリ に 閉じ込めて 湖 に 浸けた !?」
俺 は いきり立った ミツルギ に 、胸ぐら を 摑まれ ていた 。
それ を アクア が 慌てて 止める 。
「 ちょ ちょ 、 ちょっと !? いや 別に 、 私 と して は 結構 楽しい 毎日 送ってる し 、 ここ に 一緒に 連れて こられた 事 は 、 もう 気 に して いない ん だ けど ね ? それ に 、魔王 を 倒せば 帰れる ん だし ! 今日 の クエスト だって 、怖かった けど 結果的に は 誰 も 怪我 せず 無事 完了した 訳だし 。 しかも 、クエスト 報酬 三十万 よ 三十万 ! それ を 全部 くれる って 言う の !」
その 言葉 に 、ミツルギ は 憐憫 の 眼差し で アクア を 見る 。
「……アクア 様 、こんな 男 に どう 丸め込まれた の か は 知りません が 、今 の あなた の 扱い は 不当です よ 。 そんな 目 に 遭って 、たった 三十万 ……? あなた は 女神 です よ ? それ が こんな ……。 ちなみに 、今 は どこ に 寝泊まり して いる んです ?」
こんな 往来 で 女神 と か 言う な よ と 思った が 、ミツルギ が 今にも 切れ そうな ので 黙って おく 。
と いう か 、初対面 で 言い たい 放題 だ な この 野郎 。
アクア の 事 を ろくに 知ら ない くせに 。
ミツルギ の 言葉 に 、 アクア が 若干 押さ れ ながら も おずおず 答えた 。
「え 、 えっ と 、みんな と 一緒に 、馬小屋 で 寝泊まり してる けど ……」
「は !? 」
ミツルギ の 、俺 の 胸ぐら を 摑む 手 に 力 が 込められた 。
ちょ 、痛い んです けど !
その ミツルギ の 腕 を 、ダクネス が 横 から 摑む 。
「おい 、いい加減 その 手 を 放せ 。 お前 は さっき から 何 なのだ 。 カズマ と は 初対面 の ようだ が 、礼儀 知らず に も ほど が ある だろう 」
バカな 事 を 口走る 時 以外 は 物静かな ダクネス が 、珍しく 怒って いた 。
見れば 、めぐみ ん ま でも が 新調 した 杖 を 構え 、今にも 爆裂 魔法 の 詠唱 を ……って 、それ は 止めろ !
ミツルギ は 手 を 放す と 、興味深 そうに ダクネス と めぐみん を 観察 する 。
「……クルセイダー に アークウィザード ? ……それ に 、随分 綺麗な 人達 だ な 。 君 は パーティー メンバー に は 恵まれて いる んだ ね 。 それ なら 尚更 だ よ 。 君 は 、アクア 様 や こんな 優秀 そうな 人達 を 馬小屋 で 寝泊まり させて 、恥ずかしい とは 思わない の か ? さっき の 話 じゃ 、就いている 職業 も 、最弱 職 の 冒険者 らしい じゃないか 」
こいつ の 言い分 だけ 聞いて いる と 、自分 が 凄く 恵まれた 環境 に いる かの 様 に 思えて くる 。
何の 関わり合い も 無い 他人 から 見れば 、俺 は そんな 風 に 見える のだろう か 。
俺 は アクア に 耳打ち する 。
「なあ なあ 、この 世界 の 冒険者 って 馬小屋 で 寝泊まり なんて 基本 だろ ? こいつ 、なんで こんなに 怒って る んだ ?」
「あれ よ 、彼 に は 異世界 へ の 移住 特典 で 魔剣 を あげた から 、その おかげ で 、最初 から 高難易度 の クエスト を バンバン こなしたり して 、今まで お金 に 困らなかった んだ と 思う わ 。 ……まあ 、能力 か 装備 を 与えられた 人間 なんて 、大体 が そんな 感じ よ 」
アクア の 返事 を 聞いて 、俺 は 何だか 無性に 腹 が 立ってきた 。
タダ で 貰った 魔剣 で この 世界 で 苦労 も せずに 生きてきた 奴 に 、なぜ 一から 頑張ってきた 俺 が 、上から 目線 で 説教 さ れ なきゃ いけない んだ 。
そんな 俺 の 怒り も 知ら ず 、ミツルギ が 同情 でも する か の 様 に 、アクア や ダクネス 、めぐみん に 対して 憐れみ の 混じった 表情 で 笑い かけた 。
「君達 、今まで 苦労 した みたいだ ね 。 これ から は 、僕 と 一緒に 来る と いい 。 もちろん 馬 小屋 なんか で 寝かせ ないし 、高級な 装備品 も 買い揃えて あげよう 。 と いう か 、 パーティー の 構成 的に も バランス が 取れて いて い い じゃない か 。 ソードマスター の 僕 に 、僕 の 仲間 の 戦士 と 、そして クルセイダー の あなた 。 僕 の 仲間 の 盗賊 と 、アークウィザード の その 子 に アクア 様 。 まるで あつらえた みたいに ピッタリ な パーティー 構成 じゃ ない か !」
おっと 、俺 が 入って い ませ ん が 。
いや 、もちろん この 男 の パーティー に 入り たい とも 思わ ない けれども 。
身勝手な ミツルギ の 提案 に 、俺 の 仲間 の 三人 は ひそひそ と 囁き出した 。
性格 は 自己中 勇者 様 な 感じ の ミツルギ だが 、待遇 としては 、悪くない 提案 だ 。
そして 、俺 より も ミツルギ に ついて 行った 方が 、アクア の 願い である 魔王 討伐 は 達成 さ れ 易い と 思う 。
アクア は 魔王 が 倒さ れ ない と 天界 に 帰れ ない 。
俺 の 異世界 移住 特典 として 連れて 来られた が 、他の 転送者 に 付き従って 魔王 討伐 を 果たして も 、きっと 帰して 貰える だろう 。
俺 は 、アクア 達 も 流石 に 心 が 動いた か な と 、背後 の 会話 に 聞き耳 を 立てる と …… 。
「ちょっと 、ヤバい んです けど 。 あの 人 本気 で 、ひく ぐらい ヤバい んです けど 。 ていう か 勝手に 話 進める し ナルシスト も 入って る 系 で 、怖い んです けど 」
「どう しよう 、あの 男 は 何だか 生理的に 受けつけない 。 攻める より 受ける の が 好きな 私 だ が 、あいつ だけ は 何だか 無性に 殴り たい のだ が 」