あん珍 と 清姫
今 から 千年 ほど 昔 の こと 。 ある ところ に 「あん珍 」と いう 名 の 若い 山伏 が いました 。 山伏 という の は 、山 に 住んで 仏教 の 修行 を する 人 です 。あん珍 は 顔立ち が 大変 美しく 、世 の 女性たち は 一目惚れしてしまう ような 姿形 を していました 。ある 時 、彼 は 熊野 詣で に 出かける こと に しました 。 旅 の 途中 、泊めて もらった 家 に は 「清姫 」と いう 可愛らしい 娘 が いました 。 この 清姫 は 、あん珍 を 一目 見る なり 気に入ってしまい 、毎日 毎日 、あん珍 に 「お嫁さん に して ください 。」 と 頼みました 。 あん珍 は 、「 修行 の 身 です から 、 結婚 する わけ に は 行きません 。」 と 断りました が 、 あまり に も しつこい ので 、 とうとう 「 それ で は 熊野 詣で の 帰り に 、 また この 家 に 立ち寄る こと に します 。」 と 約束 して しまいました 。 清姫 は 、 この 言葉 を 信じて 何 日 も 何 日 も 待って いました が 、 あん珍 は さっぱり 帰って きません 。 ついに 、 清姫 は 自分 で 探し に 行く こと に しました 。 途中 で 何人 も の人 に 尋ねる と 、「 ああ 、 あの人 なら あなた の 村 と は 反対 の 方 へ 行って しまった よ 。」 清姫 は あん珍 に 騙された と 知り 、急いで 追いかけ始めました 。追いかけて いる うち に 、清姫 の 足 は 擦り切れ 、何やら 尻尾 の ような からだ うしの もの が 体 の 後ろ から 伸びてきました 。 目 は らんらん と ひかり 、ハアハア と 息 を する 口 は 大きく 横 に 裂けてきました 。 なんと 、清姫 は 大蛇 に 変わってしまった の です 。「あん珍様 、あん珍様 ! 」と 呼ばれて 、後ろ を 振り返った あん珍 は 仰天しました 。 大蛇 が 自分 の 名前 を 呼びながら 、ハアハア と 息 を 弾ませて 追いかけて くる のです 。大慌て に だ で 逃げ出しました 。「あん珍様 、なぜ 逃げる のですか 。 おのれ 、裏切った な 。 私 の ところ に 帰ってくる と 言った の は 、嘘 だった の か 。」あん珍 は 、大慌て で 「道成寺 」と いう お寺 に 逃げ込み 、助けを 請いました 。 する と 、お寺 の 人たち は 、「お寺 の 鐘 の 中 に お 入りなさい 。」と言って 、お寺 の 鐘 を 下ろし 、そこ に あん珍 を 隠しました 。
大蛇 は 、お寺 に やってくる と 、その 鐘 を 見つけて 、その 鐘 に 巻きつました 。そして 、口 から 火 を 吐きがら 、その 鐘 を 燃やし 尽くしてしまいました 。 鐘 の 中 に 隠れていた あん珍 は 、焼け死んでしまいました 。そして 、大蛇 は その あと 川 に 飛び込んで 死んでしまった と いう こと です 。 おしまい 。