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べるぜバブ, Beelzebub Episode 2

( アランドロン ) ある 所 に それはそれは 凶悪 で ―

残忍 で 傍若無人 で 人 を 人 と も 思わ ぬ ―

悪魔 の よう な 男 が おり まし た

( 男 鹿 ( お が ) ) う ~ む …

( ベル 坊 ( ぼう ) ) ダブ ~

( 古市 ( ふるい ち ) ) 始める ぞ

男 鹿 の ヤツ 何 やって ん だ ?

何 だって かまわ ねえ チャンス だ

( 2 人 ) おる あぁ ~ !

( 不良 ) や あ ~ っ ! ( 不良 ) う お ~ っ !

男 鹿 パンチ ( ベル 坊 ) ダ !

来い ベル 坊

タブ …

さあ ベル 坊 どっち が 好き だ ?

( ベル 坊 ) ウ ~ ダ ~ アダ アダ アダ !

アウ ~ エイッ !

やっぱり な ( 男 鹿 ) 何 が ?

じゃあ … こっち と こっち ! どっち が 好き だ ? ほ い !

アブ … ( 古市 ) それ !

ダ ~ ! ( 古市 ) よっ !

アブ … ( 古市 ) それ !

ダ ~ ブ ~ !

この 赤ん坊 は ―

普通 なら 絶対 に 喜ば ない もの が 大好き だ

ダ ~ ブ ! アブ !

気 に 入って る み て え だ な … あと は 頼む わ

( 古市 ) あ 待て よ 男 鹿 ! ( ベル 坊 ) ダブ ~ ア ~ !

アウ ? ウ ?

ウグ … ウグ …

( 男 鹿 ) ん ? ( ベル 坊 ) ビエエエ ~ !

ダブダブ ダブ ! ( 男 鹿 ) あっ !

( ベル 坊 ) ダブダブ ダブ … !

ビエエエーッ ! ( 男 鹿 ) だ ああ あ ~ !

( アランドロン ) これ は ひょんな こと から ―

赤ん坊 を 育てる こと に なった 不良 高校 生 の 物語

ただし その 赤ん坊 は 普通 の 赤ん坊 で は なく ―

魔 王 の 子 だった の です

♪ ~

~ ♪

( ベル 坊 ) ダ ~ ブ ~ !

( 不良 たち の 話し声 )

( 男 鹿 ) このまま じゃ 身 が もた ねえ

大体 何で 学校 に 連れ て くる ん だ よ

家 に 置 い て くれ ば いい じゃ ねえ か ( 男 鹿 ) オレ ん 家 は もう ダメ だ

悪魔 に 乗っ取ら れ た こいつ から も 逃げ らん ねえ …

は あ ? オレ ん 家 の ほう が もっと ダメ だ !

一昨日 から 半壊 し てん だ ぞ !

( 男 鹿 ) まあ 聞け 古市

( ヒルダ ) 今日 から この 子 ともども お 世話 に なり ます

ヒルデ ガルダ と 申し ます

( ヒルダ ) ふつつか 者 です が よろしく お 願い いたし ます

おい ! 待て 待て ! 何 だ その 誤解 を 招く 言い 方 は !

何 か 問題 でも ? ( 男 鹿 ) 大 アリ だ !

全員 漏れ なく 固まって る じゃ ねえ か !

しかし この 国 で は こう する もの だ と 聞き まし た

誰 情報 だ コラ ! 前提 から もう 間違って ん だ よ !

( 男 鹿 父 ) この 国 ? 外国 の 人 か ?

( 男 鹿 母 ) 辰巳 ( たつみ ) が 女の子 を 連れ て くる なんて …

しかも 金髪 美人 …

( 美咲 ( みさき ) ) 乳 で か っ

( 男 鹿 父 ) いや それ より も あの 子供 …

( 男 鹿 ) だ から 言って ん だ ろ !

オレ は まだ 親 だ なんて 認め て ね えっ つう の !

( 男 鹿 父 ) 親 ?

あんな こと まで し て おい て …

( 男 鹿 父 ) あんな こと ! ?

( 男 鹿 父 ) 何 ~ ! ? 辰巳 ! 貴 様 と いう ヤツ は ―

あんな こと や そんな こと を こんな 美人 に !

しかも 子供 まで 作って おい て あげく の 果て に ―

それ を 認め ない だ と !

い い や 待て … それ は 違う から

( 男 鹿 父 ) 何 が 違う ! 見ろ この 子 を !

どう 見 て も お前 の 子 じゃ ない か ! 目元 なんか そっくり だ ぞ !

( 男 鹿 ) そっくり じゃ ねえ よ ! よく 見ろ !

( 男 鹿 母 ) あら そっくり ( 美咲 ) 見せ て 見せ て

アハハ ! 本当 に ふてぶてしい …

小さい 頃 の 辰巳 を 思い出す わ ( ベル 坊 ) ダ ~ ブ

あんた どこ の 国 の 人 ? ( ヒルダ ) 魔 界 です

マカオ ? へ え ~ 日本 語 上手 だ ね

( 男 鹿 父 ) 本当 に 申し訳 あり ませ ん !

こいつ に は 責任 持って 育て させ ます んで !

おら ! お前 も 頭 を 下げろ ! ( 男 鹿 ) おわ っ !

( 男 鹿 父 ) 今後 と も ひと つ よろしく お 願い し ます

や ~ ね … スライディング 土下座 よ ( 美咲 ) やり 慣れ てる ん でしょ

いえ こちら こそ よろしく お 願い し ます

ヒルダ と お呼び ください

( 男 鹿 ) … と いう わけ だ ( 古市 ) ちょ … ちょっと 待て

じゃあ 何 か ? ひと つ 屋根 の 下 な の ?

あの ゴスロリ 巨乳 ちゃん と ? 何 それ ?

何 その ラブ コメ 展開 オレ が 半壊 し た 家 で ―

しょっぱい 思い を し てる 時 に 何で お前 だけ ?

食いつく と こ そこ ?

( 古市 ) そこ が 重要 だ ろ !

こっち は 命 が かかって ん だ ぞ

そんな のんき な もん じゃ ねえ よ

( 古市 ) 命 ?

( 男 鹿 ) て め え いいかげん に しろ よ !

完全 に うち の 家族 取り込み や が って ―

マジ で い つく 気 か ? この 野郎 !

しかた ある まい

貴 様 は 坊 っちゃ ま に 選ば れ て しまった の だ

あと 夕飯 うまかった ぞ ( ベル 坊 ) ゲップ !

くつろぎ すぎ だ て め えら !

( ヒルダ ) フン … それ に ―

私 が 坊 っちゃ ま を 連れ て 出 て いったら ―

困る の は 貴 様 の ほう だ ぞ

( 男 鹿 ) あ ? 何で 困る ん だ よ ? ( ベル 坊 ) アブ アブ … アイ ~

あ … ( ベル 坊 ) ダァ ~

( ヒルダ ) 坊 っちゃ ま は おんぶ を 要求 し て おら れる

( 男 鹿 ) で え ~ い ひっつく な !

なんて こと を 貴 様 !

ビ … エエエ … ビエエエエ ~ !

( 男 鹿 ) ぎ ゃ ば ど ぅ ~ !

貴 様 が そば を 離れる と 坊 っちゃ ま は 大 泣き する

坊 っちゃ ま の 泣き声 は 衝撃 波 と し て ―

すさまじい 破壊 力 を 持つ

ちなみに ―

貴 様 が 坊 っちゃ ま と 15 メートル 離れる と ―

泣き声 の 電撃 は ―

即死 レベル に 達する ので 注意 しろ

( 男 鹿 ) や ば すぎる だ ろ う が それ !

… と いう わけ だ

そんな こと より 男 鹿 !

その 夜 ヒルダ さん どこ で 寝 た ん だ ?

( 男 鹿 ) 古市 バカ !

( 古市 ) だって ~ !

ダ ~ ? アウ ~ ア ?

( 不良 ) おいおい マジ か ?

ホント に ガキ が いる よ 傑作

だから 言った ろ 男 鹿 を やる なら 今 だって

( ベル 坊 ) ダブ

この 距離 は !

13 … いや 14,5 メートル ! ? ( 不良 ) 男 鹿 君 ダメ だ な ~

子供 は しっかり と 見 て い ない と … ( ベル 坊 ) アウーッ

( 男 鹿 ) う っ

ヴーッ !

動く な ! ( 不良 ) え ?

それ 以上 動く な よ ! 動 い たら ぶ っ 殺す !

( 男 鹿 ) 今 何 メートル だ ? ちくしょう !

おい 男 鹿 の ヤツ 焦って や がる ぜ 怖 ( こえ ) え けど

( 竜一 ( りゅう いち ) ) どけ コラァ ! ( 3 人 ) ああ ?

う っ あんた ら は !

( 不良 ) 石 矢 魔 ( いし やま ) の 双 頭 竜 ( そうとう りゅう ) 真田 ( さ なだ ) 兄弟 !

( 竜二 ( りゅう じ ) ) 男 鹿 を やる の は オレ たち だ ぜ

誰 ? ( 古市 ) バカ ! あれ が 2 年 の !

( 不良 たち ) う わ あ あ !

( 阿部 ( あ べ ) ) おいおい 抜け駆け は いけ ねえ な

ああ ?

( 不良 ) キラー マシン 阿部 !

( 阿部 ) この 前 は よく も やって くれ た な !

( 下川 ( しも かわ ) ) おっと オレ を 忘れ て もらっちゃ 困る ぜ

( 不良 ) グッドナイト 下川 まで !

なんて こった ! 2 年 幹部 が 勢ぞろい じゃ ねえ か !

男 鹿 や べ え よ これ !

めん どくせ え

おい お前 ら ! もっと 近づ い て ! ( 3 人 ) はい !

( 男 鹿 ) いって き ます ! ( 3 人 ) いって らっしゃい !

こっち 来い コラ ! ( 下川 ・ 阿部 ) あん ?

ビビッ てん の か コラ ! 来い よ !

( 下川 ・ 阿部 ) 何 だ と コラ ~ !

( 殴る 音 ) ( 下川 ・ 阿部 ) ぐ わ ~ !

( 男 鹿 ) 男 鹿 15 メートル ギリギリ パンチ !

( 竜一 ) へえ … ( 竜二 ) やる ね ルーキー

( 竜一 ) 真っ二つ に し て や ん よ

オレ たち の 必殺 技 敵 ( てき ) 刺 ( さ ) す チェーンソー で な !

( 竜一 ) 死ね や ~ ! ( 竜二 ) おら ー !

( 男 鹿 ) じゃあ こっち は ! メ ・ リ ・ コ ・ ミ !

ダーブ ! ( 男 鹿 ) パーンチ !

ダブル 瞬 殺 ! ( ベル 坊 ) ダ ~ ッ !

あ いや す ん ま …

ただいま ! ( 不良 ) お かえり なさい !

( 2 人 ) わ ~ っ !

次 勝手 に 離れ たら 踏み潰す ぞ !

ダァ ~ !

アッ アウ … ( 男 鹿 ) あっ

( ベル 坊 ) ビエエエエ ~ !

ちくしょう

おお 辰巳 帰った か

先 に 食べ てる わ よ

あなた お かえり なさい

何 和やか に 食卓 囲 ん で ん だ よ !

一家 団らん で カレー 食って ん じゃ ねえ !

この カレー ヒルダ さん が 作った の よ

ベル ちゃん の ご飯 も こっち に あり ま ち ゅ よ ~

料理 も 上手 だ し ホント に 辰巳 に は もったいない わ よ ね

こいつ は 悪魔 な ん だ ぞ !

分かって る 分かって る ヒルダ さん は あくまで ―

お前 の 嫁 さん だ アッハッハ !

どうぞ お 義父 ( とう ) さん

( 男 鹿 父 ) うん おっと っと …

ところで 式 は いつ だ ね ?

死期 ? 教え て も よろしい の です か ?

コラ コラ コラ ~ ッ !

ダブ ( 男 鹿 ) ちょ …

辰巳 そんな イライラ し て い ない で 先 に お 風呂 に 入って

ベル ちゃん は 私 が 見 てる から

安心 しろ

風呂 から 食卓 まで の 距離 は 14 メートル

そこ の ライン を 越え なけ れ ば 問題 ない

ギリギリ じゃ ねえ か …

… った く

ん ?

( アランドロン ) チャオ

何 だ よ て め え …

( アランドロン ) ん ん … もう お 忘れ に ?

次元 転送 悪魔 の アランドロン で ござい ます

そんな こと 聞い てん じゃ ねえ ! 何 し に 来 た ?

ヒルダ 様 に 頼ま れ まし て 坊 っちゃ ま と の 距離 の ご 報告 に

12,7 メートル … 12,9 メートル …

おお お おっと ~ 14,3 メートル

13,9 メートル … 13,3 メートル …

おお お おっと ~ 14,5 メートル

落ち着 い て 入って られる か ~ !

やっと 寝 た か

( アランドロン ) その よう です ね

まだ い た の か !

( アランドロン ) ンー !

ブハッ ! ハァ ~ ハァ ハァ …

何 し に 来 た の ? お前

( アランドロン ) こちら の 家 の 前 を ウロウロ と なさって い た ので ―

転送 し て さしあげ まし た

お前 の こと が 気 に なって さ

ヒルダ さん と ひと つ 屋根 の 下 で いろいろ 大丈夫 か って

静か に しろ 坊 っちゃ ま が 目 を 覚ます

( ベル 坊 の 寝息 )

こう し て 見 てる と とても 魔 王 の 子 に は 見え ない な

安心 しろ やがて 成長 すれ ば ―

人類 を 滅ぼす 力 を 持つ よう に なる

安心 でき ねえ よ

なあ も しか して 人類 の 未来 って お前 の 肩 に かかって る ?

フ … 何て ね

ハッハッハ … ( 古市 ) アハ ハハ …

( 2 人 の 笑い声 )

( 3 人 の 笑い声 )

うる せ え ~ っ ! ( ベル 坊 ) アウ アイ ?

つう か そもそも 何で オレ が 親 な ん だ よ !

他 に いくら でも いる だ ろ

そう いう わけ に は まいり ませ ん

先日 も お 話し し た とおり 坊 っちゃ ま は 何せ 魔 王 です から ね

まず 強い 者 に しか ひか れ ませ ん

いや まあ ね ( 古市 ) あ 緩 ん だ

そして さらに 凶暴 で 残忍 で 傍若無人 で ―

人 を 人 と も 思わ ない 野郎 なら 最高 です

強 けれ ば 強い ほど 凶暴 で あれ ば ある ほど ―

坊 っちゃ ま は 懐く の です

待て ! と いう こと は あれ か ?

オレ より 凶暴 な ヤツ が い たら ベル 坊 は そい つ に 懐き ―

オレ は 解放 さ れる って こと か ?

( 3 人 の 笑い声 )

バカ か 貴 様 ら

( 雷鳴 )

( 大 魔 王 ) グァ ハハハハ ! 愚か な ヤツ ら め

この 手 で メチャメチャ に し て やる !

破壊 だ 大 破壊 だ !

ガハハハ … ( 悪魔 ) うるさい ん です けど

ここ だけ だ よ 大 声 出し てん の

( 大 魔 王 ) あ ~ 悪 ( わり ) い 悪い

1 週間 寝 て ない と 変 な テンション に なっちゃ っ て さ

みんな も ゴメンゴメンゴ で も いい よ ね ! 大 魔 王 だ し

( 側近 ) 大 魔 王 様 ( 大 魔 王 ) よう 久しぶり

子育て の ほう は どう ?

わし の 息子 は ちゃんと 人類 を 滅ぼし て くれ そう ?

( 側近 ) まあ とりあえず この 男 が ベルゼ 様 の 親 に

( 大 魔 王 ) へ え ~ なかなか 凶悪 そう で いい 顔 し てん じゃ ん

ああ それ ロン ! ワラ 人形 五 寸 釘 トンカチ の 丑 三 ツ 暗 刻 ( うし みつ あんこう ) ね

あ そう そう わし の 息子 の 大好き な この おもちゃ ―

渡す の 忘れ て た から さ 宅配 便 で 送 っと い て くれる ?

( 男 鹿 ) ん ~ どこ だ ? どこ に いる ?

オレ より 強く て 凶暴 な 野郎 は … お め え か コラー !

違 ( ち げ ) えよ ! ( ベル 坊 ) アウ ~ ダ ~ ブ !

( 男 鹿 ) お め え は 悪い か ! ?

いえ 全然 っす ! ( ベル 坊 ) アイ ~ アイ …

あ あれ ! ? ( 不良 ) あ ? アバレオーガ !

いや その 上 ! ( 不良 たち ) う わ あ ああ !

( 不良 たち ) くっさ ~ !

臭い ? まさか !

て め え 人 の 頭 の 上 で してん じゃ ねえ !

( ベル 坊 ) ビエエエエーッ ! ( 爆発 音 )

( 不良 たち ) お ?

ヒルダ さん 何 し に ?

先ほど 魔 界 から の 宅配 便 で ―

坊 っちゃ ま の お気に入り の おもちゃ が 届 い た ので ―

持って き て やった

男 鹿 辰巳 は どこ に いる ?

男 鹿 なら 今 強い ヤツ を 探し に 行って る とこ だ けど

フン 往生 際 の 悪い 男 だ

( 下川 ) そこ の 子 猫 ちゃん オレ と 一 戦 交え て み ない ?

何 だ ? お前 は

君 の 瞳 に グッナイ !

( 衝撃 音 )

グッナ ~ イ !

( 爆発 音 )

何 だ 何 だ ? ( 不良 たち ) う わ ~ !

め っちゃ 強 ( つえ ) え ~ !

あっ ち に 強い ヤツ が いる の か ? ( ベル 坊 ) ダ ~ ブ

男 鹿 辰巳 そこ に い た か

何 だ や ん の か コラ !

いや や っぱ こいつ を 連れ てって くれる の か ?

ダ ~ ブ ! ヤイ ヤイ ! ( 男 鹿 ) ちょっと 待て 泣く ぞ !

来 ん な 来 ん な !

あ ~ ! う わ ~ ! ( ベル 坊 ) イ ~ ヤ ~

ビエエエ ~ ッ !

( ガラガラ の 音 )

ビエエエ … アウ ?

( ガラガラ の 音 )

ハ ~ ! ( 男 鹿 ) あ ?

ダ ~ ブ ! アイヤ ( ガラガラ の 音 )

アウ ~ ! ダ ~ ブ ! アウ アウ … ( ガラガラ の 音 )

( ベル 坊 ) アウ ~ ウー アイ ダー ! ( ガラガラ の 音 )

に し て も ひどい 音 だ な

何 を 言う 坊 っちゃ ま 好み の 心地よい 音色 で あ ろ う

アイ ~ ヤ ! ( ガラガラ の 音 )

それ より 貴 様 より も 強く て 凶暴 な ヤツ は 見つかった の か ?

いや まだ だ

フン この 荒れ果て た 地 を ―

統治 する 大 魔 王 様 の よう な お方 は い ない の か ?

それ だ ! 大 魔 王 学校 で いえ ば 校長 じゃ ねえ か !

なるほど そう いう 考え 方 も ある な

どんな ヤツ か 知ら ねえ が ―

全国 一 の 不良 校 の 校長 を やって る って こと は ―

相当 強い に 違い ねえ !

ベル 坊 も きっと 懐く はず !

この 中 か …

一体 どんな 恐ろしい 校長 が … ( 男 鹿 ) いく ぞ 古市

( 校長 ) ひ い っ ! ( 男 鹿 ) ん ?

( 校長 ) う う う う う …

あんた が 校長 ?

ある 意味 こんな 格好 で この 学校 の 校長 やって る って の は 最強 かも

ああ …

( おなか の 鳴る 音 ) ( ベル 坊 ) アウ !

アウ ~ ! ビエエエエ ~ !

う わ あ ああ あ ~ !

( 爆発 音 ) ( 不良 たち ) う わ ~ !

( 男 鹿 ) ハァ ハァ … 今度 は 何 な ん だ ?

( おなか の 鳴る 音 ) ( ベル 坊 ) ビエ ~

坊 っちゃ ま は おなか を すか せ て おいで だ

昼 ご飯 は 持た せ て ある はず だ

どこ へ やった ?

て め え が 壊し た 教室 だ よ

あそこ に 置 い て あった の か

ちょっと 待った ~ ! ここ は 当然 母乳 で は ?

ぐ わ っ !

坊 っちゃ ま の 好物 は 660 万 人 の 魔 界 の 住人 の 命 を 奪った ―

9 つ の 首 を 持つ キング ヒュドラ の 乳

そんな の ね えよ

人間 界 で 近い もの と いえ ば …

( 不良 ) 押す な よ !

( ヒルダ ) どけ ! ( 不良 たち ) ど わ っ !

これ だ ( 男 鹿 ) 牛乳 か よ !

ダー

( 不良 ) わし が もろ た !

エッヘー ! ( 不良 ) 待て や コラッ !

アイ …

あっ !

イッ … エグッ

ビエエエエーッ !

( 不良 たち ) う わ ~ ! ( 爆発 音 )

( カラス の 鳴き声 )

いい か ベル 坊 男 って もん は そう 簡単 に 泣 い ちゃ いか ん の だ

ダ !

まして や 君 は 魔 王 だ ろ ?

ダ !

“ ダ ” じゃ ねえ よ 分かって ん の か ? お前

ダ !

男 って え の は な つらい 時 ほど 泣 い ちゃ いけ ねえ

なぜ だ か 分かる か ? ( ベル 坊 ) ダァ ?

( 男 鹿 ) 涙 と 一緒に 流れ ち まう から だ

悔し さ と か 悲し さ って もん が よ

そう いう 思い は いざ と いう 時 武器 に なる

( ベル 坊 ) アイ ?

だから 簡単 に たれ流し ちゃ いけ ねえ

泣き たい 時 こそ 笑って 乗り越え な

それ が 男 って もん だ 分かる な ?

( ベル 坊 ) ダッ !

( 竜一 ・ 竜二 ) ギャハ !

あ ? ベル 坊 !

ガキ は 預かった ぜ ! ヘヘッ

( 男 鹿 ) おい コラ !

( 男 鹿 ) 15 メートル 以上 離れ たら 即死

ウソ だ ろ ? 50 キロ は 出 てる ぞ

非常識 な 野郎 だ ぜ ( ベル 坊 ) ダ …

泣く な ~ っ !

ウ ウッ …

( アランドロン ) あと 3 メートル で ござい ます

2,9 … 2,8 … 2,7

何 し に 来 た !

( アランドロン ) 私 を お 使い ください

さあ ! ( 男 鹿 ) う わ っ !

( 竜一 ) ヘヘヘ … 何 ~ っ ! ?

ハッハッハッ …

( ブレーキ 音 ) ( アランドロン ) あー ! あが っ !

アイッ ウー

( 竜二 ) う う っ … ( 竜一 ) あ …

おい お っ さん は ね ち まった よ

( アランドロン ) パッ カン

( 2 人 ) パカッ ?

( 竜一 ) え ~ ! ( 竜二 ) おお !

アウ ~

( 男 鹿 ) 偉い ぞ 泣か なかった み て えだ な

男 鹿 て め え ! ( 竜二 ) 許 せ ねえ !

いく ぜ ! ( ベル 坊 ) ダー !

アウー !

( 2 人 ) う ああ ああ !

魔 王 ~ パーンチ !

( 2 人 ) う お っ !

あ あー !

( ベル 坊 ) ダ ~ ブ !

( 男 鹿 ) 帰る か

( ガラガラ の 音 ) ( ベル 坊 ) ダ アイー …

( ガラガラ の 音 )

ビエエエエーッ ! ( 男 鹿 ) あー !

絶対 誰 か に 押しつけ て やる ! ( 爆発 音 )

フン まだまだ だ な

ビエエエエーッ ダウ !

♪ ~

~ ♪

( ベル 坊 ) ダ ~ ブ アイー

( 男 鹿 ) クッソ ~ 結局 押しつけ られ ち まった

( 古市 ) いい じゃ ねえ か

ヒルダ さん と ひと つ 屋根 の 下 で

オレ も ひと つ 屋根 の 下 に なり て え よ !

( ヒルダ ) そんなに ひと つ 屋根 の 下 が ―

羨ま し い なら 考え て おこ う

( 古市 ) 本当 です か ? ヒルダ さん

( ヒルダ ) 次回 「 べ る ぜ バブ 」

( 神崎 ( かんざ き ) ) フッ そ いつ は オレ の こと か ?

( 男 鹿 ) 誰 ?


( アランドロン ) ある 所 に それはそれは 凶悪 で ―

残忍 で 傍若無人 で 人 を 人 と も 思わ ぬ ―

悪魔 の よう な 男 が おり まし た

( 男 鹿 ( お が ) ) う ~ む …

( ベル 坊 ( ぼう ) ) ダブ ~

( 古市 ( ふるい ち ) ) 始める ぞ

男 鹿 の ヤツ 何 やって ん だ ?

何 だって かまわ ねえ チャンス だ

( 2 人 ) おる あぁ ~ !

( 不良 ) や あ ~ っ ! ( 不良 ) う お ~ っ !

男 鹿 パンチ ( ベル 坊 ) ダ !

来い ベル 坊

タブ …

さあ ベル 坊 どっち が 好き だ ?

( ベル 坊 ) ウ ~ ダ ~ アダ アダ アダ !

アウ ~ エイッ !

やっぱり な ( 男 鹿 ) 何 が ?

じゃあ … こっち と こっち ! どっち が 好き だ ? ほ い !

アブ … ( 古市 ) それ !

ダ ~ ! ( 古市 ) よっ !

アブ … ( 古市 ) それ !

ダ ~ ブ ~ !

この 赤ん坊 は ―

普通 なら 絶対 に 喜ば ない もの が 大好き だ

ダ ~ ブ ! アブ !

気 に 入って る み て え だ な … あと は 頼む わ

( 古市 ) あ 待て よ 男 鹿 ! ( ベル 坊 ) ダブ ~ ア ~ !

アウ ? ウ ?

ウグ … ウグ …

( 男 鹿 ) ん ? ( ベル 坊 ) ビエエエ ~ !

ダブダブ ダブ ! ( 男 鹿 ) あっ !

( ベル 坊 ) ダブダブ ダブ … !

ビエエエーッ ! ( 男 鹿 ) だ ああ あ ~ !

( アランドロン ) これ は ひょんな こと から ―

赤ん坊 を 育てる こと に なった 不良 高校 生 の 物語

ただし その 赤ん坊 は 普通 の 赤ん坊 で は なく ―

魔 王 の 子 だった の です

♪ ~

~ ♪

( ベル 坊 ) ダ ~ ブ ~ !

( 不良 たち の 話し声 )

( 男 鹿 ) このまま じゃ 身 が もた ねえ

大体 何で 学校 に 連れ て くる ん だ よ

家 に 置 い て くれ ば いい じゃ ねえ か ( 男 鹿 ) オレ ん 家 は もう ダメ だ

悪魔 に 乗っ取ら れ た こいつ から も 逃げ らん ねえ …

は あ ? オレ ん 家 の ほう が もっと ダメ だ !

一昨日 から 半壊 し てん だ ぞ !

( 男 鹿 ) まあ 聞け 古市

( ヒルダ ) 今日 から この 子 ともども お 世話 に なり ます

ヒルデ ガルダ と 申し ます

( ヒルダ ) ふつつか 者 です が よろしく お 願い いたし ます

おい ! 待て 待て ! 何 だ その 誤解 を 招く 言い 方 は !

何 か 問題 でも ? ( 男 鹿 ) 大 アリ だ !

全員 漏れ なく 固まって る じゃ ねえ か !

しかし この 国 で は こう する もの だ と 聞き まし た

誰 情報 だ コラ ! 前提 から もう 間違って ん だ よ !

( 男 鹿 父 ) この 国 ? 外国 の 人 か ?

( 男 鹿 母 ) 辰巳 ( たつみ ) が 女の子 を 連れ て くる なんて …

しかも 金髪 美人 …

( 美咲 ( みさき ) ) 乳 で か っ

( 男 鹿 父 ) いや それ より も あの 子供 …

( 男 鹿 ) だ から 言って ん だ ろ !

オレ は まだ 親 だ なんて 認め て ね えっ つう の !

( 男 鹿 父 ) 親 ?

あんな こと まで し て おい て …

( 男 鹿 父 ) あんな こと ! ?

( 男 鹿 父 ) 何 ~ ! ? 辰巳 ! 貴 様 と いう ヤツ は ―

あんな こと や そんな こと を こんな 美人 に !

しかも 子供 まで 作って おい て あげく の 果て に ―

それ を 認め ない だ と !

い い や 待て … それ は 違う から

( 男 鹿 父 ) 何 が 違う ! 見ろ この 子 を !

どう 見 て も お前 の 子 じゃ ない か ! 目元 なんか そっくり だ ぞ !

( 男 鹿 ) そっくり じゃ ねえ よ ! よく 見ろ !

( 男 鹿 母 ) あら そっくり ( 美咲 ) 見せ て 見せ て

アハハ ! 本当 に ふてぶてしい …

小さい 頃 の 辰巳 を 思い出す わ ( ベル 坊 ) ダ ~ ブ

あんた どこ の 国 の 人 ? ( ヒルダ ) 魔 界 です

マカオ ? へ え ~ 日本 語 上手 だ ね

( 男 鹿 父 ) 本当 に 申し訳 あり ませ ん !

こいつ に は 責任 持って 育て させ ます んで !

おら ! お前 も 頭 を 下げろ ! ( 男 鹿 ) おわ っ !

( 男 鹿 父 ) 今後 と も ひと つ よろしく お 願い し ます

や ~ ね … スライディング 土下座 よ ( 美咲 ) やり 慣れ てる ん でしょ

いえ こちら こそ よろしく お 願い し ます

ヒルダ と お呼び ください

( 男 鹿 ) … と いう わけ だ ( 古市 ) ちょ … ちょっと 待て

じゃあ 何 か ? ひと つ 屋根 の 下 な の ?

あの ゴスロリ 巨乳 ちゃん と ? 何 それ ?

何 その ラブ コメ 展開 オレ が 半壊 し た 家 で ―

しょっぱい 思い を し てる 時 に 何で お前 だけ ?

食いつく と こ そこ ?

( 古市 ) そこ が 重要 だ ろ !

こっち は 命 が かかって ん だ ぞ

そんな のんき な もん じゃ ねえ よ

( 古市 ) 命 ?

( 男 鹿 ) て め え いいかげん に しろ よ !

完全 に うち の 家族 取り込み や が って ―

マジ で い つく 気 か ? この 野郎 !

しかた ある まい

貴 様 は 坊 っちゃ ま に 選ば れ て しまった の だ

あと 夕飯 うまかった ぞ ( ベル 坊 ) ゲップ !

くつろぎ すぎ だ て め えら !

( ヒルダ ) フン … それ に ―

私 が 坊 っちゃ ま を 連れ て 出 て いったら ―

困る の は 貴 様 の ほう だ ぞ

( 男 鹿 ) あ ? 何で 困る ん だ よ ? ( ベル 坊 ) アブ アブ … アイ ~

あ … ( ベル 坊 ) ダァ ~

( ヒルダ ) 坊 っちゃ ま は おんぶ を 要求 し て おら れる

( 男 鹿 ) で え ~ い ひっつく な !

なんて こと を 貴 様 !

ビ … エエエ … ビエエエエ ~ !

( 男 鹿 ) ぎ ゃ ば ど ぅ ~ !

貴 様 が そば を 離れる と 坊 っちゃ ま は 大 泣き する

坊 っちゃ ま の 泣き声 は 衝撃 波 と し て ―

すさまじい 破壊 力 を 持つ

ちなみに ―

貴 様 が 坊 っちゃ ま と 15 メートル 離れる と ―

泣き声 の 電撃 は ―

即死 レベル に 達する ので 注意 しろ

( 男 鹿 ) や ば すぎる だ ろ う が それ !

… と いう わけ だ

そんな こと より 男 鹿 !

その 夜 ヒルダ さん どこ で 寝 た ん だ ?

( 男 鹿 ) 古市 バカ !

( 古市 ) だって ~ !

ダ ~ ? アウ ~ ア ?

( 不良 ) おいおい マジ か ?

ホント に ガキ が いる よ 傑作

だから 言った ろ 男 鹿 を やる なら 今 だって

( ベル 坊 ) ダブ

この 距離 は !

13 … いや 14,5 メートル ! ? ( 不良 ) 男 鹿 君 ダメ だ な ~

子供 は しっかり と 見 て い ない と … ( ベル 坊 ) アウーッ

( 男 鹿 ) う っ

ヴーッ !

動く な ! ( 不良 ) え ?

それ 以上 動く な よ ! 動 い たら ぶ っ 殺す !

( 男 鹿 ) 今 何 メートル だ ? ちくしょう !

おい 男 鹿 の ヤツ 焦って や がる ぜ 怖 ( こえ ) え けど

( 竜一 ( りゅう いち ) ) どけ コラァ ! ( 3 人 ) ああ ?

う っ あんた ら は !

( 不良 ) 石 矢 魔 ( いし やま ) の 双 頭 竜 ( そうとう りゅう ) 真田 ( さ なだ ) 兄弟 !

( 竜二 ( りゅう じ ) ) 男 鹿 を やる の は オレ たち だ ぜ

誰 ? ( 古市 ) バカ ! あれ が 2 年 の !

( 不良 たち ) う わ あ あ !

( 阿部 ( あ べ ) ) おいおい 抜け駆け は いけ ねえ な

ああ ?

( 不良 ) キラー マシン 阿部 !

( 阿部 ) この 前 は よく も やって くれ た な !

( 下川 ( しも かわ ) ) おっと オレ を 忘れ て もらっちゃ 困る ぜ

( 不良 ) グッドナイト 下川 まで !

なんて こった ! 2 年 幹部 が 勢ぞろい じゃ ねえ か !

男 鹿 や べ え よ これ !

めん どくせ え

おい お前 ら ! もっと 近づ い て ! ( 3 人 ) はい !

( 男 鹿 ) いって き ます ! ( 3 人 ) いって らっしゃい !

こっち 来い コラ ! ( 下川 ・ 阿部 ) あん ?

ビビッ てん の か コラ ! 来い よ !

( 下川 ・ 阿部 ) 何 だ と コラ ~ !

( 殴る 音 ) ( 下川 ・ 阿部 ) ぐ わ ~ !

( 男 鹿 ) 男 鹿 15 メートル ギリギリ パンチ !

( 竜一 ) へえ … ( 竜二 ) やる ね ルーキー

( 竜一 ) 真っ二つ に し て や ん よ

オレ たち の 必殺 技 敵 ( てき ) 刺 ( さ ) す チェーンソー で な !

( 竜一 ) 死ね や ~ ! ( 竜二 ) おら ー !

( 男 鹿 ) じゃあ こっち は ! メ ・ リ ・ コ ・ ミ !

ダーブ ! ( 男 鹿 ) パーンチ !

ダブル 瞬 殺 ! ( ベル 坊 ) ダ ~ ッ !

あ いや す ん ま …

ただいま ! ( 不良 ) お かえり なさい !

( 2 人 ) わ ~ っ !

次 勝手 に 離れ たら 踏み潰す ぞ !

ダァ ~ !

アッ アウ … ( 男 鹿 ) あっ

( ベル 坊 ) ビエエエエ ~ !

ちくしょう

おお 辰巳 帰った か

先 に 食べ てる わ よ

あなた お かえり なさい

何 和やか に 食卓 囲 ん で ん だ よ !

一家 団らん で カレー 食って ん じゃ ねえ !

この カレー ヒルダ さん が 作った の よ

ベル ちゃん の ご飯 も こっち に あり ま ち ゅ よ ~

料理 も 上手 だ し ホント に 辰巳 に は もったいない わ よ ね

こいつ は 悪魔 な ん だ ぞ !

分かって る 分かって る ヒルダ さん は あくまで ―

お前 の 嫁 さん だ アッハッハ !

どうぞ お 義父 ( とう ) さん

( 男 鹿 父 ) うん おっと っと …

ところで 式 は いつ だ ね ?

死期 ? 教え て も よろしい の です か ?

コラ コラ コラ ~ ッ !

ダブ ( 男 鹿 ) ちょ …

辰巳 そんな イライラ し て い ない で 先 に お 風呂 に 入って

ベル ちゃん は 私 が 見 てる から

安心 しろ

風呂 から 食卓 まで の 距離 は 14 メートル

そこ の ライン を 越え なけ れ ば 問題 ない

ギリギリ じゃ ねえ か …

… った く

ん ?

( アランドロン ) チャオ

何 だ よ て め え …

( アランドロン ) ん ん … もう お 忘れ に ?

次元 転送 悪魔 の アランドロン で ござい ます

そんな こと 聞い てん じゃ ねえ ! 何 し に 来 た ?

ヒルダ 様 に 頼ま れ まし て 坊 っちゃ ま と の 距離 の ご 報告 に

12,7 メートル … 12,9 メートル …

おお お おっと ~ 14,3 メートル

13,9 メートル … 13,3 メートル …

おお お おっと ~ 14,5 メートル

落ち着 い て 入って られる か ~ !

やっと 寝 た か

( アランドロン ) その よう です ね

まだ い た の か !

( アランドロン ) ンー !

ブハッ ! ハァ ~ ハァ ハァ …

何 し に 来 た の ? お前

( アランドロン ) こちら の 家 の 前 を ウロウロ と なさって い た ので ―

転送 し て さしあげ まし た

お前 の こと が 気 に なって さ

ヒルダ さん と ひと つ 屋根 の 下 で いろいろ 大丈夫 か って

静か に しろ 坊 っちゃ ま が 目 を 覚ます

( ベル 坊 の 寝息 )

こう し て 見 てる と とても 魔 王 の 子 に は 見え ない な

安心 しろ やがて 成長 すれ ば ―

人類 を 滅ぼす 力 を 持つ よう に なる

安心 でき ねえ よ

なあ も しか して 人類 の 未来 って お前 の 肩 に かかって る ?

フ … 何て ね

ハッハッハ … ( 古市 ) アハ ハハ …

( 2 人 の 笑い声 )

( 3 人 の 笑い声 )

うる せ え ~ っ ! ( ベル 坊 ) アウ アイ ?

つう か そもそも 何で オレ が 親 な ん だ よ !

他 に いくら でも いる だ ろ

そう いう わけ に は まいり ませ ん

先日 も お 話し し た とおり 坊 っちゃ ま は 何せ 魔 王 です から ね

まず 強い 者 に しか ひか れ ませ ん

いや まあ ね ( 古市 ) あ 緩 ん だ

そして さらに 凶暴 で 残忍 で 傍若無人 で ―

人 を 人 と も 思わ ない 野郎 なら 最高 です

強 けれ ば 強い ほど 凶暴 で あれ ば ある ほど ―

坊 っちゃ ま は 懐く の です

待て ! と いう こと は あれ か ?

オレ より 凶暴 な ヤツ が い たら ベル 坊 は そい つ に 懐き ―

オレ は 解放 さ れる って こと か ?

( 3 人 の 笑い声 )

バカ か 貴 様 ら

( 雷鳴 )

( 大 魔 王 ) グァ ハハハハ ! 愚か な ヤツ ら め

この 手 で メチャメチャ に し て やる !

破壊 だ 大 破壊 だ !

ガハハハ … ( 悪魔 ) うるさい ん です けど

ここ だけ だ よ 大 声 出し てん の

( 大 魔 王 ) あ ~ 悪 ( わり ) い 悪い

1 週間 寝 て ない と 変 な テンション に なっちゃ っ て さ

みんな も ゴメンゴメンゴ で も いい よ ね ! 大 魔 王 だ し

( 側近 ) 大 魔 王 様 ( 大 魔 王 ) よう 久しぶり

子育て の ほう は どう ?

わし の 息子 は ちゃんと 人類 を 滅ぼし て くれ そう ?

( 側近 ) まあ とりあえず この 男 が ベルゼ 様 の 親 に

( 大 魔 王 ) へ え ~ なかなか 凶悪 そう で いい 顔 し てん じゃ ん

ああ それ ロン ! ワラ 人形 五 寸 釘 トンカチ の 丑 三 ツ 暗 刻 ( うし みつ あんこう ) ね

あ そう そう わし の 息子 の 大好き な この おもちゃ ―

渡す の 忘れ て た から さ 宅配 便 で 送 っと い て くれる ?

( 男 鹿 ) ん ~ どこ だ ? どこ に いる ?

オレ より 強く て 凶暴 な 野郎 は … お め え か コラー !

違 ( ち げ ) えよ ! ( ベル 坊 ) アウ ~ ダ ~ ブ !

( 男 鹿 ) お め え は 悪い か ! ?

いえ 全然 っす ! ( ベル 坊 ) アイ ~ アイ …

あ あれ ! ? ( 不良 ) あ ? アバレオーガ !

いや その 上 ! ( 不良 たち ) う わ あ ああ !

( 不良 たち ) くっさ ~ !

臭い ? まさか !

て め え 人 の 頭 の 上 で してん じゃ ねえ !

( ベル 坊 ) ビエエエエーッ ! ( 爆発 音 )

( 不良 たち ) お ?

ヒルダ さん 何 し に ?

先ほど 魔 界 から の 宅配 便 で ―

坊 っちゃ ま の お気に入り の おもちゃ が 届 い た ので ―

持って き て やった

男 鹿 辰巳 は どこ に いる ?

男 鹿 なら 今 強い ヤツ を 探し に 行って る とこ だ けど

フン 往生 際 の 悪い 男 だ

( 下川 ) そこ の 子 猫 ちゃん オレ と 一 戦 交え て み ない ?

何 だ ? お前 は

君 の 瞳 に グッナイ !

( 衝撃 音 )

グッナ ~ イ !

( 爆発 音 )

何 だ 何 だ ? ( 不良 たち ) う わ ~ !

め っちゃ 強 ( つえ ) え ~ !

あっ ち に 強い ヤツ が いる の か ? ( ベル 坊 ) ダ ~ ブ

男 鹿 辰巳 そこ に い た か

何 だ や ん の か コラ !

いや や っぱ こいつ を 連れ てって くれる の か ?

ダ ~ ブ ! ヤイ ヤイ ! ( 男 鹿 ) ちょっと 待て 泣く ぞ !

来 ん な 来 ん な !

あ ~ ! う わ ~ ! ( ベル 坊 ) イ ~ ヤ ~

ビエエエ ~ ッ !

( ガラガラ の 音 )

ビエエエ … アウ ?

( ガラガラ の 音 )

ハ ~ ! ( 男 鹿 ) あ ?

ダ ~ ブ ! アイヤ ( ガラガラ の 音 )

アウ ~ ! ダ ~ ブ ! アウ アウ … ( ガラガラ の 音 )

( ベル 坊 ) アウ ~ ウー アイ ダー ! ( ガラガラ の 音 )

に し て も ひどい 音 だ な

何 を 言う 坊 っちゃ ま 好み の 心地よい 音色 で あ ろ う

アイ ~ ヤ ! ( ガラガラ の 音 )

それ より 貴 様 より も 強く て 凶暴 な ヤツ は 見つかった の か ?

いや まだ だ

フン この 荒れ果て た 地 を ―

統治 する 大 魔 王 様 の よう な お方 は い ない の か ?

それ だ ! 大 魔 王 学校 で いえ ば 校長 じゃ ねえ か !

なるほど そう いう 考え 方 も ある な

どんな ヤツ か 知ら ねえ が ―

全国 一 の 不良 校 の 校長 を やって る って こと は ―

相当 強い に 違い ねえ !

ベル 坊 も きっと 懐く はず !

この 中 か …

一体 どんな 恐ろしい 校長 が … ( 男 鹿 ) いく ぞ 古市

( 校長 ) ひ い っ ! ( 男 鹿 ) ん ?

( 校長 ) う う う う う …

あんた が 校長 ?

ある 意味 こんな 格好 で この 学校 の 校長 やって る って の は 最強 かも

ああ …

( おなか の 鳴る 音 ) ( ベル 坊 ) アウ !

アウ ~ ! ビエエエエ ~ !

う わ あ ああ あ ~ !

( 爆発 音 ) ( 不良 たち ) う わ ~ !

( 男 鹿 ) ハァ ハァ … 今度 は 何 な ん だ ?

( おなか の 鳴る 音 ) ( ベル 坊 ) ビエ ~

坊 っちゃ ま は おなか を すか せ て おいで だ

昼 ご飯 は 持た せ て ある はず だ

どこ へ やった ?

て め え が 壊し た 教室 だ よ

あそこ に 置 い て あった の か

ちょっと 待った ~ ! ここ は 当然 母乳 で は ?

ぐ わ っ !

坊 っちゃ ま の 好物 は 660 万 人 の 魔 界 の 住人 の 命 を 奪った ―

9 つ の 首 を 持つ キング ヒュドラ の 乳

そんな の ね えよ

人間 界 で 近い もの と いえ ば …

( 不良 ) 押す な よ !

( ヒルダ ) どけ ! ( 不良 たち ) ど わ っ !

これ だ ( 男 鹿 ) 牛乳 か よ !

ダー

( 不良 ) わし が もろ た !

エッヘー ! ( 不良 ) 待て や コラッ !

アイ …

あっ !

イッ … エグッ

ビエエエエーッ !

( 不良 たち ) う わ ~ ! ( 爆発 音 )

( カラス の 鳴き声 )

いい か ベル 坊 男 って もん は そう 簡単 に 泣 い ちゃ いか ん の だ

ダ !

まして や 君 は 魔 王 だ ろ ?

ダ !

“ ダ ” じゃ ねえ よ 分かって ん の か ? お前

ダ !

男 って え の は な つらい 時 ほど 泣 い ちゃ いけ ねえ

なぜ だ か 分かる か ? ( ベル 坊 ) ダァ ?

( 男 鹿 ) 涙 と 一緒に 流れ ち まう から だ

悔し さ と か 悲し さ って もん が よ

そう いう 思い は いざ と いう 時 武器 に なる

( ベル 坊 ) アイ ?

だから 簡単 に たれ流し ちゃ いけ ねえ

泣き たい 時 こそ 笑って 乗り越え な

それ が 男 って もん だ 分かる な ?

( ベル 坊 ) ダッ !

( 竜一 ・ 竜二 ) ギャハ !

あ ? ベル 坊 !

ガキ は 預かった ぜ ! ヘヘッ

( 男 鹿 ) おい コラ !

( 男 鹿 ) 15 メートル 以上 離れ たら 即死

ウソ だ ろ ? 50 キロ は 出 てる ぞ

非常識 な 野郎 だ ぜ ( ベル 坊 ) ダ …

泣く な ~ っ !

ウ ウッ …

( アランドロン ) あと 3 メートル で ござい ます

2,9 … 2,8 … 2,7

何 し に 来 た !

( アランドロン ) 私 を お 使い ください

さあ ! ( 男 鹿 ) う わ っ !

( 竜一 ) ヘヘヘ … 何 ~ っ ! ?

ハッハッハッ …

( ブレーキ 音 ) ( アランドロン ) あー ! あが っ !

アイッ ウー

( 竜二 ) う う っ … ( 竜一 ) あ …

おい お っ さん は ね ち まった よ

( アランドロン ) パッ カン

( 2 人 ) パカッ ?

( 竜一 ) え ~ ! ( 竜二 ) おお !

アウ ~

( 男 鹿 ) 偉い ぞ 泣か なかった み て えだ な

男 鹿 て め え ! ( 竜二 ) 許 せ ねえ !

いく ぜ ! ( ベル 坊 ) ダー !

アウー !

( 2 人 ) う ああ ああ !

魔 王 ~ パーンチ !

( 2 人 ) う お っ !

あ あー !

( ベル 坊 ) ダ ~ ブ !

( 男 鹿 ) 帰る か

( ガラガラ の 音 ) ( ベル 坊 ) ダ アイー …

( ガラガラ の 音 )

ビエエエエーッ ! ( 男 鹿 ) あー !

絶対 誰 か に 押しつけ て やる ! ( 爆発 音 )

フン まだまだ だ な

ビエエエエーッ ダウ !

♪ ~

~ ♪

( ベル 坊 ) ダ ~ ブ アイー

( 男 鹿 ) クッソ ~ 結局 押しつけ られ ち まった

( 古市 ) いい じゃ ねえ か

ヒルダ さん と ひと つ 屋根 の 下 で

オレ も ひと つ 屋根 の 下 に なり て え よ !

( ヒルダ ) そんなに ひと つ 屋根 の 下 が ―

羨ま し い なら 考え て おこ う

( 古市 ) 本当 です か ? ヒルダ さん

( ヒルダ ) 次回 「 べ る ぜ バブ 」

( 神崎 ( かんざ き ) ) フッ そ いつ は オレ の こと か ?

( 男 鹿 ) 誰 ?