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刀語, Katanagatari Episode 4 (3)

Katanagatari Episode 4 (3)

蟷螂 さん は 教えて くれ なかった のです よ

蟷螂 殿 が 教え なかった こと を

この 俺 が 教える わけ が ない だろう

そう です か

蟷螂 殿 を 倒した あんた を 俺 は 女 だ と は 思わ ん

遠慮 会釈 なく 最初 から 本気で やら せて もらう

場合 に よって は 殺して しまう こと に なる かも しれん が

それでは 人質 に なり ませ ん よ

むろん 人質 に する の が 何より だ が

姉 の 死体 を 目前 に さらす だけ でも

弟 の 戦意 を そぐ に は 十分だろう

なるほど

忍者 らしい お 言葉 です ね

とはいえ もちろん 降参 に 応じる つもり は ある んだ ぜ

ヤベ え と 思ったら いつでも いい から 声 を 上げ なあ

よし なに

その 構え

これ は 真庭 拳法 つって なあ

世間 で 出回って る ような 一般 的な 拳法 と は まったく 起源 を 別に する もの だ

真庭 拳法

虚 刀 流 の 開祖 鑢 一 根 と 俺 の 初代 と は

大昔 に 拳 を 交えた こと が ある って 話 だ から な

お前 知って る か

いえ 全然 知り ませ ん でした

そん とき は ずいぶん と 楽しかった らしい

俺 ら も 負け ず に 戦おう ぜ

どうした 構え ない の か

同じ 拳法 家 と して ぜひ ご 指南 いただき たい ところ な んだ が な

俺 は 構える まで 待って やる っつ って んだ ぞ

そう は 言わ れ まして も

わたし 今 まで 構えた こと なんて あり ませ ん から

虚 刀 流 に は 構え が ない って こと な の か

だから わたし は 虚 刀 流 と して は 異端 な のです よ

でも こう 思い ませ ん か 蝶 々 さん

構える だ なんて 無駄な こと

何 か ある たび に いちいち 構える なんて

その分 だけ 動作 が 遅れる じゃ あり ませ ん か

あなた が そう である よ

構える こと で

次に どう する つもりな の か だいたい 読めて しまい ます し

せっかく の 謎 の 拳法 も

結構 底 が 透けちゃ って ます よ

そういうふうに 構える だけ で

それ でも 強いて 名付ける と する なら

これ は 虚 刀 流 零 の 構え

無花果

と 言った ところ でしょう か

虚 刀 流

雛 罌粟

よく 避け られた なあ

真庭 拳法 と 真庭 忍法

この 合わせ 技 を 最初の 1 回 から かわせた 奴 は

あんまり い ない んだ けど な

忍法

忍法 足 軽

俺 の 動き は 重力 を 無視 できる んだ よ

どんな 重い 物 でも 持てる し

細い 枝 でも 俺 に とっちゃ 十分 過ぎる ほど 立派な 足場 に なる んだ

あんた が 俺 の 体 に どんな 攻撃 を 加えよう と

俺 は その 方向 へ 吹っ飛ぶ だけ だ

わたし の 手 刀 は 実際 に は 届いて おら ず

その 前 に 生じた 風圧 で

あなた の 体 は もう 浮いて いた と いう こと です か

お うよ

そんな 異形の 技 を 使い ながら

ひょうひょうと 拳法 家 を 名乗る と は

なかなか どうして ずぶとくて いらっしゃる

ずぶとい と 言わ れて も よ

それ が 俺 の 忍法 なんだ から 仕方 ねえ じゃ ねえ か

どう だい 降参 する なら 今 が 好機 だ ぜ

次 は 本気で いく

最初 から 本気だった はずな ので は

あんた 俺 の 忍法 の すご さ が 分から ねえ の か

分かり ます よ

十分 すごい と 思って い ます

おそらくは 重 さ を 消失 さ せる 技 です か

その 技 を 使って お 仲間 と 一緒に この 島 に やって 来た のでしょう

しかし わたし が それ より も すごい と 思って いる の は 技 そのもの じゃ なくて

あなた が その 技 を 習得 する まで に 掛けた だろう 時間 の こと です よ

生半可な 努力 で は なかった のでしょう ね

これ まで の 人生 の ほとんど 全て を 費やした のでしょう ね

あの 蟷螂 さん も 忍法 爪 合わせ と おっしゃって い ました が

自分 の 肉体 を あそこ まで 改造 する のに

どれ だけ 時間 を 要した か

きっと それ は 真庭 の 里 に 遥か 昔 から 延々と 受け継が れて

ようやく 完成 した 英知 な のでしょう ね

わたし は それ が

わたし は それ が 羨ま し い

あなた 方 に は とうてい 分から ない のでしょう ね

努力 する こと を 許さ れ ない 人間 の 気持ち なんて

死んで も 知ら ねえ ぞ

また 見せて くれ ました ね

あの 女 蝶 々 さん の 忍法 を

忍法 足 軽

やっぱり 予想 どおり でした ね

当たり前です けれど

実際 に 重 さ を 消して いる わけじゃ ない

そ っ そんな バカな

もう 十分 見せて もらい ました から

一思いに 殺して さしあげ ます

虚 刀 流

蒲 公英

そんな っ

バカな

爪 合わせ

こちら の 忍法 は 1 回 しか 見せて もらえ なかった から

あまり うまく いき ませ ん でした

まあ 次 から は もう 少し うまく いく でしょう

ああ あり 得 ねえ

真庭 忍法 を そんなに たやすく

お 俺 たち が いったい どんな 思い で

あり 得 ねえ あり 得 ねえ あり 得 ねえ

本当

だから 羨ま し い です よ

一 々 力一杯 頑張れちゃ って

そんな 嘘 だ

こんな 短 時間 で 2 人 の 忍法 を

あの 娘 いったい

見て き ました から ずっと わたし は

わたし の 強 さ は 例外 的な 強 さ

反則 的な 強 さ と 言わ れ ました

父 の 六 枝 は 父親 と して

あるいは 一 人 の 剣士 と して

それ を 封じ込めよう と した のです

だから わたし に は 一切 虚 刀 流 を 教えて は くれ なかった

では なぜ わたし が その 技 を 会得 して いる の か

ずっと 見て いた から です

弟 の 七 花 が 努力 する 姿 を

19 年間 休 まず に 修行 する 弟 の 姿 を

わたし は ずっと 見 続けて きた

1 回 見れば 大抵 の こと は 覚え られ ます

2 回 見れば 盤石

わたし の 稽古 は 見 稽古

わたし の 修行 は 見る こと な のです

ありがとう ございます わたし に 見せて くれて

来る な 蜜蜂

でも

見て た ろ お前 も

だったら ちゃんと 戦略 を 立てろ

この 女 一筋縄 で は いか ねえ ぞ

蝶 々 さん

虫 組 は いつも 一緒

許さ ない

さて と この 戦い は どこ か から 見 られて いた はずな んだ けど

そろそろ 出て き ませ ん か

病 か

ならば 好機

見て いて ください 蟷螂 さん 蝶 々 さん

忍法

撒 菱 指弾

仕留めた

僕 は 真庭 忍 軍 十二 頭領 が 一 人

真庭 蜜蜂 です

鑢 七 実 です

仲間 を 2 人 殺して くれ ました ね

ええ 蟷螂 さん と 蝶 々 さんと おっしゃい ました か

周り を 警戒 し なく と も 僕 が 最後 の 一 人 です よ

まあ 今 の あなた に 対する のならば

僕 一 人 だけ でも 十分 過ぎる ほど 十分でしょう けれど ね

毒 です か

ええ 毒 です

ご 安心 ください 死ぬ ほど の 毒 で は あり ませ ん

僕 の 目的 は あなた じゃ ない

あなた の 弟 さん です

もっと 言えば

あなた の 弟 さん が 集めて いる 四季 崎記 紀 の 完成 形 変 体 刀 です

本音 を 言えば あなた を 殺して しまい たい 気持ち は ある んです が ね

しかし そう する こと で 晴れる の は

みすみす 仲間 を 殺さ れて しまった 僕 の 無念 だけ でしょう

蟷螂 さん や 蝶 々 さん の 無念 は

刀 集 め を 達成 して こそ 晴ら せる と いう もの です

よく しゃべり ます ね

やはり 人 は 自分 が 優位に 立った とき こそ 饒舌に なる もの な のです ね

忍び と いえ ど それ は 例外 で は あり ませ ん か

あなた こそ

死な ない と は 言って も

普通 もう しゃべれ なく なって も おかしく ない くらい の 毒 な んです けど

念のため もう 一 発 くらい 撃ち込んで おいた 方 が いい のでしょう か

それ が あなた の 忍法 です か

ええ 忍法 撒 菱 指弾 と いい ます

その 技 わたし に 見せて しまって いい のです か

今 の あなた なら 何 を 見 られて も 平気です ね

たとえ あなた が 言語道断 空前絶後 の 天才 な のだ と して も

それ に おとなしく 僕 に 従って いただける よう なら

僕 も 一 人 の 男 と して

あなた の 美しい 肌 に 傷 を 付ける の は 忍びない と 思い ます

それ は

どうも

僕 は 物事 を 客観 的に 見る

あなた が 僕 なんか より も ずっと 腕 の 立つ 人間 である こと は 承知 して い ます

ならば 今 の 内 に 両腕 を 切り落として おく 位 の こと は して おく べきでしょう

それほど の 痛み は ない はずです

貴方 の 全身 を 巡る 毒 が ちょうど いい 痛み止め の 役割 を して くれる でしょう

悪く 思わ ないで ください

あなた が 強 過ぎる の が 悪い んです から

いっ いつの間に

忍法 足 軽 それ と そう 撒 菱 指弾

撒 菱

あなた が 撤菱 を 持って いる だ なんて

そんな 設定 ここ まで の どこ に も 登場 して い ない

あなた が くれた で は ないで す か 2 個 も

し しかし

肉 に 食い込んだ 撒 菱 が そう 簡単に 引き 抜ける はず が ない

とげ に 返し が 付いて いる んです から !

ですから この つめ で 肉 ごと えぐり 取り ました

くっ ど 毒 は

ああ あれ は 演技 です よ

演技

死 に も し ない 程度 の 毒 なんて 何でも あり ませ ん

そんな もの は わたし に とって は 日常 です

日常

どれ だけ 苦しくて も どれ だけ 痛くて も どれ だけ 死に そう でも

わたし の 体 は 死 を 選び ませ ん

いえ 死 を 許さ れ ない んです

どうして 死な ない の か 分から ない

この 子 は どうして 生きて いる のだろう 本当に かわいそう

いつ 死んで も おかしく ない と いう か

どうして まだ 死な ない の か 分かり ませ ん

どうして まだ 生きて いる の か

こんなに 苦し そうな のに かわいそう

本当に 楽に 死ね も し ない なんて

苦しい

いっそ 死んで しまえたら

死ぬ こと が できれば 楽に なれる のに

だから その 程度 の 毒 で 痛み や 苦痛 を 感じる あなた が うらやましい

まだ だ まだ 負けた わけじゃ ない

貴 様 に 耐え られる ような 毒 に 僕 が 耐え られ ない わけ が ない

いいえ 無理だ と 思い ます よ

あなた の 肩 に 撃ち込んだ その 撒 菱 な のです けれど

あなた が 最初 から 塗って いた 毒 の 上 から

さらに わたし が 別の 毒 を 塗って おき ました から

最初に 蟷螂 さん が 奥歯 に 仕込んで いた 物 を 使わ せて もらい ました

そういう 設定 は ちゃんと 登場 して い ました よ ね

せっかく です から 選んで いただけ ませ ん か

選ぶ

毒 で 死ぬ か 刀 で 死ぬ か

あなた の おかげ で

わたし 生まれて 初めて 刀 の 使い 方 を 見せて もらい ました から

刀 で 殺して ください

自決 の 毒 で 死んだ など

仲間 に 顔 向け でき ませ ん

分かり ました

では はなむけ に

虚 刀 流 の 八 番 目 最終 奥義 を お 見せ し ましょう

その 前 に

お 願い が あり ます

ぼ 僕 の 死体 を みんな と 同じ 場所 へ 埋めて くだ

いい です

よ それ と これ を

何 です それ

しかし それにしても 大変な 戦い だった

ああ 大変な 戦い だった

さすが 日本 最強だ

錆 白 兵 俺 は その 名 を 生涯 忘れる こと は ない だろう

まさに 紙一重 の 勝利 だった

聖地 巌 流 島 に また 新しい 歴史 が 刻ま れた と いって も 過言 で は ない な

首 の 皮 一 枚 の 戦い と は まさに あの こと だ

とがめ の 作戦 が なかったら 今ごろ 俺 は 生きちゃ い ない だろう

何 を 言う そ なた の 剣 技 が あって こそ の わたし の 奇 策 だ

わたし は そな た の こと を 見直した ぞ

俺 は とがめ に ほれ 直した ぜ

言う な 言う な

しかし まあ 錆 白 兵 と 1 対 1 で 剣 技 を 競い 打ち勝った のだ

これ で そ なた は 名実ともに 欲しがって いた

日本 最強 の 称号 を 手 に した ので は ない か

日本 最強 か

あまり 実感 は ない が な

それにしても 錆 が 披露 した 数々 の 剣 技 に は


Katanagatari Episode 4 (3) Katanagatari Episode 4 (3)

蟷螂 さん は 教えて くれ なかった のです よ かまきり|||おしえて|||の です|

蟷螂 殿 が 教え なかった こと を かまきり|しんがり||おしえ|||

この 俺 が 教える わけ が ない だろう |おれ||おしえる||||

そう です か

蟷螂 殿 を 倒した あんた を   俺 は 女 だ と は 思わ ん かまきり|しんがり||たおした|||おれ||おんな||||おもわ|

遠慮 会釈 なく 最初 から 本気で やら せて もらう えんりょ|えしゃく||さいしょ||ほんきで|||

場合 に よって は 殺して しまう こと に なる かも しれん が ばあい||||ころして|||||||

それでは 人質 に なり ませ ん よ |ひとじち|||||

むろん 人質 に する の が 何より だ が |ひとじち|||||なにより||

姉 の 死体 を 目前 に さらす だけ でも あね||したい||もくぜん||||

弟 の 戦意 を そぐ に は 十分だろう おとうと||せんい|||||じゅうぶんだろう

なるほど

忍者 らしい お 言葉 です ね にんじゃ|||ことば||

とはいえ もちろん 降参 に 応じる つもり は ある んだ ぜ ||こうさん||おうじる|||||

ヤベ え と 思ったら いつでも いい から   声 を 上げ なあ |||おもったら||||こえ||あげ|

よし なに

その 構え |かまえ

これ は   真庭 拳法 つって なあ ||まにわ|けんぽう||

世間 で 出回って る ような 一般 的な 拳法 と は まったく 起源 を 別に する もの だ せけん||でまわって|||いっぱん|てきな|けんぽう||||きげん||べつに|||

真庭 拳法 まにわ|けんぽう

虚 刀 流 の 開祖 鑢 一 根 と 俺 の 初代 と は きょ|かたな|りゅう||かいそ|やすり|ひと|ね||おれ||しょだい||

大昔 に 拳 を 交えた こと が ある って 話 だ から な おおむかし||けん||まじえた|||||はなし|||

お前   知って る か おまえ|しって||

いえ   全然 知り ませ ん でした |ぜんぜん|しり|||

そん とき は ずいぶん と 楽しかった らしい |||||たのしかった|

俺 ら も 負け ず に 戦おう ぜ おれ|||まけ|||たたかおう|

どうした 構え ない の か |かまえ|||

同じ 拳法 家 と して ぜひ ご 指南 いただき たい ところ な んだ が な おなじ|けんぽう|いえ|||||しなん|||||||

俺 は 構える まで 待って やる っつ って んだ ぞ おれ||かまえる||まって|||||

そう は 言わ れ まして も ||いわ|||

わたし 今 まで 構えた こと なんて あり ませ ん から |いま||かまえた||||||

虚 刀 流 に は 構え が ない って こと な の か きょ|かたな|りゅう|||かまえ|||||||

だから わたし は 虚 刀 流 と して は 異端 な のです よ |||きょ|かたな|りゅう||||いたん||の です|

でも こう 思い ませ ん か   蝶 々 さん ||おもい||||ちょう||

構える だ なんて 無駄な こと かまえる|||むだな|

何 か ある たび に いちいち 構える なんて なん||||||かまえる|

その分 だけ   動作 が 遅れる じゃ あり ませ ん か そのぶん||どうさ||おくれる|||||

あなた が そう である よ

構える こと で かまえる||

次に どう する つもりな の か だいたい 読めて しまい ます し つぎに|||||||よめて|||

せっかく の 謎 の 拳法 も ||なぞ||けんぽう|

結構 底 が 透けちゃ って ます よ けっこう|そこ||すけちゃ|||

そういうふうに 構える だけ で |かまえる||

それ でも 強いて 名付ける と する なら ||しいて|なづける|||

これ は 虚 刀 流   零 の 構え ||きょ|かたな|りゅう|ぜろ||かまえ

無花果 いちじく

と 言った ところ でしょう か |いった|||

虚 刀 流 きょ|かたな|りゅう

雛 罌粟 ひな|けし

よく 避け られた なあ |さけ||

真庭 拳法 と 真庭 忍法 まにわ|けんぽう||まにわ|にんぽう

この 合わせ 技 を 最初の 1 回 から かわせた 奴 は |あわせ|わざ||さいしょの|かい|||やつ|

あんまり い ない んだ けど な

忍法 にんぽう

忍法 足 軽 にんぽう|あし|けい

俺 の 動き は 重力 を 無視 できる んだ よ おれ||うごき||じゅうりょく||むし|||

どんな 重い 物 でも 持てる し |おもい|ぶつ||もてる|

細い 枝 でも 俺 に とっちゃ 十分 過ぎる ほど 立派な 足場 に なる んだ ほそい|えだ||おれ|||じゅうぶん|すぎる||りっぱな|あしば|||

あんた が 俺 の 体 に どんな 攻撃 を 加えよう と ||おれ||からだ|||こうげき||くわえよう|

俺 は その 方向 へ 吹っ飛ぶ だけ だ おれ|||ほうこう||ふっとぶ||

わたし の 手 刀 は 実際 に は 届いて おら ず ||て|かたな||じっさい|||とどいて||

その 前 に 生じた 風圧 で |ぜん||しょうじた|ふうあつ|

あなた の 体 は もう 浮いて いた と いう こと です か ||からだ|||ういて||||||

お うよ

そんな 異形の 技 を 使い ながら |いぎょうの|わざ||つかい|

ひょうひょうと 拳法 家 を 名乗る と は |けんぽう|いえ||なのる||

なかなか どうして ずぶとくて いらっしゃる

ずぶとい と 言わ れて も よ ||いわ|||

それ が 俺 の 忍法 なんだ から 仕方 ねえ じゃ ねえ か ||おれ||にんぽう|||しかた||||

どう だい   降参 する なら 今 が 好機 だ ぜ ||こうさん|||いま||こうき||

次 は 本気で いく つぎ||ほんきで|

最初 から 本気だった はずな ので は さいしょ||ほんきだった|||

あんた 俺 の 忍法 の すご さ が 分から ねえ の か |おれ||にんぽう|||||わから|||

分かり ます よ わかり||

十分 すごい と 思って い ます じゅうぶん|||おもって||

おそらくは 重 さ を 消失 さ せる 技 です か |おも|||しょうしつ|||わざ||

その 技 を 使って   お 仲間 と 一緒に この 島 に やって 来た のでしょう |わざ||つかって||なかま||いっしょに||しま|||きた|

しかし わたし が それ より も すごい と 思って いる の は 技 そのもの じゃ なくて ||||||||おもって||||わざ|その もの||

あなた が その 技 を 習得 する まで に 掛けた だろう 時間 の こと です よ |||わざ||しゅうとく||||かけた||じかん||||

生半可な 努力 で は なかった のでしょう ね なまはんかな|どりょく|||||

これ まで の 人生 の ほとんど 全て を 費やした のでしょう ね |||じんせい|||すべて||ついやした||

あの 蟷螂 さん も 忍法 爪 合わせ と おっしゃって い ました が |かまきり|||にんぽう|つめ|あわせ|||||

自分 の 肉体 を あそこ まで 改造 する のに じぶん||にくたい||||かいぞう||

どれ だけ 時間 を 要した か ||じかん||ようした|

きっと それ は   真庭 の 里 に 遥か 昔 から 延々と 受け継が れて |||まにわ||さと||はるか|むかし||えんえんと|うけつが|

ようやく 完成 した 英知 な のでしょう ね |かんせい||えいち|||

わたし は   それ が

わたし は   それ が 羨ま し い ||||うらやま||

あなた 方 に は とうてい 分から ない のでしょう ね |かた||||わから|||

努力 する こと を 許さ れ ない 人間 の 気持ち なんて どりょく||||ゆるさ|||にんげん||きもち|

死んで も   知ら ねえ ぞ しんで||しら||

また   見せて くれ ました ね |みせて|||

あの 女   蝶 々 さん の 忍法 を |おんな|ちょう||||にんぽう|

忍法 足 軽 にんぽう|あし|けい

やっぱり 予想 どおり でした ね |よそう|||

当たり前です けれど あたりまえ です|

実際 に 重 さ を 消して いる わけじゃ ない じっさい||おも|||けして|||

そ っ   そんな バカな |||ばかな

もう   十分 見せて もらい ました から |じゅうぶん|みせて|||

一思いに 殺して さしあげ ます ひとおもいに|ころして||

虚 刀 流 きょ|かたな|りゅう

蒲 公英 がま|きみひで

そんな っ

バカな ばかな

爪 合わせ つめ|あわせ

こちら の 忍法 は 1 回 しか 見せて もらえ なかった から ||にんぽう||かい||みせて|||

あまり うまく いき ませ ん でした

まあ   次 から は もう 少し うまく いく でしょう |つぎ||||すこし|||

ああ   あり 得 ねえ ||とく|

真庭 忍法 を そんなに たやすく まにわ|にんぽう|||

お   俺 たち が いったい どんな 思い で |おれ|||||おもい|

あり 得 ねえ あり 得 ねえ あり 得 ねえ |とく|||とく|||とく|

本当 ほんとう

だから 羨ま し い です よ |うらやま||||

一 々 力一杯 頑張れちゃ って ひと||ちからいっぱい|がんばれちゃ|

そんな   嘘 だ |うそ|

こんな 短 時間 で 2 人 の 忍法 を |みじか|じかん||じん||にんぽう|

あの 娘 いったい |むすめ|

見て き ました から   ずっと   わたし は みて||||||

わたし の 強 さ は 例外 的な 強 さ ||つよ|||れいがい|てきな|つよ|

反則 的な 強 さ と 言わ れ ました はんそく|てきな|つよ|||いわ||

父 の 六 枝 は 父親 と して ちち||むっ|えだ||ちちおや||

あるいは 一 人 の 剣士 と して |ひと|じん||けんし||

それ を 封じ込めよう と した のです ||ふうじこめよう|||の です

だから   わたし に は   一切 虚 刀 流 を 教えて は くれ なかった ||||いっさい|きょ|かたな|りゅう||おしえて|||

では   なぜ わたし が その 技 を 会得 して いる の か |||||わざ||えとく||||

ずっと 見て いた から です |みて|||

弟 の 七 花 が 努力 する 姿 を おとうと||なな|か||どりょく||すがた|

19 年間 休 まず に 修行 する 弟 の 姿 を ねんかん|きゅう|||しゅぎょう||おとうと||すがた|

わたし は ずっと 見 続けて きた |||み|つづけて|

1 回 見れば 大抵 の こと は 覚え られ ます かい|みれば|たいてい||||おぼえ||

2 回 見れば   盤石 かい|みれば|ばんじゃく

わたし の 稽古 は 見 稽古 ||けいこ||み|けいこ

わたし の 修行 は 見る こと な のです ||しゅぎょう||みる|||の です

ありがとう ございます   わたし に 見せて くれて ||||みせて|

来る な   蜜蜂 くる||みつばち

でも

見て た ろ   お前 も みて|||おまえ|

だったら   ちゃんと 戦略 を 立てろ ||せんりゃく||たてろ

この 女 一筋縄 で は いか ねえ ぞ |おんな|ひとすじなわ|||||

蝶 々 さん ちょう||

虫 組 は   いつも 一緒 ちゅう|くみ|||いっしょ

許さ ない ゆるさ|

さて と   この 戦い は どこ か から 見 られて いた はずな んだ けど |||たたかい|||||み|||||

そろそろ 出て き ませ ん か |でて||||

病 か びょう|

ならば 好機 |こうき

見て いて ください 蟷螂 さん   蝶 々 さん みて|||かまきり||ちょう||

忍法 にんぽう

撒 菱 指弾 ま|ひし|しだん

仕留めた しとめた

僕 は 真庭 忍 軍 十二 頭領 が 一 人 ぼく||まにわ|おし|ぐん|じゅうに|とうりょう||ひと|じん

真庭 蜜蜂 です まにわ|みつばち|

鑢 七 実 です やすり|なな|み|

仲間 を 2 人   殺して くれ ました ね なかま||じん|ころして|||

ええ   蟷螂 さん と 蝶 々 さんと おっしゃい ました か |かまきり|||ちょう|||||

周り を 警戒 し なく と も 僕 が 最後 の 一 人 です よ まわり||けいかい|||||ぼく||さいご||ひと|じん||

まあ   今 の あなた に 対する のならば |いま||||たいする|

僕 一 人 だけ でも 十分 過ぎる ほど 十分でしょう けれど ね ぼく|ひと|じん|||じゅうぶん|すぎる||じゅうぶんでしょう||

毒 です か どく||

ええ   毒 です |どく|

ご 安心 ください 死ぬ ほど の 毒 で は あり ませ ん |あんしん||しぬ|||どく|||||

僕 の 目的 は あなた じゃ ない ぼく||もくてき||||

あなた の 弟 さん です ||おとうと||

もっと 言えば |いえば

あなた の 弟 さん が 集めて いる 四季 崎記 紀 の 完成 形 変 体 刀 です ||おとうと|||あつめて||しき|さきき|き||かんせい|かた|へん|からだ|かたな|

本音 を 言えば あなた を 殺して しまい たい 気持ち は ある んです が ね ほんね||いえば|||ころして|||きもち|||ん です||

しかし そう する こと で 晴れる の は |||||はれる||

みすみす 仲間 を 殺さ れて しまった 僕 の 無念 だけ でしょう |なかま||ころさ|||ぼく||むねん||

蟷螂 さん や   蝶 々 さん の 無念 は かまきり|||ちょう||||むねん|

刀 集 め を 達成 して こそ 晴ら せる と いう もの です かたな|しゅう|||たっせい|||はら|||||

よく   しゃべり ます ね

やはり 人 は 自分 が 優位に 立った とき こそ 饒舌に なる もの な のです ね |じん||じぶん||ゆういに|たった|||じょうぜつに||||の です|

忍び と いえ ど それ は 例外 で は あり ませ ん か しのび||||||れいがい||||||

あなた こそ

死な ない と は 言って も しな||||いって|

普通 もう しゃべれ なく なって も おかしく ない くらい の 毒 な んです けど ふつう||||||||||どく||ん です|

念のため もう 一 発 くらい 撃ち込んで おいた 方 が いい のでしょう か ねんのため||ひと|はつ||うちこんで||かた||||

それ が   あなた の 忍法 です か ||||にんぽう||

ええ   忍法   撒 菱 指弾 と いい ます |にんぽう|ま|ひし|しだん|||

その 技   わたし に 見せて しまって いい のです か |わざ|||みせて|||の です|

今 の あなた なら 何 を 見 られて も 平気です ね いま||||なん||み|||へいき です|

たとえ   あなた が 言語道断 空前絶後 の 天才 な のだ と して も |||ごんごどうだん|くうぜんぜつご||てんさい|||||

それ に   おとなしく 僕 に 従って いただける よう なら |||ぼく||したがって|||

僕 も 一 人 の 男 と して ぼく||ひと|じん||おとこ||

あなた の 美しい 肌 に 傷 を 付ける の は 忍びない と 思い ます ||うつくしい|はだ||きず||つける|||しのびない||おもい|

それ は

どうも

僕 は 物事 を 客観 的に 見る ぼく||ものごと||きゃっかん|てきに|みる

あなた が 僕 なんか より も ずっと 腕 の 立つ 人間 である こと は 承知 して い ます ||ぼく|||||うで||たつ|にんげん||||しょうち|||

ならば 今 の 内 に 両腕 を 切り落として おく 位 の こと は して おく べきでしょう |いま||うち||りょううで||きりおとして||くらい||||||

それほど の 痛み は ない はずです ||いたみ|||はず です

貴方 の 全身 を 巡る 毒 が ちょうど いい 痛み止め の 役割 を して くれる でしょう あなた||ぜんしん||めぐる|どく||||いたみどめ||やくわり||||

悪く 思わ ないで ください わるく|おもわ||

あなた が 強 過ぎる の が 悪い んです から ||つよ|すぎる|||わるい|ん です|

いっ   いつの間に |いつのまに

忍法   足 軽 それ と   そう   撒 菱 指弾 にんぽう|あし|けい||||ま|ひし|しだん

撒 菱 ま|ひし

あなた が 撤菱 を 持って いる だ なんて ||てつひし||もって|||

そんな 設定 ここ まで の どこ に も 登場 して い ない |せってい|||||||とうじょう|||

あなた が くれた で は ないで す か  2 個 も ||||||||こ|

し   しかし

肉 に 食い込んだ 撒 菱 が そう 簡単に 引き 抜ける はず が ない にく||くいこんだ|ま|ひし|||かんたんに|ひき|ぬける|||

とげ に   返し が 付いて いる んです から ! ||かえし||ついて||ん です|

ですから   この つめ で 肉 ごと えぐり 取り ました ||||にく|||とり|

くっ ど 毒 は ||どく|

ああ   あれ は 演技 です よ |||えんぎ||

演技 えんぎ

死 に も し ない 程度 の 毒 なんて 何でも あり ませ ん し|||||ていど||どく||なんでも|||

そんな もの は わたし に とって は   日常 です |||||||にちじょう|

日常 にちじょう

どれ だけ 苦しくて も どれ だけ 痛くて も どれ だけ 死に そう でも ||くるしくて||||いたくて||||しに||

わたし の 体 は 死 を 選び ませ ん ||からだ||し||えらび||

いえ   死 を 許さ れ ない んです |し||ゆるさ|||ん です

どうして 死な ない の か 分から ない |しな||||わから|

この 子 は どうして 生きて いる のだろう   本当に かわいそう |こ|||いきて|||ほんとうに|

いつ 死んで も おかしく ない と いう か |しんで||||||

どうして まだ 死な ない の か 分かり ませ ん ||しな||||わかり||

どうして まだ 生きて いる の か ||いきて|||

こんなに 苦し そうな のに   かわいそう |にがし|そう な||

本当に 楽に   死ね も し ない なんて ほんとうに|らくに|しね||||

苦しい くるしい

いっそ   死んで しまえたら |しんで|

死ぬ こと が できれば 楽に なれる のに しぬ||||らくに||

だから その 程度 の 毒 で 痛み や 苦痛 を 感じる あなた が うらやましい ||ていど||どく||いたみ||くつう||かんじる|||

まだ だ   まだ   負けた わけじゃ ない |||まけた||

貴 様 に   耐え られる ような 毒 に 僕 が 耐え られ ない わけ が ない とうと|さま||たえ|||どく||ぼく||たえ|||||

いいえ   無理だ と 思い ます よ |むりだ||おもい||

あなた の 肩 に 撃ち込んだ その 撒 菱 な のです けれど ||かた||うちこんだ||ま|ひし||の です|

あなた が 最初 から 塗って いた 毒 の 上 から ||さいしょ||ぬって||どく||うえ|

さらに   わたし が 別の 毒 を 塗って おき ました から |||べつの|どく||ぬって|||

最初に 蟷螂 さん が 奥歯 に 仕込んで いた 物 を 使わ せて もらい ました さいしょに|かまきり|||おくば||しこんで||ぶつ||つかわ|||

そういう 設定 は ちゃんと 登場 して い ました よ ね |せってい|||とうじょう|||||

せっかく です から 選んで いただけ ませ ん か |||えらんで||||

選ぶ えらぶ

毒 で 死ぬ か 刀 で 死ぬ か どく||しぬ||かたな||しぬ|

あなた の おかげ で

わたし 生まれて 初めて 刀 の 使い 方 を 見せて もらい ました から |うまれて|はじめて|かたな||つかい|かた||みせて|||

刀 で 殺して ください かたな||ころして|

自決 の 毒 で 死んだ など じけつ||どく||しんだ|

仲間 に 顔 向け でき ませ ん なかま||かお|むけ|||

分かり ました わかり|

では   はなむけ に

虚 刀 流 の 八 番 目 最終 奥義 を お 見せ し ましょう きょ|かたな|りゅう||やっ|ばん|め|さいしゅう|おうぎ|||みせ||

その 前 に |ぜん|

お 願い が あり ます |ねがい|||

ぼ 僕 の 死体 を みんな と 同じ 場所 へ 埋めて くだ |ぼく||したい||||おなじ|ばしょ||うずめて|

いい です

よ それ と これ を

何 です   それ なん||

しかし   それにしても 大変な 戦い だった ||たいへんな|たたかい|

ああ   大変な 戦い だった |たいへんな|たたかい|

さすが 日本 最強だ |にっぽん|さいきょうだ

錆 白 兵   俺 は その 名 を 生涯 忘れる こと は ない だろう さび|しろ|つわもの|おれ|||な||しょうがい|わすれる||||

まさに 紙一重 の 勝利 だった |かみひとえ||しょうり|

聖地 巌 流 島 に また 新しい 歴史 が 刻ま れた と いって も 過言 で は ない な せいち|いわお|りゅう|しま|||あたらしい|れきし||きざま|||||かごん||||

首 の 皮 一 枚 の 戦い と は まさに あの こと だ くび||かわ|ひと|まい||たたかい||||||

とがめ の 作戦 が なかったら 今ごろ 俺 は 生きちゃ い ない だろう ||さくせん|||いまごろ|おれ||いきちゃ|||

何 を 言う   そ なた の 剣 技 が あって こそ の わたし の 奇 策 だ なん||いう||||けん|わざ|||||||き|さく|

わたし は そな た の こと を 見直した ぞ |||||||みなおした|

俺 は とがめ に ほれ 直した ぜ おれ|||||なおした|

言う な   言う な いう||いう|

しかし   まあ 錆 白 兵 と 1 対 1 で 剣 技 を 競い 打ち勝った のだ ||さび|しろ|つわもの||たい||けん|わざ||きそい|うちかった|

これ で そ なた は 名実ともに 欲しがって いた |||||めいじつともに|ほしがって|

日本 最強 の 称号 を 手 に した ので は ない か にっぽん|さいきょう||しょうごう||て||||||

日本 最強 か にっぽん|さいきょう|

あまり 実感 は ない が な |じっかん||||

それにしても   錆 が 披露 した 数々 の 剣 技 に は |さび||ひろう||かずかず||けん|わざ||