3. 第 一夜 (1)
第 三 夜
こんな 夢 を 見た
六 つ に なる 子供 を 負って る 。 たしかに 自分 の 子 である 。 ただ 不思議な 事 に は いつの間にか 眼 が 潰れて 、 青 坊主 に なって いる 。 自分 が 御前 の 眼 は いつ 潰れた の かい と 聞く と 、 なに 昔 から さ と 答えた 。 声 は 子供 の 声 に 相違 ない が 、 言葉 つき は まるで 大人 である 。 しかも 対等だ 。 ・・
左右 は 青田 である 。 路 は 細い 。 鷺 の 影 が 時々 闇 に 差す 。 ・・
「 田 圃 へ かかった ね 」 と 背中 で 云った 。 ・・
「 どうして 解る 」 と 顔 を 後ろ へ 振り向ける ように して 聞いたら 、・・
「 だって 鷺 が 鳴く じゃ ない か 」 と 答えた 。 ・・
すると 鷺 が はたして 二 声 ほど 鳴いた 。 ・・
自分 は 我 子 ながら 少し 怖く なった 。 こんな もの を 背負って いて は 、 この 先どう なる か 分 ら ない 。 どこ か 打 遣 ゃる 所 は なかろう か と 向 う を 見る と 闇 の 中 に 大きな 森 が 見えた 。 あす こ ならば と 考え 出す 途端 に 、 背中 で 、・・
「 ふ ふん 」 と 云 う 声 が した 。 ・・
「 何 を 笑う んだ 」・・
子供 は 返事 を し なかった 。 ただ ・・
「 御 父さん 、 重い かい 」 と 聞いた 。 ・・
「 重 か あ ない 」 と 答える と ・・
「 今に 重く なる よ 」 と 云った 。