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ソードアート・オンライン2 アインクラッド (Sword Art Online 2: Aincrad), ソードアート ・オンライン 2 アインクラッド (1)

ソードアート ・オンライン 2 アインクラッド (1)

無限の 蒼穹 に 浮かぶ 巨大な 石 と 鉄 の 城。

それ が この 世界 の 全て だ。

職人 クラス の 酔狂 な 一団 が ひと 月 がかり で 測量 した ところ 、基 部 フロア の 直径 は およそ 十 キロ メートル 、世田谷 区 が すっぽり 入って しまう ほど も あった と いう。 その 上 に 無 慮 百 に 及ぶ 階層 が 積み重なって いる と いう のだから 、茫漠と した 広大 さ は 想像 を 絶する。 総 データ 量 など とても 推し量る こと が でき ない。

内部 に は いくつか の 都市 と 多く の 小規模な 街 や 村 、森 と 草原 、湖 まで が 存在 する。 上下 の フロア を 繫 ぐ 階段 は 各層 に ひと つ のみ 、その 全て が 怪物 の うろつく 危険な 迷宮 区画 に 存在 する ため 発見 も 踏破 も 困難だ が 、一 度 誰 か が 突破 して 上層 の 都市 に 辿り着けば そこ と 下層 の 各 都市 の 《転移 門 》が 連結 される ため 誰 も が 自由に 移動 できる よう に なる。

その よう に して この 巨城 は 、長き に わたって ゆっくり と 攻略 されて きた。

城 の 名 は 《アインクラッド》。 約 六千 も の人間 を 吞 み込んで 浮かび つづける 剣 と 戦闘 の 世界。 また の 名 を──

《ソードアート ・オンライン》。

「お 願い だ よ ……あたし を 独り に し ないで よ ……ピナ……」

シリカ の 頰 を 伝う 二 筋 の 涙 が 雫 と なって 滴り 、地面 上 の 大きな 羽根 に 弾けて 光 の 粒 を 散らした。

その 淡い 水色 の 羽根 は 、長い 間 唯一 の 友達 であり パートナー でも あった 使い 魔 《ピナ 》の 遺品 だった。 ほんの 数 分 前 、ピナ は シリカ を 守る ため に 死んで しまった。 モンスター の 武器 に よって 致命 傷 を 与えられ 、一声 悲しげに 鳴いて 氷 の よう に 砕け 散った。 名 を 呼ば れれば いつも 嬉し そうに は たはた と 振って いた 、長い 尾 羽 一 枚 だけ を 残して──。

シリカ は 、アインクラッド で は 珍しい 《ビーストテイマー 》だ。 だった 、と 言う べき か。 テイマー の 証 である 使い 魔 は もう いない のだから。

ビーストテイマー と は 、システム 上 で 規定 された クラス や スキル の 名前 で は なく 、通称 である。

戦闘 中 、通常 は 好 戦 的 な モンスター が プレイヤー に 友好 的 な 興味 を 示して くる と いう イベント が ごく まれに 発生 する。 その 機 を 逃さ ず 餌 を 与える など して 飼い馴らし に 成功 する と 、モンスター は プレイヤー の 《使い 魔 》と して 様々な 手助け を して くれる 貴重な 存在 と なる。 その 幸運な プレイヤー を 、賞 賛 と やっか み を 込めて ビーストテイマー と 呼ぶ。

もちろん 全て の モンスター が 使い 魔 に なって くれる わけで は ない。 可能 性 が ある の は 、ほんの 一部 の 小 動物 型 モンスター だけ だ。 イベント 発生 条件 は 完全に は 判明 して いない が 、唯一 、《同種 の モンスター を 殺し すぎて いる と 発生 しない 》の は 確実 と 言われて いる。

考えて みる と これ は かなり 厳しい 条件 だ。 使い 魔 と なり うる モンスター を 狙って 数多く 遭遇 を 繰り返そう と して も 、通常 それ ら の モンスター は アクティブであり 、戦闘 に なって しまう の は 避けられない から だ。 つまり ビーストテイマー に なろう と 思ったら 、対象 モンスター と 数多く エン カウント し 、イベント が 発生 し なかった 場合 は 全て 逃亡 し なくて は なら ない。 その 作業 の 煩雑 さ は 想像 に 難く ない。

その 点 、シリカ は 途方 も なく 幸運だった と 言える。

何の 予備 知識 も なく 、気まぐれで 降り立った 層 の 理由 も なく 踏み込んだ 森 の 中 で 、初めて 遭遇 した モンスター が 攻撃 せず に 近寄って きて 、前日 に 何と はなし に 買った 袋 入り の ナッツ を 放った ところ 、それ が たまたま その モンスター の 好物 だった と いう わけだ。

種族 名 《フェザーリドラ 》、全身 を ふわふわ した ペールブルー の 綿毛 で 包み 、尻尾 の かわり に 二 本 の 大きな 尾 羽 を 伸ばした その 小さな ドラゴン は 、そもそも が 滅多に 現れない レアモンスター だった。 テイム に 成功 した の は どうやら シリカ が はじめて だった らしく 、その ドラゴン を 肩 に 乗せて ホームタウン の 八 層 主 街 区 《フリーベン 》に 戻る と たちまち 大きな 話題 を 呼んだ。 翌日 から 大勢 の プレイヤー が シリカ の 情報 を もと に フェザーリドラ の テイム に 挑んだ らしい が 、成功 した と いう 話 は ついぞ 聞か なかった。

シリカ は 、その 小 竜 に 《ピナ 》と いう 名前 を つけた。 現実 世界 で 飼って いた 猫 と 同じ 名 だ。

使い 魔 モンスター は 直接 戦闘 力 は そう 高くない の が 常であり 、ピナ も その 例 に 洩 れ なかった が 、その かわり に 幾 つ か の 特殊 能力 を 持って いた。 モンスター の 接近 を 知らせる 索敵 能力 、少量 ながら 主人 の HP を 回復 させる ヒール 能力 など 、その どれ も が 貴重な もの であり 日々 の 狩り は 飛躍 的に 楽に なった のだ が 、何より 彼女 が 嬉しかった の は 、ピナ の 存在 が もたらす 安らぎ と 温か さ だった。

使い 魔 の もつ AI プログラム は それほど 高度な もの で は ない。 言葉 は もちろん 使えない し 、命令 も 十 種 ほど を 解する に すぎ ない。 しかし 、わずか 十二 歳 で この ゲーム 、閉鎖 世界 SAO に 囚 われ 、不安 と 寂し さ に 押しつぶさ れ そうに なって いた シリカ に とって 、ピナ が 与えて くれた 救い は 筆舌 に 尽くし がたい もの だった。 ピナ と いう パートナー を 得て 、ようやく シリカ の 《冒険 》──それ は すなわち この 世界 で 《生きる 》こと そのもの な わけだ が ──が 始まった と 言って も よい。

以来 一 年 、シリカ と ピナ は 順調に 経験 を 積み 、短 剣 使い と して の 腕 も 上がって 、中層 クラス の プレイヤー の 間 で は それなり の ハイレベルプレイヤー と して 名前 が 通る まで に なった。

もちろん 最 前線 で 戦う トップ 剣士 たち に は レベル 的に 及ぶ べく も なかった が 、実際 の ところ 七千 の プレイヤー 中 わずか 数 百人 しか いない 《攻略 組 》と いう の は ある 意味 ビーストテイマー より も レア な 存在 であって 、その 姿 を 目 に する 機会 すら ほとんどない ため 、主 ボリューム ゾーン を 形成 する 中層 プレイヤー の 中 で 名前 が 通る と いう こと が すなわち アイドル プレイヤー の 仲間 入り を する と いう こと でも あった。

そもそも が 絶対 的に 少ない 女性 プレイヤー 、更に は 年齢 の せい も あって 、《竜 使い シリカ 》が 多く の ファン を 持つ人気者 に なる のに 時間 は かから なかった。 アイドル を 求める パーティー や ギルド から の 勧誘 は 引き も 切ら ず 、そんな 状況 で 十三 歳 の シリカ が 多少 舞い上がって しまった の も 当然な の かも しれ ない。 だが 、結局 は その 慢心 が 、どれほど 悔やんで も 取り返し の つか ない 過ち を 犯させる こと に なった。

きっかけ は ささいな 口論 だった。

シリカ は 二 週間 前 に 誘われた パーティー に 加わって 、三十五 層 北部 に 広がる 広大な 森林 地帯 、通称 《迷い の 森 》で の 冒険 に 参加 して いた。 もちろん 、現在 の 最 前線 は 遥か 上 の 五十五 層 で 、フロア そのもの は すでに 攻略 されて いる。 だが トップ 剣士 たち は 基本 的に 迷宮 区 の 踏破 に しか 興味 を 示さない ため 、《迷い の 森 》の ような サブダンジョン は 手付かず の まま 残されて おり 、中層 プレイヤー の 格好の ターゲット と なって いる。

シリカ の 参加 した 六人 パーティー は 手 練れ 揃い で 、朝 から 存分に 戦闘 を こなし 、多く の トレジャーボックス を 発見 して 、かなり の 金額 と アイテム を 稼いだ。 周囲 が 夕刻 の 色彩 を 帯び はじめ 、皆 の 回復 ポーション が あら かた 尽きた ので 冒険 を 切り上げる こと に して 、主 街 区 へ 戻ろう と 歩き 始めた 時 だった。 細身 の 長 槍 を 装備 した もう ひとり の 女性 プレイヤー が 、牽制 の つもり か 、シリカ に 言った。

──帰還 後 の アイテム 分配 な ん だけど。 あんた は その トカゲ が 回復 して くれる ん だから 、ヒール 結晶 は 必要な いわ よ ね。

カチン と 来た シリカ は 、即座に 反撃 した。

──そういう あなた こそ 、ろくに 前面 に 出 ないで 後ろ を ちょ ろ ちょ ろ して ばっかり なんだから 、クリスタル なんか 使わない ん じゃない です か。

あと は もう 売り言葉 に 買い 言葉 で 、リーダー の 盾 剣士 の 仲裁 も 焼け 石 に 水 、頭 に 血 が 上った シリカ は とうとう 言い放った。

──アイテム なんか いりません。 あなた と は もう 絶対 に 組まない 、あたし を 欲し いって いう パーティー は 他 に も 山ほど ある ん です から ね!

せめて 森 を 脱出 して 街 に 着く まで は 一緒に 行こう と 引き止める リーダー の 言葉 に も 耳 を 貸さ ず 、シリカ は 五人 と 別れて 枝 道 に 飛び込み 、ムシャクシャ した 気分 の まま に ず ん ず ん 歩き 続けた。

たとえ ソロ でも 、短 剣 スキル を 七 割 近く マスター し 、ピナ の アシスト も ある シリカ に とって は 三十五 層 の モンスター は それ ほど の 強敵 で は なかった。 労せ ず 撃破 し 、主 街 区 まで 到着 できる ──はずだった のだ。 道 に さえ 迷わ なければ。

《迷い の 森 》と いう その 森林 ダンジョン の 名前 は ダテ で は なかった。

巨大な 樹 々 が うっそうと 立ち 並ぶ 森 は 碁盤 状 に 数 百 の エリア へ と 分割 さ れ 、ひと つ の エリア に 踏み込んで から 一 分 経つ と 東西 南北 の 隣接 エリア へ の 連結 が ラン ダム に 入れ替わって しまう と いう 設定 に なって いた。 森 を 抜ける に は 、一 分 以内 に 次々 と エリア を 突破 して いく か 、主 街 区 の 道具 屋 で 販売 して いる 高価な 地図 アイテム に よって 四方 の 連結 を 確認 し ながら 歩く しか ない。

地図 を 持って いる の は リーダー の 盾 剣士 だけ だった し 、迷い の 森 で は 転移 結晶 を 使って も 街 に は 飛べ ず ラン ダム で 森 の どこ か に 飛ばさ れる 仕様 に なって いる ので 、シリカ は やむなく ダッシュ で の 突破 を 試み なければ なら なく なった。 だが 、曲がりくねった 森 の 小道 を 、巨木 の 根っこ を かわし ながら 走り抜ける の は 予想 以上 に 困難だった。

まっすぐ 北 へ 向かって いる はず が 、エリア の 端に 達する 直前 で 一 分 が 経過 して しまい 、どこ と も しれ ぬ 場所 に 転送 される こと を 繰り返して いる うち 、だんだん シリカ は 疲労 困憊 して きて しまった。 夕 陽 の 色 は みるみる 濃く なり 、這い 寄る 宵闇 に 焦る ほど に エリア 脱出 は うまく いか なく なる。

やがて シリカ は 走る こと を 諦め 、偶然 森 の 端 の エリア に 飛ぶ こと を 期待 して 歩き はじめた。 だが 、なかなか 幸運に は 見舞わ れ ず──。 とぼとぼ 進む うち に も 、容赦 なく モンスター は 襲いかかって くる。 レベル 的に は 余裕 が ある と は 言え 、周囲 が 暗く なる に つれて 足場 も よく 見え なく なる。 ピナ の 援護 が あって も 無傷で 全て の 戦闘 を 切り抜ける と いう わけに も 行か ず 、ついに 残り の ポーション から 非常 用 の 回復 結晶 まで も 使い果たして しまった。

シリカ の 不安 を 感じ取った よう に 、肩 に 乗った ピナ が くる る る 、と 鳴き ながら 頰 に 頭 を すり 寄せて くる。 相棒 の 長い 首筋 を なだめる よう に 撫で ながら 、シリカ は 自分 の 短気 と 増長 から 窮地 を 招いて しまった こと を 悔やんで いた。

歩き ながら 、神さま 、と 心 の なか で 呟く。

──反省 します。 二度と 自分 が 特別だ なんて 思いません。 だから 、次の ワープ で 森 の 外 に 出して ください。


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無限の 蒼穹 に 浮かぶ 巨大な 石 と 鉄 の 城。 むげんの|そうきゅう||うかぶ|きょだいな|いし||くろがね||しろ Eine gigantische Burg aus Stein und Eisen, die in einem unendlichen azurblauen Himmel schwebt. A huge stone and iron castle that floats in the infinite sky. Sonsuz gökyüzünde yüzen devasa bir taş ve demir kale. 一座巨大的铁石城堡漂浮在无边无际的蔚蓝天空中。

それ が この 世界 の 全て だ。 |||せかい||すべて| That's what this world is all about. Bu dünya bundan ibaret.

職人 クラス の 酔狂 な 一団 が ひと 月 がかり で 測量 した ところ 、基 部 フロア の 直径 は およそ 十 キロ メートル 、世田谷 区 が すっぽり 入って しまう ほど も あった と いう。 しょくにん|くらす||すいきょう||いちだん|||つき|||そくりょう|||もと|ぶ|ふろあ||ちょっけい|||じゅう|きろ|めーとる|せたがや|く|||はいって|||||| Eine Gruppe begeisterter Handwerker brauchte einen Monat, um es zu untersuchen, und stellte fest, dass der Durchmesser des Sockelgeschosses etwa 10 Kilometer betrug, genug, um in den Bezirk Setagaya zu passen. A group of enthusiastic craftsmen took a month to survey it, and found that the diameter of the base floor was about 10 kilometers, enough to fit Setagaya Ward. Um grupo de artesãos entusiastas levou um mês para pesquisá-lo e descobriu que o diâmetro do piso da base era de cerca de 10 quilômetros, o suficiente para caber no distrito de Setagaya. Bir grup hevesli zanaatkarın burayı araştırması bir ay sürdü ve alt katın çapının Setagaya Mahallesi'ne sığacak kadar yaklaşık 10 kilometre olduğunu buldu. 一群醉醺醺的工匠花了一个月的时间对该区域进行勘测,发现底层直径约为 10 公里,足以将世田谷区完全囊括在内。 その 上 に 無 慮 百 に 及ぶ 階層 が 積み重なって いる と いう のだから 、茫漠と した 広大 さ は 想像 を 絶する。 |うえ||む|おもんぱか|ひゃく||およぶ|かいそう||つみかさなって|||||ぼうばくと||こうだい|||そうぞう||ぜっする With hundreds of layers piled up on top of it, the vastness of the vastness is beyond imagination. Üzerine yığılmış yüzlerce katmanla, uçsuz bucaksızlığın enginliği hayal gücünün ötesindedir. 総 データ 量 など とても 推し量る こと が でき ない。 そう|でーた|りょう|||おしはかる|||| The total amount of data is very difficult to estimate. Toplam veri miktarını tahmin etmek çok zordur.

内部 に は いくつか の 都市 と 多く の 小規模な 街 や 村 、森 と 草原 、湖 まで が 存在 する。 ないぶ|||||とし||おおく||しょうきぼな|がい||むら|しげる||そうげん|こ|||そんざい| Inside are several cities, many small towns and villages, forests and meadows, and even lakes. İçeride birkaç şehir, birçok küçük kasaba ve köy, ormanlar ve çayırlar ve hatta göller var. 上下 の フロア を 繫 ぐ 階段 は 各層 に ひと つ のみ 、その 全て が 怪物 の うろつく 危険な 迷宮 区画 に 存在 する ため 発見 も 踏破 も 困難だ が 、一 度 誰 か が 突破 して 上層 の 都市 に 辿り着けば そこ と 下層 の 各 都市 の 《転移 門 》が 連結 される ため 誰 も が 自由に 移動 できる よう に なる。 じょうげ||ふろあ||||かいだん||かくそう||||||すべて||かいぶつ|||きけんな|めいきゅう|くかく||そんざい|||はっけん||とうは||こんなんだ||ひと|たび|だれ|||とっぱ||じょうそう||とし||たどりつけば|||かそう||かく|とし||てんい|もん||れんけつ|さ れる||だれ|||じゆうに|いどう|||| There is only one staircase connecting the upper and lower floors on each floor, and all of them are located in dangerous labyrinths with monsters roaming around, making them difficult to find and navigate, but once someone breaks through them, they can reach the city on the upper floors. If so, everyone will be able to move freely because it will be connected to the "Teleportation Gate" of each city on the lower layer.

その よう に して この 巨城 は 、長き に わたって ゆっくり と 攻略 されて きた。 |||||きょしろ||ながき|||||こうりゃく|| That's how this great castle has been slowly conquered for a long time.

城 の 名 は 《アインクラッド》。 しろ||な|| The name of the castle is "Aincrad. 約 六千 も の人間 を 吞 み込んで 浮かび つづける 剣 と 戦闘 の 世界。 やく|ろくせん||の にんげん|||みこんで|うかび||けん||せんとう||せかい A world of swords and battles that continues to float, engulfing some 6,000 human beings. また の 名 を── ||な| Also known as...

《ソードアート ・オンライン》。 |おんらいん Sword Art Online.

「お 願い だ よ ……あたし を 独り に し ないで よ ……ピナ……」 |ねがい|||||ひとり||||| "Please...don't leave me alone...Pina..."

シリカ の 頰 を 伝う 二 筋 の 涙 が 雫 と なって 滴り 、地面 上 の 大きな 羽根 に 弾けて 光 の 粒 を 散らした。 ||||つたう|ふた|すじ||なみだ||しずく|||したたり|じめん|うえ||おおきな|はね||はじけて|ひかり||つぶ||ちらした Two tears dripped down Silica's cheeks and bounced off the large feathers on the ground, scattering light particles.

その 淡い 水色 の 羽根 は 、長い 間 唯一 の 友達 であり パートナー でも あった 使い 魔 《ピナ 》の 遺品 だった。 |あわい|みずいろ||はね||ながい|あいだ|ゆいいつ||ともだち||ぱーとなー|||つかい|ま|||いひん| The light blue feather was a relic of Pina, my only friend and partner for a long time. ほんの 数 分 前 、ピナ は シリカ を 守る ため に 死んで しまった。 |すう|ぶん|ぜん|||||まもる|||しんで| Just a few minutes earlier, Pina had died protecting Silica. モンスター の 武器 に よって 致命 傷 を 与えられ 、一声 悲しげに 鳴いて 氷 の よう に 砕け 散った。 ||ぶき|||ちめい|きず||あたえられ|ひとこえ|かなしげに|ないて|こおり||||くだけ|ちった The monster's weapon dealt the fatal blow, and with a mournful cry, it shattered like ice. 名 を 呼ば れれば いつも 嬉し そうに は たはた と 振って いた 、長い 尾 羽 一 枚 だけ を 残して──。 な||よば|||うれし|そう に||||ふって||ながい|お|はね|ひと|まい|||のこして He was always waving his tail happily when called by name, leaving only one long tail feather behind...

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シリカ は 、アインクラッド で は 珍しい 《ビーストテイマー 》だ。 |||||めずらしい|| Silica is a rare "beast tamer" in Aincrad. だった 、と 言う べき か。 ||いう|| Als ich den Film zum ersten Mal sah, war ich in einem Raum mit vielen Leuten. Or should I say, "It was. テイマー の 証 である 使い 魔 は もう いない のだから。 ||あかし||つかい|ま|||| The tamer's proof, the messenger, is no more.

ビーストテイマー と は 、システム 上 で 規定 された クラス や スキル の 名前 で は なく 、通称 である。 |||しすてむ|うえ||きてい||くらす||||なまえ||||つうしょう| Beast tamer is not a system-defined class or skill name, but a common name.

戦闘 中 、通常 は 好 戦 的 な モンスター が プレイヤー に 友好 的 な 興味 を 示して くる と いう イベント が ごく まれに 発生 する。 せんとう|なか|つうじょう||よしみ|いくさ|てき||||ぷれいやー||ゆうこう|てき||きょうみ||しめして||||いべんと||||はっせい| During combat, it is very rare for a normally aggressive monster to show friendly interest in the player. その 機 を 逃さ ず 餌 を 与える など して 飼い馴らし に 成功 する と 、モンスター は プレイヤー の 《使い 魔 》と して 様々な 手助け を して くれる 貴重な 存在 と なる。 |き||のがさ||えさ||あたえる|||かいならし||せいこう|||||ぷれいやー||つかい|ま|||さまざまな|てだすけ||||きちょうな|そんざい|| If the player succeeds in taming the monster by feeding it, it will become a valuable "charmer" who can help the player in various ways. その 幸運な プレイヤー を 、賞 賛 と やっか み を 込めて ビーストテイマー と 呼ぶ。 |こううんな|ぷれいやー||しょう|さん|||||こめて|||よぶ The lucky player is called the Beast Tamer out of admiration and annoyance.

もちろん 全て の モンスター が 使い 魔 に なって くれる わけで は ない。 |すべて||||つかい|ま|||||| Of course, not all monsters can become messengers. 可能 性 が ある の は 、ほんの 一部 の 小 動物 型 モンスター だけ だ。 かのう|せい||||||いちぶ||しょう|どうぶつ|かた||| Only a few small animal-type monsters are possible. イベント 発生 条件 は 完全に は 判明 して いない が 、唯一 、《同種 の モンスター を 殺し すぎて いる と 発生 しない 》の は 確実 と 言われて いる。 いべんと|はっせい|じょうけん||かんぜんに||はんめい||||ゆいいつ|どうしゅ||||ころし||||はっせい|し ない|||かくじつ||いわれて| The conditions for the event to occur are not completely known, but it is said to be certain that it will not occur if you have killed too many monsters of the same kind.

考えて みる と これ は かなり 厳しい 条件 だ。 かんがえて||||||きびしい|じょうけん| When you think about it, these are pretty tough conditions. 使い 魔 と なり うる モンスター を 狙って 数多く 遭遇 を 繰り返そう と して も 、通常 それ ら の モンスター は アクティブであり 、戦闘 に なって しまう の は 避けられない から だ。 つかい|ま||||||ねらって|かずおおく|そうぐう||くりかえそう||||つうじょう||||||あくてぃぶであり|せんとう||||||さけられ ない|| Even if you try to target potential monsters in numerous encounters, they will usually be active, and a battle will inevitably ensue. つまり ビーストテイマー に なろう と 思ったら 、対象 モンスター と 数多く エン カウント し 、イベント が 発生 し なかった 場合 は 全て 逃亡 し なくて は なら ない。 |||||おもったら|たいしょう|||かずおおく|えん|かうんと||いべんと||はっせい|||ばあい||すべて|とうぼう||||| In other words, if you want to become a beast tamer, you must count the number of monsters you encounter, and if no events occur, you must escape from all of them. その 作業 の 煩雑 さ は 想像 に 難く ない。 |さぎょう||はんざつ|||そうぞう||かたく| The complexity of this process is difficult to imagine.

その 点 、シリカ は 途方 も なく 幸運だった と 言える。 |てん|||とほう|||こううんだった||いえる In this respect, silica was incredibly fortunate.

何の 予備 知識 も なく 、気まぐれで 降り立った 層 の 理由 も なく 踏み込んだ 森 の 中 で 、初めて 遭遇 した モンスター が 攻撃 せず に 近寄って きて 、前日 に 何と はなし に 買った 袋 入り の ナッツ を 放った ところ 、それ が たまたま その モンスター の 好物 だった と いう わけだ。 なんの|よび|ちしき|||きまぐれで|おりたった|そう||りゆう|||ふみこんだ|しげる||なか||はじめて|そうぐう||||こうげき|せ ず||ちかよって||ぜんじつ||なんと|||かった|ふくろ|はいり||なっつ||はなった||||||||こうぶつ|||| In the forest where I entered on a whim without any prior knowledge and without any reason, a monster I encountered for the first time approached me without attacking me, and I released a bag of nuts I had bought for nothing the day before, which happened to be the monster's favorite food.

種族 名 《フェザーリドラ 》、全身 を ふわふわ した ペールブルー の 綿毛 で 包み 、尻尾 の かわり に 二 本 の 大きな 尾 羽 を 伸ばした その 小さな ドラゴン は 、そもそも が 滅多に 現れない レアモンスター だった。 しゅぞく|な||ぜんしん||||||わたげ||つつみ|しっぽ||||ふた|ほん||おおきな|お|はね||のばした||ちいさな|||||めったに|あらわれ ない|| Wrapped in fluffy pale blue fluff and with two large tail feathers stretched out in place of a tail, the little dragon was a rare monster that rarely appeared in the first place. テイム に 成功 した の は どうやら シリカ が はじめて だった らしく 、その ドラゴン を 肩 に 乗せて ホームタウン の 八 層 主 街 区 《フリーベン 》に 戻る と たちまち 大きな 話題 を 呼んだ。 ||せいこう|||||||||||||かた||のせて|||やっ|そう|おも|がい|く|||もどる|||おおきな|わだい||よんだ It seems that Silica was the first person to successfully tame a dragon, and when she returned to her hometown of "Freeben" with the dragon on her shoulders, she immediately became the talk of the town. 翌日 から 大勢 の プレイヤー が シリカ の 情報 を もと に フェザーリドラ の テイム に 挑んだ らしい が 、成功 した と いう 話 は ついぞ 聞か なかった。 よくじつ||おおぜい||ぷれいやー||||じょうほう||||||||いどんだ|||せいこう||||はなし|||きか| The next day, many players tried to tame Featherlidra based on Silica's information, but there were no reports of success.

シリカ は 、その 小 竜 に 《ピナ 》と いう 名前 を つけた。 |||しょう|りゅう|||||なまえ|| Silica named the little dragon "Pina. 現実 世界 で 飼って いた 猫 と 同じ 名 だ。 げんじつ|せかい||かって||ねこ||おなじ|な| It is the same name as the cat I had in the real world.

使い 魔 モンスター は 直接 戦闘 力 は そう 高くない の が 常であり 、ピナ も その 例 に 洩 れ なかった が 、その かわり に 幾 つ か の 特殊 能力 を 持って いた。 つかい|ま|||ちょくせつ|せんとう|ちから|||たかく ない|||とわであり||||れい||えい|||||||いく||||とくしゅ|のうりょく||もって| Messenger monsters are usually not so strong in direct combat, and Pina was no exception, but she did have some special abilities to replace them. モンスター の 接近 を 知らせる 索敵 能力 、少量 ながら 主人 の HP を 回復 させる ヒール 能力 など 、その どれ も が 貴重な もの であり 日々 の 狩り は 飛躍 的に 楽に なった のだ が 、何より 彼女 が 嬉しかった の は 、ピナ の 存在 が もたらす 安らぎ と 温か さ だった。 ||せっきん||しらせる|さくてき|のうりょく|しょうりょう||あるじ||||かいふく|||のうりょく||||||きちょうな|||ひび||かり||ひやく|てきに|らくに||||なにより|かのじょ||うれしかった|||||そんざい|||やすらぎ||あたたか|| The ability to spot approaching monsters, and the ability to heal while recovering a small amount of HP, were all valuable and made hunting much easier, but what made her most happy was the peace and warmth that Pina's presence brought.

使い 魔 の もつ AI プログラム は それほど 高度な もの で は ない。 つかい|ま||||ぷろぐらむ|||こうどな|||| The user's AI programs are not that advanced. 言葉 は もちろん 使えない し 、命令 も 十 種 ほど を 解する に すぎ ない。 ことば|||つかえ ない||めいれい||じゅう|しゅ|||かいする||| Of course, they cannot speak the language, and they can only understand about ten commands. しかし 、わずか 十二 歳 で この ゲーム 、閉鎖 世界 SAO に 囚 われ 、不安 と 寂し さ に 押しつぶさ れ そうに なって いた シリカ に とって 、ピナ が 与えて くれた 救い は 筆舌 に 尽くし がたい もの だった。 ||じゅうに|さい|||げーむ|へいさ|せかい|||しゅう||ふあん||さびし|||おしつぶさ||そう に||||||||あたえて||すくい||ひつぜつ||つくし||| However, for Silica, who at only twelve years of age was trapped in the closed world of SAO, a game that had almost crushed her with anxiety and loneliness, the relief that Pina provided was beyond description. ピナ と いう パートナー を 得て 、ようやく シリカ の 《冒険 》──それ は すなわち この 世界 で 《生きる 》こと そのもの な わけだ が ──が 始まった と 言って も よい。 |||ぱーとなー||えて||||ぼうけん|||||せかい||いきる||その もの|||||はじまった||いって|| With Pina as her partner, Silica's "adventure"-which is to say, "living" in this world itself-has finally begun.

以来 一 年 、シリカ と ピナ は 順調に 経験 を 積み 、短 剣 使い と して の 腕 も 上がって 、中層 クラス の プレイヤー の 間 で は それなり の ハイレベルプレイヤー と して 名前 が 通る まで に なった。 いらい|ひと|とし|||||じゅんちょうに|けいけん||つみ|みじか|けん|つかい||||うで||あがって|ちゅうそう|くらす||ぷれいやー||あいだ||||||||なまえ||とおる||| In the year since then, Silica and Pina have steadily gained experience and skill with daggers, and have become well-known among mid-level players as high-level players.

もちろん 最 前線 で 戦う トップ 剣士 たち に は レベル 的に 及ぶ べく も なかった が 、実際 の ところ 七千 の プレイヤー 中 わずか 数 百人 しか いない 《攻略 組 》と いう の は ある 意味 ビーストテイマー より も レア な 存在 であって 、その 姿 を 目 に する 機会 すら ほとんどない ため 、主 ボリューム ゾーン を 形成 する 中層 プレイヤー の 中 で 名前 が 通る と いう こと が すなわち アイドル プレイヤー の 仲間 入り を する と いう こと でも あった。 |さい|ぜんせん||たたかう|とっぷ|けんし||||れべる|てきに|およぶ|||||じっさい|||しちせん||ぷれいやー|なか||すう|ひゃく り|||こうりゃく|くみ||||||いみ||||||そんざい|||すがた||め|||きかい||ほとんど ない||おも|ぼりゅーむ|ぞーん||けいせい||ちゅうそう|ぷれいやー||なか||なまえ||とおる||||||あいどる|ぷれいやー||なかま|はいり||||||| Of course, they were not on the same level as the top swordsmen fighting on the front lines, but in reality, only a few hundred of the 7,000 players in the "Strategy Team" were rarer than beast tamers, and they were rarely seen, so their name was not only a part of the main volume zone, but also a part of the middle tier of players. In a sense, the "Strategy Teams" were rarer than the Beast Tamers, with only a few hundred of them, and they were rarely seen, so their name was synonymous with being an idol player.

そもそも が 絶対 的に 少ない 女性 プレイヤー 、更に は 年齢 の せい も あって 、《竜 使い シリカ 》が 多く の ファン を 持つ人気者 に なる のに 時間 は かから なかった。 ||ぜったい|てきに|すくない|じょせい|ぷれいやー|さらに||ねんれい|||||りゅう|つかい|||おおく||ふぁん||もつ にんきもの||||じかん||| Due to the absolute dearth of female players and her age, it didn't take long for the dragon wielder Silica to become popular with a large fan base. アイドル を 求める パーティー や ギルド から の 勧誘 は 引き も 切ら ず 、そんな 状況 で 十三 歳 の シリカ が 多少 舞い上がって しまった の も 当然な の かも しれ ない。 あいどる||もとめる|ぱーてぃー||ぎるど|||かんゆう||ひき||きら|||じょうきょう||じゅうさん|さい||||たしょう|まいあがって||||とうぜんな|||| With no end to the number of solicitations from parties and guilds looking for idols, it is perhaps not surprising that 13-year-old Shirika became a little over the moon. だが 、結局 は その 慢心 が 、どれほど 悔やんで も 取り返し の つか ない 過ち を 犯させる こと に なった。 |けっきょく|||まんしん|||くやんで||とりかえし||||あやまち||おかさせる||| In the end, however, this pride led him to make a mistake that, no matter how much he regretted it, could never be undone.

きっかけ は ささいな 口論 だった。 |||こうろん| It all started with a small argument.

シリカ は 二 週間 前 に 誘われた パーティー に 加わって 、三十五 層 北部 に 広がる 広大な 森林 地帯 、通称 《迷い の 森 》で の 冒険 に 参加 して いた。 ||ふた|しゅうかん|ぜん||さそわれた|ぱーてぃー||くわわって|さんじゅうご|そう|ほくぶ||ひろがる|こうだいな|しんりん|ちたい|つうしょう|まよい||しげる|||ぼうけん||さんか|| Silica had joined a party invited two weeks earlier to participate in an adventure in the vast forest area in the northern part of the 35th layer, commonly known as the "Lost Forest. もちろん 、現在 の 最 前線 は 遥か 上 の 五十五 層 で 、フロア そのもの は すでに 攻略 されて いる。 |げんざい||さい|ぜんせん||はるか|うえ||ごじゅうご|そう||ふろあ|その もの|||こうりゃく|| Of course, the current front line is at the fifty-fifth level, far above the floor itself, which has already been conquered. だが トップ 剣士 たち は 基本 的に 迷宮 区 の 踏破 に しか 興味 を 示さない ため 、《迷い の 森 》の ような サブダンジョン は 手付かず の まま 残されて おり 、中層 プレイヤー の 格好の ターゲット と なって いる。 |とっぷ|けんし|||きほん|てきに|めいきゅう|く||とうは|||きょうみ||しめさ ない||まよい||しげる|||||てつかず|||のこされて||ちゅうそう|ぷれいやー||かっこうの|たーげっと||| However, since the top swordsmen are generally only interested in traversing the Labyrinth Ward, sub-dungeons such as the Forest of the Lost are left untouched, making them tempting targets for mid-tier players.

シリカ の 参加 した 六人 パーティー は 手 練れ 揃い で 、朝 から 存分に 戦闘 を こなし 、多く の トレジャーボックス を 発見 して 、かなり の 金額 と アイテム を 稼いだ。 ||さんか||むっり|ぱーてぃー||て|ねれ|そろい||あさ||ぞんぶんに|せんとう|||おおく||||はっけん||||きんがく||あいてむ||かせいだ Silica's party of six was a skilled group, and they spent the morning fighting to the hilt, finding many treasure boxes and earning a considerable amount of money and items. 周囲 が 夕刻 の 色彩 を 帯び はじめ 、皆 の 回復 ポーション が あら かた 尽きた ので 冒険 を 切り上げる こと に して 、主 街 区 へ 戻ろう と 歩き 始めた 時 だった。 しゅうい||ゆうこく||しきさい||おび||みな||かいふく|||||つきた||ぼうけん||きりあげる||||おも|がい|く||もどろう||あるき|はじめた|じ| The evening was beginning to take on the colors of the surrounding area, and everyone's recovery potions had been exhausted, so we decided to cut our adventure short and started walking back to the main district. 細身 の 長 槍 を 装備 した もう ひとり の 女性 プレイヤー が 、牽制 の つもり か 、シリカ に 言った。 ほそみ||ちょう|やり||そうび|||||じょせい|ぷれいやー||けんせい||||||いった Another female player, equipped with a slender long spear, said to Silica, perhaps as a check.

──帰還 後 の アイテム 分配 な ん だけど。 きかん|あと||あいてむ|ぶんぱい||| I'm sorry about the distribution of the items after the return. あんた は その トカゲ が 回復 して くれる ん だから 、ヒール 結晶 は 必要な いわ よ ね。 |||とかげ||かいふく||||||けっしょう||ひつような||| You need the heal crystals because the lizard will heal you.

カチン と 来た シリカ は 、即座に 反撃 した。 ||きた|||そくざに|はんげき|

──そういう あなた こそ 、ろくに 前面 に 出 ないで 後ろ を ちょ ろ ちょ ろ して ばっかり なんだから 、クリスタル なんか 使わない ん じゃない です か。 ||||ぜんめん||だ||うしろ|||||||||||つかわ ない||じゃ ない|| ─ ─ Since you're the kind of person who never appears in front of the camera and just sits around in the background, you probably don't use crystals or anything like that.

あと は もう 売り言葉 に 買い 言葉 で 、リーダー の 盾 剣士 の 仲裁 も 焼け 石 に 水 、頭 に 血 が 上った シリカ は とうとう 言い放った。 |||うりことば||かい|ことば||りーだー||たて|けんし||ちゅうさい||やけ|いし||すい|あたま||ち||のぼった||||いいはなった

──アイテム なんか いりません。 あいてむ|| あなた と は もう 絶対 に 組まない 、あたし を 欲し いって いう パーティー は 他 に も 山ほど ある ん です から ね! ||||ぜったい||くま ない|||ほし|||ぱーてぃー||た|||やまほど|||||

せめて 森 を 脱出 して 街 に 着く まで は 一緒に 行こう と 引き止める リーダー の 言葉 に も 耳 を 貸さ ず 、シリカ は 五人 と 別れて 枝 道 に 飛び込み 、ムシャクシャ した 気分 の まま に ず ん ず ん 歩き 続けた。 |しげる||だっしゅつ||がい||つく|||いっしょに|いこう||ひきとめる|りーだー||ことば|||みみ||かさ||||いつ り||わかれて|えだ|どう||とびこみ|むしゃくしゃ||きぶん||||||||あるき|つづけた

たとえ ソロ でも 、短 剣 スキル を 七 割 近く マスター し 、ピナ の アシスト も ある シリカ に とって は 三十五 層 の モンスター は それ ほど の 強敵 で は なかった。 |そろ||みじか|けん|||なな|わり|ちかく|ますたー||||あしすと|||||||さんじゅうご|そう|||||||きょうてき||| 労せ ず 撃破 し 、主 街 区 まで 到着 できる ──はずだった のだ。 ろうせ||げきは||おも|がい|く||とうちゃく||| 道 に さえ 迷わ なければ。 どう|||まよわ|

《迷い の 森 》と いう その 森林 ダンジョン の 名前 は ダテ で は なかった。 まよい||しげる||||しんりん|||なまえ|||||

巨大な 樹 々 が うっそうと 立ち 並ぶ 森 は 碁盤 状 に 数 百 の エリア へ と 分割 さ れ 、ひと つ の エリア に 踏み込んで から 一 分 経つ と 東西 南北 の 隣接 エリア へ の 連結 が ラン ダム に 入れ替わって しまう と いう 設定 に なって いた。 きょだいな|き||||たち|ならぶ|しげる||ごばん|じょう||すう|ひゃく||えりあ|||ぶんかつ||||||えりあ||ふみこんで||ひと|ぶん|たつ||とうざい|なんぼく||りんせつ|えりあ|||れんけつ||らん|だむ||いれかわって||||せってい||| 森 を 抜ける に は 、一 分 以内 に 次々 と エリア を 突破 して いく か 、主 街 区 の 道具 屋 で 販売 して いる 高価な 地図 アイテム に よって 四方 の 連結 を 確認 し ながら 歩く しか ない。 しげる||ぬける|||ひと|ぶん|いない||つぎつぎ||えりあ||とっぱ||||おも|がい|く||どうぐ|や||はんばい|||こうかな|ちず|あいてむ|||しほう||れんけつ||かくにん|||あるく||

地図 を 持って いる の は リーダー の 盾 剣士 だけ だった し 、迷い の 森 で は 転移 結晶 を 使って も 街 に は 飛べ ず ラン ダム で 森 の どこ か に 飛ばさ れる 仕様 に なって いる ので 、シリカ は やむなく ダッシュ で の 突破 を 試み なければ なら なく なった。 ちず||もって||||りーだー||たて|けんし||||まよい||しげる|||てんい|けっしょう||つかって||がい|||とべ||らん|だむ||しげる|||||とばさ||しよう||||||||だっしゅ|||とっぱ||こころみ|||| だが 、曲がりくねった 森 の 小道 を 、巨木 の 根っこ を かわし ながら 走り抜ける の は 予想 以上 に 困難だった。 |まがりくねった|しげる||こみち||きょぼく||ねっこ||||はしりぬける|||よそう|いじょう||こんなんだった

まっすぐ 北 へ 向かって いる はず が 、エリア の 端に 達する 直前 で 一 分 が 経過 して しまい 、どこ と も しれ ぬ 場所 に 転送 される こと を 繰り返して いる うち 、だんだん シリカ は 疲労 困憊 して きて しまった。 |きた||むかって||||えりあ||はしたに|たっする|ちょくぜん||ひと|ぶん||けいか||||||||ばしょ||てんそう|さ れる|||くりかえして||||||ひろう|こんぱい||| 夕 陽 の 色 は みるみる 濃く なり 、這い 寄る 宵闇 に 焦る ほど に エリア 脱出 は うまく いか なく なる。 ゆう|よう||いろ|||こく||はい|よる|よいやみ||あせる|||えりあ|だっしゅつ|||||

やがて シリカ は 走る こと を 諦め 、偶然 森 の 端 の エリア に 飛ぶ こと を 期待 して 歩き はじめた。 |||はしる|||あきらめ|ぐうぜん|しげる||はし||えりあ||とぶ|||きたい||あるき| だが 、なかなか 幸運に は 見舞わ れ ず──。 ||こううんに||みまわ|| とぼとぼ 進む うち に も 、容赦 なく モンスター は 襲いかかって くる。 |すすむ||||ようしゃ||||おそいかかって| レベル 的に は 余裕 が ある と は 言え 、周囲 が 暗く なる に つれて 足場 も よく 見え なく なる。 れべる|てきに||よゆう|||||いえ|しゅうい||くらく||||あしば|||みえ|| ピナ の 援護 が あって も 無傷で 全て の 戦闘 を 切り抜ける と いう わけに も 行か ず 、ついに 残り の ポーション から 非常 用 の 回復 結晶 まで も 使い果たして しまった。 ||えんご||||むきずで|すべて||せんとう||きりぬける|||||いか|||のこり||||ひじょう|よう||かいふく|けっしょう|||つかいはたして|

シリカ の 不安 を 感じ取った よう に 、肩 に 乗った ピナ が くる る る 、と 鳴き ながら 頰 に 頭 を すり 寄せて くる。 ||ふあん||かんじとった|||かた||のった|||||||なき||||あたま|||よせて| 相棒 の 長い 首筋 を なだめる よう に 撫で ながら 、シリカ は 自分 の 短気 と 増長 から 窮地 を 招いて しまった こと を 悔やんで いた。 あいぼう||ながい|くびすじ|||||なで||||じぶん||たんき||ぞうちょう||きゅうち||まねいて||||くやんで|

歩き ながら 、神さま 、と 心 の なか で 呟く。 あるき||かみさま||こころ||||つぶやく

──反省 します。 はんせい| 二度と 自分 が 特別だ なんて 思いません。 にどと|じぶん||とくべつだ||おもいません だから 、次の ワープ で 森 の 外 に 出して ください。 |つぎの|||しげる||がい||だして|