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ソードアート・オンライン1 アインクラッド (Sword Art Online 1: Aincrad), ソードアート ・オンライン 1 アインクラッド (8)

ソードアート ・オンライン 1 アインクラッド (8)

それ は 現在 でも 変わら ない だろう。 HP が ゼロ に なり 、体 を 構成 する ポリゴン が 消滅 する その 現象 は 、あまりに も 俺 たち が 慣れ 親しんだ 、いわゆる 《ゲーム オーバー 》に 近似 し すぎて いた。 多分 、SAO に おける 死 の 意味 を 本当に 悟る に は 、実際 に 体験 する 以外 の 方法 は ない のだ。 その 希薄 感 が 、プレイヤー の 減少 に 拍車 を かける 一因 と なった の は 間違い ない。

さて 、《軍 》や それ 以外 の 集団 に 属した プレイヤー 、特に 待機 組 に 属した者 たち が 遅まき ながら ゲーム の 攻略 を 開始 する に つれて 、やはり モンスター と の 戦闘 で 命 を 落とす者 も 現れ はじめた。

SAO で の 戦闘 に は 、多少 の 勘 と 慣れ が 必要 と なる。 自分 で 無理に 動こう と せ ず システム の サポート に 《乗っかる 》の が コツ と 言える だろう か。

例えば 、単純な 片手 剣 上段 斬り でも 、《片手 直 剣 スキル 》を 習得 して 剣 技 リスト に 《上段 斬り 》を 備えた者 が 、その 技 を イメージ し ながら 初期 モーション を 起こせば 後 は システム が ほぼ オート で プレイヤー の 体 を 動かして くれる の に 対し 、スキル の ない者 が 無理やり 動き を 真似よう と して も 、振り は 遅い わ 攻撃 力 は 低い わ で おおよそ 実戦 で 使える シロモノ に は なら ない。 つまり ある 意味 で は 格闘 ゲーム で コマンド を 出す の に 似て いる と 言える。

が 、それ に 馴染め ない者 たち は 握った 剣 を やたら と 振り回す ばかりで 、初期 状態 で 習得 できる 基本 の 単発 技 を 出して いれば 勝てる はずの イノシシ や オオカミ に 遅れ を とる 結果 と なった。 それ でも 、HP が ある 程度 減った 時点 で 戦闘 に 見切り を つけて 離脱 ・逃亡 して いれば 、死 と いう 結果 を 招く こと は なかった はずな のだ が──。

スクリーン モニタ を 通して 2D グラフィック の 敵 を 攻撃 する の と は 違い 、SAO で の 戦闘 は その 圧倒 的な リアリティ ゆえ に 原始 的な 恐怖 を 呼び起こす。 どう 見て も 本物 と しか 思え ない モンスター が 、凶悪な 牙 を 剝 き 出して 自分 を 殺そう と 襲って くる のだ。

ベータ の 時 で すら 戦闘 で パニック を 起こす者 が いた と いう のに 、現実 の 死 が 待って いる と なれば なおさら だ。 恐慌 に 陥った プレイヤー は 、技 を 出す こと も 逃げる こと すら も 忘れ 、HP を あっけなく 散らして この 世界 から 永遠に 退場 する こと と なった。

自殺。 モンスター 戦 に おける 敗北。 凄ま じい 速さ で 増えて いく 、無慈悲な ライン を 刻まれた 名前 たち。

その 数 が ゲーム 開始 一 ヶ月 で 二千 人 と いう 恐るべき 数 に のぼった 時 、残った 全 プレイヤー を 暗い 絶望 感 が 包み込んだ。 この ペース で 死亡者 が 増え つづける なら 、半年 経た ない うち に 一万 人 が 全滅 して しまう。 百 層 突破 など 夢のまた夢 だ。

だが ──人間 と いう の は 慣れる もの だ。

一 ヶ月 と 少し 経った 頃 に ようやく 第 一層 の 迷宮 区 が 攻略 さ れ 、その わずか 十 日 後 に 第 二 層 も 突破 された 頃 から 、死者 の 数 は 目に見えて 減り はじめた。 生き残る ため の 様々な 情報 が 行き渡り 、きちんと 経験 値 を 蓄積 して レベル を 上げて いけば モンスター は それほど 恐ろしい 存在 で は ない と いう 認識 が 生まれた。

この ゲーム を 攻略 し 、現実 世界 に 戻れる かも しれ ない。 そう 考える プレイヤー の 数 は 、少しずつ 、だが 着実に 増えて いった。

最 上層 は 遥かに 遠かった が 、かすかな 希望 を 原動力 に プレイヤー たち は 動き はじめ ──世界 は 音 を 立てて 回り だした。

それ から 二 年。 残る フロア の 数 は 二十六 、生存者 六千 人。

それ が アインクラッド の 現状 だ。

七十四 層 の 《迷宮 区 》に 棲息 する 強敵 リザード マン ロード と の 単独 戦闘 を 終え 、帰り道 と 遠い 記憶 を 同時に 辿り ながら 十 分 ほど も 歩いた 俺 は 、前方 に 出口 の 光 を 見出して ほっと 息 を 吐いた。

物思い を 振り払い 、早 足 で 通路 から 出る と 、清新な 空気 を 胸 いっぱい に 吸い込む。

眼前 に は 、うっそうと 茂る 暗い 森 を 貫いて 一 本 の 小路 が 伸びて いる。 背後 を 仰ぎ見れば 、今 出て きた ばかりの 迷宮 区 が 、夕暮れ に 染まる 巨体 を 遥か 上空 ──正確に は 次 層 の 底 まで そびえ させて いる。

城 の 頂点 を 目指す 、と いう ゲーム の 構造 上 、この 世界 の ダンジョン は 地下 迷宮 で は なく 巨大な 塔 の 形 を 取って いる。 しかし 、内部 に は 野外 より も 強力な モンスター 群 が 徘徊 し 、最奥 部 に は 恐ろしい ボス モンスター が 待つ 、と いう 定型 は 変わら ない。

現在 、この 七十四 層 迷宮 区 は 約 八 割 が 攻略 ──つまり マッピング されて いる。 おそらく あと 数 日 で ボス の 待つ 大広間 が 発見 さ れ 、大規模な 攻略 部隊 が 編成 さ れる こと だろう。 そこ に は 、ソロ プレイヤー である 俺 も 参加 する こと に なる。

期待 と 気詰まり を 同時に 感じる 自分 に 小さく 苦笑 し 、俺 は 小 路 を 歩き 出した。

現在 の 俺 の ホームタウン は 、五十 層 に ある アインクラッド で 最大 級 の 都市 《アルゲード 》だ。 規模 から 言えば はじまり の 街 の ほう が 大きい が 、あそこ は 今や 完全に 《軍 》の 本拠 地 と なって しまって いる ので 立ち入り にくい。

夕暮れ の 色 が 濃く なった 草原 を 抜ける と 、節くれだった 古 樹 が 立ち並ぶ 森 が 広がって いる。 その 中 を 三十 分 も 歩けば 七十四 層 の 《主 街 区 》が あり 、そこ の 《転移 門 》から 五十 層 アルゲード へ と 一瞬 で 移動 する こと が できる。

手持ち の 瞬間 転移 アイテム を 使えば どこ から でも アルゲード へ 帰還 する こと が できる が 、いささか 値が張る もの で 緊急の 時 以外 は 使い にくい。 まだ 日没 まで は 少々 間 が ある し 、一刻も早く ねぐら に 転がり込みたい と いう 誘惑 を 振り払って 、俺 は 森 の 中 へ と 足 を 踏み込んだ。

アインクラッド 各層 の 最 外周 部 は 、数 箇所 の 支柱 部 以外 は 基本 的に そのまま 空 へ と 開かれた 構造 に なって いる。 角度 が 傾き そこ から 直接 差し込んで くる 太陽 光 が 、森 の 木々 を 赤く 燃え 立た せて いた。 幹 の 間 を 流れる 濃密な 霧 の 帯 が 、残照 を 反射 して きらきら と 妖しく 輝く。 日 中 は 喧しかった 鳥 の 声 も まばらに なり 、吹き抜ける 風 が 梢 を 揺らす 音 が やけに 大きく 響く。

この へん の フィールド に 出没 する モンスター に は 、寝ぼけて いて も 遅れ を 取ら ない レベル だ と 解って いて も 、夕闇 の 深まる この 時間 帯 は どうして も 不安 を 抑える こと が でき ない。 幼い 頃 、帰り道 に 迷い 立ち尽くした 時 に 似た 感覚 が 胸 に 満ちる。

だが 俺 は この 気分 が 嫌いで は ない。 あの 世界 に 住んで いた 頃 は 、こんな 原始 的な 不安 は いつしか 忘れ去って しまって いた。 見渡す 限り 誰 も いない 荒野 を 単身 さすらう 孤独 感 、これ こそ まさに RPG の 醍醐味 と いう もの で──。

ノスタルジックな 感慨 に とらわれて いた 俺 の 耳 に 、不意に 聞き覚え の ない 獣 の 鳴き声 が かすかに 届いた。

高く 澄んだ 、草笛 の ような 一瞬 の 響き。 俺 は ぴたり と 足 を 止める と 、慎重に 音源 の 方向 を 探った。 聞き なれ ない 、あるいは 見なれ ない もの の 出現 は 、この 世界 で は イレギュラー な 幸運 か 不運 どちら か の 訪れ を 意味 する。

ソロ プレイヤー の 俺 は 《索敵 スキル 》を 鍛えて いる。 この スキル は 不意打ち を 防ぐ 効果 と もう 一 つ 、スキル 熟練 度 が 上がって いれば 隠蔽 状態 に ある モンスター や プレイヤー を 見破る 能力 が ある。 やがて 、十 メートル ほど 離れた 大きな 樹 の 枝 かげ に 隠れて いる モンスター の 姿 が 視界 に 浮き上がった。

それほど 大きく は ない。 木 の 葉 に まぎれる 灰緑色 の 毛皮 と 、体長 以上 に ながく 伸びた 耳。 視線 を 集中 する と 、自動 で モンスター が ターゲット 状態 と なり 、視界 に 黄色い カーソル と 対象 の 名前 が 表示 さ れる。

その 文字 を 見た 途端 俺 は 息 を 詰めた。 《ラグー ・ラビット 》、超 の つく レア モンスター だ。

実物 は 俺 も 初めて 見る。 その 、樹上 に 生息 する もこもこ した ウサギ は とりたてて 強い わけで も 経験 値 が 高い わけで も ない のだ が──。

俺 は 腰 の ベルト から 、そっと 投擲 用 の 細い ピック を 抜き出した。 俺 の 《投 剣 スキル 》は スキル スロット の 埋め草 的に 選択 して いる だけ で 、それほど 熟練 度 が 高く ない。 だが ラグー ・ラビット の 逃げ足 の 速 さ は 既知 の モンスター 中 最高 と 聞き及んで おり 、接近 して 剣 で の 戦闘 に 持ち込める 自信 は なかった。

相手 が こちら に 気付いて いない 今 ならば まだ 、一 回 だけ 先制 攻撃 の チャンス が ある。 俺 は 右手 に ピック を 構える と 、祈る ような 気持ち で 投 剣 スキル の 基本 技 《シングル シュート 》の モーション を 起こした。

いかに スキル 練度 が 低く と も 、徹底的 に 鍛えた 敏捷 度 パラメータ に よって 補正 された 俺 の 右手 は 稲妻 の よう に 閃き 、放たれた ピック は 一瞬 の 輝き を 残して 梢 の 陰 に 吸い込まれて いった。 攻撃 を 開始 した 途端 に ラビット の 位置 を 示して いた カーソル は 戦闘 色 の 赤 に 変わり 、その 下 に 奴 の HP バー が 表示 されて いる。

ピック の 行く末 を 見守る 俺 の 耳 に 、一 際 甲高い 悲鳴 が 届き ──HP バー が ぐ い 、と 動いて ゼロ に なった。 ポリゴン が 破砕 する 聞き 慣れた 硬質な 効果 音。 思わず 左手 を ぐっと 握る。

即座に 右手 を 振り 、メニュー 画面 を 呼び出す。 パネル を 操作 する 指 も もどかしく アイテム 欄 を 開く と 、果たして 新規 入手 品 の 一 番 上 に その 名前 が あった。 《ラグー ・ラビット の 肉 》、プレイヤー 間 の 取引 で は 十万 コル は 下らない と いう 代物 だ。 最高 級 の オーダーメイド 武器 を しつらえて も 釣り が 来る 額 である。

そんな 値段 が つく 理由 は いたって 単純。 この 世界 に 存在 する 無数の 食 材 アイテム の 中 で 、最高 級 の 美味に 設定 されて いる から だ。

食べる こと のみ が ほとんど 唯一 の 快楽 と 言って よい SAO 内 で 、普段 口 に できる もの と 言えば 欧州 田舎 風 ──な の か 知ら ない が 素朴な パン だの スープ ばかり で 、ごく 少ない 例外 が 、料理 スキル を 選択 して いる 職人 プレイヤー が 少し でも 幅 を 広げよう と 工夫 して 作る 食い物 な のだ が 、職人 の 数 が 圧倒 的に 少ない 上 に 高級な 食 材 アイテム が 意外に 入手 し にくい と いう 事情 も あって おいそれと 食べられる もの で も なく 、ほとんど 全て の プレイヤー は 慢性 的に 美味に 餓えて いる と いう 状況 な のだ。

もちろん 俺 も 同様で 、行きつけ の NPC レストラン で 食う スープ と 黒 パン の 食事 も 決して 嫌い で は ない が 、やはり たまに は 軟らかく 汁 気 たっぷり の 肉 を 思い切り 頰 張って みたい と いう 欲求 に 苛ま れる。 俺 は アイテム 名 の 文字 列 を 睨み ながら しばし 唸った。

この先 こんな 食材 を 入手 できる 可能 性 は ごく 少ない だろう。 本音 を 言えば 自分 で 食って しまいたい の は やまやま だ が 、食 材 アイテム の ランク が 上がる ほど 料理 に 要求 さ れる スキル レベル も 上昇 する ため 、誰 か 達人 級 の 料理 職人 プレイヤー に 頼ま なくて は なら ない。

そんな アテ は ──い ない こと も ない 、のだ が わざわざ 頼み に 行く の も 面倒だ し 、そろそろ 防具 を 新調 しなければ なら ない 時期 で も ある ので 、俺 は この アイテム を 金 に 替える こと に 決めて 立ち上がった。

未練 を 振り切る よう に ステータス 画面 を 消す と 、周囲 を 再び 索敵 スキル で 探る。 よもや こんな 最 前線 、言い換えれば 辺境 に 盗賊 プレイヤー が 出没 する と も 思わ ない が 、S クラス の レアアイテム を 持って いる と なれば いくら 用心 して も し すぎ と いう こと は ない。


ソードアート ・オンライン 1 アインクラッド (8) |おんらいん| Sword Art Online 1 Aincrad (8) Sword Art Online 1 Aincrad (8) Sword Art Online 1 Aincrad (8) Sword Art Online 1 Aincrad (8) Sword Art Online 1 Aincrad (8)

それ は 現在 でも 変わら ない だろう。 ||げんざい||かわら|| HP が ゼロ に なり 、体 を 構成 する ポリゴン が 消滅 する その 現象 は 、あまりに も 俺 たち が 慣れ 親しんだ 、いわゆる 《ゲーム オーバー 》に 近似 し すぎて いた。 hp|||||からだ||こうせい||||しょうめつ|||げんしょう||||おれ|||なれ|したしんだ||げーむ|おーばー||こん に||| The phenomenon of HP dropping to zero and the polygons that make up the body disappearing was all too similar to the so-called "game over" that we are all so familiar with. 多分 、SAO に おける 死 の 意味 を 本当に 悟る に は 、実際 に 体験 する 以外 の 方法 は ない のだ。 たぶん|sao|||し||いみ||ほんとうに|さとる|||じっさい||たいけん||いがい||ほうほう||| Perhaps the only way to truly realize the meaning of death in SAO is to actually experience it. その 希薄 感 が 、プレイヤー の 減少 に 拍車 を かける 一因 と なった の は 間違い ない。 |きはく|かん||ぷれいやー||げんしょう||はくしゃ|||いちいん|||||まちがい| This scarcity has undoubtedly contributed to the decline in the number of players.

さて 、《軍 》や それ 以外 の 集団 に 属した プレイヤー 、特に 待機 組 に 属した者 たち が 遅まき ながら ゲーム の 攻略 を 開始 する に つれて 、やはり モンスター と の 戦闘 で 命 を 落とす者 も 現れ はじめた。 |ぐん|||いがい||しゅうだん||ぞくした|ぷれいやー|とくに|たいき|くみ||ぞくした もの|||おそまき||げーむ||こうりゃく||かいし||||||||せんとう||いのち||おとす もの||あらわれ| As players belonging to the "army" and other groups, especially those in the standby group, began to take advantage of the game late, some of them began to lose their lives in battles with the monsters.

SAO で の 戦闘 に は 、多少 の 勘 と 慣れ が 必要 と なる。 sao|||せんとう|||たしょう||かん||なれ||ひつよう|| Combat in SAO requires some intuition and familiarity. 自分 で 無理に 動こう と せ ず システム の サポート に 《乗っかる 》の が コツ と 言える だろう か。 じぶん||むりに|うごこう||||しすてむ||さぽーと||のっかる|||こつ||いえる|| I guess you could say that the trick is to "take advantage" of the system's support instead of trying to force yourself to move.

例えば 、単純な 片手 剣 上段 斬り でも 、《片手 直 剣 スキル 》を 習得 して 剣 技 リスト に 《上段 斬り 》を 備えた者 が 、その 技 を イメージ し ながら 初期 モーション を 起こせば 後 は システム が ほぼ オート で プレイヤー の 体 を 動かして くれる の に 対し 、スキル の ない者 が 無理やり 動き を 真似よう と して も 、振り は 遅い わ 攻撃 力 は 低い わ で おおよそ 実戦 で 使える シロモノ に は なら ない。 たとえば|たんじゅんな|かたて|けん|じょうだん|きり||かたて|なお|けん|||しゅうとく||けん|わざ|りすと||じょうだん|きり||そなえた もの|||わざ||いめーじ|||しょき|もーしょん||おこせば|あと||しすてむ|||||ぷれいやー||からだ||うごかして||||たいし|||ない もの||むりやり|うごき||まねよう||||ふり||おそい||こうげき|ちから||ひくい||||じっせん||つかえる||||| For example, even if it is a simple one-handed sword upper-level slash, if a player has learned the "one-handed straight sword" skill and has "upper-level slash" in the list of sword techniques, the system will move the player's body almost automatically once the initial motion is made, while if a player without the skill tries to imitate the motion by force, the swing will be slow and the attack power will be low, making it almost a shimono in actual combat. If a person without skill tries to imitate the player's movements, the swing will be slow and the attack power will be low, making it almost impossible for the player to become a useful white monster in actual combat. つまり ある 意味 で は 格闘 ゲーム で コマンド を 出す の に 似て いる と 言える。 ||いみ|||かくとう|げーむ||||だす|||にて|||いえる In other words, in a sense, it is similar to issuing commands in a fighting game.

が 、それ に 馴染め ない者 たち は 握った 剣 を やたら と 振り回す ばかりで 、初期 状態 で 習得 できる 基本 の 単発 技 を 出して いれば 勝てる はずの イノシシ や オオカミ に 遅れ を とる 結果 と なった。 |||なじめ|ない もの|||にぎった|けん||||ふりまわす||しょき|じょうたい||しゅうとく||きほん||たんぱつ|わざ||だして||かてる||いのしし||おおかみ||おくれ|||けっか|| However, those who were not accustomed to this took to swinging their swords around, falling behind the wild boars and wolves who should have been able to win if they had only performed the basic one-shot techniques that could be learned in their initial state. それ でも 、HP が ある 程度 減った 時点 で 戦闘 に 見切り を つけて 離脱 ・逃亡 して いれば 、死 と いう 結果 を 招く こと は なかった はずな のだ が──。 ||hp|||ていど|へった|じてん||せんとう||みきり|||りだつ|とうぼう|||し|||けっか||まねく|||||| However, if they had given up the fight and fled when their HP was depleted to a certain degree, death would not have been the result.

スクリーン モニタ を 通して 2D グラフィック の 敵 を 攻撃 する の と は 違い 、SAO で の 戦闘 は その 圧倒 的な リアリティ ゆえ に 原始 的な 恐怖 を 呼び起こす。 すくりーん|||とおして|d|ぐらふぃっく||てき||こうげき|||||ちがい|sao|||せんとう|||あっとう|てきな||||げんし|てきな|きょうふ||よびおこす Unlike attacking 2D graphic enemies through a screen monitor, combat in SAO evokes primal fear due to its overwhelming realism. どう 見て も 本物 と しか 思え ない モンスター が 、凶悪な 牙 を 剝 き 出して 自分 を 殺そう と 襲って くる のだ。 |みて||ほんもの|||おもえ||||きょうあくな|きば||||だして|じぶん||ころそう||おそって||

ベータ の 時 で すら 戦闘 で パニック を 起こす者 が いた と いう のに 、現実 の 死 が 待って いる と なれば なおさら だ。 ||じ|||せんとう||ぱにっく||おこす もの||||||げんじつ||し||まって||||| 恐慌 に 陥った プレイヤー は 、技 を 出す こと も 逃げる こと すら も 忘れ 、HP を あっけなく 散らして この 世界 から 永遠に 退場 する こと と なった。 きょうこう||おちいった|ぷれいやー||わざ||だす|||にげる||||わすれ|hp|||ちらして||せかい||えいえんに|たいじょう|||| The player, plunged into a panic, forgets to perform his moves or even to escape, and leaves the world forever, his HP scattered in a flash.

自殺。 じさつ モンスター 戦 に おける 敗北。 |いくさ|||はいぼく 凄ま じい 速さ で 増えて いく 、無慈悲な ライン を 刻まれた 名前 たち。 すごま||はや さ||ふえて||むじひな|らいん||きざまれた|なまえ|

その 数 が ゲーム 開始 一 ヶ月 で 二千 人 と いう 恐るべき 数 に のぼった 時 、残った 全 プレイヤー を 暗い 絶望 感 が 包み込んだ。 |すう||げーむ|かいし|ひと|かげつ||にせん|じん|||おそるべき|すう|||じ|のこった|ぜん|ぷれいやー||くらい|ぜつぼう|かん||つつみこんだ この ペース で 死亡者 が 増え つづける なら 、半年 経た ない うち に 一万 人 が 全滅 して しまう。 |ぺーす||しぼう しゃ||ふえ|||はんとし|へた||||いちまん|じん||ぜんめつ|| 百 層 突破 など 夢のまた夢 だ。 ひゃく|そう|とっぱ||ゆめのまたゆめ|

だが ──人間 と いう の は 慣れる もの だ。 |にんげん|||||なれる||

一 ヶ月 と 少し 経った 頃 に ようやく 第 一層 の 迷宮 区 が 攻略 さ れ 、その わずか 十 日 後 に 第 二 層 も 突破 された 頃 から 、死者 の 数 は 目に見えて 減り はじめた。 ひと|かげつ||すこし|たった|ころ|||だい|いっそう||めいきゅう|く||こうりゃく|||||じゅう|ひ|あと||だい|ふた|そう||とっぱ||ころ||ししゃ||すう||めにみえて|へり| 生き残る ため の 様々な 情報 が 行き渡り 、きちんと 経験 値 を 蓄積 して レベル を 上げて いけば モンスター は それほど 恐ろしい 存在 で は ない と いう 認識 が 生まれた。 いきのこる|||さまざまな|じょうほう||ゆきわたり||けいけん|あたい||ちくせき||れべる||あげて|||||おそろしい|そんざい||||||にんしき||うまれた

この ゲーム を 攻略 し 、現実 世界 に 戻れる かも しれ ない。 |げーむ||こうりゃく||げんじつ|せかい||もどれる||| You may be able to beat the game and return to the real world. そう 考える プレイヤー の 数 は 、少しずつ 、だが 着実に 増えて いった。 |かんがえる|ぷれいやー||すう||すこしずつ||ちゃくじつに|ふえて| Slowly but steadily, the number of players who thought so grew.

最 上層 は 遥かに 遠かった が 、かすかな 希望 を 原動力 に プレイヤー たち は 動き はじめ ──世界 は 音 を 立てて 回り だした。 さい|じょうそう||はるかに|とおかった|||きぼう||げんどうりょく||ぷれいやー|||うごき||せかい||おと||たてて|まわり| The top level was far away, but with a glimmer of hope as a driving force, the players began to move - and the world began to spin noisily.

それ から 二 年。 ||ふた|とし 残る フロア の 数 は 二十六 、生存者 六千 人。 のこる|ふろあ||すう||にじゅうろく|せいぞん しゃ|ろくせん|じん

それ が アインクラッド の 現状 だ。 ||||げんじょう|

七十四 層 の 《迷宮 区 》に 棲息 する 強敵 リザード マン ロード と の 単独 戦闘 を 終え 、帰り道 と 遠い 記憶 を 同時に 辿り ながら 十 分 ほど も 歩いた 俺 は 、前方 に 出口 の 光 を 見出して ほっと 息 を 吐いた。 しちじゅうよん|そう||めいきゅう|く||せいそく||きょうてき||まん||||たんどく|せんとう||おえ|かえりみち||とおい|きおく||どうじに|てん り||じゅう|ぶん|||あるいた|おれ||ぜんぽう||でぐち||ひかり||みいだして||いき||はいた

物思い を 振り払い 、早 足 で 通路 から 出る と 、清新な 空気 を 胸 いっぱい に 吸い込む。 ものおもい||ふりはらい|はや|あし||つうろ||でる||せいしんな|くうき||むね|||すいこむ

眼前 に は 、うっそうと 茂る 暗い 森 を 貫いて 一 本 の 小路 が 伸びて いる。 がんぜん||||しげる|くらい|しげる||つらぬいて|ひと|ほん||しょう じ||のびて| 背後 を 仰ぎ見れば 、今 出て きた ばかりの 迷宮 区 が 、夕暮れ に 染まる 巨体 を 遥か 上空 ──正確に は 次 層 の 底 まで そびえ させて いる。 はいご||あおぎみれば|いま|でて|||めいきゅう|く||ゆうぐれ||そまる|きょたい||はるか|じょうくう|せいかくに||つぎ|そう||そこ|||さ せて|

城 の 頂点 を 目指す 、と いう ゲーム の 構造 上 、この 世界 の ダンジョン は 地下 迷宮 で は なく 巨大な 塔 の 形 を 取って いる。 しろ||ちょうてん||めざす|||げーむ||こうぞう|うえ||せかい||||ちか|めいきゅう||||きょだいな|とう||かた||とって| Due to the structure of the game, the dungeons in this world do not take the form of underground labyrinths, but rather huge towers. しかし 、内部 に は 野外 より も 強力な モンスター 群 が 徘徊 し 、最奥 部 に は 恐ろしい ボス モンスター が 待つ 、と いう 定型 は 変わら ない。 |ないぶ|||やがい|||きょうりょくな||ぐん||はいかい||さいおう|ぶ|||おそろしい|ぼす|||まつ|||ていけい||かわら|

現在 、この 七十四 層 迷宮 区 は 約 八 割 が 攻略 ──つまり マッピング されて いる。 げんざい||しちじゅうよん|そう|めいきゅう|く||やく|やっ|わり||こうりゃく|||| Currently, about 80% of this 74-layer labyrinthine area has been mapped. おそらく あと 数 日 で ボス の 待つ 大広間 が 発見 さ れ 、大規模な 攻略 部隊 が 編成 さ れる こと だろう。 ||すう|ひ||ぼす||まつ|おおひろま||はっけん|||だいきぼな|こうりゃく|ぶたい||へんせい|||| In a few days, the hall where the boss waits will probably be discovered and a large invasion force will be formed. そこ に は 、ソロ プレイヤー である 俺 も 参加 する こと に なる。 |||そろ|ぷれいやー||おれ||さんか||||

期待 と 気詰まり を 同時に 感じる 自分 に 小さく 苦笑 し 、俺 は 小 路 を 歩き 出した。 きたい||きづまり||どうじに|かんじる|じぶん||ちいさく|くしょう||おれ||しょう|じ||あるき|だした

現在 の 俺 の ホームタウン は 、五十 層 に ある アインクラッド で 最大 級 の 都市 《アルゲード 》だ。 げんざい||おれ||||ごじゅう|そう|||||さいだい|きゅう||とし|| 規模 から 言えば はじまり の 街 の ほう が 大きい が 、あそこ は 今や 完全に 《軍 》の 本拠 地 と なって しまって いる ので 立ち入り にくい。 きぼ||いえば|||がい||||おおきい||||いまや|かんぜんに|ぐん||ほんきょ|ち||||||たちいり| The town of Hajimari is larger in scale, but it is difficult to enter because it is now completely the headquarters of the military.

夕暮れ の 色 が 濃く なった 草原 を 抜ける と 、節くれだった 古 樹 が 立ち並ぶ 森 が 広がって いる。 ゆうぐれ||いろ||こく||そうげん||ぬける||ふしくれだった|ふる|き||たち ならぶ|しげる||ひろがって| Passing through the meadows at dusk, one comes to a forest lined with ancient, knotty trees. その 中 を 三十 分 も 歩けば 七十四 層 の 《主 街 区 》が あり 、そこ の 《転移 門 》から 五十 層 アルゲード へ と 一瞬 で 移動 する こと が できる。 |なか||さんじゅう|ぶん||あるけば|しちじゅうよん|そう||おも|がい|く|||||てんい|もん||ごじゅう|そう||||いっしゅん||いどう||||

手持ち の 瞬間 転移 アイテム を 使えば どこ から でも アルゲード へ 帰還 する こと が できる が 、いささか 値が張る もの で 緊急の 時 以外 は 使い にくい。 てもち||しゅんかん|てんい|あいてむ||つかえば||||||きかん|||||||あたい が はる|||きんきゅうの|じ|いがい||つかい| You can return to Algade from anywhere by using your instantaneous transfer item, but it is somewhat expensive and difficult to use except in an emergency. まだ 日没 まで は 少々 間 が ある し 、一刻も早く ねぐら に 転がり込みたい と いう 誘惑 を 振り払って 、俺 は 森 の 中 へ と 足 を 踏み込んだ。 |にちぼつ|||しょうしょう|あいだ||||いっこく も はやく|||ころがりこみたい|||ゆうわく||ふりはらって|おれ||しげる||なか|||あし||ふみこんだ

アインクラッド 各層 の 最 外周 部 は 、数 箇所 の 支柱 部 以外 は 基本 的に そのまま 空 へ と 開かれた 構造 に なって いる。 |かくそう||さい|がいしゅう|ぶ||すう|かしょ||しちゅう|ぶ|いがい||きほん|てきに||から|||あかれた|こうぞう||| The outermost layers of each layer of AINCLAD are basically open to the sky, except for a few pillars. 角度 が 傾き そこ から 直接 差し込んで くる 太陽 光 が 、森 の 木々 を 赤く 燃え 立た せて いた。 かくど||かたむき|||ちょくせつ|さしこんで||たいよう|ひかり||しげる||きぎ||あかく|もえ|たた|| The sun was shining directly from the angle, making the trees in the forest blaze red. 幹 の 間 を 流れる 濃密な 霧 の 帯 が 、残照 を 反射 して きらきら と 妖しく 輝く。 みき||あいだ||ながれる|のうみつな|きり||おび||ざんしょう||はんしゃ||||あやしく|かがやく 日 中 は 喧しかった 鳥 の 声 も まばらに なり 、吹き抜ける 風 が 梢 を 揺らす 音 が やけに 大きく 響く。 ひ|なか||けん しかった|ちょう||こえ||||ふきぬける|かぜ||こずえ||ゆらす|おと|||おおきく|ひびく Birdsong, which had been a common occurrence during the day, became less frequent, and the sound of the wind blowing through the treetops became louder and louder.

この へん の フィールド に 出没 する モンスター に は 、寝ぼけて いて も 遅れ を 取ら ない レベル だ と 解って いて も 、夕闇 の 深まる この 時間 帯 は どうして も 不安 を 抑える こと が でき ない。 |||ふぃーるど||しゅつぼつ|||||ねぼけて|||おくれ||とら||れべる|||わかって|||ゆうやみ||ふかまる||じかん|おび||||ふあん||おさえる|||| Even though I know that the monsters that appear in these fields are at a level where I can keep up with them even if I'm sleepy, I can't help but feel uneasy at this time of night when darkness is deepening. 幼い 頃 、帰り道 に 迷い 立ち尽くした 時 に 似た 感覚 が 胸 に 満ちる。 おさない|ころ|かえりみち||まよい|たちつくした|じ||にた|かんかく||むね||みちる A feeling similar to the time when I was a child and was lost on the way home fills my heart.

だが 俺 は この 気分 が 嫌いで は ない。 |おれ|||きぶん||きらいで|| あの 世界 に 住んで いた 頃 は 、こんな 原始 的な 不安 は いつしか 忘れ去って しまって いた。 |せかい||すんで||ころ|||げんし|てきな|ふあん|||わすれさって|| When I lived in that world, I had somehow forgotten such primitive insecurities. 見渡す 限り 誰 も いない 荒野 を 単身 さすらう 孤独 感 、これ こそ まさに RPG の 醍醐味 と いう もの で──。 みわたす|かぎり|だれ|||こうや||たんしん||こどく|かん||||rpg||だいごみ|||| Wandering alone in the wilderness with no one as far as the eye can see, this is the true thrill of an RPG.

ノスタルジックな 感慨 に とらわれて いた 俺 の 耳 に 、不意に 聞き覚え の ない 獣 の 鳴き声 が かすかに 届いた。 のすたるじっくな|かんがい||||おれ||みみ||ふいに|ききおぼえ|||けだもの||なきごえ|||とどいた While I was lost in nostalgia, my ears suddenly heard the faint cry of an unfamiliar beast.

高く 澄んだ 、草笛 の ような 一瞬 の 響き。 たかく|すんだ|くさぶえ|||いっしゅん||ひびき A high, clear, instantaneous sound like a grass whistle. 俺 は ぴたり と 足 を 止める と 、慎重に 音源 の 方向 を 探った。 おれ||||あし||とどめる||しんちょうに|おんげん||ほうこう||さぐった I stopped dead in my tracks and carefully looked for the direction of the sound source. 聞き なれ ない 、あるいは 見なれ ない もの の 出現 は 、この 世界 で は イレギュラー な 幸運 か 不運 どちら か の 訪れ を 意味 する。 きき||||みなれ||||しゅつげん|||せかい|||||こううん||ふうん||||おとずれ||いみ| The appearance of an unfamiliar or unusual object can mean the arrival of either good or bad luck, which is irregular in this world.

ソロ プレイヤー の 俺 は 《索敵 スキル 》を 鍛えて いる。 そろ|ぷれいやー||おれ||さくてき|||きたえて| この スキル は 不意打ち を 防ぐ 効果 と もう 一 つ 、スキル 熟練 度 が 上がって いれば 隠蔽 状態 に ある モンスター や プレイヤー を 見破る 能力 が ある。 |||ふいうち||ふせぐ|こうか|||ひと|||じゅくれん|たび||あがって||いんぺい|じょうたい|||||ぷれいやー||みやぶる|のうりょく|| やがて 、十 メートル ほど 離れた 大きな 樹 の 枝 かげ に 隠れて いる モンスター の 姿 が 視界 に 浮き上がった。 |じゅう|めーとる||はなれた|おおきな|き||えだ|||かくれて||||すがた||しかい||うきあがった

それほど 大きく は ない。 |おおきく|| 木 の 葉 に まぎれる 灰緑色 の 毛皮 と 、体長 以上 に ながく 伸びた 耳。 き||は|||はい みどりいろ||けがわ||たいちょう|いじょう|||のびた|みみ 視線 を 集中 する と 、自動 で モンスター が ターゲット 状態 と なり 、視界 に 黄色い カーソル と 対象 の 名前 が 表示 さ れる。 しせん||しゅうちゅう|||じどう||||たーげっと|じょうたい|||しかい||きいろい|||たいしょう||なまえ||ひょうじ||

その 文字 を 見た 途端 俺 は 息 を 詰めた。 |もじ||みた|とたん|おれ||いき||つめた As soon as I saw the words, I choked up. 《ラグー ・ラビット 》、超 の つく レア モンスター だ。 ||ちょう||||| The Raghu Rabbit is a very rare monster.

実物 は 俺 も 初めて 見る。 じつぶつ||おれ||はじめて|みる This is the first time I've seen the real thing. その 、樹上 に 生息 する もこもこ した ウサギ は とりたてて 強い わけで も 経験 値 が 高い わけで も ない のだ が──。 |じゅじょう||せいそく||も こも こ||うさぎ|||つよい|||けいけん|あたい||たかい||||| The fluffy rabbits living in the trees are not particularly strong or experienced.

俺 は 腰 の ベルト から 、そっと 投擲 用 の 細い ピック を 抜き出した。 おれ||こし||べると|||とうてき|よう||ほそい|||ぬきだした I gently pulled a thin pick for throwing from my waist belt. 俺 の 《投 剣 スキル 》は スキル スロット の 埋め草 的に 選択 して いる だけ で 、それほど 熟練 度 が 高く ない。 おれ||とう|けん||||||うめくさ|てきに|せんたく||||||じゅくれん|たび||たかく| My "Throwing Sword Skill" is only selected to fill a skill slot, and my skill level is not that high. だが ラグー ・ラビット の 逃げ足 の 速 さ は 既知 の モンスター 中 最高 と 聞き及んで おり 、接近 して 剣 で の 戦闘 に 持ち込める 自信 は なかった。 ||||にげあし||はや|||きち|||なか|さいこう||きき およんで||せっきん||けん|||せんとう||もちこめる|じしん|| However, I had heard that the Raghu Rabbit was the fastest runner among all known monsters, and I was not confident that I could get close enough to it to engage it in swordfighting.

相手 が こちら に 気付いて いない 今 ならば まだ 、一 回 だけ 先制 攻撃 の チャンス が ある。 あいて||||きづいて||いま|||ひと|かい||せんせい|こうげき||ちゃんす|| If your opponent is not aware of your presence, you still have one chance to strike first. 俺 は 右手 に ピック を 構える と 、祈る ような 気持ち で 投 剣 スキル の 基本 技 《シングル シュート 》の モーション を 起こした。 おれ||みぎて||||かまえる||いのる||きもち||とう|けん|||きほん|わざ|しんぐる|しゅーと||もーしょん||おこした

いかに スキル 練度 が 低く と も 、徹底的 に 鍛えた 敏捷 度 パラメータ に よって 補正 された 俺 の 右手 は 稲妻 の よう に 閃き 、放たれた ピック は 一瞬 の 輝き を 残して 梢 の 陰 に 吸い込まれて いった。 ||ね たび||ひくく|||てってい てき||きたえた|びんしょう|たび||||ほせい||おれ||みぎて||いなずま||||せん き|はなたれた|||いっしゅん||かがやき||のこして|こずえ||かげ||すいこまれて| 攻撃 を 開始 した 途端 に ラビット の 位置 を 示して いた カーソル は 戦闘 色 の 赤 に 変わり 、その 下 に 奴 の HP バー が 表示 されて いる。 こうげき||かいし||とたん||||いち||しめして||||せんとう|いろ||あか||かわり||した||やつ||hp|ばー||ひょうじ||

ピック の 行く末 を 見守る 俺 の 耳 に 、一 際 甲高い 悲鳴 が 届き ──HP バー が ぐ い 、と 動いて ゼロ に なった。 ||ゆくすえ||みまもる|おれ||みみ||ひと|さい|かんだかい|ひめい||とどき|hp|ばー|||||うごいて||| ポリゴン が 破砕 する 聞き 慣れた 硬質な 効果 音。 ||はさい||きき|なれた|こえしつな|こうか|おと 思わず 左手 を ぐっと 握る。 おもわず|ひだりて|||にぎる

即座に 右手 を 振り 、メニュー 画面 を 呼び出す。 そくざに|みぎて||ふり|めにゅー|がめん||よびだす パネル を 操作 する 指 も もどかしく アイテム 欄 を 開く と 、果たして 新規 入手 品 の 一 番 上 に その 名前 が あった。 ぱねる||そうさ||ゆび|||あいてむ|らん||あく||はたして|しんき|にゅうしゅ|しな||ひと|ばん|うえ|||なまえ|| My fingers were too tired to operate the panel, so I opened the item column and found the name of the item at the top of the list of new acquisitions. 《ラグー ・ラビット の 肉 》、プレイヤー 間 の 取引 で は 十万 コル は 下らない と いう 代物 だ。 |||にく|ぷれいやー|あいだ||とりひき|||じゅうまん|||くだらない|||しろもの| Raghu Rabbit Flesh, the price of which is not less than 100,000 cols in a player-to-player transaction. 最高 級 の オーダーメイド 武器 を しつらえて も 釣り が 来る 額 である。 さいこう|きゅう|||ぶき||||つり||くる|がく| It is enough money to furnish a top-of-the-line custom-made weapon.

そんな 値段 が つく 理由 は いたって 単純。 |ねだん|||りゆう|||たんじゅん この 世界 に 存在 する 無数の 食 材 アイテム の 中 で 、最高 級 の 美味に 設定 されて いる から だ。 |せかい||そんざい||むすうの|しょく|ざい|あいてむ||なか||さいこう|きゅう||びみに|せってい|||| It is the most delicious food item in the world.

食べる こと のみ が ほとんど 唯一 の 快楽 と 言って よい SAO 内 で 、普段 口 に できる もの と 言えば 欧州 田舎 風 ──な の か 知ら ない が 素朴な パン だの スープ ばかり で 、ごく 少ない 例外 が 、料理 スキル を 選択 して いる 職人 プレイヤー が 少し でも 幅 を 広げよう と 工夫 して 作る 食い物 な のだ が 、職人 の 数 が 圧倒 的に 少ない 上 に 高級な 食 材 アイテム が 意外に 入手 し にくい と いう 事情 も あって おいそれと 食べられる もの で も なく 、ほとんど 全て の プレイヤー は 慢性 的に 美味に 餓えて いる と いう 状況 な のだ。 たべる|||||ゆいいつ||かいらく||いって||sao|うち||ふだん|くち|||||いえば|おうしゅう|いなか|かぜ||||しら|||そぼくな|ぱん||すーぷ||||すくない|れいがい||りょうり|||せんたく|||しょくにん|ぷれいやー||すこし||はば||ひろげよう||くふう||つくる|くいもの||||しょくにん||すう||あっとう|てきに|すくない|うえ||こうきゅうな|しょく|ざい|あいてむ||いがいに|にゅうしゅ|||||じじょう||||たべられる||||||すべて||ぷれいやー||まんせい|てきに|びみに|うえて||||じょうきょう|| In SAO, where eating is almost the only pleasure, the only food available is simple breads and soups of the European countryside, with a few exceptions made by artisan players who have chosen to use their cooking skills in order to broaden their palate. The number of artisans is overwhelmingly small, and the difficulty in obtaining high-end food items means that they are not readily available, and almost all players are chronically hungry for good food.

もちろん 俺 も 同様で 、行きつけ の NPC レストラン で 食う スープ と 黒 パン の 食事 も 決して 嫌い で は ない が 、やはり たまに は 軟らかく 汁 気 たっぷり の 肉 を 思い切り 頰 張って みたい と いう 欲求 に 苛ま れる。 |おれ||どうようで|ゆきつけ||npc|れすとらん||くう|すーぷ||くろ|ぱん||しょくじ||けっして|きらい||||||||やわらかく|しる|き|||にく||おもいきり||はって||||よっきゅう||か ま| 俺 は アイテム 名 の 文字 列 を 睨み ながら しばし 唸った。 おれ||あいてむ|な||もじ|れつ||にらみ|||うなった I stared at the string of item names and groaned for a while.

この先 こんな 食材 を 入手 できる 可能 性 は ごく 少ない だろう。 このさき||しょく ざい||にゅうしゅ||かのう|せい|||すくない| 本音 を 言えば 自分 で 食って しまいたい の は やまやま だ が 、食 材 アイテム の ランク が 上がる ほど 料理 に 要求 さ れる スキル レベル も 上昇 する ため 、誰 か 達人 級 の 料理 職人 プレイヤー に 頼ま なくて は なら ない。 ほんね||いえば|じぶん||くって|しま いたい||||||しょく|ざい|あいてむ||らんく||あがる||りょうり||ようきゅう||||れべる||じょうしょう|||だれ||たつじん|きゅう||りょうり|しょくにん|ぷれいやー||たのま|||| It would be so bad that I wish I could eat it myself, but the higher the rank of the food item, the higher the skill level required to cook it, so I have to ask someone who is a master chef to help me.

そんな アテ は ──い ない こと も ない 、のだ が わざわざ 頼み に 行く の も 面倒だ し 、そろそろ 防具 を 新調 しなければ なら ない 時期 で も ある ので 、俺 は この アイテム を 金 に 替える こと に 決めて 立ち上がった。 |||||||||||たのみ||いく|||めんどうだ|||ふせ つぶさ||しんちょう||||じき|||||おれ|||あいてむ||きむ||かえる|||きめて|たちあがった I had no doubt that there was someone out there, but I didn't want to go to the trouble of asking for help, and it was time for me to get a new suit of armor, so I decided to exchange this item for gold.

未練 を 振り切る よう に ステータス 画面 を 消す と 、周囲 を 再び 索敵 スキル で 探る。 みれん||ふりきる||||がめん||けす||しゅうい||ふたたび|さくてき|||さぐる よもや こんな 最 前線 、言い換えれば 辺境 に 盗賊 プレイヤー が 出没 する と も 思わ ない が 、S クラス の レアアイテム を 持って いる と なれば いくら 用心 して も し すぎ と いう こと は ない。 ||さい|ぜんせん|いいかえれば|へんきょう||とうぞく|ぷれいやー||しゅつぼつ||||おもわ|||s|くらす||||もって|||||ようじん||||||||| It is unlikely that thieves would be found on the front lines, or in other words, in the frontier, but when they have S-class rare items, you can never be too careful.