ソードアート ・オンライン 1 アインクラッド (18)
|おんらいん|
Sword Art Online 1 Aincrad (18)
Sword Art Online 1 Aincrad (18)
刀剑神域 1 艾恩葛朗特 (18)
俺 は 手早く 事態 を 伝える。
おれ||てばやく|じたい||つたえる
クライン の 顔 が 歪む。
||かお||ゆがむ
「な ……何とか でき ない の か よ……」
|なんとか|||||
"Hey ......, can't you do something about it? ......"
俺 たち が 斬り込んで 連中 の 退路 を 拓 く こと は できる かも しれ ない。
おれ|||きり こんで|れんちゅう||たいろ||たく|||||||
だが 、緊急 脱出 不可能な この 空間 で 、こちら に 死者 が 出る 可能 性 は 捨て きれない。
|きんきゅう|だっしゅつ|ふかのうな||くうかん||||ししゃ||でる|かのう|せい||すて|きれ ない
However, in a space where emergency evacuation is impossible, we cannot rule out the possibility of casualties.
あまりに も 人数 が 少な すぎる。
||にんずう||すくな|
俺 が 逡巡 して いる うち 、悪魔 の 向こう で どうにか 部隊 を 立て直した らしい コーバッツ の 声 が 響いた。
おれ||しゅんじゅん||||あくま||むこう|||ぶたい||たてなおした||||こえ||ひびいた
「全員 ……突撃……!
ぜんいん|とつげき
」
十 人 の うち 、二 人 は HP バー を 限界 まで 減らして 床 に 倒れて いる。
じゅう|じん|||ふた|じん||hp|ばー||げんかい||へらして|とこ||たおれて|
残る 八 人 を 四 人 ずつ の 横 列 に 並べ 、その 中央 に 立った コーバッツ が 剣 を かざして 突進 を 始めた。
のこる|やっ|じん||よっ|じん|||よこ|れつ||ならべ||ちゅうおう||たった|||けん|||とっしん||はじめた
「やめろ ……っ!!」
だが 俺 の 叫び は 届か ない。
|おれ||さけび||とどか|
余りに 無謀な 攻撃 だった。
あまりに|むぼうな|こうげき|
八 人 で 一斉に 飛び掛って も 、満足に 剣 技 を 繰り出す こと が でき ず 混乱 する だけ だ。
やっ|じん||いっせいに|とびかかって||まんぞくに|けん|わざ||くりだす|||||こんらん|||
それ より も 防御 主体 の 態勢 で 、一 人 が 少しずつ ダメージ を 与え 、次々 に スイッチ して いく べきな のに。
|||ぼうぎょ|しゅたい||たいせい||ひと|じん||すこしずつ|だめーじ||あたえ|つぎつぎ||すいっち||||
Instead, they should be in a defensive posture, one by one inflicting damage and switching one after the other.
悪魔 は 仁王立ち に なる と 、地響き を 伴う 雄 叫び と 共に 、口 から 眩 い 噴気 を 撒き散らした。
あくま||におうだち||||じひびき||ともなう|おす|さけび||ともに|くち||くら||ふ き||まきちらした
The demon stood on its throne, and with an earth-shattering yell, it shot out a blinding jet of air from its mouth.
どうやら あの 息 に も ダメージ 判定 が ある らしく 、青白い 輝き に 包まれた 八 人 の 突撃 の 勢い が 緩む。
||いき|||だめーじ|はんてい||||あおじろい|かがやき||つつまれた|やっ|じん||とつげき||いきおい||ゆるむ
Apparently, their breath also has a damage threshold, and the momentum of the eight men's charge, enveloped in a bluish-white glow, slackens.
そこ に 、すかさず 悪魔 の 巨剣 が 突き立てられた。
|||あくま||きょつるぎ||つき たてられた
The devil's huge sword was immediately thrust at him.
一人 が すくい上げられる よう に 斬り 飛ばさ れ 、悪魔 の 頭上 を 越えて 俺 たち の 眼前 の 床 に 激しく 落下 した。
ひとり||すくいあげられる|||きり|とばさ||あくま||ずじょう||こえて|おれ|||がんぜん||とこ||はげしく|らっか|
One of them was scooped up by the demon and fell over his head and onto the floor in front of us.
コーバッツ だった。
HP バー が 消滅 して いた。
hp|ばー||しょうめつ||
自分 の 身 に 起きた こと が 理解 でき ない と いう 表情 の なか で 、口 が ゆっくり と 動いた。
じぶん||み||おきた|||りかい|||||ひょうじょう||||くち||||うごいた
──有り 得 ない。
あり|とく|
無音 で そう 言った 直後 、コーバッツ の 体 は 、神経 を 逆撫で する ような 効果音 と 共に 無数の 断片 と なって 飛散 した。
む おと|||いった|ちょくご|||からだ||しんけい||さかなで|||こうか おと||ともに|むすうの|だんぺん|||ひさん|
余りに も あっけない 消滅 に 、俺 の 傍ら で アスナ が 短い 悲鳴 を 上げる。
あまりに|||しょうめつ||おれ||かたわら||||みじかい|ひめい||あげる
リーダー を 失った 軍 の パーティー は たちまち 瓦解 した。
りーだー||うしなった|ぐん||ぱーてぃー|||かわら かい|
喚き声 を 上げ ながら 逃げ惑う。
かん き こえ||あげ||にげまどう
すでに 全員 の HP が 半分 を 割り込んで いる。
|ぜんいん||hp||はんぶん||わりこんで|
「だめ ……だめ よ ……もう……」
絞り出す ような アスナ の 声 に 、俺 は ハッと して 横 を 見た。
しぼりだす||||こえ||おれ||はっと||よこ||みた
咄嗟に 腕 を 摑 もう と する。
とっさに|うで|||||
He quickly tries to grab his arm.
だが 一瞬 遅かった。
|いっしゅん|おそかった
「だめ ────ッ!!」
絶叫 と 共に 、アスナ は 疾風 の 如く 駆け出した。
ぜっきょう||ともに|||しっぷう||ごとく|かけだした
空中 で 抜いた 細 剣 と 共に 、一筋 の 閃光 と なって グリームアイズ に 突っ込んで いく。
くうちゅう||ぬいた|ほそ|けん||ともに|ひとすじ||せんこう|||||つっこんで|
With the thin sword drawn in mid-air, it becomes a flash of light as it plunges into GREAM EYES.
「アスナッ!
」
俺 は 叫び 、やむなく 抜剣 し ながら その後 を 追った。
おれ||さけび||ぬき けん|||そのご||おった
「どう と でも なり やがれ!!」
||||や がれ
Be what you want to be!
クライン たち が ときの声 を 上げ つつ 追随 して くる。
|||とき の こえ||あげ||ついずい||
アスナ の 捨て身 の 一撃 は 、不意を突く 形 で 悪魔 の 背 に 命中 した。
||すてみ||いちげき||ふい を つく|かた||あくま||せ||めいちゅう|
だが HP は ろくに 減って いない。
|hp|||へって|
グリームアイズ は 怒り の 叫び と 共に 向き直る と 、猛烈な スピード で 斬馬刀 を 振り下ろした。
||いかり||さけび||ともに|むきなおる||もうれつな|すぴーど||き うま かたな||ふりおろした
アスナ は 咄嗟に ステップ で かわした が 、完全に は 避け きれ ず 余波 を 受けて 地面 に 倒れこんだ。
||とっさに|すてっぷ||||かんぜんに||さけ|||よは||うけて|じめん||たおれこんだ
そこ に 、連 撃 の 次 弾 が 容赦 なく 降り注ぐ。
||れん|う||つぎ|たま||ようしゃ||ふりそそぐ
Then, the next volley of shots poured in relentlessly.
「アスナ ───ッ!!」
俺 は 身 も 凍る 恐怖 を 味わい ながら 、必死に アスナ と 斬 馬 刀 の 間 に 身 を 躍ら せた。
おれ||み||こおる|きょうふ||あじわい||ひっしに|||き|うま|かたな||あいだ||み||おどら|
ぎりぎりの タイミング で 、俺 の 剣 が 悪魔 の 攻撃 軌道 を わずかに 逸ら す。
|たいみんぐ||おれ||けん||あくま||こうげき|きどう|||はやら|
途方もない 衝撃。
とほう も ない|しょうげき
An unbelievable shock.
擦れ合う 刀身 から 火花 を 散らして 振り下ろされた 巨剣 が 、アスナ から ほんの 少し 離れた 床 に 激突 し 、爆発音 と ともに 深い 孔を穿った。
すれ あう|かたな み||ひばな||ちらして|ふりおろされた|きょつるぎ|||||すこし|はなれた|とこ||げきとつ||ばくはつ おと|||ふかい|あな を うがった
「下がれ!!」
さがれ
叫ぶ と 、俺 は 悪魔 の 追撃 に 備えた。
さけぶ||おれ||あくま||ついげき||そなえた
その どれ も が 致死 と さえ 思える 圧倒 的な 威力 で 、剣 が 次々 と 襲い掛かって くる。
||||ちし|||おもえる|あっとう|てきな|いりょく||けん||つぎつぎ||おそいかかって|
The swords come at you one after another with such overwhelming power that each one is even considered lethal.
とても 反撃 を 差し挟む 隙 など ない。
|はんげき||さしはさむ|すき||
There is no room for a counterattack.
グリームアイズ の 使う 技 は 基本 的に 両手 用 大 剣 技 だ が 、微妙な カスタマイズ の せい で 先 読み が ままならない。
||つかう|わざ||きほん|てきに|りょうて|よう|だい|けん|わざ|||びみょうな|||||さき|よみ||
俺 は 全 神経 を 集中 した パリィ と ステップ で 防御 に 徹する が 、一撃 の 威力 が 凄まじく 、時々 体 を かすめる 刃 に よって HP が じりじり と 削り取られて いく。
おれ||ぜん|しんけい||しゅうちゅう||||すてっぷ||ぼうぎょ||てっする||いちげき||いりょく||すごま じく|ときどき|からだ|||は|||hp||||へずりとられて|
視界 の 端で は 、クライン の 仲間 たち が 倒れた 軍 の プレイヤー を 部屋 の 外 に 引き出そう と して いる の が 見える。
しかい||はしたで||||なかま|||たおれた|ぐん||ぷれいやー||へや||がい||ひきだそう||||||みえる
だが 中央 で 俺 と 悪魔 が 戦って いる ため 、その 動き は 遅々と して 進ま ない。
|ちゅうおう||おれ||あくま||たたかって||||うごき||ちちと||すすま|
「ぐっ!!」
とうとう 敵 の 一撃 が 俺 の 体 を 捉えた。
|てき||いちげき||おれ||からだ||とらえた
痺れる ような 衝撃。
しびれる||しょうげき
バー が ぐいっと 減少 する。
ばー||ぐ いっと|げんしょう|
The bar decreases dramatically.
元々 、俺 の 装備 と スキル 構成 は 壁 仕様 で は ない のだ。
もともと|おれ||そうび|||こうせい||かべ|しよう||||
My equipment and skill set were not originally designed for the wall.
このまま で は とても 支え きれ ない。
||||ささえ||
I can't support them very well as it is.
死 の 恐怖 が 、凍る ような 冷た さ と なって 俺 の 全身 を 駆け巡る。
し||きょうふ||こおる||つめた||||おれ||ぜんしん||かけめぐる
最早 離脱 する 余裕 すら ない。
さい はやさ|りだつ||よゆう||
残された 選択肢 は 一 つ だけ だ。
のこされた|せんたくし||ひと|||
攻撃 特化 仕様 たる 俺 の 全て を 以 て 立ち向かう しか ない。
こうげき|とっか|しよう||おれ||すべて||い||たちむかう||
As a specialized offensive player, I have no choice but to face them with everything I have.
「アスナ!
クライン!
十 秒 持ちこたえて くれ!
じゅう|びょう|もちこたえて|
」
俺 は 叫ぶ と 、右手 の 剣 を 強振 して 悪魔 の 攻撃 を 弾き 、無理やり ブレイク ポイント を 作って 床 に 転がった。
おれ||さけぶ||みぎて||けん||つよ ぶり||あくま||こうげき||はじき|むりやり|ぶれいく|ぽいんと||つくって|とこ||ころがった
I shouted and swung my right sword hard to repel the demon's attack, forcing it to make a break point and roll on the floor.
間髪入れず 飛び込んで きた クライン が カタナ で 応戦 する。
はざま かみ いれ ず|とびこんで||||||おうせん|
だが 奴 の カタナ も 、アスナ の 細 剣 も 速度 重視 の 武器 で 重 さ に 欠ける。
|やつ||||||ほそ|けん||そくど|じゅうし||ぶき||おも|||かける
However, both his katana and Asuna's sword are speed-oriented weapons and lack weight.
とても 悪魔 の 巨剣 は 捌き きれ ない だろう。
|あくま||きょつるぎ||はち き|||
俺 は 床 に 転がった まま 左手 を 振り 、メニューウインドウ を 呼び出す。
おれ||とこ||ころがった||ひだりて||ふり|||よびだす
ここ から の 操作 に は ワン ミス も 許さ れ ない。
|||そうさ|||わん|みす||ゆるさ||
早鐘 の ような 鼓動 を 抑えつけ 、俺 は 右手 の 指 を 動かす。
はやがね|||こどう||おさえつけ|おれ||みぎて||ゆび||うごかす
所持 アイテム の リスト を スクロール し 、一 つ を 選び出して オブジェクト 化 する。
しょじ|あいてむ||りすと||||ひと|||えらび だして||か|
装備 フィギュア の 、空白に なって いる 部分 に その アイテム を 設定。
そうび|ふぃぎゅあ||くうはくに|||ぶぶん|||あいてむ||せってい
Set the item in the blank space of the equipped figure.
スキルウインドウ を 開き 、選択 して いる 武器 スキル を 変更。
||あき|せんたく|||ぶき|||へんこう
Open the Skills window and change the selected weapon skill.
全て の 操作 を 終了 し 、OK ボタン に タッチ して ウインドウ を 消す と 、背 に 新たな 重み が 加わった の を 確認 し ながら 俺 は 顔 を 上げて 叫んだ。
すべて||そうさ||しゅうりょう||ok|ぼたん||たっち||||けす||せ||あらたな|おもみ||くわわった|||かくにん|||おれ||かお||あげて|さけんだ
「いい ぞ!!」
クライン は 一撃 食らった と 見えて 、HP バー を 減らして 退いて いる。
||いちげき|くらった||みえて|hp|ばー||へらして|しりぞいて|
本来 なら すぐに 結晶 で 回復 する ところ だ が 、この 部屋 で は それ が でき ない。
ほんらい|||けっしょう||かいふく||||||へや||||||
Normally, I would have used crystals to recover immediately, but that is not possible in this room.
現在 悪魔 と 対峙 して いる アスナ も 、数 秒 の うち に HP が 五 割 を 下回って イエロー 表示 に なって しまって いる。
げんざい|あくま||たいじ|||||すう|びょう||||hp||いつ|わり||したまわって|いえろー|ひょうじ||||
Asuna, who is currently confronting the demon, has dropped below 50% of her HP within seconds and is now in yellow.
俺 の 声 に 、背 を 向けた まま 頷く と 、アスナ は 裂ぱく の 気合 と ともに 突き 技 を 放った。
おれ||こえ||せ||むけた||うなずく||||さ ぱく||きあい|||つき|わざ||はなった
Asuna nodded as she turned her back to my voice and unleashed a thrusting technique with the spirit of 裂ぱぱ.
「イヤァァァァ!!」
純白の 残光 を 引いた その 一撃 は 、空中 で グリームアイズ の 剣 と 衝突 して 火花 を 散らした。
じゅんぱくの|ざん ひかり||ひいた||いちげき||くうちゅう||||けん||しょうとつ||ひばな||ちらした
The blow, which drew a pure white afterglow, collided with Gleem Eyes' sword in midair, sending sparks flying.
大音響 と ともに 両者 が ノックバック し 、間合い が できる。
だい おんきょう|||りょうしゃ||||まあい||
「スイッチ!!」
すいっち
その タイミング を 逃さ ず 叫ぶ と 、俺 は 敵 の 正面 に 飛び込んだ。
|たいみんぐ||のがさ||さけぶ||おれ||てき||しょうめん||とびこんだ
硬直 から 回復 した 悪魔 が 、大きく 剣 を 振りかぶる。
こうちょく||かいふく||あくま||おおきく|けん||ふりかぶる
炎 の 軌跡 を 引き ながら 打ち 下ろされて きた その 剣 を 、俺 は 右手 の 愛 剣 で 弾き 返す と 、間 髪 入れ ず 左手 を 背 に 回して 新たな 剣 の 柄 を 握った。
えん||きせき||ひき||うち|おろされて|||けん||おれ||みぎて||あい|けん||はじき|かえす||あいだ|かみ|いれ||ひだりて||せ||まわして|あらたな|けん||え||にぎった
The sword came down in a trail of flames, and I repelled it with the love sword in my right hand, and without a moment's pause, I turned my left hand to my back and gripped the hilt of a new sword.
抜き ざま の 一撃 を 悪魔 の 胴 に 見舞う。
ぬき|||いちげき||あくま||どう||みまう
The demon's torso is struck with a blow as it is about to be pulled out.
初めて の クリーンヒット で 、ようやく 奴 の HP バー が 目に見えて 減少 する。
はじめて|||||やつ||hp|ばー||めにみえて|げんしょう|
「グォォォォォ!!」
憤怒 の 叫び を 洩らし ながら 、悪魔 は 再び 上段 の 斬り 下ろし 攻撃 を 放って きた。
ふんぬ||さけび||もらし||あくま||ふたたび|じょうだん||きり|おろし|こうげき||はなって|
今度 は 、両手 の 剣 を 交差 して それ を しっかり と 受け止め 、押し 返す。
こんど||りょうて||けん||こうさ||||||うけとめ|おし|かえす
This time, cross both swords, catch it firmly, and push it back.
奴 の 体勢 が 崩れた ところ に 、俺 は 防戦 一方 だった いま まで の 借り を 返す べく ラッシュ を 開始 した。
やつ||たいせい||くずれた|||おれ||ぼうせん|いっぽう|||||かり||かえす||らっしゅ||かいし|
As soon as he was out of position, I launched a rush to return the favor for his defensive stance.
右 の 剣 で 中段 を 斬り 払う。
みぎ||けん||ちゅうだん||きり|はらう
Slash away at the middle with the right sword.
間 を 空け ず に 左 の 剣 を 突き 入れる。
あいだ||あけ|||ひだり||けん||つき|いれる
右 、左 、また 右。
みぎ|ひだり||みぎ
脳 の 回路 が 灼 き 切れ ん ばかりの 速度 で 俺 は 剣 を 振るい 続ける。
のう||かいろ||しゃく||きれ|||そくど||おれ||けん||ふるい|つづける
I continue to wield my sword at a speed that burns through the circuits of my brain.
甲高い 効果 音 が 立て続け に 唸り 、星屑 の よう に 飛び散る 白光 が 空間 を 灼 く。
かんだかい|こうか|おと||たてつづけ||うなり|ほしくず||||とびちる|しろ ひかり||くうかん||しゃく|
High-pitched sound effects roar continuously, and white light scatters like stardust, scorching the space.
これ が 俺 の 隠し 技 、エクストラ スキル 《二刀流 》だ。
||おれ||かくし|わざ|||ふた かたな りゅう|
その 上位 剣 技 《スターバースト ・ストリーム》。
|じょうい|けん|わざ||
The upper sword technique "Starburst Stream".
連続 十六 回 攻撃。
れんぞく|じゅうろく|かい|こうげき
「う お おお おお ああ あ!!」
途中 の 攻撃 が いくつか 悪魔 の 剣 に 阻ま れる の も 構わ ず 、俺 は 絶叫 し ながら 左右 の 剣 を 次々 敵 の 体 に 叩き込み 続けた。
とちゅう||こうげき|||あくま||けん||はばま||||かまわ||おれ||ぜっきょう|||さゆう||けん||つぎつぎ|てき||からだ||はたきこみ|つづけた
I continued to scream and slam left and right swords into the enemy's body one after another, even though several of my attacks were blocked by the devil's swords.
視界 が 灼熱 し 、最 早 敵 の 姿 以外 何も 見え ない。
しかい||しゃくねつ||さい|はや|てき||すがた|いがい|なにも|みえ|
悪魔 の 剣 が 時々 俺 の 体 を 捉える 衝撃 すら 、どこ か 遠い 世界 の 出来事 の よう に 感じる。
あくま||けん||ときどき|おれ||からだ||とらえる|しょうげき||||とおい|せかい||できごと||||かんじる
Sometimes the shock of the demon's sword catching me feels like something from a distant world.
全身 を アドレナリン が 駆け巡り 、剣 撃 を 敵 に 見舞う たび 脳神経 が スパーク する。
ぜんしん||||かけめぐり|けん|う||てき||みまう||のう しんけい|||
Adrenaline rushes through his body, and every time he fires a sword at an enemy, his brain sparks.
速く 、もっと 速く。
はやく||はやく
限界 まで アクセラレート された 俺 の 神経 に は 、普段 の 倍速 で 二 刀 を 振るう その リズム すら 物足りない。
げんかい||||おれ||しんけい|||ふだん||ばい はやさ||ふた|かたな||ふるう||りずむ||ものたりない
システム の アシスト を も 上回ろう か と いう 速度 で 攻撃 を 放ち 続ける。
しすてむ||あしすと|||うわまわろう||||そくど||こうげき||はなち|つづける
「…………ぁぁ ぁ ああ ああ ああ!!」
雄 叫び ともに 放った 最後 の 十六 撃 目 が 、グリームアイズ の 胸 の 中央 を 貫いた。
おす|さけび||はなった|さいご||じゅうろく|う|め||||むね||ちゅうおう||つらぬいた
「ゴァァァアアアアアアアア!!」
気付く と 、絶叫 して いる の は 俺 だけ で は なかった。
きづく||ぜっきょう|||||おれ||||
When I came to realize I was not the only one screaming.
天 を 振り仰いだ 巨大な 悪魔 が 、口 と 鼻 から 盛大に 噴気 を 洩らし つつ 咆哮 して いる。
てん||ふり あおいだ|きょだいな|あくま||くち||はな||せいだいに|ふ き||もらし||ほうこう||
その 全身 が 硬直 した ──と 思った 瞬間。
|ぜんしん||こうちょく|||おもった|しゅんかん
The moment I thought his whole body stiffened.
グリームアイズ は 、膨大な 青い 欠 片 と なって 爆散 した。
||ぼうだいな|あおい|けつ|かた|||ばくさん|
部屋 中 に キラキラ と 輝く 光 の 粒 が 降り注ぐ。
へや|なか||きらきら||かがやく|ひかり||つぶ||ふりそそぐ
終わった ……の か……?
おわった||
俺 は 戦闘 の 余熱 に よる 眩暈 を 感じ ながら 、無意識 の うち に 両 の 剣 を 切り払い 、背 に 交差 して 吊った 鞘 に 同時に 収めた。
おれ||せんとう||よねつ|||めまい||かんじ||むいしき||||りょう||けん||きりはらい|せ||こうさ||つりった|さや||どうじに|おさめた
Feeling dizzy from the residual heat of battle, I unconsciously cut off both swords and sheathed them in the sheaths suspended across my back at the same time.
ふと 自分 の HP バー を 確認 する。
|じぶん||hp|ばー||かくにん|
赤い ライン が 、数 ドット の 幅 で 残って いた。
あかい|らいん||すう|||はば||のこって|
The red line remained a few dots wide.
他人事 の よう に それ を 眺め ながら 、俺 は 全身 の 力 が 抜ける の を 感じて 、声 も なく 床 に 転がった。
ひとごと||||||ながめ||おれ||ぜんしん||ちから||ぬける|||かんじて|こえ|||とこ||ころがった
意識 が 暗転 した。
いしき||あんてん|
12
「……くん!
キリト 君 ってば!!」
|きみ|って ば
悲鳴 に も 似た アスナ の 叫び に 、俺 の 意識 は 無理やり 呼び戻された。
ひめい|||にた|||さけび||おれ||いしき||むりやり|よびもどされた
頭 を 貫く 痛み に 顔 を しかめ ながら 上体 を 起こす。
あたま||つらぬく|いたみ||かお||||じょうたい||おこす
The pain piercing his head causes him to frown as he raises his upper body.
「いて て て……」
見渡す と 、そこ は 先ほど の ボス 部屋 だった。
みわたす||||さきほど||ぼす|へや|
When I looked around, I saw that it was the boss's room.
まだ 空中 を 青い 光 の 残滓 が 舞って いる。
|くうちゅう||あおい|ひかり||ざんさい||まって|
意識 を 失って いた の は 数秒 の こと らしい。
いしき||うしなって||||すう びょう|||
目の前 に 、ぺたり と しゃがみこんだ アスナ の 顔 が あった。
めのまえ||ぺた り|||||かお||
泣き出す 寸前 の よう に 眉根を寄せ 、唇 を 嚙 み 締めて いる。
なきだす|すんぜん||||まゆ ね を よせ|くちびる||||しめて|
She is on the verge of crying, her brow furrowed and her lips tightly clenched.
「バカッ……!
無茶 して……!
む ちゃ|
You can find out more at ......!
」
叫ぶ と 同時に すごい 勢い で 首 に しがみついて きた ので 、俺 は 驚愕 の あまり 頭痛 も 忘れて 眼 を 白黒 さ せた。
さけぶ||どうじに||いきおい||くび|||||おれ||きょうがく|||ずつう||わすれて|がん||しろくろ||
I was so astonished that I forgot about my headache and my eyes went black and white as he clung to my neck with such force.
「……あんまり 締め付ける と 、俺 の HP が なくなる ぞ」
|しめつける||おれ||hp|||
"......, if you squeeze me too hard, you'll lose my HP."
どうにか 冗談めかして そう 言う と 、アスナ は 真剣に 怒った 顔 を した。
|じょうだん めかして||いう||||しんけんに|いかった|かお||
When I somehow jokingly said this, Asuna looked seriously offended.
直後 、口 に 小さな 瓶 を 突っ込まれて しまう。
ちょくご|くち||ちいさな|びん||つっこまれて|
Immediately afterwards, a small bottle is shoved into his mouth.
流れ込んで くる 、緑茶 に レモン ジュース を 混ぜた ような 味 の 液体 は 回復 用 の ハイ ・ポーション だ。
ながれこんで||りょくちゃ||れもん|じゅーす||まぜた||あじ||えきたい||かいふく|よう||はい||
The liquid that flows in, which tastes like green tea mixed with lemon juice, is a high potion for recovery.
これ で あと 五 分 も すれば 数値 的に は フル 回復 する だろう が 、全身 の 倦怠 感 は 当分 消え ない だろう。
|||いつ|ぶん|||すうち|てきに||ふる|かいふく||||ぜんしん||けんたい|かん||とうぶん|きえ||
In another five minutes, I will be fully recovered numerically, but the general malaise will not disappear for a while.
アスナ は 俺 が 瓶 の 中身 を 飲み干した の を 確認 する と 、くしゃっと 顔 を 歪め 、その 表情 を 隠す よう に 俺 の 肩 に 額 を 当てた。
||おれ||びん||なかみ||のみほした|||かくにん|||くし ゃっと|かお||ゆがめ||ひょうじょう||かくす|||おれ||かた||がく||あてた
As soon as Asuna confirmed that I had finished the bottle, she twisted her face and put her forehead on my shoulder to hide her expression.
足音 に 顔 を 上げる と 、クライン が 遠慮がちに 声 を 掛けて きた。
あしおと||かお||あげる||||えんりょがちに|こえ||かけて|
「生き残った 軍 の 連中 の 回復 は 済ませた が 、コーバッツ と あと 二 人 死んだ……」
いきのこった|ぐん||れんちゅう||かいふく||すませた|||||ふた|じん|しんだ
「……そう か。
ボス 攻略 で 犠牲者 が 出た の は 、六十七 層 以来 だ な……」
ぼす|こうりゃく||ぎせい しゃ||でた|||ろくじゅうしち|そう|いらい||
「こんな の が 攻略って 言える か よ。
|||こうりゃくって|いえる||
I don't know how you can call this a strategy.
コーバッツ の 馬鹿 野郎 が……。
||ばか|やろう|
死 ん じまっちゃ 何にも な ん ねえ だろう が……」
し||じ まっちゃ|なんにも|||||
If you're dead, you're nothing, right? ......
吐き出す ような クライン の 台詞。
はきだす||||せりふ
頭 を 左右 に 振る と 太い ため息 を つき 、気分 を 切り替える よう に 訊 いて きた。
あたま||さゆう||ふる||ふとい|ためいき|||きぶん||きりかえる|||じん||
He shook his head from side to side, sighed heavily, and asked if he could change his mind.
「そりゃ あ そう と 、オメエ 何 だ よ さっき の は!?」
|||||なん|||||
"That's right, what the hell did you just say?
「……言わ なきゃ ダメ か?
いわ||だめ|
」
「ったりめえ だ!
ったり め え|
見た こと ねえ ぞ あんな の!
みた|||||
」
気付く と 、アスナ を 除いた 、部屋 に いる 全員 が 沈黙 して 俺 の 言葉 を 待って いる。
きづく||||のぞいた|へや|||ぜんいん||ちんもく||おれ||ことば||まって|
I noticed that everyone in the room, except Asuna, was silent, waiting for me to speak.
「……エクストラスキル だ よ。
《二 刀 流》」
ふた|かたな|りゅう
おお ……と いう どよめき が 、軍 の 生き残り や クライン の 仲間 の あいだ に 流れた。
|||||ぐん||いきのこり||||なかま||||ながれた
Oh, ......" was the groan that went up among the survivors of the army and Klein's friends.
通常 、様々な 武器 スキル は 系統 だった 修行 に よって 段階 的に 習得 する こと が できる。
つうじょう|さまざまな|ぶき|||けいとう||しゅぎょう|||だんかい|てきに|しゅうとく||||
例えば 剣 なら 、基本 の 片手 直 剣 スキル が ある 程度 まで 成長 して 条件 を 満たす と 、新たな 選択 可能 スキル と して 《細 剣 》や 《両手 剣 》など が リスト に 出現 する。
たとえば|けん||きほん||かたて|なお|けん||||ていど||せいちょう||じょうけん||みたす||あらたな|せんたく|かのう||||ほそ|けん||りょうて|けん|||りすと||しゅつげん|