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ソードアート・オンライン1 アインクラッド (Sword Art Online 1: Aincrad), ソードアート ・オンライン 1 アインクラッド (18)

ソードアート ・オンライン 1 アインクラッド (18)

俺 は 手早く 事態 を 伝える。 クライン の 顔 が 歪む。

「な ……何とか でき ない の か よ……」

俺 たち が 斬り込んで 連中 の 退路 を 拓 く こと は できる かも しれ ない。 だが 、緊急 脱出 不可能な この 空間 で 、こちら に 死者 が 出る 可能 性 は 捨て きれない。 あまりに も 人数 が 少な すぎる。 俺 が 逡巡 して いる うち 、悪魔 の 向こう で どうにか 部隊 を 立て直した らしい コーバッツ の 声 が 響いた。

「全員 ……突撃……!

十 人 の うち 、二 人 は HP バー を 限界 まで 減らして 床 に 倒れて いる。 残る 八 人 を 四 人 ずつ の 横 列 に 並べ 、その 中央 に 立った コーバッツ が 剣 を かざして 突進 を 始めた。

「やめろ ……っ!!」

だが 俺 の 叫び は 届か ない。

余りに 無謀な 攻撃 だった。 八 人 で 一斉に 飛び掛って も 、満足に 剣 技 を 繰り出す こと が でき ず 混乱 する だけ だ。 それ より も 防御 主体 の 態勢 で 、一 人 が 少しずつ ダメージ を 与え 、次々 に スイッチ して いく べきな のに。

悪魔 は 仁王立ち に なる と 、地響き を 伴う 雄 叫び と 共に 、口 から 眩 い 噴気 を 撒き散らした。 どうやら あの 息 に も ダメージ 判定 が ある らしく 、青白い 輝き に 包まれた 八 人 の 突撃 の 勢い が 緩む。 そこ に 、すかさず 悪魔 の 巨剣 が 突き立てられた。 一人 が すくい上げられる よう に 斬り 飛ばさ れ 、悪魔 の 頭上 を 越えて 俺 たち の 眼前 の 床 に 激しく 落下 した。

コーバッツ だった。

HP バー が 消滅 して いた。 自分 の 身 に 起きた こと が 理解 でき ない と いう 表情 の なか で 、口 が ゆっくり と 動いた。

──有り 得 ない。

無音 で そう 言った 直後 、コーバッツ の 体 は 、神経 を 逆撫で する ような 効果音 と 共に 無数の 断片 と なって 飛散 した。 余りに も あっけない 消滅 に 、俺 の 傍ら で アスナ が 短い 悲鳴 を 上げる。

リーダー を 失った 軍 の パーティー は たちまち 瓦解 した。 喚き声 を 上げ ながら 逃げ惑う。 すでに 全員 の HP が 半分 を 割り込んで いる。

「だめ ……だめ よ ……もう……」

絞り出す ような アスナ の 声 に 、俺 は ハッと して 横 を 見た。 咄嗟に 腕 を 摑 もう と する。

だが 一瞬 遅かった。

「だめ ────ッ!!」

絶叫 と 共に 、アスナ は 疾風 の 如く 駆け出した。 空中 で 抜いた 細 剣 と 共に 、一筋 の 閃光 と なって グリームアイズ に 突っ込んで いく。

「アスナッ!

俺 は 叫び 、やむなく 抜剣 し ながら その後 を 追った。

「どう と でも なり やがれ!!」

クライン たち が ときの声 を 上げ つつ 追随 して くる。

アスナ の 捨て身 の 一撃 は 、不意を突く 形 で 悪魔 の 背 に 命中 した。 だが HP は ろくに 減って いない。

グリームアイズ は 怒り の 叫び と 共に 向き直る と 、猛烈な スピード で 斬馬刀 を 振り下ろした。 アスナ は 咄嗟に ステップ で かわした が 、完全に は 避け きれ ず 余波 を 受けて 地面 に 倒れこんだ。 そこ に 、連 撃 の 次 弾 が 容赦 なく 降り注ぐ。

「アスナ ───ッ!!」

俺 は 身 も 凍る 恐怖 を 味わい ながら 、必死に アスナ と 斬 馬 刀 の 間 に 身 を 躍ら せた。 ぎりぎりの タイミング で 、俺 の 剣 が 悪魔 の 攻撃 軌道 を わずかに 逸ら す。 途方もない 衝撃。

擦れ合う 刀身 から 火花 を 散らして 振り下ろされた 巨剣 が 、アスナ から ほんの 少し 離れた 床 に 激突 し 、爆発音 と ともに 深い 孔を穿った。

「下がれ!!」

叫ぶ と 、俺 は 悪魔 の 追撃 に 備えた。 その どれ も が 致死 と さえ 思える 圧倒 的な 威力 で 、剣 が 次々 と 襲い掛かって くる。 とても 反撃 を 差し挟む 隙 など ない。

グリームアイズ の 使う 技 は 基本 的に 両手 用 大 剣 技 だ が 、微妙な カスタマイズ の せい で 先 読み が ままならない。 俺 は 全 神経 を 集中 した パリィ と ステップ で 防御 に 徹する が 、一撃 の 威力 が 凄まじく 、時々 体 を かすめる 刃 に よって HP が じりじり と 削り取られて いく。

視界 の 端で は 、クライン の 仲間 たち が 倒れた 軍 の プレイヤー を 部屋 の 外 に 引き出そう と して いる の が 見える。 だが 中央 で 俺 と 悪魔 が 戦って いる ため 、その 動き は 遅々と して 進ま ない。

「ぐっ!!」

とうとう 敵 の 一撃 が 俺 の 体 を 捉えた。 痺れる ような 衝撃。 バー が ぐいっと 減少 する。

元々 、俺 の 装備 と スキル 構成 は 壁 仕様 で は ない のだ。 このまま で は とても 支え きれ ない。 死 の 恐怖 が 、凍る ような 冷た さ と なって 俺 の 全身 を 駆け巡る。 最早 離脱 する 余裕 すら ない。

残された 選択肢 は 一 つ だけ だ。 攻撃 特化 仕様 たる 俺 の 全て を 以 て 立ち向かう しか ない。

「アスナ! クライン! 十 秒 持ちこたえて くれ!

俺 は 叫ぶ と 、右手 の 剣 を 強振 して 悪魔 の 攻撃 を 弾き 、無理やり ブレイク ポイント を 作って 床 に 転がった。 間髪入れず 飛び込んで きた クライン が カタナ で 応戦 する。

だが 奴 の カタナ も 、アスナ の 細 剣 も 速度 重視 の 武器 で 重 さ に 欠ける。 とても 悪魔 の 巨剣 は 捌き きれ ない だろう。 俺 は 床 に 転がった まま 左手 を 振り 、メニューウインドウ を 呼び出す。

ここ から の 操作 に は ワン ミス も 許さ れ ない。 早鐘 の ような 鼓動 を 抑えつけ 、俺 は 右手 の 指 を 動かす。 所持 アイテム の リスト を スクロール し 、一 つ を 選び出して オブジェクト 化 する。 装備 フィギュア の 、空白に なって いる 部分 に その アイテム を 設定。 スキルウインドウ を 開き 、選択 して いる 武器 スキル を 変更。

全て の 操作 を 終了 し 、OK ボタン に タッチ して ウインドウ を 消す と 、背 に 新たな 重み が 加わった の を 確認 し ながら 俺 は 顔 を 上げて 叫んだ。

「いい ぞ!!」

クライン は 一撃 食らった と 見えて 、HP バー を 減らして 退いて いる。 本来 なら すぐに 結晶 で 回復 する ところ だ が 、この 部屋 で は それ が でき ない。 現在 悪魔 と 対峙 して いる アスナ も 、数 秒 の うち に HP が 五 割 を 下回って イエロー 表示 に なって しまって いる。

俺 の 声 に 、背 を 向けた まま 頷く と 、アスナ は 裂ぱく の 気合 と ともに 突き 技 を 放った。

「イヤァァァァ!!」

純白の 残光 を 引いた その 一撃 は 、空中 で グリームアイズ の 剣 と 衝突 して 火花 を 散らした。 大音響 と ともに 両者 が ノックバック し 、間合い が できる。

「スイッチ!!」

その タイミング を 逃さ ず 叫ぶ と 、俺 は 敵 の 正面 に 飛び込んだ。 硬直 から 回復 した 悪魔 が 、大きく 剣 を 振りかぶる。

炎 の 軌跡 を 引き ながら 打ち 下ろされて きた その 剣 を 、俺 は 右手 の 愛 剣 で 弾き 返す と 、間 髪 入れ ず 左手 を 背 に 回して 新たな 剣 の 柄 を 握った。 抜き ざま の 一撃 を 悪魔 の 胴 に 見舞う。 初めて の クリーンヒット で 、ようやく 奴 の HP バー が 目に見えて 減少 する。

「グォォォォォ!!」

憤怒 の 叫び を 洩らし ながら 、悪魔 は 再び 上段 の 斬り 下ろし 攻撃 を 放って きた。 今度 は 、両手 の 剣 を 交差 して それ を しっかり と 受け止め 、押し 返す。 奴 の 体勢 が 崩れた ところ に 、俺 は 防戦 一方 だった いま まで の 借り を 返す べく ラッシュ を 開始 した。

右 の 剣 で 中段 を 斬り 払う。 間 を 空け ず に 左 の 剣 を 突き 入れる。 右 、左 、また 右。 脳 の 回路 が 灼 き 切れ ん ばかりの 速度 で 俺 は 剣 を 振るい 続ける。 甲高い 効果 音 が 立て続け に 唸り 、星屑 の よう に 飛び散る 白光 が 空間 を 灼 く。

これ が 俺 の 隠し 技 、エクストラ スキル 《二刀流 》だ。 その 上位 剣 技 《スターバースト ・ストリーム》。 連続 十六 回 攻撃。

「う お おお おお ああ あ!!」

途中 の 攻撃 が いくつか 悪魔 の 剣 に 阻ま れる の も 構わ ず 、俺 は 絶叫 し ながら 左右 の 剣 を 次々 敵 の 体 に 叩き込み 続けた。 視界 が 灼熱 し 、最 早 敵 の 姿 以外 何も 見え ない。 悪魔 の 剣 が 時々 俺 の 体 を 捉える 衝撃 すら 、どこ か 遠い 世界 の 出来事 の よう に 感じる。 全身 を アドレナリン が 駆け巡り 、剣 撃 を 敵 に 見舞う たび 脳神経 が スパーク する。

速く 、もっと 速く。 限界 まで アクセラレート された 俺 の 神経 に は 、普段 の 倍速 で 二 刀 を 振るう その リズム すら 物足りない。 システム の アシスト を も 上回ろう か と いう 速度 で 攻撃 を 放ち 続ける。

「…………ぁぁ ぁ ああ ああ ああ!!」

雄 叫び ともに 放った 最後 の 十六 撃 目 が 、グリームアイズ の 胸 の 中央 を 貫いた。

「ゴァァァアアアアアアアア!!」

気付く と 、絶叫 して いる の は 俺 だけ で は なかった。 天 を 振り仰いだ 巨大な 悪魔 が 、口 と 鼻 から 盛大に 噴気 を 洩らし つつ 咆哮 して いる。

その 全身 が 硬直 した ──と 思った 瞬間。

グリームアイズ は 、膨大な 青い 欠 片 と なって 爆散 した。 部屋 中 に キラキラ と 輝く 光 の 粒 が 降り注ぐ。

終わった ……の か……?

俺 は 戦闘 の 余熱 に よる 眩暈 を 感じ ながら 、無意識 の うち に 両 の 剣 を 切り払い 、背 に 交差 して 吊った 鞘 に 同時に 収めた。 ふと 自分 の HP バー を 確認 する。 赤い ライン が 、数 ドット の 幅 で 残って いた。 他人事 の よう に それ を 眺め ながら 、俺 は 全身 の 力 が 抜ける の を 感じて 、声 も なく 床 に 転がった。

意識 が 暗転 した。

12

「……くん! キリト 君 ってば!!」

悲鳴 に も 似た アスナ の 叫び に 、俺 の 意識 は 無理やり 呼び戻された。 頭 を 貫く 痛み に 顔 を しかめ ながら 上体 を 起こす。

「いて て て……」

見渡す と 、そこ は 先ほど の ボス 部屋 だった。 まだ 空中 を 青い 光 の 残滓 が 舞って いる。 意識 を 失って いた の は 数秒 の こと らしい。

目の前 に 、ぺたり と しゃがみこんだ アスナ の 顔 が あった。 泣き出す 寸前 の よう に 眉根を寄せ 、唇 を 嚙 み 締めて いる。

「バカッ……! 無茶 して……!

叫ぶ と 同時に すごい 勢い で 首 に しがみついて きた ので 、俺 は 驚愕 の あまり 頭痛 も 忘れて 眼 を 白黒 さ せた。

「……あんまり 締め付ける と 、俺 の HP が なくなる ぞ」

どうにか 冗談めかして そう 言う と 、アスナ は 真剣に 怒った 顔 を した。 直後 、口 に 小さな 瓶 を 突っ込まれて しまう。 流れ込んで くる 、緑茶 に レモン ジュース を 混ぜた ような 味 の 液体 は 回復 用 の ハイ ・ポーション だ。 これ で あと 五 分 も すれば 数値 的に は フル 回復 する だろう が 、全身 の 倦怠 感 は 当分 消え ない だろう。

アスナ は 俺 が 瓶 の 中身 を 飲み干した の を 確認 する と 、くしゃっと 顔 を 歪め 、その 表情 を 隠す よう に 俺 の 肩 に 額 を 当てた。

足音 に 顔 を 上げる と 、クライン が 遠慮がちに 声 を 掛けて きた。

「生き残った 軍 の 連中 の 回復 は 済ませた が 、コーバッツ と あと 二 人 死んだ……」

「……そう か。 ボス 攻略 で 犠牲者 が 出た の は 、六十七 層 以来 だ な……」

「こんな の が 攻略って 言える か よ。 コーバッツ の 馬鹿 野郎 が……。 死 ん じまっちゃ 何にも な ん ねえ だろう が……」

吐き出す ような クライン の 台詞。 頭 を 左右 に 振る と 太い ため息 を つき 、気分 を 切り替える よう に 訊 いて きた。

「そりゃ あ そう と 、オメエ 何 だ よ さっき の は!?」

「……言わ なきゃ ダメ か?

「ったりめえ だ! 見た こと ねえ ぞ あんな の!

気付く と 、アスナ を 除いた 、部屋 に いる 全員 が 沈黙 して 俺 の 言葉 を 待って いる。

「……エクストラスキル だ よ。 《二 刀 流》」

おお ……と いう どよめき が 、軍 の 生き残り や クライン の 仲間 の あいだ に 流れた。

通常 、様々な 武器 スキル は 系統 だった 修行 に よって 段階 的に 習得 する こと が できる。 例えば 剣 なら 、基本 の 片手 直 剣 スキル が ある 程度 まで 成長 して 条件 を 満たす と 、新たな 選択 可能 スキル と して 《細 剣 》や 《両手 剣 》など が リスト に 出現 する。


ソードアート ・オンライン 1 アインクラッド (18) |おんらいん| Sword Art Online 1 Aincrad (18) Sword Art Online 1 Aincrad (18) 刀剑神域 1 艾恩葛朗特 (18)

俺 は 手早く 事態 を 伝える。 おれ||てばやく|じたい||つたえる クライン の 顔 が 歪む。 ||かお||ゆがむ

「な ……何とか でき ない の か よ……」 |なんとか||||| "Hey ......, can't you do something about it? ......"

俺 たち が 斬り込んで 連中 の 退路 を 拓 く こと は できる かも しれ ない。 おれ|||きり こんで|れんちゅう||たいろ||たく||||||| だが 、緊急 脱出 不可能な この 空間 で 、こちら に 死者 が 出る 可能 性 は 捨て きれない。 |きんきゅう|だっしゅつ|ふかのうな||くうかん||||ししゃ||でる|かのう|せい||すて|きれ ない However, in a space where emergency evacuation is impossible, we cannot rule out the possibility of casualties. あまりに も 人数 が 少な すぎる。 ||にんずう||すくな| 俺 が 逡巡 して いる うち 、悪魔 の 向こう で どうにか 部隊 を 立て直した らしい コーバッツ の 声 が 響いた。 おれ||しゅんじゅん||||あくま||むこう|||ぶたい||たてなおした||||こえ||ひびいた

「全員 ……突撃……! ぜんいん|とつげき

十 人 の うち 、二 人 は HP バー を 限界 まで 減らして 床 に 倒れて いる。 じゅう|じん|||ふた|じん||hp|ばー||げんかい||へらして|とこ||たおれて| 残る 八 人 を 四 人 ずつ の 横 列 に 並べ 、その 中央 に 立った コーバッツ が 剣 を かざして 突進 を 始めた。 のこる|やっ|じん||よっ|じん|||よこ|れつ||ならべ||ちゅうおう||たった|||けん|||とっしん||はじめた

「やめろ ……っ!!」

だが 俺 の 叫び は 届か ない。 |おれ||さけび||とどか|

余りに 無謀な 攻撃 だった。 あまりに|むぼうな|こうげき| 八 人 で 一斉に 飛び掛って も 、満足に 剣 技 を 繰り出す こと が でき ず 混乱 する だけ だ。 やっ|じん||いっせいに|とびかかって||まんぞくに|けん|わざ||くりだす|||||こんらん||| それ より も 防御 主体 の 態勢 で 、一 人 が 少しずつ ダメージ を 与え 、次々 に スイッチ して いく べきな のに。 |||ぼうぎょ|しゅたい||たいせい||ひと|じん||すこしずつ|だめーじ||あたえ|つぎつぎ||すいっち|||| Instead, they should be in a defensive posture, one by one inflicting damage and switching one after the other.

悪魔 は 仁王立ち に なる と 、地響き を 伴う 雄 叫び と 共に 、口 から 眩 い 噴気 を 撒き散らした。 あくま||におうだち||||じひびき||ともなう|おす|さけび||ともに|くち||くら||ふ き||まきちらした The demon stood on its throne, and with an earth-shattering yell, it shot out a blinding jet of air from its mouth. どうやら あの 息 に も ダメージ 判定 が ある らしく 、青白い 輝き に 包まれた 八 人 の 突撃 の 勢い が 緩む。 ||いき|||だめーじ|はんてい||||あおじろい|かがやき||つつまれた|やっ|じん||とつげき||いきおい||ゆるむ Apparently, their breath also has a damage threshold, and the momentum of the eight men's charge, enveloped in a bluish-white glow, slackens. そこ に 、すかさず 悪魔 の 巨剣 が 突き立てられた。 |||あくま||きょつるぎ||つき たてられた The devil's huge sword was immediately thrust at him. 一人 が すくい上げられる よう に 斬り 飛ばさ れ 、悪魔 の 頭上 を 越えて 俺 たち の 眼前 の 床 に 激しく 落下 した。 ひとり||すくいあげられる|||きり|とばさ||あくま||ずじょう||こえて|おれ|||がんぜん||とこ||はげしく|らっか| One of them was scooped up by the demon and fell over his head and onto the floor in front of us.

コーバッツ だった。

HP バー が 消滅 して いた。 hp|ばー||しょうめつ|| 自分 の 身 に 起きた こと が 理解 でき ない と いう 表情 の なか で 、口 が ゆっくり と 動いた。 じぶん||み||おきた|||りかい|||||ひょうじょう||||くち||||うごいた

──有り 得 ない。 あり|とく|

無音 で そう 言った 直後 、コーバッツ の 体 は 、神経 を 逆撫で する ような 効果音 と 共に 無数の 断片 と なって 飛散 した。 む おと|||いった|ちょくご|||からだ||しんけい||さかなで|||こうか おと||ともに|むすうの|だんぺん|||ひさん| 余りに も あっけない 消滅 に 、俺 の 傍ら で アスナ が 短い 悲鳴 を 上げる。 あまりに|||しょうめつ||おれ||かたわら||||みじかい|ひめい||あげる

リーダー を 失った 軍 の パーティー は たちまち 瓦解 した。 りーだー||うしなった|ぐん||ぱーてぃー|||かわら かい| 喚き声 を 上げ ながら 逃げ惑う。 かん き こえ||あげ||にげまどう すでに 全員 の HP が 半分 を 割り込んで いる。 |ぜんいん||hp||はんぶん||わりこんで|

「だめ ……だめ よ ……もう……」

絞り出す ような アスナ の 声 に 、俺 は ハッと して 横 を 見た。 しぼりだす||||こえ||おれ||はっと||よこ||みた 咄嗟に 腕 を 摑 もう と する。 とっさに|うで||||| He quickly tries to grab his arm.

だが 一瞬 遅かった。 |いっしゅん|おそかった

「だめ ────ッ!!」

絶叫 と 共に 、アスナ は 疾風 の 如く 駆け出した。 ぜっきょう||ともに|||しっぷう||ごとく|かけだした 空中 で 抜いた 細 剣 と 共に 、一筋 の 閃光 と なって グリームアイズ に 突っ込んで いく。 くうちゅう||ぬいた|ほそ|けん||ともに|ひとすじ||せんこう|||||つっこんで| With the thin sword drawn in mid-air, it becomes a flash of light as it plunges into GREAM EYES.

「アスナッ!

俺 は 叫び 、やむなく 抜剣 し ながら その後 を 追った。 おれ||さけび||ぬき けん|||そのご||おった

「どう と でも なり やがれ!!」 ||||や がれ Be what you want to be!

クライン たち が ときの声 を 上げ つつ 追随 して くる。 |||とき の こえ||あげ||ついずい||

アスナ の 捨て身 の 一撃 は 、不意を突く 形 で 悪魔 の 背 に 命中 した。 ||すてみ||いちげき||ふい を つく|かた||あくま||せ||めいちゅう| だが HP は ろくに 減って いない。 |hp|||へって|

グリームアイズ は 怒り の 叫び と 共に 向き直る と 、猛烈な スピード で 斬馬刀 を 振り下ろした。 ||いかり||さけび||ともに|むきなおる||もうれつな|すぴーど||き うま かたな||ふりおろした アスナ は 咄嗟に ステップ で かわした が 、完全に は 避け きれ ず 余波 を 受けて 地面 に 倒れこんだ。 ||とっさに|すてっぷ||||かんぜんに||さけ|||よは||うけて|じめん||たおれこんだ そこ に 、連 撃 の 次 弾 が 容赦 なく 降り注ぐ。 ||れん|う||つぎ|たま||ようしゃ||ふりそそぐ Then, the next volley of shots poured in relentlessly.

「アスナ ───ッ!!」

俺 は 身 も 凍る 恐怖 を 味わい ながら 、必死に アスナ と 斬 馬 刀 の 間 に 身 を 躍ら せた。 おれ||み||こおる|きょうふ||あじわい||ひっしに|||き|うま|かたな||あいだ||み||おどら| ぎりぎりの タイミング で 、俺 の 剣 が 悪魔 の 攻撃 軌道 を わずかに 逸ら す。 |たいみんぐ||おれ||けん||あくま||こうげき|きどう|||はやら| 途方もない 衝撃。 とほう も ない|しょうげき An unbelievable shock.

擦れ合う 刀身 から 火花 を 散らして 振り下ろされた 巨剣 が 、アスナ から ほんの 少し 離れた 床 に 激突 し 、爆発音 と ともに 深い 孔を穿った。 すれ あう|かたな み||ひばな||ちらして|ふりおろされた|きょつるぎ|||||すこし|はなれた|とこ||げきとつ||ばくはつ おと|||ふかい|あな を うがった

「下がれ!!」 さがれ

叫ぶ と 、俺 は 悪魔 の 追撃 に 備えた。 さけぶ||おれ||あくま||ついげき||そなえた その どれ も が 致死 と さえ 思える 圧倒 的な 威力 で 、剣 が 次々 と 襲い掛かって くる。 ||||ちし|||おもえる|あっとう|てきな|いりょく||けん||つぎつぎ||おそいかかって| The swords come at you one after another with such overwhelming power that each one is even considered lethal. とても 反撃 を 差し挟む 隙 など ない。 |はんげき||さしはさむ|すき|| There is no room for a counterattack.

グリームアイズ の 使う 技 は 基本 的に 両手 用 大 剣 技 だ が 、微妙な カスタマイズ の せい で 先 読み が ままならない。 ||つかう|わざ||きほん|てきに|りょうて|よう|だい|けん|わざ|||びみょうな|||||さき|よみ|| 俺 は 全 神経 を 集中 した パリィ と ステップ で 防御 に 徹する が 、一撃 の 威力 が 凄まじく 、時々 体 を かすめる 刃 に よって HP が じりじり と 削り取られて いく。 おれ||ぜん|しんけい||しゅうちゅう||||すてっぷ||ぼうぎょ||てっする||いちげき||いりょく||すごま じく|ときどき|からだ|||は|||hp||||へずりとられて|

視界 の 端で は 、クライン の 仲間 たち が 倒れた 軍 の プレイヤー を 部屋 の 外 に 引き出そう と して いる の が 見える。 しかい||はしたで||||なかま|||たおれた|ぐん||ぷれいやー||へや||がい||ひきだそう||||||みえる だが 中央 で 俺 と 悪魔 が 戦って いる ため 、その 動き は 遅々と して 進ま ない。 |ちゅうおう||おれ||あくま||たたかって||||うごき||ちちと||すすま|

「ぐっ!!」

とうとう 敵 の 一撃 が 俺 の 体 を 捉えた。 |てき||いちげき||おれ||からだ||とらえた 痺れる ような 衝撃。 しびれる||しょうげき バー が ぐいっと 減少 する。 ばー||ぐ いっと|げんしょう| The bar decreases dramatically.

元々 、俺 の 装備 と スキル 構成 は 壁 仕様 で は ない のだ。 もともと|おれ||そうび|||こうせい||かべ|しよう|||| My equipment and skill set were not originally designed for the wall. このまま で は とても 支え きれ ない。 ||||ささえ|| I can't support them very well as it is. 死 の 恐怖 が 、凍る ような 冷た さ と なって 俺 の 全身 を 駆け巡る。 し||きょうふ||こおる||つめた||||おれ||ぜんしん||かけめぐる 最早 離脱 する 余裕 すら ない。 さい はやさ|りだつ||よゆう||

残された 選択肢 は 一 つ だけ だ。 のこされた|せんたくし||ひと||| 攻撃 特化 仕様 たる 俺 の 全て を 以 て 立ち向かう しか ない。 こうげき|とっか|しよう||おれ||すべて||い||たちむかう|| As a specialized offensive player, I have no choice but to face them with everything I have.

「アスナ! クライン! 十 秒 持ちこたえて くれ! じゅう|びょう|もちこたえて|

俺 は 叫ぶ と 、右手 の 剣 を 強振 して 悪魔 の 攻撃 を 弾き 、無理やり ブレイク ポイント を 作って 床 に 転がった。 おれ||さけぶ||みぎて||けん||つよ ぶり||あくま||こうげき||はじき|むりやり|ぶれいく|ぽいんと||つくって|とこ||ころがった I shouted and swung my right sword hard to repel the demon's attack, forcing it to make a break point and roll on the floor. 間髪入れず 飛び込んで きた クライン が カタナ で 応戦 する。 はざま かみ いれ ず|とびこんで||||||おうせん|

だが 奴 の カタナ も 、アスナ の 細 剣 も 速度 重視 の 武器 で 重 さ に 欠ける。 |やつ||||||ほそ|けん||そくど|じゅうし||ぶき||おも|||かける However, both his katana and Asuna's sword are speed-oriented weapons and lack weight. とても 悪魔 の 巨剣 は 捌き きれ ない だろう。 |あくま||きょつるぎ||はち き||| 俺 は 床 に 転がった まま 左手 を 振り 、メニューウインドウ を 呼び出す。 おれ||とこ||ころがった||ひだりて||ふり|||よびだす

ここ から の 操作 に は ワン ミス も 許さ れ ない。 |||そうさ|||わん|みす||ゆるさ|| 早鐘 の ような 鼓動 を 抑えつけ 、俺 は 右手 の 指 を 動かす。 はやがね|||こどう||おさえつけ|おれ||みぎて||ゆび||うごかす 所持 アイテム の リスト を スクロール し 、一 つ を 選び出して オブジェクト 化 する。 しょじ|あいてむ||りすと||||ひと|||えらび だして||か| 装備 フィギュア の 、空白に なって いる 部分 に その アイテム を 設定。 そうび|ふぃぎゅあ||くうはくに|||ぶぶん|||あいてむ||せってい Set the item in the blank space of the equipped figure. スキルウインドウ を 開き 、選択 して いる 武器 スキル を 変更。 ||あき|せんたく|||ぶき|||へんこう Open the Skills window and change the selected weapon skill.

全て の 操作 を 終了 し 、OK ボタン に タッチ して ウインドウ を 消す と 、背 に 新たな 重み が 加わった の を 確認 し ながら 俺 は 顔 を 上げて 叫んだ。 すべて||そうさ||しゅうりょう||ok|ぼたん||たっち||||けす||せ||あらたな|おもみ||くわわった|||かくにん|||おれ||かお||あげて|さけんだ

「いい ぞ!!」

クライン は 一撃 食らった と 見えて 、HP バー を 減らして 退いて いる。 ||いちげき|くらった||みえて|hp|ばー||へらして|しりぞいて| 本来 なら すぐに 結晶 で 回復 する ところ だ が 、この 部屋 で は それ が でき ない。 ほんらい|||けっしょう||かいふく||||||へや|||||| Normally, I would have used crystals to recover immediately, but that is not possible in this room. 現在 悪魔 と 対峙 して いる アスナ も 、数 秒 の うち に HP が 五 割 を 下回って イエロー 表示 に なって しまって いる。 げんざい|あくま||たいじ|||||すう|びょう||||hp||いつ|わり||したまわって|いえろー|ひょうじ|||| Asuna, who is currently confronting the demon, has dropped below 50% of her HP within seconds and is now in yellow.

俺 の 声 に 、背 を 向けた まま 頷く と 、アスナ は 裂ぱく の 気合 と ともに 突き 技 を 放った。 おれ||こえ||せ||むけた||うなずく||||さ ぱく||きあい|||つき|わざ||はなった Asuna nodded as she turned her back to my voice and unleashed a thrusting technique with the spirit of 裂ぱぱ.

「イヤァァァァ!!」

純白の 残光 を 引いた その 一撃 は 、空中 で グリームアイズ の 剣 と 衝突 して 火花 を 散らした。 じゅんぱくの|ざん ひかり||ひいた||いちげき||くうちゅう||||けん||しょうとつ||ひばな||ちらした The blow, which drew a pure white afterglow, collided with Gleem Eyes' sword in midair, sending sparks flying. 大音響 と ともに 両者 が ノックバック し 、間合い が できる。 だい おんきょう|||りょうしゃ||||まあい||

「スイッチ!!」 すいっち

その タイミング を 逃さ ず 叫ぶ と 、俺 は 敵 の 正面 に 飛び込んだ。 |たいみんぐ||のがさ||さけぶ||おれ||てき||しょうめん||とびこんだ 硬直 から 回復 した 悪魔 が 、大きく 剣 を 振りかぶる。 こうちょく||かいふく||あくま||おおきく|けん||ふりかぶる

炎 の 軌跡 を 引き ながら 打ち 下ろされて きた その 剣 を 、俺 は 右手 の 愛 剣 で 弾き 返す と 、間 髪 入れ ず 左手 を 背 に 回して 新たな 剣 の 柄 を 握った。 えん||きせき||ひき||うち|おろされて|||けん||おれ||みぎて||あい|けん||はじき|かえす||あいだ|かみ|いれ||ひだりて||せ||まわして|あらたな|けん||え||にぎった The sword came down in a trail of flames, and I repelled it with the love sword in my right hand, and without a moment's pause, I turned my left hand to my back and gripped the hilt of a new sword. 抜き ざま の 一撃 を 悪魔 の 胴 に 見舞う。 ぬき|||いちげき||あくま||どう||みまう The demon's torso is struck with a blow as it is about to be pulled out. 初めて の クリーンヒット で 、ようやく 奴 の HP バー が 目に見えて 減少 する。 はじめて|||||やつ||hp|ばー||めにみえて|げんしょう|

「グォォォォォ!!」

憤怒 の 叫び を 洩らし ながら 、悪魔 は 再び 上段 の 斬り 下ろし 攻撃 を 放って きた。 ふんぬ||さけび||もらし||あくま||ふたたび|じょうだん||きり|おろし|こうげき||はなって| 今度 は 、両手 の 剣 を 交差 して それ を しっかり と 受け止め 、押し 返す。 こんど||りょうて||けん||こうさ||||||うけとめ|おし|かえす This time, cross both swords, catch it firmly, and push it back. 奴 の 体勢 が 崩れた ところ に 、俺 は 防戦 一方 だった いま まで の 借り を 返す べく ラッシュ を 開始 した。 やつ||たいせい||くずれた|||おれ||ぼうせん|いっぽう|||||かり||かえす||らっしゅ||かいし| As soon as he was out of position, I launched a rush to return the favor for his defensive stance.

右 の 剣 で 中段 を 斬り 払う。 みぎ||けん||ちゅうだん||きり|はらう Slash away at the middle with the right sword. 間 を 空け ず に 左 の 剣 を 突き 入れる。 あいだ||あけ|||ひだり||けん||つき|いれる 右 、左 、また 右。 みぎ|ひだり||みぎ 脳 の 回路 が 灼 き 切れ ん ばかりの 速度 で 俺 は 剣 を 振るい 続ける。 のう||かいろ||しゃく||きれ|||そくど||おれ||けん||ふるい|つづける I continue to wield my sword at a speed that burns through the circuits of my brain. 甲高い 効果 音 が 立て続け に 唸り 、星屑 の よう に 飛び散る 白光 が 空間 を 灼 く。 かんだかい|こうか|おと||たてつづけ||うなり|ほしくず||||とびちる|しろ ひかり||くうかん||しゃく| High-pitched sound effects roar continuously, and white light scatters like stardust, scorching the space.

これ が 俺 の 隠し 技 、エクストラ スキル 《二刀流 》だ。 ||おれ||かくし|わざ|||ふた かたな りゅう| その 上位 剣 技 《スターバースト ・ストリーム》。 |じょうい|けん|わざ|| The upper sword technique "Starburst Stream". 連続 十六 回 攻撃。 れんぞく|じゅうろく|かい|こうげき

「う お おお おお ああ あ!!」

途中 の 攻撃 が いくつか 悪魔 の 剣 に 阻ま れる の も 構わ ず 、俺 は 絶叫 し ながら 左右 の 剣 を 次々 敵 の 体 に 叩き込み 続けた。 とちゅう||こうげき|||あくま||けん||はばま||||かまわ||おれ||ぜっきょう|||さゆう||けん||つぎつぎ|てき||からだ||はたきこみ|つづけた I continued to scream and slam left and right swords into the enemy's body one after another, even though several of my attacks were blocked by the devil's swords. 視界 が 灼熱 し 、最 早 敵 の 姿 以外 何も 見え ない。 しかい||しゃくねつ||さい|はや|てき||すがた|いがい|なにも|みえ| 悪魔 の 剣 が 時々 俺 の 体 を 捉える 衝撃 すら 、どこ か 遠い 世界 の 出来事 の よう に 感じる。 あくま||けん||ときどき|おれ||からだ||とらえる|しょうげき||||とおい|せかい||できごと||||かんじる Sometimes the shock of the demon's sword catching me feels like something from a distant world. 全身 を アドレナリン が 駆け巡り 、剣 撃 を 敵 に 見舞う たび 脳神経 が スパーク する。 ぜんしん||||かけめぐり|けん|う||てき||みまう||のう しんけい||| Adrenaline rushes through his body, and every time he fires a sword at an enemy, his brain sparks.

速く 、もっと 速く。 はやく||はやく 限界 まで アクセラレート された 俺 の 神経 に は 、普段 の 倍速 で 二 刀 を 振るう その リズム すら 物足りない。 げんかい||||おれ||しんけい|||ふだん||ばい はやさ||ふた|かたな||ふるう||りずむ||ものたりない システム の アシスト を も 上回ろう か と いう 速度 で 攻撃 を 放ち 続ける。 しすてむ||あしすと|||うわまわろう||||そくど||こうげき||はなち|つづける

「…………ぁぁ ぁ ああ ああ ああ!!」

雄 叫び ともに 放った 最後 の 十六 撃 目 が 、グリームアイズ の 胸 の 中央 を 貫いた。 おす|さけび||はなった|さいご||じゅうろく|う|め||||むね||ちゅうおう||つらぬいた

「ゴァァァアアアアアアアア!!」

気付く と 、絶叫 して いる の は 俺 だけ で は なかった。 きづく||ぜっきょう|||||おれ|||| When I came to realize I was not the only one screaming. 天 を 振り仰いだ 巨大な 悪魔 が 、口 と 鼻 から 盛大に 噴気 を 洩らし つつ 咆哮 して いる。 てん||ふり あおいだ|きょだいな|あくま||くち||はな||せいだいに|ふ き||もらし||ほうこう||

その 全身 が 硬直 した ──と 思った 瞬間。 |ぜんしん||こうちょく|||おもった|しゅんかん The moment I thought his whole body stiffened.

グリームアイズ は 、膨大な 青い 欠 片 と なって 爆散 した。 ||ぼうだいな|あおい|けつ|かた|||ばくさん| 部屋 中 に キラキラ と 輝く 光 の 粒 が 降り注ぐ。 へや|なか||きらきら||かがやく|ひかり||つぶ||ふりそそぐ

終わった ……の か……? おわった||

俺 は 戦闘 の 余熱 に よる 眩暈 を 感じ ながら 、無意識 の うち に 両 の 剣 を 切り払い 、背 に 交差 して 吊った 鞘 に 同時に 収めた。 おれ||せんとう||よねつ|||めまい||かんじ||むいしき||||りょう||けん||きりはらい|せ||こうさ||つりった|さや||どうじに|おさめた Feeling dizzy from the residual heat of battle, I unconsciously cut off both swords and sheathed them in the sheaths suspended across my back at the same time. ふと 自分 の HP バー を 確認 する。 |じぶん||hp|ばー||かくにん| 赤い ライン が 、数 ドット の 幅 で 残って いた。 あかい|らいん||すう|||はば||のこって| The red line remained a few dots wide. 他人事 の よう に それ を 眺め ながら 、俺 は 全身 の 力 が 抜ける の を 感じて 、声 も なく 床 に 転がった。 ひとごと||||||ながめ||おれ||ぜんしん||ちから||ぬける|||かんじて|こえ|||とこ||ころがった

意識 が 暗転 した。 いしき||あんてん|

12

「……くん! キリト 君 ってば!!」 |きみ|って ば

悲鳴 に も 似た アスナ の 叫び に 、俺 の 意識 は 無理やり 呼び戻された。 ひめい|||にた|||さけび||おれ||いしき||むりやり|よびもどされた 頭 を 貫く 痛み に 顔 を しかめ ながら 上体 を 起こす。 あたま||つらぬく|いたみ||かお||||じょうたい||おこす The pain piercing his head causes him to frown as he raises his upper body.

「いて て て……」

見渡す と 、そこ は 先ほど の ボス 部屋 だった。 みわたす||||さきほど||ぼす|へや| When I looked around, I saw that it was the boss's room. まだ 空中 を 青い 光 の 残滓 が 舞って いる。 |くうちゅう||あおい|ひかり||ざんさい||まって| 意識 を 失って いた の は 数秒 の こと らしい。 いしき||うしなって||||すう びょう|||

目の前 に 、ぺたり と しゃがみこんだ アスナ の 顔 が あった。 めのまえ||ぺた り|||||かお|| 泣き出す 寸前 の よう に 眉根を寄せ 、唇 を 嚙 み 締めて いる。 なきだす|すんぜん||||まゆ ね を よせ|くちびる||||しめて| She is on the verge of crying, her brow furrowed and her lips tightly clenched.

「バカッ……! 無茶 して……! む ちゃ| You can find out more at ......!

叫ぶ と 同時に すごい 勢い で 首 に しがみついて きた ので 、俺 は 驚愕 の あまり 頭痛 も 忘れて 眼 を 白黒 さ せた。 さけぶ||どうじに||いきおい||くび|||||おれ||きょうがく|||ずつう||わすれて|がん||しろくろ|| I was so astonished that I forgot about my headache and my eyes went black and white as he clung to my neck with such force.

「……あんまり 締め付ける と 、俺 の HP が なくなる ぞ」 |しめつける||おれ||hp||| "......, if you squeeze me too hard, you'll lose my HP."

どうにか 冗談めかして そう 言う と 、アスナ は 真剣に 怒った 顔 を した。 |じょうだん めかして||いう||||しんけんに|いかった|かお|| When I somehow jokingly said this, Asuna looked seriously offended. 直後 、口 に 小さな 瓶 を 突っ込まれて しまう。 ちょくご|くち||ちいさな|びん||つっこまれて| Immediately afterwards, a small bottle is shoved into his mouth. 流れ込んで くる 、緑茶 に レモン ジュース を 混ぜた ような 味 の 液体 は 回復 用 の ハイ ・ポーション だ。 ながれこんで||りょくちゃ||れもん|じゅーす||まぜた||あじ||えきたい||かいふく|よう||はい|| The liquid that flows in, which tastes like green tea mixed with lemon juice, is a high potion for recovery. これ で あと 五 分 も すれば 数値 的に は フル 回復 する だろう が 、全身 の 倦怠 感 は 当分 消え ない だろう。 |||いつ|ぶん|||すうち|てきに||ふる|かいふく||||ぜんしん||けんたい|かん||とうぶん|きえ|| In another five minutes, I will be fully recovered numerically, but the general malaise will not disappear for a while.

アスナ は 俺 が 瓶 の 中身 を 飲み干した の を 確認 する と 、くしゃっと 顔 を 歪め 、その 表情 を 隠す よう に 俺 の 肩 に 額 を 当てた。 ||おれ||びん||なかみ||のみほした|||かくにん|||くし ゃっと|かお||ゆがめ||ひょうじょう||かくす|||おれ||かた||がく||あてた As soon as Asuna confirmed that I had finished the bottle, she twisted her face and put her forehead on my shoulder to hide her expression.

足音 に 顔 を 上げる と 、クライン が 遠慮がちに 声 を 掛けて きた。 あしおと||かお||あげる||||えんりょがちに|こえ||かけて|

「生き残った 軍 の 連中 の 回復 は 済ませた が 、コーバッツ と あと 二 人 死んだ……」 いきのこった|ぐん||れんちゅう||かいふく||すませた|||||ふた|じん|しんだ

「……そう か。 ボス 攻略 で 犠牲者 が 出た の は 、六十七 層 以来 だ な……」 ぼす|こうりゃく||ぎせい しゃ||でた|||ろくじゅうしち|そう|いらい||

「こんな の が 攻略って 言える か よ。 |||こうりゃくって|いえる|| I don't know how you can call this a strategy. コーバッツ の 馬鹿 野郎 が……。 ||ばか|やろう| 死 ん じまっちゃ 何にも な ん ねえ だろう が……」 し||じ まっちゃ|なんにも||||| If you're dead, you're nothing, right? ......

吐き出す ような クライン の 台詞。 はきだす||||せりふ 頭 を 左右 に 振る と 太い ため息 を つき 、気分 を 切り替える よう に 訊 いて きた。 あたま||さゆう||ふる||ふとい|ためいき|||きぶん||きりかえる|||じん|| He shook his head from side to side, sighed heavily, and asked if he could change his mind.

「そりゃ あ そう と 、オメエ 何 だ よ さっき の は!?」 |||||なん||||| "That's right, what the hell did you just say?

「……言わ なきゃ ダメ か? いわ||だめ|

「ったりめえ だ! ったり め え| 見た こと ねえ ぞ あんな の! みた|||||

気付く と 、アスナ を 除いた 、部屋 に いる 全員 が 沈黙 して 俺 の 言葉 を 待って いる。 きづく||||のぞいた|へや|||ぜんいん||ちんもく||おれ||ことば||まって| I noticed that everyone in the room, except Asuna, was silent, waiting for me to speak.

「……エクストラスキル だ よ。 《二 刀 流》」 ふた|かたな|りゅう

おお ……と いう どよめき が 、軍 の 生き残り や クライン の 仲間 の あいだ に 流れた。 |||||ぐん||いきのこり||||なかま||||ながれた Oh, ......" was the groan that went up among the survivors of the army and Klein's friends.

通常 、様々な 武器 スキル は 系統 だった 修行 に よって 段階 的に 習得 する こと が できる。 つうじょう|さまざまな|ぶき|||けいとう||しゅぎょう|||だんかい|てきに|しゅうとく|||| 例えば 剣 なら 、基本 の 片手 直 剣 スキル が ある 程度 まで 成長 して 条件 を 満たす と 、新たな 選択 可能 スキル と して 《細 剣 》や 《両手 剣 》など が リスト に 出現 する。 たとえば|けん||きほん||かたて|なお|けん||||ていど||せいちょう||じょうけん||みたす||あらたな|せんたく|かのう||||ほそ|けん||りょうて|けん|||りすと||しゅつげん|