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銀河鉄道の夜 『宮沢賢治』(Night on the Galactic Railroad), 9-2. ジョバンニ の 切符

9-2. ジョバンニ の 切符

ごと ごと ごと ごと 汽車 は きらびやかな 燐 光 の 川 の 岸 を 進みました 。 向こう の 方 の 窓 を 見る と 、 野原 は まるで 幻 燈 の ようでした 。 百 も 千 も の 大小 さまざま の 三角 標 、 その 大きな もの の 上 に は 赤い 点々 を うった 測量 旗 も 見え 、 野原 の はては それ ら が いちめん 、 たくさん たくさん 集まって ぼ おっと 青白い 霧 の よう 、 そこ から か 、 または もっと 向こう から か 、 ときどき さまざまの 形 の ぼんやり した 狼 煙 の ような もの が 、 かわるがわる きれいな 桔梗 いろ の そら に うちあげられる のでした 。 実に その すきとおった 奇麗な 風 は 、 ばら の におい で いっぱいでした 。

「 いかがです か 。 こういう りんご は おはじめて でしょう 」 向こう の 席 の 燈台 看守 が いつか 黄金 と 紅 で 美しく いろどら れた 大きな りんご を 落とさ ない ように 両手 で 膝 の 上 に かかえて いました 。 「 おや 、 どっから 来た のです か 。 立派です ねえ 。 ここ ら で は こんな りんご が できる のです か 」 青年 は ほんとうに びっくり した らしく 、 燈台 看守 の 両手 に かかえられた 一 もり の りんご を 、 眼 を 細く したり 首 を まげたり し ながら 、 われ を 忘れて ながめて いました 。 「 いや 、 まあ おとり ください 。 どうか 、 まあ おとり ください 」

青年 は 一 つ とって ジョバンニ たち の 方 を ちょっと 見ました 。 「 さあ 、 向こう の 坊ちゃん が た 。 いかが です か 。 おとり ください 」

ジョバンニ は 坊ちゃん と いわ れた ので 、 すこし しゃくに さわって だまって いました が 、 カムパネルラ は 、 「 ありがとう 」 と 言いました 。 すると 青年 は 自分 で とって 一 つ ずつ 二 人 に 送って よこしました ので 、 ジョバンニ も 立って 、 ありがとう と 言いました 。 燈台 看守 は やっと 両腕 が あいた ので 、 こんど は 自分 で 一 つ ずつ 眠って いる 姉弟 の 膝 に そっと 置きました 。 「 どうも ありがとう 。 どこ で できる のです か 。 こんな 立派な りんご は 」

青年 は つくづく 見 ながら 言いました 。 「 この 辺 で は もちろん 農業 は いたします けれども たいてい ひとりでに いい もの が できる ような 約束 に なって おります 。 農業 だって そんなに 骨 は 折れ は しません 。 たいてい 自分 の 望む 種子 さえ 播 け ば ひとりでに どんどん できます 。 米 だって パシフィック 辺 の ように 殻 も ない し 十 倍 も 大きくて 匂い も いい のです 。 けれども あなた が た の いらっしゃる 方 なら 農業 は もう ありません 。 りんご だって お 菓子 だって 、 かす が 少しも ありません から 、 みんな その ひと その ひと に よって ちがった 、 わずかの いい かおり に なって 毛あな から ちら け て しまう のです 」 にわかに 男の子 が ばっちり 眼 を あいて 言いました 。 「 ああ 、 ぼく いま お母さん の 夢 を みて いた よ 。 お母さん が ね 、 立派な 戸棚 や 本 の ある とこ に いて ね 、 ぼく の 方 を 見て 手 を だして にこにこ にこにこ わらった よ 。 ぼく 、 おっか さん 。 りんご を ひろって きて あげましょう か 、 と 言ったら 眼 が さめちゃった 。 ああ ここ 、 さっき の 汽車 の なか だ ねえ 」

「 その りんご が そこ に あります 。 この おじさん に いただいた のです よ 」 青年 が 言いました 。 「 ありがとう おじさん 。 おや 、 かおる ねえさん まだ 寝て る ねえ 、 ぼく 起こして やろう 。 ねえさん 。 ごらん 、 りんご を もらった よ 。 おきて ごらん 」

姉 は わらって 眼 を さまし 、 まぶし そうに 両手 を 眼 に あてて 、 それ から りんご を 見ました 。 男の子 は まるで パイ を たべる ように 、 もう それ を 食べて いました 。 また せっかく むいた その きれいな 皮 も 、 くるくる コルク 抜き の ような 形 に なって 床 へ 落ちる まで の 間 に は すうっと 、 灰 いろ に 光って 蒸発 して しまう のでした 。 二 人 は りんご をたいせつに ポケット に しまいました 。 川下 の 向こう岸 に 青く 茂った 大きな 林 が 見え 、 その 枝 に は 熟して まっ赤 に 光る まるい 実 が いっぱい 、 その 林 の まん 中 に 高い 高い 三角 標 が 立って 、 森 の 中 から は オーケストラ ベル や ジロフォン に まじって なんとも 言え ず きれいな 音 いろ が 、 とける ように 浸 みる ように 風 に つれて 流れて 来る のでした 。 青年 は ぞくっと して から だ を ふるう ように しました 。 だまって その 譜 を 聞いて いる と 、 そこら に いちめん 黄いろ や 、 うすい 緑 の 明るい 野原 か 敷物 か が ひろがり 、 また まっ白 な 蝋 の ような 露 が 太陽 の 面 を かすめて 行く ように 思わ れました 。 「 まあ 、 あの 烏 」 カムパネルラ の となり の 、 かおる と 呼ば れた 女の子 が 叫びました 。 「 からす で ない 。 みんな かささぎ だ 」 カムパネルラ が また 何気なく しかる ように 叫びました ので 、 ジョバンニ は また 思わず 笑い 、 女の子 は きまり 悪 そうに しました 。 まったく 河原 の 青じろい あかり の 上 に 、 黒い 鳥 が たくさん たくさん いっぱいに 列 に なって とまって じっと 川 の 微 光 を 受けて いる のでした 。

「 かさ さぎ です ねえ 、 頭 の うしろ の とこ に 毛 が ぴんと 延びてます から 」 青年 は とりなす ように 言いました 。 向こう の 青い 森 の 中 の 三角 標 は すっかり 汽車 の 正面 に 来ました 。 その とき 汽車 の ずうっと うしろ の 方 から 、 あの 聞き なれた 三〇六 番 の 讃美 歌 の ふし が 聞こえて きました 。 よほど の 人数 で 合唱 して いる らしい のでした 。 青年 は さっと 顔 いろ が 青ざめ 、 たって 一ぺん そっち へ 行き そうに しました が 思いかえして また すわりました 。 かおる 子 は ハンケチ を 顔 に あてて しまいました 。 ジョバンニ まで なんだか 鼻 が 変に なりました 。 けれども いつ と も なく 誰 と も なく その 歌 は 歌い 出さ れ だんだん はっきり 強く なりました 。 思わず ジョバンニ も カムパネルラ も いっしょに うたい だした のです 。

そして 青い 橄欖 の 森 が 、 見え ない 天の川 の 向こう に さめざめと 光り ながら だんだん うしろ の 方 へ 行って しまい 、 そこ から 流れて 来る あやしい 楽器 の 音 も 、 もう 汽車 の ひびき や 風 の 音 に すりへらされて ず うっと かすかに なりました 。 「 あ 、 孔雀 が いる よ 。 あ 、 孔雀 が いる よ 」

「 あの 森 琴 の 宿 でしょう 。 あたし きっと あの 森 の 中 に むかし の 大きな オーケストラ の 人 たち が 集まって いらっしゃる と 思う わ 、 まわり に は 青い 孔雀 や なんか たくさん いる と 思う わ 」

「 ええ 、 たくさん いたわ 」 女の子 が こたえました 。 ジョバンニ は その 小さく 小さく なって いま は もう 一 つ の 緑 いろ の 貝 ぼたん の ように 見える 森 の 上 に さっさっと 青じろく 時々 光って その 孔雀 が はね を ひろげたり とじたり する 光 の 反射 を 見ました 。 「 そう だ 、 孔雀 の 声 だって さっき 聞こえた 」 カムパネルラ が 女の子 に 言いました 。 「 ええ 、 三十 匹 ぐらい は たしかに いた わ 」 女の子 が 答えました 。 ジョバンニ は にわかに なんとも 言え ず かなしい 気 が して 思わず 、

「 カムパネルラ 、 ここ から は ね おりて 遊んで 行こう よ 」 と こわい 顔 を して 言おう と した くらい でした 。

ところが その とき ジョバンニ は 川下 の 遠く の 方 に 不思議な もの を 見ました 。 それ は たしかに なに か 黒い つる つるした 細長い もの で 、 あの 見え ない 天の川 の 水 の 上 に 飛び出して ちょっと 弓 の ような かたち に 進んで 、 また 水 の 中 に かくれた ようでした 。 おかしい と 思って また よく 気 を つけて いましたら 、 こんど は ずっと 近く で また そんな こと が あった らしい のでした 。 その うち もう あっち でも こっち でも 、 その 黒い つる つるした 変な もの が 水 から 飛び出して 、 まるく 飛んで また 頭から 水 へ くぐる の が たくさん 見えて きました 。 みんな 魚 の ように 川上 へ のぼる らしい のでした 。

「 まあ 、 な んでしょう 。 た あ ちゃん 。 ごらん なさい 。 まあ たくさんだ わ ね 。 なん でしょう あれ 」

眠 そうに 眼 を こすって いた 男の子 は びっくり した ように 立ちあがりました 。 「 なんだろう 」 青年 も 立ちあがりました 。 「 まあ 、 おかしな 魚 だ わ 、 な んでしょう あれ 」

「 海豚 です 」 カムパネルラ が そっち を 見 ながら 答えました 。 「 海豚 だ なんて あたし はじめて だ わ 。 けど ここ 海 じゃ ない んでしょう 」

「 いるか は 海 に いる と きまって いない 」 あの 不思議な 低い 声 が また どこ から かしました 。 ほんとうに その いるか の かたち の おかしい こと は 、 二 つ の ひれ を ちょうど 両手 を さげて 不動 の 姿勢 を とった ような ふうに して 水 の 中 から 飛び出して 来て 、 うやうやしく 頭 を 下 に して 不動 の 姿勢 の まま また 水 の 中 へ くぐって 行く のでした 。 見え ない 天の川 の 水 も その とき は ゆらゆら と 青い 焔 の ように 波 を あげる のでした 。

「 いるか お 魚 でしょう か 」 女の子 が カムパネルラ に はなしかけました 。 男の子 は ぐったり つか れた ように 席 に もたれて 眠って いました 。 「 いるか 、 魚 じゃ ありません 。 くじら と 同じ ような けだもの です 」 カムパネルラ が 答えました 。 「 あなた くじら 見た こと あって 」

「 僕 あります 。 くじら 、 頭 と 黒い しっぽ だけ 見えます 。 潮 を 吹く と ちょうど 本 に ある ように なります 」 「 くじら なら 大きい わ ねえ 」 「 くじら 大きい です 。 子供 だって いるか ぐらい あります 」 「 そう よ 、 あたし アラビアンナイト で 見た わ 」 姉 は 細い 銀 いろ の 指輪 を いじり ながら おもしろ そうに はなし して いました 。 ( カムパネルラ 、 僕 もう 行っち まう ぞ 。 僕 なんか 鯨 だって 見た こと ないや )

ジョバンニ は まるで たまらない ほど いらいら し ながら 、 それ でも 堅く 、 唇 を 噛んで こらえて 窓 の 外 を 見て いました 。 その 窓 の 外 に は 海豚 の かたち も もう 見え なく なって 川 は 二 つ に わかれました 。 その まっくらな 島 の まん 中 に 高い 高い やぐら が 一 つ 組まれて 、 その 上 に 一 人 の 寛 い 服 を 着て 赤い 帽子 を かぶった 男 が 立って いました 。 そして 両手 に 赤 と 青 の 旗 を もって そら を 見上げて 信号 して いる のでした 。

ジョバンニ が 見て いる 間 その 人 は しきりに 赤い 旗 を ふって いました が 、 にわかに 赤旗 を おろして うしろ に かくす ように し 、 青い 旗 を 高く 高く あげて まるで オーケストラ の 指揮 者 の ように はげしく 振りました 。 すると 空中 に ざ あっと 雨 の ような 音 が して 、 何 か まっくらな もの が 、 いく かたまり も いく かたまり も 鉄砲 丸 の ように 川 の 向こう の 方 へ 飛んで 行く のでした 。 ジョバンニ は 思わず 窓 から からだ を 半分 出して 、 そっち を 見あげました 。 美しい 美しい 桔梗 いろ の がらんと した 空 の 下 を 、 実に 何 万 と いう 小さな 鳥 ども が 、 幾 組 も 幾 組 も めいめい せわしく せわしく 鳴いて 通って 行く のでした 。

「 鳥 が 飛んで 行く な 」 ジョバンニ が 窓 の 外 で 言いました 。 「 どら 」 カムパネルラ も そら を 見ました 。 その とき あの やぐら の 上 の ゆるい 服 の 男 は にわかに 赤い 旗 を あげて 狂気 の ように ふりうごかしました 。 すると ぴたっと 鳥 の 群れ は 通ら なく なり 、 それ と 同時に ぴしゃあん と いう つぶれた ような 音 が 川下 の 方 で 起こって 、 それ から しばらく しいんと しました 。 と 思ったら あの 赤 帽 の 信号 手 が また 青い 旗 を ふって 叫んで いた のです 。

「 いま こそ わたれ わたり鳥 、 いま こそ わたれ わたり鳥 」 その 声 も はっきり 聞こえました 。 それ と いっしょに また 幾 万 と いう 鳥 の 群れ が そら を まっすぐに かけた のです 。 二 人 の 顔 を 出して いる まん 中 の 窓 から あの 女の子 が 顔 を 出して 美しい 頬 を かがやかせ ながら そら を 仰ぎました 。 「 まあ 、 この 鳥 、 たくさんです わ ねえ 、 あら まあ そら の きれいな こと 」 女の子 は ジョバンニ に はなしかけました けれども ジョバンニ は 生意気な 、 いやだい と 思い ながら 、 だまって 口 を むすんで そら を 見あげて いました 。 女の子 は 小さく ほっと 息 を して 、 だまって 席 へ 戻りました 。 カムパネルラ が きのどく そうに 窓 から 顔 を 引っ込めて 地図 を 見て いました 。 「 あの 人 鳥 へ 教えて る んでしょう か 」 女の子 が そっと カムパネルラ に たずねました 。 「 わたり鳥 へ 信号 して る んです 。 きっと どこ から か の ろし が あがる ため でしょう 」

カムパネルラ が 少し おぼつかな そうに 答えました 。 そして 車 の 中 は し い ん と なりました 。 ジョバンニ は もう頭 を 引っ込め たかった のです けれども 明るい とこ へ 顔 を 出す の が つらかった ので 、 だまって こらえて そのまま 立って 口笛 を 吹いて いました 。 ( どうして 僕 は こんなに かなしい のだろう 。 僕 は もっと こころもち を きれいに 大きく もた なければ いけない 。 あす この 岸 の ず うっと 向こう に まるで けむり の ような 小さな 青い 火 が 見える 。 あれ は ほんとうに しずかで つめたい 。 僕 は あれ を よく 見て こころもち を しずめる んだ )

ジョバンニ は 熱って 痛い あたま を 両手 で 押える ように して 、 そっち の 方 を 見ました 。 ( ああ ほんとうに どこまでも どこまでも 僕 と いっしょに 行く ひと は ない だろう か 。 カムパネルラ だって あんな 女の子 と おもしろ そうに 談 して いる し 僕 は ほんとうに つらい なあ )

ジョバンニ の 眼 は また 泪 で いっぱいに なり 、 天の川 も まるで 遠く へ 行った ように ぼんやり 白く 見える だけ でした 。

その とき 汽車 は だんだん 川 から は なれて 崖 の 上 を 通る ように なりました 。 向こう岸 も また 黒い いろ の 崖 が 川 の 岸 を 下流 に 下る に したがって 、 だんだん 高く なって いく のでした 。 そして ちらっと 大きな とうもろこし の 木 を 見ました 。 その 葉 は ぐるぐる に 縮れ 葉 の 下 に は もう 美しい 緑 いろ の 大きな 苞 が 赤い 毛 を 吐いて 真珠 の ような 実 も ちらっと 見えた のでした 。 それ は だんだん 数 を 増して きて 、 もう いま は 列 の ように 崖 と 線路 と の 間 に ならび 、 思わず ジョバンニ が 窓 から 顔 を 引っ込めて 向こう側 の 窓 を 見ました とき は 、 美しい そら の 野原 の 地平 線 の はて まで 、 その 大きな とうもろこし の 木 が ほとんど いちめんに 植えられて 、 さやさや 風 に ゆらぎ 、 その 立派な ちぢれた 葉 の さき から は 、 まるで ひる の 間 に いっぱい 日光 を 吸った 金剛 石 の ように 露 が いっぱいに ついて 、 赤 や 緑 や きらきら 燃えて 光って いる のでした 。 カムパネルラ が 、

「 あれ とうもろこし だ ねえ 」 と ジョバンニ に 言いました けれども 、 ジョバンニ は どうしても 気持ち が なおりません でした から 、 ただ ぶっきらぼうに 野原 を 見た まま 、 「 そう だろう 」 と 答えました 。 その とき 汽車 は だんだん しずかに なって 、 いくつか の シグナル と てんてつ器 の 灯 を 過ぎ 、 小さな 停車場 に とまりました 。 その 正面 の 青じろい 時計 は かっきり 第 二 時 を 示し 、 風 も なくなり 汽車 も うごか ず 、 しずかな しずかな 野原 の なか に その 振り子 は カチッカチッ と 正しく 時 を 刻んで いく のでした 。 そして まったく その 振り子 の 音 の たえま を 遠く の 遠く の 野原 の はて から 、 かすかな かすかな 旋律 が 糸 の ように 流れて 来る のでした 。

「 新 世界 交響楽 だ わ 」 向こう の 席 の 姉 が ひとりごと の ように こっち を 見 ながら そっと 言いました 。 全く もう 車 の 中 で は あの 黒 服 の 丈 高い 青年 も 誰 も みんな やさしい 夢 を 見て いる のでした 。

( こんな しずかな いい とこ で 僕 は どうして もっと 愉快に なれ ない だろう 。 どうして こんなに ひと り さびしい のだろう 。 けれども カムパネルラ なんか あんまり ひどい 、 僕 と いっしょに 汽車 に 乗って い ながら 、 まるで あんな 女の子 と ばかり 談 して いる んだ もの 。 僕 は ほんとうに つらい )

ジョバンニ は また 手 で 顔 を 半分 かくす ように して 向こう の 窓 の そと を 見つめて いました 。 すきとおった 硝子 の ような 笛 が 鳴って 汽車 は しずかに 動きだし 、 カムパネルラ も さびし そうに 星めぐり の 口笛 を 吹きました 。 「 ええ 、 ええ 、 もう この 辺 は ひどい 高原 です から 」

うしろ の 方 で 誰 か としより らしい 人 の 、 いま 眼 が さめた と いう ふうで はきはき 談 して いる 声 が しました 。 「 とうもろこし だって 棒 で 二 尺 も 孔 を あけて おいて そこ へ 播かない と はえ ない んです 」

「 そう です か 。 川 まで は よほど ありましょう か ねえ 」 「 ええ 、 ええ 、 河 まで は 二千 尺 から 六千 尺 あります 。 もう まるで ひどい 峡谷 に なって いる んです 」

そう そう ここ は コロラド の 高原 じゃ なかったろう か 、 ジョバンニ は 思わず そう 思いました 。 あの 姉 は 弟 を 自分 の 胸 に よりかからせて 眠らせ ながら 黒い 瞳 を うっとりと 遠く へ 投げて 何 を 見る でも なし に 考え込んで いる のでした し 、 カムパネルラ は まだ さびし そうに ひとり 口笛 を 吹き 、 男の子 は まるで 絹 で 包んだ りんご の ような 顔 いろ を して ジョバンニ の 見る 方 を 見て いる のでした 。

突然 とうもろこし が なくなって 大きな 黒い 野原 が いっぱいに ひらけました 。 新 世界 交響 楽 は いよいよ はっきり 地平 線 の はて から 湧き 、 その まっ黒 な 野原 の なか を 一 人 の インデアン が 白い 鳥 の 羽根 を 頭 に つけ 、 たくさんの 石 を 腕 と 胸 に かざり 、 小さな 弓 に 矢 を つがえて いちもくさんに 汽車 を 追って 来る のでした 。 「 あら 、 インデアン です よ 。 インデアン です よ 。 おね え さま ごらん なさい 」

黒 服 の 青年 も 眼 を さましました 。 ジョバンニ も カムパネルラ も 立ちあがりました 。 「 走って 来る わ 、 あら 、 走って 来る わ 。 追いかけて いる んでしょう 」

「 いいえ 、 汽車 を 追って る んじゃ ない んです よ 。 猟 を する か 踊る か して る んです よ 」

青年 は いま どこ に いる か 忘れた と いう ふうに ポケット に 手 を 入れて 立ち ながら 言いました 。 まったく インデアン は 半分 は 踊って いる ようでした 。 第 一 かける に して も 足 の ふみ よう が もっと 経済 も とれ 本気に も なれ そうでした 。 にわかに くっきり 白い その 羽根 は 前 の 方 へ 倒れる ように なり 、 インデアン は ぴたっと 立ちどまって 、 すばやく 弓 を 空 に ひきました 。 そこ から 一 羽 の 鶴 が ふらふら と 落ちて 来て 、 また 走り出した インデアン の 大きく ひろげた 両手 に 落ちこみました 。 インデアン は うれし そうに 立って わらいました 。 そして その 鶴 を もって こっち を 見て いる 影 も 、 もう どんどん 小さく 遠く なり 、 電しん ば し ら の 碍子 が きらっきらっと 続いて 二 つ ばかり 光って 、 また とうもろこし の 林 に なって しまいました 。 こっち 側 の 窓 を 見ます と 汽車 は ほんとうに 高い 高い 崖 の 上 を 走って いて 、 その 谷 の 底 に は 川 が やっぱり 幅ひろく 明るく 流れて いた のです 。 「 ええ 、 もう この 辺 から 下り です 。 なんせ こんど は 一ぺん に あの 水面 まで おりて 行く んです から 容易じゃ ありません 。 この 傾斜 が ある もん です から 汽車 は 決して 向こう から こっち へ は 来 ない んです 。 そら 、 もう だんだん 早く なった でしょう 」 さっき の 老人 らしい 声 が 言いました 。

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ごと ごと ごと ごと 汽車 は きらびやかな 燐 光 の 川 の 岸 を 進みました 。 ||||きしゃ|||りん|ひかり||かわ||きし||すすみ ました Todo Todo El tren se fue a la orilla del río fosforescente y reluciente. 向こう の 方 の 窓 を 見る と 、 野原 は まるで 幻 燈 の ようでした 。 むこう||かた||まど||みる||のはら|||まぼろし|とも|| 当我从窗外望向另一边时,田野就像一束幽光。 百 も 千 も の 大小 さまざま の 三角 標 、 その 大きな もの の 上 に は 赤い 点々 を うった 測量 旗 も 見え 、 野原 の はては それ ら が いちめん 、 たくさん たくさん 集まって ぼ おっと 青白い 霧 の よう 、 そこ から か 、 または もっと 向こう から か 、 ときどき さまざまの 形 の ぼんやり した 狼 煙 の ような もの が 、 かわるがわる きれいな 桔梗 いろ の そら に うちあげられる のでした 。 ひゃく||せん|||だいしょう|||さんかく|しるべ||おおきな|||うえ|||あかい|てんてん|||そくりょう|き||みえ|のはら|||||||||あつまって|||あおじろい|きり||||||||むこう|||||かた||||おおかみ|けむり|||||||ききょう|||||うちあげ られる| There were a hundred or a thousand triangles of various sizes, and on top of the larger ones were visible the red dotted surveying flags, and at the end of the field they gathered in large numbers all over the place, forming a kind of pale mist, from which, or from further away, there were sometimes vague wisps of various shapes, Sometimes from there, sometimes from further away, sometimes from other places. Cientos y miles de mojones triangulares grandes y pequeños, banderas topográficas con puntos rojos en los grandes, los primeros al final del campo, muchos reunidos como una pálida niebla, De allí, o más, de vez en cuando, varios en cambio, se elevaron en el cielo de una campanilla limpia formas de humo vagamente parecido a una señal. 只见成百上千个大大小小的三角形,大的三角形上面插着红色的点状测量旗,在田野的尽头,它们大量地向四周聚集,形成一片朦胧苍茫的雾气,从雾气中,或者从更远的地方,时而飘来一缕缕朦胧的狼烟,形状各异、有时从那里,有时从更远的地方,有时从其他地方,会有一缕缕狼烟一样的各种形状,从美丽的钟花色天空中升起。 実に その すきとおった 奇麗な 風 は 、 ばら の におい で いっぱいでした 。 じつに|||きれいな|かぜ|||||| 的确,清澈美丽的风中充满了玫瑰的香气。

「 いかがです か 。 " Te gusta eso . こういう りんご は おはじめて でしょう 」 向こう の 席 の 燈台 看守 が いつか 黄金 と 紅 で 美しく いろどら れた 大きな りんご を 落とさ ない ように 両手 で 膝 の 上 に かかえて いました 。 |||お はじめて||むこう||せき||とうだい|かんしゅ|||おうごん||くれない||うつくしく|||おおきな|||おとさ|||りょうて||ひざ||うえ|||い ました This is the first time I've seen an apple like this. ”The lighthouse keeper over there held it on his lap with both hands so that he wouldn't drop a large apple that was beautifully colored in gold and crimson one day. 桌子另一边的灯塔守卫双手捧着一个金红相间的大苹果,以防哪天掉下来。 「 おや 、 どっから 来た のです か 。 |ど っ から|きた|| "Oh, where did you come from? "哦,你从哪儿来的? 立派です ねえ 。 りっぱです| ここ ら で は こんな りんご が できる のです か 」 青年 は ほんとうに びっくり した らしく 、 燈台 看守 の 両手 に かかえられた 一 もり の りんご を 、 眼 を 細く したり 首 を まげたり し ながら 、 われ を 忘れて ながめて いました 。 ||||||||||せいねん||||||とうだい|かんしゅ||りょうて||かかえ られた|ひと|||||がん||ほそく||くび|||||||わすれて||い ました The young man seemed genuinely astonished as he gazed long and fondly, eyes narrowed and neck craned, at the handful of apples in the lighthouse keeper's hands. 年轻人似乎真的很惊讶,他眯着眼睛,伸长脖子,心不在焉地望着灯塔看守人手中的那把苹果。 「 いや 、 まあ おとり ください 。 "No, well, please take a bite. 不,好吧,咬一口。 どうか 、 まあ おとり ください 」 好了,请回吧。"

青年 は 一 つ とって ジョバンニ たち の 方 を ちょっと 見ました 。 せいねん||ひと||||||かた|||み ました The young man took one and looked at Giovanni and the others. 年轻人接过一个,略微看了看乔瓦尼和其他人。 「 さあ 、 向こう の 坊ちゃん が た 。 |むこう||ぼっちゃん|| "来吧,你们在那边。 いかが です か 。 How do you like it? おとり ください 」

ジョバンニ は 坊ちゃん と いわ れた ので 、 すこし しゃくに さわって だまって いました が 、 カムパネルラ は 、 「 ありがとう 」 と 言いました 。 ||ぼっちゃん|||||||||い ました||||||いい ました Se decía que Giovanni era un niño, por lo que estaba un poco enfermo, pero Campanella dijo: "Gracias". 乔瓦尼被称为男孩,所以他轻轻抚摸了一下他并保持沉默,但康帕内拉说:“谢谢。” すると 青年 は 自分 で とって 一 つ ずつ 二 人 に 送って よこしました ので 、 ジョバンニ も 立って 、 ありがとう と 言いました 。 |せいねん||じぶん|||ひと|||ふた|じん||おくって|よこし ました||||たって|||いい ました Giovanni stood up and said thank you. 随后青年将它们一一捡起来送去,乔瓦尼也站了起来,说了声谢谢。 燈台 看守 は やっと 両腕 が あいた ので 、 こんど は 自分 で 一 つ ずつ 眠って いる 姉弟 の 膝 に そっと 置きました 。 とうだい|かんしゅ|||りょううで||||||じぶん||ひと|||ねむって||してい||ひざ|||おき ました The lighthouse guard finally had both arms free, so he placed one in each of the sleeping sisters' lap. El farero finalmente abrió los brazos, así que los colocó suavemente sobre las rodillas de sus hermanos dormidos, uno por uno. 灯塔守卫终于松开了双臂,这一次他轻轻地把它们一个一个地放在熟睡的兄弟姐妹的腿上。 「 どうも ありがとう 。 “ 非常感谢 。 どこ で できる のです か 。 Where can I do this? 我在哪里可以做? こんな 立派な りんご は 」 |りっぱな|| 这么棒的苹果

青年 は つくづく 見 ながら 言いました 。 せいねん|||み||いい ました Dijo el joven mientras observaba. 青年定睛一看,说道: 「 この 辺 で は もちろん 農業 は いたします けれども たいてい ひとりでに いい もの が できる ような 約束 に なって おります 。 |ほとり||||のうぎょう||いたし ます|||||||||やくそく|||おり ます The farmers do some farming around here, of course, but it's mostly a promise that they can make good products on their own. "Por supuesto, hacemos agricultura en esta área, pero la mayoría de las veces, prometemos que podemos hacer cosas buenas por nosotros mismos. “当然这里有农业,但大多数承诺都是我们可以自己生产好东西。 農業 だって そんなに 骨 は 折れ は しません 。 のうぎょう|||こつ||おれ||し ませ ん Farming is not that difficult. La agricultura no requiere tanto esfuerzo. Фермерство - не такой уж тяжелый труд. 连种地也没有那么辛苦。 たいてい 自分 の 望む 種子 さえ 播 け ば ひとりでに どんどん できます 。 |じぶん||のぞむ|しゅし||ばん|||||でき ます Most of the time, you just need to sow the seeds you want and they will grow and grow on their own. La mayoría de las veces, puedes hacer más y más por ti mismo, siempre y cuando siembres las semillas que deseas. 在大多数情况下,如果你播下你想要的种子,它们会越来越多地自行生长。 米 だって パシフィック 辺 の ように 殻 も ない し 十 倍 も 大きくて 匂い も いい のです 。 べい|||ほとり|||から||||じゅう|ばい||おおきくて|におい||| The rice is not shelled like Pacific rice, and it is ten times larger and smells better. El arroz no tiene cáscara como el del Pacífico, es diez veces más grande y huele bien. 即使是大米也没有太平洋上的稻壳,它大了十倍,而且闻起来很香。 けれども あなた が た の いらっしゃる 方 なら 農業 は もう ありません 。 ||||||かた||のうぎょう|||あり ませ ん But if you are one of us, there is no more agriculture. Но если вы один из нас, то сельского хозяйства больше нет. 但是,如果你是我们中的一员,就不再有农业了。 りんご だって お 菓子 だって 、 かす が 少しも ありません から 、 みんな その ひと その ひと に よって ちがった 、 わずかの いい かおり に なって 毛あな から ちら け て しまう のです 」 にわかに 男の子 が ばっちり 眼 を あいて 言いました 。 |||かし||||すこしも|あり ませ ん|||||||||||||||けあな||||||||おとこのこ||ばっ ちり|がん|||いい ました Apples and sweets have no trace of anything, so they all have their own distinct and subtle aromas that flutter out of their furrows," the boy said with wide-open eyes. Las manzanas y los dulces no tienen posos, por lo que todos eran diferentes según la persona, y se convirtieron en un ligero aroma y parpadearon en su cabello". Lo hice. В воздухе нет ни следа яблока или сладостей, поэтому у всех них есть свои собственные, особые и тонкие запахи, которые вырываются из их меховых отверстий. 苹果和糖果都没有渣子,所以每一个都带着些许不同的香味,从你的头发上散发出来。”男孩突然睁开眼睛说,我是 「 ああ 、 ぼく いま お母さん の 夢 を みて いた よ 。 |||お かあさん||ゆめ|||| I was just dreaming about my mother. “哦,我刚才梦见我妈妈了。 お母さん が ね 、 立派な 戸棚 や 本 の ある とこ に いて ね 、 ぼく の 方 を 見て 手 を だして にこにこ にこにこ わらった よ 。 お かあさん|||りっぱな|とだな||ほん|||||||||かた||みて|て|||||| My mother was standing over there in a magnificent cupboard with books, and she looked at me, put out her hand, and smiled at me. 我妈妈站在一个漂亮的橱柜和书本里,她看着我,伸出手笑了。 ぼく 、 おっか さん 。 |お っか| 我是个老人。 りんご を ひろって きて あげましょう か 、 と 言ったら 眼 が さめちゃった 。 ||||あげ ましょう|||いったら|がん||さめちゃ った When I asked her if she wanted me to pick up an apple for her, she woke up. Cuando pregunté si debía tomar una manzana y dármela, mis ojos se despertaron. 当我问我是否可以为她摘一个苹果时,她的眼睛睁大了。 ああ ここ 、 さっき の 汽車 の なか だ ねえ 」 ||||きしゃ|||| 啊,我们刚才在火车上。”

「 その りんご が そこ に あります 。 |||||あり ます The apple is there. “苹果在那边。 この おじさん に いただいた のです よ 」 青年 が 言いました 。 ||||||せいねん||いい ました I got it from this uncle," the young man said. 这位老人把它给了我,”年轻人说。 「 ありがとう おじさん 。 “谢谢叔叔。 おや 、 かおる ねえさん まだ 寝て る ねえ 、 ぼく 起こして やろう 。 ||||ねて||||おこして| I'm not sure if this is a good idea or not, but it's a good idea. Oye, Kaoru Oye, todavía estoy durmiendo, vamos a despertarme. 嘿薰,你还在睡觉,我会叫醒你的。 ねえさん 。 姐姐 。 ごらん 、 りんご を もらった よ 。 おきて ごらん 」 快来看看吧。"

姉 は わらって 眼 を さまし 、 まぶし そうに 両手 を 眼 に あてて 、 それ から りんご を 見ました 。 あね|||がん||||そう に|りょうて||がん|||||||み ました Mi hermana sacudió los ojos, deslumbrantemente se llevó las manos a los ojos y luego miró las manzanas. 她猛然惊醒,双手捂住眼睛,瞪大眼睛看着苹果。 男の子 は まるで パイ を たべる ように 、 もう それ を 食べて いました 。 おとこのこ|||ぱい|||||||たべて|い ました 男孩已经像吃馅饼一样吃了起来。 また せっかく むいた その きれいな 皮 も 、 くるくる コルク 抜き の ような 形 に なって 床 へ 落ちる まで の 間 に は すうっと 、 灰 いろ に 光って 蒸発 して しまう のでした 。 |||||かわ|||こるく|ぬき|||かた|||とこ||おちる|||あいだ||||はい|||ひかって|じょうはつ||| And even the beautiful peeled skin would evaporate in an ashy glow before turning into a corkscrew and falling to the floor. Además, la piel limpia que se había despegado tenía la forma de un sacacorchos, y antes de que cayera al suelo, brilló en las cenizas y se evaporó. 还有,我费力剥下的美丽皮肤,变成了旋转的开瓶器,落到地上的时候,像灰烬一样闪闪发光,蒸发了。 二 人 は りんご をたいせつに ポケット に しまいました 。 ふた|じん|||を たいせつに|ぽけっと||しまい ました They carefully put the apple in their pockets. 两个人把苹果装进口袋。 川下 の 向こう岸 に 青く 茂った 大きな 林 が 見え 、 その 枝 に は 熟して まっ赤 に 光る まるい 実 が いっぱい 、 その 林 の まん 中 に 高い 高い 三角 標 が 立って 、 森 の 中 から は オーケストラ ベル や ジロフォン に まじって なんとも 言え ず きれいな 音 いろ が 、 とける ように 浸 みる ように 風 に つれて 流れて 来る のでした 。 かわしも||むこうぎし||あおく|しげった|おおきな|りん||みえ||えだ|||じゅくして|まっ あか||ひかる||み||||りん|||なか||たかい|たかい|さんかく|しるべ||たって|しげる||なか|||おーけすとら|べる||||||いえ|||おと|||||ひた|||かぜ|||ながれて|くる| 远处的河岸上,可以看到一片绿色的大森林,树枝上结满了成熟的红光圆形果实,在森林的中央立着一个高高的三角形标记,从森林中可以看到管弦乐的钟声和回旋琴,一种难以形容的美妙声音与空气融为一体,随风飘荡,仿佛融化在空气中。 青年 は ぞくっと して から だ を ふるう ように しました 。 せいねん||ぞく っと|||||||し ました The young man was horrified and began to shake himself. 年轻人惊恐万分,开始发抖。 だまって その 譜 を 聞いて いる と 、 そこら に いちめん 黄いろ や 、 うすい 緑 の 明るい 野原 か 敷物 か が ひろがり 、 また まっ白 な 蝋 の ような 露 が 太陽 の 面 を かすめて 行く ように 思わ れました 。 ||ふ||きいて||||||きいろ|||みどり||あかるい|のはら||しきもの|||||まっしろ||ろう|||ろ||たいよう||おもて|||いく||おもわ|れ ました As I stood still and listened to the music, it seemed as if there were bright fields or rugs of bright yellow or muted green, and a waxy white dewdrop was glistening off the surface of the sun. 当我坐在那里聆听音乐时,眼前仿佛出现了明亮的田野,或者是鲜黄和淡绿的地毯,阳光表面闪烁着蜡白的露珠。 「 まあ 、 あの 烏 」 カムパネルラ の となり の 、 かおる と 呼ば れた 女の子 が 叫びました 。 ||からす|||||||よば||おんなのこ||さけび ました 「 からす で ない 。 “这不是乌鸦。 みんな かささぎ だ 」 カムパネルラ が また 何気なく しかる ように 叫びました ので 、 ジョバンニ は また 思わず 笑い 、 女の子 は きまり 悪 そうに しました 。 |かさ さぎ|||||なにげなく|||さけび ました|||||おもわず|わらい|おんなのこ|||あく|そう に|し ました Giovanni laughed again and the girl looked embarrassed. 都是喜鹊啊!”康帕内拉又是随口叫了一声,乔瓦尼又笑了,女孩一脸尴尬。 まったく 河原 の 青じろい あかり の 上 に 、 黒い 鳥 が たくさん たくさん いっぱいに 列 に なって とまって じっと 川 の 微 光 を 受けて いる のでした 。 |かわはら||あおじろい|||うえ||くろい|ちょう|||||れつ|||||かわ||び|ひかり||うけて|| 湛蓝的河床之上,有许多黑色的鸟儿排成一排,凝视着淡淡的河光。

「 かさ さぎ です ねえ 、 頭 の うしろ の とこ に 毛 が ぴんと 延びてます から 」 青年 は とりなす ように 言いました 。 ||||あたま||||||け|||のびて ます||せいねん||||いい ました “这是一只喜鹊,后脑勺长着长毛,”年轻人说。 向こう の 青い 森 の 中 の 三角 標 は すっかり 汽車 の 正面 に 来ました 。 むこう||あおい|しげる||なか||さんかく|しるべ|||きしゃ||しょうめん||き ました 那边蓝色森林中的三角标记完全在火车的前面。 その とき 汽車 の ずうっと うしろ の 方 から 、 あの 聞き なれた 三〇六 番 の 讃美 歌 の ふし が 聞こえて きました 。 ||きしゃ||ず うっと|||かた|||きき||みっ|むっ|ばん||さんび|うた||||きこえて|き ました Then, from far behind me on the train, I heard the sound of the familiar hymn number 306. 然后,从火车后面很远的地方,我听到了熟悉的第 306 号赞美诗的声音。 よほど の 人数 で 合唱 して いる らしい のでした 。 ||にんずう||がっしょう|||| 似乎有很多人在唱诗班唱歌。 青年 は さっと 顔 いろ が 青ざめ 、 たって 一ぺん そっち へ 行き そうに しました が 思いかえして また すわりました 。 せいねん|||かお|||あおざめ||いっぺん|||いき|そう に|し ました||おもいかえして||すわり ました 年轻人的脸色突然变得苍白,他做了一个走过去的动作,但又回过神来,重新坐了下来。 かおる 子 は ハンケチ を 顔 に あてて しまいました 。 |こ||||かお|||しまい ました 薰子用手帕捂住了脸。 ジョバンニ まで なんだか 鼻 が 変に なりました 。 |||はな||へんに|なり ました Even Giovanni's nose was somewhat strange. 就连乔瓦尼的鼻子也变得有些奇怪。 けれども いつ と も なく 誰 と も なく その 歌 は 歌い 出さ れ だんだん はっきり 強く なりました 。 |||||だれ|||||うた||うたい|ださ||||つよく|なり ました But the song started to be sung without any time or anyone else, and gradually became clearer and stronger. 但随后,不知从何而来,这首歌开始唱起来,而且越来越响亮,越来越清晰。 思わず ジョバンニ も カムパネルラ も いっしょに うたい だした のです 。 おもわず|||||||| 无意中,乔瓦尼和坎佩拉开始一起唱歌。

そして 青い 橄欖 の 森 が 、 見え ない 天の川 の 向こう に さめざめと 光り ながら だんだん うしろ の 方 へ 行って しまい 、 そこ から 流れて 来る あやしい 楽器 の 音 も 、 もう 汽車 の ひびき や 風 の 音 に すりへらされて ず うっと かすかに なりました 。 |あおい|かんらん||しげる||みえ||あまのがわ||むこう||さめざめ と|ひかり|||||かた||おこなって||||ながれて|くる||がっき||おと|||きしゃ||||かぜ||おと||すりへらさ れて||う っと||なり ました 在看不见的银河之外,蓝色的橄榄石森林逐渐在他们身后闪烁,从那里传来的奇异乐器声也变得微弱,消失在火车声和风声中。 「 あ 、 孔雀 が いる よ 。 |くじゃく||| 「啊,有一隻孔雀。」 あ 、 孔雀 が いる よ 」 |くじゃく||| 啊,有一隻孔雀。”

「 あの 森 琴 の 宿 でしょう 。 |しげる|こと||やど| "That must be the inn at Morikoto. 「那一定是守琴的旅館吧。」 あたし きっと あの 森 の 中 に むかし の 大きな オーケストラ の 人 たち が 集まって いらっしゃる と 思う わ 、 まわり に は 青い 孔雀 や なんか たくさん いる と 思う わ 」 |||しげる||なか||||おおきな|おーけすとら||じん|||あつまって|||おもう|||||あおい|くじゃく||||||おもう| 我確信那片森林裡聚集了一群來自古老的大型管弦樂隊的人,我確信周圍有很多藍孔雀之類的東西。”

「 ええ 、 たくさん いたわ 」 女の子 が こたえました 。 |||おんなのこ||こたえ ました ジョバンニ は その 小さく 小さく なって いま は もう 一 つ の 緑 いろ の 貝 ぼたん の ように 見える 森 の 上 に さっさっと 青じろく 時々 光って その 孔雀 が はね を ひろげたり とじたり する 光 の 反射 を 見ました 。 |||ちいさく|ちいさく|||||ひと|||みどり|||かい||||みえる|しげる||うえ||さっ さっと|あおじろく|ときどき|ひかって||くじゃく|||||||ひかり||はんしゃ||み ました 森林上方,已經變得很小,看起來就像又一個綠色的貝殼,喬瓦尼看到孔雀張開和閉合翅膀時的光線反射,不時閃爍。我看到了。 「 そう だ 、 孔雀 の 声 だって さっき 聞こえた 」 カムパネルラ が 女の子 に 言いました 。 ||くじゃく||こえ|||きこえた|||おんなのこ||いい ました 「 ええ 、 三十 匹 ぐらい は たしかに いた わ 」 女の子 が 答えました 。 |さんじゅう|ひき||||||おんなのこ||こたえ ました Yes, there were about thirty of them," the girl replied. ジョバンニ は にわかに なんとも 言え ず かなしい 気 が して 思わず 、 ||||いえ|||き|||おもわず Giovanni was in awe of the beautiful and beautifully beautiful scenery, 喬瓦尼突然有著難以形容的悲傷感。

「 カムパネルラ 、 ここ から は ね おりて 遊んで 行こう よ 」 と こわい 顔 を して 言おう と した くらい でした 。 ||||||あそんで|いこう||||かお|||いおう|||| I even tried to say with a frightened look on my face, "Come on, Campera, let's go downstairs and have fun. 「康帕內拉,我們跳出去玩吧!」我幾乎滿臉驚恐地說。

ところが その とき ジョバンニ は 川下 の 遠く の 方 に 不思議な もの を 見ました 。 |||||かわしも||とおく||かた||ふしぎな|||み ました 但隨後喬瓦尼在下游遠處看到了一些奇怪的東西。 それ は たしかに なに か 黒い つる つるした 細長い もの で 、 あの 見え ない 天の川 の 水 の 上 に 飛び出して ちょっと 弓 の ような かたち に 進んで 、 また 水 の 中 に かくれた ようでした 。 |||||くろい|||ほそながい||||みえ||あまのがわ||すい||うえ||とびだして||ゆみ|||||すすんで||すい||なか||| 那肯定是一個又長又滑的黑色東西,看上去就像是跳到了看不見的銀河的水面上,把自己的形狀弄得有點像弓,然後又藏進了水里。 おかしい と 思って また よく 気 を つけて いましたら 、 こんど は ずっと 近く で また そんな こと が あった らしい のでした 。 ||おもって|||き|||いま したら||||ちかく|||||||| 我覺得很奇怪,所以我仔細觀察,然後我意識到它又發生了,這次更近了。 その うち もう あっち でも こっち でも 、 その 黒い つる つるした 変な もの が 水 から 飛び出して 、 まるく 飛んで また 頭から 水 へ くぐる の が たくさん 見えて きました 。 |||あっ ち|||||くろい|||へんな|||すい||とびだして||とんで||あたまから|すい||||||みえて|き ました Soon, I could see many of these strange, black, smooth things jumping out of the water, flying round and round, and then diving back in through their heads into the water. 然後,我開始到處看到許多奇怪的、黑色的、滑溜溜的東西跳出水面,繞圈飛行,然後又頭朝下潛入水中。 みんな 魚 の ように 川上 へ のぼる らしい のでした 。 |ぎょ|||かわかみ|||| 他們都像魚一樣逆流而上。

「 まあ 、 な んでしょう 。 "Well, what is it? た あ ちゃん 。 太燦。 ごらん なさい 。 まあ たくさんだ わ ね 。 なん でしょう あれ 」

眠 そうに 眼 を こすって いた 男の子 は びっくり した ように 立ちあがりました 。 ねむ|そう に|がん||||おとこのこ|||||たちあがり ました 「 なんだろう 」 青年 も 立ちあがりました 。 |せいねん||たちあがり ました 「 まあ 、 おかしな 魚 だ わ 、 な んでしょう あれ 」 ||ぎょ|||||

「 海豚 です 」 カムパネルラ が そっち を 見 ながら 答えました 。 いるか||||||み||こたえ ました 「 海豚 だ なんて あたし はじめて だ わ 。 いるか|||||| I've never heard of a sea pig before. けど ここ 海 じゃ ない んでしょう 」 ||うみ|||

「 いるか は 海 に いる と きまって いない 」 あの 不思議な 低い 声 が また どこ から かしました 。 ||うみ|||||||ふしぎな|ひくい|こえ|||||かし ました That mysterious low voice came from somewhere again. Откуда-то снова раздался таинственный низкий голос. 「海裡不一定有海豚。」那神祕的低沉聲音又從哪裡傳來。 ほんとうに その いるか の かたち の おかしい こと は 、 二 つ の ひれ を ちょうど 両手 を さげて 不動 の 姿勢 を とった ような ふうに して 水 の 中 から 飛び出して 来て 、 うやうやしく 頭 を 下 に して 不動 の 姿勢 の まま また 水 の 中 へ くぐって 行く のでした 。 |||||||||ふた|||ひ れ|||りょうて|||ふどう||しせい||||||すい||なか||とびだして|きて||あたま||した|||ふどう||しせい||||すい||なか|||いく| The funny thing about the monster's appearance was that it would come out of the water with its two fins in the immobile posture with its arms down, and then, head down, it would walk back into the water in the immobile posture. 這種動物的形狀最奇怪的是,它以兩鰭一動不動的姿勢從水中跳出來,雙手垂下,恭敬地低著頭。我一動不動地又浸入水中。 見え ない 天の川 の 水 も その とき は ゆらゆら と 青い 焔 の ように 波 を あげる のでした 。 みえ||あまのがわ||すい|||||||あおい|ほのお|||なみ||| 那時,看不見的銀河水域就像藍色的火焰一樣波動。

「 いるか お 魚 でしょう か 」 女の子 が カムパネルラ に はなしかけました 。 ||ぎょ|||おんなのこ||||はなしかけ ました 「這是海豚還是魚?」女孩對康帕內拉說。 男の子 は ぐったり つか れた ように 席 に もたれて 眠って いました 。 おとこのこ||||||せき||もた れて|ねむって|い ました 男孩靠在座位上睡著了,似乎很疲憊。 「 いるか 、 魚 じゃ ありません 。 |ぎょ||あり ませ ん 「這不是魚。 くじら と 同じ ような けだもの です 」 カムパネルラ が 答えました 。 ||おなじ||||||こたえ ました 「它是像鯨魚一樣的野獸,」康帕內拉回答。 「 あなた くじら 見た こと あって 」 ||みた|| "Have you ever seen a whale before?" “你看到了鯨魚。”

「 僕 あります 。 ぼく|あり ます くじら 、 頭 と 黒い しっぽ だけ 見えます 。 |あたま||くろい|||みえ ます 只能看到鯨魚的頭部和黑色的尾巴。 潮 を 吹く と ちょうど 本 に ある ように なります 」 「 くじら なら 大きい わ ねえ 」 「 くじら 大きい です 。 しお||ふく|||ほん||||なり ます|||おおきい||||おおきい| 當你噴的時候,它就像書裡一樣。”“鯨魚很大,不是嗎?”“鯨魚很大。” 子供 だって いるか ぐらい あります 」 「 そう よ 、 あたし アラビアンナイト で 見た わ 」 姉 は 細い 銀 いろ の 指輪 を いじり ながら おもしろ そうに はなし して いました 。 こども||||あり ます||||||みた||あね||ほそい|ぎん|||ゆびわ|||||そう に|||い ました Yes, I saw it in the Arabian Nights," she said with amusement as she fiddled with a thin silver-colored ring. 外面有那麼多孩子。 」「是的,我在《天方夜譚》中看到過。」我姐姐一邊玩弄她那薄薄的銀戒指,一邊有趣地說。 ( カムパネルラ 、 僕 もう 行っち まう ぞ 。 |ぼく||ぎょう っち|| (康帕內拉,我現在要走了。 僕 なんか 鯨 だって 見た こと ないや ) ぼく||くじら||みた|| I've never seen a whale before.) 我什至從未見過鯨魚。)

ジョバンニ は まるで たまらない ほど いらいら し ながら 、 それ でも 堅く 、 唇 を 噛んで こらえて 窓 の 外 を 見て いました 。 ||||||||||かたく|くちびる||かんで||まど||がい||みて|い ました 喬瓦尼看著窗外,幾乎無法忍受地惱怒,但仍然頑固地咬著嘴唇。 その 窓 の 外 に は 海豚 の かたち も もう 見え なく なって 川 は 二 つ に わかれました 。 |まど||がい|||いるか|||||みえ|||かわ||ふた|||わかれ ました 窗外,再也看不到海豬的身影,河水一分為二。 その まっくらな 島 の まん 中 に 高い 高い やぐら が 一 つ 組まれて 、 その 上 に 一 人 の 寛 い 服 を 着て 赤い 帽子 を かぶった 男 が 立って いました 。 ||しま|||なか||たかい|たかい|||ひと||くま れて||うえ||ひと|じん||ひろし||ふく||きて|あかい|ぼうし|||おとこ||たって|い ました 漆黑的島嶼中央矗立著一座高塔,塔頂上站著一個身穿寬鬆衣服、戴著紅色帽子的男子。 そして 両手 に 赤 と 青 の 旗 を もって そら を 見上げて 信号 して いる のでした 。 |りょうて||あか||あお||き|||||みあげて|しんごう||| 他雙手高舉紅藍旗幟,抬頭望天,發出訊號。

ジョバンニ が 見て いる 間 その 人 は しきりに 赤い 旗 を ふって いました が 、 にわかに 赤旗 を おろして うしろ に かくす ように し 、 青い 旗 を 高く 高く あげて まるで オーケストラ の 指揮 者 の ように はげしく 振りました 。 ||みて||あいだ||じん|||あかい|き|||い ました|||あかはた||||||||あおい|き||たかく|たかく|||おーけすとら||しき|もの||||ふり ました 在喬瓦尼的注視下,那人不停地揮舞著紅旗,但他突然把紅旗放了下來,藏在背後,然後他把藍旗高高舉起,開始用力揮舞,就好像他是指揮家一樣。管弦樂團.Ta. すると 空中 に ざ あっと 雨 の ような 音 が して 、 何 か まっくらな もの が 、 いく かたまり も いく かたまり も 鉄砲 丸 の ように 川 の 向こう の 方 へ 飛んで 行く のでした 。 |くうちゅう|||あっ と|あめ|||おと|||なん|||||||||||てっぽう|まる|||かわ||むこう||かた||とんで|いく| Then there was a sound like rain in the air, and something very dark flew over the river like a flashbang, several or several clumps of them. 緊接著,空氣中傳來一陣雨聲,幾道黑色物體如槍聲般飛過河面。 ジョバンニ は 思わず 窓 から からだ を 半分 出して 、 そっち を 見あげました 。 ||おもわず|まど||||はんぶん|だして|||みあげ ました 喬瓦尼本能地將半個身子探出窗外,抬頭望去。 美しい 美しい 桔梗 いろ の がらんと した 空 の 下 を 、 実に 何 万 と いう 小さな 鳥 ども が 、 幾 組 も 幾 組 も めいめい せわしく せわしく 鳴いて 通って 行く のでした 。 うつくしい|うつくしい|ききょう|||||から||した||じつに|なん|よろず|||ちいさな|ちょう|||いく|くみ||いく|くみ|||||ないて|かよって|いく| Tens of thousands of tiny birds were passing under the beautiful bellflower-colored sky, chirping and chirping in groups of tens of thousands. 在美麗的風鈴花空曠的天空下,數以萬計的小鳥飛過,每隻成對地鳴叫著。

「 鳥 が 飛んで 行く な 」 ジョバンニ が 窓 の 外 で 言いました 。 ちょう||とんで|いく||||まど||がい||いい ました 「別讓鳥兒飛走了,」喬瓦尼在窗外說。 「 どら 」 カムパネルラ も そら を 見ました 。 |||||み ました Dora" Kamperla also saw the sky. 康帕內拉也看向天空。 その とき あの やぐら の 上 の ゆるい 服 の 男 は にわかに 赤い 旗 を あげて 狂気 の ように ふりうごかしました 。 |||||うえ|||ふく||おとこ|||あかい|き|||きょうき|||ふり うごかしました 就在這時,塔頂上那個衣衫襤褸的男子突然舉起一面紅旗,瘋狂地揮舞著。 すると ぴたっと 鳥 の 群れ は 通ら なく なり 、 それ と 同時に ぴしゃあん と いう つぶれた ような 音 が 川下 の 方 で 起こって 、 それ から しばらく しいんと しました 。 |ぴた っと|ちょう||むれ||とおら|||||どうじに|ぴ しゃ あん|||||おと||かわしも||かた||おこって||||しいん と|し ました 突然,鳥群不再經過,同時下游傳來一陣撞擊聲,停了下來。 と 思ったら あの 赤 帽 の 信号 手 が また 青い 旗 を ふって 叫んで いた のです 。 |おもったら||あか|ぼう||しんごう|て|||あおい|き|||さけんで|| 正想著,紅帽信號員又揮舞藍旗,大喊大叫。

「 いま こそ わたれ わたり鳥 、 いま こそ わたれ わたり鳥 」 その 声 も はっきり 聞こえました 。 |||わたりどり||||わたりどり||こえ|||きこえ ました 「現在是候鳥的時候,現在是候鳥的時候。」我能清楚地聽到他的聲音。 それ と いっしょに また 幾 万 と いう 鳥 の 群れ が そら を まっすぐに かけた のです 。 ||||いく|よろず|||ちょう||むれ|||||| 同時,另一群數千隻鳥徑直飛向天空。 二 人 の 顔 を 出して いる まん 中 の 窓 から あの 女の子 が 顔 を 出して 美しい 頬 を かがやかせ ながら そら を 仰ぎました 。 ふた|じん||かお||だして|||なか||まど|||おんなのこ||かお||だして|うつくしい|ほお||||||あおぎ ました 少女將頭伸出中間的窗戶,露出兩人的身影,仰望天空,美麗的臉頰閃閃發亮。 「 まあ 、 この 鳥 、 たくさんです わ ねえ 、 あら まあ そら の きれいな こと 」 女の子 は ジョバンニ に はなしかけました けれども ジョバンニ は 生意気な 、 いやだい と 思い ながら 、 だまって 口 を むすんで そら を 見あげて いました 。 ||ちょう||||||||||おんなのこ||||はなしかけ ました||||なまいきな|いやだ い||おもい|||くち|||||みあげて|い ました 「嗯,有很多這樣的鳥,天哪,天空多美麗啊,」女孩開始對喬瓦尼說道,但喬瓦尼感到無禮和噁心,閉上了嘴,抬頭看著天空。在那裡。 女の子 は 小さく ほっと 息 を して 、 だまって 席 へ 戻りました 。 おんなのこ||ちいさく||いき||||せき||もどり ました 少女微微鬆了口氣,靜靜地回到了座位上。 カムパネルラ が きのどく そうに 窓 から 顔 を 引っ込めて 地図 を 見て いました 。 |||そう に|まど||かお||ひっこめて|ちず||みて|い ました 坎帕內拉把頭伸出窗外,看著地圖。 「 あの 人 鳥 へ 教えて る んでしょう か 」 女の子 が そっと カムパネルラ に たずねました 。 |じん|ちょう||おしえて||||おんなのこ|||||たずね ました A girl quietly asked Camperla, "Is he teaching the birds? 「他教鳥嗎?」女孩輕聲問康帕內拉。 「 わたり鳥 へ 信号 して る んです 。 わたりどり||しんごう||| 「我正在向候鳥發出信號。 きっと どこ から か の ろし が あがる ため でしょう 」 This must be due to the fact that filth is rising from somewhere." 我確信這是因為財富正在從某個地方增加。”

カムパネルラ が 少し おぼつかな そうに 答えました 。 ||すこし||そう に|こたえ ました 康帕內拉回答道,有點不確定。 そして 車 の 中 は し い ん と なりました 。 |くるま||なか||||||なり ました 而且車內已經充滿水了。 ジョバンニ は もう頭 を 引っ込め たかった のです けれども 明るい とこ へ 顔 を 出す の が つらかった ので 、 だまって こらえて そのまま 立って 口笛 を 吹いて いました 。 ||もうとう||ひっこめ||||あかるい|||かお||だす||||||||たって|くちぶえ||ふいて|い ました 喬凡尼想把頭縮回來,但他發現自己很難把頭伸到光亮裡,所以他只是站在那裡吹著口哨。 ( どうして 僕 は こんなに かなしい のだろう 。 |ぼく|||| (我為什麼這麼難過? 僕 は もっと こころもち を きれいに 大きく もた なければ いけない 。 ぼく||||||おおきく||| I have to keep my heart clean and big. 我必須保持我的心乾淨而寬廣。 あす この 岸 の ず うっと 向こう に まるで けむり の ような 小さな 青い 火 が 見える 。 ||きし|||う っと|むこう||||||ちいさな|あおい|ひ||みえる Tomorrow I will see a small blue fire like smoke far beyond the shore. 明天,在離海岸很遠的地方,我可以看到一小團藍色的火,看起來像煙霧。 あれ は ほんとうに しずかで つめたい 。 真是又安靜又冷。 僕 は あれ を よく 見て こころもち を しずめる んだ ) ぼく|||||みて|||| 我仔細看了看,心裡平靜下來。)

ジョバンニ は 熱って 痛い あたま を 両手 で 押える ように して 、 そっち の 方 を 見ました 。 ||ねつ って|いたい|||りょうて||おさえる|||||かた||み ました Giovanni looked in that direction, holding his hot, sore head with both hands. 喬凡尼雙手放在滾燙、酸痛的頭上,看向那個方向。 ( ああ ほんとうに どこまでも どこまでも 僕 と いっしょに 行く ひと は ない だろう か 。 ||||ぼく|||いく||||| (啊,真的有人願意陪我去任何地方嗎? カムパネルラ だって あんな 女の子 と おもしろ そうに 談 して いる し 僕 は ほんとうに つらい なあ ) |||おんなのこ|||そう に|だん||||ぼく|||| 坎帕內拉正在與這樣的女孩進行如此有趣的對話,這對我來說真的很難。)

ジョバンニ の 眼 は また 泪 で いっぱいに なり 、 天の川 も まるで 遠く へ 行った ように ぼんやり 白く 見える だけ でした 。 ||がん|||なみだ||||あまのがわ|||とおく||おこなった|||しろく|みえる|| 喬凡尼的眼裡再次充滿了淚水,銀河看起來只剩下隱隱約約的白色,彷彿已經走遠了。

その とき 汽車 は だんだん 川 から は なれて 崖 の 上 を 通る ように なりました 。 ||きしゃ|||かわ||||がけ||うえ||とおる||なり ました 這時,火車逐漸遠離河流,開始翻越懸崖。 向こう岸 も また 黒い いろ の 崖 が 川 の 岸 を 下流 に 下る に したがって 、 だんだん 高く なって いく のでした 。 むこうぎし|||くろい|||がけ||かわ||きし||かりゅう||くだる||||たかく||| 另一邊,還有隨著順流而下,逐漸升起的黑色懸崖。 そして ちらっと 大きな とうもろこし の 木 を 見ました 。 ||おおきな|||き||み ました 然後我瞥見了一棵大玉米樹。 その 葉 は ぐるぐる に 縮れ 葉 の 下 に は もう 美しい 緑 いろ の 大きな 苞 が 赤い 毛 を 吐いて 真珠 の ような 実 も ちらっと 見えた のでした 。 |は||||ちぢれ|は||した||||うつくしい|みどり|||おおきな|ほう||あかい|け||はいて|しんじゅ|||み|||みえた| The leaves were curled and shriveled, and beneath the leaves were large, beautiful greenish-red bracts with red hairs and glimpses of pearly fruit. Листья были свернуты в круг, а под ними уже красовались зеленые лопасти крупных прицветников с красными волосками и проблесками перламутровых плодов. 葉子捲曲起來,下面是又大又漂亮的綠色苞片,吐出紅毛,還隱約可見珍珠般的果實。 それ は だんだん 数 を 増して きて 、 もう いま は 列 の ように 崖 と 線路 と の 間 に ならび 、 思わず ジョバンニ が 窓 から 顔 を 引っ込めて 向こう側 の 窓 を 見ました とき は 、 美しい そら の 野原 の 地平 線 の はて まで 、 その 大きな とうもろこし の 木 が ほとんど いちめんに 植えられて 、 さやさや 風 に ゆらぎ 、 その 立派な ちぢれた 葉 の さき から は 、 まるで ひる の 間 に いっぱい 日光 を 吸った 金剛 石 の ように 露 が いっぱいに ついて 、 赤 や 緑 や きらきら 燃えて 光って いる のでした 。 |||すう||まして|||||れつ|||がけ||せんろ|||あいだ|||おもわず|||まど||かお||ひっこめて|むこうがわ||まど||み ました|||うつくしい|||のはら||ちへい|せん|||||おおきな|||き||||うえ られて|さ や さ や|かぜ||||りっぱな||は||||||||あいだ|||にっこう||すった|こんごう|いし|||ろ||||あか||みどり|||もえて|ひかって|| 它們的數量逐漸增多,現在就像懸崖和鐵軌之間的一排排一樣,喬瓦尼本能地把頭從窗子裡收回來,望向窗外的另一邊,這時他看到了窗外一片美麗的田野。天空。在地平線的邊緣,幾乎一直種植著巨大的玉米樹,它們的豆莢在風中搖曳,細小的捲曲葉子的尖端吸收著陽光,就像它們夾在豌豆之間一樣。滿是露水,燃燒著紅色和綠色,像鑽石一樣閃閃發光。 カムパネルラ が 、

「 あれ とうもろこし だ ねえ 」 と ジョバンニ に 言いました けれども 、 ジョバンニ は どうしても 気持ち が なおりません でした から 、 ただ ぶっきらぼうに 野原 を 見た まま 、 「 そう だろう 」 と 答えました 。 |||||||いい ました|||||きもち||なおり ませ ん|||||のはら||みた|||||こたえ ました He said to Giovanni, "That's corn," but Giovanni could not make up his mind, so he just looked at the field bluntly and said, "I guess so. “那是玉米,”他對喬瓦尼說,但喬瓦尼忍不住茫然地看著田地,回答道:“我想是的。” その とき 汽車 は だんだん しずかに なって 、 いくつか の シグナル と てんてつ器 の 灯 を 過ぎ 、 小さな 停車場 に とまりました 。 ||きしゃ|||||いく つ か||しぐなる||てん てつ うつわ||とう||すぎ|ちいさな|ていしゃば||とまり ました At that time, the train gradually became quiet and stopped at a small stop after passing several signals and ceiling lights. 隨後火車越來越安靜,經過幾個號誌燈和自動燈後,在一個小站停了下來。 その 正面 の 青じろい 時計 は かっきり 第 二 時 を 示し 、 風 も なくなり 汽車 も うごか ず 、 しずかな しずかな 野原 の なか に その 振り子 は カチッカチッ と 正しく 時 を 刻んで いく のでした 。 |しょうめん||あおじろい|とけい||か っきり|だい|ふた|じ||しめし|かぜ|||きしゃ||||||のはら|||||ふりこ||||まさしく|じ||きざんで|| 前方的藍色時鐘清楚地顯示第二個小時,風已經停了,火車也沒動,鐘擺在寂靜的田野裡滴答作響。 そして まったく その 振り子 の 音 の たえま を 遠く の 遠く の 野原 の はて から 、 かすかな かすかな 旋律 が 糸 の ように 流れて 来る のでした 。 |||ふりこ||おと||||とおく||とおく||のはら||||||せんりつ||いと|||ながれて|くる| 而就在鐘擺發出聲音的同時,一道淡淡的旋律如絲線般從遙遠的田野邊緣流淌而出。

「 新 世界 交響楽 だ わ 」 向こう の 席 の 姉 が ひとりごと の ように こっち を 見 ながら そっと 言いました 。 しん|せかい|こうきょう がく|||むこう||せき||あね|||||||み|||いい ました My sister, sitting on the other side of the table, looked at me as if to herself and said softly, "It's a new world symphony. 「這是新世界交響曲,」姊姊輕聲說道,她看著我,彷彿在自言自語。 全く もう 車 の 中 で は あの 黒 服 の 丈 高い 青年 も 誰 も みんな やさしい 夢 を 見て いる のでした 。 まったく||くるま||なか||||くろ|ふく||たけ|たかい|せいねん||だれ||||ゆめ||みて|| Everyone in the car, including the tall young man in black, was having a gentle dream. 車上,所有人,包括那個黑西裝高大青年,都已經在做美夢了。

( こんな しずかな いい とこ で 僕 は どうして もっと 愉快に なれ ない だろう 。 |||||ぼく||||ゆかいに||| (Why can't I be more pleasant in such a nice, quiet place? (為什麼在這麼安靜美好的地方我就不能更快樂呢? どうして こんなに ひと り さびしい のだろう 。 為什麼我感到如此孤單? けれども カムパネルラ なんか あんまり ひどい 、 僕 と いっしょに 汽車 に 乗って い ながら 、 まるで あんな 女の子 と ばかり 談 して いる んだ もの 。 |||||ぼく|||きしゃ||のって|||||おんなのこ|||だん|||| 但坎帕內拉太可怕了,當他和我一起坐火車時,他只是這樣和女孩說話。 僕 は ほんとうに つらい ) ぼく||| 我真的很難受)

ジョバンニ は また 手 で 顔 を 半分 かくす ように して 向こう の 窓 の そと を 見つめて いました 。 |||て||かお||はんぶん||||むこう||まど||||みつめて|い ました 喬瓦尼再次盯著窗外,用手遮住了半張臉。 すきとおった 硝子 の ような 笛 が 鳴って 汽車 は しずかに 動きだし 、 カムパネルラ も さびし そうに 星めぐり の 口笛 を 吹きました 。 |がらす|||ふえ||なって|きしゃ|||うごきだし||||そう に|ほし めぐり||くちぶえ||ふき ました 一聲清脆如玻璃的汽笛響起,火車緩緩前行,一臉落寞的康帕內拉吹著口哨追尋星空。 「 ええ 、 ええ 、 もう この 辺 は ひどい 高原 です から 」 ||||ほとり|||こうげん|| "Yes, yes, it's a terrible highland around here.

うしろ の 方 で 誰 か としより らしい 人 の 、 いま 眼 が さめた と いう ふうで はきはき 談 して いる 声 が しました 。 ||かた||だれ||||じん|||がん|||||||だん|||こえ||し ました 身後傳來一個似乎是剛睡醒的人大聲說話的聲音。 「 とうもろこし だって 棒 で 二 尺 も 孔 を あけて おいて そこ へ 播かない と はえ ない んです 」 ||ぼう||ふた|しゃく||あな||||||ばん か ない|||| Corn will not grow unless you pierce it with a stick two feet deep and sow it in the hole. “除非你用棍子挖一個兩英尺的洞並在那裡播種,否則玉米無法生長。”

「 そう です か 。 川 まで は よほど ありましょう か ねえ 」 「 ええ 、 ええ 、 河 まで は 二千 尺 から 六千 尺 あります 。 かわ||||あり ましょう|||||かわ|||にせん|しゃく||ろくせん|しゃく|あり ます 到河邊不是很遠嗎? 」「是的,是的,距離河邊有 2,000 到 6,000 英尺。 もう まるで ひどい 峡谷 に なって いる んです 」 |||きょうこく|||| 現在它就像一個可怕的峽谷。”

そう そう ここ は コロラド の 高原 じゃ なかったろう か 、 ジョバンニ は 思わず そう 思いました 。 ||||ころらど||こうげん||||||おもわず||おもい ました Yes, yes, this was the Colorado highlands, Giovanni thought to himself. 是的,這一定是科羅拉多高地,喬瓦尼心裡想。 あの 姉 は 弟 を 自分 の 胸 に よりかからせて 眠らせ ながら 黒い 瞳 を うっとりと 遠く へ 投げて 何 を 見る でも なし に 考え込んで いる のでした し 、 カムパネルラ は まだ さびし そうに ひとり 口笛 を 吹き 、 男の子 は まるで 絹 で 包んだ りんご の ような 顔 いろ を して ジョバンニ の 見る 方 を 見て いる のでした 。 |あね||おとうと||じぶん||むね||よりかから せて|ねむら せ||くろい|ひとみ||うっとり と|とおく||なげて|なん||みる||||かんがえこんで||||||||そう に||くちぶえ||ふき|おとこのこ|||きぬ||つつんだ||||かお||||||みる|かた||みて|| 姊姊讓弟弟靠在自己的胸前睡著了,黑色的眼睛夢幻般地望向遠方,陷入沉思,什麼也看不見,康帕內拉還在自言自語,一臉落寞。男孩的臉就像是包裹著蘋果的蘋果。絲綢,他看著喬瓦尼看他的方式。

突然 とうもろこし が なくなって 大きな 黒い 野原 が いっぱいに ひらけました 。 とつぜん||||おおきな|くろい|のはら|||ひらけ ました 突然,玉米耗盡了,出現了一大片黑色的田野。 新 世界 交響 楽 は いよいよ はっきり 地平 線 の はて から 湧き 、 その まっ黒 な 野原 の なか を 一 人 の インデアン が 白い 鳥 の 羽根 を 頭 に つけ 、 たくさんの 石 を 腕 と 胸 に かざり 、 小さな 弓 に 矢 を つがえて いちもくさんに 汽車 を 追って 来る のでした 。 しん|せかい|こうきょう|がく||||ちへい|せん||||わき||まっ くろ||のはら||||ひと|じん||||しろい|ちょう||はね||あたま||||いし||うで||むね|||ちいさな|ゆみ||や||つが えて||きしゃ||おって|くる| 新世界的交響曲清晰地從地平線邊緣升起,漆黑的田野中出現了一個印第安人,他的頭上戴著白色的鳥毛,手臂和胸前有許多石頭,還有一把小弓和一支箭。大量孵化並跟隨火車。 「 あら 、 インデアン です よ 。 インデアン です よ 。 我是印度人。 おね え さま ごらん なさい 」 姐姐大人請看一下。」

黒 服 の 青年 も 眼 を さましました 。 くろ|ふく||せいねん||がん||さまし ました ジョバンニ も カムパネルラ も 立ちあがりました 。 ||||たちあがり ました 喬瓦尼和坎帕內拉都站了起來。 「 走って 来る わ 、 あら 、 走って 来る わ 。 はしって|くる|||はしって|くる| "They're coming running. Oh, they're coming running. 「我跑過來了,哦,我跑過來了。 追いかけて いる んでしょう 」 おいかけて|| You're chasing them." 我猜他是在追我。”

「 いいえ 、 汽車 を 追って る んじゃ ない んです よ 。 |きしゃ||おって||||| “不,我不是在追火車。” 猟 を する か 踊る か して る んです よ 」 りょう||||おどる||||| They're either hunting or dancing." 我要么在打獵,要么在跳舞。”

青年 は いま どこ に いる か 忘れた と いう ふうに ポケット に 手 を 入れて 立ち ながら 言いました 。 せいねん|||||||わすれた||||ぽけっと||て||いれて|たち||いい ました 年輕人雙手插在口袋裡站著,彷彿忘了自己身在何處。 まったく インデアン は 半分 は 踊って いる ようでした 。 |||はんぶん||おどって|| It was as if Indian was dancing half the time. 第 一 かける に して も 足 の ふみ よう が もっと 経済 も とれ 本気に も なれ そうでした 。 だい|ひと|||||あし||||||けいざい|||ほんきに|||そう でした First of all, I thought I would be more economical and more serious about my footing if I were to carry. Во-первых, даже если бы вы его выполняли, то в этом случае вы бы экономили на ногах и были бы более серьезными. 即使在第一次通話之後,我也感覺自己變得更經濟、更認真了。 にわかに くっきり 白い その 羽根 は 前 の 方 へ 倒れる ように なり 、 インデアン は ぴたっと 立ちどまって 、 すばやく 弓 を 空 に ひきました 。 ||しろい||はね||ぜん||かた||たおれる|||||ぴた っと|たちどまって||ゆみ||から||ひき ました The feathers, now clearly white, tumbled forward, and the Indian stopped dead in his tracks and quickly drew his bow into the sky. 突然,明亮的白色羽毛開始向前掉落,印第安人僵住了,迅速地將弓拉到空中。 そこ から 一 羽 の 鶴 が ふらふら と 落ちて 来て 、 また 走り出した インデアン の 大きく ひろげた 両手 に 落ちこみました 。 ||ひと|はね||つる||||おちて|きて||はしりだした|||おおきく||りょうて||おちこみ ました 一架起重機從那裡搖搖晃晃地落下,落在印第安人伸出的手中,印第安人又開始奔跑。 インデアン は うれし そうに 立って わらいました 。 |||そう に|たって|わらい ました 印度人高興地站著笑起來。 そして その 鶴 を もって こっち を 見て いる 影 も 、 もう どんどん 小さく 遠く なり 、 電しん ば し ら の 碍子 が きらっきらっと 続いて 二 つ ばかり 光って 、 また とうもろこし の 林 に なって しまいました 。 ||つる|||||みて||かげ||||ちいさく|とおく||でんしん|||||がいし||きらっき らっと|つづいて|ふた|||ひかって||||りん|||しまい ました And the shadow that was looking at me with the crane became smaller and smaller and more and more distant, and the insulators on the posts of the electric wires glinted, followed by two more glints, and then the forest became a forest of corn again. И тень, которая смотрела на меня с крана, становилась все меньше и меньше, все более и более далекой, и промелькнули изоляторы электрощитов, потом еще пара бликов, и снова стал лес кукурузы. 而舉著起重機看著我的影子變得越來越小,越來越遠,電線樑的絕緣體繼續發出明亮的光芒,然後又變成了玉米林。 こっち 側 の 窓 を 見ます と 汽車 は ほんとうに 高い 高い 崖 の 上 を 走って いて 、 その 谷 の 底 に は 川 が やっぱり 幅ひろく 明るく 流れて いた のです 。 |がわ||まど||み ます||きしゃ|||たかい|たかい|がけ||うえ||はしって|||たに||そこ|||かわ|||はばひろく|あかるく|ながれて|| 我向這邊窗外望去,只見火車正駛過一座很高的懸崖,谷底有一條寬闊明亮的河流。 「 ええ 、 もう この 辺 から 下り です 。 |||ほとり||くだり| Yes, I'm already down here. 「是的,我已經從這裡出發了。 なんせ こんど は 一ぺん に あの 水面 まで おりて 行く んです から 容易じゃ ありません 。 なん せ|||いっぺん|||すいめん|||いく|||よういじゃ|あり ませ ん It's not easy because this time it goes all the way to the surface of the water. 畢竟這次要一步一步下到水面,並不容易。 この 傾斜 が ある もん です から 汽車 は 決して 向こう から こっち へ は 来 ない んです 。 |けいしゃ||||||きしゃ||けっして|むこう|||||らい|| Because of this slope, trains never come here from the other side. 由於這個斜坡,火車永遠不會從那裡開到這裡。 そら 、 もう だんだん 早く なった でしょう 」 さっき の 老人 らしい 声 が 言いました 。 |||はやく|||||ろうじん||こえ||いい ました 嗯,速度越來越快了,不是嗎?」剛才那個老人般的聲音說。