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盾の勇者の成り上がり 01, 盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 21

二十一 話   災厄 の 波

村 に 着く と 、 丁度 、 波 から 溢れて いた 化け物 達 が 、 まさに 暴れ だす 瞬間 だった 。

駐在 して いた 騎士 と 冒険 者 が 辛うじて 化け物 達 と 戦って いる が 、 多勢 に 無勢 …… 防衛 線 は 決壊 寸前 だ 。

「 ラフタリア は 村民 の 避難 誘導 を しろ 」

「 え 、 ナオフミ 様 は ……?

「 俺 は 敵 を 引き 付ける !

防衛 線 に 向かって 駆け 出し 、 イナゴ の 群 の ような 魔物 に 向けて 盾 を 使って 殴り かかる 。

無論 、 金属 を 殴った 音 が して ダメージ は まるで 入って い ない 。

だが 注意 を 引く 位 は できる 。

これ まで ラフタリア と やって いた 事 と 何も 変わら ない 。

「 グギ !

イナゴ の ような 小さな 魔物 が 群 を 成して 俺 に 向 って 襲い 掛かる 。

他 に ハチ 、 ゾンビ と 化け物 の 種類 は 決まって いる ようだ 。

ガン !

ガン !

ガン !

蛮族 の 鎧 の お陰 か 、 それとも 盾 の 効果 か 、 ダメージ は 受け ない 。

「 ゆ 、 勇者 様 ?

「 ああ …… お前 等 、 俺 が 引き つけて いる 間 に サッサ と 体制 を 立て直せ !

リユート 村 の 連中 は 俺 と 顔なじみ の 奴 も 多い 。

「 は 、 はい !

これ 幸いに と 、 深手 を 負って い ない 奴 まで 下がり 、 防衛 線 が 俺 一 人 に なった 。

「 おい ……」

何 を 考えて い やがる 。

半ば 呆れて いる 間 に も 、 化け物 たち は 俺 を 倒そう と 牙 や ハリ 、 爪 で 攻撃 して くる 。

ガキンガキン と 音 を 立てて いる けれど 、 痛く も 痒 く も 無い 。

ただ 、 全身 を 這わ れる 感覚 は 気持ち 悪くて しょうがない 。

化け物 を 殴り つける 。

ガイン !

った く 、 この 世界 の 連中 は どうして こう も 人任せ な んだ ?

災厄 の 波 が 始まって 早々 イラ だって しょうがない 。

「 た 、 助け ──!!」

世話 に なって いた 宿屋 の 主人 が 後方 で 化け物 に 襲わ れ そうに なって いる 。

化け物 の 爪 が 宿屋 の 主人 を 貫こう と する 瞬間 、 俺 は 咄嗟に 叫んだ 。

「 エアストシールド !

スキル を 唱え 、 宿屋 の 主人 を 守る 盾 を 呼び 出した 。

突然 現れた 盾 に 宿屋 の 主人 は 驚いて いた が 、 俺 の 方 を 向く 。

「 早く 逃げろ !

「…… あ 、 ありがとう 」

腰 が 抜けて いた 主人 は 礼 を 言う と 、 家族 と 一緒に その 場 を 去った 。

「 き ゃ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

絹 を 裂く ような 悲鳴 。

見る と 逃げ 遅れた らしき 女性 の 方 へ 魔物 が 群 を 成して 近づき つつ ある 。

俺 は 射程 圏 内 まで 近づき 、

「 シールドプリズン !

女性 を 守る 四方 の 盾 を 呼び 出した 。

突然の 盾 の 出現 に 、 化け物 たち は ターゲット を 俺 に 変更 する 。

そうだ 。

こっち に 来い 。 狙い は 俺 だけ で 良い 。

シールドプリズン の 効果 時間 が 切れる 前 に 化け物 を 引きつれて 移動 する 。

「 ハァ …… ハァ …… 他 に 逃げ 遅れた 奴 は ── っ !

走り ながら 周囲 を 見渡して いる と 突然 前方 から 一 匹 の 化け物 が 攻撃 を 仕掛けて きた 。

反射 的に 盾 を 構えて 攻撃 を 防ぐ 。 すると 大きな 火花 が 散った 。

「 ゾンビ か ……」

盾 の 解析 で は 名称 は 次元 ノ 屍 食 鬼 。

今 まで 連れて いた イナゴ や ハチ みたいな 化け物 と は 趣 が 違う 。

両手 に 武器 を 持ち 、 身体 に は 鎧 を 付けて いる 。

「 くっ !

やる しか ない か ……」

せめて ラフタリア の 避難 誘導 が 終わる まで は コイツ の 注意 を 引き 付けて おか ない と 。

だが 、 どうせ なら クソ 勇者 共 が 戦って いる 方向 で 戦おう 。

敵 は まだ 湧いて くる 。

新たに 現れた 化け物 が 一 匹 でも 多く 俺 に 注意 を 向ければ 俺 の 仕事 も 減る 。

「 付いて 来い ゾンビ 共 !

お前 等 臭い んだ よ ! 」

走る 速度 を 上げる 。

イナゴ 、 ハチ 、 ゾンビ と 種類 の 違う 化け物 を 連れて いる から な 。 一 匹 一 匹 の 速 さ に 違い が ある 所 為 で 行軍 速度 も 違う 。

幸いな の は 化け物 共 の 知能 が それ 程 高く 無い こと で 、 一 番 近い 俺 を 狙って 来る 。

「 ち っ !

前 から も か 」

盾 の お陰 で 頑丈 と は 言って も 、 可能な 限り 攻撃 を 受け たく なかった が 致し方ない 。

ここ で 敵 の 行軍 を 止める 。

まず 前 から 迫って くる 化け物 の 攻撃 を 盾 で 受け止め 、 そして 受け流し ながら 反転 。

今 は ラフタリア が い ない から な 。

無理に 全て 攻撃 を 受けて やる 道理 は 無い 。

こちら に 攻撃 手段 が 無い 以上 、 無い なら 無い なり の 戦い を する まで だ 。

「 エアストシールド !

空中 に エアストシールド を 展開 さ せた 。

俺 の 周り に は 化け物 が 円 を 描く 形 で 密集 して いる 。

さすが に 化け物 の 波 に 飲み 込ま れたら 俺 でも 耐え られる 確証 が 無い 。

ならば ──。

「 よっ と !

屍 食 鬼 を 足 蹴 に エアエストシールド へ 飛び乗った 。

そして 化け物 が 少ない 位置 に 着地 して 盾 を 構える 。

くっ …… イナゴ の 様 な 化け物 が 俺 に へばり付いて いる 。

振り払って も 数 匹 が 吹っ飛ぶ 位 で 身体 が 気持ち 悪い 。 何より も 身体 が 少し 重く なった 。

くそ っ !

さっき みたいに 囲ま れたら 飛んで 逃げる 作戦 が 難しい 。

引き 離せ ない なら コレ で どう だ 。

「 アニマルニードルシールド !

この 盾 は 専用 効果 針 の 盾 ( 小 ) が 付いて いる 。

これ は 盾 の 部分 で 攻撃 を 受ける と 針 が 振動 して 敵 に ダメージ を 与え られる 。 難点 は 先程 まで 使って いた 盾 より も 防御 力 が 低い 事 か 。 しかも ダメージ 自体 は 僅か と いう 始末 。 しかし 俺 に は これ しか 攻撃 手段 が ない 。

もう 一 つ 、 同じ ように カウンター 効果 の ある 盾 が 無い 訳 じゃ ない が 、 この 盾 と は 違って 群れ と の 相性 が 悪い 。

「 喰 ら え !

盾 で パンチ する か の 様 に 化け物 に 攻撃 する 。

カンッ !

と いう 、 相変わらず の 音 が 響いた 。

やはり 俺 の 攻撃 で は ダメージ は 期待 でき ない らしい 。

逆に 化け物 の 攻撃 を 盾 で 防ぐ 。

すると 針 が 飛び出て 化け物 に 命中 した 。 ダメージ は 少ない が 、 攻撃 を 与えれば 少し は 敵 に 隙 が できる 。 そこ を 利用 して 時間 を 稼ぐ しか ない 。

「 コイツ は ……」

見えた の は 屍 食 鬼 が 武器 を 振り 被って いる 姿 。

手 に 持って いる 大きな 斧 は 、 攻撃 を 盾 で 受ける より も 前 に 俺 の 肩 を 抉った のだ 。

「 ぐ っ !

肩 に 熱 を 帯びた 激痛 が 走り 、 血 が 噴出 した 。

鮮血 に 数 歩 後ろ に 下がる 。

痛い 。

なんで 俺 が こんな こと を し なくて は なら ない 。

俺 を バカに する 連中 を 血 を 流して まで 守って やる なんて バカ みたいだ 。

落ち着け …… 冷静に なれ 。

これ は 盾 で 受け られ なかった だけ で なく 、 攻撃 用 の 盾 を 使って いた 所 為 も ある だろう 。

もっと 防御 力 の 高い 盾 を 使おう と 思えば 、 反撃 の 手段 が 無くなる 。

本当 、 使い 辛い 盾 だ な !

「 勇者 様 !

「 な っ !?  なんで ここ に いる !

邪魔だ 、 さっさと 逃げろ ! 」

そこ に は 武器 を 持った …… と 言って も 農具 ばかり だ が 村 の 男 共 が 立って いた 。

中 に は 先程 助けた 連中 も 含ま れて いる 。

「 ですが 盾 の 勇者 様 が 一 人 です !

お前 等 が そうした んだ ろ !

俺 だって 一 人 に なり たくて なって る 訳 じゃ ね ー よ !

前線 を 維持 しろ って 言った の に 下がった の は お前 等 だろう が 。

…… 逃げた 冒険 者 連中 は ここ に い ない な 。

「 この 村 は 私 達 の 村 です !

逃げる だけ で は いけ ませ ん ! 」

「 くっ !

わかった 。 俺 が 盾 に なる 。 避難 が 終わる まで 戦線 維持 に 協力 して くれ 。 お前 等 は 攻撃 を 受け ない 様 に 陣形 を 組んで 攻撃 しろ ! 」

「 わかり ました !

正直 ありがたい 。

攻撃 手段 が 無い 以上 、 少し でも 戦力 が あれば 戦闘 能力 が 格段に 上がる 。 それ は ラフタリア で 実証 さ れて いる の は 言う まで も 無い 。

俺 は 直 に ライトメタルシールド に 切り替え 、 村人 の 陣形 に 合わせて 敵 の 注意 を 引いた 。

「 一 発 攻撃 を 与えたら 離れろ よ 。

敵 の 進行 の 邪魔 を して 、 俺 が 受ける 」

「 はい !

村人 達 を 守る 様 に 前 へ 立ち 、 攻撃 を 盾 で 防ぐ 。

そして 村人 達 は その 間 から 農具 を 突き刺した 。

さすが に 一 発 で は 無理だ が 、 十 発 二十 発 と 攻撃 を 与える 内 に 化け物 は 倒れて いく 。

「 ひ ぃっ !

村人 へ 攻撃 が 飛んで いけば 盾 で 受け止め 声 を 上げる 。

「 安心 しろ !

攻撃 は 俺 が 全て 引き受ける 。 お前 等 は 敵 を 倒す 事 だけ を 考えろ ! 」

村人 達 から 安堵 の 表情 が 読み 取れる 。

少なくとも 、 自分 達 を 守って くれて いる と いう 事 は 伝わった と 思って 良い だろう 。

災害 なんか で は 声 が 大きい 者 に 先導 さ れる 輩 が いる らしい が 、 ソレ かも しれ ない な 。 だが 、 今 は それ で 良い 。 宣言 通り 俺 の 味方 を する なら 守って やる 。

「 それにしても 数 が 多い …… 避難 は まだ 終わら ない の か !

「 他の 勇者 様 は どうして いる のです か ?

「 ハッ !

波 の 大 本 で 戦闘 中 だ よ ! お前 等 を 無視 して な っ ! 」

「 な 、 なんて 事 だ ……」

俺 の 言葉 に 村人 の 一 人 が 意気消沈 して いる 。

瞬間 、 下 に 大きな 影 が 生まれた の が 見えた 。

咄嗟に その 男 を 突き飛ばす 。

「 ぐ あっ ……」

現れた の は 巨大な 屍 食 鬼 。

装備 も 他の 奴 等 より 豪華な 鎧 を 付け 、 巨大な 斧 を 持って いる 。

その 攻撃 を 盾 も 構え ず 受けた 所 為 で 視界 が 揺らぐ 。

こんな 所 で 死ねる か !

俺 は 歯 を 食い縛って 意識 を 繋ぐ 。

ここ で 倒れたら 本当に 死ぬ 。

明らかに 他の 奴 と は 違う 。

まともに 喰 ら った と は いえ 、 俺 が ダメージ を 受ける んだ 。

相当な 奴 だろう 。

「 大丈夫 か !?」

「 は 、 はい …… ゆ 、 勇者 様 は ……」

「 もう 良い !

お前 等 は 下がれ 。 あれ を 相手 に して お前 等 を 守れる 自信 が 無い ! 」

「 ですが !

下がれ と いう 言葉 に 反論 を 唱えよう と する 村人 達 。

そこ に ──

「 ナオフミ 様 !

既に 戦闘 準備 を 整えた ラフタリア が 剣 を 持って 現れた 。

「 ラフタリア か !

丁度 良い 。 アイツ を 倒す ぞ ! 」

「 はい !

巨大な 屍 食 鬼 に 向き合う 様 に 移動 して 盾 を 構える 。

「 攻撃 は 俺 が 受け止める 。

今 まで 通り 、 剣 で 突き刺せ 」

「 わかり ました 」

大きくて も 屍 食 鬼 の 知能 は 他 と 然 程 変わら ない のだろう 。

目 に 付いた 俺 に 攻撃 を 振るう 屍 食 鬼 の 攻撃 を 真っ向 から 受け止める 。

避け ない の は 味方 へ 攻撃 が いか ない 様 に する 意味 も ある 。

避ける と 攻撃 が バラ ける し 、 ラフタリア が 攻撃 以外 の 事 も 考え なくて は いけなく なる から だ 。

屍 食 鬼 が 攻撃 を 振り 被る と 同時に ラフタリア は 剣 で 突き刺した 。

その 影響 で 盾 が 受ける 衝撃 が 若干 減った 。

よし !

これ なら 行ける 。

「 ラフタリア 、 コイツ 等 は 近い 奴 から 攻撃 する 習性 が ある 。

剣 を 刺したら 距離 を 取り 、 俺 に 攻撃 して きたら 同じ 要領 で また 刺して くれ 」

「 はい !

「 す 、 すごい ……」

俺 達 の 連携 に 村人 が 感想 を 漏らして いる 。

そんな 事 より コイツ 等 を 早く 逃がさ ない と 。

「 まだ 居た の か !

早く 下がれ 。 協力 は 感謝 する が 、 今 は 正直 邪魔な んだ ! 俺 は お前 達 を 死な せ ない 為 に ここ に いる んだ ぞ ! 」

「 わ 、 わかり ました !

強く 叫ば れた 影響 か 素直に 頷いた 村人 達 が 警戒 し ながら 距離 を 取り 始める 。

そして ある 程度 村人 達 が 離れた 所 で 背筋 を 嫌な 物 が 通り 過ぎた 。

「 ラフタリア !

俺 は 剣 を 構えて いた ラフタリア を 抱える 様 に 抱き 寄せ 、 マント を 広げて 中 へ 隠した 。

「 ナオフミ 様 !?」

一 番 防御 力 の 高い ライトメタルシールド に 盾 を 変える 。

その 直後 に 降り 注ぐ 火 の 雨 。

化け物 の 群れ の 中 から 外 を 見る と 騎士 団 が 到着 し 、 魔法 が 使える 連中 が 火 の 雨 を こちら に 向けて 放って いた 。

「 おい !

こっち に は 味方 が いる んだ ぞ ! 」

あっという間 に 引火 して 燃え盛る 化け物 達 。

昆虫 が 多い から な 、 火 の 魔法 で 燃え盛って いく 。

どうやら 俺 は 物理 防御 力 だけ で なく 、 魔法 防御 力 も 高い 様 だ な 。

いや 、 ライトメタルシールド の 専用 効果 魔法 防御 向上 の お陰 か 。

巨大な 屍 食 鬼 も 燃え盛る 雨 に 大きな 音 を 立てて 倒れる 。

それ を 確認 する や 真 紅 に 燃え盛る 防衛 線 の 中 、 味方 の 誤射 と は な んだろう か と 腹 が 立ち ながら 、 俺 は ツカツカ と 騎士 団 を 睨み つけ ながら 近づき 、 マント を 靡 かせ 、 炎 を 散らす 。

「 ふん 、 盾 の 勇者 か …… 頑丈な 奴 だ な 」

騎士 団 の 隊長 らしき 奴 が 俺 を 見る なり 吐き 捨てた 。

直後 、 マント の 中 から 飛び出す ように 剣 を 振りかぶる ラフタリア 。 吐き 捨てた 奴 は 剣 を 抜き 、 ガキン と 音 を 立てて 鍔迫 り 合い に なる 。

「 ナオフミ 様 に 何 を なさる のです か !

返答 次第 で は 許し ませ ん よ ! 」

殺意 を 込めて 、 ラフタリア が 言い放つ 。

「 盾 の 勇者 の 仲間 か ?

「 ええ 、 私 は ナオフミ 様 の 剣 !

無礼 は 許し ませ ん ! 」

「…… 亜人 風情 が 騎士 団 に 逆らう と でも 言う つもり か ?

「 守る べき 民 を 蔑 ろ に して 、 味方 である はずの ナオフミ 様 もろとも 魔法 で 焼き払う ような 輩 は 、 騎士 であろう と 許し ませ ん !

「 五 体 満足 な のだ から 良い じゃ ない か 」

「 良く あり ませ ん !

ギリギリ と 鍔迫 り 合い を 続ける ラフタリア を 騎士 達 は 囲む 。

「 シールドプリズン !

「 な 、 貴 様 ──」

鍔迫 り 合い の 相手 を 盾 の 牢獄 に 閉じ 込め 、 俺 は 多勢 に 無勢 を 働こう と した 騎士 達 を 睨む 。

「…… 敵 は 波 から 這い ずる 化け物 だろう 。

履き違える な ! 」

俺 の 叱責 に 騎士 団 の 連中 は 分 が 悪い ように 顔 を 逸ら す 。

「 犯罪 者 の 勇者 が 何 を ほ ざ く 」

「 なら …… 残り は お前 達 だけ で 相手 を する か ?

燃え盛る 前線 を 化け物 たち が 我が 者 顔 で 蠢き 、 最 前線 に いる 俺 に 襲い 掛かる 。

その 全て を 耐え 切って いる 俺 に 、 騎士 達 は 青い 顔 を した 。

仮にも 俺 は 盾 の 勇者 だ 。

コイツ 等 だけ で は 持つ はず も ある まい 。

「 ラフタリア 、 避難 誘導 は 済んだ か ?

「 いえ …… まだ です 。

もう 少し 掛かる と 思い ます 」

「 そう か 、 じゃあ 早く 避難 さ せて おけ 」

「 ですが ……」

「 味方 に 魔法 を ぶ っ放さ れた が 、 痛く も 痒 く も 無い 。

ただ …… 俺 が 手 も 足 も 出 ない と 舐めた 態度 を 取って いる の なら ……」

ラフタリア の 肩 を 叩き ながら 、 騎士 団 を 睨み つける 。

「…… 殺す ぞ 。

どんな 手段 を 使って も 、 最悪 お前 等 を 化け物 の エサ に して 俺 は 逃げて も いい 」

俺 の 脅し が 効いた の か 騎士 団 の 連中 は 息 を 呑 んで 魔法 の 詠 唱 を 止める 。

「 さて 、 ラフタリア 。

戦い を 始める の は 邪魔な 奴 等 を 逃がして から だ 。 な に 、 敵 は いっぱい いる 。 それ から で いい 」

思いのほか 、 耐え られる ようだ から な 。

これ なら 大丈夫 そうだ 。

「 は 、 はい !

指示 に 従い ラフタリア は 村 の 方 へ 駆け 出す 。

「 くそ !

盾 の 勇者 風情 が 」

牢獄 の 効果 時間 が 切れた 途端 、 隊長 らしき 馬鹿 が 俺 に 怒鳴り つける 。

「 そう か 、 お前 は …… 死ぬ か ?

俺 の 背後 に 迫る 化け物 たち 。

さすが に 俺 が 守ら ねば 自分 に 降りかかる の を 察した の か 馬鹿 は 黙って 下がる 。

まったく 、 ど いつも こいつ も 、 碌 な 奴 が 居 ない 。

俺 が 守る しか 能 の 無い 盾 の 勇者 じゃ なかったら こんな 奴 等 、 誰 が 好き 好んで 助けて やる か 。

邪魔な 連中 の 避難 が 終わった ラフタリア が 前線 に 復帰 する と 俺 は 攻撃 に 打って出た 。

騎士 団 の 連中 の 援護 を 利用 し つつ 、 空 の 亀裂 が 収まった の は 数 時間 も 後 の 事 だ 。

「 ま 、 こんな 所 だ ろ 」

「 そう だ な 、 今回 の ボス は 楽勝 だった な 」

「 ええ 、 これ なら 次の 波 も 余裕 です ね 」

波 の 最 前線 で 戦って いた 勇者 共 が 今回 の 一 番 の ボス らしき キメラ の 死体 を 前 に 雑談 交じり に 話し 合い を 続けて いる 。

民間 人 の 避難 を 騎士 団 と 冒険 者 に 任せて 何 を 言って や がる …… 一 ヶ月 も 経って いる と いう のに ゲーム 気分 の 抜け ない 奴 等 だ 。

注意 する の も 面倒な 俺 は そんな クソ 勇者 共 を 無視 して 、 波 を 乗り切った 事 を 安堵 して いた 。

空 は 何時も の ような 色 だ が 、 やがて 夕日 に 染まる 。

これ で 最低 一 ヶ月 は 生き延び られる 。

…… ダメージ を あまり 受け なかった の は 、 波 が まだ 弱い から だろう 。

次 も 耐え られる か 正直 分から ない 。

いずれ 俺 が 耐え られ なく なった 時 …… どう なる の か 。

「 よく やった 勇者 諸君 、 今回 の 波 を 乗り越えた 勇者 一行 に 王様 は 宴 の 準備 が できて いる と の 事 だ 。

報酬 も 与える ので 来て 欲しい 」

本来 は 行き たく ない 。

けど 、 俺 に は 金 が ない 。 だから 俺 は 引き上げる 連中 に 付き添い 、 一緒に 付いて 行く 。

確か 、 支度 金 と 同等の 金銭 を 一定 期間 毎 に くれる はずだ 。

銀貨 五百 枚 。

今 の 俺 に は 大金 である 。

「 あ 、 あの ……」

リユート 村 の 連中 が 俺 を 見る なり 話し かけて くる 。

「 なんだ ?

「 ありがとう ございました 。

あなた が 居 なかったら 、 みんな 助かって い なかった と 思い ます 」

「 なる ように なった だ ろ 」

「 いいえ 」

別の 奴 が 俺 の 返答 を 拒む 。

「 あなた が 居た から 、 私 たち は こうして 生き残る 事 が 出来た んです 」

「 そう 思う なら 勝手に 思って いろ 」

「「「 はい !

」」」

村 の 連中 は 俺 に 頭 を 下げて 帰って いった 。

村 の 損 耗 は 激しい 。

これ から の 復興 を 考える と 大変だろう 。

命 を 助けて 貰ったら 礼 を 言う だけ 、 普段 は 俺 を 蔑む くせ に …… 現金な 連中 だ 。

だが …… 悪魔 だ と 罵ら れる より は 遥かに マシ だ な 。

「 ナオフミ 様 」

長い 戦い の 末 、 泥 と 汗 まみれ に なった ラフタリア が 笑顔 で 駆け寄って くる 。

「 やり ました ね 。

みんな 感謝 して ます よ 」

「…… そう だ な 」

「 これ で 、 私 の 様 な 方 が 増え なくて すみ ます 。

ナオフミ 様 の お陰 です ! 」

「…… ああ 」

戦後 の 高揚 から か 、 それとも 自身 の 出自 と 重ねて な の か 、 ラフタリア は 涙ぐんで いる 。

「 私 も …… 頑張り ました 」

「 ああ 、 お前 は 良く 頑張った な 」

ラフタリア の 頭 を 撫でて 、 俺 は 褒めた 。

そうだ 。

ラフタリア は 俺 の 指示 通り ちゃん と 動き 、 戦った 。

それ は 正しく 評価 し なくて は いけない 。

「 いっぱい 化け物 を 倒し ました 」

「 ああ 、 助かった よ 」

「 え へ へ 」

嬉し そうに 笑う ラフタリア に 少々 不思議な 思い が し つつ 、 俺 達 は 城 へ と 向 う のだった 。

さすが 勇者 だ 。 前回 の 被害 と は 雲泥 の 差 に ワシ も 驚き を 隠せ ん ぞ ! 」

陽 も 落ち 、 夜 に なって から 城 で 開か れた 大 規模 な 宴 で 王様 が 高らかに 宣言 した 。

ちなみに 死傷 者 は 前回 が どれ 程 な の か 知ら ない が 、 今回 の 死傷 者 は 一 桁 に 収まる 程度 だった らしい 。

…… 誰 の 活躍 か なんて 自己 主張 する つもり は 無い 。

あの 勇者 共 が 湧き 出す 化け物 達 を 倒して は いた らしい ので 全部 俺 の 手柄 だ と は 思わ ない 。

だが 、 いずれ この 程度 で は 済ま なく なる のだろう な と 俺 自身 思って いる 。

砂時計 に よって 転送 さ れる 範囲 が 近かった から 良かった もの の 、 騎士 団 が 直 に これ ない 範囲 で 起こったら どう する つもりな んだ 。

課題 は 多い な ……。

ヘルプ を 呼び 出し 、 確認 する 。

あの 態度 だ 。

俺 に 登録 さ れよう なんて 輩 は い ない だろう が な 。

しかし …… あの クソ 勇者 共 は 使わ なかった な 。

一体 何故 だ ?

知って いる ゲーム なら 手配 して いて も おかしく ない はずだ 。

…… 大方 、 そこ まで 大変じゃ ない と 思って いた と か 、 確認 を 怠って いた と か そんな 所 だった のだろう 。

言う の も 煩わしい 。

俺 は 宴 が 催さ れて いる 中 、 隅 の 方 で 適当に 飯 を 食べる 。

「 ご馳走 です ね !

ラフタリア が 普段 は 食べ られ ない 食べ物 の 山 を 見て 、 瞳 を 輝か せて いる 。

「 食い たければ 食って 良い ぞ 」

「 はい !

あんまり 良い もの を 食べ させて あげ られ なかった から な …… こんな 時 こそ 好きな もの を 食べ させる べきだろう 。

それ に 見合う 戦果 を ラフタリア は 上げて いる 。

「 あ …… でも 、 食べたら 太っちゃ う 」

「 まだ 育ち盛り だ ろ 」

「 う ー ……」

なんか ラフタリア が 困った 顔 で 悩んで る 。

「 食べれば 良い だ ろ 」

「 ナオフミ 様 は 太った 子 は 好きです か ?

「 は ぁ ?

何 を 言って んだ ?

「 興味 ない 」

女 と 言う だけ で あの クソ 女 が 浮かんで くる んだ 。

好き と か そんな 感情 が 浮かんで こ ない 。

そもそも が 女 と いう 生物 が 生理 的に 気 に 食わ ない 。

「 そう です よ ね 。

ナオフミ 様 は そういう 方 でした 」

半ば 諦めた か の ように ラフタリア は ご馳走 に 手 を 伸ばす 。

「 美味しい です 、 ナオフミ 様 」

「 良かった な 」

「 はい 」

ふう …… 宴 と やら が 面倒だ な 。

報酬 は 何 時 貰える んだ 。

こんな クズ の 集まり 、 見て いる だけ で 腹 が 立つ 。

…… よく 考える と 明日 と か の 可能 性 も ある な 。

無駄 足 だった か ? いや 、 食費 が 浮く から 良い か 。 本人 は 気 に して いる 様 だ が ラフタリア は 亜人 で 成長 期 だ 。 食費 も バカに なら ない 。

「 タッパー と か あれば 持ち 帰れた のに な 」

保存 が 利か ない から 明日 まで だろう が 、 金 を 考えたら もったいない …… 後 で コック に でも 頼んで 包んで もらおう 。

他 に も あまり の 食 材 を 頂いて 行く の も 良い かも しれ ない 。

等 と 考えて いる と 怒り の 形相 を した 元 康 が 人 を 掻き分けて 、 俺 達 の 方 へ 向かって きや がる 。

まったく 、 一体 なん だって 言う んだ 。

相手 を する の も 面倒だ から 避けよう と 人 混 み の 方 へ 歩く と 元 康 の 奴 、 俺 を 睨み つけ ながら 追って くる 。

「 おい !

尚 文 ! 」

「…… なんだ よ 」

キザ ったら しく 手袋 を 片側 だけ 外して 俺 に 投げ つける 。

確か 、 決闘 を 意味 する 奴 だ っけ 。

元 康 の 次の 言葉 に 周り が ざわめいた 。

「 決闘 だ !

「 いきなり 何 言って んだ 、 お前 ?

ついに 頭 が 沸いた か ?

よくよく 考えて みれば ゲーム 脳 の 馬鹿だ 。

助ける べき 人 を 見捨てて ボス に 突撃 する 様 な イノシシ だ から な 、 槍 の クソ 勇者 様 は 。

「 聞いた ぞ !

お前 と 一緒に 居る ラフタリア ちゃん は 奴隷 なん だって な ! 」

闘志 を 燃やして 俺 を 指差し ながら 糾弾 する 。

「 へ ?

ラフタリア が 変な 声 を 漏らした 。

…… 当の 本人 は ご馳走 を 皿 に 盛って 美味し そうに 食事 中 だ ぞ 。

「 だ から な んだ ?

「『 だ から な んだ ?

』…… だ と ? お前 、 本気で 言って ん の か ! 」

「 ああ 」

奴隷 を 使って 何 が 悪い と いう のだ 。

俺 と 一緒に 戦って くれる ような 奴 は い ない 。

だから 俺 は 奴隷 を 買って 使役 して いる 。

そもそも この 国 は 奴隷 制度 を 禁止 して い ない はずだ 。

それ が どうした と いう んだ ?

「 アイツ は 俺 の 奴隷 だ 。

それ が どうした ? 」

「 人 は …… 人 を 隷属 さ せる もん じゃ ない !

まして 異 世界 人 である 俺 達 勇者 に は そんな 真似 は 許さ れ ない んだ ! 」

「 何 を 今更 …… 俺 達 の 世界 でも 奴隷 は 居る だろう が 」

元 康 の 世界 が どうか は 知ら ない 。

けれど 人類 の 歴史 に 奴隷 が 存在 し ない と いう の は あり え ない 。

考え 方 を 変えれば 、 社会 人 は 会社 の 奴隷 だ 。

「 許さ れ ない ?

お前 の 中 で は そう な んだろう よ 。 お前 の 中 で は な ! 」

勝手に ルール を 作って 押し付ける と は …… 頭 が 沸いて いる な コイツ 。

「 生憎 ここ は 異 世界 だ 。

奴隷 だって 存在 する 。 俺 が 使って 何 が 悪い 」

「 き …… さま !

ギリッ と 元 康 は 矛 を 構えて 俺 に 向ける 。

「 勝負 だ !

俺 が 勝ったら ラフタリア ちゃん を 解放 さ せろ ! 」

「 なんで 勝負 なんて し なきゃ いけない んだ 。

俺 が 勝ったら どう する んだ ? 」

「 そん とき は ラフタリア ちゃん を 好きに する が いい !

今 まで の ように 」

「 話 に なら ない な 」

俺 は 元 康 を 無視 して 立ち去ろう と する 。

何故 なら 勝負 して も 俺 に は 得 が 無い 。

「 モトヤス 殿 の 話 は 聞か せて もらった 」

人 混 み が モーゼ の 伝説 の ように 割れて 王様 が 現れる 。

「 勇者 と も あろう 者 が 奴隷 を 使って いる と は ……。

噂 で しか 聞いて い なかった が 、 まさか 本当だった と は …… やはり 盾 の 勇者 は 罪人 と いう 事 か 」

罪人 って 人 に 冤罪 を 押し付けて おき ながら 良く 言う 。

しかも 奴隷 は この 国 で 認め られた 制度 じゃ ない か 。

奴隷 を 使う 奴 が そこ 等 中 に いる のに 、 何故 俺 だけ が 文句 を 言わ れ なければ なら ない 。

「 モトヤス 殿 が 不服 と 言う の なら ワシ が 命ずる 。

決闘 せよ ! 」

「 知る か 。

さっさと 波 の 報酬 を 寄越せ 。 そう すれば こんな 場所 、 俺 の 方 から 出て って やる よ ! 」

王様 は 溜息 を つく と 指 を 鳴らす 。

どこ から か 兵士 達 が やってきて 俺 を 取り囲んだ 。 見れば ラフタリア が 兵士 達 に 保護 さ れて いる 。

「 ナオフミ 様 !

「…… 何の 真似 だ ?

俺 は これ でも か と 瞳 に 力 を 入れて 王様 を 睨み つける 。

コイツ 、 俺 の 言う 事 を 全く 信じ なかった 。

それ 所 か 俺 の 邪魔 しか し ない 。

「 この 国 で ワシ の 言う 事 は 絶対 !

従わ ねば 無理矢理 に でも 盾 の 勇者 の 奴隷 を 没収 する まで だ 」

「…… チッ !

奴隷 に 施して ある 呪い を 解く 方法 ぐらい 、 国 の 魔術 師 と か は 知って い そうだ 。

つまり 、 戦わ ない こと は ラフタリア が 俺 の 元 から い なく なる と いう 事 に 繋がる 。

ふざける な !

やっと の 事 で 使える ように なった 奴隷 だ ぞ !

どれ だけ の 時間 と 金銭 を 投資 した と 思って いる んだ 。

「 勝負 なんて する 必要 あり ませ ん !

私 は ── ふむ ぅ ! 」

ラフタリア が 騒が ない ように 口 に 布 を 巻か れて 黙ら さ れる 。

「 本人 が 主 の 肩 を 持た ない と 苦しむ よう 呪い を 掛けて いる 可能 性 が ある 。

奴隷 は 黙ら させて もらおう 」

「…… 決闘 に は 参加 さ せ られる んだ よ な 」

「 決闘 の 賞品 を 何故 参加 さ せ ねば なら ない ?

「 な !

お前 ──」

「 では 城 の 庭 で 決闘 を 開催 する !

王様 の 野郎 、 俺 の 文句 を 遮って 決闘 を する 場所 を 宣言 し や がった 。

くそ 、 俺 に は 攻撃 力 が 無い んだ ぞ ?

出来 レース じゃ ねえ か !



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二十一 話   災厄 の 波

村 に 着く と 、 丁度 、 波 から 溢れて いた 化け物 達 が 、 まさに 暴れ だす 瞬間 だった 。

駐在 して いた 騎士 と 冒険 者 が 辛うじて 化け物 達 と 戦って いる が 、 多勢 に 無勢 …… 防衛 線 は 決壊 寸前 だ 。

「 ラフタリア は 村民 の 避難 誘導 を しろ 」

「 え 、 ナオフミ 様 は ……?

「 俺 は 敵 を 引き 付ける !

防衛 線 に 向かって 駆け 出し 、 イナゴ の 群 の ような 魔物 に 向けて 盾 を 使って 殴り かかる 。

無論 、 金属 を 殴った 音 が して ダメージ は まるで 入って い ない 。

だが 注意 を 引く 位 は できる 。

これ まで ラフタリア と やって いた 事 と 何も 変わら ない 。

「 グギ !

イナゴ の ような 小さな 魔物 が 群 を 成して 俺 に 向 って 襲い 掛かる 。

他 に ハチ 、 ゾンビ と 化け物 の 種類 は 決まって いる ようだ 。

ガン !

ガン !

ガン !

蛮族 の 鎧 の お陰 か 、 それとも 盾 の 効果 か 、 ダメージ は 受け ない 。

「 ゆ 、 勇者 様 ?

「 ああ …… お前 等 、 俺 が 引き つけて いる 間 に サッサ と 体制 を 立て直せ !

リユート 村 の 連中 は 俺 と 顔なじみ の 奴 も 多い 。

「 は 、 はい !

これ 幸いに と 、 深手 を 負って い ない 奴 まで 下がり 、 防衛 線 が 俺 一 人 に なった 。

「 おい ……」

何 を 考えて い やがる 。

半ば 呆れて いる 間 に も 、 化け物 たち は 俺 を 倒そう と 牙 や ハリ 、 爪 で 攻撃 して くる 。

ガキンガキン と 音 を 立てて いる けれど 、 痛く も 痒 く も 無い 。

ただ 、 全身 を 這わ れる 感覚 は 気持ち 悪くて しょうがない 。

化け物 を 殴り つける 。

ガイン !

った く 、 この 世界 の 連中 は どうして こう も 人任せ な んだ ?

災厄 の 波 が 始まって 早々 イラ だって しょうがない 。

「 た 、 助け ──!!」

世話 に なって いた 宿屋 の 主人 が 後方 で 化け物 に 襲わ れ そうに なって いる 。

化け物 の 爪 が 宿屋 の 主人 を 貫こう と する 瞬間 、 俺 は 咄嗟に 叫んだ 。

「 エアストシールド !

スキル を 唱え 、 宿屋 の 主人 を 守る 盾 を 呼び 出した 。

突然 現れた 盾 に 宿屋 の 主人 は 驚いて いた が 、 俺 の 方 を 向く 。

「 早く 逃げろ !

「…… あ 、 ありがとう 」

腰 が 抜けて いた 主人 は 礼 を 言う と 、 家族 と 一緒に その 場 を 去った 。

「 き ゃ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

絹 を 裂く ような 悲鳴 。

見る と 逃げ 遅れた らしき 女性 の 方 へ 魔物 が 群 を 成して 近づき つつ ある 。

俺 は 射程 圏 内 まで 近づき 、

「 シールドプリズン !

女性 を 守る 四方 の 盾 を 呼び 出した 。

突然の 盾 の 出現 に 、 化け物 たち は ターゲット を 俺 に 変更 する 。

そうだ 。

こっち に 来い 。 狙い は 俺 だけ で 良い 。

シールドプリズン の 効果 時間 が 切れる 前 に 化け物 を 引きつれて 移動 する 。

「 ハァ …… ハァ …… 他 に 逃げ 遅れた 奴 は ── っ !

走り ながら 周囲 を 見渡して いる と 突然 前方 から 一 匹 の 化け物 が 攻撃 を 仕掛けて きた 。

反射 的に 盾 を 構えて 攻撃 を 防ぐ 。 すると 大きな 火花 が 散った 。

「 ゾンビ か ……」

盾 の 解析 で は 名称 は 次元 ノ 屍 食 鬼 。

今 まで 連れて いた イナゴ や ハチ みたいな 化け物 と は 趣 が 違う 。

両手 に 武器 を 持ち 、 身体 に は 鎧 を 付けて いる 。

「 くっ !

やる しか ない か ……」

せめて ラフタリア の 避難 誘導 が 終わる まで は コイツ の 注意 を 引き 付けて おか ない と 。

だが 、 どうせ なら クソ 勇者 共 が 戦って いる 方向 で 戦おう 。

敵 は まだ 湧いて くる 。

新たに 現れた 化け物 が 一 匹 でも 多く 俺 に 注意 を 向ければ 俺 の 仕事 も 減る 。

「 付いて 来い ゾンビ 共 !

お前 等 臭い んだ よ ! 」

走る 速度 を 上げる 。

イナゴ 、 ハチ 、 ゾンビ と 種類 の 違う 化け物 を 連れて いる から な 。 一 匹 一 匹 の 速 さ に 違い が ある 所 為 で 行軍 速度 も 違う 。

幸いな の は 化け物 共 の 知能 が それ 程 高く 無い こと で 、 一 番 近い 俺 を 狙って 来る 。

「 ち っ !

前 から も か 」

盾 の お陰 で 頑丈 と は 言って も 、 可能な 限り 攻撃 を 受け たく なかった が 致し方ない 。

ここ で 敵 の 行軍 を 止める 。

まず 前 から 迫って くる 化け物 の 攻撃 を 盾 で 受け止め 、 そして 受け流し ながら 反転 。

今 は ラフタリア が い ない から な 。

無理に 全て 攻撃 を 受けて やる 道理 は 無い 。

こちら に 攻撃 手段 が 無い 以上 、 無い なら 無い なり の 戦い を する まで だ 。

「 エアストシールド !

空中 に エアストシールド を 展開 さ せた 。

俺 の 周り に は 化け物 が 円 を 描く 形 で 密集 して いる 。

さすが に 化け物 の 波 に 飲み 込ま れたら 俺 でも 耐え られる 確証 が 無い 。

ならば ──。

「 よっ と !

屍 食 鬼 を 足 蹴 に エアエストシールド へ 飛び乗った 。

そして 化け物 が 少ない 位置 に 着地 して 盾 を 構える 。

くっ …… イナゴ の 様 な 化け物 が 俺 に へばり付いて いる 。

振り払って も 数 匹 が 吹っ飛ぶ 位 で 身体 が 気持ち 悪い 。 何より も 身体 が 少し 重く なった 。

くそ っ !

さっき みたいに 囲ま れたら 飛んで 逃げる 作戦 が 難しい 。

引き 離せ ない なら コレ で どう だ 。

「 アニマルニードルシールド !

この 盾 は 専用 効果 針 の 盾 ( 小 ) が 付いて いる 。

これ は 盾 の 部分 で 攻撃 を 受ける と 針 が 振動 して 敵 に ダメージ を 与え られる 。 難点 は 先程 まで 使って いた 盾 より も 防御 力 が 低い 事 か 。 しかも ダメージ 自体 は 僅か と いう 始末 。 しかし 俺 に は これ しか 攻撃 手段 が ない 。

もう 一 つ 、 同じ ように カウンター 効果 の ある 盾 が 無い 訳 じゃ ない が 、 この 盾 と は 違って 群れ と の 相性 が 悪い 。

「 喰 ら え !

盾 で パンチ する か の 様 に 化け物 に 攻撃 する 。

カンッ !

と いう 、 相変わらず の 音 が 響いた 。

やはり 俺 の 攻撃 で は ダメージ は 期待 でき ない らしい 。

逆に 化け物 の 攻撃 を 盾 で 防ぐ 。

すると 針 が 飛び出て 化け物 に 命中 した 。 ダメージ は 少ない が 、 攻撃 を 与えれば 少し は 敵 に 隙 が できる 。 そこ を 利用 して 時間 を 稼ぐ しか ない 。

「 コイツ は ……」

見えた の は 屍 食 鬼 が 武器 を 振り 被って いる 姿 。

手 に 持って いる 大きな 斧 は 、 攻撃 を 盾 で 受ける より も 前 に 俺 の 肩 を 抉った のだ 。

「 ぐ っ !

肩 に 熱 を 帯びた 激痛 が 走り 、 血 が 噴出 した 。

鮮血 に 数 歩 後ろ に 下がる 。

痛い 。

なんで 俺 が こんな こと を し なくて は なら ない 。

俺 を バカに する 連中 を 血 を 流して まで 守って やる なんて バカ みたいだ 。

落ち着け …… 冷静に なれ 。

これ は 盾 で 受け られ なかった だけ で なく 、 攻撃 用 の 盾 を 使って いた 所 為 も ある だろう 。

もっと 防御 力 の 高い 盾 を 使おう と 思えば 、 反撃 の 手段 が 無くなる 。

本当 、 使い 辛い 盾 だ な !

「 勇者 様 !

「 な っ !?  なんで ここ に いる !

邪魔だ 、 さっさと 逃げろ ! 」

そこ に は 武器 を 持った …… と 言って も 農具 ばかり だ が 村 の 男 共 が 立って いた 。

中 に は 先程 助けた 連中 も 含ま れて いる 。

「 ですが 盾 の 勇者 様 が 一 人 です !

お前 等 が そうした んだ ろ !

俺 だって 一 人 に なり たくて なって る 訳 じゃ ね ー よ !

前線 を 維持 しろ って 言った の に 下がった の は お前 等 だろう が 。

…… 逃げた 冒険 者 連中 は ここ に い ない な 。

「 この 村 は 私 達 の 村 です !

逃げる だけ で は いけ ませ ん ! 」

「 くっ !

わかった 。 俺 が 盾 に なる 。 避難 が 終わる まで 戦線 維持 に 協力 して くれ 。 お前 等 は 攻撃 を 受け ない 様 に 陣形 を 組んで 攻撃 しろ ! 」

「 わかり ました !

正直 ありがたい 。

攻撃 手段 が 無い 以上 、 少し でも 戦力 が あれば 戦闘 能力 が 格段に 上がる 。 それ は ラフタリア で 実証 さ れて いる の は 言う まで も 無い 。

俺 は 直 に ライトメタルシールド に 切り替え 、 村人 の 陣形 に 合わせて 敵 の 注意 を 引いた 。

「 一 発 攻撃 を 与えたら 離れろ よ 。

敵 の 進行 の 邪魔 を して 、 俺 が 受ける 」

「 はい !

村人 達 を 守る 様 に 前 へ 立ち 、 攻撃 を 盾 で 防ぐ 。

そして 村人 達 は その 間 から 農具 を 突き刺した 。

さすが に 一 発 で は 無理だ が 、 十 発 二十 発 と 攻撃 を 与える 内 に 化け物 は 倒れて いく 。

「 ひ ぃっ !

村人 へ 攻撃 が 飛んで いけば 盾 で 受け止め 声 を 上げる 。

「 安心 しろ !

攻撃 は 俺 が 全て 引き受ける 。 お前 等 は 敵 を 倒す 事 だけ を 考えろ ! 」

村人 達 から 安堵 の 表情 が 読み 取れる 。

少なくとも 、 自分 達 を 守って くれて いる と いう 事 は 伝わった と 思って 良い だろう 。

災害 なんか で は 声 が 大きい 者 に 先導 さ れる 輩 が いる らしい が 、 ソレ かも しれ ない な 。 だが 、 今 は それ で 良い 。 宣言 通り 俺 の 味方 を する なら 守って やる 。

「 それにしても 数 が 多い …… 避難 は まだ 終わら ない の か !

「 他の 勇者 様 は どうして いる のです か ?

「 ハッ !

波 の 大 本 で 戦闘 中 だ よ ! お前 等 を 無視 して な っ ! 」

「 な 、 なんて 事 だ ……」

俺 の 言葉 に 村人 の 一 人 が 意気消沈 して いる 。

瞬間 、 下 に 大きな 影 が 生まれた の が 見えた 。

咄嗟に その 男 を 突き飛ばす 。

「 ぐ あっ ……」

現れた の は 巨大な 屍 食 鬼 。

装備 も 他の 奴 等 より 豪華な 鎧 を 付け 、 巨大な 斧 を 持って いる 。

その 攻撃 を 盾 も 構え ず 受けた 所 為 で 視界 が 揺らぐ 。

こんな 所 で 死ねる か !

俺 は 歯 を 食い縛って 意識 を 繋ぐ 。

ここ で 倒れたら 本当に 死ぬ 。

明らかに 他の 奴 と は 違う 。

まともに 喰 ら った と は いえ 、 俺 が ダメージ を 受ける んだ 。

相当な 奴 だろう 。

「 大丈夫 か !?」

「 は 、 はい …… ゆ 、 勇者 様 は ……」

「 もう 良い !

お前 等 は 下がれ 。 あれ を 相手 に して お前 等 を 守れる 自信 が 無い ! 」

「 ですが !

下がれ と いう 言葉 に 反論 を 唱えよう と する 村人 達 。

そこ に ──

「 ナオフミ 様 !

既に 戦闘 準備 を 整えた ラフタリア が 剣 を 持って 現れた 。

「 ラフタリア か !

丁度 良い 。 アイツ を 倒す ぞ ! 」

「 はい !

巨大な 屍 食 鬼 に 向き合う 様 に 移動 して 盾 を 構える 。

「 攻撃 は 俺 が 受け止める 。

今 まで 通り 、 剣 で 突き刺せ 」

「 わかり ました 」

大きくて も 屍 食 鬼 の 知能 は 他 と 然 程 変わら ない のだろう 。

目 に 付いた 俺 に 攻撃 を 振るう 屍 食 鬼 の 攻撃 を 真っ向 から 受け止める 。

避け ない の は 味方 へ 攻撃 が いか ない 様 に する 意味 も ある 。

避ける と 攻撃 が バラ ける し 、 ラフタリア が 攻撃 以外 の 事 も 考え なくて は いけなく なる から だ 。

屍 食 鬼 が 攻撃 を 振り 被る と 同時に ラフタリア は 剣 で 突き刺した 。

その 影響 で 盾 が 受ける 衝撃 が 若干 減った 。

よし !

これ なら 行ける 。

「 ラフタリア 、 コイツ 等 は 近い 奴 から 攻撃 する 習性 が ある 。

剣 を 刺したら 距離 を 取り 、 俺 に 攻撃 して きたら 同じ 要領 で また 刺して くれ 」

「 はい !

「 す 、 すごい ……」

俺 達 の 連携 に 村人 が 感想 を 漏らして いる 。

そんな 事 より コイツ 等 を 早く 逃がさ ない と 。

「 まだ 居た の か !

早く 下がれ 。 協力 は 感謝 する が 、 今 は 正直 邪魔な んだ ! 俺 は お前 達 を 死な せ ない 為 に ここ に いる んだ ぞ ! 」

「 わ 、 わかり ました !

強く 叫ば れた 影響 か 素直に 頷いた 村人 達 が 警戒 し ながら 距離 を 取り 始める 。

そして ある 程度 村人 達 が 離れた 所 で 背筋 を 嫌な 物 が 通り 過ぎた 。

「 ラフタリア !

俺 は 剣 を 構えて いた ラフタリア を 抱える 様 に 抱き 寄せ 、 マント を 広げて 中 へ 隠した 。

「 ナオフミ 様 !?」

一 番 防御 力 の 高い ライトメタルシールド に 盾 を 変える 。

その 直後 に 降り 注ぐ 火 の 雨 。

化け物 の 群れ の 中 から 外 を 見る と 騎士 団 が 到着 し 、 魔法 が 使える 連中 が 火 の 雨 を こちら に 向けて 放って いた 。

「 おい !

こっち に は 味方 が いる んだ ぞ ! 」

あっという間 に 引火 して 燃え盛る 化け物 達 。

昆虫 が 多い から な 、 火 の 魔法 で 燃え盛って いく 。

どうやら 俺 は 物理 防御 力 だけ で なく 、 魔法 防御 力 も 高い 様 だ な 。

いや 、 ライトメタルシールド の 専用 効果 魔法 防御 向上 の お陰 か 。

巨大な 屍 食 鬼 も 燃え盛る 雨 に 大きな 音 を 立てて 倒れる 。

それ を 確認 する や 真 紅 に 燃え盛る 防衛 線 の 中 、 味方 の 誤射 と は な んだろう か と 腹 が 立ち ながら 、 俺 は ツカツカ と 騎士 団 を 睨み つけ ながら 近づき 、 マント を 靡 かせ 、 炎 を 散らす 。

「 ふん 、 盾 の 勇者 か …… 頑丈な 奴 だ な 」

騎士 団 の 隊長 らしき 奴 が 俺 を 見る なり 吐き 捨てた 。

直後 、 マント の 中 から 飛び出す ように 剣 を 振りかぶる ラフタリア 。 吐き 捨てた 奴 は 剣 を 抜き 、 ガキン と 音 を 立てて 鍔迫 り 合い に なる 。

「 ナオフミ 様 に 何 を なさる のです か !

返答 次第 で は 許し ませ ん よ ! 」

殺意 を 込めて 、 ラフタリア が 言い放つ 。

「 盾 の 勇者 の 仲間 か ?

「 ええ 、 私 は ナオフミ 様 の 剣 !

無礼 は 許し ませ ん ! 」

「…… 亜人 風情 が 騎士 団 に 逆らう と でも 言う つもり か ?

「 守る べき 民 を 蔑 ろ に して 、 味方 である はずの ナオフミ 様 もろとも 魔法 で 焼き払う ような 輩 は 、 騎士 であろう と 許し ませ ん !

「 五 体 満足 な のだ から 良い じゃ ない か 」

「 良く あり ませ ん !

ギリギリ と 鍔迫 り 合い を 続ける ラフタリア を 騎士 達 は 囲む 。

「 シールドプリズン !

「 な 、 貴 様 ──」

鍔迫 り 合い の 相手 を 盾 の 牢獄 に 閉じ 込め 、 俺 は 多勢 に 無勢 を 働こう と した 騎士 達 を 睨む 。

「…… 敵 は 波 から 這い ずる 化け物 だろう 。

履き違える な ! 」

俺 の 叱責 に 騎士 団 の 連中 は 分 が 悪い ように 顔 を 逸ら す 。

「 犯罪 者 の 勇者 が 何 を ほ ざ く 」

「 なら …… 残り は お前 達 だけ で 相手 を する か ?

燃え盛る 前線 を 化け物 たち が 我が 者 顔 で 蠢き 、 最 前線 に いる 俺 に 襲い 掛かる 。

その 全て を 耐え 切って いる 俺 に 、 騎士 達 は 青い 顔 を した 。

仮にも 俺 は 盾 の 勇者 だ 。

コイツ 等 だけ で は 持つ はず も ある まい 。

「 ラフタリア 、 避難 誘導 は 済んだ か ?

「 いえ …… まだ です 。

もう 少し 掛かる と 思い ます 」

「 そう か 、 じゃあ 早く 避難 さ せて おけ 」

「 ですが ……」

「 味方 に 魔法 を ぶ っ放さ れた が 、 痛く も 痒 く も 無い 。

ただ …… 俺 が 手 も 足 も 出 ない と 舐めた 態度 を 取って いる の なら ……」

ラフタリア の 肩 を 叩き ながら 、 騎士 団 を 睨み つける 。

「…… 殺す ぞ 。

どんな 手段 を 使って も 、 最悪 お前 等 を 化け物 の エサ に して 俺 は 逃げて も いい 」

俺 の 脅し が 効いた の か 騎士 団 の 連中 は 息 を 呑 んで 魔法 の 詠 唱 を 止める 。

「 さて 、 ラフタリア 。

戦い を 始める の は 邪魔な 奴 等 を 逃がして から だ 。 な に 、 敵 は いっぱい いる 。 それ から で いい 」

思いのほか 、 耐え られる ようだ から な 。

これ なら 大丈夫 そうだ 。

「 は 、 はい !

指示 に 従い ラフタリア は 村 の 方 へ 駆け 出す 。

「 くそ !

盾 の 勇者 風情 が 」

牢獄 の 効果 時間 が 切れた 途端 、 隊長 らしき 馬鹿 が 俺 に 怒鳴り つける 。

「 そう か 、 お前 は …… 死ぬ か ?

俺 の 背後 に 迫る 化け物 たち 。

さすが に 俺 が 守ら ねば 自分 に 降りかかる の を 察した の か 馬鹿 は 黙って 下がる 。

まったく 、 ど いつも こいつ も 、 碌 な 奴 が 居 ない 。

俺 が 守る しか 能 の 無い 盾 の 勇者 じゃ なかったら こんな 奴 等 、 誰 が 好き 好んで 助けて やる か 。

邪魔な 連中 の 避難 が 終わった ラフタリア が 前線 に 復帰 する と 俺 は 攻撃 に 打って出た 。

騎士 団 の 連中 の 援護 を 利用 し つつ 、 空 の 亀裂 が 収まった の は 数 時間 も 後 の 事 だ 。

「 ま 、 こんな 所 だ ろ 」

「 そう だ な 、 今回 の ボス は 楽勝 だった な 」

「 ええ 、 これ なら 次の 波 も 余裕 です ね 」

波 の 最 前線 で 戦って いた 勇者 共 が 今回 の 一 番 の ボス らしき キメラ の 死体 を 前 に 雑談 交じり に 話し 合い を 続けて いる 。

民間 人 の 避難 を 騎士 団 と 冒険 者 に 任せて 何 を 言って や がる …… 一 ヶ月 も 経って いる と いう のに ゲーム 気分 の 抜け ない 奴 等 だ 。

注意 する の も 面倒な 俺 は そんな クソ 勇者 共 を 無視 して 、 波 を 乗り切った 事 を 安堵 して いた 。

空 は 何時も の ような 色 だ が 、 やがて 夕日 に 染まる 。

これ で 最低 一 ヶ月 は 生き延び られる 。

…… ダメージ を あまり 受け なかった の は 、 波 が まだ 弱い から だろう 。

次 も 耐え られる か 正直 分から ない 。

いずれ 俺 が 耐え られ なく なった 時 …… どう なる の か 。

「 よく やった 勇者 諸君 、 今回 の 波 を 乗り越えた 勇者 一行 に 王様 は 宴 の 準備 が できて いる と の 事 だ 。

報酬 も 与える ので 来て 欲しい 」

本来 は 行き たく ない 。

けど 、 俺 に は 金 が ない 。 だから 俺 は 引き上げる 連中 に 付き添い 、 一緒に 付いて 行く 。

確か 、 支度 金 と 同等の 金銭 を 一定 期間 毎 に くれる はずだ 。

銀貨 五百 枚 。

今 の 俺 に は 大金 である 。

「 あ 、 あの ……」

リユート 村 の 連中 が 俺 を 見る なり 話し かけて くる 。

「 なんだ ?

「 ありがとう ございました 。

あなた が 居 なかったら 、 みんな 助かって い なかった と 思い ます 」

「 なる ように なった だ ろ 」

「 いいえ 」

別の 奴 が 俺 の 返答 を 拒む 。

「 あなた が 居た から 、 私 たち は こうして 生き残る 事 が 出来た んです 」

「 そう 思う なら 勝手に 思って いろ 」

「「「 はい !

」」」

村 の 連中 は 俺 に 頭 を 下げて 帰って いった 。

村 の 損 耗 は 激しい 。

これ から の 復興 を 考える と 大変だろう 。

命 を 助けて 貰ったら 礼 を 言う だけ 、 普段 は 俺 を 蔑む くせ に …… 現金な 連中 だ 。

だが …… 悪魔 だ と 罵ら れる より は 遥かに マシ だ な 。

「 ナオフミ 様 」

長い 戦い の 末 、 泥 と 汗 まみれ に なった ラフタリア が 笑顔 で 駆け寄って くる 。

「 やり ました ね 。

みんな 感謝 して ます よ 」

「…… そう だ な 」

「 これ で 、 私 の 様 な 方 が 増え なくて すみ ます 。

ナオフミ 様 の お陰 です ! 」

「…… ああ 」

戦後 の 高揚 から か 、 それとも 自身 の 出自 と 重ねて な の か 、 ラフタリア は 涙ぐんで いる 。

「 私 も …… 頑張り ました 」

「 ああ 、 お前 は 良く 頑張った な 」

ラフタリア の 頭 を 撫でて 、 俺 は 褒めた 。

そうだ 。

ラフタリア は 俺 の 指示 通り ちゃん と 動き 、 戦った 。

それ は 正しく 評価 し なくて は いけない 。

「 いっぱい 化け物 を 倒し ました 」

「 ああ 、 助かった よ 」

「 え へ へ 」

嬉し そうに 笑う ラフタリア に 少々 不思議な 思い が し つつ 、 俺 達 は 城 へ と 向 う のだった 。

さすが 勇者 だ 。 前回 の 被害 と は 雲泥 の 差 に ワシ も 驚き を 隠せ ん ぞ ! 」

陽 も 落ち 、 夜 に なって から 城 で 開か れた 大 規模 な 宴 で 王様 が 高らかに 宣言 した 。

ちなみに 死傷 者 は 前回 が どれ 程 な の か 知ら ない が 、 今回 の 死傷 者 は 一 桁 に 収まる 程度 だった らしい 。

…… 誰 の 活躍 か なんて 自己 主張 する つもり は 無い 。

あの 勇者 共 が 湧き 出す 化け物 達 を 倒して は いた らしい ので 全部 俺 の 手柄 だ と は 思わ ない 。

だが 、 いずれ この 程度 で は 済ま なく なる のだろう な と 俺 自身 思って いる 。

砂時計 に よって 転送 さ れる 範囲 が 近かった から 良かった もの の 、 騎士 団 が 直 に これ ない 範囲 で 起こったら どう する つもりな んだ 。

課題 は 多い な ……。

ヘルプ を 呼び 出し 、 確認 する 。

あの 態度 だ 。

俺 に 登録 さ れよう なんて 輩 は い ない だろう が な 。

しかし …… あの クソ 勇者 共 は 使わ なかった な 。

一体 何故 だ ?

知って いる ゲーム なら 手配 して いて も おかしく ない はずだ 。

…… 大方 、 そこ まで 大変じゃ ない と 思って いた と か 、 確認 を 怠って いた と か そんな 所 だった のだろう 。

言う の も 煩わしい 。

俺 は 宴 が 催さ れて いる 中 、 隅 の 方 で 適当に 飯 を 食べる 。

「 ご馳走 です ね !

ラフタリア が 普段 は 食べ られ ない 食べ物 の 山 を 見て 、 瞳 を 輝か せて いる 。

「 食い たければ 食って 良い ぞ 」

「 はい !

あんまり 良い もの を 食べ させて あげ られ なかった から な …… こんな 時 こそ 好きな もの を 食べ させる べきだろう 。

それ に 見合う 戦果 を ラフタリア は 上げて いる 。

「 あ …… でも 、 食べたら 太っちゃ う 」

「 まだ 育ち盛り だ ろ 」

「 う ー ……」

なんか ラフタリア が 困った 顔 で 悩んで る 。

「 食べれば 良い だ ろ 」

「 ナオフミ 様 は 太った 子 は 好きです か ?

「 は ぁ ?

何 を 言って んだ ?

「 興味 ない 」

女 と 言う だけ で あの クソ 女 が 浮かんで くる んだ 。

好き と か そんな 感情 が 浮かんで こ ない 。

そもそも が 女 と いう 生物 が 生理 的に 気 に 食わ ない 。

「 そう です よ ね 。

ナオフミ 様 は そういう 方 でした 」

半ば 諦めた か の ように ラフタリア は ご馳走 に 手 を 伸ばす 。

「 美味しい です 、 ナオフミ 様 」

「 良かった な 」

「 はい 」

ふう …… 宴 と やら が 面倒だ な 。

報酬 は 何 時 貰える んだ 。

こんな クズ の 集まり 、 見て いる だけ で 腹 が 立つ 。

…… よく 考える と 明日 と か の 可能 性 も ある な 。

無駄 足 だった か ? いや 、 食費 が 浮く から 良い か 。 本人 は 気 に して いる 様 だ が ラフタリア は 亜人 で 成長 期 だ 。 食費 も バカに なら ない 。

「 タッパー と か あれば 持ち 帰れた のに な 」

保存 が 利か ない から 明日 まで だろう が 、 金 を 考えたら もったいない …… 後 で コック に でも 頼んで 包んで もらおう 。

他 に も あまり の 食 材 を 頂いて 行く の も 良い かも しれ ない 。

等 と 考えて いる と 怒り の 形相 を した 元 康 が 人 を 掻き分けて 、 俺 達 の 方 へ 向かって きや がる 。

まったく 、 一体 なん だって 言う んだ 。

相手 を する の も 面倒だ から 避けよう と 人 混 み の 方 へ 歩く と 元 康 の 奴 、 俺 を 睨み つけ ながら 追って くる 。

「 おい !

尚 文 ! 」

「…… なんだ よ 」

キザ ったら しく 手袋 を 片側 だけ 外して 俺 に 投げ つける 。

確か 、 決闘 を 意味 する 奴 だ っけ 。

元 康 の 次の 言葉 に 周り が ざわめいた 。

「 決闘 だ !

「 いきなり 何 言って んだ 、 お前 ?

ついに 頭 が 沸いた か ?

よくよく 考えて みれば ゲーム 脳 の 馬鹿だ 。

助ける べき 人 を 見捨てて ボス に 突撃 する 様 な イノシシ だ から な 、 槍 の クソ 勇者 様 は 。

「 聞いた ぞ !

お前 と 一緒に 居る ラフタリア ちゃん は 奴隷 なん だって な ! 」

闘志 を 燃やして 俺 を 指差し ながら 糾弾 する 。

「 へ ?

ラフタリア が 変な 声 を 漏らした 。

…… 当の 本人 は ご馳走 を 皿 に 盛って 美味し そうに 食事 中 だ ぞ 。

「 だ から な んだ ?

「『 だ から な んだ ?

』…… だ と ? お前 、 本気で 言って ん の か ! 」

「 ああ 」

奴隷 を 使って 何 が 悪い と いう のだ 。

俺 と 一緒に 戦って くれる ような 奴 は い ない 。

だから 俺 は 奴隷 を 買って 使役 して いる 。

そもそも この 国 は 奴隷 制度 を 禁止 して い ない はずだ 。

それ が どうした と いう んだ ?

「 アイツ は 俺 の 奴隷 だ 。

それ が どうした ? 」

「 人 は …… 人 を 隷属 さ せる もん じゃ ない !

まして 異 世界 人 である 俺 達 勇者 に は そんな 真似 は 許さ れ ない んだ ! 」

「 何 を 今更 …… 俺 達 の 世界 でも 奴隷 は 居る だろう が 」

元 康 の 世界 が どうか は 知ら ない 。

けれど 人類 の 歴史 に 奴隷 が 存在 し ない と いう の は あり え ない 。

考え 方 を 変えれば 、 社会 人 は 会社 の 奴隷 だ 。

「 許さ れ ない ?

お前 の 中 で は そう な んだろう よ 。 お前 の 中 で は な ! 」

勝手に ルール を 作って 押し付ける と は …… 頭 が 沸いて いる な コイツ 。

「 生憎 ここ は 異 世界 だ 。

奴隷 だって 存在 する 。 俺 が 使って 何 が 悪い 」

「 き …… さま !

ギリッ と 元 康 は 矛 を 構えて 俺 に 向ける 。

「 勝負 だ !

俺 が 勝ったら ラフタリア ちゃん を 解放 さ せろ ! 」

「 なんで 勝負 なんて し なきゃ いけない んだ 。

俺 が 勝ったら どう する んだ ? 」

「 そん とき は ラフタリア ちゃん を 好きに する が いい !

今 まで の ように 」

「 話 に なら ない な 」

俺 は 元 康 を 無視 して 立ち去ろう と する 。

何故 なら 勝負 して も 俺 に は 得 が 無い 。

「 モトヤス 殿 の 話 は 聞か せて もらった 」

人 混 み が モーゼ の 伝説 の ように 割れて 王様 が 現れる 。

「 勇者 と も あろう 者 が 奴隷 を 使って いる と は ……。

噂 で しか 聞いて い なかった が 、 まさか 本当だった と は …… やはり 盾 の 勇者 は 罪人 と いう 事 か 」

罪人 って 人 に 冤罪 を 押し付けて おき ながら 良く 言う 。

しかも 奴隷 は この 国 で 認め られた 制度 じゃ ない か 。

奴隷 を 使う 奴 が そこ 等 中 に いる のに 、 何故 俺 だけ が 文句 を 言わ れ なければ なら ない 。

「 モトヤス 殿 が 不服 と 言う の なら ワシ が 命ずる 。

決闘 せよ ! 」

「 知る か 。

さっさと 波 の 報酬 を 寄越せ 。 そう すれば こんな 場所 、 俺 の 方 から 出て って やる よ ! 」

王様 は 溜息 を つく と 指 を 鳴らす 。

どこ から か 兵士 達 が やってきて 俺 を 取り囲んだ 。 見れば ラフタリア が 兵士 達 に 保護 さ れて いる 。

「 ナオフミ 様 !

「…… 何の 真似 だ ?

俺 は これ でも か と 瞳 に 力 を 入れて 王様 を 睨み つける 。

コイツ 、 俺 の 言う 事 を 全く 信じ なかった 。

それ 所 か 俺 の 邪魔 しか し ない 。

「 この 国 で ワシ の 言う 事 は 絶対 !

従わ ねば 無理矢理 に でも 盾 の 勇者 の 奴隷 を 没収 する まで だ 」

「…… チッ !

奴隷 に 施して ある 呪い を 解く 方法 ぐらい 、 国 の 魔術 師 と か は 知って い そうだ 。

つまり 、 戦わ ない こと は ラフタリア が 俺 の 元 から い なく なる と いう 事 に 繋がる 。

ふざける な !

やっと の 事 で 使える ように なった 奴隷 だ ぞ !

どれ だけ の 時間 と 金銭 を 投資 した と 思って いる んだ 。

「 勝負 なんて する 必要 あり ませ ん !

私 は ── ふむ ぅ ! 」

ラフタリア が 騒が ない ように 口 に 布 を 巻か れて 黙ら さ れる 。

「 本人 が 主 の 肩 を 持た ない と 苦しむ よう 呪い を 掛けて いる 可能 性 が ある 。

奴隷 は 黙ら させて もらおう 」

「…… 決闘 に は 参加 さ せ られる んだ よ な 」

「 決闘 の 賞品 を 何故 参加 さ せ ねば なら ない ?

「 な !

お前 ──」

「 では 城 の 庭 で 決闘 を 開催 する !

王様 の 野郎 、 俺 の 文句 を 遮って 決闘 を する 場所 を 宣言 し や がった 。

くそ 、 俺 に は 攻撃 力 が 無い んだ ぞ ?

出来 レース じゃ ねえ か !


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